(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-28
(45)【発行日】2023-07-06
(54)【発明の名称】半導体素子試験装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20200101AFI20230629BHJP
【FI】
G01R31/26 A
G01R31/26 H
(21)【出願番号】P 2020091079
(22)【出願日】2020-05-26
【審査請求日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】P 2019104417
(32)【優先日】2019-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019110761
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019125857
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019144994
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】598014825
【氏名又は名称】株式会社クオルテック
(72)【発明者】
【氏名】阪田 茂男
(72)【発明者】
【氏名】梶西 孝博
(72)【発明者】
【氏名】木原 誠一郎
(72)【発明者】
【氏名】高原 博司
【審査官】越川 康弘
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108919085(CN,A)
【文献】特開平11-186689(JP,A)
【文献】特開2019-009377(JP,A)
【文献】特開2015-126342(JP,A)
【文献】特表2014-531752(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107991597(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端子と第2の端子を有する半導体素子を試験する半導体素子試験装置であって、
前記半導体素子を配置する
加熱冷却プレートと、
前記
加熱冷却プレートの周囲に配置された漏水センサと、
第3の端子と第4の端子を有し、試験電流または試験電圧を供給する電源装置と、
第1のフォークプラグと、
第2のフォークプラグと、
第1のスイッチ回路が実装または形成された
第1のスイッチ回路基板と、
第2のスイッチ回路が実装または形成された第2のスイッチ回路基板と、
前記
第1のスイッチ回路基板に取り付けられた第1の導体板と、
前記
第1のスイッチ回路基板に取り付けられた第2の導体板と、
前記第2のスイッチ回路基板に取り付けられた第3の導体板と、
前記第2のスイッチ回路基板に取り付けられた第4の導体板を具備し、
前記第1の端子と前記
第1のフォークプラグとが接続され、
前記第2の端子と前記第4の端子とが接続され、
前記第3の端子と前記
第2のフォークプラグとが接続され、
前記
第1のフォークプラグの先端部が前記第1の導体板と嵌合され、
前記第2のフォークプラグの先端部が前記第4の導体板と嵌合され、
前記第4の端子と前記第
3の導体板とが接続され、
前記第3の端子と前記第2の導体板とが接続され、
前記
加熱冷却プレートは第1の室に配置され、前記
第1のスイッチ回路基板
および前記第2のスイッチ回路基板は前記第1の室より下側の第2の室に配置され、
前記漏水センサの動作により、半導体素子試験装置を停止させる動作と警報を発する動作のうち、少なくとも一方の動作を行い、
前記
第1のスイッチ回路は、前記第1の導体板と前記第2の導体板間を短絡する第1の動作と、前記第1の導体板と前記第2の導体板間をオープンにする第2の動作を行
い、
前記第2のスイッチ回路は、前記第3の導体板と前記第4の導体板間を短絡する第1の動作と、前記第3の導体板と前記第4の導体板間をオープンにする第2の動作を行うことを特徴とする半導体素子試験装置。
【請求項2】
第1の端子と第2の端子を有する半導体素子を試験する半導体素子試験装置であって、
第3の端子と第4の端子を有し、試験電流または試験電圧を供給する電源装置と、
接続部材と、
複数の開口部を有する挿入板と、
第1のスイッチ回路が実装または形成された
第1のスイッチ回路基板と、
第2のスイッチ回路が実装または形成された第2のスイッチ回路基板と、
前記
第1のスイッチ回路基板に取り付けられた第1の導体板または導体棒と、
前記
第1のスイッチ回路基板に取り付けられた第2の導体板または導体棒
と、
前記第2のスイッチ回路基板に取り付けられた第3の導体板または導体棒と、
前記第2のスイッチ回路基板に取り付けられた第4の導体板または導体棒を具備し、
前記第1の端子と前記接続部材とが接続され、
前記第2の端子と前記第4の端子とが接続され、
前記第3の端子と前記第2の導体板または導体棒とが接続され、
前記第3の端子と前記第4の導体板または導体棒とが接続され、
前記挿入板の複数の開口部のいずれかを選択し、前記選択した開口部に前記接続部材を挿入することにより、
前記接続部材は前記
第1のスイッチ回路基板
の前記第1の導体板または導体棒、または前記第2のスイッチ回路基板の前記第3の導体板または導体棒と接続され、
前記接続部材の先端部は、前記
第1のスイッチ回路基板の第1の導体板または導体棒
、または前記第2のスイッチ回路基板の第3の導体板または導体棒と嵌合され、
前記
第1のスイッチ回路は、前記第1の導体板または導体棒と前記第2の導体板または導体棒間とを短絡する第1の動作と、前記第1の導体板または導体棒と前記第2の導体板または導体棒間をオープンにする第2の動作を行
い、
前記第2のスイッチ回路は、前記第3の導体板または導体棒と前記第4の導体板または導体棒間とを短絡する第1の動作と、前記第3の導体板または導体棒と前記第4の導体板または導体棒間をオープンにする第2の動作を行うことを特徴とする半導体素子試験装置。
【請求項3】
第1の端子と第2の端子を有する半導体素子を試験する半導体素子試験装置であって、
第3の端子と第4の端子を有し、試験電流または試験電圧を供給する電源装置と、
接続部材と、
複数の開口部を有する挿入板と、
第1の基板と、
第1のスイッチ回路が実装または形成された
第1のスイッチ回路基板と、
第2のスイッチ回路が実装または形成された第2のスイッチ回路基板と、
前記
第1のスイッチ回路基板に取り付けられた第1の導体板または導体棒と、
前記
第1のスイッチ回路基板に取り付けられた第2の導体板または導体棒
と、
前記第2のスイッチ回路基板に取り付けられた第3の導体板または導体棒と、
前記第2のスイッチ回路基板に取り付けられた第4の導体板または導体棒を具備し、
前記第1の基板に、前記
第1のスイッチ回路基板が接続され、
前記第1の基板に、前記第2のスイッチ回路基板が接続され、
前記
第1のスイッチ回路基板
と前記第2のスイッチ回路基板の位置に基づいて、前記挿入板に前記複数の開口部が配置され、
前記第2の端子と前記第4の端子とが接続され、
前記第1の端子と前記接続部材とが接続され、
前記第3の端子と前記第2の導体板または導体棒とが接続され、
前記第3の端子と前記第4の導体板または導体棒とが接続され、
前記接続部材は前記挿入板の開口部に挿入され、前記接続部材の先端部は、前記開口部に位置する
前記第1のスイッチング基板の第1の導体板または導体棒
、または前記第2のスイッチング基板の第3の導体板または導体棒と嵌合され、
前記
第1のスイッチ回路は、前記第1の導体板または導体棒と前記第2の導体板または導体棒間とを短絡する第1の動作と、前記第1の導体板または導体棒と前記第2の導体板または導体棒間をオープンにする第2の動作を行
い、
前記第2のスイッチ回路は、前記第3の導体板または導体棒と前記第4の導体板または導体棒間とを短絡する第1の動作と、前記第3の導体板または導体棒と前記第4の導体板または導体棒間をオープンにする第2の動作を行うことを特徴とする半導体素子試験装置。
【請求項4】
第1の端子と第2の端子を有する半導体素子を試験する半導体素子試験装置であって、
第3の端子と第4の端子を有し、試験電流または試験電圧を供給する電源装置と、
前記半導体素子117を配置する
加熱冷却プレートと、
第1の接続構造体と、
第2の接続構造体と、
第1の接続部材と、
第2の接続部材と、
第1のスイッチ回路が実装または形成された
第1のスイッチ回路基板と、
第2のスイッチ回路が実装または形成された第2のスイッチ回路基板と、
前記
第1のスイッチ回路基板に取り付けられた第1の導体板または導体棒と、
前記
第1のスイッチ回路基板に取り付けられた第2の導体板または導体棒
と、
前記第2のスイッチ回路基板に取り付けられた第3の導体板または導体棒と、
前記第2のスイッチ回路基板に取り付けられた第4の導体板または導体棒を具備し、
前記第1の接続構造体と前記第1の接続部材が接続され、
前記第2の接続構造体と前記第2の接続部材が接続され、
前記第1の接続
部材は前記
第1のスイッチ回路基板の第1の導体板または導体棒と
嵌合され、
前記第2の接続部材は前記第2のスイッチ回路基板の第3の導体板または導体棒と嵌合され、
前記半導体素子の第1の端子と前記第1の接続構造体が接続され、
前記半導体素子の第2の端子と前記第2の接続構造体が接続され、
前記第1のスイッチ回路基板の第2の導体板または導体棒と、前記第3の端子が接続され、
前記第2のスイッチ回路基板の第4の導体板または導体棒と、前記第3の端子が接続され、
前記第2の
スイッチ回路基板の第3の導体板または導体棒と、前記第4の端子とが接続され、
前記
第1のスイッチ回路は、前記第1の導体板または導体棒と前記第2の導体板または導体棒間とを短絡する第1の動作と、前記第1の導体板または導体棒と前記第2の導体板または導体棒間をオープンにする第2の動作を行
い、
前記第2のスイッチ回路は、前記第3の導体板または導体棒と前記第4の導体板または導体棒間とを短絡する第1の動作と、前記第3の導体板または導体棒と前記第4の導体板または導体棒間をオープンにする第2の動作を行うことを特徴とする半導体素子試験装置。
【請求項5】
接続部材は、フォークプラグであり、
前記第1の導体板または導体棒は、前記
第1のスイッチ回路基板から、はみ出る第1の部分を有し、
前記フォークプラグの先端部が前記第1の部分と嵌合することを特徴とする請求項2または請求項3記載の半導体素子試験装置。
【請求項6】
前記挿入板は、複数の開口部を有する第1の挿入板と、複数の開口部を有する第2の挿入板から構成され、
前記第1の挿入板と、前記第2の挿入板との高さ位置が異なり、
前記第1の挿入板の開口部に挿入した接続部材に
第1の接続配線
が接続され、前記第2の挿入板の開口部に挿入した接続部材に
第2の接続配線が接続され
、前記第1の接続配線と前記第2の接続配線とが、略平行に配置されることを特徴とする請求項2または請求項3記載の半導体素子試験装置。
【請求項7】
前記半導体素子はゲート端子を有し、
前記ゲート端子に駆動電圧を印加するゲートドライバ回路を、
更に具備し、
前記ゲートドライバ回路は、前記駆動電圧の立ち上がり波形の傾斜と立ち下がり波形の傾斜を設定できることを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3または請求項4記載の半導体素子試験装置。
【請求項8】
前記第1の接続構造体にヒートパイプが取り付けられ、
前記第1の接続構造体に凹部が形成され、
前記凹部に
前記ヒートパイプが配置され、
前記第1の接続構造体の線膨張率は、前記ヒートパイプの線膨張率よりも小さい材料で構成され、
前記第1の端子および前記第2の端子は、第1の電極面と第2の電極面とを有し、
前記第1の接続構造体は、接続保持部と接続圧力部を有し、
前記接続保持部は、前記第1の電極面と接触し、
前記接続圧力部は、前記第2の電極面と接触し、
前記第1の接続構造体と前記第2の電極面とは絶縁され、前記第1の電極面を介して
前記試験電流
または試験電圧が供給されることを特徴とする請求項4記載の半導体素子試験装置。
【請求項9】
前記
第1のスイッチ回路基板に、複数の
第1のスイッチ回路が実装または形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3または請求項4の半導体素子試験装置。
【請求項10】
前記半導体素子は
加熱冷却プレートに配置され、
前記
加熱冷却プレートの周囲に漏水センサが配置され、
前記漏水センサの動作により、半導体素子試験装置を停止させる動作と警報を発する動作のうち、少なくとも一方の動作を行うことを特徴とする請求項2または請求項3または請求項4記載の半導体素子試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SiC、IGBT、MOS-FET、Gan-FET、バイポーラトランジスタ、抵抗素子等の電気素子のパワーサイクル試験を行う電気素子試験装置、電気素子の試験方法等に関するものである。
【0002】
半導体素子の実使用環境、実使用状態での故障モードに近いストレスを効率よく再現でき、高い精度でパワー半導体素子等の評価、試験を行うことができる電気素子試験装置および電気素子の試験方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
パワー半導体素子の寿命には、パワー半導体素子自体の発熱に起因した熱疲労現象による寿命と、パワー半導体素子の外部環境の温度変化に起因した熱疲労現象による寿命とがある。また、パワー半導体素子のゲート絶縁膜への印加電圧による電圧疲労による寿命等がある。
【0004】
一般的に、パワー半導体素子の寿命試験は、パワー半導体素子に通電オンオフを繰り返すことが行われている。パワー半導体素子のエミッタ端子(ソース端子)、コレクタ端子(ドレイン端子)等に電圧を印加し、また、試験電流を流し、ゲート端子に周期的なオンオフ信号(動作/非動作信号)を印加することにより半導体素子の試験が実施される。
【0005】
試験時に半導体素子に印加する電流は数百アンペアと大きい。そのため、発熱、電圧降下をさけるため低抵抗の接続配線等を必要とする。また、試験も多くの種類があり、試験の種類に対応させて接続配線の接続を変更する必要がある。接続配線の変更等に長時間を必要としていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
トランジスタ等の半導体素子を試験するために印加する定電流は数百A以上の電流のため、接続配線は低抵抗の太い線材を使用する必要がある。
太い接続配線は硬く、柔軟性がない。試験項目に対応させる時の太い線材の接続配線の接続変更は、長時間を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の半導体素子試験装置は、試験をするトランジスタ117等を配置する半導体素子試験装置内の箇所(スペース)と、前記トランジスタ117等の試験電流の発生、制御信号の発生、試験結果の取得をする回路基板の配置箇所とを分離している。分離のための隔壁を設けている。
【0009】
なお、本明細書、本図面等において、接続部に用いるプラグ等の部材を接続プラグあるいはフォークプラグとして説明をする。接続プラグあるいはフォークプラグに限定するものではなく、脱着可能で、電気的接続が実現できるものであれば、いずれの形態、構成あるいは構造の部材でも良い。
【0010】
前記試験をするトランジスタと、スイッチ回路等を有する回路基板との接続は、隔壁214に設けた開口部216を介して、接続プラグ(フォークプラグ)205を挿入し、前記接続プラグ(フォークプラグ)215と前記回路基板に有する導体板204とを電気的に接触させることにより行う。
【発明の効果】
【0011】
トランジスタ117等を配置する半導体素子試験装置内の箇所(スペース)と、前記トランジスタ117等の試験電流の発生、制御信号の発生、試験結果の取得をする回路基板の配置箇所を分離する隔壁214、隔壁215を設けている。
【0012】
隔壁214等にはノイズを吸収するシールド板、シールドフィルム等を形成または配置する。シールド板等により、電源装置、試験回路、試験半導体素子の誤動作を抑制できる。
隔壁214に設けた開口部216を介して、フォークプラグ205を挿入し、前記フォークプラグ205と回路基板に有する導体板204とを接続する。
【0013】
試験を実施するいずれの半導体素子117と試験回路と接続するかは、開口部216に挿入するフォークプラグ205の位置を変更することにより、容易に変更することができる。また、フォークプラグ205は導体板204と適正な圧力で電気的接続を取ることができるため、ナット等のように締め付けトルクの管理も不要である。
【0014】
試験項目ごとの接続配線211の接続作業、あるいは接続変更は、フォークプラグ205位置の変更で行うため、容易であり、接続配線211、電源配線212の接続変更の時間を大幅に短縮できる。また、配線の接続変更のための作業スペース、接続配線211の配線スペースを必要としない。したがって、半導体素子試験装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の半導体素子試験装置のブロック図および説明図である。
【
図2】本発明の半導体素子試験装置の構成図である。
【
図3】試験をする半導体素子の説明図および等価回路図である。
【
図4】本発明の半導体素子試験装置のブロック図および説明図である。
【
図5】本発明の半導体素子試験装置の説明図および構成図である。
【
図6】本発明の半導体素子試験装置の説明図および構成図である。
【
図7】本発明のヒートパイプ部の説明図および構成図である。
【
図8】本発明のヒートパイプ部の説明図および構成図である。
【
図9】本発明の半導体素子の取り付け部の説明図および構成図である。
【
図10】本発明の半導体素子の取り付け部の説明図および構成図である。
【
図11】本発明の半導体素子の取り付け部の説明図および構成図である。
【
図12】本発明の半導体素子の取り付け部の説明図および構成図である。
【
図13】本発明の半導体素子試験装置の電気的接続部の説明図である。
【
図14】本発明の半導体素子試験装置の電気的接続部の説明図および構成図である。
【
図15】本発明の半導体素子試験装置の電気的接続部の説明図および構成図である。
【
図16】本発明の半導体素子試験装置の電気的接続部の説明図および構成図である。
【
図17】本発明の半導体素子試験装置の説明図およびブロック図である。
【
図18】本発明の半導体素子試験装置の説明図および構成図である。
【
図19】本発明の半導体素子の試験方法のタイミングチャート図である。
【
図20】本発明の半導体素子試験装置の電気回路部の説明図である。
【
図21】本発明の半導体素子試験装置の電気回路部の説明図である。
【
図22】本発明の半導体素子試験方法の説明図である。
【
図23】本発明の半導体素子試験方法の説明図である。
【
図24】本発明の半導体素子試験方法の説明図である。
【
図25】本発明の半導体素子試験方法の説明図である。
【
図26】本発明の半導体素子試験方法の説明図である。
【
図27】本発明の半導体素子装置のブロック図およびタイミングチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係る電気素子の試験装置および試験方法を説明する。
明細書で記載する実施形態では、電気素子としてのパワー半導体素子のうち、主としてIGBTを例にとって説明する。
【0017】
本発明はIGBTに限定されるものではなく、SiCトランジスタ、MOSFET、JFET、サイリスタ、ダイオード、サーミスタ、ポジスタ等の各種の半導体素子に適用することができる。
【0018】
また、本発明は、半導体素子に限定されるものではなく、たとえば、抵抗素子、コンデンサ、コイル、水晶素子、ZNR等の半導体以外の電気素子にも本発明が適用できることは言うまでもない。
【0019】
発明を実施するための形態を説明するための各図面において、同一の機能あるいは類似性を有する要素は同一の符号を付する。説明に不要な事項は図面から省略する。また、説明を容易にするため図面等を簡略化あるいは模式化する場合がある。明細書においても説明を省略する場合がある。
本発明の実施例は、それぞれの実施例と組み合わせることができ、変更することができる。
【0020】
図2は本発明の半導体素子試験装置の構成図および説明図である。
図2(a)に図示するように本発明の半導体素子試験装置は、筐体210、チラー(冷却・加温装置)136と、加熱冷却プレート134、加熱冷却プレート134とチラー136間を循環する循環水パイプ135を有する。加熱冷却プレート134には、試験をするトランジスタ117等が加熱冷却プレート134と密着して配置される。
【0021】
試験をするトランジスタ117の温度情報Tjが所定値となるように、制御回路133は、電流Id、ゲート電圧Vg、電圧Vceを変化させて試験の条件を設定し、試験を実施する。
【0022】
温度情報Tjが変化あるいは所定値まで変化すると、トランジスタ117が劣化あるいは特性が変化していると判断し、トランジスタ117の試験を停止、あるいは制御方法を変更する。
【0023】
例えば、温度情報Tjの変化で、トランジスタ117の特性変化を判定あるいは判定する。また、電圧Vceが所定電圧になる時間、トランジスタ117の破壊までの時間等からトランジスタ117の特性変化、信頼性、寿命を評価する。
【0024】
本発明の半導体の試験方法において、トランジスタ117の劣化あるいは特性変化にあわせて外部条件を変える。例えば、トランジスタ117が発熱した場合は水温を下げる。水温を下げる、あるいはトランジスタ117に流れる電流を少なくすると、トランジスタ117の劣化、特性変化が進まず、結果、トランジスタ117の寿命が延びる。したがって、所定設定条件に対するトランジスタ117の寿命、信頼性特性を定量的に測定、判断することができる。
【0025】
チラー136の循環水を加温または冷却することにより、トランジスタ117の温度を規定値あるいは所定値に維持する。また、試験条件に対応してトランジスタ等の温度を周期的に変化させ、また、一定に冷却し、または加熱する。また、試験トランジスタの温度情報Tjを測定し、測定した温度情報Tjを一定値に維持するように、チラー136を制御する。
【0026】
チラー136は、水や熱媒体の液温度を管理しながら、熱媒体等を循環させることにより、機器等の温度を一定に保つ。チラー136は主に冷却に用いる場合が多いが、冷やすだけでなく温めることもできる。チラー136は、様々な温度の制御を実施できるように構成されている。
【0027】
図2(b)に図示するように、隔壁217には、
図7、
図9、
図11等で説明する接続構造体218を挿入する開口部216が配置されている。隔壁215には電源配線212を挿入する穴が配置されている。
【0028】
制御ラック131には、半導体素子117に試験電流、試験電圧を供給する電源装置132と、半導体素子117等を制御あるいは試験条件を設定する制御回路133を有している。
【0029】
半導体素子117の温度情報Tjが所定値となるように、制御回路133は、電流Id、ゲート電圧Vg、電圧Vceを変化させて試験の条件を設定し、試験を実施する。
制御回路133は、電源装置132を制御し、電源装置132は、試験をする半導体素子117に試験電圧または電流を供給する。
【0030】
温度情報Tjが変化あるいは所定値まで変化すると、半導体素子117が劣化あるいは特性が変化していると判断し、半導体モジュール117、半導体素子117の試験を停止、あるいは、試験方法、制御方法を変更する。
【0031】
チラー136の循環水を加温または冷却することにより、半導体素子117の温度を規定値あるいは所定値に維持する。また、試験条件に対応して半導体素子等の温度を周期的に変化させ、また、一定に冷却し、または、加熱する。また、半導体素子117の温度情報Tjを測定し、測定した温度情報Tjを一定値に維持するように、チラー136を制御する。
【0032】
本発明の半導体素子試験装置および半導体素子の試験方法は、一例として
図3に図示するような多種多様な半導体素子117、半導体モジュール117に対応できる。
図3の半導体素子117は、大電流が印加あるいは出力される端子P電極端子、O電極端子、N電極端子を有する。
図3は半導体素子の概観図と等価回路図である。
図3(a1)(a2)は、1つのトランジスタ117とダイオードDiを有する構成である。
【0033】
図3(b1)(b2)は、トランジスタ117(トランジスタ117m、トランジスタ117s)とダイオードDi(ダイオードDim、ダイオードDis)を有する構成である。
【0034】
図3(c1)(c2)は、トランジスタ117(トランジスタ117mまたはトランジスタ117s)とダイオードDi(ダイオードDimまたはダイオードDis)を有する半導体素子の端子を接続することにより、複数のトランジスタを連結して試験を行う構成である。
【0035】
図3(d1)(d2)は、トランジスタ117(トランジスタ117m、トランジスタ117s)とトランジスタの端子と独立した端子を持つダイオードD(ダイオードDs、ダイオードDm)を有する構成である。
【0036】
図3(e1)(e2)は、トランジスタ117(トランジスタ117mまたはトランジスタ117s)とトランジスタの端子と独立した端子を持つダイオードD(ダイオードDmまたはダイオードDs)を有する半導体素子の端子を接続することにより、複数のトランジスタを連結して試験を実施する構成である。
以下の実施例では、主として
図3に図示する半導体素子117を例示して説明をする。
図1は本発明の半導体素子試験装置のブロック図および説明図である。
【0037】
図1において、1台の電源装置121を図示している。電源装置121は1台に限定されるものではない。例えば、本発明の半導体素子試験装置において、2台以上の電源装置121を保有させてもよい。電源装置121の台数が増加するほど、多種多様な電流波形Idを発生させることができる。
本発明の実施例において、電源装置121として説明するが、電源装置121は定電流を出力するものに限定されるものではない。
【0038】
例えば、電源装置121に最大(リミット)電圧を設定できるものを使用する。一定の条件で、設定された最大電圧において、所定の定電流を出力できるように機能させることが例示される。また、定電流を出力する場合に、出力端子電圧を所定の最大電圧を設定できる構成にされることが例示される。
【0039】
電源装置132は、トランジスタ117を試験するための大電流の定電流を出力する。電源装置132は、コントロール回路基板(コントローラ)111からの制御信号に同期させて電力(電流、電圧)を供給する。電源装置132は、出力する最大電圧値を設定することができる。
スイッチ回路122(SWa)は、電源装置132が出力する定電流の供給をオン(供給、印加)オフ(遮断、オープン)させる機能を有する。
本発明の半導体素子試験装置において、電源装置132は1台に限定されるものではない。2台以上の電源装置132を保有させてもよい。
【0040】
本発明の実施例において、接続プラグ205として、フォークプラグを例示して説明をする。トランジスタ117のコレクタ端子に接続されたフォークプラグ205e、電源装置132の一端子に接続されたフォークプラグ205dのように、各接続配線211、各電源配線212の一端にフォークプラグ205を接続して、導体板204と接続する。
【0041】
なお、本明細書、図面において導体板204として説明するが、板に限定されるものではなく、棒状のものであってもよい。フォークプラグ205等の構造物と接合できるものであればいずれの形状等であってもよい。たとえば、ソケット、コネクタ等の構造物であってもよい。また、導体板204をフォークプラグ形状とし、フォークプラグ205と前記フォークプラグとを接続してもよい。
本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、フォークプラグ205dがなく、電源配線212を直接に導体板204cと電気的に接続してもよい。
【0042】
本発明は、試験を実施するトランジスタ117の少なくとも1つの端子にフォークプラグ205を形成、または配置し、フォークプラグ205と導体板204等の接続対象と電気的接続を取るものであれば、いずれの構成であっても良い。
【0043】
フォークプラグ205は隔壁214等の空間を分離する構成物あるいは構造に、フォークプラグ205を挿入するとして説明する。しかし、これに限定するものではない。たとえば、導体板204bにフォークプラグ205cを接続し、フォークプラグ205cを隔壁214から挿入して、トランジスタ117の一端子(エミッタ端子e)と電気的に接続してもよい。
【0044】
本発明の半導体素子試験装置の隔壁214、隔壁215、隔壁217は、空間あるは領域を区分あるいは分離するものであればいずれのものであっても良い。壁状、板状、メッシュ状、フィルム状、箔状等、多種多様な構成あるいは構造が該当する。
【0045】
フォークプラグ205は、導体板204等の対象物に圧入、圧接、挿入、圧着、挟持等により電気的に接続ができる構成、構造、形態、形式、方法のいずれのものであっても良い。
以上の事項は、本明細書、図面に記載する他の実施例にも適用されることはいうまでもない。また、他の実施例と組合せできることも言うまでもない。
【0046】
トランジスタ117に流す試験電流Idは電源装置132を動作させることにより供給する。電源装置132はコントロール回路基板(コントローラ)111からの信号により動作/非動作(オン/オフ)制御される。また、電流Idの出力と非出力とが切り替えられる。デバイス制御回路基板209はコントロール回路基板(コントローラ)111によりタイミング制御される。
【0047】
図1において、試験を行うトランジスタ117は、
図3(a)に図示するダイオードDiを有するものを例示して説明する。なお、本発明の半導体素子試験装置および半導体素子の試験方法では、
図3(b)、
図3(d)ように、1パッケージに複数個のトランジスタを有する半導体素子117、
図3(c)、
図3(e)のように、複数のトランジスタ素子を接続した半導体モジュール117であっても本実施例が適用できることは言うまでもない。
【0048】
トランジスタ117のエミッタ端子eは接地(グランド)されているとして説明をする。トランジスタ117のゲート端子gには、ゲートドライバ回路113が接続されている。
【0049】
サンプル接続回路203は、ゲートドライバ回路113、可変抵抗回路125、定電流回路118、オペアンプ(バッファ回路)116が配置または形成されている。
【0050】
サンプル接続回路203は、試験を行うトランジスタ117に近い位置に配置できるように、デバイス制御回路基板209から分離され、コネクタ208で電気的に接続されている。
【0051】
サンプル接続回路203は、コネクタ202の接続ピン206でトランジスタ117と接続されている。ゲートドライバ回路113とトランジスタ117のゲート端子g間は、30mm以下の短距離となるように配置されている。ゲートドライバ回路113とトランジスタ117のゲート端子g間が長いとゲート端子gにノイズ等が重畳され、ノイズによりトランジスタ117が誤動作する。
【0052】
図1に図示すようにゲートドライバ回路113からトランジスタ117のゲート端子gに試験信号を印加する。ゲートドライバ回路113はオペアンプ回路を有している。
【0053】
図5に図示するように、デバイス制御回路基板209は半導体素子試験装置の筐体210のB室に配置される。筐体210は電源装置132、駆動回路系、加熱冷却プレート134等が組み込まれている。
【0054】
サンプル接続回路203は、試験するトランジスタ117に近い位置に配置するため、半導体素子試験装置の筐体210のC1室に配置される。サンプル接続回路203は筐体210の側面に配置されたコネクタ208と接続される。コネクタ208の接続ピン206に接続された配線は、B室のデバイス制御回路基板209と接続されている。
【0055】
サンプル接続回路203はコネクタ208の接続ピン206によりデバイス制御回路基板209と接続されている。サンプル接続回路203は試験する各トランジスタ117に対応して個別に配置され、サンプル接続回路203はコネクタ202等により容易に取り外しが可能なように構成されている。
【0056】
定電流回路118はトランジスタ117のチャンネル間に配置または形成されたダイオードDiに定電流Icを供給する。オペアンプ回路116はダイオードDiの端子電圧をバッファリング(出力インピーダンスを低く)し、Vi電圧として出力する。Vi電圧は、温度測定回路115でアナログ-デジタル変換される。
【0057】
ダイオードDiの端子電圧Viは温度測定回路115に印加される。温度測定回路115は端子電圧Viからトランジスタ117の温度情報Tjを求め、コントロール回路基板111に転送する。温度情報はデバイス制御回路基板209のコネクタ213からマザー基板207に出力され、コントロール回路基板111に送られる。
【0058】
ゲートドライバ回路113は、設定された周波数(オンオフ周期)、設定されたオン電圧をトランジスタ117のゲート端子に印加する。一例として、
図27(b)に図示するように、トランジスタ117のオンオフ周期はtcycleであり、オン時間はtonである。
【0059】
ゲートドライバ回路113から出力されるVg信号電圧により、トランジスタ117は動作/非動作(オンオフ)動作し、トランジスタ117がオンしている期間にトランジスタ117のチャンネル間に電流Idが流れる。
【0060】
ゲートドライバ回路113は、可変抵抗回路125を有している。可変抵抗回路125の抵抗値Vrは、0(Ω)から500(Ω)間で、一定電圧、あるいは時間的に変化する電圧に設定できるように構成されている。
【0061】
トランジスタ117のゲート端子gとエミッタ端子eまたは、コレクタ端子c間に抵抗R(図示せず)を配置してもよい。抵抗Rの値を調整することにより、ゲート信号の立ち上がりおよび立ち下がり電圧波形の傾斜角度を調整できる。
【0062】
ゲートドライバ回路113は、トランジスタ117のゲート端子gに印加するゲート電信号の立ち上がり波形の傾斜(立ち上がり時間Tr)と立ち下がり波形の傾斜(立ち下がり時間Td)を設定できる。立ち上がり時間Trと立ち下がり時間Tdを別々に調整することによりトランジスタ117のオン時間、オン特性を所定値に制御する。
【0063】
以上のように、本発明の半導体素子試験装置および試験方法は、トランジスタ117のゲート端子に接続された可変抵抗回路の抵抗値、あるいはゲートドライバ回路113の立ち上がり時間/立ち下がり時間を制御、あるいは調整または設定することができる。
【0064】
図1等において、ゲートドライバ回路113の可変抵抗回路125の抵抗値Vrは、可変としたがこれに限定するものではない。例えば、可変抵抗回路125を外付け抵抗とし、この抵抗をコネクタ(図示せず)等によりトランジスタ117のゲート端子に接続してもよいことは言うまでもない。
【0065】
定電流回路118は、所定の定電流Icを流す。定電流IcはダイオードDiに印加される。トランジスタ117の温度が変化するとダイオードDiの端子電圧が変化する。ダイオードDiの端子電圧をモニターすることにより、トランジスタ117の温度変化を測定あるいは観察することができる。
【0066】
ダイオードDiはトランジスタ117が形成された半導体チップに実装された別の半導体チップのダイオードであってもよい。ダイオードDiは、トランジスタ117の形成時に副次的に形成される寄生ダイオードを利用してもよい。
【0067】
定電流Icでトランジスタ117が発熱することを防止するため、定電流Icはトランジスタ117のチャンネルに流す定電流Idよりも十分に小さい電流値にする。
【0068】
具体的には、定電流Icは試験時にトランジスタ117に流す電流Idの1/1000以下に設定する。好ましくは、トランジスタ117に流す電流Icは電流Idの1×106の1以上1×104の1以下にする。定電流Icは0.1mA以上100mA以下にする。
【0069】
チャンネル電流Idを変化させ、ダイオードDi電圧(トランジスタ117のコレクタ-エミッタ端子間電圧)を測定して、温度係数Kを求める。求められた温度係数Kは、温度測定回路115またはコントローラ111に記憶させる。
【0070】
温度係数Kは、トランジスタ117を加熱冷却プレート134で所定温度にし、ダイオードDiに定電流Icを流して、端子電圧を測定する。前記所定温度を変化させ、かつ、ダイオードDiの端子電圧を測定することにより、トランジスタ117の温度に対するダイオードDiの端子電圧を取得できる。したがって、温度に対するダイオードDiの端子電圧からトランジスタ117の温度係数Kを求めることができる。
【0071】
定電流Icは、チャンネル電流Idが流れていない時にダイオードDiに流す。つまり、トランジスタ117がオンしていない時に、定電流Icを流してダイオードDiの端子間電圧を測定する。
オペアンプ回路(バッファ回路)116は、ダイオードDiの端子電圧Vi(端子c-端子e)を出力する。
【0072】
なお、オペアンプ回路116は、オペアンプ素子から構成されるものに限定されない。入力インピーダンスよりも出力インピーダンスが低いものであればいずれのものでもよい。
温度測定回路115は保持されている温度係数Kと電圧Viから、試験を実施しているトランジスタ117の温度情報Tjを求める。
【0073】
求められた温度情報Tjはコントロール回路基板(コントローラ)111に送られる。コントロール回路基板(コントローラ)111は、温度情報Tjが所定設定値以上になった場合、トランジスタ117が所定のストレス状態、あるいは劣化状態となったと判断し、試験の制御変更あるいは試験の停止等を行う。
【0074】
図1等の実施例において、スイッチ回路Ssa124a、スイッチ回路Sab124bはスイッチ回路の記号を使用している。スイッチ回路Ssa124a、スイッチ回路Sab124b等のスイッチ回路124は、クローズ(オン)した時の抵抗(オン抵抗)が小さいものであれば、スイッチ回路として使用できる。例えば、トランジスタ、メカニカルリレー、ホトトランジスタ、ホトダイオードスイッチ、ホトMOSリレー等が例示される。
【0075】
図4は本発明の第1の実施例における半導体素子試験装置の等価回路図および説明図である。本実施例では、スイッチ回路Ssa124a、スイッチ回路Sab124bは、
図4(b)に図示するように、パワーMOSFET124を使用している。MOSFETはチャンネル間の電圧(Vsd)が小さく好ましい。
【0076】
パワーMOSFET124bのオン時のチャネル電圧(Vsdb)は、パワーMOSFET124aのオン時のチャネル電圧(Vsda)以下となるものを選定する。つまり、パワーMOSFET124bのオン時のチャネル電圧(Vsdb)は、パワーMOSFET124aのオン時のチャネル電圧(Vsda)よりも小さくなるようにする。スイッチ回路124bがオンし、電源装置132の端子間を短絡した時に、電流Imを安定して流すためである。
スイッチ回路124aがオンすることにより、電源装置132が出力する試験電流Idがトランジスタ117に供給される。
【0077】
スイッチ回路124はスイッチ回路基板201に実装あるいは形成されている。スイッチ回路124は導体板204に接続されている。導体板204は、一例として厚み5mm、幅50mmの銅からなる板である。導体板204の長さは、一例として、250mmである。
図5、
図13はフォークプラグ205およびフォークプラグ205と導体板204の接続(接触)状態を示している。
【0078】
図13(a)は、スイッチ回路などが形成されたスイッチ回路基板(プリント基板)201に導体板204が取り付けられ、フォークプラグ205を導体板204に接続した状態を上方向から模式的に図示した図である。
図13(b)は導体板204の一端にフォークプラグ205を挟持させた状態での説明図である。
図1で図示するように、スイッチ回路基板201には2枚の導体板204が取り付けられている。導体板204とスイッチ回路基板201はネジ止めされる。
【0079】
フォークプラグ205と導体板204とは機械的(メカニカル)に嵌合させることにより電気的接続を実現する。フォークプラグ205のU字部は、導体板204に差し込まれる際、わずかにU字部が広がり、あるいは適正に接触し、良好にフォークプラグ205と導体板204が接合される。
図13に図示するように、フォークプラグ205には接続ボルト219が取り付けられている。接続ボルト219等に接続配線211が接続される。
【0080】
図13(a)のAA’での断面を
図13(b)に示す。導体板204とフォークプラグ205とは、フォークプラグ205に形成された接触部220a、接触部220bで接触する。接触部220はリン青銅、ニッケル合金で構成され、ばね性を有している。接触部220の表面は金メッキあるいは銀メッキが施されている。メッキにより接続部220の電気的安定度が向上する。
【0081】
図5、
図6に図示するように、フォークプラグ205と導体板204とは、隔壁214の開口部216からフォークプラグ205を差し入れることにより電気的に接続される。
【0082】
図5に本発明の半導体素子試験装置の各構成部材の配置を示す。半導体素子試験装置の筐体210は、複数の部分を有する。筐体の下部は、A室とB室に分離されている。A室には電源装置132が配置される。A室とB室とは隔壁215で分離されている。C1室とC2室は隔壁217で分離されている。
【0083】
電源装置132、スイッチ回路基板201、トランジスタ117は動作/非動作を繰り返すことにより大きなノイズを発生する。ノイズにより、回路基板等が誤動作する。各室の隔壁を静電シールド、電磁シールドすることにより誤動作を防止できる。
【0084】
静電シールド、電磁シールドは、導通を有する板、導電板、導電フィルム、金属板、金属フィルム、金網を各室の周りあるいは隔壁表面あるいは内部に取り付ける、あるいは形成ることにより実現する。
【0085】
C1室には、
図2に示す加熱冷却プレート134、循環水パイプ135等が配置され、加熱冷却プレート134に試験をするトランジスタ117が密着して配置される。
【0086】
C1室の加熱冷却プレートの周囲には漏水センサ(図示せず)が配置されている。循環水(冷却媒体)等が漏れると漏水センサが働き、半導体素子試験装置を停止または警報を発するように構成されている。
【0087】
加熱冷却プレート134の周囲には、排水用の溝(図示せず)が形成されている。加熱冷却プレートから循環水(冷却媒体)が漏れると排水用の溝に、循環水(冷却媒体)が流れ込み、半導体素子試験装置外に排出されるように構成されている。
加熱冷却プレート134はトレイ(図示せず)に搭載され、トレイは隔壁214から脱着できるように構成されている。
以上のように、隔壁214は循環水パイプ135等が損傷しても、下側のA室、B室に循環水(冷却媒体)等が漏れないように構成されている。
【0088】
電源装置132が配置されたA室と、駆動回路系が配置されたB室間には隔壁215が形成されている。隔壁215には静電シールド板、あるいは電磁シールド板が配置され、電源装置132のノイズが遮蔽され、ノイズはB室の駆動回路系には印加されない。
【0089】
本発明の実施例では、C2室からフォークプラグ205を差し込み、B室の導体板204と接続する。隔壁214にはフォークプラグ205を挿入する開口部216が形成されている。
【0090】
本発明の実施例では、上側から下側にフォークプラグ205を挿入する。本発明はこれに限定するものではない。たとえば、C2室に導体板204が配置され、B室からフォークプラグ205を挿入して、フォークプラグ205と導体板204とを電気的に接続してもよい。
【0091】
図13(c)に図示するように、マザー基板207にコネクタ213が取り付けられている。マザー基板207のコネクタ213にコントロール回路基板111、デバイス制御回路基板209、スイッチ回路基板201が取り付けられている。試験するトランジスタ117の個数に応じてスイッチ回路基板201を準備する。スイッチ回路基板201の枚数は、マザー基板207に取り付けるスイッチ回路基板201の枚数を変更することにより容易に実現できる。
【0092】
マザー基板207には、温度情報Tj、電圧Vi、可変抵抗回路125の制御信号、定電流回路118の制御信号等が伝送される。また、各回路の電源配線、グランド配線が形成され、コネクタ213を介して各回路基板に供給されている。
【0093】
図13(c)に図示するように、導体板204は、スイッチ回路基板201からはみ出るように配置されている。このはみ出た部分にフォークプラグ205が接続される。
【0094】
フォークプラグ205aはスイッチ回路基板201aの導体板204aと接続される。電源配線212は隔壁215の開口部216を介して、スイッチ回路基板201aと接続される。
【0095】
図1、
図5に図示するように、フォークプラグ205dはスイッチ回路基板201bの導体板204cと接続される。電源配線212は隔壁215の開口部216を介して、スイッチ回路基板201bと接続される。フォークプラグ205bはスイッチ回路基板201aの導体板204bと接続される。電源配線212は隔壁215の開口部216を介して、スイッチ回路基板201aと接続される。
【0096】
図1、
図4に図示するように、スイッチ回路基板201bの導体板204dと導体板204c間にはスイッチ回路124aが配置され、導体板204dと導体板204c間を電気的に短絡する。短絡することにより、電源装置132が出力する電流Idが試験電流Idとしてトランジスタ117に供給される。
【0097】
図4に図示するように、スイッチ回路基板201aの導体板204aと導体板204b間には、スイッチ回路124bが配置されている。スイッチ回路124bがオンすることにより、導体板204aと導体板204b間が短絡する。短絡することにより、電源装置132が出力する電流Idが放電電流Imとしてグランドに流れる。そのため、トランジスタ117のチャンネル間に電圧が印加されることはなく、また、トランジスタ117に電流が流れることはなく、トランジスタ117等の電気素子に過電圧、過電流が印加されることがない。
【0098】
導体板204bには、フォークプラグ205cが接続される。導体板204aにはフォークプラグ205bが接続される。また、導体板204dには、フォークプラグ205eが接続される。導体板204cにはフォークプラグ205dが接続される。
【0099】
フォークプラグ205の材質はアルミニウム等の金属で構成されている。フォークプラグ205はメッキ下地にニッケル処理し、表面に銀メッキが施されている。
フォークフラグ205はネジ溝が形成されており、接続ボルト219で接続配線211をフォークプラグ205に取り付けができるように構成されている。
【0100】
図5は、2枚のスイッチ回路基板201a、スイッチ回路基板201bを図示している。スイッチ回路基板201はマザー基板207のコネクタ213と接続される。
【0101】
図5、
図6に図示するように、フォークプラグ205cは、C2室とB室間に設けられた隔壁214の開口部216から差し込まれ、導体板204bと接続される。フォークプラグ205eは、C2室とB室間に設けられた隔壁214の開口部216から差し込まれ、導体板204dと接続される。
【0102】
試験するトランジスタ117に流す電流は数百アンペアと大きいため、使用する接続配線211の太さも太い。そのため、太い接続配線211、電源配線212は硬い。そのため、接続配線211、電源配線212は接続変更が容易でない。
【0103】
本発明の半導体素子試験装置では、隔壁214の任意の開口部216に、C2室からフォークプラグ205を挿入する。フォークプラグ205を挿入する開口部216の位置を変更することにより、任意のスイッチ回路基板201と接続できる。したがって、トランジスタ117の試験条件により使用するスイッチ回路基板201との接続変更は、接続配線211を結線変更する必要がなく、フォークプラグ205を挿入する開口部216の位置の変更だけでよい。また、
図13(c)に図示するように、スイッチ回路基板201は、マザー基板207に接続するコネクタ213の位置の変更だけでよい。
【0104】
以上のように、半導体素子などの電気素子117の試験内容、試験する電気素子117の個数に応じて、マザー基板207に接続するスイッチ回路基板201、デバイス制御回路基板209を配置する。また、スイッチ回路基板201等と接続切り替えは、隔壁214の開口部216に挿入するフォークプラグ205位置を変更することにより実施する。
【0105】
図1、
図4、
図5、
図6、
図16、
図18等に図示するように、トランジスタ117に接続された接続配線211bはフォークプラグ205cに接続されている。トランジスタ117に接続された接続配線211aはフォークプラグ205eに接続されている。フォークプラグ205c、フォークプラグ205eと導体板204から脱着することにより、試験する半導体素子117を試験回路から脱着することができる。
【0106】
図4等に図示するように、電源装置132の出力を短絡するスイッチ回路基板201bは電源装置132の個数に対応した数量でよい。たとえば、半導体素子試験装置に電源装置132が1台の場合は、スイッチ回路基板201b(スイッチ回路124b)は1つでよい。
【0107】
スイッチ回路基板201bは、試験するトランジスタ117の個数に対応する枚数が必要である。たとえば、試験するトランジスタ117が12個であれば、スイッチ回路基板201bは12枚準備することが好ましい。具体的には、試験をする電気素子117数に対応するスイッチ回路数を準備する。
【0108】
電気素子117を試験するスイッチ回路基板201aと電源装置132の出力を短絡するスイッチ回路基板201bは同一の基板仕様とすると、コスト的に有利である。
【0109】
スイッチ回路基板201には、スイッチ回路124としてのトランジスタ等を複数実装することが好ましい。スイッチ回路124の個数が多いほど、2枚の導体板204間を短絡するインピーダンスが小さくすることができる。
【0110】
図14(a)(b)は、隔壁214の開口部216にフォークプラグ205を挿入した状態を図示したものである。
図14(a)は隔壁214の表面から見た図であり、
図14(b)は隔壁214の裏面から見た図である。
【0111】
図14の導体板204bには、一例として、フォークプラグ205bと複数のフォークプラグ205c(フォークプラグ205c1~フォークプラグ205c5)が接続されている。導体板204d1にはフォークプラグ205e1、導体板204d2にはフォークプラグ205e2、導体板204d3にはフォークプラグ205e3、導体板204d4にはフォークプラグ205e4、導体板204d5にはフォークプラグ205e5が接続されている。
【0112】
スイッチ回路基板201のスイッチ回路124がオンオフすることにより大きなノイズが発生する。この対策として、
図13(c)では図示していないが、2枚のスイッチ回路基板201間にシールドとして機能させる金属板を配置し、金属板をアース接地している。
【0113】
スイッチ回路124の発熱は導体板204に放熱される。スイッチ回路124には放熱板(図示せず)が取り付けられている。スイッチ回路124のグランド端子はスイッチ回路基板201のグランドに接続される。導体板204の熱はスイッチ回路基板201のグランド銅箔を介しても放熱される。
【0114】
図1、
図4に図示するように、スイッチ回路基板201bには導体板204a、導体板204bが取り付けられている。導体板204aは、フォークプラグ205aと接続されている。フォークプラグ205aは電源装置132の出力端子と接続されている。導体板204bはフォークプラグ205bと接続されている。フォークプラグ205bは電源装置132のグランド端子と接続されている。
【0115】
スイッチ回路124bがオン(クローズ)すると電源装置132の出力端子間が短絡され、短絡電流Imがグランドに流れる。そのため、電源装置132の出力電流はトランジスタ117には供給されない。スイッチ回路124bがオープンの時に、電源装置132の出力電流Idがトランジスタ117に供給される。
【0116】
スイッチ回路基板201aには導体板204c、導体板204dが取り付けられている。導体板204cは、フォークプラグ205dと接続されている。フォークプラグ205dは電源装置132の出力端子と接続されている。導体板204dはフォークプラグ205eと接続されている。フォークプラグ205eは試験を行うトランジスタ117のコレクタ端子と接続されている。
【0117】
図5、
図6に図示するように、スイッチ回路基板201bは、筐体210のB室に配置されている。スイッチ回路基板201bは、C2室から隔壁214の開口部216から差し込まれたフォークプラグ205により、試験を行うトランジスタ117と電気的に接続される。
【0118】
図14の実施例では、導体板204bを共通にし、フォークプラグ205b、フォークプラグ205c1~フォークプラグ205c5を、導体板204bと電気的に接続している。
【0119】
フォークプラグ205e1は導体板204d1と電気的に接続し、フォークプラグ205e2は導体板204d2と電気的に接続し、フォークプラグ205e3は導体板204d3と電気的に接続し、フォークプラグ205e4は導体板204d4と電気的に接続のように、1つのフォークプラグ205eと1つの導体板204dとを電気的に接続している。また、1つの隔壁214に複数の開口部216を形成し、開口部216にフォークプラグ205を挿入する。
【0120】
図14の構成では、フォークプラグ205に取り付けられた接続配線211が煩雑になる。また、接続配線211が阻害してフォークプラグ205を開口部216に挿入が困難になる。
【0121】
本発明は
図15に図示するように、共通の導体板204bに接続するフォークプラグ205の列位置と、1つまたは複数の導体板204aに接続するフォークプラグ205の列位置を分離する。
【0122】
図15は本発明の技術的思想を説明するための図面である。
図15では、一例として3つ以上のフォークプラグ205b、フォークプラグ205dを接続する導体板204bを配置する。導体板204bには複数のフォークプラグ205b、複数のフォークプラグ205dを取り付けている。
【0123】
フォークプラグ205a、フォークプラグ205cを接続する導体板204a1~導体板204a6を配置し、各導体板204a1~導体板204a6にフォークプラグ205a、フォークプラグ205cを取り付けている。
【0124】
導体板204a1~導体板204a6は、直線状に配置している。また、導体板204bと導体板204aは略並行となるように、各導体板204を配置している。
【0125】
トランジスタ117の端子226aは接続配線211bを介して、フォークプラグ205bと接続されている。トランジスタ117の端子226bは接続配線211aを介して、フォークプラグ205aと接続されている。
【0126】
スイッチ回路基板201の第1の端子は接続配線211dを介して、フォークプラグ205dと接続されている。スイッチ回路基板201の第2の端子は接続配線211cを介して、フォークプラグ205cと接続されている。
【0127】
フォークプラグ205aとフォークプラグ205cは導体板204aで電気的に共通にされ、フォークプラグ205bとフォークプラグ205dは導体板204bで電気的に共通にされる。
【0128】
各フォークプラグ205は直線状に配置された開口部216に挿入される。したがって、フォークプラグ205は直線状に配置されるため、各接続配線211は平行に配置される。試験をする半導体素子117も加熱冷却プレート134上に直線状に配置される。
【0129】
図16(a)に図示するように、フォークプラグ挿入板241aには開口部216bが形成され、フォークプラグ挿入板241bには開口部216bが形成されている。フォークプラグ挿入板241aの開口部216bは導体板204bに沿って配置される。フォークプラグ挿入板241aの開口部216bは導体板204aに沿って配置される。
【0130】
接続配線211a、接続配線211b、接続配線211c、接続配線211dは各々のフォークプラグ205と接続され、各接続配線211は各々が略並行位置となるように配置される。
【0131】
接続配線211を略並行位置に配置することにより、
図14に図示するような接続配線211との交差等がなくなり、フォークプラグ205が開口部216に挿入することが容易になる。
【0132】
したがって、トランジスタ117a~トランジスタ117eのいずれを試験するかを、フォークプラグ205の開口部216への挿入あるいは非挿入により切り替えすることが容易になる。
【0133】
図16(b)に図示するように、フォークプラグ挿入板241aとフォークプラグ挿入板241bとは、垂直方向に高さHの段差があるように構成または形成されている。
【0134】
フォークプラグ挿入板241aとフォークプラグ挿入板241bには開口部216bが形成されている。隔壁214には開口部216aが形成されている。フォークプラグ205は開口部216a、開口部216bに挿入され、フォークプラグ205は開口部216a、開口部216b、および導体板204で支持される。したがって、フォークプラグ205の支持は強固なものになっている。
【0135】
図16に図示するように、接続配線211b、接続配線211dが下位置に配置され、接続配線211a、接続配線211cが上位置に配置される。そのため、接続配線211b、接続配線211dと、接続配線211a、接続配線211cとは配線位置空間が上下方向で異なり、接続配線211の交差等は発生しない。そのため、開口部216に挿入するフォークプラグ205の脱着、挿入、圧入等が容易になる。
以上の
図15、
図16等で説明した事項は、本発明の他の実施例に適用すること、また、他の実施例と組み合わせることができることは言うまでもない。
【0136】
図6は、図示を容易にするため、1個のトランジスタ117を図示している。隔壁217の開口部216aに接続構造体218aが挿入され、隔壁217の開口部216bに接続構造体218bが挿入されている。
【0137】
一般的には、
図2(b)に図示するように、隔壁217には開口部216が形成されている。開口部216a1に接続構造体218a1が挿入され、開口部216b1に接続構造体218b1が挿入される。開口部216a2に接続構造体218a2が挿入され、開口部216b2に接続構造体218b2が挿入される。開口部216anに接続構造体218anが挿入され、開口部216bnに接続構造体218bnが挿入される。
【0138】
接続構造体218aはトランジスタ117の素子端子226aと連結され、接続構造体218bはトランジスタ117の素子端子226bと連結されている。加熱冷却プレート134には循環水パイプ135が組み込まれている。
【0139】
トランジスタ117の端子にはコネクタ202が接続され、コネクタ202に接続された信号配線222はサンプル接続回路203に接続される。サンプル接続回路203の信号配線235はコネクタ208を介して、デバイス制御回路基板209に接続されている。
【0140】
フォークプラグ205と導体板204とは、
図6に図示するように、隔壁214の開口部216からフォークプラグ205を差し入れることにより接触され、電気的に接続される。
【0141】
隔壁(隔壁214、隔壁215、隔壁217)は、各室(C1室、C2室、A室、B室)を分離する機能と、外気が流入しないようにする機能がある。特に、C1室は、低温状態の試験で結露することがあるため、C1室にはドライエアを流入させる。C1室に流入したドライエアは、開口部216から他の室あるいは筐体210の外部に排出される。
【0142】
接続構造体218に他端には、固定ネジ221が取り付けられ、接続配線211が接続構造体218に接続されている。接続配線211の他端には接続部材としてのフォークプラグ205が取り付けられている。
固定ネジ221はネジに限定されるものではなく、接続構造体218に接続配線211を電気的に接続できるものであればいずれのものでもよい。
【0143】
サンプル接続回路203はコネクタ208の接続ピン206によりデバイス制御回路基板209と接続されている。サンプル接続回路203は試験する各トランジスタ117に対応して個別に配置され、サンプル接続回路203は容易に取り外しが可能なように構成されている。
【0144】
図7は本発明の半導体素子試験装置における一実施例である接続構造体218の説明図である。
図7(a)は裏面を模式的に図示した図であり、
図7(b)は側面を模式的に図示した図である。
【0145】
接続構造体218の表面の凹部234には、ヒートパイプ223が密着されている。接続構造体218の表面とヒートパイプ間に熱伝導性グリス、放熱用シリコーンオイルコンパウンドを塗付してもよい。
【0146】
凹部234にはめ込むようにヒートパイプ223が配置されている。裏面の凹部にヒートパイプ223を配置することによりヒートパイプ223が損傷するリスクが低下する。
接続構造体218のヒートパイプ金具231の線膨張率は、ヒートパイプ223パイプの線膨張率よりも小さい材料が採用されている。
【0147】
接続構造体218は、試験時に加熱される。したがって、ヒートパイプ223およびヒートパイプ金具231も加熱される。加熱により、ヒートパイプ223およびヒートパイプ金具231が膨張する。
【0148】
本発明は、接続構造体218のヒートパイプ金具231の線膨張率は、ヒートパイプ223パイプの線膨張率よりも小さい材料が採用される。あるいは、接続構造体218のヒートパイプ223パイプの線膨張率はヒートパイプ金具231の線膨張率よりも大きい材料が採用される。ヒートパイプ223材料が凹部234内で膨張が大きくなりヒートパイプ223が凹部234により強固にはめ込まれる。したがって、ヒートパイプ223がはずれることがない。
【0149】
ヒートパイプ金具231の材料として、銅(線膨張率16.8)、黄銅(線膨張率19)、鉄(線膨張率12.1)、ステンレス(SUS304)(線膨張率17.3)が例示される。ヒートパイプ223の材料としてヒートパイプ金具231より線膨張率が大きい材料、たとえば、アルミニウム(線膨張率23)、錫(線膨張率26.9)、鉛(線膨張率29.1)が例示される。中でも、ヒートパイプ金具231の材料として、銅(線膨張率16.8)、ヒートパイプ223の材料として、アルミニウム(線膨張率23)を採用することが好ましい。 ヒートパイプ金具231は、金属以外のカーボンなどを採用することもできる。
ヒートパイプ223は、密閉容器内に少量の液体(作動液)を真空密封し、内壁に毛細管構造(ウイック)を備えたものである。
作動液として、純水の他、メタノール(メチルアルコール)、アセトン、ナトリウム、水銀、フロン系冷媒、アンモニアを使用してもよい。
ウイック材には、アルミニウム、銅、ステンレス、焼結合金,金網,発泡メタル、セラミック等が用いられる。
【0150】
接続構造体218は、主としてヒートパイプ金具231、接続圧力部232、接続保持部233からなる。接続圧力部232と接続保持部233間に半導体素子の素子端子226が差し込まれる。
【0151】
図9は、トランジスタ117と接続構造体218の接続状態を説明する説明図である。トランジスタ117は加熱冷却プレート134aに密着して固定される。固定はバネ(図示せず)の押圧により行われる。必要に応じて、トランジスタ117の上側にも加熱冷却プレートが配置され、トランジスタ117を所定の温度条件に設定できるようにする。
【0152】
トランジスタ117の端子(エミッタ端子e、ゲート端子g、コレクタ端子c)には、コネクタ202が接続される。コネクタ202には信号配線222が引き出される。信号配線222に、トランジスタ117のゲート端子gに印加する制御信号Vg、定電流回路118からの定電流Icが印加される。
【0153】
試験を行うトランジスタ117は加熱冷却プレート134に密着させて固定させる必要があるため、容易に取り外すことが難しい。トランジスタ117の取り付け作業は、最初に試験を行う複数個のトランジスタ117を加熱冷却プレート134に固定する。次に、試験を行うトランジスタ117を選択して接続構造体218を、隔壁217の開口部216から挿入し、半導体素子117の素子端子226に取り付ける。
【0154】
つまり、選択するトランジスタ117は、選択するトランジスタ117が位置する開口部216にC2室側から接続構造体218を挿入して素子端子226と電気的接続を行う。
【0155】
トランジスタ117との電気的接続は、接続構造体218を挿入する位置を選択するだけであるので容易である。また、接続構造体218に接続された接続配線211の印加信号を変更することにより、トランジスタ117の試験条件、試験内容を容易に変更することができる。
【0156】
素子端子226は、接点部225aと接点部225bにより圧力をかけて挟持される。接続構造体218の一端には接続配線211が接続され、接続配線211から定電流Idがトランジスタ117に印加される。接続構造体218の裏面側にはヒートパイプ223が配置されている。
【0157】
素子端子226には、数百アンペア(A)の電流が流れる。接点部225にわずかな抵抗があっても、数百アンペア(A)の電流により、大きな熱が発生し、素子端子226部を過熱する。素子端子226が過熱されるとトランジスタ117が過熱され、トランジスタ117が劣化あるいは破壊する。
【0158】
本発明は、素子端子226で発生した熱はヒートパイプ223により、接続構造体218の接続配線211側に伝熱される。したがって、接点部225が過熱されることはない。接続構造体218の下側には冷却ファン227が配置され、ヒートパイプ223の熱を放熱させる。
【0159】
図8(a)に図示するように、ヒートパイプ223に密着するように、放熱フィン228を形成または配置してもよい。
図8(b)に図示するように、接続構造体218内に、循環水パイプ135を形成または配置し、接続構造体218を冷却してもよい。
【0160】
図9では、トランジスタ117(半導体素子117)は、素子端子226が素子端子226a(P)と素子端子226b(N)の2端子であった。
図10に図示するように、トランジスタ117の素子端子226が素子端子226a(P)、素子端子226b(N)と素子端子226cの3端子であっても本発明の技術的思想は適用できる。
【0161】
図10は、
図3(b)(c)(d)(e)等の3つの素子端子226(素子端子226a(P)、素子端子226b(N)、素子端子226c(O))を有する半導体モジュール117と接続構造体218との接続状態を図示した説明図である。
【0162】
図10において、接続構造体218aにはヒートパイプ223aが、接続構造体218bにはヒートパイプ223bが形成または配置されているのに対し、接続構造体218cには、ヒートパイプ223が形成または配置されていない。接続構造体218cは素子端子226cに接続されている。トランジスタ117の素子端子226c(O)には大きな電流が流れない。接続構造体218cにはヒートパイプ223を形成する必要がない。
【0163】
接続構造体218cを他の接続構造体218(接続構造体218a、接続構造体218b)よりも細く形成することにより、接続構造体218とトランジスタ117の素子端子226との接続が容易になる。また、トランジスタ117を配置するスペースが狭くても良いため、加熱冷却プレート134に搭載できるトランジスタ117の数を多くすることができる。
【0164】
図11(a)に図示するように、本発明の実施例における接続構造体218は、主としてヒートパイプ金具231、接続受け部225、接続圧力部232、接続保持部233からなる。接続受け部225と接続保持部233間に半導体素子の素子端子226が差し込まれる。
【0165】
接続受け部225と接続圧力部232のバネ穴239にはバネ236が挿入または配置される。接続受け部225の中央部の位置決めネジ穴240に位置決めネジ237が挿入または配置され、接続受け部225と接続圧力部232とが位置決めされる。
【0166】
バネ236は押圧手段であり、または摺動手段であり、または位置決め手段である。バネ236は、一例としてコイルバネが例示される。その他、板ばね、渦巻バネ、トーンションバー、皿バネが例示される。
バネ236は導電性が良好な金属材料で形成あるいは構成されることが好ましいが、耐熱性があるゴム、プラスチック、セラミックス材料で形成してもよい。
【0167】
接続受け部225と接続圧力部232間には、コイルバネ236が配置されている。接続圧力部232は、1つ以上の固定ネジ224bで接続される。固定ネジ224bを締め付ける、あるいは取り付けることにより、接続受け部225と接続保持部233間に圧力(押圧)が印加される。
【0168】
接続受け部225と接続保持部233間に素子端子226が挟まれ、バネ236の圧力により接続受け部225と接続保持部233間に素子端子226が所定圧力(所定押圧)で挟持される。
【0169】
圧力(押圧)はバネ236を変更することにより容易に調整できる。また、固定ネジ224bの締め付け度合により圧力(押圧)を調整あるいは設定できる。ヒートパイプ金具231と接続保持部233は1つ以上の固定ネジ224aで固定される。
【0170】
接続圧力部232と接続保持部233間には、接続受け部225が配置されている。接続受け部225の構成材料あるいは少なくとも表面材料として、白金、金、銀、タングステン、銅、ニッケル、または、それらを組合せた合金が用いられる。
【0171】
同様に、接続保持部233が素子端子226と接する面には、表面の構成材料として、白金、金、銀、タングステン、銅、ニッケル、またはそれらを組合せた合金が用いられる。
【0172】
接続保持部233はヒートパイプ金具231に固定ネジ224aで固定されている。接続圧力部232は接続保持部233に固定ネジ224bで固定される。固定ネジ224bを締め付けること、あるいは配置することにより半導体素子の素子端子226を固定する。ヒートパイプ金具231の左端には接続配線211が固定ネジ221で固定される。
図11(a)、
図11(d)は、接続保持部233、接続受け部225、接続圧力部232の組合せ状態を説明する説明図である。
【0173】
接続保持部233は、ネジ穴238a1、ネジ穴238a2に挿入されたネジ224a(図示せず)により、ヒートパイプ223とヒートパイプ金具231とを接続して固定される。ヒートパイプ223とヒートパイプ金具231は熱伝導性、電気伝導性が良好となるように密着されて接続して固定される。
接続保持部233は、ネジ穴238b1、ネジ穴238b2に挿入されたネジ224b(図示せず)により、接続圧力部232と接続して固定される。
【0174】
接続受け部225は、両端に凸部251が形成され、接続圧力部232は両端に溝部252が形成されている。接続受け部225の凸部251は、接続圧力部232の溝部252にはめ込まれる。接続受け部225の凸部251と、接続圧力部232の溝部252とは電気的に接触するように構成されている。
【0175】
素子端子226と接続受け部225は接触性を良好にするため、
図11(c)に図示するように、接続受け部225の表面に三角形状等の凹凸を形成することが好ましい。
図11の構成は、接続圧力部232の平面と接続保持部233の平面間に素子端子226を挟持させる構成である。
【0176】
図12は、押圧具取付け板313と接続保持部233間に素子端子226を挟持させる構成である。押圧具取付け板313には押圧具311a、押圧具311bが取り付けられている。押圧具311は、たとえば、金属からなる板バネが例示される。なお、押圧具311は、シリコン樹脂材料等の非導電物で形成してもよい。押圧具取付け板313に押圧具311がはめ込まれている。
【0177】
押圧具311と接続保持部233の平面間に素子端子226が挟持される。押圧具311の押圧により、素子端子226と接続保持部233とが電気的に接続される。
【0178】
図11(a)の実施例では、バネ(圧力金具)236は接点部225のバネ穴239に挿入されていた。バネ(圧力金具)236、接点部225、接続圧力部232が導電材料で構成されている場合、素子端子226 -> 接点部225 -> バネ(圧力金具)236 -> 接続圧力部232に電気が流れる場合がある。この場合、バネ(圧力金具)236の抵抗値が大きい場合、バネ(圧力金具)236に電流が流れ、バネが発熱して焼損する。
【0179】
図12の本発明の実施例では、バネ穴312は、絶縁板312に形成されている。押圧具311が素子端子226と接触し、バネ236が押圧具取付け板313を押圧する。押圧具取付け板313の上側には絶縁板312が配置され、押圧具取付け板313とバネ236間を絶縁する。絶縁板312にバネ穴239が形成され、バネ穴239にバネ236が挿入されている。他の構成は、
図11と同様であるので説明を省略する。
なお、絶縁板312は絶縁フィルム、絶縁膜もしくは空気などの絶縁気体等であってもよい。
【0180】
図12(b)は、押圧具取付け板313部を側面から見た図である。押圧具取付け板313に押圧具311a、押圧具311bが配置・挿入されている。
図12(c)は
図12(b)のA方向から見た図である。
【0181】
絶縁板312は絶縁物で構成されているため、押圧具取付け板313が金属のように導電物であっても、バネ(圧力金具)236には電流が流れない。したがって、素子端子226 -> 接点部225 -> バネ(圧力金具)236 -> 接続圧力部232の電流経路は発生しない。
【0182】
図12(a)の実施例は、絶縁板312で絶縁する構成であった。本発明における絶縁効果は、
図12(a)のように、絶縁板312を用いる構成に限定されない。たとえば、
図12(d)に図示する構成が例示される。
【0183】
図12(d)は、接続圧力部232のネジ穴238bの周囲に樹脂材料等で構成した絶縁部315を配置した構成である。ネジ穴238bの周囲が絶縁部315で絶縁されているため、固定ネジ224bには電流が流れない。したがって、素子端子226 -> 接点部225 -> バネ(圧力金具)236 -> 接続圧力部232の電流経路は発生せず、バネ(圧力金具)236が焼損することはない。
以上のように、本発明は押圧を印加するバネ236側に、絶縁板312を配置し、電流が押圧具取付け板313、接点部225側に流れないように構成する。
【0184】
電流が流れると、バネ236等の押圧部品、固定ネジ224bに流れ、バネ236、固定ネジ224bが焼損する。素子端子226には、バネ236等の電気的高抵抗部が少ない接続保持部233側を介して電流を供給する。
【0185】
図17は本発明の第1の実施例における半導体素子試験装置の等価回路図および説明図である。試験する半導体モジュールは、
図3(d)を例示するが、これに限定するものではない。
【0186】
図17において、スイッチ回路124bがオンすることにより、電源装置132の出力が短絡され、電源装置132が出力する電流Idは、電流Im’としてグランドに流れる。あるいは、スイッチ回路124bがオンすることにより、電源装置132の端子間に充電されている電荷が放電される。
【0187】
スイッチ回路124c、スイッチ回路124dが同時にオンすることによっても、電流Imが流れて、電源装置132の出力が短絡され、電源装置132の電荷等が放電される。この構成あるいは方法の場合は、スイッチ回路124bは不要である。
【0188】
スイッチ回路124cとスイッチ回路124dがオンになるタイミングをずらすことも有効である。たとえば、スイッチ回路124cがスイッチ回路124dより先にオンすることによりトランジスタ117sのチャンネル間が短絡する。次に、スイッチ回路124dがオンすることによりトランジスタ117mのチャンネル間が短絡する。あるいは、スイッチ回路124dがスイッチ回路124cより先にオンすることにより、トランジスタ117mのチャンネル間が短絡する。次に、スイッチ回路124cがオンすることによりトランジスタ117sのチャンネル間が短絡する。
以上のように、順番に、スイッチ回路124をオンさせることより、半導体素子117に発生するサージ電圧等の発生がより抑制することができる。
スイッチ回路124aがオンすることにより、電源装置132が出力する電流Idがトランジスタ117に供給される。
フォークプラグ205は、隔壁214の開口部216から挿入され、スイッチ回路基板201と電気的に接続される。
【0189】
図20、
図21は本発明の半導体試験装置の回路部の説明図、および回路動作の説明図である。
図20、
図21に図示するように、本発明の半導体素子試験装置は、絶縁型DCDCコンバータ回路138m、絶縁型DCDCコンバータ回路138sを有する。
【0190】
図20は、試験する半導体モジュールとして、
図3(d)、
図3(e)を例示している。
図21は、試験する半導体モジュールとして、
図3(c)、
図3(c)を例示している。本発明の電気素子試験装置、電気素子の試験方法において、
図3の例示する以外にも適用できることは言うまでもない。
【0191】
絶縁型DCDCコンバータ回路138mは、入力された電圧(回路電圧のVc電圧)から、2つの電圧(Vmm1電位を基準とするVpm1電圧、Vmm2電位を基準とするVpm2電圧)を発生させる。GND、Vmm1電圧、Vmm2電圧は絶縁化されている。また、GND、Vpm1電圧、Vpm2電圧は絶縁化されている。
【0192】
絶縁型DCDCコンバータ回路138sは、入力された電圧(Vc電圧)から、2つの電圧(Vms1電位を基準とするVps1電圧、Vms2電位を基準とするVps2電圧)を発生させる。GND、Vms1電圧、Vms2電圧は絶縁化されている。また、GND、Vps1電圧、Vps2電圧は絶縁化されている。
【0193】
Vmm1電圧、Vmm2電圧、Vms1電圧、Vms2電圧は基準電圧とし、グランド電圧を考えても良い。ただし、このグランド電圧は各電圧と絶縁化されている。Vmm1電圧とVmm2電圧は、電圧発生時から絶縁化せず、共通の電位にしてもよい。Vms1電圧とVms2電圧は、電圧発生時から絶縁化せず、共通の電位にしてもよい。
【0194】
絶縁型DCDCコンバータ回路として図示していないが、必要に応じて、Vt1電圧およびVt2電圧を発生する絶縁型DCDCコンバータ回路を配置する。Vt1電圧およびVt2電圧は、Vc電圧から絶縁化させる。Vt1電圧は、Vmm1電圧を基準として負方向の電位とする。Vt2電圧は、Vms1電圧を基準として負方向の電位とする。
【0195】
Vt1電圧はVmm1電圧あるいはVmm2電圧を基準として発生させてもよい。Vt2電圧はVms1電圧あるいはVms2電圧を基準として発生させてもよい。
【0196】
Vt1電圧とVmm1電圧は選択して、トランジスタ117mのゲート端子gmに印加できるように構成されている。Vt2電圧とVms1電圧とは選択して、トランジスタ117s(Qs)のゲート端子gsに印加できるように構成されている。電圧選択回路302はアナログスイッチ等を用いる。
【0197】
絶縁型DCDCコンバータ回路138mのVmm1電圧とVpm1電圧との電位差は、トランジスタ117m(Qm)のゲート端子gmに印加するオン電圧Vgとなるようにされている。オン電圧Vgは可変できるように、絶縁型DCDCコンバータ回路138mが配置されている。
【0198】
絶縁型DCDCコンバータ回路138sのVms1電圧とVps1電圧との電位差は、トランジスタ117s(Qs)のゲート端子gsに印加するオン電圧Vgとなるようにされている。オン電圧Vgは可変できるように、絶縁型DCDCコンバータ回路138sが配置されている。
【0199】
図20、
図21に図示する絶縁型DCDCコンバータ回路138mのAブロック、Bブロック、Cブロックは絶縁されている。また、絶縁型DCDCコンバータ回路138sのAブロック、Dブロック、Eブロックは絶縁されている。
【0200】
AブロックとBブロック間、AブロックとCブロック間、AブロックとDブロック間、AブロックとEブロック間は、コイル等を用いて電力が受け渡される。また、各ブロック間の制御信号等はホトトランジスタ等を用いて絶縁されて信号が送受信される。
【0201】
回路グランド(GND)、Vc電圧、Vpm1電圧、Vmm1電圧、Vpm2電圧、Vmm2電圧は絶縁状態である。つまり、各電圧は他の電圧に対してフローティング状態である。
なお、フローティングとは、他の電圧あるいは電位に対して浮いていることを意味する。
【0202】
サージ電圧、過渡電流によりトランジスタのゲート端子等に大きなノイズが印加され、トランジスタが破壊する。本発明は、ゲート端子に印加する信号電位等をフローティング状態で発生して使用する。そのため、ノイズの影響を受けにくく、良好に半導体素子117を試験できる。
【0203】
絶縁型DCDCコンバータ回路138で発生する電圧はフローティングとする。Vmm1電圧とVpm1電圧との電位差をVm1とし、Vmm2電圧とVpm2電圧との電位差をVm2とする。
【0204】
たとえば、Vmm1電圧を回路グランド(GND)に接続し、Vpm1電圧をVmm2電圧と短絡すると、Vpm2電圧は、回路グランド(GND)に対して、Vm1電圧にVm2電圧を加算した電圧となる。つまり、他の電圧で電位を設定することにより、フローティングされた電位が確定する。電位レベルを他の電圧の電位に対応して変更、移動、設定をすることができる。
【0205】
本発明の半導体素子試験装置は、回路グランド(GND)と他の電源電圧が絶縁されている。また、絶縁ざれた各電源電圧を結線あるいは接続することができるように構成されている。たとえば、Vmm1電圧とVmm2電圧を結線して同一電位にすることができる。Vms1電圧とVms2電圧を結線して同一電位にすることができる。
【0206】
図17に図示するように、サンプル接続回路203m1はトランジスタ117m(Qm)のゲート端子gmに印加するゲート信号波形を発生するゲートドライバ回路113m、ゲート信号の立ち上がり波形および立下り波形を調整あるいは設定する可変抵抗回路125m、短絡回路137m、電圧選択回路302m等を保有する。
【0207】
サンプル接続回路203m2はトランジスタ117mのダイオードDmに印加する定電流Icmを発生する定電流設定回路130m、ダイオードDmの端子電圧を測定あるいは検出する電圧検出回路129mを保有する。
【0208】
サンプル接続回路203s1はトランジスタ117sのゲート端子gsに印加するゲート信号波形を発生するゲートドライバ回路113s、ゲート信号の立ち上がり波形および立下り波形を調整あるいは設定する可変抵抗回路125s、短絡回路137s、電圧選択回路302s等を保有する。
【0209】
サンプル接続回路203s2はトランジスタ117sのダイオードDsに印加する定電流Icsを発生する定電流設定回路130s、ダイオードDsの端子電圧を測定あるいは検出する電圧検出回路129sを保有する。
以下、特に断りがない場合は、半導体素子117のN電極端子を基準電位(AGND、0(V))として説明をする。
【0210】
半導体素子117のN電極端子を基準電位とした場合、トランジスタ117sのエミッタ端子esの電位は、トランジスタ117mのチャンネル間電圧Vcemとなる。つまり、半導体素子117のO電極端子の電位となる。
【0211】
半導体素子117のP電極端子の電位は、トランジスタ117mのチャンネル間電圧Vcemとトランジスタ117sのチャンネル間電圧Vcesを加算した電圧となる。トランジスタ117m、トランジスタ117sに流れる電流Idの大きさ、トランジスタ117m、トランジスタ117sのオンオフ状態により、O電極端子の電位、P電極端子の電位が変動する。特に、トランジスタ117sのエミッタ端子esの電位変動が大きい。
【0212】
トランジスタ117sのエミッタ端子esの電位であるVms1は、トランジスタ117mのチャンネル間電圧Vcemの変動に応じて、変化できるように構成することが好ましい。
【0213】
本発明は、トランジスタ117mのエミッタ端子emの電位であるVmm1は、トランジスタ117sのエミッタ端子esの電位であるVms1に対してフローティングとなっている。したがって、トランジスタ117mのチャンネル間電圧Vcemが変動するとVces電圧も同一方向および同一電位で変動する。
【0214】
トランジスタ117mのダイオードDmはトランジスタ117mの半導体層と同一層を使用している場合、あるいは類似の場合等は、ダイオードDmのカソード端子kmの電位はトランジスタ117mのエミッタ端子emの電位あるいは近傍の電位になる場合がある。したがって、ダイオードDmの電源電位はトランジスタ117mのエミッタ端子emの電位を基準とすることが好ましい。
【0215】
トランジスタ117sのダイオードDsはトランジスタ117sの半導体層と同一層を使用している場合あるいは類似の場合等は、ダイオードDsのカソード端子ksの電位はトランジスタ117sのエミッタ端子esの電位あるいは近傍の電位になる場合がある。したがって、ダイオードDsの電源電位はトランジスタ117sのエミッタ端子esの電位を基準とすることが好ましい。
【0216】
本発明では、絶縁型DCDCコンバータ回路138sのVc電圧、Vms1電圧/Vps1電圧、Vms2電圧/Vps2電圧を絶縁している。絶縁型DCDCコンバータ回路138mのVc電圧、Vmm1電圧/Vpm1電圧、Vmm2電圧/Vpm2電圧を絶縁している。各電圧は、任意の電圧と接続、結線することができるように構成されている。
【0217】
図22は、本発明の半導体素子試験装置の電源系統の結線を説明する説明図である。トランジスタ117のN電極端子はAGNDに接続される。AGNDは、一例としてアース電位である。
【0218】
図22、
図23、
図24、
図25に図示するように、本発明は結線を任意に接続変更することができる。また、スイッチ回路123、セレクタ127により、接続配線、印加電圧を変更することができる。
【0219】
トランジスタ117mのエミッタ端子emとN電極端子が電気的に接続され、エミッタ端子emとVmm1端子とが接続される。また、エミッタ端子emとVmm2端子とが接続される。トランジスタ117sのエミッタ端子esとVms1端子とが接続される。また、エミッタ端子esとVms2端子とが接続される。
【0220】
トランジスタ117sのエミッタ端子esの電位は、N電極端子の電位にトランジスタ117mのチャンネル間電圧Vcemを加算した電圧となる。したがって、トランジスタ117sのエミッタ端子esの電位はトランジスタ117mのオンオフ状態、定電流Idの大きさに依存して変化する。
【0221】
トランジスタ117mのゲート端子gmに印加するゲート信号Vsgは、エミッタ端子emの電位が基準となる。トランジスタ117mをオンさせる電圧をVgとすれば、N電極端子のAGND電位から、Vg電圧を印加した時、トランジスタ117mがオン状態となる。
【0222】
図19は、本発明の半導体試験装置の回路部の動作を示すタイミングチャート図である。
図19(b)、(c)、(i)に図示するように、定電流Idが流れていない期間は、トランジスタ117に定電流Idが流れる前の期間のtcsと、定電流Idが流れた後の期間のtcmであり、定電流Idが流れている期間は、tccである。
tcs、tcm、tccの期間のうち少なくとも1つ以上の期間にスイッチSiはオンし、可変抵抗回路125の両端子の電圧Veが測定される。
【0223】
図19(d)のSt2はダイオードD(ダイオードDs、ダイオードDm)に電流Icを流すタイミング信号であり、St2がHレベルの時、トランジスタ117のダイオードDに電流が流れる。電圧検出回路129はダイオードDの端子間電圧を取得し、温度測定回路(図示せず)は端子間電圧を温度情報Tjに変換する。
【0224】
温度情報Tjはコントロール回路基板111(コントローラ111)に送られ、コントロール回路基板111(コントローラ111)は温度情報Tjにしたがって、トランジスタ117(半導体素子部品117)の試験を実施する。
【0225】
電流Idは試験を行うトランジスタ117に流れる電流であり、電流電源装置121が出力する電流である。St1、St2は温度測定用のダイオードに測定用電流を流す時間あるいは温度の測定時間である。
【0226】
図19(g)のVceはトランジスタ117(トランジスタ117m、トランジスタ117s)のチャンネル間電圧、温度情報Tjは測定されたトランジスタ117(トランジスタ117m、トランジスタ117s)の温度変化を示す。
【0227】
図19(a)では、0(V)電位は、トランジスタ117mをオフさせる電圧としている。
図19(a)等において、Vt1電圧は、Vt電圧として図示している。Vt1電圧は、0(V)電位よりも負極性の電圧である。Vmm1電圧と基準として、負側のVt1電圧が印加される。
【0228】
ダイオードDmに流す電流Icmは、Vmm2電圧とVpm2電圧を電源として発生させる。Vmm2電圧は、Vmm1電圧と共通にされているため、ダイオードDmの端子の電圧は、Vmm1とVpm2の範囲であり、AGNDを基準とした電圧である。
【0229】
トランジスタ117sのゲート端子gsに印加するゲート信号Vsgは、エミッタ端子esの電位が基準となる。エミッタ端子esの電位は、N電極端子のAGND電位にトランジスタ117mのチェンネル間電圧Vcemを加算した電圧となる。
【0230】
図19(a)に図示するように、トランジスタ117sをオンさせる電圧をVgとすれば、トランジスタ117sがオンする電圧は、N電極端子のAGND電位にトランジスタ117mのチェンネル間電圧Vcemを加算した電圧を基準とし、Vg電圧を印加した時、トランジスタ117sがオン状態となる。
【0231】
Vms1電圧は、Vmm1電圧と絶縁化され、フローティング状態である。したがって、トランジスタ117mのチャンネル間電圧Vcemが変動しても、トランジスタ117mのチャンネル間電圧Vcemの変動に応じて、トランジスタ117sのエミッタ端子es電位が変動する。Vms1電圧はエミッタ端子es電位を基準として、Vps1電圧を発生する。
【0232】
トランジスタ117sのゲート端子gsに印加するゲート信号Vsgは、エミッタ端子esの電位が基準となる。
図19(a)に図示するように、トランジスタ117sをオンさせる電圧をVgとすれば、エミッタ端子es電位から、Vg電圧を印加した時、トランジスタ117sがオン状態となる。
【0233】
なお、
図19(a)等において、Vt2電圧は、Vt電圧として図示している。Vt2電圧は、0(V)電位よりも負極性の電圧である。Vms1電圧と基準として、負側のVt2電圧が印加される。
【0234】
ダイオードDsに流す電流Icsは、Vms2電圧とVps2電圧を電源として発生させる。Vms2電圧は、Vms1電圧と共通にされているため、ダイオードDsの端子の電圧は、Vms1とVps2の範囲である。
【0235】
Vms1電圧は、Vmm1電圧と絶縁化され、フローティング状態である。また、Vms1電圧はトランジスタ117mのコレクタ端子cmと接続されている。トランジスタ117mのチャンネル間電圧Vcemが変動しても、トランジスタ117sをオンさせる電圧(Vg)、オフさせる電圧(0(V))は変動しない。良好にトランジスタ117sをオンオフ制御することができる。
【0236】
図23は、本発明の半導体素子試験装置の電源系統の結線を説明する説明図である。
図23の結線では、トランジスタ117のN電極端子はAGNDに接続される。AGNDは、一例としてアース電位である。
【0237】
トランジスタ117mのエミッタ端子emとN電極端子が電気的に接続され、エミッタ端子emとVmm1端子とが接続される。トランジスタ117sのエミッタ端子esとVms1端子とが接続される。Vmm2端子、Vms2端子は他の電源端子と絶縁され、フローティング状態である。
【0238】
ダイオードDmに流す電流Icmは、Vmm2電圧とVpm2電圧を電源として発生させる。ダイオードDmの端子の電圧は、基本的にはVmm2とVpm2の範囲である。
【0239】
ダイオードDsに流す電流Icsは、Vms2電圧とVps2電圧を電源として発生させる。ダイオードDsの端子の電圧は、基本的にはVms2とVps2の範囲である。
【0240】
Vmm2端子の電位は、AGNDを基準とした電位に保持され、Vms2端子の電位は、トランジスタ117sのエミッタ端子esの電位を基準とした電位に保持される。
【0241】
図24は、本発明の半導体素子試験装置の電源系統の結線を説明する説明図である。
図24の結線では、トランジスタ117のN電極端子は、AGNDに接続される。
【0242】
トランジスタ117mのエミッタ端子emとN電極端子が電気的に接続され、エミッタ端子emとVmm1端子と接続される。また、Vmm2端子とVms2端子が接続される。トランジスタ117sのエミッタ端子esとVms1端子が接続される。Vmm1端子とVmm2端子とは結線されない。
【0243】
ダイオードDmに流す電流Icmは、Vmm2電圧とVpm2電圧を電源として発生させる。ダイオードDmの端子の電圧は、基本的にはVmm2とVpm2の範囲である。ダイオードDsに流す電流Icsは、Vms2電圧とVps2電圧を電源として発生させる。ダイオードDsの端子の電圧は、基本的にはVms2とVps2の範囲である。Vmm2電圧とVms2電圧とが共通にされているため、ダイオードDmの電位とダイオードDsの電位は共通の電位内で動作する。
【0244】
図24では、スイッチ回路123を電源接続配線中に配置している。スイッチ回路123はVms2電圧とVpm2電圧とを接続するか、Vms2電圧とVmm2電圧とを接続するかを切り替えることができる。
【0245】
本発明では
図24のようにスイッチ回路123を配置あるいは設けることにより多種多様な試験に対応できる。 スイッチ回路123としては、アナログスイッチ、リレー回路、マグネットスイッチ等が例示される。 スイッチ回路123は、
図24の実施例に限定されるものではない。たとえば、Vmm1とVpm1電圧を選択して他の電位(たとえば、Vmm1電圧と接続する)と接続するように構成してもよい。以上のように、本発明は、絶縁型DCDCコンバータ回路等が発生する電位の結線状態を変更できるように構成したことの特徴がある。
【0246】
図25は、本発明の半導体素子試験装置の電源系統の結線を説明する説明図である。
図25の結線では、トランジスタ117のN電極端子はAGNDに接続される。
【0247】
トランジスタ117mのエミッタ端子emとN電極端子が電気的に接続され、エミッタ端子emとVmm1端子と接続される。Vmm1端子とVmm2端子が接続され、Vmm1端子とVms1端子が接続される。トランジスタ117sのエミッタ端子esとVms1端子が接続される。
【0248】
Vmm2端子とVms2端子が接続されている。ダイオードDmに流す電流Icmは、Vmm2電圧とVpm2電圧を電源として発生させる。ダイオードDmの端子の電圧は、基本的にはVmm2とVpm2の範囲である。
【0249】
ダイオードDsに流す電流Icsは、Vmm2電圧とVps2電圧を電源として発生させる。ダイオードDsの端子の電圧は、基本的にはVmm2とVps2の範囲である。Vmm2電圧とVms2電圧とが共通にされているため、ダイオードDmの電位とダイオードDsの電位は共通の電位内で動作する。
Vmm1電圧の電位が変化すると、Vpm1電圧の電位も電位シフトする。Vmm2電圧の電位が変化すると、Vpm2電圧の電位も電位シフトする。
Vms1電圧の電位が変化すると、Vps1電圧の電位も連動してシフトする。Vms2電圧の電位が変化すると、Vps2電圧の電位も連動してシフトする。
【0250】
Vmm1電圧とVms1電圧とはフローティングとしている。したがって、トランジスタ117mのチャンネル間電圧Vcemが変化すると、Vcemの変化に連動してVms1が変化する。
【0251】
トランジスタ117mのゲート端子gmに印加するゲート信号(オンオフ信号)はVmm1電圧を基準として出力される。トランジスタ117sのゲート端子gsに印加するゲート信号(オンオフ信号)はVms1電圧を基準として出力される。
【0252】
トランジスタ117mに流れる電流Idが変化、また、トランジスタ117mのゲート端子gmの印加電圧が変化すると、トランジスタ117mのチャンネル間電圧Vcemが変化しても、Vms1電圧がフォローティングのため、Vcem電圧に連動して変化する。
【0253】
トランジスタ117mのチャンネル間電圧Vceが変化しても、Vms1電圧がフローティングであり、トランジスタ117sのゲート信号はVms1電圧を基準として発生させるため、トランジスタ117sは問題なく、オンオフ制御することができる。
【0254】
ダイオードDsは、Vmm1電圧とVms1電圧とはフローティングとなっている。したがって、Vmm1電圧が変化しても、あるいはトランジスタ117mのチャンネル間電圧Vcemが変化しても、破壊することはなく、正常にトランジスタ117sの温度を測定あるいは温度範囲を把握することができる。
【0255】
図26は、本発明の半導体素子試験装置および半導体素子部品の試験方法または試験状態の説明図である。
図26のいずれかの状態あるいは方法を、順次実施すること、あるいはランダムに実施することのより半導体素子117の試験を行う。
tn2期間とtn1期間に印加するVt電圧は、試験をする半導体素子117に応じて設定する。他の信号の制御は
図19に示す制御を実施する。
【0256】
図26(a)は、トランジスタ117の端子間(P電極端子-N電極端子間)を短絡して電荷を放電し、トランジスタ117にサージ電圧、過渡電流を流れないようにする方法(状態)の説明図である。
【0257】
トランジスタ117mのゲート端子gmにはゲート信号Vsgmとしてオフ電圧が印加され、トランジスタ117mはオフ状態にされる。トランジスタ117sのゲート端子gsにはゲート信号Vsgsとしてオフ電圧が印加され、トランジスタ117sはオフ状態にされる。短絡回路137sおよび短絡回路137mはオフ(オープン)にされる。スイッチ回路124cおよびスイッチ回路124dはオン(クローズ)にされる。
【0258】
図26(b)は、短絡回路137sをオンさせてトランジスタ117sをダイオード接続状態にし、トランジスタ117mをオンさせて半導体素子117に定電流Idを流して、半導体素子117を試験している状態を示している。
【0259】
トランジスタ117mのゲート端子gmにはゲート信号Vsgmとしてオン電圧またはオフ電圧が周期的あるいは間欠的に印加され、トランジスタ117mはオン状態またはオフ状態に制御される。
【0260】
トランジスタ117sのゲート端子gsとエミッタ端子es間に接続された短絡回路137sがオンし、トランジスタ117sがダイオード接続状態とされる。スイッチ回路124cおよびスイッチ回路124dはオフ(オープン)にされる。
【0261】
半導体素子117にはP電極端子とN電極端子間に定電流Idが流れる。トランジスタ117mのゲート端子gmに印加するゲート信号Vsgmによりトランジスタ117mをオンオフ制御して、半導体素子117の試験を実施する。
【0262】
図26(c)は、トランジスタ117mをダイオード接続状態にし、トランジスタ117sをオンさせて、半導体素子117に定電流Idを流して、半導体素子117を試験している状態を示している。
【0263】
トランジスタ117sのゲート端子gsはゲート信号Vsgsとしてオン電圧またはオフ電圧が周期的あるいは間欠的に印加され、トランジスタ117sはオン状態またはオフ状態に制御される。
【0264】
トランジスタ117mのゲート端子gmとエミッタ端子em間に接続された短絡回路137mがオンし、トランジスタ117mがダイオード接続状態とされる。スイッチ回路124cおよびスイッチ回路124dはオフ(オープン)にされる。半導体素子117にはP電極端子とN電極端子間に定電流Idが流れる。
トランジスタ117sのゲート端子gsに印加するゲート信号Vsgsによりトランジスタ117sをオンオフ制御して、半導体素子117の試験を実施する。
【0265】
図26(d)は、トランジスタ117sをオンさせ、トランジスタ117mをオフさせる。トランジスタ117sのゲート端子gsはゲート信号Vsgsとしてオン電圧またはオフ電圧が周期的あるいは間欠的に印加される。トランジスタ117mはオフ状態に制御される。
【0266】
トランジスタ117mおよびトランジスタ117sのゲート端子gとエミッタ端子e間に接続された短絡回路137はオフ(オープン)させる。スイッチ回路124cはオフし、スイッチ回路124dはオン(クローズ)にされる。
【0267】
半導体素子117にはP電極端子からトランジスタ117sのチャンネル間に電流Idが流れ、電流Idはスイッチ回路124dを流れる。トランジスタ117sのゲート端子gsに印加するゲート信号Vsgsによりトランジスタ117sをオンオフ制御して、半導体素子117の試験を実施する。
【0268】
図26(e)は、トランジスタ117mをオンさせ、トランジスタ117sをオフさせる。トランジスタ117mのゲート端子gmはゲート信号Vsgmとしてオン電圧またはオフ電圧が周期的あるいは間欠的に印加される。トランジスタ117sはオフ状態に制御される。
【0269】
トランジスタ117mおよびトランジスタ117sのゲート端子gとエミッタ端子e間に接続された短絡回路137はオフ(オープン)させる。スイッチ回路124dはオフ(オープン)し、スイッチ回路124dはオン(クローズ)にされる。
【0270】
半導体素子117にはP電極端子からスイッチ回路124cに電流Idが流れ、トランジスタ117mのチャンネル間に電流Idが流れる。トランジスタ117mのゲート端子gmに印加するゲート信号Vsgmによりトランジスタ117mをオンオフ制御して、半導体素子117の試験を実施する。
【0271】
図26(f)は、トランジスタ117mおよびトランジスタ117sのゲート端子g(ゲート端子gm、ゲート端子gs)にゲート信号を印加し、半導体素子117に定電流Id流して、半導体素子117を試験している状態を示している。
【0272】
トランジスタ117sのゲート端子gsおよびトランジスタ117mのゲート端子gmには、オン電圧またはオフ電圧が周期的あるいは間欠的に印加される。トランジスタ117sおよびトランジスタ117mはオン状態またはオフ状態に制御される。
【0273】
トランジスタ117mおよびトランジスタ117sのゲート端子gとエミッタ端子e間に接続された短絡回路137はオフさせる。スイッチ回路124cおよびスイッチ回路124dはオフ(オープン)にされる。半導体素子117にはP電極端子とN電極端子間に定電流Idが流れる。
【0274】
トランジスタ117mとトランジスタ117sとが同時にオンしないように制御する、あるいはトランジスタ117mとトランジスタ117sとがわずかな期間だけオンするように制御することにより、半導体素子117にサージ電圧、過渡電流が流れ、より厳しい試験を実施できる。
【0275】
以上の
図26(a)~
図26(f)の試験を選択し、あるいは組み合わせることにより半導体素子117の試験を実施する。組み合わせは
図26(a)~
図26(f)の試験を順番に実施する場合、
図26(a)~
図26(f)の試験をランダムに実施する場合が例示される。
【0276】
図27は、本発明の他の実施例における半導体素子試験装置および半導体素子の試験方法の説明図である。試験回路モジュール301は、
図3等が例示される。試験回路モジュール301は、
図27(a)のA、B、C部に接続される。試験回路モジュール301は各半導体素子117に対応して準備される。試験回路モジュール301は、たとえば、
図26、
図3が例示される。
【0277】
試験回路モジュール301は、3つのスイッチ回路基板201(スイッチ回路基板201b、スイッチ回路基板201c、スイッチ回路基板201dと接続される。
図27(a)で図示するように、スイッチ回路基板201bは試験する半導体素子117に対応して準備される。
図27(a)では試験回路モジュール301aにはスイッチ回路124aaが配置され、試験回路モジュール301bにはスイッチ回路124abが配置され、試験回路モジュール301cにはスイッチ回路124acが配置される。
【0278】
図27(a)の実施例は半導体素子117を、複数個を同時に、あるいは順次に試験する実施例である。試験回路モジュール301は1つのコントロール回路基板111で制御される。
図27(a)において、電源装置132に並列して、試験を行う複数の半導体素子117が接続されている。
【0279】
図27(b)は本発明の半導体素子試験装置の動作の説明図である。一例として、試験回路モジュール301の半導体素子117は、
図26(b)の動作をするとして記載している。
【0280】
本発明の実施例において、試験を行うトランジスタ117は、IGBTを例示して説明したが、これに限定するものではない。たとえば、ダイオード等の2端子素子であってもよい。また、半導体素子に限定されるものではなく、コンデンサ、抵抗等の電気素子であればいずれのものでも適用できる。
本明細書および図面に記載した事項あるいは内容は、相互に組み合わせることができることは言うまでもない。
【0281】
以上、本明細書において、実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
本明細書および図面に記載した事項あるいは内容は、相互に組み合わせることができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0282】
本発明は、トランジスタ等の半導体素子の試験内容、半導体素子の同時試験数に応じて、容易に接続変更でき、試験時に発生するノイズ対策を良好に実現できる半導体素子試験装置および半導体試験方法を提供できる。
【符号の説明】
【0283】
111 コントロール回路基板(コントローラ)
112 ゲート信号制御回路
113 ゲートドライバ回路
115 温度測定回路
116 オペアンプ(バッファアンプ)
117 パワートランジスタ
118 定電流回路
121 定電流回路
122 スイッチ回路
124 スイッチ回路
125 可変抵抗回路
126 可変抵抗回路
127 セレクタ
128 電流検出回路
129 電圧検出回路
130 定電流設定回路
131 制御ラック
132 電源装置
133 制御回路
134 加熱冷却プレート
135 循環水パイプ
136 チラー
137 短絡回路
138 絶縁型DCDCコンバータ回路
201 スイッチ回路基板
202 コネクタ
203 サンプル接続回路
204 導体板
205 フォークプラグ
206 接続ピン
207 マザー基板
208 コネクタ
209 デバイス制御回路基板
210 筐体
211 接続配線
212 電源配線
213 コネクタ
214 隔壁
215 隔壁
216 開口部
219 接続ボルト
220 接触部
221 固定ネジ
222 信号配線
223 ヒートパイプ
224 固定ネジ
225 接点部
226 素子端子
227 冷却ファン
228 放熱フィン
231 ヒートパイプ金具
232 接続圧力部
233 接続保持部
236 バネ(圧力金具)
237 位置固定ネジ
238 ネジ穴
239 バネ穴
240 位置決めネジ穴
241 フォークプラグ挿入板
251 凸部
252 溝部
301 試験回路モジュール
302 電圧選択回路
311 押圧具
312 絶縁板
313 押圧具取付け板
315 絶縁部