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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-28
(45)【発行日】2023-07-06
(54)【発明の名称】アシスト装置およびアシスト方法
(51)【国際特許分類】
   E01D 21/00 20060101AFI20230629BHJP
   E01D 22/00 20060101ALI20230629BHJP
   E04G 3/28 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
E01D21/00 A
E01D22/00 A
E04G3/28 303L
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019054160
(22)【出願日】2019-03-22
(65)【公開番号】P2020153171
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】598141394
【氏名又は名称】有限会社サム
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松原 健一
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-315505(JP,A)
【文献】特開2014-218346(JP,A)
【文献】特開昭62-284804(JP,A)
【文献】実開平05-085936(JP,U)
【文献】特開2005-299280(JP,A)
【文献】特開2019-007206(JP,A)
【文献】特開2007-247301(JP,A)
【文献】特開平08-068198(JP,A)
【文献】特開2000-120263(JP,A)
【文献】実開昭49-104898(JP,U)
【文献】実開昭57-165771(JP,U)
【文献】特開平03-095021(JP,A)
【文献】特開2001-206220(JP,A)
【文献】特開2014-156319(JP,A)
【文献】米国特許第06817444(US,B1)
【文献】実開平02-129548(JP,U)
【文献】特開平02-285187(JP,A)
【文献】特開2019-082071(JP,A)
【文献】特開2004-293253(JP,A)
【文献】特開2019-143396(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 1/00-24/00
E04G 3/28
B65G 3/00-9/00
B66C 5/00-7/16
B65G 13/00-13/12
B65G 39/00-39/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋梁の下側にて、フランジを水平方向にして互いに間隔をあけて長手方向が橋軸に沿って並行して延びるように配置された2つのH形鋼対して、前記橋梁の延長方向に沿って吊り下げられた作業床の先頭側に前記作業床とは別に吊り下げられることで、前記橋梁の延長方向に沿って、吊り下げらえた前記作業床に対して新たな作業床を連結させる作業をアシストするアシスト装置であって、
前記アシスト装置は、
前記フランジを前記H形鋼の断面の両側方から挟むように配置された一対の挟持部と、
前記一対の挟持部を前記フランジの断面方向に沿ってスライド可能に支持する案内部と、
下方への荷重または自重により、前記一対の挟持部を前記案内部に沿って互いに近づけるように付勢する付勢部と、を前記2つのH形鋼毎に備え、
前記2つのH形鋼の間をわたるように延びる横行用レールを前記付勢部に吊り下げ配置し、
吊り下げられた前記作業床の上側で前記新たな作業床を吊り下げる2つのトロッコを前記横行用レールに沿って互いの位置を調整できるように移動可能に備える、アシスト装置。
【請求項2】
前記付勢部は、前記一対の挟持部から下方に延びる一対の腕部を有し、
前記一対の腕部は、下端部同士が回動可能に連結されると共に上端部が前記一対の挟持部に対応して固定され、前記下端部が下方への荷重に応じて前記上端部を閉じるように回動することにより前記一対の挟持部を付勢する請求項1に記載のアシスト装置。
【請求項3】
回転軸の周りに回転可能に前記一対の挟持部に配置され、前記フランジの上面に当接して回転することにより前記一対の挟持部を前記H形鋼の長手方向に移動させる移動用車輪をさらに有する請求項1または2に記載のアシスト装置。
【請求項4】
前記移動用車輪は、前記一対の挟持部を移動させる移動方向に並んで配置された少なくとも3つの移動用車輪を有し、前記移動方向において前方側および後方側に配置された移動用車輪に対して、その間に位置する移動用車輪が前記移動方向に直交する方向において前記フランジの根元側にずれた位置に配置される請求項3に記載のアシスト装置。
【請求項5】
回転軸の周りに回転可能に前記一対の挟持部に配置されると共に上方に付勢され、前記フランジの下面を押圧しつつ回転する浮止め用車輪をさらに有する請求項3または4に記載のアシスト装置。
【請求項6】
上下方向に延びる回転軸の周りに回転可能に前記一対の挟持部に配置され、前記フランジの側縁部に側方から当接して回転する幅決め用車輪をさらに有する請求項1~5のいずれか一項に記載のアシスト装置。
【請求項7】
請求項1に記載されたアシスト装置を用いるアシスト方法であって、
前記2つのトロッコの一方に前記新たな作業床の一端部側を吊り下げて、前記2つのトロッコの一方を前記2つのH形鋼の一方側に移動した後、
前記2つのトロッコの他方に前記新たな作業床の他端部側を吊り下げて、前記2つのトロッコの他方を前記2つのH形鋼の他方側に移動することで、
前記新たな作業床の長手方向の向きを吊り下げられた前記作業床の長手方向の向きに合わせることを特徴とするアシスト方法。
【請求項8】
前記H形鋼の長手方向に沿って、当該長手方向に延びる搬送用レールを配置し、
前記新たな作業床を前記H形鋼に吊り下げられた作業床の先頭位置まで前記搬送用レールにて搬送する請求項7に記載のアシスト方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アシスト装置およびアシスト方法に係り、特に、橋梁の下側にて、フランジを水平方向にして互いに間隔をあけて並行して延びるように配置された2つの構造物に、前記橋梁の延長方向に沿って、作業床を吊り下げ設置する作業をアシストするアシスト装置およびアシスト方法に関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁などの構造物では、保守点検、維持管理および修理作業などの様々な作業が行われている。ここで、構造物の下側は、足場が少ないため、その作業の危険性も高くなる。このため、構造物の下側における作業の安全性を高めることが求められている。
【0003】
そこで、構造物の下側における作業の安全性を高める技術として、例えば、特許文献1には、高架道路や橋梁などの高層構築物に対して、主として保守・維持管理・修理作業などを行う際に用いる仮設の足場装置を全面に吊設する移動足場システムが提案されている。この移動足場システムは、足場パネル同士を相互に連結して足場を形成するため、安全に作業を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-299280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の移動足場システムは、構造物に設置する労力が大きく、作業の安全性を容易にアシストするアシスト装置が求められていた。
【0006】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、作業の安全性を容易にアシストするアシスト装置およびアシスト方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るアシスト装置は、橋梁の下側にて、フランジを水平方向にして互いに間隔をあけて長手方向が橋軸に沿って並行して延びるように配置された2つのH形鋼対して、前記橋梁の延長方向に沿って吊り下げられた作業床の先頭側に前記作業床とは別に吊り下げられることで、前記橋梁の延長方向に沿って、吊り下げらえた前記作業床に対して新たな前記作業床を連結させる作業をアシストするアシスト装置であって、前記アシスト装置は、前記フランジを前記H形鋼の断面の両側方から挟むように配置された一対の挟持部と、前記一対の挟持部を前記フランジの断面方向に沿ってスライド可能に支持する案内部と、下方への荷重または自重により、前記一対の挟持部を前記案内部に沿って互いに近づけるように付勢する付勢部と、を前記2つのH形鋼毎に備え、前記2つのH形鋼の間をわたるように延びる横行用レールを前記付勢部に吊り下げ配置し、吊り下げられた前記作業床の上側で前記新たな作業床を吊り下げる2つのトロッコを前記横行用レールに沿って互いの位置を調整できるように移動可能に備える。
【0008】
ここで、付勢部は、一対の挟持部から下方に延びる一対の腕部を有し、一対の腕部は、下端部同士が回動可能に連結されると共に上端部が一対の挟持部に対応して固定され、下端部が下方への荷重に応じて上端部を閉じるように回動することにより一対の挟持部を付勢することが好ましい。
【0009】
また、転軸の周りに回転可能に一対の挟持部に配置され、ランジの上面に当接して回転することにより一対の挟持部を移動させる移動用車輪をさらに有することが好ましい。
【0010】
また、移動用車輪は、一対の挟持部を移動させる移動方向に並んで配置された少なくとも3つの移動用車輪を有し、移動方向において前方側および後方側に配置された移動用車輪に対して、その間に位置する移動用車輪が移動方向に直交する方向においてランジの根元側にずれた位置に配置されることが好ましい。
【0011】
また、転軸の周りに回転可能に一対の挟持部に配置されると共に上方に付勢され、ランジの下面を押圧しつつ回転する浮止め用車輪をさらに有することが好ましい。
【0012】
また、上下方向に延びる回転軸の周りに回転可能に一対の挟持部に配置され、ランジの側縁部に側方から当接して回転する幅決め用車輪をさらに有することが好ましい。
【0013】
一対の挟持部は、H形鋼に設けられ水平に配置されたフランジを側方から挟むように配置することができる。
【0014】
この発明に係るアシスト方法は、上記のアシスト装置を用いるアシスト方法であって、前記2つのトロッコの一方に前記新たな作業床の一端部側を吊り下げて、前記2つのトロッコの一方を前記2つのH形鋼の一方側に移動した後、前記2つのトロッコの他方に前記新たな作業床の他端部側を吊り下げて、前記2つのトロッコの他方を前記2つのH形鋼の他方側に移動することで、前記新たな作業床の長手方向の向きを吊り下げられた前記作業床の長手方向の向きに合わせる。
【0016】
また、前記H形鋼の長手方向に沿って、当該長手方向に延びる搬送用レールを配置し、前記新たな作業床を前記H形鋼に吊り下げられた作業床の先頭位置まで前記搬送用レールにて搬送されることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、付勢部が、下方への荷重または自重により、一対の挟持部を案内部に沿って互いに近付けるように付勢することにより一対の挟持部をH形鋼のような構造物のフランジに挟持させるので、橋梁の下側に新たに作業床を追加させる作業の安全性を容易にアシストするアシスト装置およびアシスト方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明の実施の形態1に係るアシスト装置の構成を示す図である。
図2】横行用レールに吊り下げた作業床の姿勢を変更する様子を示す図である。
図3シスト装置に横行用レールを取り付けた様子を示す図である。
図4】横行用レールに吊り下げた作業床をH形鋼に固定された作業床と同一面上に位置させる様子を示す図である。
図5】横行用レールに吊り下げた作業床をH形鋼に設置済みの作業床に連結する様子を示す図である。
図6】アシスト装置を移動方向に対して左側に湾曲するフランジに沿って移動させる様子を示す図である。
図7】実施の形態2において搬送用レールで作業床を搬送する様子を示す図である。
図8】実施の形態2の変形例において搬送用レールで作業床を搬送する様子を示す図である。
図9】実施の形態3において作業における荷重物を移動させる様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
図1に、この発明の実施の形態1に係るアシスト装置の構成を示す。このアシスト装置は、構造物における作業をアシストするもので、一対の挟持部1aおよび1bと、案内部2と、付勢部3とを有する。
ここで、構造物は、例えば、水平方向に設置されたフランジFaおよびFbが連続して延びるように設けられたH形鋼であり、例えば橋梁の下側に設置されたものである
【0020】
挟持部1aおよび1bは、フランジFaおよびFbを側方から挟むように配置されるもので、それぞれ、側壁部4aと、上壁部4bと、下壁部4cとを有する。側壁部4aは、板形状を有し、フランジFaおよびFbの縁部に対向するように配置されている。上壁部4bは、板形状を有し、フランジFaおよびFbの上面に対向するように配置され、その一縁部が側壁部4aの上縁部に固定されている。下壁部4cは、板形状を有し、フランジFaおよびFbの下面に対向するように配置され、その一縁部が側壁部4aの下縁部に固定されている。すなわち、挟持部1aおよび1bは、コの字型の横断面を有するように形成されている。
【0021】
また、挟持部1aおよび1bには、それぞれ、3つの移動用車輪5a,5bおよび5cと、3つの浮止め用車輪6a,6bおよび6cと、3つの幅決め用車輪7a,7bおよび7cとが配置されている。
移動用車輪5a,5bおよび5cは、挟持部1aと挟持部1bが並ぶ図示D1方向に延びる回転軸の周りに回転可能に挟持部1aおよび1bの上壁部4bに配置され、フランジFaおよびFbの上面に当接して回転することにより挟持部1aおよび1bをフランジFaおよびFbに沿って移動させる。移動用車輪5a,5bおよび5cは、挟持部1aおよび1bの移動方向D2、すなわちフランジFaおよびFbの延在方向に並んで配置されている。ここで、移動方向D2において前方側に配置された移動用車輪5aおよび後方側に配置された移動用車輪5cに対して、その間に位置する移動用車輪5bが図示D1方向においてフランジFaおよびFbの根元B側にずれた位置に配置されている。
【0022】
浮止め用車輪6a,6bおよび6cは、移動用車輪5a,5bおよび5cに対応して移動方向D2に並んで挟持部1aおよび1bの下壁部4cに配置されている。このとき、浮止め用車輪6a,6bおよび6cは、移動用車輪5a,5bおよび5cと同様に、図示D1方向に延びる回転軸の周りに回転可能に配置されている。ここで、浮止め用車輪6a,6bおよび6cの下側には、浮止め用車輪6a,6bおよび6cを上方に付勢する弾性部8が配置されている。この弾性部8により上方に付勢されることにより、浮止め用車輪6a,6bおよび6cはフランジFaおよびFbの下面を上方に押圧しつつ回転することになる。
【0023】
幅決め用車輪7a,7bおよび7cは、挟持部1aおよび1bの側壁部4aにおいて上下方向D3中央部近傍に移動方向D2に並んで配置されている。このとき、幅決め用車輪7a,7bおよび7cは、上下方向D3に延びる回転軸の周りに回転可能に配置され、フランジFaおよびFbの側縁部に側方から当接して回転する。
【0024】
案内部2は、図示のD1方向に延びるように配置され、挟持部1aを図示のD1方向にスライド可能に支持する。具体的には、2つの案内部2が、挟持部1aおよび1bの下壁部4cの下側を図示D1方向に延びるように配置され、一方の案内部2が下壁部4cの前部近傍に配置されると共に他方の案内部2が後部近傍に配置されている。ここで、2つの案内部2は、それぞれ、固定筒部2aと、スライド筒部2bとを有する。
【0025】
固定筒部2aは、筒形状を有し、一端部近傍が挟持部1bの下壁部4cに固定されると共に他端部が挟持部1a側に延びるように形成されている。一方、スライド筒部2bは、固定筒部2aの内径に応じた外径を有し、一端部近傍が挟持部1aの下壁部4cに固定されると共に他端部が挟持部1b側に延びるように形成されている。スライド筒部2bの他端部は、固定筒部2a内に挿入されて、固定筒部2aの内面に沿ってスライド可能に配置されている。
【0026】
また、案内部2は、固定筒部2aに対してスライド筒部2bを固定するスライド固定部2cを有する。スライド固定部2cは、固定筒部2aの外壁部を貫通するように延びて先端部がスライド筒部2bに当接する螺子から構成することができる。
【0027】
付勢部3は、下方への荷重により、挟持部1aおよび1bを案内部2に沿って互いに近付けるように付勢するものである。具体的には、案内部2は、一対の腕部3aおよび3bと、荷重支持部3cとを有する。
腕部3aおよび3bは、挟持部1aおよび1bの下壁部4cにおいて前部近傍と後部近傍にそれぞれ配置されている。腕部3aおよび3bは、下壁部4cから下方に延びるように配置され、下端部同士が回動可能に連結されている。また、腕部3aの上端部が挟持部1aの下壁部4cに固定され、腕部3bの上端部が挟持部1bの下壁部4cに固定されている。
【0028】
荷重支持部3cは、移動方向D2に延びるように配置され、その両端部が前部側に配置された腕部3aおよび3bと後部側に配置された腕部3aおよび3bとに固定されている。荷重支持部3cは、作業に用いる荷物およびバラストなどの荷重物を支持するもので、その下部には荷重物を吊り下げるための吊り金具3dが配置されている。これにより、吊り金具3dに荷重物が吊り下げられると、腕部3aおよび3bの下端部が下方への荷重に応じて腕部3aおよび3bの上端部を閉じるように回動して、挟持部1aおよび1bが互いに近付くように付勢される。
なお、挟持部1aおよび1bの下壁部4cにも、作業に用いる荷物およびバラストなどの荷重物を吊り下げるための吊り金具9が配置されている。
【0029】
次に、この実施の形態1のアシスト方法について説明する。
図2に示すように、橋梁の下側において互いに間隔をあけて並行して延びるように配置された2つのH形鋼に対して、矩形の板形状を有し且つ互いに連結可能に形成された複数の作業床Laが吊りチェーンにより固定される。なお、2つのH形鋼のうち一方のH形鋼は省略している。
【0030】
このとき、H形鋼に固定された複数の作業床Laの先頭においてアシスト装置10aおよび10bが2つのH形鋼にそれぞれ取り付けられている。具体的には、図1(a)および(b)に示すように、挟持部1aおよび1bが、H形鋼のフランジFaおよびFbを側方から挟むように配置される。続いて、吊り金具3dに荷重物が吊り下げられることにより、腕部3aおよび3bの下端部が上端部を閉じるように回動する。このようにして、付勢部3が、挟持部1aおよび1bを互いに近付けるように付勢する。付勢部3の付勢に従って、挟持部1aが、案内部2に沿って挟持部1b側へスライドすることにより挟持部1aおよび1bがフランジFaおよびFbを挟持する。
【0031】
このように、付勢部3が、下方への荷重により挟持部1aおよび1bを互いに近付けるように付勢するため、吊り金具3dに荷重物を吊り下げるだけで挟持部1aおよび1bをフランジFaおよびFbに挟持させることができ、H形鋼に対してアシスト装置10aおよび10bを容易に固定することができる。
なお、フランジFaおよびFbを挟持する挟持部1aおよび1bの位置は、スライド固定部2cにより固定することができる。
【0032】
ここで、吊り金具3dには、図3に示すように、アシスト装置10aおよび10bの間、すなわち2つのH形鋼をわたるように延びる横行用レール11が作業における荷重物として吊り下げられる。この横行用レール11には、横行用レール11に沿って図示D1方向に移動可能な2つのトロッコ12aおよび12bが配置されている。そこで、作業床L
aに連結する新たな作業床Lbの一端部側をトロッコ12aに吊り下げてアシスト装置10b側に移動させる。これにより、図2に示すように、作業床Lbが、他端部側を前方に移動させるように回転し、作業床Lbの姿勢を容易に変更することができる。
【0033】
このようにして、横行用レール11の近傍まで前方に移動した作業床Lbの他端部側をトロッコ12bに吊り下げて、トロッコ12aおよび12bの位置を調整することにより、図4に示すように、作業床Lbの姿勢を作業床Laと同じ向きに変更する。続いて、トロッコ12aおよび12bに作業床Lbを吊り下げているチェーンを延ばすことにより、作業床Lbを作業床Laと同一面上に位置させる。これにより、図5に示すように、作業床Laに作業床Lbを容易に連結することができる。
このようにして、互いに連結された作業床Laの先頭にアシスト装置10aおよび10bを順次移動しつつ作業床Laに新たな作業床Lbを連結させることにより、作業床Laを安全に延長させることができる。
【0034】
このとき、図1(a)および(b)に示すように、移動用車輪5a,5bおよび5cが、フランジFaおよびFbの上面に当接して回転するため、アシスト装置10aおよび10bを容易に移動させることができる。
また、浮止め用車輪6a,6bおよび6cが、弾性部8により上方に付勢されて、フランジFaおよびFbの下面を上方に押圧しつつ回転するため、フランジFaおよびFbとの間に隙間が生じるのを抑制することができ、挟持部1aおよび1bをフランジFaおよびFbに強固に挟持させることができる。
【0035】
また、幅決め用車輪7a,7bおよび7cが、フランジFaおよびFbの側縁部に側方から当接して回転するため、フランジFaおよびFbに沿ってアシスト装置10aおよび10bをスムーズに移動させることができる。
【0036】
ここで、例えば、アシスト装置10aおよび10bの前方に延びるフランジFaおよびFbが、部分的に図示D1方向に湾曲して延在方向が変更されている場合に、フランジFaおよびFbに沿ってアシスト装置10aおよび10bを移動させると、その湾曲部分において移動用車輪5a,5bおよび5cと浮止め用車輪6a,6bおよび6cとがフランジFaおよびFbから外れるおそれがある。
【0037】
そこで、本発明では、移動用車輪5bを移動用車輪5aおよび5cに対して図示D1方向においてフランジFaおよびFbの根元B側にずれた位置に配置する。これにより、例えば、図6に示すように、フランジFaおよびFbが移動方向D2に対して挟持部1b側に湾曲している場合に、挟持部1aの移動用車輪5aおよび5cがフランジFaおよびFbから外れた場合でも移動用車輪5bをフランジFaおよびFbに当接させることができる。このため、フランジFaおよびFbが図示D1方向に湾曲している場合でもアシスト装置10aおよび10bを安全に移動させることができる。
【0038】
本実施の形態によれば、付勢部3が、下方への荷重により挟持部1aおよび1bを案内部2に沿って互いに近付けるように付勢することにより挟持部1aおよび1bをフランジFaおよびFbに挟持させるため、作業における荷重物である横行用レール11および作業床Lbを前方に移動させつつ作業床Lbを作業床Laに安全に連結することができ、作業の安全性を容易にアシストすることができる。
【0039】
実施の形態2
実施の形態1において、2つのH形鋼に固定された作業床Laに連結される新たな作業床Lbは、作業床Laと連結される先頭位置まで作業床Laの上側を搬送することが好ましい。
例えば、図7に示すように、実施の形態1において複数のレール支持部21と、搬送用レール22とを新たに配置することができる。
【0040】
複数のレール支持部21は、2つのH形鋼が延びる方向、すなわち移動方向D2に所定の間隔を空けて並べて配置されている。また、複数のレール支持部21は、それぞれ、2つのH形鋼の間を図示D1方向に延びるように形成され、一端部が一方のH形鋼に固定されると共に他端部が他方のH形鋼に固定されている。
【0041】
搬送用レール22は、2つのH形鋼に設置済みの作業床Laの上側においてレール支持部21の中央部近傍を移動方向D2に延びるように配置され、レール支持部21に固定されている。ここで、搬送用レール22は、新たな作業床Lbが作業床Laに連結される先頭位置まで延びるように配置されている。また、搬送用レール22には、搬送用レール22に沿って移動可能な2つのトロッコ22aおよび22bが配置されている。
【0042】
このような構成により、複数の作業床Lbをトロッコ22aおよび22bに吊り下げて、作業床Laに連結される先頭位置まで容易に搬送することができる。このとき、複数の作業床Laは、作業床Laの上側に配置された搬送用レール22で搬送されるため、例えば作業床Laに作業用の荷物が置かれている場合でも、作業床Laの上側を安全に搬送することができる。
【0043】
本実施の形態によれば、搬送用レール22が、作業床Laの上側を延びるように配置されるため、複数の作業床Lbを作業床Laに連結される先頭位置まで安全に搬送することができる。
【0044】
なお、本実施の形態では、搬送用レール22は、図示D1方向において作業床Laの中央部を延びるように配置されたが、作業床Laの上側を延びるように配置することができればよく、中央部に限られるものではない。
【0045】
例えば、図8に示すように、搬送用レール22は、図示D1方向において作業床Laの一側部に沿って延びるように配置することもできる。ここで、搬送用レール22は、H形鋼のフランジFaおよびFbに直接固定することができる。また、図1に示すアシスト装置の吊り金具9に搬送用レール22の先端部を固定することもできる。このように、アシスト装置は、挟持部1aおよび1bの側壁部4aに沿うように、吊り金具3dとは別の吊り金具9が配置されているため、搬送用レール22を横行用レール11と共に固定することができる。
このようにして、H形鋼およびアシスト装置に強固に固定された搬送用レール22に沿って、追加される複数の作業床Lbを設置済みの作業床Laに連結される先頭位置まで安全に搬送することができる。
【0046】
実施の形態3
上記の実施の形態1および2において、シスト装置が、2つのH形鋼に取り付けられたが、作業における荷重物を取り付けて移動させることができればよい。
【0047】
例えば、図9に示すように、アシスト装置31a,31b,31cおよび31dを2つのH形鋼に取り付けることができる。ここで、一方のH形鋼にアシスト装置31aおよび31bが移動方向D2に並ぶように配置され、他方のH形鋼にアシスト装置31cおよび31dが移動方向D2に並ぶように配置されている。
【0048】
また、アシスト装置31aおよび31bとアシスト装置31cおよび31dとの間を延びるように手摺部32が配置され、その一端部がアシスト装置31aおよび31bに固定
されると共に他端部がアシスト装置31cおよび31dに固定されている。
また、アシスト装置31a~31dの下側には、2つの作業床33が配置されている。そして、アシスト装置31a~31dと作業床33との間を延びるように柱部34が配置され、その一端部がアシスト装置31a~31dに固定されると共に他端部が作業床33に固定されている。
【0049】
また、作業床33の側縁部に沿って矩形状に囲むように形成された壁部35が配置されている。
さらに、アシスト装置31aおよび31bとアシスト装置31cおよび31dとの間には、回転可能に配置された扉部36が配置されている。
【0050】
このような構成により、扉部36を回転させて作業床33上に作業者が乗ることができ、アシスト装置31a~31dを移動方向D2に移動させることにより作業者を所望の場所まで安全に運ぶことができる。
本実施の形態によれば、作業者を乗せるための搭乗台をアシスト装置31a~31dに取り付けることにより、作業者を安全に所望の場所まで移動させることができる。
【0051】
なお、上記の実施の形態1~3では、挟持部1aおよび1bは、H形鋼のフランジFaおよびFbに挟持されたが、互いに反対方向に突出する一対のフランジFaおよびFbに挟持させることができればよく、H形鋼に限られるものではない。
また、上記の実施の形態1~3では、挟持部1aおよび1bは、平板形状のフランジFaおよびFbに挟持されたが、ランジFaおよびFbに挟持させることができればよく、平板形状に限られるものではない。
【0052】
また、上記の実施の形態1~3では、案内部2は、挟持部1aを挟持部1b側へスライドさせるように構成されたが、挟持部1aおよび1bのうち少なくとも一方を図示D1方向にスライドさせることができればよく、挟持部1aに限られるものではない。例えば、案内部2は、挟持部1aおよび1bの両方をスライドさせるように構成することができる。
【0053】
また、上記の実施の形態1~3では、付勢部3は、作業に用いる荷重物の荷重により挟持部1aおよび1bを互いに近付けるように付勢したが、下方への荷重により挟持部1aおよび1bを互いに近付けるように付勢することができればよく、作業に用いるものに限られるものではない。例えば、作業に用いる荷重物である搬送用レール22は吊り金具9に固定し、付勢部3の吊り金具3dにはバラストを吊り下げることができる。これにより、搬送用レール22を固定しつつ、バラストの荷重により挟持部1aおよび1bをフランジFaおよびFbに挟持させることができる。
【0054】
また、上記の実施の形態1~3では、付勢部3は、荷重物の荷重により挟持部1aおよび1bを互いに近付けるように付勢したが、付勢部3の自重により挟持部1aおよび1bを互いに近付けるように付勢することもできる。
なお、図示D1方向は、橋梁(フランジFaおよびFb)の延長方向に直交する方向であって、挟持部1aおよび1bの移動方向D2に直交する方向を示している。
【符号の説明】
【0055】
1a,1b 挟持部
2 案内部
2a 固定筒部
2b スライド筒部
2c スライド固定部
3 付勢部
3a,3b 腕部
3c 荷重支持部
3d 吊り金具
4a 側壁部
4b 上壁部
4c 下壁部
5a,5b,5c 移動用車輪
6a,6b,6c 浮止め用車輪
7a,7b,7c 幅決め用車輪
8 弾性部
9 吊り金具
10a,10b,31a,31b,31c,31d アシスト装置
11 横行用レール
12a,12b,22a,22b トロッコ
21 レール支持部
22 搬送用レール
32 手摺部
33 作業床
34 柱部
35 壁部
36 扉部
Fa,Fb フラン
La,Lb 作業床
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9