(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-28
(45)【発行日】2023-07-06
(54)【発明の名称】ステントグラフト
(51)【国際特許分類】
A61F 2/07 20130101AFI20230629BHJP
【FI】
A61F2/07
(21)【出願番号】P 2019087921
(22)【出願日】2019-05-07
【審査請求日】2022-02-03
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 第46回 日本血管外科学会学術総会 平成30年5月9日~平成30年5月11日 第71回 日本胸部外科学会定期学術集会 平成30年10月3日~平成30年10月6日 第49回 日本心臓血管外科学会学術総会 平成31年2月11日~平成31年2月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
(74)【代理人】
【識別番号】100114524
【氏名又は名称】榎本 英俊
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 清隆
(72)【発明者】
【氏名】東 隆
(72)【発明者】
【氏名】横井 良彦
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0046371(US,A1)
【文献】特表2010-535580(JP,A)
【文献】国際公開第2017/218474(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0103135(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/07
A61F 2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
延出方向両端側が開放する筒状のグラフトと、当該グラフトに一体化されて弾性変形可能なステントとを備え、当該ステントの弾性変形により、径方向に収縮した縮径状態と径方向に拡張した展開状態の間で変形し、所定の血管内に留置されるステントグラフトにおいて、
前記グラフトは、前記ステントが貼り付けられる筒状の本体と、前記展開状態で、前記血管から分かれる分枝血管に連なる位置で開口する分枝用ポートとを備え、
前記分枝用ポートは、前記本体を貫通するように前記グラフトの内部空間から外側に開放する丸穴状の開口部と、当該開口部の周縁に沿って設けられた補強部材とにより構成され、
前記開口部の内径は、ステントグラフトの留置時に存在する前記分
枝血管の入口部分の口径に対し、ほぼ同一径若しくは僅かに小径とされ、
前記補強部材は、血液に接触したときに、前記分枝用ポートの開放部分の内径を縮小する方向に膨張する膨張部材を備え、
前記膨張部材は、前記開口部が前記分枝血管に対向した状態で、前記分枝用ポートから前記分枝血管に跨るように他の分枝用ステントグラフトが配置された状態から血液暴露されることで、当該分枝用ステントグラフトに密着可能に構成されることを特徴とするステントグラフト。
【請求項2】
前記補強部材は、前記展開状態で前記開口部の開口形状を維持する形状記憶合金からなるリング部材を更に備えたことを特徴とする請求項
1記載のステントグラフト。
【請求項3】
前記膨張部材は、ステントグラフトの使用前に最小限の体積に収縮された状態とされることを特徴とする請求項1記載のステントグラフト。
【請求項4】
前記グラフトは、前記分枝用ポートとは別に延出方向の少なくとも一端側に形成されたアクセスウインドウを更に備え、
前記アクセスウインドウは、ステントグラフトが完全に展開する前の段階で、他の管状体若しくは線状体が前記グラフトの外側からその内部空間にアクセス可能に設けられることを特徴とする請求項
1又は
2記載のステントグラフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分枝血管を有する大動脈等の血管部位に留置するのに好適となるステントグラフトに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、胸部大動脈や腹部大動脈に生じた大動脈瘤の治療として、大動脈瘤の発生部位にステントグラフトと呼ばれる人工血管を留置し、大動脈瘤内への血流を遮断してその破裂を防止するステントグラフト内挿術が行われている。前記ステントグラフトは、円筒状のグラフトに自己拡張型の網状金属からなるステントが一体的に取り付けられてなる。このステントグラフトは、径方向に収縮(圧縮)した縮径状態でシースと呼ばれるチューブ内に収容され、例えば、患者の大腿の付根部分である鼠径部等からシースと共に患部に運搬され、患部でシースから取り出され、径方向に拡張した展開状態で血管内に留置される。ここで、頭部や上肢への血管が分かれる分枝が存在する弓部大動脈や、腹腔動脈、上腸間膜動脈、腎動脈のように、腹部臓器や腎臓に血管が分かれる分枝が存在する胸腹部大動脈等において、動脈瘤の近傍に分枝血管が存在する場合には、ステントグラフトの留置により、分枝血管への血流を遮断せずに温存するための何らかの対応が必要となる。
【0003】
そこで、特許文献1等に開示されているように、グラフトの一部分に開口部を設け、患部に留置した際にグラフトの内部空間から分枝血管への血流を確保する開窓型のステントグラフトが知られている。この開窓型のステントグラフトが完全に展開したときに、その開口部と分枝血管を跨ぐように、開口部から分枝血管に他の分枝用ステントグラフトが内挿されることで、これら各ステントグラフト同士が繋がって分枝血流が温存される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記開窓型のステントグラフトにあっては、血管壁に固定される完全展開前の状態で、分枝血管の部分に開口部を対向させる位置決めが必要となり、この状態では、X線透視装置による透視画像により、ステントグラフトの開口部が分枝血管に正確に対向しているか否かの把握が難しい。そのため、開口部としては、その内径を対象とする分枝血管径よりも余裕を見て大きく設計する必要がある。従って、分枝血管に内挿される分枝用ステントグラフトと開口部との間の接合が不十分となり、それらの間に隙間が生じることになる。その結果、当該隙間から動脈瘤内に血液が漏出するエンドリークが発生し、より確実な治療効果を得ることができない。
【0006】
本発明は、このような課題に着目して案出されたものであり、その目的は、分枝を有する血管内の留置時における位置決めを容易にし、分枝血流を温存しながら動脈瘤の確実な治療を可能にするステントグラフトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、延出方向両端側が開放する筒状のグラフトと、当該グラフトに一体化されて弾性変形可能なステントとを備え、当該ステントの弾性変形により、径方向に収縮した縮径状態と径方向に拡張した展開状態の間で変形し、所定の血管内に留置されるステントグラフトにおいて、前記グラフトは、前記展開状態で、前記血管から分かれる分枝血管に連なる位置で開口する分枝用ポートと、必要に応じて当該分枝用ポートとは別に延出方向の少なくとも一端側に形成されたアクセスウインドウとを備え、前記アクセスウインドウは、ステントグラフトが完全に展開する前の段階で、他の管状体若しくは線状体が前記グラフトの外側からその内部空間にアクセス可能に設けられる、という構成を採っている。
【0008】
また、本発明は、延出方向両端側が開放する筒状のグラフトと、当該グラフトに一体化されて弾性変形可能なステントとを備え、当該ステントの弾性変形により、径方向に収縮した縮径状態と径方向に拡張した展開状態の間で変形し、所定の血管内に留置されるステントグラフトにおいて、前記グラフトは、前記展開状態で、前記血管から分かれる分枝血管に連なる位置で開口する分枝用ポートを備え、前記分枝用ポートは、前記グラフトの内部空間から外側に開放する開口部と、当該開口部の周縁に沿って設けられた補強部材とにより構成され、前記補強部材は、所定の温度条件下で、及び/又は所定の水分に接触したときに、前記分枝用ポートの開放部分の内径を縮小する方向に膨張する膨張部材を備える、という構成を採っている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ステントグラフトが完全に展開する前の段階で、アクセスウインドウを通じて、ステントグラフトの外側から内部空間に、他のステントグラフト、シース、カテーテル等の管状体やガイドワイヤ等の線状体をアクセスさせることが可能になる。ステントグラフトの完全展開前の状態では、血管内でステントグラフトの回転や移動が可能となり、それらを行いながら、管状体や線状体を所望の分枝用ポートから分枝血管に導くように動かすことで、分枝用ポートを対象の分枝血管に相対させる位置決めを容易に且つ確実に行うことができる。
【0010】
また、分枝用ポートの開口部の周縁には、膨張部材が設けられているため、ステントグラフトが完全な展開状態となったときに、開口部から分枝血管に分枝用ステントグラフトを貫通させた際、膨張部材は、血液に接触することで、若しくは、体温状態に加温されることで、膨潤することにより、経時的に開口部の開口面積が減少する。これにより、分枝用ポートの内周部分が分枝用ステントグラフトの外周部分に押し付けられ、それらの間を隙間なく強固に接合可能になる。その結果、患部にステントグラフトを留置した後で、分枝血管接合部からのエンドリークが発生し難くなり、エンドリークによる動脈瘤内への血液の侵入が防止され、分枝血流を温存しながら動脈瘤の確実な治療が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係るステントグラフトの概略斜視図である。
【
図2】前記ステントグラフトの分枝用ポートを拡大視した部分断面図である。
【
図3】前記ステントグラフトの縮径状態を説明するための概略側面図である。
【
図4】(A)は、血管内における前記ステントグラフトの位置決めを行う前の一部展開状態を説明するための概念図であり、(B)は、同位置決めを行う際の一部展開状態を説明するための概念図であり、(C)は、血管内における前記ステントグラフトの完全展開状態を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1には、本実施形態に係るステントグラフトの概略斜視図が示されている。この図において、前記ステントグラフト10は、人工血管部分となるグラフト11と、骨格部分としてグラフト11に一体化されるとともに、自己拡張可能に弾性変形するステント12とを備えている。このステントグラフト10は、ステント12の弾性変形により、全体的に径方向に収縮した縮径状態と径方向に拡張した展開状態との間で変形可能となっており、後述するように、患部となる大動脈等の血管内の所定部位まで縮径状態で移送され、その後に
図1の展開状態とされて血管内の患部に留置される。
【0014】
前記グラフト11は、延出方向両端側が開放する筒状に形成され、ステント12の内側若しくは外側から被覆するようにステント12に一体的に固定されている。
【0015】
このグラフト11は、ステント12が貼り付けられる筒状の本体14と、前記展開状態で大動脈等の主血管から分かれる分枝血管にグラフト11の内部空間Sを連通させるために設けられた分枝用ポート15と、分枝血管に内挿する他のステントグラフト等を外側から内部空間Sにアクセスさせるために設けられたアクセスウインドウ16とを備えている。
【0016】
前記本体14は、特に限定されるものではないが、フッ素樹脂やポリエステル樹脂等、公知のステントグラフトにおけるグラフトと同一の材料によって形成される。
【0017】
前記分枝用ポート15は、分枝血管に連なる位置で開口するように設けられており、本体14を貫通するように内部空間Sから外側に開放する丸穴状の開口部18と、開口部18の周縁に沿って設けられた補強部材19とにより構成される。
【0018】
前記開口部18は、ステントグラフト10の留置状態で、その近傍の分枝血管に相対する1箇所若しくは複数の位置に設けられているとともに、ステント12に重ならないよう配置されている。なお、特に限定されるものではないが、開口部18の内径は、ステントグラフト10の留置時に存在する分枝血管の入口部分の口径に対し、ほぼ同一径若しくは僅かに小径とされる。
【0019】
前記補強部材19は、分枝用ポート15を拡大した
図2に示されるように、開口部18の形成縁側に固定されるリング部材21と、リング部材21に重ね合わせされた状態で固定される膨張部材22とからなる。
【0020】
前記リング部材21は、開口部18の内径とほぼ同一の内径に設けられており、前記展開状態で開口部18の開口形状を維持し、且つ、体外側からX線画像により視認可能なニッケルチタン合金等からなる形状記憶合金により形成されている。
【0021】
なお、開口部18のサイズ等の構造上の理由により、リング部材21が無ければ前記展開状態で開口部18の開口形状を維持できないような場合にのみリング部材21を設け、リング部材21が無くても、前記展開状態で開口部18の開口形状を確実に維持できるような場合には、リング部材21を省略することもできる。
【0022】
前記膨張部材22は、リング部材21の内径とほぼ同一となる内径の空間が形成された筒状若しくはリング状をなしている。従って、開口部18と、リング部材21及び膨張部材22の内側に形成された空間が、分枝用ポート15を通じて内部空間Sから外側に開放する分枝用ポート15の開放部分となる。
【0023】
この膨張部材22は、血液に接触したときに、分枝用ポート15の開放部分の内径を縮小し、その開口面積を減少させる方向に膨張する材料により形成される。本実施形態では、公知のハイドロゲルを表面にコーティングした公知のコイルが用いられる。なお、膨張部材22としては、体温等の所定の温度条件下で、及び/又は所定のpHの水分に接触したときに、分枝用ポート15の開口面積を減少させる方向に変形する材料のものであれば、種々のものを採用することができる。
【0024】
前記アクセスウインドウ16は、グラフト11の延出方向の両端側、すなわち、血管内を移動する際に先行する先端側とその反対側の後端側にそれぞれ形成されるとともに、ステント12を避けた位置でグラフト11の内外間で開放するようになっている。このアクセスウインドウ16は、後述するように、ステントグラフト10が完全に展開する前の段階で、他のステントグラフト、シース、カテーテル等の管状体若しくはガイドワイヤ等の線状体が、グラフト11の外側から内部空間Sにアクセス可能な開放形状となっている。従って、この開放形状は、前記アクセスを可能にする限りにおいて、真円状、楕円状、多角形状等の様々な形状を採ることができる。
【0025】
なお、アクセスウインドウ16の周縁部分には、前記X線画像による視認性を考慮し、前述のリング部材21と同様のリング部材24が固定されている。また、本実施形態では、グラフト11の先端側及び後端側の双方にアクセスウインドウ16を設けたが、本発明はこれに限らず、先端側若しくは後端側の何れか一方側にアクセスウインドウ16を設ける態様や、アクセスウインドウ16を設けない態様としても良い。
【0026】
前記ステント12は、公知のステントグラフトに採用されているものと同一の構成となっており、構造や材質等の詳細な説明を省略するが、1つ又は複数の金属製の線材がジグザグ状に折り返されながら管状に設けられた網目構造をなし、縮径状態と拡径状態の間で弾性変形可能に構成されている。
【0027】
次に、前記ステントグラフト10の使用方法について、以下に説明する。
【0028】
先ず、
図3に示されるように、縮径状態のステントグラフト10が、先端側が開放するチューブ状のシース30における内部先端側に収容された状態にある。ここで、分枝用ポート15には、膨張部材22が設けられているが、当該膨張部材22は、ステントグラフト10の使用前に最小限の体積に収縮された状態となっており、膨張部材22のない従来のステントグラフトとほぼ同一の内径のシース30に収容可能となる。
【0029】
また、ステントグラフト10がシース30内に収容された状態においては、ステントグラフト10の先端側及び後端側が、図示省略した糸状部材により、拡径しないように周方向に沿って縛られて窄められた状態となっている。
【0030】
更に、ステントグラフト10がシース30内に収容された状態においては、その先端側に先端チップ31が連なっており、当該先端チップ31がシース30に先行して血管内を移動することになる。
【0031】
以下、一例として、胸腹部大動脈に生じた大動脈瘤の存在する患部にステントグラフト10を留置する場合について説明する。ここで、胸腹部大動脈には、当該大動脈である主血管から分岐して腹腔動脈や上腸間膜動脈や両側腎動脈に血液を送り込む4本の分枝血管が存在しており、胸腹部大動脈瘤が生じた患部にステントグラフト10を留置する際には、主血管から分枝血管への血流の温存を考慮する必要がある。
【0032】
先ず、患者の大腿の付根部分となる鼠径部を切開してその血管から、胸腹部大動脈に留置される大径のステントグラフト10である主ステントグラフト10を収容した状態のシース30が患部まで運搬される。
【0033】
そして、シース30の先端側が患部に達したら、
図4(A)に示されるように、シース30の先端から主ステントグラフト10を徐々に露出させる。この際、主ステントグラフト10は、シース30の外部に露出した部分が、ステント12の弾性変形によって次第に拡径する。この際、その先端側が前記糸状部材によって縛られたままになっており、完全な展開状態とならず、主ステントグラフト10の露出部分は、主血管B1の血管壁に密着しない状態となっている。この部分展開状態では、主ステントグラフト10の先端側のアクセスウインドウ16がシース30から主血管B1内に露出している。
【0034】
そこで、例えば、この主ステントグラフト10の移動方向と反対側となる頸部側から、
図4(B)の破線で示されるルートを使って、分枝血管B2へのアクセスが可能になる。すなわち、同図において図示省略しているが、分枝血管B2に内挿される他の小径のステントグラフトである分枝用ステントグラフトを収容した他のシースが、露出状態のアクセスウインドウ16を通じて、主ステントグラフト10の内部空間Sに挿入される。そして、分枝用ステントグラフトが収容された他のシースを、主ステントグラフト10の分枝用ポート15を通過させた状態で、主ステントグラフト10を回転しながら、対象の分枝血管B2に分枝用ポート15が対向するように位置決めされる。
【0035】
前記位置決めが終了した後に、主ステントグラフト10の全域がシース30から露出され、前記糸状部材による拘束が解除されて、
図4(C)に示されるように、主ステントグラフト10を完全な展開状態にする。また、前述した位置決めにより、それぞれ相対している主ステントグラフト10の各分枝用ポート15と各分枝血管B2がそれぞれ相対しており、それら分枝用ポート15から各分枝血管B2に跨るように、分枝用ステントグラフト50がそれぞれ配置される。そして、分枝用ステントグラフト50が完全な展開状態とされ、この際に、分枝用ポート15の膨張部材22は、血液暴露されることで膨潤して分枝用ステントグラフト50の外周面に密着する。その後、当該密着度が経時的に増大することで、分枝用ステントグラフト50が分枝用ポート15に強固に接合されることになり、当該接合部分からの血液の漏出(エンドリーク)が規制される。
【0036】
以上の本実施形態によれば、使用前における膨張部材22の収縮性が高いため、ステントグラフト10の縮径状態で、その全体の外径を大きくすることなく、従来の口径のシース30内にステントグラフト10を収容することができる。従って、ステントグラフト10の留置スペース上、患部への適用が限定的にならずに、膨張部材22によってエンドリークを効果的に抑制することができる。また、アクセスウインドウ16によって、ステントグラフト10の分枝用ポート15を分枝血管B2に相対させる位置決めが容易になり、これにより、分枝用ポート15を最小限の内径とすることができ、この点からも、エンドリークの抑制が促進される。
【0037】
なお、前記ステントグラフト10は、前述した胸腹部大動脈瘤の治療に限らず、他の弓部大動脈瘤や腹部大動脈等、他の部位に生じた大動脈瘤等の治療に用いることも可能である。
【0038】
また、前記膨張部材22としては、本発明に係るステントグラフト10の展開状態で、分枝用ステントグラフト50等の人工血管が、分枝用ポート15に挿通された状態で密着してそれらの間のエンドリークを規制可能に変形できる限りにおいて、他のシール材等、様々な物質や材質からなるものを適用可能である。
【0039】
その他、本発明における装置各部の構成は図示構成例に限定されるものではなく、実質的に同様の作用を奏する限りにおいて、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0040】
10 ステントグラフト
11 グラフト
12 ステント
15 分枝用ポート
16 アクセスウインドウ
18 開口部
19 補強部材
21 リング部材
22 膨張部材
B1 主血管
B2 分枝血管
S 内部空間