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特許7304019データ出力コンピュータ、データ出力システム、データ出力方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-28
(45)【発行日】2023-07-06
(54)【発明の名称】データ出力コンピュータ、データ出力システム、データ出力方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/28 20190101AFI20230629BHJP
【FI】
G06F16/28
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021182242
(22)【出願日】2021-11-09
(65)【公開番号】P2023079234
(43)【公開日】2023-06-08
【審査請求日】2022-01-24
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】397038266
【氏名又は名称】株式会社スカイコム
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】上野 恵梨
(72)【発明者】
【氏名】柴田 信彦
【合議体】
【審判長】中野 裕二
【審判官】▲吉▼田 耕一
【審判官】富澤 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-66857(JP,A)
【文献】特開2007-310432(JP,A)
【文献】特開2008-33764(JP,A)
【文献】特開2007-288349(JP,A)
【文献】特開2000-181651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J29/00-29/70
G06F3/09-3/12
H04N1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の第1対象データと、第2対象データとを一の出力媒体に纏めて出力するデータ出力システムであって、
前記第1対象データの出力指示を行う第1出力指示部と、
前記第1対象データの出力指示を行った後に、同じ出力媒体に対して、前記第2対象データの出力指示を配置情報と共に行う第2出力指示部と
前記第1対象データの出力指示と前記第2対象データの出力指示を受け取り、前記第1対象データと、前記第2対象データと、前記配置情報とに基づいて、前記第1対象データと前記第2対象データとが統合されたデータ出力結果を出力する出力部と、を備え、
前記配置情報は、前記第1対象データと前記第2対象データを統合するための座標系を含み、
前記出力部は、前記データ出力結果を出力する際、システムリソース上に中間ファイルを生成せず、
前記第2出力指示部は、前記第1対象データ及び前記第2対象データがドキュメントである場合、前記第2対象データのドキュメントから当該ドキュメントを構成するすべての出力要素各々の前記配置情報を抽出し、前記第1対象データの出力指示を行った後に、同じ出力媒体に対して、前記第2対象データの出力指示を、抽出した前記配置情報と共に行うデータ出力システム。
【請求項2】
ユーザから前記第2対象データの一部の入力を受け付けて、前記第1対象データと同じ出力対象に対して、前記第2対象データの一部の出力指示を出力装置に行う請求項1に記載のデータ出力システム。
【請求項3】
前記座標系は、前記第2対象データの各データを前記第1対象データのどの位置に統合するかを示すユーザ空間の座標系であり、
前記第2出力指示部は、前記配置情報のユーザ空間の座標系をデバイス空間の座標系に変換し、前記第2対象データの出力指示を変換された前記配置情報と共に行う請求項1に記載のデータ出力システム。
【請求項4】
所定の第1対象データと、第2対象データとを一の出力媒体に纏めて出力するデータ出力方法であって、
前記第1対象データの出力指示を行う第1出力指示ステップと、
前記第1対象データの出力指示を行った後に、同じ出力媒体に対して、前記第2対象データの出力指示を配置情報と共に行う第2出力指示ステップと
前記第1対象データの出力指示と前記第2対象データの出力指示を受け取り、前記第1対象データと、前記第2対象データと、前記配置情報とに基づいて、前記第1対象データと前記第2対象データとが統合されたデータ出力結果を出力する出力ステップと、を備え、
前記配置情報は、前記第1対象データと前記第2対象データを統合するための座標系を含み、
前記出力ステップは、前記データ出力結果を出力する際、システムリソース上に中間ファイルを生成せず、
前記第2出力指示ステップは、前記第1対象データ及び前記第2対象データがドキュメントである場合、前記第2対象データのドキュメントから当該ドキュメントを構成するすべての出力要素各々の前記配置情報を抽出し、前記第1対象データの出力指示を行った後に、同じ出力媒体に対して、前記第2対象データの出力指示を、抽出した前記配置情報と共に行うデータ出力方法。
【請求項5】
コンピュータシステムに、
第1対象データの出力指示を行う第1出力指示ステップ、
前記第1対象データの出力指示を行った後に、同じ出力媒体に対して、第2対象データの出力指示を配置情報と共に行う第2出力指示ステップ
前記第1対象データの出力指示と前記第2対象データの出力指示を受け取り、前記第1対象データと、前記第2対象データと、前記配置情報とに基づいて、前記第1対象データと前記第2対象データとが統合されたデータ出力結果を出力する出力ステップ、
を実行させ
前記配置情報は、前記第1対象データと前記第2対象データを統合するための座標系を含み、
前記出力ステップは、前記データ出力結果を出力する際、システムリソース上に中間ファイルを生成せず、
前記第2出力指示ステップは、前記第1対象データ及び前記第2対象データがドキュメントである場合、前記第2対象データのドキュメントから当該ドキュメントを構成するすべての出力要素各々の前記配置情報を抽出し、前記第1対象データの出力指示を行った後に、同じ出力媒体に対して、前記第2対象データの出力指示を、抽出した前記配置情報と共に行うコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ出力システム、データ出力方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の書類を印刷機や画面等に出力する際には、印刷される対象を統合して、1枚ずつ印刷する方法(バリアブル印刷)が知られている。例えば、銀行の帳票などに、住所や名称等を所定の欄に差し入れて印刷する際に、帳票のフォーマットと各個人の住所を統合したデータを生成して、印刷機や画面等に出力を行っている。
【0003】
バリアブル印刷の具体的な方法としては、定型の雛形(テンプレート)と宛先の名前や住所などの情報レコードを、ディスプレイリストと呼ばれる中間ファイルに1レコードずつ統合して生成し、この中間ファイルを出力装置が解釈をして出力することが知られている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-88104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示されたようなこの方法では、出力する枚数が多い場合や画像等の容量が大きいデータを統合して出力する場合等では、中間ファイルを生成する量が多く、メモリを大量に消費し、出力スピードが落ちてしまい、印刷機や画面等に出力するのに時間がかかってしまう。
【0006】
発明者は、この中間ファイルの作成を省略することによって、時間をかけずにデータを大量に出力することが可能な方法に着目した。本発明は、これらの課題に鑑み、大量のデータを出力する場合であっても、システムリソースを大量に消費することなく、データを出力することが可能なデータ出力システム、データ出力方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0008】
第1の特徴に係る発明は、
所定の第1対象データと、第2対象データとを一の出力媒体に纏めて出力するデータ出力システムであって、
前記第1対象データの出力指示を行う第1出力指示部と、
前記第1対象データの出力指示を行った後に、同じ出力媒体に対して、前記第2対象データの出力指示を配置情報と共に行う第2出力指示部と
前記第1対象データの出力指示と前記第2対象データの出力指示を受け取り、前記第1対象データと、前記第2対象データと、前記配置情報とに基づいて、前記第1対象データと前記第2対象データとが統合されたデータ出力結果を出力する出力部と、を備え、
前記配置情報は、前記第1対象データと前記第2対象データを統合するための座標系を含み、
前記出力部は、前記データ出力結果を出力する際、システムリソース上に中間ファイルを生成せず、
前記第2出力指示部は、前記第1対象データ及び前記第2対象データがドキュメントである場合、前記第2対象データのドキュメントから当該ドキュメントを構成するすべての出力要素各々の前記配置情報を抽出し、前記第1対象データの出力指示を行った後に、同じ出力媒体に対して、前記第2対象データの出力指示を、抽出した前記配置情報と共に行うデータ出力システムを提供する。
【0009】
第1の特徴に係る発明によれば、第1対象データの出力指示を行ってから、第2対象データの配置情報と共に出力指示を行うことから、システム内で第1対象データと第2対象データの統合を行うことがないため、これらデータの出力のためにシステムリソースを節約することができ、出力時間を短縮することが可能である。
【0011】
さらに、第1対象データや第2対象データがドキュメントであったとしても、第2対象データのドキュメントから配置情報を抽出することから、システムに配置情報を保持する必要がなく、システムリソースを節約することが可能である。
【0012】
本発明は、コンピュータシステムのカテゴリであるが、データ出力方法及びプログラム等の他のカテゴリにおいても、そのカテゴリに応じた同様の作用・効果を発揮する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、大量のデータを印刷する場合であっても、メモリを大量に消費することなく、出力を行うことが可能なデータ出力システム、データ出力方法及びプログラムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の第1実施形態のデータ出力システム1の概要を説明するための図である。
図2図2は、本発明の第1および第2実施形態であるデータ出力システム1の構成図である。
図3図3は、本発明の第1および第2実施形態におけるコンピュータ2が実行するデータ出力処理のフローチャートである。
図4図4は、本発明の第1実施形態における第1対象データ100の一例を示す図である。
図5図5は、本発明の第1実施形態における第2対象データ200の一例を示す図である。
図6図6は、本発明の第1実施形態における配置情報300の一例を示す図である。
図7図7は、本発明の第1実施形態において出力装置3に出力されたデータ出力結果400の一例を示す図である。
図8図8は、本発明の第1実施形態のデータ出力システム1の一部の出力について説明するための図である。
図9図9は、本発明の第2の実施形態であるデータ出力システム1の概要を説明するための図である。
図10図10は、本発明の第2実施形態におけるコンピュータ2が実行するデータ出力処理のフローチャートである。
図11図11は、本発明の第2実施形態における第1対象データ100の一例を示す図である。
図12図12は、本発明の第2実施形態における第2対象データ200の一例を示す図である。
図13図13は、本発明の第2実施形態における配置情報300の一例を示す図である。
図14図14は、本発明の第2実施形態において出力装置3に出力されたデータ出力結果400の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0016】
[第1実施形態の概要]
本発明の第1実施形態について、図1に基づいて説明する。図1は、第1実施形態のデータ出力システム1の概要を説明するための図である。データ出力システム1は、コンピュータ2、出力装置3、通信網4から構成され、データ出力を利用するためのコンピュータシステムである。
【0017】
なお、データ出力システム1は、その他の端末や装置類等が含まれていてもよい。例えば、ユーザ毎に別のコンピュータ2や出力装置3を利用してもよく、この場合、データ出力システム1は、後述する各処理を、コンピュータ2、出力装置3と、その他の含まれる端末や装置類等との何れか又は複数の組合せにより実行することになる。
【0018】
また、データ出力システム1のコンピュータ2は、例えば、1台の端末装置で実現されてもよいし、複数の端末装置で実現されてもよいし、クラウドコンピュータのように仮想的な装置で実現されてもよい。
【0019】
コンピュータ2は、例えば、デスクトップパソコンやノートパソコンやサーバ等のコンピュータ、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末、スマートグラス等のヘッドマウントディスプレイやスマートウォッチといったウェアラブル端末等である。
【0020】
出力装置3は、例えば、デスクトップパソコンやノートパソコンやサーバ等のコンピュータ、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末、スマートグラス等のヘッドマウントディスプレイやスマートウォッチといったウェアラブル端末等、レーザープリンタやインクジェットプリンタやPSプリンタ等のプリンタである。
【0021】
コンピュータ2と出力装置3は、通信網4を介して、データ通信可能に接続されており、必要なデータや情報の送受信を実行する。通信網4は、コンピュータ2と出力装置3間の通信を可能とするインターネット等のネットワークである。
【0022】
図4は、本実施形態のデータ出力システム1における第1対象データ100の一例を示す図である。第1対象データ100は、文書等の雛形となるデータであり、図4に示す例に限らず、伝票、帳票、宛名ラベル、はがきなどの各種雛形のデータであってよい。図中、フィールド1001~1004には、後述する第2対象データの出力フィールドである。
【0023】
図5は、本実施形態における第2対象データ200の一例を示す図である。第2対象データ200は、第1対象データ100の雛形と統合出力させるデータのことである。本実施形態の例では、第2対象データ200には、「データ番号」と、「社員番号」、「名前」、「所属」、「写真」が関連付けれ、「写真」は「写真画像」のファイル名である。「写真画像」は「データ番号」に関連付けられてもよく、この場合は「写真画像データ」のファイル名である「写真」は含めなくてもよい。「社員番号」は図4に示すフィールと1002に、「名前」は図4に示すフィールド1003に、「所属」は図4に示すフィールド1004に、「写真画像」はフィールド1001に統合出力される。なお、第2対象データは図5に示す例に限らず、各種雛形に統合するデータであってよい。
【0024】
図6は、本実施形態における配置情報300の一例を示す。配置情報300は、第2対象データ200に関連付けられ、第2対象データ200の各データを第1対象データ100のどの位置に統合するかを座標系で示したものである。座標系はユーザ空間であり、第2対象データを統合する第1対象データ出力領域の左上隅を原点とするX座標とY座標で示す。図6に示配置情報300の例の場合、「社員番号」の座標は、図4に示す第1対象データのフィールド1002内の位置を示し、「名前」の座標は、図4に示す第1対象データのフィールド1003内の位置を示し、「所属」の座標は、図4に示す第1対象データのフィールド1004内の位置座標を示し、「写真」の座標は、図4に示す第1対象データのフィールド1001内の位置座標を示す。
【0025】
図1に戻り、本実施形態のデータ出力システム1が実行する処理の概要について説明する。データ出力システム1は、まずデータ出力要求の入力を受け付ける(ステップS11)。具体的には、出力対象データの入力をコンピュータ2が受け付ける。出力対象データとは、伝票、帳票、宛名ラベル、はがきなどの文書データである。データ出力要求の入力は、コンピュータ2に直接受け付けてもよいし、通信網4に接続される他の端末等から通信網4を介してコンピュータ2が受信することによって受け付けてもよい。
【0026】
次に、データ出力システム1は、受け付けたデータ出力要求に基づき、出力対象の特定のデータを構成する第1対象データ100と、第2対象データ200とを取得する(ステップS12)。具体的には、受け付けた入力から出力対象データを特定し、特定した文書の雛形としての第1対象データ100と、雛形に統合出力させるデータとしての第2対象データを取得する。この際、コンピュータ2は、コンピュータ2の記憶部に保存される第1対象データ100と第2対象データ200を読み出してもよいし、外部メディアから通信部4を介して第1対象データ100と第2対象データ200を取得してもよい。
【0027】
次に、データ出力システム1は、出力装置3に第1対象データ100の出力指示を行う(ステップS13)。第1対象データの出力指示として、具体的には、ステップS12で取得した第1対象データ100を、データ出力として第1対象データ100を出力装置3に送信する。出力装置3への印刷指示に使用する印刷プロトコルやアプリケーションプログラムインターフェース(API)は、本発明では特に限定されるものではない。
【0028】
次に、データ出力システム1は、第2対象データ200の出力指示を行う(ステップS14)。第2対象データの出力指示として、具体的には、ステップS12で取得した第2対象データ200に関連付けられる配置情報300を取得し、第2対象データ200とともにデータ出力として出力装置3に送信する。この際、コンピュータ2は、コンピュータ2の記憶部に保存される配置情報300を読み出してもよいし、外部メディアや通信部を介して配置情報300を取得してもよい。ステップS13同様、出力装置3への印刷指示に使用する印刷プロトコルやアプリケーションプログラムインターフェース(API)は、本発明では特に限定されるものではない。
【0029】
ステップS13~S14の処理の結果、出力指示を受信した出力装置3により、第1対象データ100と、第2対象データ200と、配置情報300に基づいて、第1対象データ100と第2対象データが統合されたデータ出力結果400が出力される。図7は本実施形態において出力装置3に出力されたデータ出力結果400の一例を示す。本実施形態では、データ出力結果400は、出力装置3から出力しているが、コンピュータ2自身から出力してもよい。尚、データ出力結果400の出力先については、本発明では特に限定されるものではない。
【0030】
このように、第1対象データ100の出力指示を行ってから、第2対象データ200を配置情報300と共に出力指示を行うことから、システムリソースを使用して第1対象データ100と第2対象データ200を統合した中間ファイルを生成することがないため、大量のデータを出力する場合であっても、システムリソースを節約することができ、出力時間を短縮することが可能である。
【0031】
また、データ出力システム1は、データ出力システム1のユーザから第2対象データ200の一部の入力を受け付けて、第1対象データ100と同じ出力対象に対して、第2対象データ200の一部の出力指示を出力装置3に行ってもよい。例えば、図8に示すように、ユーザから第2対象データ200の「佐藤」のみについてデータ出力要求の入力を受け付けて出力データを取得し、第1対象データ100と同じ出力対象に対して、「佐藤」のみについて第2対象データ200の出力指示が行われている。これにより、第1対象データ100と第2対象データ200の「佐藤」のみが統合された出力結果300が得られる。この例では、第2対象データ200の1つデータに対して出力指示が行われているが、本発明では、出力指示を行う第2対象データ200の数は限定されない。
【0032】
このように、ユーザからの第2対象データ200の一部の出力要求を受け付けて、第1対象データ100と同じ出力対象に対して、第2対象データ200の一部の出力指示を出力装置3に行うことによって、ユーザは、所望とする一部の第2対象データ200が第1対象データ100に統合された出力結果300を得ることが可能である。
【0033】
以上が、データ出力システム1が実行する処理の概要である。
【0034】
[データ出力システム1のシステム構成]
図2に基づいて、本発明の好適な実施形態であるデータ出力システム1のシステム構成について説明する。図2は、本発明の好適な実施形態であるデータ出力システム1のシステム構成を示す図である。図2において、データ出力システム1は、コンピュータ2、出力装置3、通信網4から構成され、データ出力に利用するためのコンピュータシステムである。
【0035】
なお、データ出力システム1は、その他の端末や装置類等が含まれていてもよい。例えば、ユーザ毎に別のコンピュータ2や出力装置3を利用してもよく、この場合、データ出力システム1は、後述する各処理を、コンピュータ2、出力装置3と、その他の含まれる端末や装置類等との何れか又は複数の組合せにより実行することになる。
【0036】
また、データ出力システム1のコンピュータ2は、例えば、1台の端末装置で実現されてもよいし、複数の端末装置で実現されてもよいし、クラウドコンピュータのように仮想的な装置で実現されてもよい。
【0037】
コンピュータ2は、例えば、デスクトップパソコンやノートパソコンやサーバ等のコンピュータ、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末、スマートグラス等のヘッドマウントディスプレイやスマートウォッチといったウェアラブル端末等である。
【0038】
出力装置3は、例えば、デスクトップパソコンやノートパソコンやサーバ等のコンピュータ、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末、スマートグラス等のヘッドマウントディスプレイやスマートウォッチといったウェアラブル端末等、レーザープリンタやインクジェットプリンタやPSプリンタ等のプリンタである。
【0039】
コンピュータ2は、制御部210として、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備える。制御部210は、入力部220、記憶部240、通信部230と協働してデータ出力要求受付モジュール221を実現する。また、制御部210は、記憶部240と協働して出力データ取得モジュール222を実現する。また、制御部210は、通信部230、出力部250と協働して、第1対象データ出力指示モジュール223、第2対象データ出力指示モジュール224を実現する。
【0040】
コンピュータ2は、入力部220として、コンピュータ2を操作するために必要な機能を備えるものとする。入力を実現するための例として、タッチパネル機能を実現する液晶ディスプレイ、キーボード、マウス、ペンタブレット、装置上のハードウェアボタン、音声認識を行うためのマイク等を備えることが可能である。入力方法により、本発明は特に機能を限定されるものではない。
【0041】
コンピュータ2は、通信部230として、出力装置3と、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイスを備える。通信方式は、無線であっても有線であってもよい。
【0042】
コンピュータ2は、記憶部240として、ハードディスクや半導体メモリ、記録媒体、メモリカード等によるデータのストレージを備える。データの保存先は、クラウドサービスやデータベース等であってもよい。
【0043】
コンピュータ2は、出力部250として、印刷指示を出力するために必要な機能を備えるものとする。出力を実現するための例として、液晶ディスプレイ、PCのディスプレイ、プロジェクターへの投影等の表示等の形態が考えられる。出力方法により、本発明は特に機能を限定されるものではない。
【0044】
出力装置3は、制御部310として、CPU、GPU、RAM、ROM等を備える。
【0045】
出力装置3は、記憶部320として、ハードディスクや半導体メモリ、記録媒体、メモリカード等によるデータのストレージを備える。
【0046】
出力装置3は、通信部330として、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイスを備える。通信方式は、無線であっても有線であってもよい。
【0047】
出力装置3は、出力部340として、コンピュータ2からの印刷指示を出力するために必要な機能を備えるものとする。出力部340で出力を実現するための例として、液晶ディスプレイ、PCのディスプレイ、プロジェクターへの投影等の表示とプリンタからの印字の形態が考えられる。出力方法により、本発明は特に機能を限定されるものではない。
【0048】
通信網4は、コンピュータ2と出力装置3との間の通信を可能とするインターネット等のネットワークである。その他の端末や装置類等が存在する場合には、それらとの間の通信も可能としてよい。
【0049】
[データ出力指示処理]
図3に基づいて、データ出力システム1が実行するデータ出力指示処理について説明する。図3は、データ出力システム1が実行するデータ出力指示処理のフローチャートを示す図である。上述した各モジュールが実行する処理について、本処理に併せて説明する。
【0050】
コンピュータ2のデータ出力要求受付モジュール221は、まずデータ出力要求の入力を受け付ける(ステップS110)。具体的には、コンピュータ2のデータ出力要求受付モジュール221が出力対象の文書データの入力を受け付ける。例えば、データ出力システム1のユーザが、コンピュータ2の入力220に出力対象の文書を特定して直接入力する。データ出力システム1のユーザが、通信網4に接続されるユーザが所有するコンピュータ、タブレット、スマートフォンなどの他の端末等からWEBページなどから、出力対象の文書を特定して入力することによって、コンピュータ2に出力したいデータ出力要求を送信してもよい。データ出力要求受付モジュール221は、自身の入力部220または通信部230から出力対象データを受け付ける。なお、出力対象データは、伝票、帳票、宛名ラベル、はがきなどの文書データであるが、これらに限らない。
【0051】
次に、出力データ取得モジュール222は、受け付けたデータ出力要求に基づき、出力対象のデータを構成する第1対象データ100と、第2対象データ200とを記憶部240から取得する(ステップS120)。本実施形態では、第1対象データ100と、第2対象データ200とが自身の記憶部240に保存されていることが前提となっているが、外部メディアや通信部4を介して取得してもよい。なお、本実施形態では、第1対象データ100および第2対象データ200は、ステップS110においてデータ出力要求を受け付ける際に、ユーザからの入力により受け付け、自身の記憶部240に格納してもよい。
【0052】
次に、第1対象データ出力指示モジュール223は、第1対象データ100の出力指示を出力装置3に行う(ステップS130)。第1対象データ出力指示モジュール223は、通信部4を介して出力装置3にS120で取得した第1対象データ100を出力指示とともに送信する。この出力指示に使用する印刷プロトコルやアプリケーションプログラムインターフェース(API)は、本発明では特に限定されるものではない。
【0053】
そして、第2対象データ出力指示モジュール224は、第2対象データ200の出力指示を出力装置3に行う(ステップS140)。第1対象データ出力指示モジュール223は、通信部4を介して出力装置3にS130で取得した第2対象データ200と配置情報300を、出力指示とともに送信する。この出力指示に使用する印刷プロトコルやアプリケーションプログラムインターフェース(API)は、本発明では特に限定されるものではない。なお、配置情報300は、第1対象データ200のどの位置に統合するかをユーザ空間の座標系で示されているため、実際には、第2対象データ出力指示モジュール224はこのユーザ空間の座標系をデバイス空間の座標系に変換して、出力装置3に送信される。通常、ユーザ空間からデバイス空間へ座標変換は、コンピュータ2に備えるAPIなどのソフトウェアで行われるが、その変換方法については、本発明では特に限定されるものではない。
【0054】
ステップS130~S140の処理の結果、出力指示を受信した出力装置3により、第1対象データ100と、第2対象データ200と、配置情報300に基づいて、第1対象データ100と第2対象データが統合されたデータ出力結果400が出力部340から出力される。本実施形態では、データ出力結果400は、出力装置3からデータ出力結果400を出力しているが、コンピュータ2自身の出力部250にデータ出力結果400を出力してもよい。尚、データ出力結果400の出力先については、本発明では特に限定されるものではない。
【0055】
このように、第1対象データ100の出力指示を行ってから、第2対象データ200の配置情報300と共に出力指示を行うことから、第1対象データ100と第2対象データ200の統合するためにシステムリソースを使用してディスプレイリストなどの中間ファイルを生成することがないため、大量のデータを出力する場合であっても、システムリソースを節約することができ、出力時間を短縮することが可能である。
【0056】
また、データ要求受け付けモジュール221は、データ出力システム1のユーザから第2対象データ200の一部の入力を受け付け、出力データ取得モジュール222は、受け付けた入力から第2対象データ200の一部を特定し、第2対象データ出力指示モジュール224は、第1対象データ100と同じ出力対象に対して、第2対象データ200の一部の出力指示を出力装置3に行ってもよい。例えば、図8に示すように、ユーザから第2対象データ200の「佐藤」のみについてデータ出力要求の入力を受け付け、第1対象データ100と同じ出力対象に対して、「佐藤」のみについて第2対象データ200の出力指示が行われている。これにより、第1対象データ100と第2対象データ200の「佐藤」のみが統合された出力結果300が得られる。この例では、第2対象データ200の1つデータに対して出力指示が行われているが、本発明では、出力指示を行う第2対象データ200の数は限定されない。
【0057】
このように、ユーザからの第2対象データ200の一部の出力要求を受け付けて、第1対象データ100と同じ出力対象に対して、第2対象データ200の一部の出力指示を出力装置3に行うことによって、ユーザは、所望とする一部の第2対象データ200が第1対象データ100に統合された出力結果300を得ることが可能である。
【0058】
以上が、データ出力指示処理である。
【0059】
[第2実施形態の概要]
本発明の第2実施形態について、図9に基づいて説明する。図9は、本発明の第2実施形態のデータ出力システム1の概要を説明するための図である。なお、第1実施形態と同一の機能および構成については同一の符号を付し、説明を省略する。本実施形態が第1実施形態と異なるのは、第1対象データ100と第2対象データ200がPDFなどのドキュメント形式のデータであり、配置情報300は第2対象データ200に含まれていることで、第2対象データ200から抽出されるという点である。ドキュメント形式およびドキュメントデータの抽出方法については、本発明では特に限定されるものではない。
【0060】
図11は、本実施形態における第1対象データ100の一例を示す図である。第1対象データ100は、文書のドキュメントデータであり、データの内容は、図11に示す例に限らない。
【0061】
図12は、本実施形態における第2対象データ200の一例を示す図である。第2対象データ200は、第1対象データ100に統合出力させるデータのことである。本実施形態の例では、第2対象データ200は、第1対象データ100の文書の「控え」であることを示すための透かしデータである。本実施形態の例では、「控え控え控え控え控え」のテキストデータであるが、画像データであってもよく、データの内容は、図12に示す例に限らない。
【0062】
図13は、本実施形態における配置情報300の一例を示す。配置情報300とは、第2対象データ200を第1対象データ100のどの位置に統合するかを座標系で示したものであり、座標系はユーザ空間であり、第2対象データを統合する第1対象データ出力領域の左上隅を原点とするX座標とY座標で示す点では第1実施形態と同様であるが、本実施形態の配置情報300として、第2対象データ200からドキュメントを構成する出力要素、例えばドキュメントに含まれるすべての文字や画像の位置の座標系が含まれており、配置情報300が抽出される点である。第2対象データ200から配置情報300の抽出については後述する。
【0063】
図9に戻り、データ出力システム1が実行する処理の概要について説明する。データ出力システム1は、まずデータ出力要求の入力を受け付ける(ステップS21)。ステップS21は実施形態1のステップS11と同様の処理である。
【0064】
次に、データ出力システム1は、受け付けたデータ出力要求に基づき、出力対象となるデータを構成する第1対象データ100と、第2対象データ200とを取得する(ステップS22)。ステップS22は実施形態1のステップS12と同様の処理であるが、第1対象データ100と第2対象データがドキュメント形式のデータである点が異なる。ドキュメント形式については本発明では特に限定されるものではない。
【0065】
次に、データ出力システム1は、出力装置3に第1対象データ100の出力指示を行う(ステップS23)。ステップS23は実施形態1のステップS13と同様の処理である。
【0066】
次に、データ出力システム1は、第2対象データ200の出力指示を行う(ステップS24)。ステップS24は実施形態1のステップS14と同様の処理であるが、配置情報300は第2対象データ200に含まれていることで、第2対象データ200からドキュメントに含まれる出力要素の配置情報300が抽出されるという点が異なる。第2対象データ200からの配置情報300の抽出方法については、本発明では特に限定されるものではない。
【0067】
ステップS23~S24の処理の結果、第1実施形態のステップS23~S24同様、第1対象データ100と第2対象データが統合されたデータ出力結果400が出力装置3の出力部340から出力される。図14は本実施形態において出力装置3に出力されたデータ出力結果400の一例を示す。第1実施形態同様、コンピュータ2自身の出力部250にデータ出力結果400を出力してもよい。尚、データ出力結果400の出力方法についても、本発明では特に限定されるものではない。
【0068】
このように、第1対象データ100および第2対象データ200がドキュメントであっても、配置情報300が第2対象データ200に含まれていることで、第2対象データ200から配置情報300を抽出することにより、第1対象データの出力指示を行ってから、第2対象データ200を配置情報と共に出力指示を行うことから、システムリソースを使用して第1対象データ100と第2対象データ200の統合を行うことがないため、大量のデータを出力する場合であっても、システムリソースを節約することができ、出力時間を短縮することが可能である。
【0069】
以上が、データ出力システム1が実行する処理の概要である。
【0070】
[データ出力システム1のシステム構成]
本発明の本実施形態であるデータ出力システム1のシステム構成は、第1実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0071】
[データ出力指示処理]
図10に基づいて、本実施形態のデータ出力システム1が実行するデータ出力指示処理について説明する。図10は、データ出力システム1が実行するデータ出力指示処理のフローチャートを示す図である。上述した各モジュールが実行する処理について、本処理に併せて説明する。
【0072】
コンピュータ2のデータ出力要求受付モジュール221は、まずデータ出力要求の入力をユーザから受け付ける(ステップS210)。ステップS210は実施形態1のステップS110と同様の処理である。
【0073】
次に、出力データ取得モジュール222は、受け付けたデータ出力要求に基づき、出力対象となるデータを構成する第1対象データ100と、第2対象データ200と、配置情報300を記憶部240から取得する(ステップS220)。ステップS220は第1実施形態のステップS120と同様の処理であるが、第1対象データ100と第2対象データがPDFなどのドキュメント形式のデータである点が異なる。ドキュメント形式については本発明では特に限定されるものではない。
【0074】
次に、第1対象データ出力指示モジュール223は、第1対象データ100の出力指示を出力装置3に行う(ステップS230)。ステップS230は実施形態1のステップS130と同様の処理である。
【0075】
そして、第2対象データ出力指示モジュール224は、第2対象データ200の出力指示を出力装置3に行う(ステップS240)。ステップS240は実施形態1のステップS140と同様の処理であるが、配置情報300は第2対象データ200に含まれていることで、第2対象データ200からドキュメントに含まれるすべての出力要素の配置情報300が抽出される点が異なる。第2対象データ200からの配置情報300の抽出はスクリプトなどのソフトウェアで行われるが、その抽出方法については、本発明では特に限定されるものではない。
【0076】
ステップS230~S240の処理の結果、第1実施形態のステップS230~S240同様、第1対象データ100と第2対象データが統合されたデータ出力結果400が出力部3の出力部340から出力される。第1実施形態同様、コンピュータ2自身の出力部250にデータ出力結果400を出力してもよい。尚、データ出力結果400の出力方法についても、本発明では特に限定されるものではない。
【0077】
このように、第1対象データ100および第2対象データ200がドキュメントであっても、第2対象データ200から配置情報300を抽出することにより、第1対象データ100の出力指示を行ってから、第2対象データ200の配置情報と共に出力指示を行うことから、第1対象データ100と第2対象データ200の統合するためにシステムリソースを使用して中間ファイルなどを生成することがないため、量のデータを出力する場合であっても、システムリソースを節約することができ、出力時間を短縮することが可能である。
【0078】
以上が、データ出力指示処理である。
【0079】
なお、上述した各処理において、コンピュータ2の各モジュールが各処理を実行するものとして説明しているが、出力装置3にインストールされたアプリケーションが各処理を実行してもよい。この場合、このアプリケーションが、上述した各モジュールと同様の機能を有していればよい。
【0080】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU、情報処理装置、各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、単数又は複数のコンピュータからネットワーク経由で提供される(クラウドサービス、SaaS:ソフトウェア・アズ・ア・サービス)形態で提供される。また、プログラムは、例えば、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記録装置又は外部記録装置に転送し記録して実行する。また、そのプログラムを、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記録装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記録装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0081】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0082】
1 データ出力システム、2 コンピュータ、3 出力装置、4 通信網
図1
図2
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