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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-28
(45)【発行日】2023-07-06
(54)【発明の名称】安全システム
(51)【国際特許分類】
   B62H 5/16 20060101AFI20230629BHJP
【FI】
B62H5/16
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023521905
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(86)【国際出願番号】 JP2022036635
【審査請求日】2023-04-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523127763
【氏名又は名称】株式会社スタディーズ
(74)【代理人】
【識別番号】230116816
【弁護士】
【氏名又は名称】成川 弘樹
(74)【代理人】
【識別番号】100159248
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 修
(74)【代理人】
【識別番号】100174850
【弁理士】
【氏名又は名称】大崎 絵美
(72)【発明者】
【氏名】守屋 輝一
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第7973652(US,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0025895(KR,A)
【文献】特開2013-211693(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2253543(KR,B1)
【文献】中国特許出願公開第111798595(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0047028(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62H 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘルメットに取り付け可能に構成されるヘルメットパーツと、
車両に取り付け可能に構成され、前記車両をロックすることができるロックパーツと、からなる安全システムであって、
前記ヘルメットパーツは、ヘルメットが着用されたことを検知する着用センサを、
備え、
前記ロックパーツは、
手動による解錠により、前記車両のロックが解除されるロック機構と、
前記着用センサにより前記ヘルメットの着用が検知された場合、手動による前記ロック機構の解錠を許可する許可部と、
を有する安全システム。
【請求項2】
前記着用センサは、前記ヘルメットの動きを検知することで起動する請求項1に記載の安全システム。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記着用センサが起動した前記ヘルメットパーツが接近することにより起動する請求項2に記載の安全システム。
【請求項4】
前記ヘルメットが外されたときに、警報を発する警報部を、さらに有する請求項1から3のいずれか一に記載の安全システム。
【請求項5】
前記着用センサは、心拍センサである請求項1から4のいずれか一に記載の安全システム。
【請求項6】
ヘルメットに取り付け可能に構成されるヘルメットパーツと、
車両に取り付け可能に構成され、前記車両をロックすることができるロックパーツと、からなる安全システムの動作方法であって、
前記ヘルメットパーツは、ヘルメットが着用されたことを検知する着用センサを、備え、
前記ロックパーツは、手動による解錠により、前記車両のロックが解除されるロック機構を、備え、
前記着用センサにより前記ヘルメットの着用が検知された場合、手動による前記ロック機構の解錠を許可する許可ステップ、を有する安全システムの動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車等の車両を利用する際に、ヘルメットの着用を促し、頭部損傷による死亡リスクを低減させる安全システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自転車事故における致命傷のほとんどが頭部の損傷である。要因として、ヘルメットの着用が日本では義務化されていないことがあげられる。そのため、利用時におけるヘルメットの着用率が低く、頭部損傷による大きな事故が発生してしまう状況にある。ヘルメット着用の場合に対して、非着用の場合の致死率は2.5倍となるという報告もされている。
【0003】
また、親が子供にヘルメットを着用するように働きかけることも一般的に行われているが、親の目から離れるとヘルメットを外してしまう子供が一定数いることも分かっており、常時ヘルメットを着用するということは定着していない。
【0004】
このような事態を鑑み、ヘルメットを着用しない場合に、自転車の乗車を不可能にすることによりヘルメットの着用を促す技術が存在する。例えば、特許文献1の発明においては、ヘルメットの内部及びベルトのバックルに電気的接点を設け、それらの接点の接続によりヘルメット着用を検知し、ヘルメットの着用が検知された場合に、車輪の回転の制限が解除され乗車可能となるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第7973652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の発明では、着用しているヘルメットが何らかの弾みでずれたり、接点の誤作動などが生じたりした場合、ヘルメットが非着用との検知がなされ、この検知結果により乗車時であっても車輪の回転がロックされてしまい、極めて危険な事態をもたらすという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、上記課題を解決するために本発明において、以下の安全システムなどを提供する。すなわち、ヘルメットに取り付け可能に構成されるヘルメットパーツと、車両に取り付け可能に構成され、前記車両をロックすることができるロックパーツと、からなる安全システムであって、前記ヘルメットパーツは、ヘルメットが着用されたことを検知する着用センサを、備え、前記ロックパーツは、手動による解錠により、前記車両のロックが解除されるロック機構と、前記着用センサにより前記ヘルメットの着用が検知された場合、手動による前記ロック機構の解錠を許可する許可部と、を有する安全システムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、ヘルメットの着用を促すことができ、また、誤ってヘルメット非着用と検知された場合に、ただちに車輪がロックするという危険な状態に陥ることがない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施例の安全システムの概要を示す概念図
図2】本実施例の安全システムの構成の一例を示すブロック図
図3】安全システムを実現するハードウエアの構成の一例を示す概念図
図4】ヘルメットパーツの処理の流れの一例を示すフロー図
図5】ロックパーツにおけるロック機構の解除が許可されるまでの処理の流れの一例を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。なお、本発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
【0011】
<実施例>
<概要>
本実施例の安全システムは、ヘルメットを着用することで、自転車のロック機構を解除するための手動による解錠が許可される。乗車するためにはヘルメットを着用しなければならないため、乗車時のヘルメット着用が促される。一方で、ロック機構のロック及びその解除が、ヘルメットの着用と直接結びつかず、手動による解錠を介在させることで、誤作動や誤検知などにより走行中に自転車がロックするという事態を回避することができるという特徴を有している。
【0012】
以下では、安全システムの機能及び処理の流れ、並びにハードウエアの内容について説明する。なお、以下に記載する安全システムの機能ブロックは、ハードウエア及びソフトウェアの組み合わせとして実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPU(中央演算装置)や主メモリ、バス、あるいは二次記憶装置(ハードディスクドライブや不揮発性メモリ、情報入力に利用される入力デバイス、印刷機器や表示装置、その他の外部周辺装置などのハードウエア構成部、またその外部周辺装置用のインタフェース、通信用インタフェース、それらハードウエアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラム、ユーザ・インターフェース用アプリケーションなどが挙げられる。そして主メモリ上に展開したプログラムに従ったCPUの演算処理によって、入力デバイスやその他インタフェースなどから入力され、メモリやハードディスク上に保持されているデータなどが加工、蓄積されたり、上記各ハードウエアやソフトウェアを制御するための命令が生成されたりする。あるいは本システムの機能ブロックは専用ハードウエアによって実現されても良い。
【0013】
また、この発明はシステムとして実現できるのみでなく、方法としても実現可能である。また、このような発明の一部をソフトウェアとして構成することができる。さらに、そのようなソフトウェアをコンピュータに実行させるために用いるプログラム、及びプログラムを固定した記録媒体も、当然にこの発明の技術的な範囲に含まれる(本明細書の全体を通じて同様である)。
【0014】
<機能的構成>
<概要>
図1は、本実施例の安全システムの概要を示す概念図であり、図1(a)はヘルメット101を示し、図1(b)はロックパーツ105を自転車のフレーム(バックフォーク)に取り付けた部分を示している。ヘルメット101のベルト102には、ヘルメットパーツ103が備わっている。このヘルメットパーツ103は、心拍センサ104を備えており、人間がヘルメット着用したことを検知することができる。
【0015】
自転車には後輪をカンヌキ107によりロックするリング錠タイプのロック機構を備えるロックパーツ105が取り付けられており、ツマミ106によりカンヌキ107を開閉することができる。
【0016】
心拍センサ104によりヘルメット101の着用が検知された場合、ロックパーツ105は、鍵穴108に鍵を差し込んでツマミ106によりカンヌキ107を開けることで車輪のロックが解除される。つまり、ヘルメットを着用しない限り、自転車を動かすことができない。また、ロックパーツ105の状態が判別しやすいように鍵穴108の周囲にLEDなどの発光素子109を配置してもよい。
【0017】
一方で、心拍センサ104の検知結果とロック解除とを直接結び付けず、手動により鍵を開錠するという行為を介在させることで、先行技術のように走行中に自転車がロックするといった危険な事象を防止することができる。
【0018】
<構成>
図2は本実施例にかかる安全システムの構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、安全システム200は、ヘルメットパーツ201と、着用センサ202と、ロックパーツ203と、許可部204と、ロック機構205と、を有する。
【0019】
ヘルメットパーツ201は、ヘルメットに取り付け可能に構成され、例えば、図1に例示したように、あごに掛けて係止するベルトに取り付けることができる。ヘルメットパーツ201は、ヘルメットの帽体に取り付けるようにしてもよいが、既製のヘルメットに無加工又は最小限の加工にてヘルメットパーツ201を取り付ける上では、ベルトに取り付ける態様が好ましい。ヘルメットパーツ201をベルトに取り付ける具体的態様は、例えば、クリップや面ファスナーなどの既知の取り付けのための器具を用いればよい。
【0020】
着用センサ202は、ヘルメットパーツ201に備わり、何らかのセンサによりヘルメットが着用されたことを検知する。センサ種別は種々考えられる。例えば、圧力センサや温度センサを用いて、人体との接触を検知することでヘルメットの着用を検知するように構成してもよい。
【0021】
着用センサとして好ましいのは、人間に特有の心拍を検知することができる心拍センサである。心拍センサを着用センサとして用いることでヘルメット着用の誤検知が生じにくくなる。
【0022】
上述したように、あごに掛けるベルトにヘルメットパーツ201を取り付ける場合、ヘルメットを被りベルトを締めたときに心拍を検知可能な位置となるように心拍センサである着用センサ202を、ヘルメットパーツ201に配置する。心拍を検知しやすい首筋に心拍センサが当たるように配置することが好ましい。
【0023】
心拍センサの検知方式についてはとくに限定しない。心拍センサは、様々な方式にて実現されており、電極式(インピーダンス変動を計測)、圧電素子による圧電式、エアチューブ式、静電容量方式、光学式(ヘモグロビン濃度による吸光率変動を利用)、電波式などがある。もちろん、例示した方式だけでなく、心拍を検知し得る方式であればどのような方式による心拍センサであってよい。
【0024】
また、心拍以外の生体情報をも検知できるセンサモジュールユニットであってもよい。例えば、ウェラブル端末に備わるセンサモジュールは、心拍、血圧、血液の酸素飽和度、呼吸、脳波、体温などの様々な生体情報を検知できる。このようなセンサモジュールを用いて心拍センサとしてもよい。
【0025】
また、着用センサ202は検知結果を、ロックパーツ203又はロックパーツ203が備える許可部204に送信する機能を有している。送信する検知結果には、ヘルメットが着用されたとの検知結果と、ヘルメットが着用されていないとの検知結果とが存在する。送信する情報(検知結果)は多量ではなく、送信距離もヘルメットと自転車との短距離なので、近距離で無線通信できる手段、例えば、センサネットワークに利用されることが多いIEEE802.15.4などの近距離無線通信規格を選べばよく、省電力化も図ることができる。また、ヘルメットの着用を検知する着用センサと、検知結果を送信する送信手段と、着用センサ及び送信手段を駆動するマイコンやバッテリーととも一体的に構成してもよい。
【0026】
さらに、ヘルメットに加速度センサや振動センサを備え、例えば、ヘルメットを持ち上げるといったヘルメットの動きを検知し、その検知結果をトリガーとして、心拍センサの検知処理やその検知結果の送信処理を起動させるように構成してもよい。このように構成することで、振動センサ等が動きを検知しない間は、ヘルメットを携えて自転車に乗ることが想定されないので、心拍センサや送信手段への電力供給を停止した省電力モードとすることで省電力化が図られる。
【0027】
その一方で、子供がヘルメットを持って動き出すといったヘルメットの動きを検知することで、起動のための動作を子供に何ら求めることなく、その後のヘルメットパーツによる処理が開始され、これに応じて後述するようにロックパーツが起動するように構成することで、確実にヘルメットの着用を促すことができる。
【0028】
ロックパーツ203は、車両に取り付け可能に構成され、前記車両をロックすることができる。車両のロックは、後述するロック機構205による。ロックパーツ203の車両への取り付けは、例えば、図1に例示したように、自転車のバックフォークなどのフレームに既知の取り付け金具などを用いて、車両のロックができるように取り付ければよい。
【0029】
ロック機構205は、手動による解錠により、車両のロックが解除される。車両をロックする具体的手段は限定しない。例えば、図1に示したようなリング錠の他、箱錠(前輪錠、前鍵)、ワイヤー錠、U字ロック(シャックルロック)、ジョイントワイヤー錠などを用いることができる。また、ハンドルをロックするタイプであってもよい。いずれにしても、自転車が自由に動くことを制止する機構を有し、そのロック機構を手動による解錠により解除できるものであればよい。また、手動による解錠は、鍵(キー)を押し込んだり、挿し込んで回転したりして行うものでもよいし、ボタンを押したりダイヤルを回したりして行うものでもよい。
【0030】
許可部204は、着用センサ202により前記ヘルメットの着用が検知された場合、手動による前記ロック機構205の解錠を許可する機能を有する。許可部204は、自身にて又はロックパーツが備える受信手段を介して、ヘルメットが着用されたことの検知結果を受信する。
【0031】
そして、例えば、リング錠を用いたロック機構205の場合には、鍵を挿し込んで回し、カンヌキと連動するツマミを動かすという一連の解錠の操作を許可する。反対に、着用していないとの検知結果を受信している場合、上記の解錠のための一連の操作の全部又は一部が行えないようにする。例えば、鍵を差し込んで回してもツマミを動かすことができないようにしてもよいし、そもそも鍵を回すことや挿し込むこと自体をできなくしてもよい。なお、許可部204が手動によるロック機構205の解錠を許可し、又は禁止することについて、ロック機構の解錠を制御するというように表現する場合もある(以下、明細書において)。
【0032】
車両の盗難などを防止するために、ロックパーツ203は、乗車が終了しヘルメットを外した際に、施錠することを促すように警報を発する手段を備えるように構成することも好ましい。例えば、ヘルメットを外したときに、かかる警報手段がブザーを鳴らしたり、それとともに又はそれに代えて図1で例示したような鍵穴の周囲に配置した発光素子を点滅させたり、発色を変化させるなどして視覚に訴えるように構成することもできる。この場合、再度ヘルメットを着用したり、施錠することにより、警報が停止されるように構成すればよい。
【0033】
許可部204は、着用センサ202からの検知結果を受信するまで、又は、着用センサ202の送信手段と許可部204の受信手段との通信が確立するまでは、受信手段以外の各機能(ロック機構205の制御や発光や警報のための手段など)への給電を休止するなどした省電力モードにして、省電力化を図るようにしてもよい。近距離無線通信を用いる場合には、ヘルメットパーツ201が、ロックパーツ203と通信可能な距離に接近することにより、ロックパーツ203は省電力モードから起動する。
【0034】
上述のように、省電力モードから起動し、又は起動した状態から省電力モードへの変化を、特段の操作を要せずに行われるように構成することができる。これは、起動のために操作を要するとすれば、その操作を忘れてしまったり、あえて操作しないことで、ヘルメットを着用せずに乗車が可能になってしまうからである。また、特段の操作等を要せずに省電力モードに移行することで省電力化が図られるので、電池交換や充電といった電源維持のための行為の頻度を著しく下げることができる。これにより、電池交換や充電を頻繁にしなければならないことにより、本システムの使用が煩わしくなってしまうという事態を防止することができる。特段の操作を要せず通常の乗車までの一連の行為を行う中で、ヘルメットの着用が確実に促されるので、ヘルメット非着用による重大な損傷のリスクの発生を抑え、安全な利用を図ることができる。
【0035】
<ハードウエア構成>
図3は、安全システムを実現するハードウエアの構成の一例を示す概念図である。図示するように、安全システムを構成するヘルメットパーツ300は、各種演算処理を行うCPU301と、揮発性記録媒体であるRAM302と、不揮発性の記憶媒体であるROM303と、通信インタフェース304と、入出力インタフェース305と、を有し、入出力インタフェース305を介して心拍センサ306と接続されている。RAM302は、各種演算処理を行うプログラムをCPU301に実行させるために読み出すとともに、そのプログラムのワーク領域(作業領域)を提供する。また、RAM302には、複数のアドレスが割り当てられており、CPU301で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやり取りを行い、処理を行うことが可能となっている(本明細書を通じて同様である)。
【0036】
また、ロックパーツ310は、CPU311と、揮発性記録媒体であるRAM312と、ROM313と、通信インタフェース314と、入出力インタフェース315と、を有し、入出力インタフェース315を介して、例えば、解錠を許可又は禁止するためのアクチュエータ316や、警報を発するスピーカ317や、ロックパーツの状態を示したりするLED318と接続されている。
【0037】
ここで、図2に示す安全システム200を構成するヘルメットパーツ201の機能は、着用センサ202を実現する図3に示す心拍センサ306の検知結果を受け付ける入出力インタフェース305と、適宜プログラムを実行して通信インタフェース304、入出力インタフェース305及び心拍センサ306を駆動し、心拍センサ306の検知結果を通信インタフェース304を介してヘルメットパーツ300へ送信するCPU301とRAM302とにより実現され、上述した各種プログラムや心拍センサ306による検知結果などをROM303に蓄積することもできる。
【0038】
また、図2に示す安全システム200を構成するロックパーツ203の許可部204の機能は、ヘルメットパーツの着用センサから送信された検知結果を受信する図3に示す通信インタフェース314と、ROM313に保持される各種プログラムを適宜実行して、受信した検知結果に応じて手動による解錠を制御するための信号を、入出力インタフェース315を介してアクチュエータ316へ送信し、あるいは、警報を発するスピーカ317やLED318に対して信号を、入出力インタフェース315を介して送出するCPU311とRAM312とにより実現される。
【0039】
<処理の流れ>
図4は、ヘルメットパーツの処理の流れの一例を示すフロー図である。図4に示すように、まず、ヘルメットの動きの検知を行う(S401)。検知しなかった場合は、引き続きヘルメットの動きの検知を行い、検知した場合は、ヘルメットパーツの心拍センサや送信手段を起動する(S402)。そして、心拍の検知を行う(S403)。検知しなかった場合は、引き続き心拍の検知を行い、検知した場合は、心拍を検知した検知結果をロックパーツへ送信する(S404)。さらに、心拍の検知を行い(S405)、心拍が検知されている間は、その検知結果を送信する。これは、ヘルメットを着用し続けているか否かをロックパーツに送信するということである。S405において心拍が検知されなかった場合は、ヘルメットの動きの検知を行う(S406)。ヘルメットの動きを検知しなくなった場合は、終了する。
【0040】
図5は、ロックパーツにおけるロック機構の解除が許可されるまでの処理の流れの一例を示すフロー図である。図5に示すように、まず、ヘルメットパーツがロックパーツに接近したか否かの判断を行う(S501)。接近したと判断するまでは、引き続きヘルメットパーツが接近したか否かの判断処理を行う。何らかのデータを受信するなどして接近したと判断した場合は、ロックパーツは省電力モードから起動する(S502)。そして、ヘルメットパーツから検知結果を受信したか否かの判断を行う(S503)。受信していないとの判断結果の場合は、引き続き検知結果の受信の判断を行い、受信したとの判断結果の場合は、さらに、心拍を検知したことの検知結果であるか否かの判断を行う(S504)。否の判断の場合は、上述したS503の判断処理を行い、心拍を検知したとの検知結果である場合はロック機構の解除を許可する(S505)。
【0041】
<効果>
本実施例によれば、着用センサによりヘルメットの着用が検知された場合に、手動によるロック機構の解除が許可されるので、誤ってヘルメット非着用状態となったとしても、ただちに車輪がロックするといった危険な状態になることなく、安全で確実にヘルメットの着用が促される。
【符号の説明】
【0042】
101:ヘルメット
102:ベルト
103:ヘルメットパーツ
104:心拍センサ
105:ロックパーツ
106:ツマミ
107:カンヌキ
108:鍵穴
109:発光素子
200:安全システム
201:ヘルメットパーツ
202:着用センサ
203:ロックパーツ
204:許可部
205:ロック機構
【要約】
【課題】従来技術では、接点の誤作動などによりヘルメットが非着用との検知がなされた場合、乗車時であっても車輪の回転がロックされてしまい、極めて危険な事態をもたらすという問題がある。
【解決手段】上記課題を解決するために、ヘルメットに取り付け可能に構成されるヘルメットパーツと、車両に取り付け可能に構成され、前記車両をロックすることができるロックパーツと、からなる安全システムであって、前記ヘルメットパーツは、ヘルメットが着用されたことを検知する着用センサを、備え、前記ロックパーツは、手動による解錠により、前記車両のロックが解除されるロック機構と、前記着用センサにより前記ヘルメットの着用が検知された場合、手動による前記ロック機構の解錠を許可する許可部と、を有する安全システムを提供する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5