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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-28
(45)【発行日】2023-07-06
(54)【発明の名称】送信機、送信機群、システム
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/12 20060101AFI20230629BHJP
   H01Q 9/16 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
H01Q1/12 Z
H01Q9/16
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023000955
(22)【出願日】2023-01-06
【審査請求日】2023-01-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520354692
【氏名又は名称】エイターリンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 良輔
(72)【発明者】
【氏名】田邉 勇二
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-145284(JP,A)
【文献】特開2018-164236(JP,A)
【文献】特開2022-173953(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0039761(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0086843(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00-25/04
F21V 21/00-21/40
H02J 50/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向と短手方向とを有し、前記短手方向の幅がダクトレールの幅と略同一の筐体と、
前記ダクトレールの延伸方向と前記長手方向とを略一致させて、前記筐体をダクトレールへ取り付けるための取付け部と、
前記筐体内に格納されるアンテナ素子と
を具備し、
前記アンテナ素子は、前記筐体の長手方向に対して、水平方向に、前記筐体内で傾けられる略最大の角度だけ傾けて格納されている送信機。
【請求項2】
前記アンテナ素子は、920MHz帯の電磁波を放射する直線偏波アンテナである請求項1記載の送信機。
【請求項3】
長手方向と短手方向とを有し、前記短手方向の幅がダクトレールの幅と略同一の筐体と、
前記ダクトレールの延伸方向と前記長手方向とを略一致させて、前記筐体をダクトレールへ取り付けるための取付け部と、
前記筐体内に格納されるアンテナ素子と
を具備し、
前記アンテナ素子は、中央部が、前記筐体の長手方向に対して所定角度だけ水平方向に傾いており、両端が、前記筐体の長手方向に延伸する内壁に沿ってそれぞれ逆方向に形成されて前記筐体に格納されている信機。
【請求項4】
前記内壁に沿って形成される前記アンテナ素子の両端は、延伸するにつれて幅が広くなる請求項記載の送信機。
【請求項5】
前記アンテナ素子は、送信する電磁波の半波長よりも短い請求項4記載の送信機。
【請求項6】
前記取付け部と、前記アンテナ素子との間には、金属板が配置される請求項1記載の送信機。
【請求項7】
第1送信機と、第2送信機とを有する送信機群において、
前記第1送信機は、長手方向を有し、短手方向の幅がダクトレールの幅と略同一の筐体内に、前記筐体の長手方向に対して、水平方向に、所定角度だけ傾けてアンテナ素子が格納され、
前記第2送信機は、長手方向を有し、短手方向の幅がダクトレールの幅と略同一の筐体内に、前記筐体の長手方向に対して、水平方向に、前記第1送信機のアンテナ素子とは逆方向に所定角度だけ傾けてアンテナ素子が格納される送信機群。
【請求項8】
前記第1送信機のアンテナ素子は、中央部が、前記筐体の長手方向に対して所定角度だけ水平方向に傾いており、両端が、前記筐体の長手方向に延伸する内壁に沿ってそれぞれ逆方向に形成される請求項記載の送信機群。
【請求項9】
前記第2送信機のアンテナ素子は、中央部が、前記筐体の長手方向に対して所定角度だけ水平方向に傾いており、両端が、前記筐体の長手方向に延伸する内壁に沿ってそれぞれ逆方向に形成され、前記中央部が傾く方向は、前記第1送信機のアンテナ素子が傾く方向と逆である請求項記載の送信機群。
【請求項10】
前記第1送信機のアンテナ素子は、中央部が、前記筐体の長手方向に対して、所定角度だけ水平方向に傾いており、両端が、前記筐体の長手方向に延伸する内壁に沿ってそれぞれ逆方向に形成され、
前記第2送信機のアンテナ素子は、中央部が、前記筐体の長手方向に対して、所定角度だけ水平方向に傾いており、両端が、前記筐体の長手方向に延伸する内壁に沿ってそれぞれ逆方向に形成され、前記両端が延伸する方向は、前記第1送信機のアンテナ素子の両端が延伸する方向と異なる請求項記載の送信機群。
【請求項11】
第1送信機と第2送信機とは混在して前記ダクトレールに取り付けられる請求項7記載の送信機群。
【請求項12】
第1送信機と、第2送信機とを有するシステムにおいて、
前記第1送信機は、長手方向を有し、短手方向の幅がダクトレールの幅と略同一の筐体内に、前記筐体の長手方向に対して、水平方向に、所定角度だけ傾けてアンテナ素子が格納され、
前記第2送信機は、長手方向を有し、短手方向の幅がダクトレールの幅と略同一の筐体内に、前記筐体の長手方向に対して、水平方向に、前記第1送信機のアンテナ素子とは逆方向に所定角度だけ傾けてアンテナ素子が格納されるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、送信機、送信機群、システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、閉空間のアンテナより放射される電波の遅延波が少なく、閉空間内の通信環境を良好にするアンテナの設置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-324377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、指向性アンテナを車両の長手方向に沿って配置して指向性アンテナ群を形成する。特許文献1では、指向性アンテナが窓枠方向を向くように指向性を持たせることで、車両内での多重反射波、遅延波を減少させ、無線環境を良好にしている。
【0005】
しかしながら、特許文献1では、車両内の無線環境を良好にすることについて記載しているが、屋内におけるワイヤレス給電(Wireless Power Transfer:WPT)については記載されていない。
【0006】
本開示の目的は、屋内においてワイヤレス給電を実現する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
長手方向と短手方向とを有し、短手方向の幅がダクトレールの幅と略同一の筐体と、ダクトレールの延伸方向と長手方向とを略一致させて、筐体をダクトレールへ取り付けるための取付け部と、筐体内に格納されるアンテナ素子とを具備する送信機。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、屋内においてワイヤレス給電を実現する技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係るWPTシステム1の全体の構成を示す図である。
図2図1に示す送信機100と、受信機200との構成例を表すブロック図である。
図3】屋内に設置される送信機100の構成を示す模式図である。
図4】ダクトレールに取り付けられた際の送信機100を示す模式図である。
図5】蓋部106、及び筐体107の構成を示す模式図である。
図6】蓋部106を筐体107側から見た際の模式図である。
図7】蓋部106の、図6に示される破線での断面図である。
図8】筐体107を蓋部106側から見た際の模式図である。
図9】筐体107の、図8に示される破線での断面図である。
図10】送信機100-2の筐体107を蓋部106側から見た際の模式図である。
図11】ダクトレールに取り付けられた際の送信機100-1、送信機100-2を示す模式図である。
図12】筐体107を蓋部106側から見た際の模式図である。
図13】筐体107の、図12に示される破線での断面図である。
図14】筐体107を蓋部106側から斜め方向に見た際の模式図である。
図15】送信機100-4の筐体107を蓋部106側から斜め方向に見た際の模式図である。
図16】送信機に格納されるアンテナ素子の角度を変えて電波を送信した際に受信アンテナで受信される信号の受信レベルのシミュレーション結果を示す図である。
図17】コンピュータ90の基本的なハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0011】
<概要>
本実施形態に係る送信機は、WPTシステムで利用される。送信機は、例えば、屋内の天井に設けられているダクトレールに取り付けられる。送信機は、アンテナ素子を有しており、アンテナ素子から、920MHz帯の電磁波を給電信号として送信する。
【0012】
<1 システム全体の構成図>
図1は、本実施形態に係るWPTシステム1の全体の構成を示す図である。
【0013】
図1に示すWPTシステム1は、例えば、送信機100、受信機200、第1情報処理装置300、及び第2情報処理装置400を備える。図1に示すWPTシステム1は、例えば、ビル、又は工場等で利用される。なお、送信機100と第1情報処理装置300との接続、及び第1情報処理装置300と第2情報処理装置400との接続は、有線であっても無線であっても構わない。
【0014】
図1において、WPTシステム1が送信機100を3台含む例を示しているが、WPTシステム1に含まれる送信機100の数は、3台に限定されない。WPTシステム1に含まれる送信機100は、2台以下であってもよいし、4台以上であってもよい。
【0015】
図1において、WPTシステム1が受信機200を7台含む例を示しているが、WPTシステム1に含まれる受信機200の数は、7台に限定されない。WPTシステム1に含まれる受信機200は、6台以下であってもよいし、8台以上であってもよい。
【0016】
図1において、WPTシステム1が第1情報処理装置300を2台含む例を示しているが、WPTシステム1に含まれる第1情報処理装置300の数は、2台に限定されない。WPTシステム1に含まれる第1情報処理装置300は、1台であってもよいし、3台以上であってもよい。
【0017】
送信機100は、例えば、受信機200へ給電信号、又はデータ信号を送信する。送信機100は、例えば、920MHz帯の電波により、受信機200へ給電信号を送信する。送信機100は、例えば、2.4GHz帯の電波により、受信機200へデータ信号を送信する。送信機100は、データ信号を、920MHz帯の電波により送信してもよい。
【0018】
送信機100は、例えば、1台の受信機200へ給電信号を送信してもよいし、複数台の受信機200へ給電信号を送信してもよい。送信機100は、例えば、1台の受信機200へデータ信号を送信してもよいし、複数台の受信機200へデータ信号を送信してもよい。送信機100は、例えば、他の送信機100と同じデータ信号を送信してもよいし、他の送信機100と異なるデータ信号を送信してもよい。送信機100は、例えば、所定のコマンド信号をデータ信号として受信機200へ送信してもよいし、予め設定された信号をデータ信号として受信機200へ送信してもよい。
【0019】
送信機100は、例えば、受信機200から送信されるデータ信号を受信する。送信機100は、例えば、1台の受信機200から送信されるデータ信号を受信してもよいし、複数の受信機200から送信されるデータ信号を受信してもよい。送信機100は、受信機200から送信されるデータ信号を第1情報処理装置300へ送信する。送信機100は、送信機100の状態に関する情報を第1情報処理装置300へ送信する。
【0020】
受信機200は、例えば、送信機100から送信される給電信号、又はデータ信号を受信する。受信機200は、例えば、バッテリーを有する場合、送信機100から送信される給電信号を電力へ変換し、変換した電力をバッテリーに貯える。受信機200は、例えば、所定のセンサを有する場合、送信機100から送信される給電信号を電力へ変換し、変換した電力によりセンサを駆動させる。
【0021】
受信機200は、例えば、受信機200の状態に関する情報、又はセンサによる計測結果に関する情報を、データ信号として送信機100へ送信する。
【0022】
第1情報処理装置300は、WPTシステム1に収容される送信機100、受信機200の動作を監視する情報処理装置である。例えば、第1情報処理装置300は、送信機100から送信される、送信機100、及び受信機200の状態に関する情報に基づき、送信機100、又は受信機200が予め設定された状態になっているか否かを判断する。予め設定された状態になっていると判断した場合、第1情報処理装置300は、所定の情報を第2情報処理装置400へ送信する。
【0023】
また、第1情報処理装置300は、WPTシステム1に収容される送信機100、受信機200についての情報を蓄積する。例えば、第1情報処理装置300は、送信機100から送信される、送信機100及び受信機200の状態に関する情報を、第1情報処理装置300に設けられる記憶部に記憶する。
【0024】
また、第1情報処理装置300は、WPTシステム1に収容される送信機100の動作を制御する。
【0025】
第2情報処理装置400は、WPTシステム1の管理者が操作する情報処理装置である。第2情報処理装置400は、WPTシステム1に収容される送信機100、受信機200、又はこれらの両方が所定の状態になっている旨の連絡を第1情報処理装置300から受信すると、送信機100、受信機200、又はこれらの両方が所定の状態になっていることをユーザに提示する。
【0026】
また、第2情報処理装置400は、第1情報処理装置300に蓄積されている、送信機100及び受信機200の状態に関する情報を分析し、所定の情報をユーザに提示する。所定の情報は、例えば、以下である。
・送信機100の配置に関する情報
・受信機200の配置に関する情報
・消費電力に関する情報
・電力強度に関する情報
【0027】
<1.1 送信機と受信機の構成>
図2は、図1に示す送信機100と、受信機200との構成例を表すブロック図である。図2に示すように、送信機100と受信機200とは、例えば、互いに所定間隔で離間する。例えば、送信機100と受信機200とは、数m程度の距離だけ隔てられて設置される。具体的には、例えば、送信機100は、屋内の高所、例えば、天井、又は壁に設けられた所定の高位置に固定して設置される。受信機200は、屋内の所定のデバイスに設置されたり、給電が必要なデバイスの近傍に載置されたりする。また、受信機200は、ユーザにより携帯されてもよい。送信機100は、所定の周波数、例えば、920MHz帯の電波により、受信機200へ給電信号を送信する。受信機200は、送信機100から送信される給電信号を電力へ変換し、変換した電力を充電するか、又は、変換した電力を所定のデバイスへ供給する。
【0028】
送信機100は、例えば、発振器101、送信アンテナ102、マイコン(制御器)103、データ送受信機104、データ送受信アンテナ105を有する。発振器101、マイコン103、データ送受信機104、データ送受信アンテナ105は、例えば、PCB(プリント基板)に実装されていてもよい。
【0029】
発振器101は、所定周波数帯、例えば、920MHz帯の信号を発振させる。発振された信号は、必要に応じて、増幅されて、不要周波数成分が除去されてもよい。
【0030】
送信アンテナ102は、例えば、920MHz帯の電波を効率的に送信可能に形成されている。送信アンテナ102は、発振器101で発振された信号を、給電信号として放射する。
【0031】
マイコン103は、送信機100の動作を制御する。マイコン103は、例えば、ARMプロセッサを搭載したシングルボードコンピュータにより実現される。マイコン103は、例えば、送信アンテナ102による電波の送信を制御する。
【0032】
データ送受信機104は、デジタルデータのアナログ化、アナログデータの変調等の処理を実施する。また、データ送受信機104は、データ送受信アンテナ105で受信されるデータ信号から抽出される信号の復調、復調されたアナログデータのデジタル化等の処理を実施する。データ送受信機104は、例えば、データ送受信アンテナ105で受信されるデータ信号から所定の信号を抽出し、デジタルデータに変換してマイコン103へ送信する。
【0033】
データ送受信アンテナ105は、例えば、2.4GHz帯の電波を効率的に送受信可能に形成されている。データ送受信アンテナ105は、データ送受信機104から供給されるデータ信号を放射する。また、データ送受信アンテナ105は、受信機200から送信されたデータ信号を受信する。
【0034】
受信機200は、例えば、受信アンテナ201、整流器202、電力管理部203、バッテリー204、マイコン205、データ送受信機206、データ送受信アンテナ207を有する。受信アンテナ201、整流器202、電力管理部203、バッテリー204、マイコン205、データ送受信機206、データ送受信アンテナ207は、例えば、PCB又はFPC(フレキシブル基板)に実装されていてもよい。
【0035】
受信アンテナ201は、例えば、920MHz帯の電波を効率的に受信可能に形成されている。受信アンテナ201は、送信アンテナ102から放射された給電信号を受信する。
【0036】
整流器202は、給電信号として受信した電波を整流し、直流電圧に変換する。
【0037】
電力管理部203は、直流電圧を管理する。例えば、電力管理部203は、直流電圧に基づいて充電電圧を制御する。電力管理部203は、充電電圧を制御することで、バッテリー204を充電する。また、電力管理部203は、例えば、バッテリー204に所定容量以上の電力が蓄えられると、直流電圧を、接続される部材へ供給する。
【0038】
また、電力管理部203は、マイコン205からの制御に応じ、バッテリー204に蓄えられた電力を放出させる。
【0039】
バッテリー204は、電力管理部203からの指示に応じて電力を蓄える。また、バッテリー204は、電力管理部203からの指示に応じて蓄えている電力を放出する。
【0040】
マイコン205は、受信機200の動作を制御する。マイコン205は、電力管理部203から供給される直流電圧、又はバッテリー204に蓄えられた電力により駆動される。マイコン205は、電力管理部203を制御し、バッテリー204に蓄えられた電力を放出させる。
【0041】
受信機200には、例えば、種々のセンサが接続可能である。例えば、熱センサ、温度センサ、光センサ、湿度センサ、振動センサ等が受信機200に接続される。受信機200に接続されたセンサは、例えば、電力管理部203から供給される直流電圧、又はバッテリー204から放出される電力により駆動される。マイコン205は、受信機200の所定部位における電圧値、受信機200に接続されるセンサの状況、センサにより検出された情報等を、継続的又は断続的に監視する。マイコン205は、受信機200の所定部位における電圧値、受信機200に接続されるセンサの状況、センサにより検出された情報等をデジタルデータとしてデータ送受信機206へ送信する。なお、センサは、受信機200に内蔵されていてもよい。
【0042】
データ送受信機206は、マイコン205から供給されるデジタルデータのアナログ化、アナログデータの変調等の処理を実施する。また、データ送受信機206は、アナログデータの復調、復調されたアナログデータのデジタル化等の処理を実施する。データ送受信機206は、例えば、電力管理部203から供給される直流電圧、又はバッテリー204から放出される電力により駆動される。
【0043】
データ送受信アンテナ207は、例えば、2.4GHz帯の電波を効率的に送受信可能に形成されている。データ送受信アンテナ207は、データ送受信機206から供給されるデータ信号を放射する。また、データ送受信アンテナ207は、送信機100から送信されたデータ信号を受信する。例えば、データ送受信アンテナ207は、例えば、電力管理部203から供給される直流電圧、又はバッテリー204から放出される電力により駆動される。
【0044】
<1.2 送信機の構成>
図3は、屋内に設置される送信機100の構成を示す模式図である。図3に示される送信機100は、略直方体形状をしている。本実施形態において、送信機100は、例えば、ダクトレールに取り付けられる。ビル等の建物において、ダクトレールのサイズは、例えば、予め設定されている規格に準拠している。例えば、ダクトレールは、所定のライティングダクトの規格に準拠している。
【0045】
送信機100は、蓋部106、及び筐体107を有する。送信機100は、蓋部106がダクトレールに取り付けられる。蓋部106には、ダクトレールの延伸方向と長手方向とを略一致させて、送信機100をダクトレールへ取り付けるための取付け部が設けられている。取付け部の形状は任意であるため、図3には記載していない。
【0046】
図4は、ダクトレールに取り付けられた際の送信機100を示す模式図である。送信機100は、蓋部106によってダクトレールに取り付けられ、筐体107が床面と対向するようになる。
【0047】
送信機100は、長手方向と短手方向とを有する。長手方向はダクトレールの延伸方向と一致する。送信機100の長手方向の長さは、筐体107の内部にアンテナ素子(送信アンテナ102)を収納可能な長さである。また、送信機100の長手方向の長さは、筐体107の内部に、発振器101、マイコン103、データ送受信機104が実装されたPCBを収納可能な長さである。具体的には、送信機100の長手方向の長さは、例えば、210mmである。
【0048】
短手方向は、ダクトレールの幅方向と一致する。送信機100の短手方向の長さは、ダクトレールの幅と略同一である。具体的には、送信機100の短手方向の長さは、例えば、32.6mmである。蓋部106の上面から、筐体107の下面までの長さは、例えば、34mmである。
【0049】
送信機100は、ダクトレールと対応した形状をしている。例えば、送信機100の短手方向の長さは、ダクトレールの幅と略一致する。こうすることで、ダクトレールに送信機100が取り付けられた場合に、送信機100がダクトレールからはみ出すことがなくなる。そのため、送信機100がダクトレールに取り付けられた場合であっても、天井の美観を損ねることがない。
【0050】
図5は、蓋部106、及び筐体107の構成を示す模式図である。蓋部106は、筐体107の開口部1071を塞ぐように、筐体107に取り付けられる。例えば、蓋部106は、筐体107の開口部1071にはめ込まれて固定される。蓋部106は、筐体107の開口部1071に所定の接着手段により固定されてもよい。蓋部106、及び筐体107は、例えば、樹脂、又は金属により形成されている。
【0051】
図6は、蓋部106を筐体107側から見た際の模式図である。
【0052】
図7は、蓋部106の、図6に示される破線での断面図である。
【0053】
蓋部106の筐体107側の面には、PCB1061が取り付けられている。PCB1061は、アンテナ素子と同程度以上の大きさを有する。つまり、蓋部106の筐体107側の面には、アンテナ素子から離れて金属の板が取り付けられる。PCB1061は、リフレクターの役割を果たす。
【0054】
(アンテナ素子の構成例1)
筐体107の内部にはアンテナ素子1073が格納されている。アンテナ素子1073は、例えば、直線偏波アンテナである。アンテナ素子1073は、例えば、ダイポールアンテナにより実現される。送信機100が920MHz帯の電磁波を放射するため、アンテナ素子1073の長さは、920MHz帯の電磁波の波長と対応した長さ(約λ/2=160mm)になっている。アンテナ素子1073は、筐体107の長手方向、つまり、ダクトレールの延伸方向に対し、水平方向に所定角度だけ傾けて格納されている。
【0055】
図8は、筐体107を蓋部106側から見た際の模式図である。
【0056】
図9は、筐体107の、図8に示される破線での断面図である。
【0057】
図8図9に示すように、筐体107の底部1072に、アンテナ素子1073が形成されている。図8では、アンテナ素子1073は、直線形状を有している。アンテナ素子1073は、中央に給電点を有し、給電点から2本の導線が相対する方向へ延伸している。図8では、基板10731に、金属箔(銅箔)10732が形成されてなる場合を示している。しかしながら、アンテナ素子1073の構成はこれに限定されない。アンテナ素子1073は、金属の棒であってもよいし、金属板であってもよし、金属箔であってもよい。
【0058】
アンテナ素子1073は、筐体107の長手方向に対し、水平方向に所定角度傾いている。アンテナ素子1073の長さは、920MHz帯の電磁波を送信するため、920MHz帯の電磁波の略半波長、すなわち、約16cmである。アンテナ素子1073は、筐体107内で傾けられる最大の角度で傾けられている。図8に示す例では、筐体107の短手方向の長さが32.6mmであり、アンテナ素子1073の長さが略16cmであるため、アンテナ素子1073は、例えば、筐体107の長手方向に対して略10度程度傾けられている。なお、アンテナ素子1073が金属であり、筐体107が金属である場合、アンテナ素子1073と、筐体107の内壁とが接触しないように注意が必要である。
【0059】
(送信機群1)
図8図9では、送信機100-1を示した。この送信機100-1に対し、対となる送信機100-2が存在する。送信機100-1のアンテナ素子1073と、送信機100-2のアンテナ素子1073とは、同一の素材で形成されることが望ましい。
【0060】
図10は、送信機100-2の筐体107を蓋部106側から見た際の模式図である。図10に示すように、筐体107の底部には、アンテナ素子1073が形成されている。送信機100-2において、アンテナ素子1073は、筐体107の長手方向に対し、水平方向に所定角度傾いている。送信機100-2におけるアンテナ素子1073の傾斜方向は、送信機100-1におけるアンテナ素子1073の傾斜方向と逆方向となっている。
【0061】
図11は、ダクトレールに取り付けられた際の送信機100-1、送信機100-2を示す模式図である。送信機100-1と、送信機100-2とは、例えば、交互にダクトレールに取り付けられる。なお、必ずしも交互に取り付けられる必要はない。2台ずつ、3台ずつのように取り付けられていてもよいし、一方が多く取り付けられていてもよい。つまり、送信機100-1と、送信機100-2とは、混在されてダクトレールに取り付けられる。送信機100-1と、送信機100-2とがダクトレールに取り付けられることで、偏波面の異なる電磁波が放射されることになる。
【0062】
(アンテナ素子の構成例2)
構成例1では、アンテナ素子1073が直線形状である場合を例に説明した。構成例2では、アンテナ素子が曲がっている場合を例に説明する。筐体107の内部にはアンテナ素子1074が格納されている。アンテナ素子1074は、例えば、直線偏波アンテナである。アンテナ素子1074は、例えば、ダイポールアンテナにより実現される。送信機100が920MHz帯の電磁波を放射するため、アンテナ素子1074の長さは、920MHz帯の電磁波の波長と対応した長さになっている。
【0063】
図12は、筐体107を蓋部106側から見た際の模式図である。
【0064】
図13は、筐体107の、図12に示される破線での断面図である。
【0065】
図14は、筐体107を蓋部106側から斜め方向に見た際の模式図である。
【0066】
図12図14に示すように、筐体107の底部1072と、壁部1075とに、アンテナ素子1074が形成されている。図12図14に示すように、アンテナ素子1074は、第1素子部10741と、第2素子部10742とを有する。
【0067】
第1素子部10741は、底部1072に形成される部分である。第1素子部10741は、中央に給電点を有し、給電点から2本の導線が相対する方向へ延伸している。図12図14に示す例では、第1素子部10741は、例えば、筐体107の短手方向に沿って形成される。つまり、第1素子部10741は、例えば、筐体107の長手方向に対して垂直方向に沿って形成される。なお、第1素子部10741は、短手方向に沿って形成されなくてもよい。第1素子部10741は、例えば、短手方向に対して所定の角度だけ傾けられていてもよい。例えば、第1素子部10741は、図12において反時計回り方向に傾いていてもよい。
【0068】
図12図14では、第1素子部10741が金属箔により形成されてなる場合を示している。しかしながら、第1素子部10741の構成はこれに限定されない。第1素子部10741は、金属の棒であってもよいし、金属板であってもよし、基板上に形成される金属箔であってもよい。また、基板は、プリント基板に限定されず、フレキシブル基板であってもよい。第1素子部10741がフレキシブル基板を用いて実装される場合、第1素子部10741は、直線形状でなく、曲線形状であってもよい。
【0069】
第2素子部10742は、対向する壁部1075にそれぞれ形成される部分である。第2素子部10742は、第1素子部10741と壁部1075とが接する部分を始点とし、筐体107の長手方向に形成される。対向する第2素子部10742は、それぞれ逆方向に形成される。第2素子部10742は、金属の棒であってもよいし、金属板であってもよし、基板上に形成される金属箔であってもよい。また、基板は、プリント基板に限定されず、フレキシブル基板であってもよい。
【0070】
第2素子部10742は、筐体107の長手方向に延伸するにつれて、幅が広くなっている。第2素子部10742の末端部の幅を広くすることで周波数帯が広帯域化すると共に、第1素子部10741と壁部1075との接触部分から末端までの長さを抑えることが可能となる。つまり、第1素子部10741と壁部1075との接触部分から末端までの長さは、幅を広くした方が、幅を広くしないよりも短くなる。つまり、第2素子部10742の末端部の幅を広くすることで、一方の第2素子部10742の末端から、他方の第2素子部10742の末端までの長さは、送信する電磁波の半波長よりも短くなる。具体的には、一方の第2素子部10742の末端から、他方の第2素子部10742の末端までの長さは、160mmよりも短くなる。また、短くなることにより、一方の第2素子部10742の末端と他方の第2素子部10742の末端を通る直線と、送信機100の長手方向とのなす角が大きくなり、偏波方向の傾きが大きくなる効果が得られる。
【0071】
なお、第2素子部10742の末端部の幅を必ずしも広くする必要はない。幅を広げるのと同様の効果が期待できる形状に形成してもよい。例えば、第2素子部10742は、メアンダー形状であってもよい。なお、周波数帯の広帯域化や偏波方向の傾き拡大を望まないのであれば、第2素子部10742の幅は一様であってもよい。
【0072】
(送信機群2)
図12図14では、送信機100-3を示した。この送信機100-3に対し、対となる送信機100-4が存在する。送信機100-3のアンテナ素子1074と、送信機100-4のアンテナ素子1074とは、同一の素材で形成されることが望ましい。
【0073】
図15は、送信機100-4の筐体107を蓋部106側から斜め方向に見た際の模式図である。図15に示すように、筐体107の底部には、アンテナ素子1074が形成されている。送信機100-4において、アンテナ素子1074は、第1素子部10741と、第2素子部10742とを有する。第1素子部10741は、例えば、筐体107の短手方向に沿って形成される。第1素子部10741は、例えば、短手方向に対して所定の角度だけ傾けられていてもよい。例えば、第1素子部10741は、送信機100-3の第1素子部10741とは逆方向に傾いていてもよい。
【0074】
第2素子部10742は、第1素子部10741と壁部1075とが接する部分を始点とし、筐体107の長手方向に形成される。対向する第2素子部10742は、それぞれ逆方向に形成される。送信機100-3において第2素子部10742が形成される方向は、送信機100-4において第2素子部10742が形成される方向と逆である。
【0075】
送信機100-3と、送信機100-4とは、例えば、図11に示す送信機100-1と、送信機100-2とのように、ダクトレールに取り付けられる。送信機100-3と、送信機100-4とは、例えば、交互にダクトレールに取り付けられる。なお、必ずしも交互に取り付けられる必要はない。2台ずつ、3台ずつのように取り付けられていてもよいし、一方が多く取り付けられていてもよい。つまり、送信機100-3と、送信機100-4とは、混在されてダクトレールに取り付けられる。送信機100-3と、送信機100-4とがダクトレールに取り付けられることで、偏波面の異なる電磁波が放射されることになる。
【0076】
<2 シミュレーション結果>
図16は、送信機に格納されるアンテナ素子の角度を変えて電波を送信した際に受信アンテナで受信される信号の受信レベルのシミュレーション結果を示す図である。シミュレーションの条件は、以下である。
【0077】
直線偏波のアンテナ素子を備える送信機を、送信機の方向を揃えて2台並べる。具体的には、例えば、図11に示すように送信機の延伸方向に、送信機を並べて配置する。送信機は、アンテナ素子の傾斜無し、直線傾斜(10度)、折り曲げて傾斜の3パターンである。傾斜無しは、送信機の延伸方向と、アンテナ素子の延伸方向とが一致する2台の送信機が並べられた構成である。直線傾斜(10度)は、図8図9で示すアンテナ素子1073を備える送信機と、図10で示すアンテナ素子1073を備える送信機とが並べられた構成を表す。折り曲げて傾斜は、図12図14で示すアンテナ素子1074を備える送信機と、図15で示すアンテナ素子1074を備える送信機とが並べられた構成を表す。2台の送信機から同一距離の点に直線偏波の受信アンテナ(ダイポールアンテナ)を設置する。
【0078】
送信機2台から電波を送信し、受信アンテナで受信する。受信アンテナの向きを送信機の筐体と平行な状態から傾けていった際の受信レベルの変化を計算する。受信レベルは、アンテナ素子の傾斜無しの条件における最大値にて規格化している。
【0079】
図16で示すように、アンテナ素子が傾斜無しの送信機では、送信機と受信アンテナとの角度が90度に近くなるほど受信レベルが低下する。これは、送信機と受信アンテナとの角度が90度に近くなるほど、送信アンテナの偏波面と、受信アンテナの偏波面とが直交に近付くからである。
【0080】
これに対し、アンテナ素子が傾斜(直線)している場合、送信機と受信アンテナとの角度が90度に近くなっても、受信レベルの低下は抑えられている。アンテナ素子の延伸方向を送信機の延伸方向に対して±10度傾けることで、異なる偏波面の2種類の電波が発生するからである。
【0081】
さらに、アンテナ素子が傾斜(曲げ)している場合、送信機と受信アンテナとの角度が90度に近くなっても、受信レベルの低下はさらに抑えられている。アンテナ素子の延伸方向を送信機の延伸方向に対して折り曲げながら傾けることで、大きく異なる偏波面の2種類の電波が発生するからである。
【0082】
以上のように、送信機100は、長手方向と短手方向とを有し、短手方向の幅がダクトレールの幅と略同一である筐体107を有する。送信機100は、ダクトレールの延伸方向と長手方向とを略一致させて、筐体をダクトレールへ取り付けるための取付け部を具備する。送信機100は、筐体107内に格納されるアンテナ素子1073を具備する。これにより、WPTのための電波を送信する送信機100が、違和感なくダクトレールに設置されるようになる。このため、WPT対応の環境において、送信機100のために美観を損ねることを防ぐことが可能となる。
【0083】
したがって、本実施形態に係る送信機100によれば、屋内においてワイヤレス給電を実現する技術を提供できる。
【0084】
また、上記実施形態では、アンテナ素子1073は、920MHz帯の電磁波を放射する直線偏波アンテナである。これにより、アンテナ素子1073は、所定の偏波方向の電磁波で、920MHz帯の給電信号を放射することが可能となる。
【0085】
また、上記実施形態では、アンテナ素子1073は、筐体107の長手方向に対して、水平方向に、所定角度だけ傾けて格納されている。これにより、送信機100から放射される電磁波の偏波方向を傾けることが可能となる。
【0086】
また、上記実施形態では、アンテナ素子1074は、中央部(第1素子部10741)が、筐体107の長手方向に対して所定角度(図14に示す例だと90度)だけ水平方向に傾いており、両端(第2素子部10742)が、筐体107の長手方向に延伸する内壁1075に沿ってそれぞれ逆方向に形成されて筐体107に格納されている。これにより、アンテナ素子1073が格納される送信機100よりも偏波方向を大きく傾けることが可能となる。
【0087】
また、上記実施形態では、内壁1075に沿って形成されるアンテナ素子1074の第2素子部10742の両端は、延伸するにつれて幅が広くなる。アンテナ素子1074は第1素子部10741と、第2素子部10742とで曲がっているため、帯域幅が狭くなるが、第2素子部10742両端を広く形成することで、帯域幅が狭まるのを抑えられる
【0088】
また、上記実施形態では、アンテナ素子1074は、送信する電磁波の半波長よりも短い。これにより、アンテナ素子1074の大きさをよりコンパクトにすることが可能となる。
【0089】
また、上記実施形態では、取付け部と、アンテナ素子1073、1074との間には、PCB1061(金属板)が配置される。これにより、アンテナ素子1073、1074から放射された電磁波がPCB1061(金属板)で反射される。このため、空間へ放射される電磁波の強度が向上する。また、PCB1061は、アンテナ素子1073、1074と同程度以上の大きさを有する。これにより、PCB1061による反射効率が向上することになる。また、PCB1061は、取付け部と、アンテナ素子1073、1074との間に配置されることから、PCB1061がアンテナ素子1073、1074から空間へ放射される電磁波を阻害することはない。
【0090】
また、上記実施形態では、送信機群は、送信機100-1と、送信機100-2とを有する。また、送信機群は、送信機100-3と、送信機100-4とを有する。これにより、送信機100-1から送信される電波の偏波面と、送信機100-2から送信される電波の偏波面とが異なることになるため、偏波面を気にしながら受信機200を設置する必要が抑えられる。つまり、受信機200を載置する向きの自由度が向上する。
【0091】
また、上記実施形態では、送信機100-1と送信機100-2とは混在してダクトレールに取り付けられる。また、送信機100-3と送信機100-4とは混在してダクトレールに取り付けられる。これにより、ダクトレールに取り付けられる送信機100から、複数の偏波方向の電磁波が放射されることになり、受信環境が向上することになる。
【0092】
<変形例>
上記実施形態では、送信機100がダクトレールに取り付けられる場合を例に説明した。しかしながら、送信機100は、ダクトレールに取り付けられなくてもよい。例えば、送信機100は、天井に埋め込まれてもよい。この場合、例えば、取付け部は不要となる。
【0093】
また、上記実施形態では、送信機100-1と、送信機100-2とが対になり、送信機100-3と、送信機100-4とが対になる例を説明した。しかしながら、送信機群はこれらの対に限定されない。送信機群に、送信機100-1と、送信機100-4とが含まれていてもよいし、送信機100-2と、送信機100-3とが含まれていてもよい。また、2種類の送信機に限らず、3種類以上の送信機が含まれていてもよい。また、送信機群には、送信機の長手方向に対し、アンテナ素子の角度が傾いていない送信機が含まれてもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、筐体107の内部については、アンテナ素子1073、1074以外に言及していない。筐体107の内部は、空間であってもよいし、所定の誘電体が充填されていてもよい。
【0095】
<3 コンピュータの基本ハードウェア構成>
図17は、コンピュータ90の基本的なハードウェア構成を示すブロック図である。コンピュータ90は、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、通信IF99(インタフェース、Interface)を少なくとも備える。これらはバスにより相互に電気的に接続される。
【0096】
プロセッサ91とは、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアである。プロセッサ91は、演算装置、レジスタ、周辺回路等から構成される。
【0097】
主記憶装置92とは、プログラム、及びプログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものである。例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。
【0098】
補助記憶装置93とは、データ及びプログラムを保存するための記憶装置である。例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0099】
通信IF99とは、有線又は無線の通信規格を用いて、他のコンピュータとネットワークを介して通信するための信号を入出力するためのインタフェースである。
ネットワークは、インターネット、LAN、無線基地局等によって構築される各種移動通信システム等で構成される。例えば、ネットワークには、3G、4G、5G移動通信システム、LTE(Long Term Evolution)、所定のアクセスポイントによってインターネットに接続可能な無線ネットワーク(例えばWi-Fi(登録商標))等が含まれる。無線で接続する場合、通信プロトコルとして例えば、Z-Wave(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等が含まれる。有線で接続する場合は、ネットワークには、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等により直接接続するものも含む。
【0100】
なお、各ハードウェア構成の全部または一部を複数のコンピュータ90に分散して設け、ネットワークを介して相互に接続することによりコンピュータ90を仮想的に実現することができる。このように、コンピュータ90は、単一の筐体、ケースに収納されたコンピュータ90だけでなく、仮想化されたコンピュータシステムも含む概念である。
【0101】
<コンピュータ90の基本機能構成>
図17に示すコンピュータ90の基本ハードウェア構成により実現されるコンピュータの機能構成を説明する。コンピュータは、制御部、記憶部、通信部の機能ユニットを少なくとも備える。
【0102】
なお、コンピュータ90が備える機能ユニットは、それぞれの機能ユニットの全部または一部を、ネットワークで相互に接続された複数のコンピュータ90に分散して設けても実現することができる。コンピュータ90は、単一のコンピュータ90だけでなく、仮想化されたコンピュータシステムも含む概念である。
【0103】
制御部は、プロセッサ91が補助記憶装置93に記憶された各種プログラムを読み出して主記憶装置92に展開し、当該プログラムに従って処理を実行することにより実現される。制御部は、プログラムの種類に応じて様々な情報処理を行う機能ユニットを実現することができる。これにより、コンピュータは情報処理を行う情報処理装置として実現される。
【0104】
記憶部は、主記憶装置92、補助記憶装置93により実現される。記憶部は、データ、各種プログラム、各種データベースを記憶する。また、プロセッサ91は、プログラムに従って記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置92または補助記憶装置93に確保することができる。また、制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ91に、記憶部に記憶されたデータの追加、更新、削除処理を実行させることができる。
【0105】
データベースは、リレーショナルデータベースを指し、行と列によって構造的に規定された表形式のテーブルと呼ばれるデータ集合を、互いに関連づけて管理するためのものである。データベースでは、表をテーブル、表の列をカラム、表の行をレコードと呼ぶ。リレーショナルデータベースでは、テーブル同士の関係を設定し、関連づけることができる。
通常、各テーブルにはレコードを一意に特定するためのキーとなるカラムが設定されるが、カラムへのキーの設定は必須ではない。制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ91に、記憶部に記憶された特定のテーブルにレコードを追加、削除、更新を実行させることができる。
【0106】
通信部は、通信IF99により実現される。通信部は、ネットワークを介して他のコンピュータ90と通信を行う機能を実現する。通信部は、他のコンピュータ90から送信された情報を受信し、制御部へ入力することができる。制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ91に、受信した情報に対する情報処理を実行させることができる。また、通信部は、制御部から出力された情報を他のコンピュータ90へ送信することができる。
【0107】
以上、本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
【0108】
<付記>
以上の各実施形態で説明した事項を以下に付記する。
(付記1)
長手方向と短手方向とを有し、短手方向の幅がダクトレールの幅と略同一の筐体と、ダクトレールの延伸方向と長手方向とを略一致させて、筐体をダクトレールへ取り付けるための取付け部と、筐体内に格納されるアンテナ素子とを具備する送信機。
(付記2)
アンテナ素子は、920MHz帯の電磁波を放射する直線偏波アンテナである(付記1)に記載の送信機。
(付記3)
アンテナ素子は、筐体の長手方向に対して、水平方向に、所定角度だけ傾けて格納されている(付記1)に記載の送信機。
(付記4)
アンテナ素子は、中央部が、筐体の長手方向に対して所定角度だけ水平方向に傾いており、両端が、筐体の長手方向に延伸する内壁に沿ってそれぞれ逆方向に形成されて筐体に格納されている(付記1)に記載の送信機。
(付記5)
内壁に沿って形成されるアンテナ素子の両端は、延伸するにつれて幅が広くなる(付記4)に記載の送信機。
(付記6)
アンテナ素子は、送信する電磁波の半波長よりも短い(付記5)に記載の送信機。
(付記7)
取付け部と、アンテナ素子との間には、金属板が配置される(付記1)から(付記6)のいずれかに記載の送信機。
(付記8)
第1送信機と、第2送信機とを有する送信機群において、第1送信機は、長手方向を有し、短手方向の幅がダクトレールの幅と略同一の筐体内に、筐体の長手方向に対して、水平方向に、所定角度だけ傾けてアンテナ素子が格納され、第2送信機は、長手方向を有し、短手方向の幅がダクトレールの幅と略同一の筐体内に、筐体の長手方向に対して、水平方向に、第1送信機のアンテナ素子とは逆方向に所定角度だけ傾けてアンテナ素子が格納される送信機群。
(付記9)
第1送信機のアンテナ素子は、中央部が、筐体の長手方向に対して所定角度だけ水平方向に傾いており、両端が、筐体の長手方向に延伸する内壁に沿ってそれぞれ逆方向に形成される(付記8)に記載の送信機群。
(付記10)
第2送信機のアンテナ素子は、中央部が、筐体の長手方向に対して所定角度だけ水平方向に傾いており、両端が、筐体の長手方向に延伸する内壁に沿ってそれぞれ逆方向に形成され、中央部が傾く方向は、第1送信機のアンテナ素子が傾く方向と逆である(付記8)に記載の送信機群。
(付記11)
第1送信機のアンテナ素子は、中央部が、筐体の長手方向に対して、所定角度だけ水平方向に傾いており、両端が、筐体の長手方向に延伸する内壁に沿ってそれぞれ逆方向に形成され、第2送信機のアンテナ素子は、中央部が、筐体の長手方向に対して、所定角度だけ水平方向に傾いており、両端が、筐体の長手方向に延伸する内壁に沿ってそれぞれ逆方向に形成され、両端が延伸する方向は、第1送信機のアンテナ素子の両端が延伸する方向と異なる(付記8)に記載の送信機群。
(付記12)
第1送信機と第2送信機とは混在してダクトレールに取り付けられる(付記8)から(付記11)のいずれかに記載の送信機群。
(付記13)
第1送信機と、第2送信機とを有するシステムにおいて、第1送信機は、長手方向を有し、短手方向の幅がダクトレールの幅と略同一の筐体内に、筐体の長手方向に対して、水平方向に、所定角度だけ傾けてアンテナ素子が格納され、第2送信機は、長手方向を有し、短手方向の幅がダクトレールの幅と略同一の筐体内に、筐体の長手方向に対して、水平方向に、第1送信機のアンテナ素子とは逆方向に所定角度だけ傾けてアンテナ素子が格納されるシステム。
【符号の説明】
【0109】
1…WPTシステム
100…送信機
101…発振器
102…送信アンテナ
103…マイコン
104…データ送受信機
105…データ送受信アンテナ
200…受信機
201…受信アンテナ
202…整流器
203…電力管理部
204…バッテリー
205…マイコン
206…データ送受信機
207…データ送受信アンテナ
300…第1情報処理装置
400…第2情報処理装置

【要約】
【課題】屋内においてワイヤレス給電を実現する技術を提供する。
【解決手段】送信機は、長手方向と短手方向とを有し、短手方向の幅がダクトレールの幅と略同一の筐体と、ダクトレールの延伸方向と長手方向とを略一致させて、筐体をダクトレールへ取り付けるための取付け部と、筐体内に格納されるアンテナ素子とを具備する。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17