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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-28
(45)【発行日】2023-07-06
(54)【発明の名称】アンダーカッター付き台車
(51)【国際特許分類】
   E01B 27/06 20060101AFI20230629BHJP
【FI】
E01B27/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020203280
(22)【出願日】2020-12-08
(65)【公開番号】P2022090777
(43)【公開日】2022-06-20
【審査請求日】2022-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】391030125
【氏名又は名称】保線機器整備株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121496
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 重雄
(72)【発明者】
【氏名】細川 誠二
(72)【発明者】
【氏名】松山 信治
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-151901(JP,U)
【文献】特開平02-147704(JP,A)
【文献】実開昭60-165508(JP,U)
【文献】登録実用新案第3225463(JP,U)
【文献】特開平06-033402(JP,A)
【文献】特開平04-277201(JP,A)
【文献】特開2020-112000(JP,A)
【文献】特開昭54-035907(JP,A)
【文献】特開2009-023422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックホウと連結されてレール上を走行する台車本体と、
前記台車本体にカッター支持体を介してアンダーカッターの左右両側を支持させたアンダーカッター機構部とを有し、
前記カッター支持体は、
前記台車本体上に設けられた取付架台と、
前記取付架台の左右両側にそれぞれ設けられたカッター支持部を有しており、
左右両側のカッター支持部は、それぞれ、
前記アンダカッターの長さに応じ外側に向かって横方向に突出した水平張出部材と、
上端部が前記水平張出部材に連結される一方、下端部が前記アンダーカッターの上側面に固定される垂下り部材とを備え、
前記カッター支持部の垂下り部材は、
前記水平張出部材に対し連結される主垂下り部材と、
上端部がその主垂下り部材に対し交換可能に連結される一方、下端部が前記アンダーカッターの上側面に固定される副垂下り部材とに分割して構成され、
前記副垂下り部材を長さの異なる別の垂下り部材に交換して前記主垂下り部材に連結することによって前記アンダーカッターの高さを変更できるように構成したことを特徴とするアンダーカッター付き台車。
【請求項2】
請求項1に記載のアンダーカッター付き台車において、
前記取付架台の左右両側の前記カッター支持部の内、一方の前記カッター支持部の主垂下り部材は、前記水平張出部材に対し回動可能に連結され、他方の前記カッター支持部の主垂下り部材は、前記水平張出部材に対し高さが上下方向に変更できるように構成されており、
前記他方のカッター支持部において前記水平張出部材に対し前記主垂下り部材は高さを上下方向に変更すると共に、前記一方のカッター支持部においては前記水平張出部材に対し前記主垂下り部材を回動させることによって前記アンダーカッターに勾配をつけられるように構成したことを特徴とするアンダーカッター付き台車。
【請求項3】
バックホウと連結されてレール上を走行する台車本体と、
前記台車本体にカッター支持体を介してアンダーカッターの左右両側を支持させたアンダーカッター機構部とを有し、
前記カッター支持体は、
前記台車本体上に設けられた取付架台と、
前記取付架台の左右両側にそれぞれ設けられたカッター支持部を有しており、
左右両側のカッター支持部は、それぞれ、
前記アンダカッターの長さに応じ外側に向かって横方向に突出した水平張出部材と、
上端部が前記水平張出部材に連結される一方、下端部が前記アンダーカッターの上側面に固定される垂下り部材とを備え、
前記取付架台の左右両側の前記カッター支持部の内、一方の前記カッター支持部の主垂下り部材は、前記水平張出部材に対し回動可能に連結され、他方の前記カッター支持部の主垂下り部材は、前記水平張出部材に対し高さが上下方向に変更できるように構成されており、
前記他方のカッター支持部において前記水平張出部材に対し前記主垂下り部材は高さを上下方向に変更すると共に、前記一方のカッター支持部においては前記水平張出部材に対し前記主垂下り部材を回動させることによって前記アンダーカッターに勾配をつけられるように構成したことを特徴とするアンダーカッター付き台車。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか一の請求項に記載のアンダーカッター付き台車において、
前記取付架台の左右両側には、それぞれ、レールのアゴ部に引っ掛かるレールアゴ部引掛片が設けられていることを特徴とするアンダーカッター付き台車。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか一の請求項に記載のアンダーカッター付き台車において、
前記台車本体には、
前記バックホウの下部走行体に対し連結棒を介して連結される台車側第1連結部と、
前記バックホウの作業アーム先端に連結される台車側第2連結部とが設けられていることを特徴とするアンダーカッター付き台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マクラギ下の砕石を掘削するアンダーカッターが設けられたアンダーカッター付き台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、マクラギ下の道床内に左右両側からアンダーカッターの基端を回転させながらアンダーカッターをマクラギ下に挿入してバラスト(砕石)を掻き出し、掻き出したバラスト(砕石)を吸引装置で吸込み車両内に搬入するように構成した道床交換機が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-33402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の特許文献1に記載の道床交換機では、道床交換機の左右両側にそれぞれアンダーカッターの基部を回動可能に片持ちで支持する構造であるため、マクラギ下面の掘削深さやカッターの水平保持は道床交換機のオペレーターの技量に依ることになると共に、砕石堀削時の反動によってアンダーカッターが上下動する。
【0005】
そのため、上述の特許文献1に記載の道床交換機では、アンダーカッターの掘削深さを一定に保つことやアンダーカッターを水平又は一定の角度を保持することが困難で、アンダーカッターがマクラギに当たったり、マクラギ下面に貼られているゴムパッドを破損してしまうおそれがある等の問題があった。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、熟練者でなくてもマクラギ下の砕石等を容易かつ確実に堀削することができるアンダーカッター付き台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係るアンダーカッター付き台車は、バックホウと連結されてレール上を走行する台車本体と、前記台車本体にカッター支持体を介してアンダーカッターの左右両側を支持させたアンダーカッター機構部とを有し、前記カッター支持体は、前記台車本体上に設けられた取付架台と、前記取付架台の左右両側にそれぞれ設けられたカッター支持部を有しており、左右両側のカッター支持部は、それぞれ、前記アンダーカッターの長さに応じ外側に向かって横方向に突出した水平張出部材と、上端部が前記水平張出部材に連結される一方、下端部が前記アンダーカッターの上側面に固定される垂下り部材とを備え、前記カッター支持部の垂下り部材は、前記水平張出部材に対し連結される主垂下り部材と、上端部がその主垂下り部材に対し交換可能に連結される一方、下端部が前記アンダーカッターの上側面に固定される副垂下り部材とに分割して構成され、前記副垂下り部材を長さの異なる別の垂下り部材に交換して前記主垂下り部材に連結することによって前記アンダーカッターの高さを変更できるように構成したことを特徴とする。
また、本発明に係るアンダーカッター付き台車では、前記取付架台の左右両側の前記カッター支持部の内、一方の前記カッター支持部の主垂下り部材は、前記水平張出部材に対し回動可能に連結され、他方の前記カッター支持部の主垂下り部材は、前記水平張出部材に対し高さが上下方向に変更できるように構成されており、前記他方のカッター支持部において前記水平張出部材に対し前記主垂下り部材は高さを上下方向に変更すると共に、前記一方のカッター支持部においては前記水平張出部材に対し前記主垂下り部材を回動させることによって前記アンダーカッターに勾配をつけられるように構成したことも特徴とする。
また、本発明に係るアンダーカッター付き台車では、バックホウと連結されてレール上を走行する台車本体と、前記台車本体にカッター支持体を介してアンダーカッターの左右両側を支持させたアンダーカッター機構部とを有し、前記カッター支持体は、前記台車本体上に設けられた取付架台と、前記取付架台の左右両側にそれぞれ設けられたカッター支持部を有しており、左右両側のカッター支持部は、それぞれ、前記アンダーカッターの長さに応じ外側に向かって横方向に突出した水平張出部材と、上端部が前記水平張出部材に連結される一方、下端部が前記アンダーカッターの上側面に固定される垂下り部材とを備え、前記取付架台の左右両側の前記カッター支持部の内、一方の前記カッター支持部の主垂下り部材は、前記水平張出部材に対し回動可能に連結され、他方の前記カッター支持部の主垂下り部材は、前記水平張出部材に対し高さが上下方向に変更できるように構成されており、前記他方のカッター支持部において前記水平張出部材に対し前記主垂下り部材は高さを上下方向に変更すると共に、前記一方のカッター支持部においては前記水平張出部材に対し前記主垂下り部材を回動させることによって前記アンダーカッターに勾配をつけられるように構成したことを特徴とする。
また、本発明に係るアンダーカッター付き台車では、前記取付架台の左右両側には、それぞれ、レールのアゴ部に引っ掛かるレールアゴ部引掛片が設けられていることも特徴とする。
また、本発明に係るアンダーカッター付き台車では、前記台車本体には、前記バックホウの下部走行体に対し連結棒を介して連結される台車側第1連結部と、前記バックホウの作業アーム先端に連結される台車側第2連結部とが設けられていることも特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るアンダーカッター付き台車では、バックホウと連結されてレール上を走行する台車本体と、台車本体にカッター支持体を介しアンダーカッターの左右両側を支持させたアンダーカッター機構部とを有し、台車本体に左右両側が支持されたアンダーカッターによりレールのマクラギ下の砕石を掘削する。
そのため、本発明によれば、台車本体の下側に左右両側が支持された両側懸架のアンダーカッターによってレールのマクラギ下の砕石を掘削するため、熟練者でなくてもマクラギ下の砕石等を容易かつ確実に堀削することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る実施形態のアンダーカッター付き台車の斜視図である。
図2】本発明に係る実施形態のアンダーカッター付き台車からアンダーカッターを取り外した状態を示す斜視図である。
図3】本発明に係る実施形態のアンダーカッター付き台車の平面図である。
図4】本発明に係る実施形態のアンダーカッター付き台車の側面図である。
図5】本発明に係る実施形態のアンダーカッター付き台車によってマクラギ下の砕石を堀削している状態を示す説明図である。
図6】本発明に係る実施形態のアンダーカッター付き台車によってマクラギ下の砕石を堀削している状態を示す説明図である。
図7】本発明に係る実施形態のアンダーカッター付き台車を連結棒を介して軌陸両用バックホウに連結して作業している状態を示す正面図である。
図8】本発明に係る実施形態のアンダーカッター付き台車を連結棒を介して軌陸両用バックホウに連結して作業している状態の別の例を示す正面図である。
図9】本発明に係る実施形態のアンダーカッター付き台車によってマクラギ下の砕石を堀削している状態を示す説明図である。
図10】本発明に係る実施形態のアンダーカッター付き台車を連結棒を介して軌陸両用バックホウに連結してアンダーカッターにより砕石を堀削すると共に、バックホウの作業アーム先端のバケットによりアンダーカッターにより堀削した砕石を掬って脱着式シュートが設けられたトロリーに集めている状態を示す側面図である。
図11】本発明に係る実施形態のアンダーカッター付き台車のアンダーカッターを台車本体とレールの間の高さに装着して除雪機等して使用する場合の状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<本発明に係る実施形態のアンダーカッター付き台車1の構成>
以下、本発明に係る実施形態のアンダーカッター付き台車1について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、下記に説明する実施形態はあくまで本発明の一例であり、本発明は下記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で適宜変更可能である。
【0011】
実施形態のアンダーカッター付き台車1は、図1に示すようにレール上を走行する車輪11cが設けられ、後述する軌陸両用バックホウ2と連結される台車側第1連結部11gが設けられた台車本体11と、台車本体11にアンダーカッターの左右両側を支持させたアンダーカッター機構部12とを備えて構成される。
【0012】
(台車本体11)
台車本体11は、図1図4に示すように四角形に組み上げた台車本体フレーム11aの前後それぞれの車軸11b,11bを介して左右両側に車輪11c,11cが設けられ、後述するようにレールR上を走行できるように構成されている。
【0013】
台車本体11には、台車本体フレーム11aの上に取付架台11dが設けられており、取付架台11dの左右両側には、それぞれ、アンダカッター12aの長さに応じて突出した後、下方へ延びてアンダーカッター12aの左右両端部を着脱可能に支持するカッター支持部11e,11fが設けられている。尚、実施形態の取付架台11dおよびカッター支持部11e,11fにより本発明のカッター支持体を構成している。
【0014】
図1および図2上、右側のカッター支持部11eは、第1水平張出部材11e1と主垂下り部材11e2とが連結軸部11e4を介し回動可能に連結して構成されていると共に、主垂下り部材11e2下端部にアンダーカッター12aの切削深さに応じた上下方向の長さを有する副垂下り部材11e3が主垂下り部材11e2に対し交換可能にボルトおよびナット等により連結されており、副垂下り部材11e3下端には、図1に示すようにアンダーカッター機構部12の回転機構12b側のアンダーカッター12a上面をボルトおよびナット等によって固定して支持するように構成されている。
【0015】
これに対し、図1および図2上、左側のカッター支持部11fは、第1水平張出部材11f1主垂下り部材11f2とが連結軸部11f4を介し回動可能に連結して構成されていると共に、主垂下り部材11f2下端部にはアンダーカッター12aの切削深さに応じた上下方向の長さを有する副垂下り部材11f3が主垂下り部材11f2に対し交換可能にボルトおよびナット等により連結されており、副垂下り部材11f3下端には、図1に示すようにアンダーカッター機構部12のカッター先端側のアンダーカッター12a上面をボルトおよびナット等によって固定して支持するように構成されている。
【0016】
これにより、カッター支持部11e,11fは、それぞれ、副垂下り部材11e3と副垂下り部材11f3とを上下方向の長さの異なる別の副垂下り部材11e3と副垂下り部材11f3に交換することによりアンダーカッター12aの切削深さを変更することができる。
【0017】
また、本実施形態のアンダーカッター付き台車1では、左側のカッター支持部11fの第1水平張出部材11e1,11f1には、アンダーカッター12aを水平に保持できるように右側のカッター支持部11eの水平張出部材11e1の連結軸部11e4の回動軸孔と同じ高さに回動軸孔11f11(図6図7等参照。)を設けていると共に、回動軸孔11e11の外側にアンダーカッター12aを傾斜させるため回動軸孔11e11の高さよりも上下方向に延びるカッター傾斜用スリット11f12(図6図7等参照。)を設けている。
【0018】
そして、左側のカッター支持部11fの主垂下り部材11f2には、第1水平張出部材11e1,11f1の回動軸孔11f11またはカッター傾斜用スリット11f12に通された連結軸部11f4が通される第1回動軸孔および第2回動軸孔が設けられている。
【0019】
そのため、図5に示すように左側のカッター支持部11fにおいて連結軸部11f4を第1水平張出部材11f1の回動軸孔11f11と、回動軸孔11f11に対応する主垂下り部材11f2の第1回動軸孔に通すことによりアンダーカッター12aを水平に保つことができる。
【0020】
これに対し、図6に示すように左側のカッター支持部11fにおいて連結軸部11f4を第1水平張出部材11f1のカッター傾斜用スリット11f12の上部と主垂下り部材11f2の第2の回動軸孔に通すことによりアンダーカッター12aの先端側を水平より高くした状態に傾斜することができる。
【0021】
また、図7に示すように左側のカッター支持部11fにおいて連結軸部11f4を第1水平張出部材11f1のカッター傾斜用スリット11f12の下部と主垂下り部材11f2の第2の回動軸孔に通すことによりアンダーカッター12aの先端側を水平より低くした状態に傾斜することができる。
【0022】
尚、左側のカッター支持部11fにおいて連結軸部11f4を第1水平張出部材11f1のカッター傾斜用スリット11f12は、上下方向に延びる長孔形状に構成しているため、主垂下り部材11f2の第2の回動軸孔に通した連結軸部11f4の位置を図6に示すカッター傾斜用スリット11f12上部および図7に示すカッター傾斜用スリット11f12下部だけでなく、カッター傾斜用スリット11f12の上下方向の任意の位置で止めてナット等で締結することによって、アンダーカッター12aを任意の角度に傾斜させることができる。
【0023】
このように本実施形態のアンダーカッター付き台車1では、取付架台11dの左右両側に設けたカッター支持部11e,11fによってアンダーカッター12aの両側を支持するため、アンダーカッター12aを容易かつ確実に水平に保つことが出来ると共に、左側のカッター支持部11fにおいて第1水平張出部材11f1のカッター傾斜用スリット11f12に連結軸部11f4を通してカッター傾斜用スリット11f12の上下方向の任意の位置で止めてナット等で締結することによりアンダーカッター12aを傾斜させて勾配をつけることができる。
【0024】
また、台車本体11には、後述する連結棒13を介して軌陸両用バックホウ2の連結部に連結するための台車側第1連結部11gが設けられている共に、取付架台11dの上部には、軌陸両用バックホウ2の作業アーム2b先端の作業アーム側連結部2bが連結される連結ピン11h1~11h3が設けられた台車側第2連結部11hを設けている。
【0025】
また、取付架台11dの左右両側には、それぞれ、カッター支持部11fの第1水平張出部材11e1,11f1と第2水平張出部材11e5,11f5との間にレールRのアゴ部に引っ掛かるレールアゴ部引掛片11iが回動可能に設けられていると共に、先端部を高く上げてレールRのアゴ部に引掛けない状態および先端部を下げてレールRのアゴ部に引掛けた状態で固定できるように設けられている。
【0026】
レールアゴ部引掛片11iの下端部には、レールRのアゴ部に引掛けた状態でレールRに沿って台車本体11が車輪4cで走行する必要があるため、レールRのアゴ部に引掛けた際にレールR側面に接触して回転するガイド車輪11i1を設けている。
【0027】
(アンダーカッター機構部12)
アンダーカッター機構部12は、周知のもので、図3図10等に示すように軌陸両用バックホウ2または軌陸両用バックホウ2に連結されたカッター用油圧ユニット3からの油圧によって油圧モーター12bを回転させてアンダーカッター12aの複数の掘削爪2a1をチェーン等でアンダーカッター12aの外周に沿って回転させてマクラギM下の砕石を掘削するように構成されている。
【0028】
また、アンダーカッター機構部12は、台車本体11にアンダーカッター12aの両端を固定して使用するが、台車本体11から切り離しても使用できるように軌陸両用バックホウ2の作業アーム2b先端に装着できるように2本の連結ピンが設けられたカッター用作業アーム連結部12cが設けられている。尚、アンダーカッター12aは、油圧モーター12bの駆動に限らず、電気モーターでも、エンジンによる駆動でも勿論良い。
【0029】
<軌陸両用バックホウ2>
軌陸両用バックホウ2は、後述する図8等に示すようにクローラー2a1または車輪2a2のいずれか一方で走行可能な下部走行体2aの上に、作業アーム2bや運転席2cが設けられた周知のバックホウで、車輪2a2によってレールR上を走行できると共に、クローラー2a1によってレールR以外の路盤等を走行できるように構成されている。
【0030】
そして、軌陸両用バックホウ2の下部走行体2aの前後には、連結棒13,14を介して実施形態のアンダーカッター付き台車1やカッター用油圧ユニット3等を連結するための台車用連結器2a3,2a4が設けられている。
【0031】
作業アーム2bの先端には、通常は、図8図10に示すようにバケット2dが連結されており、バケット2dによって砕石等を掬うことが可能であるが、バケット2dを取り外してアンダーカッター付き台車1の取付架台11dの上部に設けられた台車側第2連結部11hに連結してアンダーカッター付き台車1を押して走行させたり、アンダーカッター付き台車1の台車本体11から取外したアンダーカッター機構部12のカッター用作業アーム連結部12cに連結し、後述するように作業アーム12b先端のアンダーカッター機構部12を作動させてマクラギM下に切り込みを入れることもできる。
【0032】
<本発明に係る実施形態のアンダーカッター付き台車1の使用方法>
次に、以上のように構成された本発明に係る実施形態のアンダーカッター付き台車1の使用方法について説明する。
【0033】
図8は、本発明に係る実施形態のアンダーカッター付き台車1を軌陸両用バックホウ2の下部走行体2a前側の車用連結器2a3に連結棒13を介して連結して、路盤上の砕石を堀削する状態を示す図である。
【0034】
図8に示すように軌陸両用バックホウ2前側の台車用連結器2a3には連結棒13を介して本発明に係る実施形態のアンダーカッター付き台車1が連結されていると共に、軌陸両用バックホウ2後側の台車用連結器2a4には別の連結棒14を介してアンダーカッター機構部12の油圧モーター12bに油圧を供給するカッター用油圧ユニット3が連結され、アンダーカッター機構部12のアンダーカッター12aはマクラギMの下に位置している。
【0035】
ここで、本実施形態のアンダーカッター付き台車1では、台車本体11の左右両側にそれぞれ設けたカッター支持部11e,11fによってアンダーカッター機構部12のアンダーカッター12aの両端部を支持しているため、図8および図9に示すようにアンダーカッター機構部12のアンダーカッター12aをマクラギMの下に位置させるためには、まず、台車本体11からアンダーカッター機構部12を切り離すと共に、軌陸両用バックホウ2の作業アーム2b先端からバケット2dを切り離して、軌陸両用バックホウ2の作業アーム2b先端にアンダーカッター機構部12のカッター用作業アーム連結部12cを連結する。
【0036】
次に、軌陸両用バックホウ2の作業アーム2b先端に装着した状態でアンダーカッター機構部12を作動させてマクラギM下に切り込みを入れ、アンダーカッター12aをマクラギMの下でレールRと直交する状態に設置する。
【0037】
次に、アンダーカッター機構部12を軌陸両用バックホウ2の作業アーム2bから切り離し、その後、予めレールRの上に載線しておいた台車本体11をアンダーカッター機構部12のアンダーカッター12aの上に移動して、台車本体11の左右両側のカッター支持部(懸架作業アーム)11e,11fにアンダーカッター機構部12の左右両端部をボルトおよびナットで固定する。
【0038】
これで、図8図10に示すようにアンダーカッター12aをマクラギMの下に設置した状態での台車本体11とアンダーカッター機構部12との連結が完了する。
【0039】
また、台車本体11とアンダーカッター機構部12との連結が完了した本実施形態のアンダーカッター付き台車1を、図8に示すように軌陸両用バックホウ2の下部走行体2a前側の車用連結器2a3に連結棒13を介して連結すると共に、軌陸両用バックホウ2後側の台車用連結器2a4に別の連結棒14を介してカッター用油圧ユニット3を連結する。
【0040】
そして、アンダーカッター付き台車1の台車本体11の取付架台11dの左右両側には、それぞれ、カッター支持部11fの第1水平張出部材11e1,11f1と第2水平張出部材11e5,11f5との間にレールアゴ部引掛片11iが設けられているため、レールアゴ部引掛片11iをレールRのアゴ部に引っ掛け、アンダーカッター付き台車1のアンダーカッター機構部12のアンダーカッター12aによってマクラギM下の砕石の堀削時にレールアゴ部引掛片11iによって実施形態のアンダーカッター付き台車1が浮上らないように抑える。
【0041】
これにより、実施形態のアンダーカッター付き台車1は、軌陸両用バックホウ2の走行に応じて連結棒13を介して走行しながらカッター用油圧ユニット車3からの油圧によってアンダーカッター12aを動作させ、マクラギM下の砕石を堀削することができる。
【0042】
特に、実施形態のアンダーカッター付き台車1では、台車本体11の取付架台11dの左右両側のレールアゴ部引掛片11iをレールRのアゴ部に引っ掛けたため、アンダーカッター12aによってマクラギM下の砕石の堀削時に台車本体11の浮上がりを防止することができる。そのため、熟練作業者でなくてもアンダーカッター12aをマクラギMに当ててマクラギM下面に貼られているゴムパッドRP等を破損することを確実に防止することができる。
【0043】
また、図5に示すように左側のカッター支持部11fにおいて連結軸部11f4を第1水平張出部材11f1の回動軸孔11f11と、回動軸孔11f11に対応する主垂下り部材11f2の第1回動軸孔11f21に通してアンダーカッター12aを水平に設定している場合には、熟練作業者でなくても容易にマクラギM下の砕石を水平に堀削することができる。
【0044】
また、図6に示すように左側のカッター支持部11fにおいて連結軸部11f4を第1水平張出部材11f1のカッター傾斜用スリット11f12の上部と主垂下り部材11f2の第2の回動軸孔に通すことによりアンダーカッター12aの先端側を水平より高くした状態に傾斜させたり、あるいは図7に示すように左側のカッター支持部11fにおいて連結軸部11f4を第1水平張出部材11f1のカッター傾斜用スリット11f12の下部と主垂下り部材11f2の第2の回動軸孔に通すことによりアンダーカッター12aの先端側を水平より低くした状態に傾斜させた場合には、熟練作業者でなくても容易にマクラギM下の砕石を傾斜状態で堀削することができる。
【0045】
<本発明に係る実施形態のアンダーカッター付き台車のまとめ>
以上説明したように、本発明に係る実施形態のアンダーカッター付き台車1では、レール上を走行する車輪11cが設けられた台車本体11と、本発明のカッター支持体を構成する取付架台11dおよびカッター支持部11e,11fによって台車本体11の左右両側でアンダーカッター12aの左右両側を支持させ、そのアンダーカッター12aによってレールRのマクラギM下の砕石を掘削するアンダーカッター機構部12とを有する。
【0046】
そのため、本発明に係る実施形態のアンダーカッター付き台車1によれば、台車本体11の下側に左右両側が支持された両側懸架のアンダーカッター12aによってレールRのマクラギM下の砕石を掘削するため、熟練作業者でなくてもマクラギM下面に貼られているゴムパッドRP等を破損させずに容易にマクラギM下の砕石を掘削することができ、砕石の堀削作業の作業効率を向上させることができる。
【0047】
また、本発明に係る実施形態のアンダーカッター付き台車1によれば、軌陸両用バックホウ2自体に連結棒13および台車側第1連結部11gを介してアンダーカッター付き台車1を連結する一方、軌陸両用バックホウ2の作業アーム2b先端のバケット2bによってアンダーカッター12aが堀削した砕石を掬って、図10に示すようにトロリー(砕石回収台車)4の上の脱着式シュート4a内に設けられたトンバッグ4bやトラック(図示せず。)等に集めて回収することが可能となり、砕石の堀削作業の作業性を向上させることができる。
【0048】
また、本発明に係る実施形態のアンダーカッター付き台車1では、台車本体11には、取付架台11dが設けられており、当該取付架台11dの左右両側には、それぞれ、アンダーカッター12aの長さに応じて外側に向かって横方向に突出する第1水平張出部材11e1,11f1と、その第1水平張出部材11fe,11f1に対し連結される主垂下り部材11e2,11f2と、上端部がその主垂下り部材11e2,11f2に対し交換可能に連結され、下端部がアンダーカッター12aの上側面に固定される副垂下り部材11e3,11f3とを有するカッター支持部11e,11fを設けている。
【0049】
そのため、本発明に係る実施形態のアンダーカッター付き台車1によれば、副垂下り部材11e3,11f3を長さの異なる別の副垂下り部材11e3,11f3に交換することによってアンダーカッター12aの高さを容易に変更することができるので、熟練作業者でなくてもマクラギM下面に貼られているゴムパッドRP等を破損させずに容易にマクラギM下の砕石を掘削することができ、砕石の堀削作業の作業効率を向上させることができる。
【0050】
また、本発明に係る実施形態のアンダーカッター付き台車1では、取付架台11dの左右両側のカッター支持部11e,11fの内、一方のカッター支持部11eの主垂下り部材11e2は、第1水平張出部材11e1に対し回動可能に連結され、他方のカッター支持部11fの第1水平張出部材11f1には、アンダーカッター12aを水平に保持できるように右側のカッター支持部11eの第1水平張出部材11e1の連結軸部11e4の回動軸孔と同じ高さに回動軸孔11f11(図6図7等参照。)を設けていると共に、回動軸孔11e11の外側にアンダーカッター12aを傾斜させるため回動軸孔11e11の高さよりも上下方向に延びるカッター傾斜用スリット11f12(図6図7等参照。)を設けている。
【0051】
そのため、本発明に係る実施形態のアンダーカッター付き台車1によれば、取付架台11dの左右両側に設けたカッター支持部11e,11fによってアンダーカッター12aの両側を支持するため、アンダーカッター12aを容易かつ確実に水平に保つことが出来るだけでなく、左側のカッター支持部11fにおいて第1水平張出部材11f1のカッター傾斜用スリット11f12に連結軸部11f4を通してカッター傾斜用スリット11f12の上下方向の任意の位置で止めてナット等で締結することによりアンダーカッター12aを傾斜させて勾配をつけることができる。
【0052】
また、本発明に係る実施形態のアンダーカッター付き台車1では、取付架台11dの上部には、軌陸両用バックホウ2の作業アーム2b先端の作業アーム側連結部が連結される連結ピンが設けられた台車側第2連結部11hを設けている。
【0053】
そのため、本発明に係る実施形態のアンダーカッター付き台車1によれば、軌陸両用バックホウ2自体に連結棒13を介して台車側第1連結部11gに連結するだけでなく、軌陸両用バックホウ2の作業アーム2b先端に連結して使用することも可能となるので、狭い区間での砕石の堀削作業の場合には軌陸両用バックホウ2自体に連結棒13を介して連結する場合よりも使用勝手を向上させることができる。
【0054】
また、本発明に係る実施形態のアンダーカッター付き台車1では、取付架台11dの左右両側には、それぞれ、レールRのアゴ部に引っ掛かるレールアゴ部引掛片11iを設けている。
【0055】
そのため、本発明に係る実施形態のアンダーカッター付き台車1によれば、左右両側のレールアゴ部引掛片11iをレールRのアゴ部に引っ掛けてアンダーカッター12aによって、マクラギM下の砕石の堀削作業を行うことにより、砕石の堀削時に台車本体11の浮上がりを防止することができるので、熟練作業者でなくてもアンダーカッター12aをマクラギMに当ててマクラギM下面に貼られているゴムパッドRP等を破損することを確実に防止することができる。
【0056】
尚、上記実施形態の説明では、台車本体11には取付架台11dを設け、当該取付架台11dの左右両側に、それぞれ、第1水平張出部材11e1,11f1と、主垂下り部材11e2,11f2と、副垂下り部材11e3,11f3等を有するカッター支持部11e,11fを設け、副垂下り部材11e3,11f3を長さの異なる別の副垂下り部材11e3,11f3に交換することによってアンダーカッター12aの高さを容易に変更できるように説明したが、本発明では、これに限らず、例えば、副垂下り部材11e3,11f3を省略して主垂下り部材11e2,11f2の下端部にアンダーカッター12aの両側の上側面を固定したり、図11に示すように第1水平張出部材11e1,11f1の下側面にアンダーカッター12aの両側の上側面を固定することによって、アンダーカッター12aを台車本体11とレールRの間に設置して、アンダーカッター12aによってレールR表面に付着した氷や雪等の除雪等に使用しても良い。
【符号の説明】
【0057】
1 アンダーカッター付き台車
11 台車本体
11a 台車本体フレーム
11b 車軸
11c 車輪
11d 取付架台
11e カッター支持部
11e1 第1水平張出部材
11e2 主垂下り部材
11e3 副垂下り部材
11e4 連結軸部
11e5 第2水平張出部材
11f カッター支持部
11f1 第1水平張出部材
11f11 回動軸孔
11f12 カッター傾斜用スリット
11f2 主垂下り部材
11f21 第1回動軸孔
11f22 第2回動軸孔
11f3 垂下り部
11f4 連結軸部
11f5 第2水平張出部材
11g 台車側第1連結部
11i レールアゴ部引掛片
11i1 ガイド車輪
12 アンダーカッター機構部
12a アンダーカッター
12b 油圧モーター
12c カッター用作業アーム連結部
2 軌陸両用バックホウ
2a 下部走行体
2a1 クローラー
2a2 車輪
2a3,2a4 台車用連結器
2b 作業アーム
2c 運転席
3 カッター用油圧ユニット
4 トロリー(砕石回収台車)
4a 脱着式シュート
4b トンバッグ
R レール
M マクラギ
RP ゴムパッド
図1
図2
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図11