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特許7304173複合材修理パッチ及び構造体の3Dプリンティング
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-28
(45)【発行日】2023-07-06
(54)【発明の名称】複合材修理パッチ及び構造体の3Dプリンティング
(51)【国際特許分類】
   B29C 73/02 20060101AFI20230629BHJP
   B29C 64/165 20170101ALI20230629BHJP
   B29C 64/321 20170101ALI20230629BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230629BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20230629BHJP
【FI】
B29C73/02
B29C64/165
B29C64/321
B33Y10/00
B33Y30/00
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019041364
(22)【出願日】2019-03-07
(65)【公開番号】P2019194004
(43)【公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-03-01
(31)【優先権主張番号】15/915,139
(32)【優先日】2018-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(73)【特許権者】
【識別番号】519001383
【氏名又は名称】ソウル ナショナル ユニバーシティ アールアンドディービー ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イン, ジョンビョン
(72)【発明者】
【氏名】アン, ソンフン
(72)【発明者】
【氏名】リー, キルヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヒョンス
(72)【発明者】
【氏名】キム, ミンス
(72)【発明者】
【氏名】キム, ホジン
(72)【発明者】
【氏名】ミン, スホン
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-285917(JP,A)
【文献】特開平06-158873(JP,A)
【文献】特表2016-531020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 73/00-73/34
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合構造体に複合材料を添加するための方法であって、
前記複合構造体上に連続繊維ロービングの連続部分を連続的に置くとともに、エポキシ硬化剤混合物で前記連続部分を湿らすこと
を含前記方法が、
液状エポキシと液状硬化剤をミキサ内で混合して、前記エポキシ硬化剤混合物を形成することと、
前記エポキシ硬化剤混合物を前記ミキサからプリンタローラに供給することと、
前記エポキシ硬化剤混合物を前記プリンタローラから前記繊維ロービングに移すことと
をさらに含む、方法。
【請求項2】
前記繊維ロービングを切断して、置くべき繊維ロービングの長さを確定することと、
前記繊維ロービングの長さ上にある前記エポキシ硬化剤混合物が、周囲温度で前記複合構造体上において硬化することを可能にすることと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記繊維ロービングが一方向強化繊維の連続的な束であり、ロールから前記繊維ロービングを繰り出すことをさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記プリンタローラの混合物吸収層においてエポキシ硬化剤混合物を吸収することをさらに含み、前記繊維ロービングのそれぞれの連続部分が、前記プリンタローラの前記混合物吸収層から脱着したエポキシ硬化剤混合物と共に、前記プリンタローラと前記複合構造体によって形成されたニップを通過する、請求項に記載の方法。
【請求項5】
不適合部分が取り除かれ、空洞が形成されるまで、前記不適合部分を含む前記複合構造体の領域から材料を取り除くことをさらに含み、前記繊維ロービングの湿った連続部分が、前記空洞の中に置かれる、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
複合構造体に複合材料を添加するための方法であって、
(a)前記複合構造体の第1の領域の隣にプリンタローラを配置して、前記複合構造体と前記プリンタローラとの間にニップを形成することと、
(b)エポキシ硬化剤混合物を液体状態で前記プリンタローラに移すことと、
(c)前記プリンタローラを回転させることと、
(d)前記ニップを通して、繊維ロービングを供給することと、
(e)前記エポキシ硬化剤混合物を前記プリンタローラから前記ニップを通過している前記繊維ロービングの一部に移すことと、
(f)移された前記エポキシ硬化剤混合物を有する前記繊維ロービングの前記一部を前記複合構造体上に押圧することと
を含み、ステップ(d)から(f)は、前記プリンタローラが回転している間に行われる、方法。
【請求項7】
ステップ(b)が、前記プリンタローラの混合物吸収層内においてエポキシ硬化剤混合物を吸収することを含み、ステップ(e)が、前記プリンタローラの前記混合物吸収層から脱着したエポキシ硬化剤混合物によって、前記ニップを通過している前記繊維ロービングの前記一部を湿らすことを含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
複合構造体に複合材料を添加するための装置であって、
内部に含まれる液体成分を混合するためのミキサ、
前記ミキサから液体混合物を受け入れるために、一端が前記ミキサと流体連通している管、
繊維ロービングが巻き付けられた繊維ロール、及び
リンタヘッドであって
プリンタローラと、
繊維ロービングの連続部分を前記繊維ロールから前記プリンタローラに向けて誘導するように構成された繊維誘導体と、
前記管から液体混合物を受け入れるために前記管の他端と流体連通し、液体混合物が前記プリンタローラ上に流れることを可能にする、前記プリンタローラに隣接する開口を有する管継手とを備えたプリンタヘッド
を備えている装置。
【請求項9】
前記プリンタヘッドが、
互いに固定連結された前方プレート及び後方プレート、
両端がそれぞれ前記前方プレートと前記後方プレートに取り付けられた軸であって、前記プリンタローラが回転可能に連結された軸、並びに
適合型線形誘導体であって、
前記前方プレート及び前記後方プレートに固定連結された基部と、
前記軸が固定連結された一対の支持アームであって、前記基部に対して摺動可能に移動可能な一対の支持アームと、
前記前方プレートに対して平行な方向で前記プリンタローラにバネ力を及ぼす圧縮バネとを備えた適合型線形誘導体
をさらに備え、前記プリンタローラの一部が、前記前方プレート及び前記後方プレートのそれぞれの端を超えて突出し、前記繊維誘導体が、前記前方プレートと前記後方プレートとの間に配置され、前記前方プレート及び前記後方プレートに固定連結されている、請求項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、複合材料(例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP))から製作された構造体の再加工領域のための技法に関し、より具体的には、このような構造体の領域を再加工するために使用されるパッチの自動生産及び設置に関する。
【背景技術】
【0002】
複合構造体は、様々な理由のうちのいずれかの理由により、製品仕様及び/又は性能仕様に適合しない場合がある局所領域を含むことがある。構造体を再加工(修理を含む)することにより、局所的な不適合箇所を減らしたり、又はなくしたりすることができる場合がある。再加工/修理工程には、構造体から材料の1つ又は複数の層を取り除き、次いで、取り除かれた材料を複合材パッチと交換することが含まれる場合がある。複合材パッチは、構造体に結合される。
【0003】
CFRP修理工程では、適合した炭素繊維及びエポキシ樹脂(以下、「エポキシ」)の手動レイアップが適用されることが一般的であり、これにより、例えば、研削や機械加工によって後者がはめ継ぎされた後、損傷したスポット又は領域に修理パッチが形成される。このように複合材パッチを製作する典型的な方法は、時間がかかり、労働集約的である。
【発明の概要】
【0004】
本明細書で開示された主題は、三次元(3D)プリンティング技法(付加製造(additive manufacturing)としても知られている)に基づいて、繊維強化プラスチック材料から作られた複合構造体を修理している間、繊維配設工程を自動化する方法及び装置を対象としている。本明細書で使用される「3Dプリンティング」及び「付加製造」という用語は、材料が共に添加されて、三次元物体を生成するために、コンピュータ制御の下で材料が接合又は凝固される工程を指すために同義的に用いられている。以下で幾らか詳細に開示される3Dプリンティング方法の主な利点は、自律的な態様で人間の操作がない状態で、液状エポキシ硬化剤混合物で含浸された連続繊維ロービング(例えば、炭素繊維)を複合構造体(例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)から作られた航空機構成要素)の損傷面に直接プリントすることができることである。
【0005】
幾つかの実施形態によれば、該装置は、取り扱いが簡単で、様々な複雑な表面に適用可能な携帯型プリンティング装置を含む。他の実施形態によれば、プリンティング装置は、ロボットのエンドエフェクタに取り付けられ得る。材料の一例として、連続乾燥炭素繊維ロービング及び硬化剤入りエポキシを特別設計のプリンタヘッドにより、CFRPで作られた複合層に施すことができる。エポキシは、繊維供給工程の間、乾燥炭素繊維ロービングに施され、次いで、湿った繊維ロービングが、ターゲット表面上に直接プリントされる。炭素以外の材料で作られたエポキシ含浸繊維をプリントするために装置を使用してもよい。
【0006】
複合材修理パッチの3Dプリンティングの自動工程の利点は、少なくとも以下を含む。
(1)修理された複合材の均一で制御された品質、及び
(2)複合材修理のための迅速レイアップ(処理時間短縮)。
【0007】
以下で幾らかの詳細で開示される実施形態は、コンピュータ制御の下で、付加製造によって生成された複合積層材の再加工/修理パッチを使用して、複合積層材などの構造体を再加工且つ/又は修理するための方法を提供する。再加工/修理パッチの自動生成により、パッチを切削、測定、位置合わせ、且つ設置するにあたって、手作業と人的ミスの場面が減る。パッチの自動生成により、パッチの特徴の寸法制御が向上する場合があり、それにより、再加工されている構造体との適合性及び位置合わせが改善される。パッチの自動生成は、再加工/修理されている領域に3Dマップを表すデジタルデータセットに基づいており、結果的に、再加工/修理領域の形状に正確に適合する形状、配向、及び寸法を有する再加工/修理パッチが生じる。
【0008】
複合構造体を修理している間、繊維配設工程を自動化する様々な方法及び装置が以下で幾らか詳細に説明されるが、これらの実施形態の1つ又は複数は、以下の態様の1つ又は複数により特徴付けられ得る。
【0009】
以下で詳細に開示される主題の一態様は、複合構造体に複合材料を添加するための方法であり、この方法は、複合構造体上に連続繊維ロービングの連続部分を連続的に置くとともに、液体状態のエポキシ硬化剤混合物でそれぞれの連続部分を湿らすことを含む。当該方法は、乾燥繊維ロービングを切断して、置くべき繊維ロービングの長さを確定することと、繊維ロービングの長さ上にあるエポキシ硬化剤混合物が、周囲温度で複合構造体上において硬化することを可能にすることとをさらに含み得る。乾燥繊維ロービングは、一方向(すなわち、概して平行であり、撚りや絡みがない)強化繊維(例えば、炭素繊維)の連続的な束である。当該方法は、液状エポキシと液状硬化剤をミキサ内で混合して、エポキシ硬化剤混合物を形成することと、エポキシ硬化剤混合物をミキサからプリンタローラに供給することと、エポキシ硬化剤混合物をプリンタローラから乾燥繊維ロービングに移すこととをさらに含む。
【0010】
幾つかの実施形態によると、先行段落に記載された方法は、プリンタローラの混合物吸収層においてエポキシ硬化剤混合物を吸収することをさらに含み、繊維ロービングのそれぞれの連続部分は、プリンタローラの混合物吸収層から脱着したエポキシ硬化剤混合物と共に、プリンタローラと複合構造体によって形成されたニップを通過する。
【0011】
以下で詳細に開示される主題の別の態様は、複合構造体に複合材料を添加するための方法であり、この方法は、(a)複合構造体の第1の領域の隣にプリンタローラを配置して、複合構造体とプリンタローラとの間にニップを形成することと、(b)エポキシ硬化剤混合物を液体状態でプリンタローラに移すことと、(c)プリンタローラを回転させることと、(d)ニップを通して、乾燥繊維ロービングを供給することと、(e)エポキシ硬化剤混合物をプリンタローラからニップを通過している乾燥繊維ロービングの一部に移すことと、(f)移されたエポキシ硬化剤混合物を有する繊維ロービングの一部を複合構造体上に押圧することとを含み、ステップ(d)から(f)は、プリンタローラが回転している間に行われる。1つの提案された実装態様によると、ステップ(b)は、プリンタローラの混合物吸収層内のエポキシ硬化剤混合物を吸収することを含み、ステップ(e)は、プリンタローラの混合物吸収層から脱着したエポキシ硬化剤混合物と共に、ニップを通過している繊維ロービングの部分を湿らすことを含む。当該方法は、プリンタローラの混合物吸収層をプリンタローラの(非混合吸収材料から作られた)ローラ芯の外周の周りに付着させることをさらに含み得る。
【0012】
以下で詳細に開示される主題のさらなる態様は、複合構造体に複合材料を添加するための装置であり、この装置は、内部に含まれる液体成分を混合するためのミキサ、ミキサから液体混合物を受け入れるために、一端がミキサと流体連通している管、乾燥繊維ロービングが巻き付けられた乾燥繊維ロール、プリンタローラを備えたプリンタヘッド、乾燥繊維ロールから繰り出された乾燥繊維ロービングの連続部分をプリンタローラに向けて誘導するように構成された繊維誘導体、及び管から液体混合物を受け入れるために管の他端と流体連通し、液体混合物がプリンタローラ上に流れることを可能にする、プリンタローラに隣接する開口を有する管継手を備えている。
【0013】
先行段落に記載された装置の幾つかの実施形態によれば、プリンタローラは、外周を有するローラ芯を備えており、ローラ芯の外周には、混合物吸収層が付着している。1つの提案された実装形態によれば、プリンタローラの混合物吸収層は、繊維ガラス又はポリエステル織物などのブリーダ材から作られている。
【0014】
複合構造体を修理している間に繊維配設工程を自動化するための装置及び方法の他の態様が以下で開示される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
前節で検討された特徴、機能、及び利点は、様々な実施形態において個別に実現されてもよく、又は、さらに別の実施形態において組み合わされてもよい。上記の態様及び他の諸態様を例示する目的で、以下で、図面を参照しながら様々な実施形態が説明される。本節で簡潔に記載されている図面はいずれも、縮尺どおりに描かれていない。
【0016】
図1】複合構造体の表面に配置された携帯型3Dプリンティング装置を表す図である。
図2】空圧式ディスペンサ(ブロック図によって表される)、乾燥繊維ロール、及びプリンタヘッド(概略図によって表される)を含む、一実施形態に係る3Dプリンティング装置の幾つかの構成要素を特定するハイブリッド図である。
図3】他の状況では隠れてしまう構成要素を現すように前方プレートが取り除かれた状態での、一実施形態に係るプリンタヘッドの正面図である。
図4図3に示すプリンタヘッドの一部である、プリンタローラ、及び関連付けられた適合型線形誘導体の拡大図である。
図4A】分離され、ローラ芯から部分的に剥がされた外側エポキシ吸収層を有する、図4に示すプリンタローラを表す図である。
図4B】分離された、図4に示す適合型線形誘導体を表す図である。
図5】一実施形態に係る、多軸位置決め器を有する、複合材修理パッチをプリントするための3Dプリンティングシステムの正射影図である。
図6図5に示す3Dプリンティングシステムの正面図である。
図7図5に示す3Dプリンティングシステムの側面図である。
図8】一実施形態に係る、3Dプリンティング装置の幾つかの構成要素を特定するブロック図である。
図9】再加工を必要とする領域を有する複合外板を備えた航空機を表す図である。
図10】階段状の端部を有する再加工パッチを設置する前の、再加工を必要とする複合外板の領域の断面図である。
図10A】階段状の端部を有する再加工パッチを設置した後の、再加工を必要とする複合外板の領域の断面図である。
図11】テーパ状の端部を有する再加工パッチを設置する前の、再加工を必要とする複合外板の領域の断面図である。
図12】複合構造体の領域を再加工するための方法のステップを特定するフロー図である。
図13】複合構造体の領域を再加工するためのシステムの幾つかの構成要素を特定するブロック図である。
図14】不適合部分を有する複合構造体を表す図である。
図15】不適合部分を取り除くために、再加工されるべき領域の輪郭が追加された状態の、図14に類似する図である。
図16図15に示す再加工を必要とする複合外板の領域の断面図であり、この断面図は、図15に示す線16ー16に沿って切り取られている。
図17図14に類似する図であるが、材料除去システムによって再加工領域から取り除かれた材料を示す。
図18図14に類似する図であるが、再加工領域の3Dデジタル表示を生成するマッピングシステムを示す。
図19】湿った繊維を再加工領域に直接置くために付加製造システムが使用されるシナリオを示す図であり、ここでは、置かれた繊維は、エポキシでコーティングされ、その後、硬化されて、不適合部分の代わりの再加工パッチを形成する。
図20】ロボットに取り付けられた3Dプリンタの正面図である。
【0017】
以下で図面を参照する。種々の図面中、類似の要素には同一の参照番号が付されている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下で幾らか詳細に開示された実施形態は、構造体において不適合部分を減らすか又はなくすために、且つ/又は、構造体の局所領域の物理的特性を変えるために、複合構造体の領域を再加工且つ/又は修理する方法に関する。以下の説明を簡単にするため、「再加工(”rework” and ”reworking”)」」という表現は、複合構造体の領域に対して行われる修理を含むことが意図されている。
【0019】
装置の例示的実施形態では、繊維強化プラスチック材料から作られた複合構造体を再加工するための装置、システム、及び方法が、以下で幾らか詳細に説明される。しかしながら、実際の実装形態のすべての特徴が本明細書に記載されているわけではない。当業者であれば、このようないかなる実際の実施形態の開発において、開発者の特定の目的を達成するためには、多数の実装形態ごとに固有の判断を行う必要があることを理解するであろう。開発者の特定の目的は、例えば、システム関連の制約及び事業関連の制約の順守であり、これは、実装形態によって異なる。さらに、こうした開発のための取り組みは煩雑で時間がかかるものであるかもしれないが、本開示から受益する当業者にとっては、所定の通常業務であることは、理解されるであろう。
【0020】
図1は、一実施形態に係る、携帯型3Dプリンタ4を表す図である。プリンタ4は、複合構造体2の表面に配置されて示されている。プリンタ4は、再加工される複合構造体2の領域(例えば、修理部位)に重なる位置で多軸位置決め器8を支持するフレーム6を備えている。フレーム6は、4つの脚を有するように示されているが、3つの脚しかないフレームも利用することができる。それから、多軸位置決め器8は、プリンタヘッド10を支持して、位置決めする。多軸位置決め器8は、コントローラ(図1に図示せず)を有する。コントローラは、プリンタヘッド10が再加工される領域上にエポキシ含浸繊維(例えば、炭素繊維)をプリントしている間、プリンタヘッド10を複合構造体2の表面にわたって移動させるように構成(すなわち、プログラム)され得る。
【0021】
図2は、一実施形態に係る、3Dプリンティング装置の幾つかの構成要素を特定するハイブリッド図である。図2で部分的に図示されている装置は、プリンタヘッド10、プリンタヘッド10に液状エポキシ硬化剤混合物を投与する空圧式ディスペンサ11、及びプリンタヘッド10に連続乾燥繊維ロービング12を供給する乾燥繊維ロール14を備えている。本明細書で使用されている「繊維ロービング」という用語は、一方向強化繊維(例えば、炭素繊維)の連続的な束を意味すると広く解釈するべきである。本明細書で使用されている「一方向(unidirectional)」という用語は、概して平行であり、撚りや絡みがないことを意味する。
【0022】
プリンタヘッド10に組み込まれた機構は、(1)乾燥繊維ロービング12の繰り出された部分が通過する第1のニップを形成する繊維供給ローラ15a及び15bの第1の対、(2)乾燥繊維ロービング12が通過する第2のニップを形成する繊維供給ローラ15c及び15dの第2の対、(3)繊維供給ローラ15a~15dの第1の対と第2の対との間に配置され、乾燥繊維ロービング12を切断するように起動可能な高硬度カッタ24、及び(4)乾燥繊維ロービング12が通過する第3のニップを形成するために複合構造体2の表面に接触するプリンタローラ16を含む。乾燥繊維ロービング12は、繊維供給ローラ15a~15dによって第3のニップに供給される。繊維供給ローラ15a~15dは、乾燥繊維ロービング12を引っ張り、乾燥繊維ロール14を図2の矢印Fで示された方向に回転させる。切断中に乾燥繊維ロービング12に張力をもたらすために、繊維供給ローラ15a~15dの2つの対を個別に制御するべきである。1つの提案された実装形態によれば、ローラ15a及び15dは、それぞれのサーボモータ(図2に図示せず)によって駆動される。1つの提案された実装形態によれば、繊維供給ローラ15a~15dは、ウレタン製である。
【0023】
引き続き図2を参照すると、空圧式ディスペンサ11は、(1)内部にピストンを有する樹脂製シリンダ88、(2)樹脂製シリンダ88の内部のピストンに機械的に連接された、内部にピストンを有する駆動シリンダ92、(3)内部にピストンを有する硬化剤シリンダ90、(4)硬化剤シリンダ90の内部でピストンに機械的に連接された、内部にピストンを有する駆動シリンダ94、(5)加圧空気が駆動シリンダ92に注入されたときに、樹脂製シリンダ88から計量された量のエポキシ樹脂を受け入れる第1のポートと、加圧空気が駆動シリンダ94に注入されたときに、硬化剤シリンダ90から計量された量の硬化剤を受け入れるための第2のポートを有するミキサ96を備えている。樹脂製シリンダ88は、樹脂溜まり(リザーバ)84から液状エポキシ樹脂が供給され一方で、硬化剤シリンダ90は、硬化剤溜まり(リザーバ)86から液状硬化剤が供給される。ミキサ96は、樹脂製シリンダ88及び硬化剤シリンダ90から受け入れた液体成分を混合し、次いで、管98を通して、得られた液状エポキシ硬化剤混合物をプリンタローラ16に投与する。
【0024】
図2には計量/混合/投与システムの一実施形態が概略的に示されているが、他の多くの種類の計量/混合/投与システムを使用することができることを理解するべきである。ほとんどの計量/混合/投与システムは、実質的に同じ機能を実行する。これらのシステムは、各成分の正確な量を計量し、それらを混合し、次いで、容積式ポンプを介して混合物を投与する。これは、ピストン又はロッドを動かすことにより、或いは、オーガー又はギアを回転させることにより、材料が表面上に投与されることを意味する。固定混合比率システムでは、計量した量は、各成分に使用されるシリンダの変位によって決定され得る。シリンダは、空圧駆動部によって機械的に連接且つ起動され、一度に一回ずつ投与される不連続な量が伴う。ミキサ90は、好ましくは、チャンバ内に回転ブレード又はスクリューを有する動的ミキサである。
【0025】
ミキサ96から受け取った液状エポキシ硬化剤混合物は、プリンタローラ16によって、乾燥繊維ロービング12に施される。プリンタローラ16は、外周を有するローラ芯16a、及びローラ芯16aの外周に付着した混合物吸収層16bを備えている。プリンタローラ16の混合物吸収層16bは、エポキシ硬化剤混合物を吸収し、次いで、それを第3のニップに運ぶ。第3のニップでは、エポキシ硬化剤混合物が脱着して、乾燥繊維ロービング12に付着する。次に、結果として得られた湿った繊維ロービング18は、複合構造体2の表面に直接プリントされる。
【0026】
本明細書で使用される「エポキシ」という用語は、エポキシド基を含む反応性プレポリマー及びポリマーの一種を指す。エポキシは、触媒単独重合を通してそれ自体と反応(架橋)するか、又は、多官能アミン、酸(及び酸無水物)、フェノール、アルコール、及びチオールを含む広範囲の共反応物と反応(架橋)し得る。これらの共反応物は、硬化剤(hardeners)又は加硫剤(curatives)と呼ばれることが多く、架橋反応は、硬化(curing)と呼ばれることが多い。ポリエポキシドが、それ自体と反応したり、又は、多官能硬化剤と反応したりすることにより、熱硬化性ポリマーが形成され、それに高い機械特性、耐熱性、及び耐化学性が伴うことが多い。所望の機械特性又は硬化時間に応じて、エポキシの種類を変えることができる。
【0027】
図3は、他の状況では隠れてしまう構成要素を現すように前方プレート(図5の前方プレート27を参照)が取り除かれた状態での、一実施形態に係るプリンタヘッド10の正面図である。図3に示すほとんどの構成要素は、前方プレート27と後方プレート26との間に配置され、前方プレート27及び後方プレート26によって支持される。これらのプレートは、鋼などの金属合金から作られた、互いに平行な平面プレートであり得る。
【0028】
プリンタヘッド10は、プリンタローラ16、乾燥繊維ロール14から繰り出された乾燥繊維ロービング12の連続部分をプリンタローラ16に向けて誘導するように構成された繊維誘導体22、及び管98から液状エポキシ硬化剤混合物を受け入れるために管98(図2に示す)の一端と流体連通する管コネクタ19を有し、エポキシ硬化剤混合物がプリンタローラ16上に流れることを可能にする、プリンタローラ16に隣接する開口(図3に示さないが、図4の開口144を参照)を有する管継手20を備えている。プリンタローラ16、繊維誘導体22、及び管継手20は、すべて、前方プレート27と後方プレート26との間に(少なくとも部分的に)配置され、前方プレート27及び後方プレート26によって支持される。
【0029】
プリンタローラ16は、両端が前方プレート27と後方プレート26に固定連結された軸17に回転可能に取り付けられる。プリンタローラ16の一部は、前方プレート27及び後方プレート26の底端を越えて突出しており、これにより、プリンタローラ16が、複合構造体2の表面に接触して、それらの間にニップを形成することが可能となる。連続乾燥繊維ロービング12(図3に示さず)は、繊維供給ローラ15a及び15bの第1の対によって、且つ繊維供給ローラ15c及び15dの第2の対によって、ニップに供給される。これらのローラは、両端が前方プレート27と後方プレート26に固定連結されたそれぞれの軸13a~13dに回転可能に取り付けられる。したがって、繊維供給ローラ15a~15dは、前方プレート27と後方プレート26との間に配置される。
【0030】
連続乾燥繊維ロービング12は、繊維誘導体22によって、プリンタローラ16と複合構造体2の表面との間のニップに供給される。繊維誘導体22は、前方プレート27と後方プレート26との間に配置され、前方プレート27及び後方プレート26に固定連結される。繊維誘導体22は、繊維誘導体39及び41の第1の対によって形成された第1の部分を含み、繊維誘導体22の第1の部分は、繊維供給ローラ15a~15dによって形成されたニップ間に配置され、繊維誘導体22は、繊維誘導体29及び31の第2の対によって形成された第2の部分をさらに含み、繊維誘導体22の第2の部分は、繊維供給ローラ15c及び15dによって形成されたニップとプリンタローラ16及び複合構造体2の表面によって形成されたニップとの間に配置される。
【0031】
繊維供給ローラ15aは、適合型線形誘導体28aによって、繊維供給ローラ15bに対して押圧されるが、繊維供給ローラ15cは、適合型線形誘導体28bによって、繊維供給ローラ15dに対して押圧される。同様に、プリンタローラ16は、適合型線形誘導体28cによって、複合構造体2に対して押圧される。適合型線形誘導体28a~28cのすべてが、好ましくは同一の構造を有する。これは、図4Bを参照して以下で幾らか詳しく説明される。
【0032】
図3に見るように、プリンタヘッド10は、前方プレート27(図3に図示せず)に固定連結されたカッタ装着プレート25で支持されたカッタ24をさらに備えている。図5に示すように、カッタ装着プレート25は、前方プレート27と後方プレート26との間に配置されないが、カッタは、繊維誘導体22を通して供給される乾燥繊維ロービング12(図3に示さず)に係合可能であるように、前方プレート27と後方プレート26との間の空間へと延びる。プリント経路が終端に達しようとしているとき、連続乾燥繊維ロービングを切断するため、カッタ24が選択的に起動される。自律切断運動は、カッタモータ(図3に示さない。図5のカッタモータ23を参照)によって操作することができる。
【0033】
乾燥繊維ロービング12の供給経路は、図3の矢印A及びBによって示されるが、エポキシ硬化剤混合物の管継手20の管コネクタ19の中への流れは、矢印Cによって示される。 プリント操作の間のプリンタローラ16の回転は、図3の矢印Dによって示されている。1つの提案された実装形態によれば、プリンタローラ16は、タイミングベルト33によって、受動繊維供給ローラ15cと同期して回転するように連結される。そして、受動繊維供給ローラ15cは、モータ駆動繊維供給ローラ15dとの接触により回転するように駆動される。代替的な実施形態では、プリンタローラ16及び繊維供給ローラ15dが同じ速度で回転する限り、プリンタローラ16の回転は、固有のモータ(例えば、図8のプリンタローラモータ166を参照)によって独立して駆動され得る。その回転の間、プリンタローラ16は、均一量のエポキシ硬化剤混合物を乾燥繊維ロービング12に施す。プリンタローラ16によって複合構造体2に加えられる圧力により、エポキシ硬化剤混合物は、複合構造体2にプリントされる直前に、乾燥繊維ロービング12に施される。
【0034】
図4は、図3に示すプリンタヘッド10の一部である、プリンタローラ16、及び関連付けられた適合型線形誘導体28cの拡大図である。図4Aは、分離した適合型線形誘導体28cの図を示す。図4Bは、分離したプリンタローラ16を示す。
【0035】
図4Aに示すように、プリンタローラ16は、外周を有する(例えば、金属合金製の)ローラ芯16a、及びローラ芯16aの外周に付着した混合物吸収層16bを備えている。プリンタローラ16の混合物吸収層16bは、好ましくは、繊維ガラス又はポリエステル織物などの使い捨てのブリーダ材から作られている。繊維ガラスにおいて使用されるガラス繊維の一種は、Eガラスであり、これは、1%w/w未満のアルカリ酸化物を有するアルミノホウケイ酸ガラスである。
【0036】
混合物吸収層16bは、投与されたエポキシ硬化剤混合物を含み、均一量を乾燥繊維ロービング12に施す。乾燥繊維ロービング12が複合基板に接触すると、湿った混合物吸収層16bが、乾燥繊維ロービング12を基板に押しつける。この工程で、エポキシが乾燥繊維ロービング12に均一に施され、湿った繊維ロービング18(図2を参照)が基板又は以前の繊維層に付着させられる。混合物吸収層16bは、追加の供給なくても一定量を溜めることができるので、エポキシ硬化剤混合物の供給は連続的ではない。プリントが終了した後、図4Aに示すように、混合物吸収層16bを剥して再利用することができる。
【0037】
図4Bは、一般的な適合型線形誘導体28の構成要素を示す。図3に示す実施形態に組み込まれた各々の適合型線形誘導体28a~28cは、図4Bに示す構造体を有する。線形誘導体28は、前方プレートと後方プレートとの間に配置され、前方プレート及び後方プレートに固定連結された基部126を備えている。基部126は、アリ溝式レール(dovetail rails)130a、130bの対のそれぞれの一端を支持する。アリ溝式レール130a、130bの他端は、キャリッジ128の両側に形成されたアリ溝式チャネル134の対に摺動可能に連結される。そして、キャリッジ128は、ローラ支持アーム132a、132bの対を支持する。ローラ支持アーム132a、132bの遠位端部は、軸の両側に固定連結される。より具体的には、適合型線形誘導体28aのローラ支持アーム132a、132bの遠位端部は、軸13aの両端に付着し、適合型線形誘導体28bのローラ支持アーム132a、132bの遠位端部は、軸13bの両端に付着し、適合型線形誘導体28cのローラ支持アーム132a、132bの遠位端部は、軸17の両端に付着する。
【0038】
図5は、一実施形態に係る、多軸位置決め器8を有する、複合材修理パッチをプリントするための3Dプリンティングシステムの正射影図である。図6及び図7は、図5に示す3Dプリンティングシステムの前面図と側面図をそれぞれ示す。多軸位置決め器8は、ターゲット表面の複雑さに対して必要とされる運動に基づいて設計され、プリンタヘッド10の運動を制御する。
【0039】
図5から図7に示す多軸位置決め器8は、載置ステージ8a、及びX軸に沿って両方向に移動するための、載置ステージ8aに移動可能に連結されたX軸線形ステージ8bを備えている。これらのX軸移動は、図4の両矢印Xによって示されている。多軸位置決め器8は、Y軸に沿って両方向に移動するための、X軸線形ステージ8bに移動可能に連結されたY軸線形ステージ8cをさらに備えている。これらのY軸移動は、図4の両矢印Yによって示されている。多軸位置決め器8は、Z軸に沿って両方向に回転するための、Y軸線形ステージ8cに回転可能に連結されたZ軸回転ステージ8eをさらに備えている。最後に、多軸位置決め器8は、Z軸に沿って両方向に移動するための、Z軸回転ステージ8eに移動可能に連結されたZ軸線形ステージ8dをさらに備えている。これらのZ軸移動は、図4の両矢印Zによって示されている。
【0040】
プリンタヘッド10、乾燥繊維ロール14、及び空圧式ディスペンサ11(図5及び図6に示す樹脂製シリンダ88、硬化剤シリンダ(hardener cylinder)90、及びミキサ96含む)が、Z軸線形ステージ8dに取り付けられる。したがって、プリンタヘッド10は、周知の態様でコンピュータシステムの制御の下で、多軸位置決め器8の動作により、X、Y、及びZ方向に移動し、Z軸の回りで回転することができる。
【0041】
図5に示すように、カッタ24は、連接器(linkage)21によって、カッタモータ23(例えば、サーボモータ)に連結される。カッタモータは、カッタ装着プレート25のように、前方プレート27の前面に取り付けられる。図6に示すように、プリンタローラ16は、前方プレート27及び後方プレート26の底端を越えて突出し、プリンタローラ16が、複合基板の表面に沿って接触して転動することを可能にする。図7で最もよく確認することができるように、繊維供給ローラ15b及び15dの回転(図3参照)をそれぞれ駆動させる繊維供給ローラモータ146及び148(例えば、サーボモータ)は、後方プレート26の背面に取り付けられる。
【0042】
図8は、一実施形態に係る、3Dプリンティング装置の幾つかの構成要素を特定するブロック図である。これらの構成要素は、図5から7に示す装置と併用することができる。3Dプリンティング装置は、複合材修理パッチの自動付加製造の間、3Dプリンティング装置の動作を制御するように構成された制御コンピュータ150を備えている。
【0043】
制御コンピュータ150は、4つの多軸ステージモータコントローラ156と通信し、そして、多軸ステージモータコントローラ156は、4つの多軸ステージモータ158の動作を制御する。多軸ステージモータのうちの3つは、X、Y、及びZ軸の線形ステージ8b~8dの移動を駆動するが、4つ目の多軸ステージモータは、z軸回転ステージ8eの回転を駆動する。制御コンピュータ150は、さらにカッタモータコントローラ164と通信するように構成され、そして、カッタモータコントローラ164は、カッタ24の動作を制御する。
【0044】
制御コンピュータ150は、さらに一対のソレノイド型空気調節弁154の状態を制御する電気制御信号を出力するように構成された空圧式ディスペンサコントローラ152と通信する。ソレノイド型空気調節弁154の状態は、それぞれ、図2で特定した駆動シリンダ92及び94にどれだけの加圧空気が供給されるかの判断材料となる。
【0045】
制御コンピュータ150は、さらに一対の繊維供給ローラモータコントローラ160と通信し、そして、繊維供給ローラモータコントローラ160は、繊維供給ローラモータ146及び148の動作を制御する。繊維供給ローラモータ146は、繊維供給ローラ15bの回転を駆動させるが、繊維供給ローラモータ148は、繊維供給ローラ15dの回転を駆動させる。乾燥繊維ロービング12の供給の間、繊維供給ローラモータ146及び148は、同じ速度で回転するように制御される。乾燥繊維ロービング12の切断中、繊維供給ローラモータ146は、回転速度が減速するよう制御され得る。それにより、繊維供給ローラ15b及び15dのそれぞれのニップに広がる乾燥繊維ロービング12の一部に張力がもたらされ、切断が促進される。
【0046】
提案された実装形態では、(タイミングベルトによって繊維供給ローラに連結される代わりに)プリンタローラモータ166によってプリンタローラ16が回転するよう駆動されるが、この実装形態では、制御コンピュータ150は、さらにプリンタローラモータコントローラ162と通信するように構成され、そして、プリンタローラモータコントローラ162は、プリンタローラモータ166の回転を制御する。より具体的には、制御コンピュータ150は、プリンタローラ16、並びに繊維供給ローラ15b及び15dをすべて同じ速度で回転させるように構成されている。
【0047】
上述の携帯型付加製造システムは、航空機などのビークルの複合構成要素の損傷を修理するために使用され得る。例えば、図9を参照すると、航空機34は、すべて外板44で覆われている、胴体36、一対の翼38、及び尾翼40を含む。外板44は、複合積層構造体を含んでもよく、以下では、単純に「構造体」、「複合構造体」、又は「複合積層体」と呼ばれることがある。航空機34の運行中、様々な事象のうちのいずれかによって引き起こされる、外板44への衝突などの事象は、結果的に、外板44の領域30において1つ又は複数の不適合部分35の形成をもたらす場合がある。以下で「再加工領域30」と呼ばれる領域30の不適合部分35を減らすか又はなくすために、複合材再加工パッチ32を用いて再加工及び回復が行われる。以下でより詳細に説明されるように、この再加工工程には、再加工領域30内で外板44から材料を取り除き、取り除かれた材料を複合材パッチ32と交換することが含まれる。
【0048】
開示された方法及び再加工パッチ32は、組み立て前及び/又は運航に供される前の、製造の中間段階にある部分を含む複合構造体44の領域30を再加工するように利用され得る。例えば、図9に示す胴体36の複合材樽形セクションは、1つ又は複数の領域内に1つ又は複数の不適合部分を含む場合があり、この不適合部分により、樽形セクションが所望の仕様内に収まらなくなる。当該領域を所望の仕様内に収めるためには、材料を再加工領域から取り除いて、本明細書に開示された実施形態に従って製造された結合再加工パッチと交換することができる。
【0049】
再加工領域30は、図10及び図10Aに示す開示された再加工パッチ32の一形態を用いて回復することができる。この実施例では、幾つかの周知の技法のうちのいずれかを用いて、材料が複合積層複合構造体44から取り除かれ、空洞37が残っている。空洞37は、外周部46、実質的に平らな底部48、及び階段状の端部50を有する。階段状の端部50は、任意の所望の角度θでテーパし得る。再加工パッチ32は、再加工領域30の階段状の端部50に適合する階段状の端部45が配置された複数の補強積層プライ32a~32fを備えている。プライ32a~32fのそれぞれの厚さ「t」及び形状は、積層複合構造体44の対応するプライ49の厚さ及び形状に実質的に適合する。さらに、プライ32a~32fは、複合積層複合構造体44のプライスケジュール(ply schedule)に適合し得る所定のプライスケジュールに従って、種々のプライ配向を有し得る。
【0050】
図10Aに示すように、再加工パッチ32は、空洞37全体の形状を充填し、その形状及び配向に実質的に適合する。再加工パッチ32と空洞37との間のほぼ正確な嵌合により、再加工パッチ32と積層複合構造体44との間の界面において望まれないボイド又は間隙が減り、再加工パッチ32の性能及び再加工領域30の回復が改善される。特定の用途に応じて、1つ又は複数の被覆プライ51が、積層複合構造体44に結合して、再加工パッチ32を覆ってもよい。
【0051】
これより図11に注目する。ここでは、積層複合構造体44のはめ継ぎ型再加工(scarf-type rework)における使用に適した、開示された再加工パッチ32の代替的実施形態を示す。この実施例では、材料が、例えばサンディングによって、積層複合構造体44から取り除かれ、テーパ又は「はめ継ぎ」された再加工領域30の端部50が所望の角度θで残る。再加工パッチ32は、空洞37のテーパ角度θに実質的に適合するよう、それぞれテーパしている外側端部45を有する複数の積層補強樹脂プライ32a~32fを備えている。加工パッチ32の大きさ、配向、及び形状は、再加工空洞37の大きさ、配向、及び形状とほぼ同一であり、結果として、再加工パッチ32と再加工領域30との間にほぼ完全な嵌合が生じる。
【0052】
図12は、開示された複合積層再加工パッチ32を使用して、複合構造体44を再加工する方法のステップ全体を広範に示す。ステップ52で開始すると、再加工を必要とする構造体の領域30は、例えば、限定するわけではないが、目視表面検査又は超音波検査などの様々な技法のうちのいずれかを使用して特定される。ステップ54では、1つ又は複数の不適合部分を減らすか、又はなくすために、材料が再加工領域30から取り除かれる。材料除去は、手動又は自動で達成され得る。自動化装置を用いて材料除去が達成される場合、材料除去ツールの経路(すなわち、ツール経路)は、デジタルデータとして記憶且つ保存され得る。ツール経路は、空洞37の境界線の形状及び長さ、テーパ角度、並びに切削の深さ等を確立する。
【0053】
図12を続けて参照すると、ステップ56では、再加工領域30の3Dマップが生成される。3Dマップは、空洞37を含む、再加工領域30の3D表示である一組のデジタルデータを含む。一組のデジタルデータは、幾つかの技法のうちのいずれかを使用して生成されてもよい。例えば、一組のデジタルデータは、ステップ54で実行される材料除去ツールの運動の経路を記憶することにより生成され得る。代替的に、空洞37を含む再加工領域が光学的に走査される光学走査技法が利用される場合があり、光学走査は、3Dマップを表すデジタルデータに変換される。ステップ58では、湿った繊維ロービングが、プライごとにプリントされ、ステップ56で生成された3Dマップに基づいて、空洞37を充填する再加工パッチが形成される。結果として得られた再加工パッチの各プライは、特定の大きさ、形状、及び繊維配向を有する。最後に、ステップ60では、再加工パッチ32は、周囲温度で硬化することが可能となる。
【0054】
図13は、図10及び図11に示す複合積層複合構造体44などの構造体を再加工するための一体型システム75を広く示す。広くは、システム75は、材料除去システム62、3Dマッピングシステム64、及び付加製造システム66を備えており、すべて、コントローラ70(又は複数のコントローラ)によって操作される。材料除去システム62、3Dマッピングシステム64、及び付加製造システム66は、共通ネットワーク72に連結され得、コントローラ70も共通ネットワーク72に連結され得る。代替的な実施形態では、各システムは、それぞれのコントローラによって操作されたスタンドアロンの独立型システムであってもよい。
【0055】
コントローラ70は、1つ又は複数の制御プログラム74に従って操作されてもよく、限定しないが、積層複合構造体44のためのプライスケジュール78、ツール経路データ80、及び3Dマップデータ82などの様々な種類の情報を記憶するためのメモリ76に連結されてもよい。プライスケジュール78は、どのように積層複合構造体44が構築されるかを定義する情報を含み得る。この情報は、例えば、限定しないが、プライの数、プライの形状、プライの厚さ、及び繊維配向を含む。ツール経路データ80は、生成された一組のデジタル情報を含み得る。それは、材料除去ツールの経路、又は、材料除去工程の間、材料除去ツールが手動で又は自動制御の下で変位させられるにつれて記憶される経路を制御するためである。3Dマップデータ82は、3次元で、空洞37、ひいては再加工パッチ32を含む再加工領域30を表す一組のデジタルデータを含む。
【0056】
材料除去システム62は、ロボット(図示せず)などのマニピュレータによって所望のツール経路に沿って移動するパワーツールを含み得る。ツールは、研磨機(sander)、粉砕機、又は製粉機を含んでもよいが、これに限定されない。ツール及びマニピュレータは、コントローラによって操作される。このコントローラは、例えば、機械制御指令の予めプログラムされたシーケンスを実行するように構成されたコンピュータを含んでもよいが、これに限定されない。
【0057】
3Dマッピングシステム64は、コンピュータによって制御された光学式スキャナを含み得る。光学式スキャナは、再加工領域30を走査し、空洞37の3Dマップを含む、再加工領域30の3D形状マップを表す一組のデジタルデータを生成する。
【0058】
付加製造システム66は、上述の図1から図7に示すシステムであり得る。付加製造システム66は、再加工パッチ32の各プライ32a~32fをプライごとに生成する。付加製造システム66は、限定しないが、プライスケジュール78(図13)、3Dマップデータ、及びツール経路データ80を表すデジタルデータの複数の組を含む、再加工パッチ32を生成するために使用される情報を表すデジタルデータを記憶するためのメモリを含み得る。
【0059】
これより図14から図19に注目するが、これらの図では、局所化された不適合部分35を有する複合構造体44の再加工に関わるステップが図式的に示されている。図14は、局所化された不適合部分35を有する複合構造体44を示す。局所化された不適合部分35は、複合構造体44の元々の構造的性能を回復するために減らすか、又はなくさなければならない。図15及び図16に示す例示的な実施例では、不適合部分35は、複合構造体44の厚さを部分的に通って、複合構造体44の1つの外表面53から延びる窪みを含む。複合構造体44を再加工且つ回復するために、不適合部分35より大きなサイズ及び形状を有する再加工領域30が初期的に特定される。再加工領域30の形状は、不適合部分35の形状に依存し得る。再加工領域30は、対称的、非対称的、規則的、又は非規則的であり得る。
【0060】
図17を参照すると、次いで、不適合部分35を含む材料を含む材料を複合構造体44から取り除くために、材料除去システム62が利用される。上述のように、材料除去工程は、特定の用途に適しており、取り除かれる材料の種類に適合するような、研磨機、粉砕機、製粉機、又はその他のツールを使用して実行され得る。複合構造体44から材料を取り除くことにより、結果的に複合構造体44内に空洞37が形成され、これは、図示の実施例では、44の構造体の厚さを通って部分的にのみ延びている。積層複合構造体44の場合、材料除去工程は、空洞37の端部50(図10及び図11を参照)に沿ったプライのドロップオフ65を顕わにする。利用される再加工工程の種類に応じて、図10及び図11で以上説明されたように、端部50は、テーパされるか、又は階段状に加工され得る。
【0061】
これより図18を参照すると、材料が複合構造体44から取り除かれて、空洞37が形成された後、マッピングシステム64は、走査レーザビーム68を用いて空洞37を走査し、 空洞37の3Dマップを表す一組のデジタルデータを生成する。3Dマップは、空洞37の周縁部46のサイズ、配向、及び形状、並びに空洞37の他の形状特徴(プライのドロップオフの位置、底部48(図10及び図11)と端部50のサイズ、配向、及び形状、並びにテーパ角度を含む)の特定を含む。
【0062】
再加工工程の次のステップは図19で示されている。ここでは、付加製造システム66は、エポキシ含浸繊維ロービングを連続的に隣同士に配置して、空洞37の底部に第1のプライ32aを形成し、次いで、エポキシ含浸繊維ロービングを連続的に隣同士に配置して、第1のプライ32aの上部に第2のプライ32bを形成し、これを(例えば)空洞37がプライ32a~32fの積層体で埋められるまで繰り返す。各プライを視認することができるように、積層体は空洞の外部にあるように示されている。保存されたプライスケジュール78(図13参照)及び3Dマップデータ82を使用して、付加製造システム66は、プライ32a~32fを、正確なプライ配向で、且つ互いに対して整列するように、正確な順序で構築し得る。
【0063】
プリントの終了後、硬化工程の速度を上昇させ、幾つかの複合材料の物理特性を強化するために、再加工領域は、真空バギングされ、ポスト硬化(例えば、80℃)に曝される。ポスト硬化は、架橋工程を効率化し、ポリマーの分子を正確に整列させる。熱硬化樹脂をポスト硬化することにより、材料が通常室温で達成するような物理特性(例えば、引張強度、曲げ強さ、及び熱変形温度)を越える物理特性まで向上させることができる。二次機械加工が予期されるときにポスト硬化は特に重要である。
【0064】
繊維強化樹脂複合材技術は、広範囲の機体構造要素を制作するために使用することができ、これらの多くは、例えば、フラップ、エルロン、昇降舵、及び方向舵などの翼形状を有する。胴体、翼、並びに水平及び垂直安定板を含む、一部の航空機の機体全体は、全体的に繊維強化樹脂複合材から形成されている。
【0065】
上述のように、本明細書で開示された種類の3Dプリンティング装置は、マルチステージ位置決め器の代わりにロボットに取り付けられてもよい。図20は、ロボット100に取り付けられた3Dプリンティング装置の正面図である。3Dプリンティング装置は、3Dプリンタヘッド10、空圧式ディスペンサ11、及び乾燥繊維ロール14を備えている。3Dプリンティング装置は、ツール側コネクタプレート115をロボット100のコネクタ114に取り付けることによって、ロボット100に取り付けられる。プリンタヘッド10は、修理中の複合構造体に沿って移動し、エポキシ含浸繊維ロービングが、複合基板の表面上にプリントされ得る。
【0066】
ロボット100は、多軸運動能力を有し、ソフトウェアの支援を受けて、3Dプリンティングに使用される三次元プロファイルを生成する。具体的には、図20に示すロボット100は、ロボット基部102、カルーセル104、ロッカー106(すなわち、ピボットアーム)、伸縮アーム108、ロボットハンド110、及びコネクタ114が取り付けられる部材112を備えている。ロボット基部102とカルーセル104は、回転ジョイント116によって回転可能に連結される。カルーセル104とロッカー106は、回転ジョイント118によって回転可能に連結される。ロッカー106と伸縮アーム108は、回転ジョイント120によって回転可能に連結される。伸縮アーム108とロボットハンド110は、回転ジョイント122によって回転可能に連結される。これらの構成要素の組み合わせにより、複数の自由度がもたらされ、それにより、プリンタヘッド10が種々の位置及び種々の方向に移動することが可能となる。ロボット100は、1つ又は複数の位置センサ(図示せず)を含む。位置センサは、プリンタローラを正確に位置付けするために、位置データ(3次元空間でのX、Y、及びZ)を供給する各枢軸に存在するか、又はさもなければ各枢軸に関連付けられている。図3に示すプリンタヘッドと利用し得るロボット100の例として、Kuka Roboter GmbH(ドイツ国アウクスブルク)によって製造されたロボット(モデルKR-150)があるが、プリンタヘッド10を担持することができる任意のロボット又は他のマニピュレータを使用してもよい。
【0067】
様々な実施形態を参照して、複合構造体を修理している間に繊維配設工程を自動化するための装置及び方法が説明されてきたが、当業者であれば、本明細書の教示の範囲から逸脱しない限り、様々な変更が可能であり、その要素を均等物と置換できることを理解するであろう。さらに、本明細書の教示の範囲から逸脱することなく、多数の修正を行って本明細書の教示を特定の状況に適合させることができる。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に開示された特定の実施形態に限定されないことが意図されている。
【0068】
本明細書に記載された方法の幾つかのステップは、限定するものではないが、記憶デバイス及び/又はメモリデバイスを含む非一過性の有形的なコンピュータ可読記憶媒体で具現化される実行可能な命令として符号化され得る。このような命令は、処理システム又はコンピュータシステムで実行された場合、システムデバイスに、本明細書に記載された方法の少なくとも一部を実施させる。
【0069】
請求項の文言が、請求項に列挙されているステップのうちの幾つか或いは全てを実施する特定の順序を示す条件を明確に特定又は言及していない限り、以下に記載される方法の請求項は、これらのステップを、アルファベット順(本明細書中の任意のアルファベット順は、既に列挙されたステップを参照するためにのみ使用される)又はこれらのステップが列挙されている順で、実施することを要求していると解釈すべきではない。また、プロセスの請求項が、同時に又は交互に実施される2つ以上のステップの任意の部分を除外すると解釈すべきではないが、請求項の文言がそのような解釈を排除する条件を明確に示している場合は例外である。
【0070】
さらに、本開示は、下記の条項に係る実施形態を含む。
【0071】
条項1
複合構造体に複合材料を添加するための方法であって、前記複合構造体上に連続繊維ロービングの連続部分を連続的に置くとともに、エポキシ硬化剤混合物で前記連続部分を湿らすことを含む、方法。
【0072】
条項2
前記繊維ロービングを切断して、置くべき繊維ロービングの長さを確定することと、
前記繊維ロービングの長さ上にある前記エポキシ硬化剤混合物が、周囲温度で前記複合構造体上において硬化することを可能にすることと
をさらに含む、条項1に記載の方法。
【0073】
条項3
前記繊維ロービングが一方向強化繊維の連続的な束であり、ロールから前記繊維ロービングを繰り出すことをさらに含む、条項1又は2に記載の方法。
【0074】
条項4
液状エポキシと液状硬化剤をミキサ内で混合して、前記エポキシ硬化剤混合物を形成することと、
前記エポキシ硬化剤混合物を前記ミキサからプリンタローラに供給することと、
前記エポキシ硬化剤混合物を前記プリンタローラから前記繊維ロービングに移すことと
をさらに含む、条項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【0075】
条項5
前記プリンタローラの混合物吸収層においてエポキシ硬化剤混合物を吸収することをさらに含み、前記繊維ロービングのそれぞれの連続部分が、前記プリンタローラの前記混合物吸収層から脱着したエポキシ硬化剤混合物と共に、前記プリンタローラと前記複合構造体によって形成されたニップを通過する、条項4に記載の方法。
【0076】
条項6
不適合部分が取り除かれ、空洞が形成されるまで、前記不適合部分を含む前記複合構造体の領域から材料を取り除くことをさらに含み、前記繊維ロービングの湿った連続部分が、前記空洞の中に置かれる、条項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【0077】
条項7
複合構造体に複合材料を添加するための方法であって、
(a)前記複合構造体の第1の領域の隣にプリンタローラを配置して、前記複合構造体と前記プリンタローラとの間にニップを形成することと、
(b)エポキシ硬化剤混合物を液体状態で前記プリンタローラに移すことと、
(c)前記プリンタローラを回転させることと、
(d)前記ニップを通して、繊維ロービングを供給することと、
(e)前記エポキシ硬化剤混合物を前記プリンタローラから前記ニップを通過している前記繊維ロービングの一部に移すことと、
(f)移された前記エポキシ硬化剤混合物を有する前記繊維ロービングの一部を前記複合構造体上に押圧することと
を含み、ステップ(d)から(f)は、前記プリンタローラが回転している間に行われる、方法。
【0078】
条項8
ステップ(b)が、前記プリンタローラの混合物吸収層内のエポキシ硬化剤混合物を吸収することを含み、ステップ(e)が、前記プリンタローラの前記混合物吸収層から脱着したエポキシ硬化剤混合物と共に、前記ニップを通過している前記繊維ロービングの部分を湿らすことを含む、条項7に記載の方法。
【0079】
条項9
前記プリンタローラの前記混合物吸収層を前記プリンタローラのローラ芯の外周の周りに付着させることをさらに含む、条項8に記載の方法。
【0080】
条項10
移されたエポキシ硬化剤混合物を有する第1の長さの繊維ロービングが、前記複合構造体上に押されるまで、少なくともステップ(c)から(f)が連続的に行われる、条項7から9のいずれか一項に記載の方法。
【0081】
条項11
前記ニップから上流の位置で前記繊維ロービングを切断して、前記第1の長さの繊維ロービングを生成することをさらに含む、条項10に記載の方法。
【0082】
条項12
前記複合構造体と前記プリンタローラとの間にニップがある状態で、前記複合構造体の第2の領域の隣に前記プリンタローラを配置することと、
ステップ(b)から(f)を繰り返すことであって、少なくともステップ(d)から(f)は、移されたエポキシ硬化剤混合物を有する第2の長さの繊維ロービングが、前記複合構造体上に押されるまで連続的に行われる、ステップ(b)から(f)を繰り返すことと、
前記ニップから上流の位置で前記繊維ロービングを切断して、前記第2の長さの繊維ロービングを生成することと
をさらに含む、条項11に記載の方法。
【0083】
条項13
前記第1の長さの繊維ロービング及び前記第2の長さの繊維ロービングが、前記複合構造体上で互いに隣接している、条項12に記載の方法。
【0084】
条項14
前記第1の長さの繊維ロービング及び前記第2の長さの繊維ロービングの上の前記エポキシ硬化剤混合物が、周囲温度で硬化することを可能にすることをさらに含む、条項13に記載の方法。
【0085】
条項15
前記繊維ロービングが、一方向強化繊維の連続的な束であり、ロールから前記繊維ロービングを繰り出すことをさらに含む、条項7から14のいずれか一項に記載の方法。
【0086】
条項16
液状エポキシと液状硬化剤をミキサ内で混合して、前記エポキシ硬化剤混合物を形成することをさらに含み、ステップ(c)が、エポキシ硬化剤混合物を前記ミキサから前記プリンタローラに供給することを含む、条項7から15のいずれか一項に記載の方法。
【0087】
条項17
複合構造体に複合材料を添加するための装置であって、
内部に含まれる液体成分を混合するためのミキサ、
前記ミキサから液体混合物を受け入れるために、一端が前記ミキサと流体連通している管、
繊維ロービングが巻き付けられた繊維ロール、
プリンタローラを備えたプリンタヘッド、
繊維ロービングの連続部分を前記繊維ロールから前記プリンタローラに向けて誘導するように構成された繊維誘導体、及び
前記管から液体混合物を受け入れるために前記管の他端と流体連通し、液体混合物が前記プリンタローラ上に流れることを可能にする、前記プリンタローラに隣接する開口を有する管継手
を備えている装置。
【0088】
条項18
前記プリンタローラが、外周を有するローラ芯であって、その外周に混合物吸収層が付着したローラ芯を備えている、条項17に記載の装置。
【0089】
条項19
前記プリンタローラの前記混合物吸収層が、ブリーダ材から作られている、条項18に記載の装置。
【0090】
条項20
前記プリンタヘッドが、
互いに固定連結された前方プレート及び後方プレート、
両端がそれぞれ前記前方プレートと前記後方プレートに取り付けられた軸であって、前記プリンタローラが回転可能に連結された軸、並びに
適合型線形誘導体であって、
前記前方プレート及び前記後方プレートに固定連結された基部と、
前記軸が固定連結された一対の支持アームであって、前記基部に対して摺動可能に移動可能な一対の支持アームと、
前記前方プレートに対して平行な方向で前記プリンタローラにバネ力を及ぼす圧縮バネとを備えた適合型線形誘導体
をさらに備え、前記プリンタローラの一部が、前記前方プレート及び前記後方プレートのそれぞれの端を超えて突出し、前記繊維誘導体が、前記前方プレートと前記後方プレートとの間に配置され、前記前方プレート及び前記後方プレートに固定連結されている、条項17から19のいずれか一項に記載の装置。
【0091】
条項21
前記プリンタヘッドが、
繊維供給ローラの第1の対及び第2の対、
前記繊維供給ローラの第1の対のうちの一方の繊維供給ローラに機械的に連結された第1のモータ、
前記繊維供給ローラの第2の対のうちの一方の繊維供給ローラに機械的に連結された第2のモータ、並びに
前記繊維供給ローラの第1の対と第2の対との間に配置されたカッタ
をさらに備えている、条項20に記載の装置。
図1
図2
図3
図4
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図10A
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20