(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-28
(45)【発行日】2023-07-06
(54)【発明の名称】車両用照明装置、および車両用灯具
(51)【国際特許分類】
H05B 45/18 20200101AFI20230629BHJP
F21S 45/10 20180101ALI20230629BHJP
F21S 43/19 20180101ALI20230629BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20230629BHJP
F21S 45/47 20180101ALI20230629BHJP
B60Q 1/34 20060101ALI20230629BHJP
B60Q 1/44 20060101ALI20230629BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20230629BHJP
H05B 45/30 20200101ALI20230629BHJP
H05B 45/345 20200101ALI20230629BHJP
H05B 45/56 20200101ALI20230629BHJP
H05B 47/25 20200101ALI20230629BHJP
H05B 47/28 20200101ALI20230629BHJP
F21V 29/503 20150101ALN20230629BHJP
F21V 29/70 20150101ALN20230629BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20230629BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20230629BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20230629BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20230629BHJP
F21W 103/45 20180101ALN20230629BHJP
F21W 102/30 20180101ALN20230629BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230629BHJP
【FI】
H05B45/18
F21S45/10
F21S43/19
F21V23/00 117
F21S45/47
B60Q1/34 A
B60Q1/44 B
F21V19/00 170
H05B45/30
H05B45/345
H05B45/56
H05B47/25
H05B47/28
F21V29/503 100
F21V29/70
F21W103:55
F21W103:00
F21W103:20
F21W103:35
F21W103:45
F21W102:30
F21Y115:10 300
F21Y115:10 500
(21)【出願番号】P 2019214180
(22)【出願日】2019-11-27
【審査請求日】2022-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】小杉 大資
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0306939(US,A1)
【文献】国際公開第2018/217609(WO,A2)
【文献】特開2019-61791(JP,A)
【文献】特開2017-159726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
45/00-45/58
47/00-47/29
F21K 9/00-9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 19/00-19/06
23/00-99/00
B60Q 1/00-1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソケットと;
前記ソケットの一方の端部側に設けられた発光モジュールと;
を具備し、
前記発光モジュールは、
少なくとも1つの発光素子と;
ソースが前記発光素子のカソードと電気的に接続された第1のトランジスタと;
前記第1のトランジスタのゲートに電気的に接続された負特性サーミスタと;
前記負特性サーミスタと直列接続された正特性サーミスタと;
コレクタが、前記第1のトランジスタのゲートと、前記負特性サーミスタまたは前記正特性サーミスタに電気的に接続され、ベースが前記第1のトランジスタのドレインに電気的に接続され、エミッタが出力端子に電気的に接続された第2のトランジスタと;
を有する車両用照明装置。
【請求項2】
前記正特性サーミスタと直列接続され、常温時における前記正特性サーミスタの抵抗値のばらつきに応じて、抵抗値を変化可能な第1の抵抗をさらに具備した請求項1記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記第1の抵抗は、膜状を呈し、スリットを有している請求項2記載の車両用照明装置。
【請求項4】
ソケットと;
前記ソケットの一方の端部側に設けられた発光モジュールと;
を具備し、
前記発光モジュールは、
少なくとも1つの発光素子と;
ソースが前記発光素子のカソードと電気的に接続された第1のトランジスタと;
前記第1のトランジスタのゲートに電気的に接続された負特性サーミスタと;
前記第1のトランジスタのドレインに電気的に接続された正特性サーミスタと;
コレクタが前記第1のトランジスタのゲートと前記負特性サーミスタに電気的に接続され、ベースが前記第1のトランジスタのドレインと前記正特性サーミスタに電気的に接続され、エミッタが出力端子に電気的に接続された第2のトランジスタと;
を有する車両用照明装置。
【請求項5】
前記正特性サーミスタに並列接続され、常温時における前記正特性サーミスタの抵抗値のばらつきに応じて、抵抗値を変化可能な第2の抵抗をさらに具備した請求項4記載の車両用照明装置。
【請求項6】
前記第2の抵抗は、膜状を呈し、スリットを有している請求項5記載の車両用照明装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つに記載の車両用照明装置と;
前記車両用照明装置が取り付けられる筐体と;
を具備した車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両用照明装置、および車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー化や長寿命化などの観点から、フィラメントを備えた車両用照明装置に代えて発光ダイオードを備えた車両用照明装置の普及が進んでいる。
車両用照明装置を点灯させる際には、車両用照明装置(発光ダイオード)に電圧を印加する。発光ダイオードに電圧が印加されると、発光ダイオードに電流が流れて熱が発生し、発光ダイオードの温度が上昇する。また、自動車用の車両用照明装置の場合には、入力電圧が変動して高い電圧が発光ダイオードに印加されたり、環境温度が高温になったりする場合がある。この場合、発光ダイオードの温度が高くなりすぎると、発光ダイオードが故障したり、発光ダイオードの寿命が短くなったりするおそれがある。
【0003】
そこで、抵抗と、抵抗と正特性サーミスタとを直列接続した回路と、を並列接続し、発光ダイオードの温度が高くなりすぎた場合には、正特性サーミスタにより回路に流れる電流を遮断して並列接続された抵抗のみに電流を流す技術が提案されている。この様にすれば、発光ダイオードの保護を図ることができる。しかしながら、温度変化に伴う全光束の変動を抑制することに改善の余地があった。
そこで、発光ダイオードの保護を図ることができ、且つ、温度変化に伴う全光束の変動を抑制することができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、発光素子の保護を図ることができ、且つ、温度変化に伴う全光束の変動を抑制することができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る車両用照明装置は、ソケットと;前記ソケットの一方の端部側に設けられた発光モジュールと;を具備している。前記発光モジュールは、少なくとも1つの発光素子と;ソースが前記発光素子のカソードと電気的に接続された第1のトランジスタと;前記第1のトランジスタのゲートに電気的に接続された負特性サーミスタと;前記負特性サーミスタと直列接続された正特性サーミスタと;コレクタが、前記第1のトランジスタのゲートと、前記負特性サーミスタまたは前記正特性サーミスタに電気的に接続され、ベースが前記第1のトランジスタのドレインに電気的に接続され、エミッタが出力端子に電気的に接続された第2のトランジスタと;を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によれば、発光素子の保護を図ることができ、且つ、温度変化に伴う全光束の変動を抑制することができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施の形態に係る車両用照明装置の模式分解図である。
【
図3】比較例に係る発光モジュールの回路図である。
【
図4】(a)は、発光モジュールにおける基板温度と電流との関係を例示するためのグラフ図である。(b)は、車両用照明装置において望まれている基板温度と電流との関係を例示するためのグラフ図である。
【
図5】(a)~(d)は、負特性サーミスタの作用を例示するためのグラフ図である。
【
図6】(a)~(d)は、正特性サーミスタの作用を例示するためのグラフ図である。
【
図7】(a)~(d)は、抵抗の作用を例示するためのグラフ図である。
【
図8】他の実施形態に係る車両用照明装置に設けられた発光モジュールを例示するための回路図である。
【
図9】(a)~(d)は、直列接続された正特性サーミスタと負特性サーミスタの作用と効果を例示するためのグラフ図である。
【
図10】他の実施形態に係る発光モジュールを例示するための回路図である。
【
図11】(a)~(d)は、正特性サーミスタに直列接続された抵抗の作用と効果を例示するためのグラフ図である。
【
図12】車両用灯具を例示するための模式部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0010】
(車両用照明装置)
本実施の形態に係る車両用照明装置1は、例えば、自動車や鉄道車両などに設けることができる。自動車に設けられる車両用照明装置1としては、例えば、フロントコンビネーションライト(例えば、デイタイムランニングランプ(DRL:Daytime Running Lamp)、ポジションランプ、ターンシグナルランプなどが適宜組み合わされたもの)や、リアコンビネーションライト(例えば、ストップランプ、テールランプ、ターンシグナルランプ、バックランプ、フォグランプなどが適宜組み合わされたもの)などに用いられるものを例示することができる。ただし、車両用照明装置1の用途は、これらに限定されるわけではない。
【0011】
図1は、本実施の形態に係る車両用照明装置1の模式分解図である。
図2は、発光モジュール20の回路図である。
図1に示すように、車両用照明装置1には、ソケット10、発光モジュール20、給電部30、および伝熱部40を設けることができる。
【0012】
ソケット10は、装着部11、バヨネット12、フランジ13、および放熱フィン14を有することができる。
装着部11は、フランジ13の、放熱フィン14が設けられる側とは反対側の面に設けることができる。装着部11の外形形状は、柱状とすることができる。装着部11の外形形状は、例えば、円柱状である。装着部11は、フランジ13側とは反対側の端部に開口する凹部11aを有することができる。
【0013】
装着部11には、少なくとも1つのスリット11bを設けることができる。スリット11bの内部には、基板21の角部を設けることができる。装着部11の周方向におけるスリット11bの寸法(幅)は、基板21の角部の寸法よりも僅かに大きくすることができる。この様にすれば、スリット11bの内部に基板21の角部を挿入することで、基板21の位置決めを行うことができる。
【0014】
また、スリット11bを設けるようにすれば、基板21の平面形状を大きくすることができる。そのため、基板21上に実装する素子の数を増加させることができる。あるいは、装着部11の外形寸法を小さくすることができるので、装着部11の小型化、ひいては車両用照明装置1の小型化を図ることができる。
【0015】
バヨネット12は、装着部11の外側面に設けることができる。例えば、バヨネット12は、車両用照明装置1の外側に向けて突出している。バヨネット12は、フランジ13と対峙させることができる。バヨネット12は、複数設けることができる。バヨネット12は、車両用照明装置1を車両用灯具100の筐体101に装着する際に用いることができる。バヨネット12は、ツイストロックに用いることができる。
【0016】
フランジ13は、板状を呈したものとすることができる。例えば、フランジ13は、円板状を呈したものとすることができる。フランジ13の外側面は、バヨネット12の外側面よりも車両用照明装置1の外方に位置することができる。
【0017】
放熱フィン14は、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けることができる。放熱フィン14は、少なくとも1つ設けることができる。例えば、
図1に例示をしたソケット10には複数の放熱フィン14が設けられている。複数の放熱フィン14は、所定の方向に並べて設けることができる。放熱フィン14は、板状を呈したものとすることができる。
【0018】
また、ソケット10には、孔10aと孔10bを設けることができる。孔10aの一方の端部は凹部11aの底面11a1に開口している。孔10aの内部には、保持部32を設けることができる。孔10bの一方の端部は、孔10aの他方の端部に接続されている。孔10bの他方の端部は、ソケット10の放熱フィン14側の端部に開口している。孔10bの内部には、複数の給電端子31の端部が露出している。孔10bには、シール部材105aを有するコネクタ105が挿入され、コネクタ105が複数の給電端子31の端部に嵌め合わされる。
【0019】
ソケット10は、発光モジュール20と給電部30を保持する機能と、発光モジュール20において発生した熱を外部に伝える機能を有することができる。そのため、ソケット10は、金属などの熱伝導率の高い材料から形成するのが好ましい。
また、近年においては、ソケット10は、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができ、且つ、軽量であることが望まれている。そのため、ソケット10は、高熱伝導性樹脂から形成することがさらに好ましい。高熱伝導性樹脂は、例えば、樹脂と無機材料を用いたフィラーを含む。高熱伝導性樹脂は、例えば、PET(Polyethylene terephthalate)やナイロン等の樹脂に、炭素や酸化アルミニウムなどを用いたフィラーを混合させたものとすることができる。
【0020】
高熱伝導性樹脂を含み、装着部11、バヨネット12、フランジ13、および放熱フィン14が一体に成形されたソケット10とすれば、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができる。また、ソケット10の重量を軽くすることができる。この場合、装着部11、バヨネット12、フランジ13、および放熱フィン14は、射出成形法などを用いて、一体成形することができる。また、インサート成形法などを用いて、ソケット10と給電部30を一体成形することもできる。
【0021】
給電部30は、複数の給電端子31および保持部32を有することができる。
複数の給電端子31は、ピン状体とすることができる。複数の給電端子31の、発光モジュール20側の端部は、配線パターン21aの出力端子21a1と入力端子21a2とに半田付けすることができる。複数の給電端子31の放熱フィン14側の端部は、孔10bの内部に露出することができる。給電端子31は、例えば、銅合金などの金属から形成することができる。なお、給電端子31の数、形状、配置、材料などは例示をしたものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0022】
前述したように、ソケット10は熱伝導率の高い材料から形成することが好ましい。ところが、熱伝導率の高い材料は導電性を有している場合がある。例えば、炭素を含むフィラーを用いた高熱伝導性樹脂などは、導電性を有している。そのため、保持部32は、給電端子31と、導電性を有するソケット10との間を絶縁するために設けることができる。また、保持部32は、複数の給電端子31を保持する機能をも有することができる。なお、ソケット10が絶縁性を有する高熱伝導性樹脂(例えば、酸化アルミニウムを用いたフィラーを含む高熱伝導性樹脂など)から形成される場合には、保持部32を省くことができる。この場合、ソケット10が複数の給電端子31を保持することができる。保持部32は、絶縁性を有する樹脂から形成することができる。保持部32は、例えば、ソケット10に設けられた孔10aに圧入したり、孔10aの内壁に接着したりすることができる。
【0023】
伝熱部40は、ソケット10と発光モジュール20との間に設けることができる。伝熱部40は、凹部11aの底面11a1に接着することができる。この場合、接着剤は、熱伝導率の高い接着剤とすることが好ましい。例えば、接着剤は、無機材料を用いたフィラーが混合された接着剤とすることができる。また、伝熱部40は、熱伝導グリス(放熱グリス)を含む層を介して、凹部11aの底面11a1に取り付けることもできる。熱伝導グリスは、例えば、変性シリコーンに、無機材料を用いたフィラーが混合されたものとすることができる。また、伝熱部40は、インサート成形法などを用いて、凹部11aの底面11a1に埋め込むこともできる。
【0024】
なお、発光モジュール20において発生する熱が少ない場合には、伝熱部40を省くこともできる。伝熱部40が省かれる場合には、例えば、発光モジュール20を凹部11aの底面11a1に接着することができる。
【0025】
発光モジュール20は、ソケット10の一方の端部側に設けることができる。
発光モジュール20は、基板21、発光素子22、ダイオード23、第1のトランジスタ24、負特性サーミスタ25、正特性サーミスタ26、第2のトランジスタ27、枠部29a、および封止部29bを有することができる。また、発光モジュール20は、後述する抵抗25a、抵抗25b、抵抗26a(第2の抵抗の一例に相当する)、抵抗27a、抵抗27b、およびコンデンサ28をさらに有することができる。これらの素子は、基板21に設けられた配線パターン21aに電気的に接続することができる。
【0026】
基板21は、例えば、伝熱部40の、凹部11aの底面11a1側とは反対側の面40aに接着することができる。基板21を伝熱部40に接着する接着剤は、伝熱部40を凹部11aの底面11a1に接着する接着剤と同じとすることができる。基板21は、例えば、セラミックス(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなど)などの無機材料、紙フェノールやガラスエポキシなどの有機材料などから形成することができる。また、基板21は、金属板の表面を絶縁性材料で被覆したものであってもよい。発光素子22の発熱量が多い場合には、放熱の観点から熱伝導率の高い材料を用いて基板21を形成することが好ましい。熱伝導率の高い材料としては、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス、高熱伝導性樹脂、金属板の表面を絶縁性材料で被覆したものなどを例示することができる。また、基板21は、単層構造を有するものであってもよいし、多層構造を有するものであってもよい。
【0027】
また、基板21の表面には、配線パターン21aを設けることができる。配線パターン21aは、例えば、銀を主成分とする材料から形成することもできるし、銅を主成分とする材料などから形成することもできる。
【0028】
発光素子22は、基板21の、伝熱部40側とは反対側に設けることができる。発光素子22は、少なくとも1つ設けることができる。
図1および
図2に例示をした車両用照明装置1の場合には、複数の発光素子22が設けられている。なお、複数の発光素子22が設けられる場合には、複数の発光素子22を直列接続することができる。
【0029】
発光素子22は、例えば、発光ダイオード、有機発光ダイオード、レーザダイオードなどとすることができる。
発光素子22は、例えば、チップ状の発光素子、表面実装型の発光素子、リード線を有する砲弾型の発光素子などとすることができる。ただし、発光モジュール20の小型化、ひいては車両用照明装置1の小型化を考慮すると、チップ状の発光素子とすることが好ましい。チップ状の発光素子22は、COB(Chip On Board)により実装することができる。チップ状の発光素子22は、例えば、上下型の発光素子、上部型の発光素子、フリップチップ型の発光素子などとすることができる。
図1に例示をした発光素子22は、上下型の発光素子である。
【0030】
図2に示すように、ダイオード23は、発光素子22と入力端子21a2との間に電気的に接続することができる。ダイオード23は、逆方向電圧が発光素子22に印加されないようにするため、および、逆方向からのパルスノイズが発光素子22に印加されないようにするために設けることができる。ダイオード23は、例えば、表面実装型のダイオードや、リード線を有するダイオードなどとすることができる。
図1に例示をしたダイオード23は、表面実装型のダイオードである。
【0031】
第1のトランジスタ24は、発光素子22と直列接続することができる。第1のトランジスタ24は、発光素子22に流れる電流の値、ひいては発光素子22から照射される光の全光束を制御することができる。第1のトランジスタ24は、電界効果トランジスタ(FET:Field effect transistor)とすることができる。第1のトランジスタ24のゲートは、負特性サーミスタ25と電気的に接続することができる。第1のトランジスタ24のソースは、発光素子22のカソードと電気的に接続することができる。第1のトランジスタ24のドレインは、正特性サーミスタ26と電気的に接続することができる。
【0032】
負特性サーミスタ25は、温度が上昇すると徐々に抵抗値が減少する。負特性サーミスタ25は、抵抗25aと直列接続することができる。抵抗25aは、負特性サーミスタ25の温度が上昇した際に、負特性サーミスタ25が設けられた部分の抵抗値が下がりすぎないようにするために設けることができる。すなわち、負特性サーミスタ25の抵抗値が小さくなった際に、負特性サーミスタ25に過電流が流れて負特性サーミスタ25が故障するのを防ぐために設けることができる。
なお、負特性サーミスタ25と並列接続された抵抗25bは、抵抗27aに流れる電流IRの、温度に対する変化率の調整のために設けることができる。
【0033】
正特性サーミスタ26は、温度がキュリー点(Curie Point)を超えると抵抗値が急激に増加する。正特性サーミスタ26は、第1のトランジスタ24を介して、発光素子22と直列接続することができる。発光素子22と正特性サーミスタ26は、基板21や配線パターン21aを介して熱的に接続されている。そのため、発光素子22の温度が上昇すると、正特性サーミスタ26の温度が上昇して、正特性サーミスタ26の抵抗値が上昇する。正特性サーミスタ26の抵抗値が上昇すると、発光素子22に流れる電流の値が小さくなるので、発光素子22の温度上昇を抑制することができる。そのため、発光素子22が故障したり、発光素子22の寿命が短くなったりするのを抑制することができる。
なお、正特性サーミスタ26と並列接続された抵抗26aは、正特性サーミスタ26の抵抗値のばらつきによる影響を軽減させるために設けることができる。
負特性サーミスタ25、正特性サーミスタ26、および抵抗26aの作用と効果に関する詳細は後述する(例えば、
図4(a)~
図7(d)を参照)。
【0034】
第2のトランジスタ27は、例えば、バイポーラトランジスタとすることができる。第2のトランジスタ27のコレクタは、第1のトランジスタ24のゲートと、負特性サーミスタ25に電気的に接続することができる。第2のトランジスタ27のベースは、第1のトランジスタ24のドレインと正特性サーミスタ26に電気的に接続することができる。第2のトランジスタ27のエミッタは、抵抗27aを介して、出力端子21a1に電気的に接続することができる。
【0035】
抵抗27aは、例えば、第2のトランジスタ27のベースとエミッタとの間の電圧VBEと、抵抗27aの両端電圧V27aとの和を嵩上げするために設けることができる。
なお、抵抗27bは、トランジスタ24のゲートが動作する電圧を確保するために設けることができる。また、抵抗27bの抵抗値は、抵抗25a、抵抗25b、負特性サーミスタ25の合成抵抗との分圧によりゲートが動作する閾値電圧より高くなるように設定される。
また、コンデンサ28は、例えば、ノイズ対策や電圧を平滑化させるために設けることができる。
【0036】
図1に示すように、枠部29aは、基板21の上に接着することができる。枠部29aは、枠状を呈するものとすることができる。枠部29aに囲まれた領域には、少なくとも1つの発光素子22を設けることができる。例えば、枠部29aは、複数の発光素子22を囲むことができる。
【0037】
なお、射出成形法などを用いて枠部29aを成形し、成形した枠部29aを基板21に接着する場合を例示したがこれに限定されるわけではない。枠部29aは、例えば、溶解した樹脂を、ディスペンサなどを用いて基板21の上に枠状に塗布し、これを硬化させることで形成することもできる。
また、枠部29aは、発光素子22から出射した光を反射するリフレクタの機能を有することもできる。
【0038】
なお、枠部29aは、省くこともできる。枠部29aが省かれる場合には、基板21の上にドーム状の封止部29bが形成される。ただし、枠部29aが設けられていれば、封止部29bの形成範囲を規定することができる。そのため、封止部29bの平面寸法が大きくなるのを抑制することができるので、基板21の小型化、ひいては車両用照明装置1の小型化を図ることができる。
【0039】
封止部29bは、枠部29aの内側に設けることができる。封止部29bは、枠部29aにより囲まれた領域を覆うことができる。封止部29bは、発光素子22を覆うことができる。封止部29bは、透光性を有する材料から形成することができる。封止部29bは、例えば、枠部29aにより囲まれた領域に樹脂を充填することで形成することができる。樹脂の充填は、例えば、ディスペンサなどを用いて行うことができる。充填する樹脂は、例えば、シリコーン樹脂などとすることができる。また、封止部29bには、蛍光体を含めることができる。蛍光体は、例えば、YAG系蛍光体(イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体)とすることができる。ただし、蛍光体の種類は、車両用照明装置1の用途などに応じて所定の発光色が得られるように適宜変更することができる。
【0040】
なお、表面実装型の発光素子や、砲弾型などのリード線を有する発光素子を用いる場合には、枠部29aおよび封止部29bを省くことができる。ただし、前述したように、基板21の小型化を考慮すると、発光素子22をチップ状の発光素子とし、枠部29aおよび封止部29bを設けることが好ましい。
【0041】
次に、負特性サーミスタ25、正特性サーミスタ26、および抵抗26aの作用と効果についてさらに説明する。
まず、比較例に係る発光モジュール120の作用について説明する。
図3は、比較例に係る発光モジュール120の回路図である。
図3に示すように、比較例に係る発光モジュール120には、負特性サーミスタ25および正特性サーミスタ26が設けられていない。
【0042】
発光素子22に電流IFが流れると、発光素子22から光が照射されるが、熱も発生する。発生した熱が基板21を介して第2のトランジスタ27に伝わると、第2のトランジスタ27の温度が上昇する。第2のトランジスタ27の温度が上昇すると、ベースとエミッタとの間の電圧VBEが低下する。電圧VBEが低下すると、発光素子22に流れる電流IFが小さくなる。
【0043】
例えば、第2のトランジスタ27の温度が25℃の場合には、電圧VBEが0.63V程度となる場合がある。第2のトランジスタ27の温度が100℃の場合には、電圧VBEが0.46V程度となる場合がある。抵抗26aの抵抗値を2Ωとすると、第2のトランジスタ27の温度が25℃の場合の電流IFは、0.315A程度となる。第2のトランジスタ27の温度が100℃の場合の電流IFは、0.23A程度となる。
【0044】
図4(a)は、発光モジュール120における基板温度と電流I
Fとの関係を例示するためのグラフ図である。
図4(b)は、車両用照明装置1において望まれている基板温度と電流I
Fとの関係を例示するためのグラフ図である。
【0045】
発光素子22の点灯により発生した熱で、基板21の温度は徐々に上昇する。基板21の温度が徐々に上昇すると、第2のトランジスタ27の温度が徐々に上昇するので、
図4(a)に示すように、発光素子22に流れる電流I
Fが徐々に減少する。そのため、車両用照明装置から照射される光の全光束が時間の経過とともに減少し、運転者などが違和感を感じる場合がある。
【0046】
例えば、
図4(b)に示すように、所定の時間が経過した後であっても、車両用照明装置から照射される光の全光束の減少が少なくなるようにすることが好ましい。なお、発光素子22の温度が高くなり過ぎると、発光素子22が故障したり、寿命が短くなったりするおそれがある。そのため、基板21の温度の温度が高くなり過ぎた場合(発光素子22の温度が高くなり過ぎた場合)には、
図4(b)に示すように、発光素子22に流れる電流I
Fを減らして、発光素子22の温度が高くなり過ぎるのを抑制することが好ましい。
【0047】
そこで、本実施の形態に係る発光モジュール20においては、負特性サーミスタ25を設けることで全光束の減少が少なくなるようにしている。また、正特性サーミスタ26を設けることで発光素子22の温度が高くなり過ぎるのを抑制している。
【0048】
図5(a)~(d)は、負特性サーミスタ25の作用を例示するためのグラフ図である。
基板21の温度が上昇すると負特性サーミスタ25の温度も上昇するので、負特性サーミスタである負特性サーミスタ25の抵抗値は温度の上昇とともに徐々に減少する。そのため、
図5(a)に示すように、負特性サーミスタ25と抵抗25aの合成抵抗値R1は、点灯時間が経過するにつれ徐々に低下する。なお、温度が上昇しても、抵抗25aの抵抗値はほぼ一定であるため、合成抵抗値R1の減少に制限を加えることができる。
【0049】
また、
図5(b)に示すように、抵抗27aに流れる電流I
Rは、合成抵抗値R1の減少とともに増加する。なお、前述したように、合成抵抗値R1の減少に制限が加えられるので、電流I
Rの増加にも制限を加えることができる。
【0050】
図5(c)に示すように、第2のトランジスタ27の温度が上昇すると、ベースとエミッタとの間の電圧V
BEが減少する。抵抗27aに流れる電流I
Rが増加すると、抵抗27bの両端の電圧V
Rが増加する。前述したように、電流I
Rの増加には制限があるので、電圧V
Rの増加に制限を加えることができる。
【0051】
そのため、電圧V
BEと電圧V
Rを足し合わせれば、互いの変化を相殺できるので、基板21の温度が上昇しても変化が少なくなるようにすることができる。
図5(d)に示すように、電圧V
BEと電圧V
Rの和の変化が少なければ、発光素子22に流れる電流I
Fの変化を少なくすることができる。
そのため、負特性サーミスタ25を設ければ、点灯時間の経過とともに、全光束が減少するのを抑制することができる。
【0052】
図6(a)~(d)は、正特性サーミスタ26の作用を例示するためのグラフ図である。
負特性サーミスタ25を用いた制御を行うと、
図6(a)に示すように、発光素子22のジャンクション温度T
jが定格値を超える場合がある。ジャンクション温度T
jが定格値を超えると発光素子22が故障したり、寿命が短くなったりするおそれがある。
【0053】
基板21の温度が高くなり、正特性サーミスタ26の温度がキュリー点を超えた際には、抵抗値が急激に増加する。この場合、
図6(b)に示すように、正特性サーミスタ26と抵抗26aの合成抵抗値R2も、キュリー点を超えた際に急激に増加する。
【0054】
合成抵抗値R2が急激に増加すれば、
図6(c)に示すように、発光素子22の温度が高くなり過ぎた際に、発光素子22に流れる電流I
Fを急激に減らすことができる。そのため、
図6(d)に示すように、発光素子22のジャンクション温度T
jが定格値を超えるのを抑制することができる。
【0055】
すなわち、正特性サーミスタ26が設けられていれば、発光素子22の温度が高くなり過ぎるのを抑制することができる。そのため、発光素子22が故障したり、寿命が短くなったりするのを抑制することができる。
【0056】
図7(a)~(d)は、抵抗26aの作用を例示するためのグラフ図である。
正特性サーミスタ26の抵抗値には、±20%程度のばらつきがある。そのため、抵抗26aの抵抗値が一定であるとすると、
図7(a)に示すように、正特性サーミスタ26と抵抗26aの合成抵抗値R2もばらつくことになる。合成抵抗値R2がばらつくと、発光素子22から照射される光の全光束がばらつくことになる。また、発光素子22のジャンクション温度T
jが定格値を超えるおそれがある。
【0057】
そこで、
図7(b)に示すように、合成抵抗値R2が所定の範囲内となるように、正特性サーミスタ26の抵抗値に応じて、抵抗26aの抵抗値を変化させることができる。
合成抵抗値R2が所定の範囲内となれば、
図7(c)に示すように、発光素子22に流れる電流I
Fのばらつきを抑制することができる。その結果、発光素子22から照射される光の全光束がばらつくのを抑制することができる。また、
図7(d)に示すように、発光素子22のジャンクション温度T
jが定格値を超えるのを抑制することができる。
【0058】
抵抗26aは、例えば、可変抵抗とすることができる。また、抵抗26aを膜状の抵抗器とし、膜状の抵抗器の一部を切除することで抵抗値を増加させることができる。膜状の抵抗器は、例えば、酸化ルテニウムなどを含むものとすることができる。膜状の抵抗器にレーザを照射することで、抵抗器の一部を切除することができる。すなわち、抵抗26aは、膜状を呈し、スリット26a1を有することができる。
また、正特性サーミスタ26の抵抗値に応じて適切な抵抗値を有する抵抗器を選択するようにしてもよい。この場合、抵抗器は、表面実装型の抵抗器とすることもできるし、リード線を有する抵抗器とすることもできる。
すなわち、抵抗26aは、正特性サーミスタ26に並列接続され、常温時(例えば、25℃)における正特性サーミスタ26の抵抗値のばらつきに応じて、抵抗値を変化可能なものとすればよい。
【0059】
以上に説明した様に、本実施の形態に係る車両用照明装置1とすれば、発光素子22の保護を図ることができ、且つ、温度変化に伴う全光束の変動を抑制することができる。
【0060】
図8は、他の実施形態に係る車両用照明装置1aに設けられた発光モジュール20aを例示するための回路図である。
図9(a)~(d)は、直列接続された正特性サーミスタ26と負特性サーミスタ25の作用と効果を例示するためのグラフ図である。
前述した発光モジュール20と同様に、発光モジュール20aは、基板21、発光素子22、ダイオード23、第1のトランジスタ24、負特性サーミスタ25、正特性サーミスタ26、第2のトランジスタ27、枠部29a、および封止部29bを有することができる。また、発光モジュール20は、抵抗25a、抵抗25b、抵抗26b、抵抗27a、抵抗27b、およびコンデンサ28をさらに有することができる。これらの素子は、基板21に設けられた配線パターン21aに電気的に接続することができる。
【0061】
前述した発光モジュール20においては、正特性サーミスタ26は抵抗26aと並列に接続されていた。本実施の形態に係る発光モジュール20aにおいては、
図8に示すように、正特性サーミスタ26は負特性サーミスタ25と直列接続されている。この場合、入力端子21a2の側に負特性サーミスタ25が電気的に接続されていてもよいし、入力端子21a2の側に正特性サーミスタ26が電気的に接続されていてもよい。
発光モジュール20aにおいては、第2のトランジスタ27のコレクタが、第1のトランジスタ24のゲートと、負特性サーミスタ25または正特性サーミスタ25に電気的に接続される。第2のトランジスタ27のベースが、第1のトランジスタ24のドレインに電気的に接続される。第2のトランジスタ27のエミッタが、出力端子21a1に電気的に接続される。
【0062】
前述したように、負特性サーミスタ25の抵抗値は温度の上昇とともに徐々に減少する。一方、正特性サーミスタ26の抵抗値は、温度がキュリー点を超えた際に急激に増加する。そのため、
図9(a)に示すように、負特性サーミスタ25、正特性サーミスタ26、および抵抗25aの合成抵抗値R3は、基板21の温度が比較的低い場合には、負特性サーミスタ25の抵抗値の減少に伴い徐々に減少する。なお、発光モジュール20aにも抵抗25aが設けられているので、合成抵抗値R3の減少に制限を加えることができる。一方、正特性サーミスタ26の温度がキュリー点を超えた場合には、正特性サーミスタ26の抵抗値の急激な増加に伴い、合成抵抗値R3が急激に増加する。
【0063】
図9(b)に示すように、抵抗27aに流れる電流I
Rは、合成抵抗値R3の変化に応じて変化する。なお、合成抵抗値R3の減少に制限が加えられるので、電流I
Rの増加にも制限を加えることができる。
【0064】
前述したものと同様に、ベースとエミッタとの間の電圧V
BEと抵抗27aの両端の電圧V
Rを足し合わせれば、互いの変化を相殺できるので、基板21の温度が比較的低い場合には、
図9(c)に示すように、発光素子22に流れる電流I
Fの変化を少なくすることができる。
【0065】
一方、基板21の温度が高くなり、正特性サーミスタ26の温度がキュリー点を超えた際には、
図9(c)に示すように、発光素子22に流れる電流I
Fを急激に減らすことができる。そのため、
図9(d)に示すように、発光素子22のジャンクション温度T
jが定格値を超えるのを抑制することができる。
【0066】
ここで、抵抗25aの抵抗値は、例えば、2.2kΩ程度とすることができる。抵抗25aの抵抗値は、温度が上昇してもほぼ一定である。
基板21の温度が比較的低い場合には、負特性サーミスタ25の抵抗値は、正特性サーミスタ26の抵抗値に比べて非常に大きくなる。例えば、温度が80℃程度であれば、負特性サーミスタ25の抵抗値は10kΩ程度となり、正特性サーミスタ26の抵抗値は470Ω程度となる。抵抗25aの抵抗値および負特性サーミスタ25の抵抗値は、正特性サーミスタ26の抵抗値に比べて非常に大きくなるので、正特性サーミスタ26の抵抗値がばらついたとしても、合成抵抗値R3のばらつきは極めて小さくなる。例えば、仮に、正特性サーミスタ26の抵抗値が±50%程度ばらついたとしても、合成抵抗値R3のばらつきは±2%程度にすることができる。
【0067】
これに対して、基板21の温度が高い場合には、正特性サーミスタ26の抵抗値が、負特性サーミスタ25の抵抗値に比べて非常に大きくなる。正特性サーミスタ26の抵抗値がばらつくと、合成抵抗値R3のばらつきが大きくなるが、抵抗25aの抵抗値が大きいため、その影響を軽減させることができる。また、基板21の温度が高い場合には、発光素子22の保護を図るために、発光素子22に流れる電流IFを急激に減らすことが好ましい。そのため、合成抵抗値R3のばらつきが大きくなることで、電流IFのばらつき、ひいては全光束のばらつきが大きくなったとしても問題は無い。
【0068】
本実施の形態に係る発光モジュール20aとすれば、発光素子22の保護を図ることができ、且つ、温度変化に伴う全光束の変動を抑制することができる。またさらに、前述した抵抗26aを省略することも可能となる。
【0069】
図10は、他の実施形態に係る車両用照明装置1bに設けられた発光モジュール20bを例示するための回路図である。
図11(a)~(d)は、正特性サーミスタ26に直列接続された抵抗26c(第1の抵抗の一例に相当する)の作用と効果を例示するためのグラフ図である。
【0070】
図10に示すように、発光モジュール20bは、発光モジュール20aに抵抗26cをさらに設けた場合である。抵抗26cは、正特性サーミスタ26と直列接続することができる。前述したように、正特性サーミスタ26と負特性サーミスタ25を直列接続すれば、正特性サーミスタ26の抵抗値のばらつきによる影響を軽減することができる。ただし、正特性サーミスタ26の抵抗値が±50%程度ばらつくと、
図9(a)~(d)に例示をした様に、合成抵抗値R3、抵抗27aに流れる電流I
R、発光素子22のジャンクション温度T
jが、例えば、2%程度ばらつく場合がある。
【0071】
この場合、正特性サーミスタ26に抵抗26cを直列接続し、正特性サーミスタ26の抵抗値に応じて、抵抗26cの抵抗値を変化させれば、合成抵抗値が所定の範囲内となるようにすることができる。その結果、
図11(a)に示すように、負特性サーミスタ25、正特性サーミスタ26、抵抗25a、および抵抗26cの合成抵抗値R4のばらつきを小さくすることができる。
図11(b)に示すように、抵抗27aに流れる電流I
Rのばらつきを小さくすることができる。
図11(c)に示すように、発光素子22に流れる電流I
Fのばらつきを小さくすることができる。
図11(d)に示すように、発光素子22のジャンクション温度T
jのばらつきを小さくすることができる。
【0072】
抵抗26cは、正特性サーミスタ26と直列接続され、常温時(例えば、25℃)における正特性サーミスタ26の抵抗値のばらつきに応じて、抵抗値を変化可能なものとすることができる。抵抗26cは、例えば、前述した抵抗26aと同様とすることができる。 前述した抵抗26aと同様に、抵抗26cは、膜状を呈し、スリットを有することができる。
【0073】
(車両用灯具)
次に、車両用灯具100について例示する。
なお、以下においては、一例として、車両用灯具100が自動車に設けられるフロントコンビネーションライトである場合を説明する。ただし、車両用灯具100は、自動車に設けられるフロントコンビネーションライトに限定されるわけではない。車両用灯具100は、自動車や鉄道車両などに設けられる車両用灯具であればよい。
【0074】
図12は、車両用灯具100を例示するための模式部分断面図である。
図12に示すように、車両用灯具100には、車両用照明装置1(1a、1b)、筐体101、カバー102、光学要素103、シール部材104、およびコネクタ105を設けることができる。
【0075】
筐体101には車両用照明装置1(1a、1b)を取り付けることができる。筐体101は、装着部11を保持することができる。筐体101は、一方の端部側が開口した箱状を呈したものとすることができる。筐体101は、例えば、光を透過しない樹脂などから形成することができる。筐体101の底面には、装着部11のバヨネット12が設けられた部分が挿入される取付孔101aを設けることができる。取付孔101aの周縁には、装着部11に設けられたバヨネット12が挿入される凹部を設けることができる。なお、筐体101に取付孔101aが直接設けられる場合を例示したが、取付孔101aを有する取付部材が筐体101に設けられていてもよい。
【0076】
車両用照明装置1(1a、1b)を車両用灯具100に取り付ける際には、装着部11のバヨネット12が設けられた部分を取付孔101aに挿入し、車両用照明装置1(1a、1b)を回転させる。すると、取付孔101aの周縁に設けられた凹部にバヨネット12が保持される。この様な取り付け方法は、ツイストロックと呼ばれている。
【0077】
カバー102は、筐体101の開口を塞ぐようにして設けることができる。カバー102は、透光性を有する樹脂などから形成することができる。カバー102は、レンズなどの機能を有するものとすることもできる。
【0078】
光学要素部103には、車両用照明装置1(1a、1b)から出射した光が入射する。光学要素部103は、車両用照明装置1(1a、1b)から出射した光の反射、拡散、導光、集光、所定の配光パターンの形成などを行うことができる。例えば、
図12に例示をした光学要素部103はリフレクタである。この場合、光学要素部103は、車両用照明装置1(1a、1b)から出射した光を反射して、所定の配光パターンが形成されるようにすることができる。
【0079】
シール部材104は、フランジ13と筐体101の間に設けることができる。シール部材104は、環状を呈するものとすることができる。シール部材104は、ゴムやシリコーン樹脂などの弾性を有する材料から形成することができる。
【0080】
車両用照明装置1(1a、1b)が車両用灯具100に取り付けられた際には、シール部材104は、フランジ13と筐体101との間に挟まれる。そのため、シール部材104により、筐体101の内部空間を密閉することができる。また、シール部材104の弾性力により、バヨネット12が筐体101に押し付けられる。そのため、車両用照明装置1(1a、1b)が、筐体101から脱離するのを抑制することができる。
【0081】
コネクタ105は、孔10bの内部に露出している複数の給電端子31の端部に嵌め合わせることができる。コネクタ105には、図示しない電源などを電気的に接続することができる。そのため、コネクタ105を複数の給電端子31の端部に嵌め合わせることで、図示しない電源などと、発光素子22とを電気的に接続することができる。
【0082】
また、コネクタ105には、シール部材105aを設けることができる。シール部材105aを有するコネクタ105が孔10bに挿入された際には、孔10bが水密となるように密閉される。シール部材105aは、環状を呈し、ゴムやシリコーン樹脂などの弾性を有する材料から形成することができる。
【0083】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 車両用照明装置、1a 車両用照明装置、1b 車両用照明装置、10 ソケット、20 発光モジュール、20a 発光モジュール、20b 発光モジュール、21 基板、21a1 出力端子、22 発光素子、24 第1のトランジスタ、25 負特性サーミスタ、26 正特性サーミスタ、26a 抵抗、26a1 スリット、26c 抵抗、27 第2のトランジスタ、100 車両用灯具、101 筐体