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  • 特許-収納ボックス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-28
(45)【発行日】2023-07-06
(54)【発明の名称】収納ボックス
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/10 20160101AFI20230629BHJP
   E03D 11/02 20060101ALI20230629BHJP
   A47K 17/00 20060101ALI20230629BHJP
   H02J 50/70 20160101ALI20230629BHJP
【FI】
H02J50/10
E03D11/02 Z
A47K17/00
H02J50/70
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019071191
(22)【出願日】2019-04-03
(65)【公開番号】P2020171125
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】太田 尚久
(72)【発明者】
【氏名】松田 宏
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-109273(JP,A)
【文献】特開2000-096951(JP,A)
【文献】特開2017-227058(JP,A)
【文献】特開2017-172286(JP,A)
【文献】特開2015-119577(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106787245(CN,A)
【文献】特開2002-101578(JP,A)
【文献】特開2015-053439(JP,A)
【文献】特開2014-176155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00 -50/90
H02J 7/00
A47K 13/00 -17/02
E03D 1/00 - 7/00
E03D 11/00 -13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁体に取り付けられる収納ボックスであって、
外部の給電コイルから前記壁体を介してワイヤレスで供給される電力を受電する受電コイルを内部に備え
当該収納ボックスは、前記壁体により区画されたトイレ室内に配置され、
前記受電コイルによって受電された電力は、前記トイレ室内に配置されたトイレ装置に供給されることを特徴とする収納ボックス。
【請求項2】
開閉可能な扉と、
前記扉の開閉状態を検知するセンサ装置と、
をさらに備え、
前記センサ装置は、前記扉が開いていることを検知したとき、前記給電コイルの電力供給を停止させることを特徴とする請求項1に記載の収納ボックス。
【請求項3】
当該収納ボックスを構成する面材の一部に、金属材料等の磁気を遮蔽する部材で構成されるシールド材が設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の収納ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばトイレ室の壁体に取り付けられる収納ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒータやシャワートイレ(登録商標)等、電力によって作動する電気使用機器を備えるトイレ装置が知られている。既存のトイレ室内にコンセントが設置されていない場合には、該電気使用機器への給電方法が課題となる。特許文献1には、建材の裏側に給電コイルを配置し、便座に内蔵された受電コイルにワイヤレスで電力を伝送する給電方法が開示されている。この方法によれば、既存のトイレ室に配線を複雑に取り回すことなく、トイレ装置の電気使用機器に給電を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-172286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような磁界共鳴によるワイヤレス電力伝送では、給電が人体に影響を与える事態を防止すること(人体曝露の防止)が必須となる。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、安全性を確保しつつ、壁体により区画された室内に好適に電力を供給することのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様は、壁体に取り付けられる収納ボックスである。この収納ボックスは、外部の給電コイルから壁体を介してワイヤレスで供給される電力を受電する受電コイルを内部に備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、安全性を確保しつつ、壁体により区画された室内に好適に電力を供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る収納ボックスの概略的な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る収納ボックス10の概略的な構成を示す。本実施形態において、収納ボックス10は、トイレ室100内に配置されるものである。トイレ室100は、壁体102や床104等によって区画される比較的小さな空間である。
【0011】
トイレ室100の床104上にはトイレ装置30が配置されている。トイレ装置30は、便器32と、便座34と、便蓋36と、機能部38とを備える。
【0012】
便器32は、洋式便器である。便座34は、便器32の前側に取り付けられ、使用者が腰掛ける座面となる部分である。便座34の内部には、便座34を加温するヒータが設けられる。便蓋36は、便器32の開口を覆う蓋であり、便器32の後部上面に載置された機能部38に回動可能に軸支される。
【0013】
機能部38は、蓄電池(図示せず)を備え、該蓄電池に蓄電された電力を用いて、シャワートイレ(登録商標)のお尻洗浄、便座34の加温、便座34の開閉動作、便蓋36の開閉動作等の各種機能を実行する。
【0014】
本実施形態において、収納ボックス10は、トイレ室背面の壁体102の内面102aに取り付けられている。収納ボックス10は、例えば床104から180cm~200cm程度の高さに取り付けられる。
【0015】
収納ボックス10は、天板10a、底板10b、背板10c、側板10dおよび前扉10eを含む面材により形成される矩形状の箱体である。これらの面材は、収納空間12を形成している。前扉10eは、トイレットペーパー13等の被収納物を出し入れするために開閉可能に取り付けられている。収納ボックス10は、収納空間12内に例えば複数個のトイレットペーパー13を収納可能な程度の大きさに形成される。
【0016】
本実施形態に係る収納ボックス10は、収納空間12内に配置された受電ユニット20を備える。受電ユニット20は、受電コイル21と、キャパシタ(図示せず)と、固定板22と、給電ケーブル23を備える。受電コイル21とキャパシタは、直列接続されて共振回路を構成する。キャパシタは、浮遊容量でもよいし、回路素子でもよい。受電コイル21とキャパシタは、固定板22に固定され、その固定板22により、背板10cの内面に取り付けられている。受電ユニット20は、収納ボックス10を構成する複数の面材のうち、壁体102に面している面材(本実施形態では背板10c)の内面に取り付けられる。例えば別の実施形態において側板10dが壁体に面している場合には、受電ユニット20は側板10dの内面に取り付けられてもよい。
【0017】
給電ケーブル23は、固定板22から収納空間12の外部に延在しており、トイレ装置30の機能部38の蓄電池に接続される。給電ケーブル23は、受電ユニット20が受けた電力をトイレ装置30の機能部38に伝送する。
【0018】
トイレ室100の外側には、給電装置40が設けられる。給電装置40は、給電ユニット41と、制御ユニット42とを備える。
【0019】
制御ユニット42は、コンセントから電源プラグを介して供給された電力にもとづいて、給電ユニット41に電力を供給する。制御ユニット42は、壁体102の外面102bに取り付けられる。
【0020】
給電ユニット41は、給電コイル43と、キャパシタ(図示しない)と、固定板44とを備える。給電コイル43とキャパシタは、直列接続されて共振回路を構成する。キャパシタは、浮遊容量でもよいし、回路素子でもよい。
【0021】
給電コイル43とキャパシタは、固定板44に固定され、その固定板44により、壁体102の外面102bに取り付けられる。給電ユニット41は、壁体102および背板10cを挟んで受電ユニット20と対向する位置に取り付けられる。
【0022】
給電コイル43は、制御ユニット42から供給された電力を、収納ボックス10内の受電コイル21に壁体102を介してワイヤレスで伝送する。給電コイル43と受電コイル21が磁界共鳴することにより電力が伝送される。
【0023】
本実施形態に係る収納ボックス10によれば、収納空間12内に受電コイル21を設けたことにより、トイレ室100の外部の給電コイル43から壁体102を介してワイヤレスで電力の供給を受けることができる。供給された電力は、給電ケーブル23を介してトイレ装置30の機能部38の蓄電池に蓄電され、便座34の加温等に利用することができる。このように収納ボックス10によれば、壁体102にコンセントを設置するなどの大がかりな工事を行うことなく好適に、トイレ装置30に電力を供給することができる。
【0024】
また、本実施形態においては、収納空間12内に受電コイル21を設けたことにより、受電コイル21の近傍への人体部位の接近を物理的に防ぐことができる。すなわち、収納ボックス10内には(例えばトイレットペーパー13を複数個収納できる程度の)収納空間12が設けられているので、人体部位を受電コイル21から物理的に遠ざけることができる。これにより人体曝露を確実に防止でき、安全性を向上することができる。
【0025】
国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP:International Commission on Non-Ionizing Radiation Protection)のガイドラインでは、通常使用状態では手で触れたり、近づかない方向に対しては30cmの安全距離が制定されている。したがって、受電コイル21から30cmの距離内に人体部位が入ることができないように、収納ボックス10の大きさを設定することが望ましい。
【0026】
さらに、本実施形態に係る収納ボックス10は、前扉10eの開閉状態を検知するセンサ装置50を備える。このセンサ装置50は、前扉10eが開いていることを検知したとき、給電装置40の制御ユニット42に対して信号を送り、給電コイル43の電力供給を停止させる。これにより、前扉10eを開けて手を収納空間12内に入れた場合であっても、確実に人体曝露を防止することができる。
【0027】
収納ボックス10を構成する複数の面材の一部に、金属材料等の磁気を遮蔽する部材で構成されるシールド材が設けられてもよい。この場合、人体曝露をより確実に防止することができる。シールド材は、受電コイル21と給電コイル43の間に位置する背板10cを除く全ての面材に設けることができるが、特に人体に近い前扉10eや底板10bにはシールド材を設けることが望ましい。
【0028】
受電コイルとシールド材との距離が近い場合、シールド材により受電コイルの空間インピーダンスが影響を受け、伝送効率が低下するおそれがある。しかしながら、本実施形態に係る収納ボックス10では、収納空間12が存在していることにより受電コイル21と面材との距離が一定以上離れているので、そのような伝送効率の低下を防ぐことができる。
【0029】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【0030】
上述の実施形態では、トイレ室内に収納ボックスを配置する実施形態について説明したが、本発明に係る収納ボックスは、壁体によって区画された室内であれば特にトイレ室内に限定せず、使用することができる。
【0031】
以上の実施形態、変形例により具体化される発明を一般化すると、以下の技術的思想が導かれる。
【0032】
本発明のある態様は、壁体に取り付けられる収納ボックスである。この収納ボックスは、外部の給電コイルから壁体を介してワイヤレスで供給される電力を受電する受電コイルを内部に備える。この態様によると、安全性を確保しつつ、壁体により区画された室内に好適に電力を供給できる。
【0033】
開閉可能な扉と、扉の開閉状態を検知するセンサ装置と、をさらに備えてもよい。センサ装置は、扉が開いていることを検知したとき、給電コイルの電力供給を停止させてもよい。この場合、より確実に人体曝露を防止できる。
【0034】
当該収納ボックスを構成する面材の一部に、金属材料等の磁気を遮蔽する部材で構成されるシールド材が設けられてもよい。この場合、より確実に人体曝露を防止できる。
【0035】
当該収納ボックスは、壁体により区画されたトイレ室内に配置され、受電コイルによって受電された電力は、トイレ室内に配置されたトイレ装置に供給されてもよい。この場合、トイレ室内にコンセントがない場合であっても、トイレ装置で電力を利用することができる。
【符号の説明】
【0036】
10 収納ボックス、 12 収納空間、 20 受電ユニット、 21 受電コイル、 22 固定板、 23 給電ケーブル、 30 トイレ装置、 34 便座、 38 機能部、 40 給電装置、 41 給電ユニット、 42 制御ユニット、 43 給電コイル、 100 トイレ室、 102 壁体。
図1