(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-28
(45)【発行日】2023-07-06
(54)【発明の名称】量子デバイス用の極低温オンチップ・マイクロ波フィルタ
(51)【国際特許分類】
H01P 1/203 20060101AFI20230629BHJP
H10N 60/01 20230101ALI20230629BHJP
【FI】
H01P1/203
H10N60/01 Z
(21)【出願番号】P 2021512484
(86)(22)【出願日】2019-09-03
(86)【国際出願番号】 EP2019073492
(87)【国際公開番号】W WO2020057967
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-02-22
(32)【優先日】2018-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】グマン、パトリク
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァデーセ、サルヴァトーレ、ベルナルド
(72)【発明者】
【氏名】ブリンク、マーカス
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-202507(JP,A)
【文献】特許第4172936(JP,B2)
【文献】特開2006-262396(JP,A)
【文献】特開2007-259225(JP,A)
【文献】特開2005-333357(JP,A)
【文献】特開2015-050662(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0006360(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-0374806(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0152104(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0257074(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/00-11/00
H10N 60/00-60/12
H10N 60/35
H10N 60/82-69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オンチップ・マイクロ波フィルタ回路であって、
少なくとも
1W/(cm*K)である熱伝導率を示す第1の材料で形成された基板であって、前
記熱伝導率が、量子計算回路が動作する極低温温度範囲で達成される、前記基板と、
入力信号内の複数の周波数をフィルタリングするように構成された分散コンポーネントであって、
前記基板上に配置され、少なくとも
1W/(cm*K)である第2
の熱伝導率を示す第2の材料で形成された、第1の伝送ラインであって、前記第2
の熱伝導率が、量子計算回路が動作する極低温温度範囲で達成される、前記第1の伝送ライン、および
前記基板上に配置され、前記第2の材料で形成された第2の伝送ライン
を含む、前記分散コンポーネントと
を備える、オンチップ・マイクロ波フィルタ回路。
【請求項2】
前記第1の伝送ラインに結合され、少なくとも
1W/(cm*K)である第3
の熱伝導率を示す第3の材料で形成されたコネクタをさらに備え、前記第3
の熱伝導率が、量子計算回路が動作する極低温温度範囲で達成される、請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記第2の伝送ラインに結合され、前記第3の材料で形成された、第2のコネクタをさらに備える、請求項2に記載の回路。
【請求項4】
前記基板に結合され、少なくとも
1W/(cm*K)である第4
の熱伝導率を示す第4の材料で形成された、ハウジングをさらに備え、前記第4
の熱伝導率が、量子計算回路が動作する極低温温度範囲で達成される、請求項1に記載の回路。
【請求項5】
前記分散コンポーネントが、前記基板上に配置され、前記第2の材料で形成された、第3の伝送ラインをさらに含む、請求項1に記載の回路。
【請求項6】
前記第3の伝送ラインが、前記基板上で前記第1の伝送ラインと前記第2の伝送ラインとの間に配置される、請求項5に記載の回路。
【請求項7】
前記第3の伝送ラインが、前記基板上で前記第1の伝送ラインから離間している、請求項5に記載の回路。
【請求項8】
前記第1の伝送ラインが、約10nm~1000nmの厚さを有する、請求項1に記載の回路。
【請求項9】
前記第1の伝送ラインが、約0.5mmの幅を有する、請求項1に記載の回路。
【請求項10】
前記第2の材料と前記第3の材料が同じである、請求項2に記載の回路。
【請求項11】
方法であって、
基板を形成することであって、前記基板が、少なくとも
1W/(cm*K)である熱伝導率を示す第1の材料で形成され、前
記熱伝導率が、量子計算回路が動作する極低温温度範囲で達成される、前記形成することと、
2つのポートを有する回路を組み立てることによって、前記基板上にオンチップ・マイクロ波フィルタを形成することであって、前記回路が、
入力信号内の複数の周波数をフィルタリングするための分散コンポーネントを備え、
前記分散コンポーネントが、
前記基板上に配置され、少なくとも
1W/(cm*K)である第2
の熱伝導率を示す第2の材料で形成された、第1の伝送ラインであって、前記第2
の熱伝導率が、量子計算回路が動作する極低温温度範囲で達成される、前記第1の伝送ライン、および
前記基板上に配置され、前記第2の材料で形成された第2の伝送ライン
を含む、前記形成することと
を含む、方法。
【請求項12】
ハウジングを形成することをさらに含み、前記ハウジングが、回路が配置される閉鎖可能な構造であり、前記構造が、少なくとも
1W/(cm*K)である熱伝導率を示す第3の材料で形成され、前
記熱伝導率が、量子計算回路が動作する極低温温度範囲で達成される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の伝送ラインに第1のコネクタを結合することをさらに含み、前記第1のコネクタが、少なくとも
1W/(cm*K)である熱伝導率を示す第4の材料で形成され、前
記熱伝導率が、量子計算回路が動作する極低温温度範囲で達成される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の伝送ラインに第2のコネクタを結合することをさらに含み、前記第2のコネクタが前記第4の材料で形成される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第4の材料と前記第2の材料が同じである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記分散コンポーネントが、前記第2の材料で形成された第3の伝送ラインをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記第3の伝送ラインが、前記基板上で前記第1の伝送ラインと前記第2の伝送ラインとの間に配置される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第3の伝送ラインが、前記基板上で前記第1の伝送ラインから離間している、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の伝送ラインが、約10nm~1000nmの厚さを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
動作を実行する製造システムであって、前記動作が、
基板を形成することであって、前記基板が、少なくとも
1W/(cm*K)である熱伝導率を示す第1の材料で形成され、前
記熱伝導率が、量子計算回路が動作する極低温温度範囲で達成される、前記形成することと、
請求項1ないし10のいずれかに記載のオンチップ・マイクロ波フィルタを形成することと
を含む、製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、量子計算において超伝導量子ビットと共に使用可能なマイクロ波フィルタのためのデバイス、回路設計方法、および回路構築システムに関する。より詳細には、本発明は、量子デバイス用の極低温オンチップ・マイクロ波フィルタのためのデバイス、方法、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
以下、語句または単語の接頭辞「Q」は、使用される場所で明確に区別されない限り、量子計算の文脈におけるその単語または語句の言及を示す。
【0003】
分子および亜原子粒子は、物質界が最も基本的なレベルでどのように機能するかを探求する物理学の一分野である量子力学の法則に従う。このレベルでは、粒子は、奇妙な方法で挙動し、同時に2つ以上の状態を取り、非常に遠くにある他の粒子と相互作用する。量子計算は、これらの量子現象を利用して情報を処理する。
【0004】
今日使用しているコンピュータは、古典的コンピュータ(本明細書では、「従来の」コンピュータ、または従来のノード、または「CN」とも呼ばれる)として知られている。従来のコンピュータは、フォン・ノイマン・アーキテクチャとして知られている、半導体材料および技術、半導体メモリ、ならびに磁気またはソリッド・ステート・ストレージ・デバイスを使用して製造された従来のプロセッサを使用する。具体的には、従来のコンピュータにおけるプロセッサは、2進プロセッサであり、すなわち、1および0で表された2進データで動作する。
【0005】
量子プロセッサ(qプロセッサ)は、もつれた量子ビット・デバイス(本明細書では簡潔に「量子ビット」(「qubit」、複数形は「qubits」)と呼ぶ)の奇妙な性質を使用して、計算タスクを実行する。量子力学が機能する特定の領域では、物質の粒子は、「オン」状態、「オフ」状態、同時に「オン」と「オフ」の両方の状態など、複数の状態で存在することができる。半導体プロセッサを使用した2進計算が、(2進コードの1および0に相当する)オン状態およびオフ状態のみを使用するように制限されているが、量子プロセッサは、物質のこれらの量子状態を利用して、データ計算で使用可能な信号を出力する。
【0006】
従来のコンピュータは、情報をビットで符号化する。各ビットは、1または0の値を取ることができる。これらの1および0は、最終的にコンピュータ機能を駆動するオン/オフ・スイッチとしての役割を果たす。一方、量子コンピュータは、量子物理学の2つ基本原理である重ね合せおよびもつれに従って動作する量子ビットに基づいている。重ね合せとは、各量子ビットが1と0の両方を同時に表すことができることを意味する。もつれとは、重ね合せ状態にある量子ビットを非古典的な方法で互いに相関付けることができることを意味し、すなわち、一方の状態(1であるか、0であるか、その両方であるか)は、もう一方の状態に依存することができ、2つの量子ビットを個別に処理する場合よりも、もつれている場合の方が、2つの量子ビットに関して解明され得る情報が多いことを意味する。
【0007】
量子ビットは、これらの2つの原理を使用して、より高度な情報プロセッサとして動作し、これにより、量子コンピュータは、従来のコンピュータでは困難な問題を解決できるように機能することが可能になる。IBM(R)は、超伝導量子ビットを使用した量子プロセッサの動作性の構築および実証に成功した(IBMは、米国および他の国におけるInternational Business Machines corporationの登録商標である)。
【0008】
超伝導量子ビットは、ジョセフソン接合を含む。ジョセフソン接合は、2つの薄膜超伝導金属層を非超伝導材料によって分離することによって形成される。超伝導層の金属が、たとえば金属の温度を指定された極低温まで下げることによって、超伝導になるとき、電子対は、一方の超伝導層から非超伝導層を通って他方の超伝導層まで通り抜けることができる。量子ビットでは、分散非線形インダクタとして機能するジョセフソン接合は、非線形マイクロ波発振器を形成する1つまたは複数の容量性デバイスと並列に電気的に結合される。発振器は、量子ビット回路におけるインダクタンスおよび静電容量の値によって決定される共振/遷移周波数を有する。「量子ビット」という用語への言及は、使用される場所で明確に区別されない限り、ジョセフソン接合を使用する超伝導量子ビット回路への言及である。
【0009】
量子ビットによって処理された情報は、マイクロ波周波数の範囲のマイクロ波信号/光子の形で搬送または伝送される。マイクロ波信号は、そこに符号化された量子情報を解読するために、捕捉、処理、および分析される。読出し回路は、量子ビットと結合して、量子ビットの量子状態を捕捉、読み取り、測定する回路である。読出し回路の出力は、qプロセッサが計算を実行するために使用可能な情報である。
【0010】
超伝導量子ビットは2つの量子状態、すなわち|0>および|1>を有する。これらの2つの状態は、原子の2つのエネルギー状態、たとえば、超伝導人工原子(超伝導量子ビット)の基底状態(|g>)および第1の励起状態(|e>)とすることができる。他の例には、核スピンまたは電子スピンのスピンアップとスピンダウン、結晶欠陥の2つの位置、および量子ドットの2つの状態が含まれる。システムは量子的性質を有しているので、2つの状態の任意の組合せが許容され、有効である。
【0011】
量子ビットを使用した量子計算の信頼性を高めるために、量子回路(q回路)、たとえば、量子ビット自体、量子ビットに関連付けられた読出し回路、および量子プロセッサの他の部分は、エネルギーを注入または散逸することなどによって、量子ビットのエネルギー状態を著しく変化させてはならず、量子ビットの|0>状態と|1>状態との間の相対位相に影響を与えてはならない。量子情報によって動作する任意の回路に対するこの動作上の制約は、このような回路で使用される半導体構造および超伝導構造を製造する際に特別な考慮事項を必要とする。
【0012】
現在利用可能な超伝導量子回路は、極低温で、たとえば約10~100ミリケルビン(mK)、または約4Kで超伝導になる材料を使用して形成される。量子回路を制御、動作、測定するために使用される電子回路は、通常、超伝導量子回路を収容する希釈冷凍機の外側にある。冷蔵機の外側の温度は、通常、約300K(常温)である。
【0013】
現在利用可能な超伝導量子回路は、通常、マイクロ波周波数範囲で動作する。超伝導q回路内の超伝導量子ビットを初期化、操作、制御、および測定するために、マイクロ波信号/パルスが使用される。これらのマイクロ波信号を冷凍機の外側の外部電子回路と冷凍機の内側の超伝導量子回路との間で通信するために、希釈冷凍機の内側で、マイクロ波伝送ラインが使用される。同軸ラインは、これらのマイクロ波信号を搬送することができる伝送ラインの一例である。
【0014】
現在利用可能な希釈冷凍機は、試料/デバイスをミリケルビン温度に冷却するために使用することができる極低温装置である。しかしながら、冷凍機の内側における常温からミリケルビン温度への遷移は、突然に起こることも、急激に起こることもない。温度遷移および冷却動作を容易にするために、希釈冷凍機は、異なる周囲温度に保持された複数の熱的に隔離されたステージ(本明細書では簡潔に「ステージ」、(「stage」、複数形は「stages」)と呼ぶ)からなる。たとえば、一般的な市販の希釈冷凍機は、冷凍機の内側に40K、4K、0.7K、0.1K、0.01Kの5つの温度ステージ(ベースステージとも呼ばれる)を有する。説明を簡単にするために、以下では冷凍機の内側の入力ラインに焦点を当てる。冷凍機の内側の異なるステージ間の温度差を維持し、常温の電子機器もしくはより高いステージの黒体放射または他の電磁ノイズ源から発生する、入力ラインから来るノイズから、量子回路を保護するために、損失のある伝送ラインを使用して2つの連続するステージ間を接続し、異なるステージのこれらのラインの経路に抵抗性の減衰器およびフィルタを組み込むことが一般的な方法である。一般に、コンポーネントは、これらのコンポーネントの入力ラインから来るノイズをフィルタリング/低減し、ラインで伝搬するマイクロ波信号をフィルタリング/低減し、ステージ間の断熱を提供し、これらのコンポーネントを通って伝搬するマイクロ波信号を冷却するという、複数の目的を果たす。
【0015】
ステージ間のライン上を伝搬する信号は、高温電子を含む可能性があり、この電子は、常温で冷凍機の外側にあるので、より多くのエネルギーを含む。高温電子は、ステージに熱ノイズをもたらす可能性がある。このノイズは、赤外線スペクトル内にある可能性がある。
【0016】
ステージを通過するライン上を伝搬する信号は、ノイズ、特に電磁ノイズを含む可能性がある。このノイズは、マイクロ波周波数スペクトルまたは赤外線スペクトル内にある可能性がある。ラインおよび信号が、q回路を使用する量子計算に関連する場合、本明細書に記載の理由により、電子、マイクロ波、および赤外線のノイズは望ましくない。
【0017】
信号のフィルタリングは、特定の周波数または周波数範囲で信号の電力を低減するプロセスである。フィルタは、特定の周波数または周波数範囲で入力信号/ノイズをフィルタリングするように構成された2つのポートを備えた電子回路である。
【0018】
分散フィルタは、その2つのポートを介して、伝送された信号/ノイズが通過したポートからそのエネルギー/電力の一部を反射することによってその信号/ノイズをフィルタリングする。
【0019】
例示的な実施形態では、市販の標準的なマイクロ波フィルタが、約77K未満から最低約0.01Kまでの極低温温度範囲で動作するように設計されていないことが理解される。たとえば、ほとんどの場合、これらのフィルタに使用される伝送ライン材料は、理想的な熱伝導率からは程遠いものである。例示的な実施形態では、フィルタ基板、信号ライン、およびフィルタ・ハウジング間の物理的接続が信号ラインにおける熱エネルギーの除去を促進することも理解される。さらに、例示的な実施形態では、現在利用可能なマイクロ波フィルタに関する特定の欠点が理解される。たとえば、ほとんどの場合、現在利用可能なマイクロ波フィルタは、基板を囲む金属ケースが熱伝導率の低いステンレス鋼であるように形成されている。さらに、マイクロ波フィルタのいずれかのポートにあるコネクタは、マイクロ波フィルタごとに標準化されていないため、ライン内の信号の反射が増加し、マイクロ波パルス/信号における歪み、クロストーク、および測定信号におけるリップルが発生する可能性がある。さらに、これらのフィルタに使用される基板材料は、理想的な熱伝導率からは程遠いものである。
【発明の概要】
【0020】
本発明の実施形態は、電子減衰デバイス、ならびにその製造方法および製造システムを提供する。本発明の一実施形態では、オンチップ・マイクロ波フィルタ回路は、少なくとも閾値レベルの熱伝導率を示す第1の材料で形成された基板を含み、閾値レベルの熱伝導率は、量子計算回路が動作する極低温温度範囲で達成される。フィルタ回路は、入力信号内の複数の周波数をフィルタリングするように構成された分散コンポーネントをさらに含み、分散コンポーネントは、基板上に配置され、少なくとも第2の閾値レベルの熱伝導率を示す第2の材料で形成された、第1の伝送ラインを含み、第2の閾値レベルの熱伝導率は、量子計算回路が動作する極低温温度範囲で達成される。フィルタ回路の分散コンポーネントは、基板上に配置され、第2の材料で形成された、第2の伝送ラインをさらに含む。
【0021】
本発明の別の実施形態では、オンチップ・マイクロ波フィルタ回路は、第1の伝送ラインに結合され、少なくとも第3の閾値レベルの熱伝導率を示す第3の材料で形成された、コネクタを含み、第3の閾値レベルの熱伝導率は、量子計算回路が動作する極低温温度範囲で達成される。
【0022】
フィルタ回路は、第2の伝送ラインに結合され、第3の材料で形成された、第2のコネクタを含んでもよい。
【0023】
フィルタ回路は、基板に結合され、少なくとも第4の閾値レベルの熱伝導率を示す第4の材料で形成された、ハウジングを含んでもよく、第4の閾値レベルの熱伝導率は、量子計算回路が動作する極低温温度範囲で達成される。
【0024】
分散コンポーネントは、基板上に配置され、第2の材料で形成された、第3の伝送ラインを含んでもよい。
【0025】
第3の伝送ラインは、基板上で第1の伝送ラインと第2の伝送ラインとの間に配置されてもよい。
【0026】
第3の伝送ラインは、基板上で第1の伝送ラインから離間していてもよい。
【0027】
第1の伝送ラインは、10nm~1000nmの厚さを有してもよい。
【0028】
第1の伝送ラインは、0.5mmの幅を有してもよい。
【0029】
本発明の一実施形態は、オンチップ・マイクロ波フィルタ回路を製造するための製造方法を含む。
【0030】
本発明の一実施形態は、オンチップ・マイクロ波フィルタ回路を製造するためのシステムを含む。
【0031】
本発明の特性であると考えられる新規の特徴が、添付の特許請求の範囲に記載されている。しかしながら、本発明の実施形態の以下の詳細な説明を添付図面と引き合せながら参照することによって、本発明自体、ならびに好ましい利用態様、そのさらなる目的および利点が最良に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の一実施形態による、量子計算デバイスのための入力ライン・コンディショニングの例示的な構成のブロック図である。
【
図2A】本発明の一実施形態による、オンチップ・マイクロ波フィルタの例示的な構成を示す図である。
【
図2B】本発明の一実施形態による、オンチップ・マイクロ波フィルタを実装する回路を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態による、オンチップ・マイクロ波フィルタ300を示す図である。
【
図4】オンチップ・マイクロ波フィルタの例の散乱パラメータのマイクロ波シミュレーション結果を示す図である。
【
図5】オンチップ・マイクロ波フィルタを組み立てるための方法500の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明を説明するために使用される本発明の実施形態は、一般に、主にq回路に接続する入力ラインにおいて特定のマイクロ波信号を減衰させるための上記の必要性に対処し、解決する。本発明の実施形態は、上記の必要性または問題に対処する、量子回路用のオンチップ・マイクロ波フィルタを提供する。
【0034】
周波数のうちのある周波数に関連して発生するものとして本明細書に記載されている動作は、その1つまたは複数の周波数の信号に関連して発生するものと解釈されるべきである。「信号」への言及はすべて、使用される場所で明確に区別されない限り、マイクロ波信号への言及である。
【0035】
本発明の実施形態では、任意の超伝導ベースの量子アーキテクチャの性能が、測定コヒーレンス時間によって直接的に特徴付けられ得る超伝導量子ビット自体の品質に大きく依存することが理解される。これらの時間は、量子計算回路が動作する温度範囲でのマイクロ波ハードウェア(量子ビット自体だけでなく、マイクロ波ラインにおいて使用されるフィルタおよびフィルタ用のハウジング)の性能に強く依存する。コヒーレンス時間を増加させ、それにより量子プロセッサの機能を向上させるために、すべてのマイクロ波コンポーネント、制御ライン、コンポーネント、およびパッケージングは、熱化(thermalization)の量子計算で許容可能なレベルまで熱化される。
【0036】
本発明の実施形態は、本明細書に記載されるように、フィルタおよびハウジングの製造においてフィルタ設計および高熱伝導率材料を利用することによって、マイクロ波コンポーネントのより良好な熱化、およびよりクリーンなマイクロ波信号スループットを可能にする。本発明の実施形態では、フィルタ基板、ハウジング、および信号ラインの間の物理的接続が、信号ラインからの熱エネルギーの除去を促進することが理解される。
【0037】
本発明の一実施形態は、極低温で動作するオンチップ・マイクロ波フィルタの構成を提供する。本発明の別の実施形態は、方法がソフトウェア・アプリケーションとして実施され得るように、オンチップ・マイクロ波フィルタのための設計/構築方法を提供する。設計/構築方法を実装するアプリケーションは、回路アセンブリ・システムなどの既存の回路製造システムと連携して動作するように構成され得る。
【0038】
説明を明確にするために、本発明の実施形態は、いくつかの例示的な構成を使用して説明されるが、それに限定するものではない。当業者であれば、本開示から、記載された目的を達成するために、記載された構成の多くの変更、適合、および修正を考案することができ、それらは、本発明の範囲内であることが企図される。
【0039】
さらに、例示的なレジスタ、インダクタ、コンデンサ、および他の回路コンポーネントの簡略図が、図および説明で使用される。実際の回路では、本明細書に示されていない、もしくは記載されていない追加の構造もしくはコンポーネント、または、示されているものとは異なるが本明細書に記載されているものと同様の機能のための構造もしくはコンポーネントが、本発明の範囲を逸脱することなく存在し得る。
【0040】
さらに、本発明の実施形態は、実際のまたは仮定の特定のコンポーネントに関して、例としてのみ記載されている。オンチップ・マイクロ波フィルタ内の説明された機能を提供することを目的とする、またはそれを再利用することができる様々なコンポーネントを使用して回路を製造するために、説明されるステップを適合させることができ、このような適合は、本発明の範囲内であることが企図される。
【0041】
本発明の実施形態は、特定のタイプの材料、電気的特性、ステップ、数、周波数、回路、コンポーネント、および用途に関して、例としてのみ記載されている。これらおよび他の同様のアーチファクトのいかなる特定の明示も本発明を限定することは意図されていない。本発明の範囲内で、これらおよび他の同様のアーチファクトの任意の適切な明示を選択することができる。
【0042】
本明細書の例は、説明を明確にするためにのみ使用されており、本発明に限定するものではない。本明細書に挙げられた利点は、単なる例であり、本発明に限定することを意図するものではない。本発明の特定の実施形態によって、追加の利点または異なる利点を実現することができる。さらに、本発明の特定の実施形態は、上記で挙げた利点の一部もしくは全部を有することがあり、または上記で挙げた利点を1つも持たないことがある。
【0043】
図1を参照すると、構成100は、1つまたは複数の希釈冷凍機ステージ102、104、・・・106のセットを含む。入力ライン108は、外部回路をq回路110に接続する。ライン108がマイクロ波信号をq回路110に搬送すると仮定すると、信号S
1は、信号S
1と共にフィルタリングされるべきマイクロ波ノイズを含む信号である。信号S
nは、q回路110に到達するフィルタリングされた信号である。
【0044】
本発明の一実施形態は、ステージ102~106のすべてではなくいくつかを備えたオンチップ・マイクロ波フィルタを構成する。本発明の別の実施形態は、
図1に示すように、ステージ102~106のそれぞれを備えたオンチップ・マイクロ波フィルタを構成する。たとえば、フィルタ112は、ステージ102で動作するように構成される。フィルタ112は、一連のステージにおける後続のステージから、入力信号S
1および反射信号S
R2を受信する。フィルタ112は、(S
1+S
R2)信号から1つの周波数または周波数帯域をフィルタリングして、信号S
2を生成する。
【0045】
オンチップ・マイクロ波フィルタ114は、ステージ104で動作するように構成される。フィルタ114は、一連のステージにおける後続のステージから、入力信号S2および反射信号SR3を受信する。フィルタ114は、(S2+SR3)信号から異なる周波数または周波数帯域を減衰させて、信号S3を生成する。このように動作する場合、ステージ106(ステージn)は、それと共に構成されたオンチップ・マイクロ波フィルタ116を有する。フィルタ116は、一連のステージにおける前のステージから入力信号Sn-1を(また、q回路110が、図示されていない任意の信号周波数を反射するように構成されている場合は、反射信号も)受信する。フィルタ116は、(Sn-1+任意の反射周波数)信号から異なる周波数または周波数帯域をフィルタリングして信号Snを生成し、信号Snが、q回路110への入力を形成する。
【0046】
図2Aを参照すると、本図は、バンドパス・フィルタ202を含むオンチップ・マイクロ波フィルタ200の構成を示す。フィルタ200は、2ポート集積回路として実装され得る。バンドパス・フィルタ202は、2つの閾値周波数の間にある周波数帯域を可能にする(また、このパスバンド外の周波数をフィルタリング/ブロックする)分散フィルタである。回路アセンブリ・システムは、チップまたはプリント回路基板上にバンドパス・フィルタ・コンポーネント202を形成する。
【0047】
図2Bを参照すると、本図は、オンチップ・マイクロ波フィルタを実装する例示的な回路204を示す。コンポーネント206は、バンドパス・フィルタを実装して、2つの閾値周波数の間にある周波数帯域を可能にする(また、このパスバンド外の周波数をフィルタリング/ブロックする)分散素子である。
【0048】
コンポーネント206は、接地、すなわち、オンチップ・マイクロ波フィルタの外部導体に結合された、並列の誘導素子L3および容量素子C3の構成を備える。図に示すように、L3-C3は、反対側のオンチップ・マイクロ波フィルタの内部導体を介して、直列のL1-C1および直列のL2-C2に結合する。コンポーネント206はまた、接地、すなわち、オンチップ・マイクロ波フィルタの外部導体に結合された、並列の誘導素子L4および容量素子C4の構成を備える。図に示すように、L4-C4は、反対側のオンチップ・マイクロ波フィルタの内部導体を介して、直列のL2-C2に結合する。コンポーネント206、ならびに素子L1~L4およびC1~C4の描写は、集中化の実現(lumped realization)、すなわち、コンポーネント206の、マイクロ波周波数帯域におけるバンドパス・フィルタとしての効果的な機能の表現である。この例は、単純な1ユニット・セルのバンドパス・フィルタを示す。この設計は、
図2Bに示す単純なバンドパス・フィルタが、複数のユニット・セルで構成され、かつ減衰、伝送、帯域幅、カットオフ周波数、およびリップルの特性がさらにまたは異なる方法で最適化された、より高度なバンドパス・フィルタに置き換えられる場合も対象とする。
【0049】
コンポーネント206において、オンチップ・マイクロ波フィルタの内部導体上の容量素子C1およびC2は、DCブロックとして機能し、これを使用して、冷凍機内の接地ループの形成を省くことができる。このような接地ループは、電子ノイズを生成する可能性があるので、望ましくない。オンチップ・マイクロ波フィルタの中心導体および外部導体に接続された誘導素子L3は、オンチップ・マイクロ波フィルタの中心導体と外部導体との間に無視できるほどの抵抗の経路を提供する。
【0050】
コンポーネント206の集中化の実現は、限定することを意図するものではない。当業者であれば、本開示から、たとえば、ここに示された集中化の実現の同様の機能を達成するために追加のまたは異なる素子を使用するなどして、描写された集中化の実現のための他の多くの実装を考案することができ、それらは、本発明の範囲内であることが企図される。
【0051】
図3を参照すると、本図は、基板302と、伝送ライン304、306、308を含む分散コンポーネントと、コネクタ310、312と、ハウジング314とを備える、例示的なオンチップ・マイクロ波フィルタ300を示す。基板302は、極低温温度範囲で(閾値を超える)高い熱伝導率を有する材料を含む。基板302は、少なくとも残留抵抗率(RRR:Residual Resistance Ratio)100、および熱伝導率の閾値レベルである4ケルビンで1W(cm*K)を超える熱伝導率を示す材料を使用して形成されてもよい。RRRは、常温にある材料と0Kにある材料の抵抗率の比である。実際には0Kに到達することはできないので、4Kでの近似値が使用される。たとえば、基板302は、77K~0.01Kの温度範囲での動作のために、サファイア、シリコン、石英、ガリウム・ヒ素、溶融シリカ、アモルファス・シリコン、またはダイヤモンドを使用して形成されてもよい。基板材料のこれらの例は、限定することを意図したものではない。当業者であれば、本開示から、基板を形成するのに適した他の多くの材料を考案することができ、それらは、本発明の範囲内であることが企図される。
【0052】
伝送ライン304、306、308は、極低温温度範囲において(閾値を超える)高い熱伝導率を有する材料を含む。伝送ラインは、少なくともRRR100、および熱伝導率の閾値レベルである4ケルビンで1W/(cm*K)を超える熱伝導率を示す金属を使用して形成されてもよい。たとえば、伝送ラインは、金、銀、銅、またはアルミニウムを使用して形成されてもよい。伝送ライン材料のこれらの例は、限定することを意図したものではない。当業者であれば、本開示から、基板を形成するのに適した他の多くの材料を考案することができ、それらは、本発明の範囲内であることが企図される。伝送ライン304、306、308は、基板302上の薄膜堆積物とすることができる。伝送ラインの厚さは、10nm~1000nmの範囲であってもよい。伝送ライン304、306、308は、基板302上に直接堆積されてもよい。伝送ラインは、蒸着、化学蒸着、またはスパッタリングなどの従来の物理的または化学的薄膜堆積プロセスを使用して堆積されてもよい。
【0053】
図3は、3本の伝送ライン304、306、308を示す。伝送ライン306は、基板上で伝送ライン304、308の間に配置される。伝送ライン306は、基板上で伝送ライン304、308のそれぞれから離間している。3本の伝送ラインは、非限定的な例としてのみ示されている。オンチップ・マイクロ波フィルタ300は、2本、4本、5本、またはそれ以上の伝送ラインを含む。
【0054】
伝送ライン304、306、308は、入力信号の複数の周波数を減衰させるように構成される。伝送ライン304、306、308は、量子回路のためのバンドパス・フィルタとして機能する。伝送ラインの代替構成は、入力信号の第2の複数の周波数をフィルタリングするように構成され得る。たとえば、代替構成は、複数の周波数の増加/減少した周波数帯域幅をフィルタリングするように構成され得る。たとえば、少なくとも1本の伝送ラインの厚さ、伝送ラインの数、コネクタの長さの方向における少なくとも1本の伝送ラインの長さ、少なくとも1本の伝送ラインの幅、および少なくとも1本の伝送ラインの材料のうちの少なくとも1つは、入力信号の異なる複数の周波数および入力信号の複数の周波数の異なる帯域幅をフィルタリングするように変更され得る。一実施形態では、第1の複数の周波数よりも低い第2の複数の周波数をフィルタリングするために、少なくとも1本の伝送ラインの長さが延長される。
【0055】
コネクタ310、312は、それぞれ、基板302の両端で伝送ライン304、308に結合する。たとえば、コネクタ310、312は、それぞれ、伝送ライン304、308にはんだ付けされてもよい。伝送ライン304、306、308は、コネクタ310、312に結合するために最小幅0.5mmを含んでもよい。コネクタ310、312は、マイクロ波周波数範囲の信号で使用できるように特別に構成される。コネクタ310、312は、同じタイプおよびジェンダのものとして選択される。たとえば、コネクタ310、312はどちらも、メス型のサブミニチュア・バージョンA(SMA)タイプとすることができる。したがって、同じタイプおよびジェンダのコネクタ310、312を使用することにより、通常であればジェンダ変換アダプタから発生するはずのマイクロ波信号の反射を最小限に抑えることができる。
【0056】
コネクタ310、312は、極低温温度範囲において(閾値を超える)高い熱伝導率を有する材料を含む。コネクタは、少なくともRRR100、および熱伝導率の閾値レベルである4ケルビンで1W/(cm*K)を超える熱伝導率を示す金属を使用して形成されてもよい。たとえば、コネクタ310、312は、金、銀、銅、またはアルミニウムを使用して形成されてもよい。コネクタ310、312は、単極コネクタとすることができる。たとえば、コネクタ310、312は、単一の接点でそれぞれの伝送ライン304、308に結合されてもよい。
【0057】
コネクタ310、312のタイプ、ジェンダ、および材料の組合せのこれらの例は、限定することを意図するものではない。当業者であれば、本開示から、マイクロ波コネクタの他の多くのタイプ、ジェンダ、および材料の組合せを考案することができ、それらは、本発明の範囲内であることが企図される。たとえば、サブミニチュア・バージョンP(SMP)タイプのコネクタ、または同じジェンダで適切な材料もしくは材料の組合せの他の多くのタイプのマイクロ波コネクタおよび無線周波数コネクタを、本発明の範囲内でコネクタ310、312として形成および使用することができる。
【0058】
ハウジング314は、極低温温度範囲において(閾値を超える)高い熱伝導率を有する材料を含む。たとえば、ハウジング314は、金、銀、または銅を使用して形成されてもよい。ハウジング314は、基板302に結合する。ハウジング314は、ヒート・シンクとして機能し、熱エネルギーを基板302および伝送ライン304、306、308から移動させ、それにより、熱エネルギーからの伝送ライン304、306、308におけるノイズを最小限に抑える。ハウジング314は、無酸素銅材料を含んでもよい。ハウジング314は、電解銅材料を含んでもよい。
【0059】
図4を参照すると、オンチップ・マイクロ波フィルタの例の散乱パラメータのマイクロ波シミュレーションの結果が示されている。
図4に散乱パラメータが示されているオンチップ・マイクロ波フィルタ回路は、
図3に示されているオンチップ・マイクロ波フィルタ300に基づいている。
【0060】
図4において、グラフ402は、伝送パラメータS
12を表し、一方、グラフ404は、反射パラメータS
11を表す。グラフ402は、量子ビット信号範囲(たとえば、3~5GHz)を上回る場合(たとえば、7.5GHz付近で20dB)および下回る場合(たとえば、3GHz付近で20dB)の伝送信号の大幅な減衰を示しており、これにより、量子ビット信号範囲内の信号は、適度にフィルタリングされた(すなわち約5~7.5dBでフィルタリングされた)状態で通過することができる。
【0061】
図5を参照すると、オンチップ・マイクロ波フィルタを組み立てるための方法500が示されている。ブロック502において、伝送ラインが基板上に堆積される。たとえば、伝送ラインは、蒸発、化学蒸着、またはスパッタリングなどの任意の従来の物理的または化学的薄膜堆積プロセスを使用して堆積されてもよい。少なくとも2本の伝送ラインが基板上に堆積されることが好ましい。ブロック504において、基板のそれぞれの端部で、コネクタが伝送ラインに結合される。たとえば、コネクタは、伝送ラインにはんだ付けされてもよい。ブロック506において、ハウジングが基板に結合される。たとえば、ハウジングは、ねじなどの留め具によって基板に結合されてもよい。一実施形態では、熱伝導率の閾値レベルを超える熱伝導率を示す材料から製造された留め具が、ハウジングを基板に結合する。
【0062】
本発明の様々な実施形態は、関連する図面を参照して本明細書に記載されている。本発明の範囲から逸脱することなく、代替の実施形態を考案することができる。以下の説明および図面では、要素間に様々な接続および位置関係(たとえば、上、下、隣接など)が示されているが、当業者は、本明細書に記載の位置関係の多くが、配向が変化しても、説明された機能が維持されている場合は、配向に依存しないことを理解するであろう。これらの接続または位置関係あるいはその両方は、特に明記しない限り、直接的または間接的とすることができ、本発明は、この点に関して限定することを意図するものではない。したがって、エンティティの結合は、直接的または間接的な結合のいずれかを指すことができ、エンティティ間の位置関係は、直接的または間接的な位置関係とすることができる。間接的な位置関係の例として、本明細書において、層「B」上に層「A」を形成することへの言及は、層「A」および層「B」の関連する特性および機能性が中間層によって実質的に変更されない限り、1つまたは複数の中間層(たとえば、層「C」)が層「A」と層「B」との間にある状況を含む。
【0063】
以下の定義および略語は、特許請求の範囲および明細書の解釈のため使用されている。本明細書で使用されるとき、「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、「有している(having)」、「包含する(contains)」もしくは「包含している(containing)」という用語、またはそれらの任意の他の変形は、非排他的な包含を対象とすることを意図している。たとえば、要素の列挙を含む組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるわけではなく、明示的に列挙されていない、またはそのような組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または装置に固有の他の要素を含むことができる。
【0064】
さらに、「例示的」という用語は、本明細書では「例、実例、または例示の役割を果たす」ことを意味するように使用されている。本明細書において「例示的」と記載されている実施形態または設計は、必ずしも他の実施形態または設計よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。「少なくとも1つ」および「1つまたは複数」という用語は、1以上、すなわち、1、2、3、4などの任意の整数を含むと理解される。「複数」という用語は、2以上、すなわち、2、3、4、5などの任意の整数を含むと理解される。「接続」という用語は、間接的「接続」および直接的「接続」を含むことができる。
【0065】
本明細書における「一実施形態」、「実施形態」、「例示的な実施形態」などへの言及は、記載された実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含むことができるが、すべての実施形態が、特定の特徴、構造、または特性を含んでも含まなくてもよいことを示す。さらに、そのような語句は、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、または特性が実施形態に関連して説明されるとき、明示的に記載されているかどうかに関わらず、他の実施形態に関連してそのような特徴、構造、または特性に影響を与えることは当業者の知識の範囲内であることが提起される。
【0066】
「約」、「実質的に」、「おおよそ」という用語、およびそれらの変形は、出願時に利用可能な機器に基づく特定の量の測定に関連する誤差の程度を含むことを意図している。たとえば、「約」は、所与の値の±8%、または5%、または2%の範囲を含むことができる。
【0067】
本発明の様々な実施形態の説明が、例示の目的で提示されてきたが、網羅的であること、または開示される実施形態に限定されることを意図するものではない。本発明の範囲から逸脱することなく、多くの修正形態および変形形態が当業者には明らかであろう。本明細書で使用される用語は、市場で見出される技術よりも優れた本発明の原理、実際の適用、もしくは技術的改善を最良に説明するために、または当業者が本明細書に記載の本発明の実施形態を理解できるようにするために選択されたものである。