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特許7304196情報分析装置、情報分析方法、プログラムおよび情報分析システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-28
(45)【発行日】2023-07-06
(54)【発明の名称】情報分析装置、情報分析方法、プログラムおよび情報分析システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/063 20230101AFI20230629BHJP
【FI】
G06Q10/063
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019084910
(22)【出願日】2019-04-26
(65)【公開番号】P2020181429
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002767
【氏名又は名称】弁理士法人ひのき国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 涼子
(72)【発明者】
【氏名】四柳 敬志
【審査官】宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-176119(JP,A)
【文献】特開2005-084910(JP,A)
【文献】特開2017-168030(JP,A)
【文献】特開2009-223657(JP,A)
【文献】特開2008-191812(JP,A)
【文献】特開2011-164936(JP,A)
【文献】特開2004-005231(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末装置の各端末装置におけるユーザの操作履歴を入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された操作履歴から、ファイルを作成した作成時間と、前記ファイルを利用した利用時間とを算出する算出手段と、
前記算出手段にて算出された前記作成時間と前記利用時間とに基づいて、前記ファイルの活用状況を分析する分析手段と、
前記分析手段による分析結果を出力する出力手段と
を備え、前記出力手段は、前記分析結果として前記ファイルについて前記作成時間と前記利用時間とを対比させて表示するデータを出力することを特徴とする情報分析装置。
【請求項2】
更に、
前記操作履歴にファイル操作があるか否かを判定する第一の判定手段と、
前記判定手段にてファイル操作があると判定された場合、対象のファイル操作をファイル作成テーブルに記録する第一の記録手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の情報分析装置。
【請求項3】
更に、
前記ファイル作成テーブルから読み出したファイルに対するファイル複製操作が、前記操作履歴にあるか否かを判定する第二の判定手段と、
前記第二の判定手段にてファイル複製操作があると判定された場合、対象のファイル複製操作を、前記ファイル作成テーブルから読み出したファイルに関連付けてツリー構造状のIDを付与し、ファイル複製テーブルに記録する第二の記録手段と
を備えることを特徴とする請求項2に記載の情報分析装置。
【請求項4】
更に、
前記ファイル作成テーブルおよび前記ファイル複製テーブルから読み出したファイルに対するファイル拡散操作が、前記操作履歴にあるか否かを判定する第三の判定手段と、
前記三の判定手段にてファイル拡散操作があると判定された場合、対象のファイル拡散操作を、前記ファイル作成テーブルおよび前記ファイル複製テーブルから読み出したファイルに関連付けてツリー構造状のIDを付与し、ファイル拡散テーブルに記録する第三の記録手段と
を備えることを特徴とする請求項3に記載の情報分析装置。
【請求項5】
前記算出手段は、前記ファイル作成テーブルにツリー構造状に関連付けられた前記ファイル拡散テーブルから、網羅的に前記利用時間を算出することを特徴とする請求項4に記載の情報分析装置。
【請求項6】
前記算出手段は、ユーザ毎のファイルの利用時間を算出し、
前記出力手段は、特定のファイルについて、前記ユーザ毎のファイルの利用時間を出力することを特徴とする請求項1乃至5に記載の情報分析装置。
【請求項7】
複数の端末装置と通信する情報分析装置が実行する情報分析方法であって、
複数の端末装置の各端末装置におけるユーザの操作履歴を入力する入力工程と、
前記入力工程により入力された操作履歴から、ファイルを作成した作成時間と、前記ファイルを利用した利用時間とを算出する算出工程と、
前記算出工程にて算出された前記作成時間と前記利用時間とに基づいて、前記ファイルの活用状況を分析する分析工程と、
前記分析工程による分析結果を出力する出力工程
を備え、前記出力工程では、前記分析結果として前記ファイルについて前記作成時間と前記利用時間とを対比させて表示するデータを出力することを特徴とする情報分析方法。
【請求項8】
請求項1乃至6にいずれか1項に記載の情報分析装置の各手段としてコンピュータを機能させるプログラム。
【請求項9】
複数の端末装置の各端末装置におけるユーザの操作履歴を保持する操作履歴管理サーバ
と、前記操作履歴を分析する情報分析装置とを備えた情報分析システムであって、
前記情報分析装置は、
前記ユーザの操作履歴を入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された操作履歴から、ファイルを作成した作成時間と、前記フ
ァイルを利用した利用時間とを算出する算出手段と、
前記算出手段にて算出された前記作成時間と前記利用時間とに基づいて、前記ファイル
の活用状況を分析する分析手段と、
前記分析手段による分析結果を出力する出力手段と
を備え、前記出力手段は、前記分析結果として前記ファイルについて前記作成時間と前記利用時間とを対比させて表示するデータを出力することを特徴とする情報分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイルの利用状況を分析する情報分析装置、情報分析方法、情報分析システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ホワイトカラーの従業員の業務は、パソコンに向かって行う作業が中心となっている。また、昨今では、情報のデジタル化が進み、ネットワークを通じた情報の配布・流通が増加している。パソコン業務における生産性をみるうえで、ネットワーク活用されない情報(ファイル)の作成や編集にかける時間は、「ムダ」として問題視する必要があると考えられる。そこで、特許文献1には、端末からファイル利用状況を受信し、受信したファイル利用状況情報に基づいてユーザごとにファイルとの関係量を算出してファイルの検索を容易にするシステムが開示されている。また、特許文献2には、操作履歴からファイル毎に複数の作業カテゴリーに分類するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-13476号公報
【文献】特開2012-14530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ファイルの配布を行うにあたって、短い時間でファイルを作成することができ、それが多くのユーザに長時間利用(閲覧・編集・改竄など)されるものであれば、そのファイルの有用性は高いといえる。しかしながら、特許文献1では、ファイルがコピーされたなど操作された期間を把握することは可能だが、そのファイルの作成にかかった時間や利用された時間を把握することはできなかった。また、特許文献2では、ファイル毎の作業時間を把握することは可能だが、そのファイルがどのくらい他の従業員に利用されているのかを把握することはできなかった。すなわち、ファイル作成にかかる時間と実際に利用される時間とを用いて、ファイルの活用状況を把握することはできなかった。
【0005】
本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであり、ファイルの活用状況を簡便に把握可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報分析装置は、たとえば、複数の端末装置の各端末装置におけるユーザの操作履歴を入力する入力手段と、前記入力手段により入力された操作履歴から、ファイルを作成した作成時間と、前記ファイルを利用した利用時間とを算出する算出手段と、前記算出手段にて算出された前記作成時間と前記利用時間とに基づいて、前記ファイルの活用状況を分析する分析手段と、前記分析手段による分析結果を出力する出力手段とを備え、前記出力手段は、前記分析結果として前記ファイルについて前記作成時間と前記利用時間とを対比させて表示するデータを出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ファイルの活用状況を把握可能にする技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】情報分析システムの一例を示す図である。
図2A】端末装置のハードウエア構成を示す図である。
図2B】ログ管理サーバのハードウエア構成を示す図である。
図2C】情報分析装置のハードウエア構成を示す図である。
図3】アプリケーションプログラムの動作履歴の一例を示す図である。
図4】電子メールの送受信履歴の一例を示す図である。
図5】入力装置に対する入力履歴の一例を示す図である。
図6】情報分析処理の一例を示すフローチャートである。
図7】ファイル作成テーブル作成処理の一例を示すフローチャートである。
図8】ファイル複製テーブル作成処理の一例を示すフローチャートである。
図9】ファイル拡散テーブル作成処理の一例を示すフローチャートである。
図10A】ファイル作成テーブルの一例を示す図である。
図10B】ファイル複製テーブルの一例を示す図である。
図10C】ファイル拡散テーブルの一例を示す図である。
図11A】分析結果の一例を示す図である。
図11B】分析結果の一例を示す図である。
図11C】分析結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態の詳細を説明する。但し、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0010】
<第一実施形態>
(システム構成)
図1は、情報分析システムの一例を示す図である。情報分析システムは、複数の端末装置11a、11bと、ログ管理サーバ12と、情報分析装置13を備えている。端末装置11a、11bは、企業内に配置された端末の一例である。ログ管理サーバ12は、企業内に配置された端末装置にて実行されるアプリケーションプログラムの操作ログ(操作履歴)を管理する。情報分析装置13は、企業内に配置された端末装置におけるアプリケーションプログラムの操作履歴を分析する情報分析装置の一例である。これらの装置はLAN(Local Area Network)を含むイントラネットやインターネットなどの各種のネットワーク50を介して接続されている。端末装置11a、11bに共通する事項について説明するときは、単に端末装置11と記載することにする。
【0011】
ログ管理サーバ12は、端末装置11が設置されている企業内に配置されていてもよいし、他の企業内に配置されていてもよい。同様に、情報分析装置13も、端末装置11が設置されている企業内に配置されていてもよいし、他の企業内に配置されていてもよい。また、ログ管理サーバ12と情報分析装置13は、同一企業によって管理されてもよいし、それぞれ他の企業によって管理されてもよい。
【0012】
端末装置11は、監視部14を備えている。監視部14は、端末装置11において動作しているアプリケーションプログラムの名称、アプリケーションプログラムのアクティブウインドウのタイトル表示部に表示されるタイトル情報、アプリケーションプログラムが動作しているときに端末装置の入力装置に対するユーザの操作工数などを監視し、操作履歴として記録する。操作履歴に関するこれらの情報はオペレーティングシステム(OS)やウインドウマネージャなどから取得可能である。
操作履歴には、例えば、次の情報が含まれうる。
・ 端末装置の識別情報・・・コンピュータ名、IPアドレス、MACアドレスなど
・ ユーザ名・・・端末装置にログインしているユーザのIDなど
・ 操作日時・・・操作履歴が取得された日時
・ アクティブウインドウのアプリケーション名・・・プロセス名など
・ アクティブウインドウのタイトル名・・・キャプション名(編集されているファイルの名称など)
・ ファイルの操作名、ファイル名、フォルダ名
・ キーボードの打鍵数
・ 入力文字コード・・・全角/半角、2バイト系文字/1バイト系文字、Unicode
/EUC/ISO/JISなど
・ 入力確定文字・・・フロントエンドプロセッサ(FEP)を通じて確定された文字
・ ポインティングデバイスのポインタの移動距離
・ ポインティングデバイスのクリック数
【0013】
端末装置11の監視部14は、予め設定された監視期間(例:1分)ごとに操作履歴を作成し、ログ管理サーバ12に送信する。監視期間の途中でアクティブウインドウが切り替えられてしまうと、あるアクティブウインドウについて取得を開始した操作履歴に、別のアクティブウインドウに対する操作履歴が含まれてしまう可能性がある。また、監視期間の途中で第1アクティブウインドウから第2アクティブウインドウに切り替わり、さらに、第2アクティブウインドウから第3アクティブウインドウに切り替わってしまうこともある。この場合、第2アクティブウインドウが操作履歴に反映されなくなってしまう恐れがある。これは、監視期間の開始時のアクティブウインドウが操作履歴に対して関連付けられてしまうからである。そこで、端末装置11の監視部14は、アクティブウインドウが切り替えられるごとに操作履歴を作成してもよい。あるいは、監視部14は、アクティブウインドウが切り替えられたとき、または、所定の監視期間が開始されたときに、そのアクティブウインドウについての操作履歴の取得を開始し、別のアクティブウインドウに切り替えらたとき、または、所定の監視期間が終了したときに、操作履歴の取得を終了してもよい。これにより、各アクティブウインドウが操作履歴に反映されることになる。さらに、後述する操作開始日時は、操作履歴の取得開始時になるため、アクティブウインドウ毎の操作時間(作成時間、利用時間)を操作開始日時から算出できるようになる。たとえば、第1アクティブウインドウから第2アクティブウインドウに切り替えられたときの第1アクティブウインドウの操作時間は、第1アクティブウインドウの操作開始日時から第2アクティブウインドウの操作開始日時までの時間として算出できる。
【0014】
また、アクティブウインドウ毎の操作時間(作成時間、利用時間)は、後述するキーボードの打鍵数・ポインタ移動距離が所定値以上である場合に、操作時間としてカウントするよう算出してもよい。
【0015】
このようにして取得された操作履歴を端末装置11がログ管理サーバ12に操作履歴を送信する条件は、種々考えられる。例えば、所定時間が経過したとき(例:2時間毎)、所定量以上の操作履歴が蓄積されたとき、端末装置11が起動したとき、端末装置11がシャットダウンを指示されたとき、ログ管理サーバ12からの操作履歴の送信を要求されたときなどである。
【0016】
ログ管理サーバ12は、複数の端末装置11のそれぞれから収集した操作履歴を蓄積し、蓄積した操作履歴を情報分析装置13へ送信する情報処理装置(コンピュータ)である。図1が示すように、ログ管理サーバ12は、ログ管理DB15を備える。DBはデータベースの略称である。ログ管理サーバ12は、端末装置11から受信した操作履歴に基づいて、ログ管理DB15に、端末装置毎(またはユーザ毎)に操作履歴を記録する。
【0017】
情報分析装置13は、分析部18および分析結果DB19を備える情報処理装置である。情報分析装置13は、ログ管理サーバ12からネットワーク50を介して受信した操作履歴に基づいて、アプリケーションプログラムやOSに対する操作内容(たとえば、ファイルの活用状況)を分析して出力する。情報分析装置13のネットワークインターフェースは、端末における操作履歴を入力する一例である。分析部18は、入力された操作履歴からファイルの活用状況を分析する。分析部18は、例えば、ユーザごとまたは端末装置ごとに分析結果を作成し、作成した分析結果を分析結果DB19に記録する。分析結果DB19に記録された分析結果は、グラフや表として表示装置に出力されたり、印刷装置によって記録媒体に出力されたり、電子メールの本文として出力されたり、WebサイトのWebページとして出力されたりしてもよい。
【0018】
尚、ログ管理サーバ12で収集されたユーザ端末装置群の操作ログの情報分析装置18への受け渡しは、ネットワークを利用する以外にも、外部記憶媒体(FD、MO、USB、CD-R、DVD―RAM等)等の操作ログを授受可能な媒体でも可能である。
【0019】
(ハードウエア構成)
図2Aは、端末装置11のハードウエア構成を示す図である。端末装置11は、オフィスなどに配置されるパーソナルコンピュータなどの情報処理装置である。端末装置11では、ハードディスクドライブ(HDD25)に記憶されているソフトウエアにしたがってCPU21が各種手段として機能する。とりわけ、CPU21は、上述した監視部14として機能し、アプリケーションプログラムの名称、キャプション名、操作日時および操作工数などを監視し、操作履歴を作成してログ管理サーバ12へ送信する。表示装置22は、情報を表示するためのユーザインタフェースである。メモリ23は、RAMやROMなどを含む。ネットワークインターフェース24は、ネットワーク50を通じて他のコンピュータと通信するための通信回路である。HDD25は、アプリケーションプログラム27や、操作工数などを監視して操作履歴を作成する監視プログラム28などを記憶する。
【0020】
入力部26(入力装置)は、ポインティングデバイス(マウスやタッチパネル)やキーボードなどである。キーボードはソフトウエアキーボードであってもよい。また、入力部26は、入力された操作者の音声を音声認識機能により認識してCPU21へ指示を入力する音声認識入力部であってもよい。入力部26は、複数のアプリケーションプログラムのうちアクティブウインドウに対応しているアプリケーションプログラムを操作するための操作手段の一例である。
【0021】
図2Bは、ログ管理サーバ12のハードウエア構成を示す図である。ログ管理サーバ12も、コンピュータの一種である。ログ管理サーバ12では、ハードディスクドライブ(HDD35)に記憶されているソフトウエアにしたがってCPU31が各種手段として機能する。メモリ33は、RAMやROMなどを含む。ネットワークインターフェース34は、ネットワーク50を通じて他のコンピュータと通信するための通信回路である。HDD35は、ログ管理プログラム36やログ管理DB15を記憶する。
【0022】
図2Cは、情報分析装置13のハードウエア構成を示す図である。情報分析装置13も、コンピュータの一種である。情報分析装置13では、ハードディスクドライブ(HDD45)に記憶されているソフトウエアにしたがってCPU41が各種手段として機能する。メモリ43は、RAMやROMなどを含む。ネットワークインターフェース44は、ネットワーク50を通じて他のコンピュータと通信するための通信回路である。HDD45は、情報分析プログラム47や、分析結果DB19を記憶する。出力部46は、分析結果を出力する表示装置や印刷装置などである。
【0023】
(ログ管理データベース)
端末装置11からログ管理サーバ12へ送信された操作履歴の情報は、ログ管理サーバ12のログ管理DB15に記録される。操作履歴には、端末装置11の識別情報またはアプリケーションプログラムが動作しているときに端末装置11にログインしていたユーザの識別情報と対応付けて、アプリケーションプログラムの名称(プロセス名)、タイトル情報(アクティブウインドウのタイトル名)および操作工数が記録されている。ログ管理DB15の記録内容について、図3ないし図5を参照して説明する。
【0024】
図3ないし図5は、ログ管理DB15の記録内容の一例を示す図である。図3では、端末装置11から受信した操作履歴の一部であるアプリケーションの動作履歴の一例を示している。図3において、PC名の欄301には端末装置の識別情報が記録されている。ユーザ名の欄302には、端末装置にログインしている従業員の識別情報が記録されている。操作開始日時の欄303には、操作履歴の記録を監視部14が開始した日時のデータが記録される。プロセス名の欄304には、アクティブウインドウで実行されるプロセスのプロセス名(アプリケーション名)が記録される。ウインドウタイトルの欄305には、アプリケーションを識別するための識別情報(例:編集作業名や編集対象ファイルの名称など)が記録される。たとえば、電子メールプログラム(メーラー)がアプリケーションであれば、たとえば、編集作業名は、「作成」とメールのタイトルである「Re:ありがとう」などである。ファイル名の欄306には、操作対象ファイルの名称が記録される。操作名の欄307には、操作内容が記録される。パスの欄308には、現在のパスまたは、移動や変更前のパスが記録される。パス2の欄309には、移動や変更後のパスが記録される。操作履歴は、1つのアクティブウインドウにつき1レコードが作成され、アクティブウインドウが表示された順番にしたがって時系列で記録される。
【0025】
図4は、端末装置11から受信した操作履歴の一部である、電子メールの送受信履歴の一例を示している。図4において、PC名の欄401には端末装置の識別情報が記録されている。ユーザ名の欄402には、端末装置にログインしている従業員の識別情報が記録されている。操作開始日時の欄403には、操作履歴の記録を開始した日時のデータが記録される。件名の欄404には、メールの件名が記録される。添付ファイルの欄405には、添付ファイル名が記録される。操作名の欄406には、端末装置もしくはユーザがそのメールを受信したのか送信したのかいずれかの情報が記録される。差出の欄407には、メールの差出元が記録される。宛先の欄408にはメールの宛先が記録される。操作履歴は、メール一件につき1レコードが作成され、受信または送信が行われた順番にしたがって時系列で記録される。
【0026】
図5は、端末装置11から受信した操作履歴の一部である入力装置への入力履歴の一例を示している。PC名の欄501には端末装置の識別情報が記録されている。ユーザ名の欄502には、端末装置にログインしている従業員の識別情報が記録されている。操作開始日時の欄503には、操作履歴の記録を開始した日時のデータが記録される。キーボードの打鍵数の欄504には、操作開始日時から所定の監視期間(例:1分間)の間にキーボードが打鍵された回数が記録される。ポインタ移動距離の欄505には、操作開始日時から所定の監視期間(例:1分間)の間にポインティングデバイスのポインタが移動した距離のデータが記録される。
【0027】
(情報分析処理)
図6は、情報分析処理の一例を示すフローチャートである。情報分析装置13のCPU41は情報分析プログラム47にしたがってこの情報分析処理を実行する。これにより、CPU41は、分析部18として機能することになる。なお、本処理が実行される前に、ログ管理サーバ12は、端末装置11から操作履歴(アプリケーションの動作履歴、電子メールの送受信履歴、入力装置への入力履歴)を受信し、それをログ管理DB15に登録する。
【0028】
S601で、CPU41は、操作履歴をメモリ43に入力する。たとえば、CPU41は、ログ管理サーバ12のログ管理DB15から操作履歴を受信してもよいし、CD-ROMなどのデータ記憶媒体から読み出してもよい。よって、受信に使用するネットワークインターフェース44やCD-ROMのドライブ装置は入力手段として機能する。なお、操作履歴の読出単位は、ユーザ名、PC名、操作開始日時等、自由に設定できる。操作履歴の一部である、アプリケーションの動作履歴、電子メールの送受信履歴、および入力装置への入力履歴の対応付けは、ユーザ名、PC名、操作開始日時を元に実行される。
【0029】
S602で、CPU41は、ファイル作成テーブル(図10A)を作成して、S603でファイル複製テーブル(図10B)を作成し、S604でファイル拡散テーブル(図10C)を作成する。ファイル作成テーブル、ファイル複製テーブルおよびファイル拡散テーブルの作成方法については、後述する。なお、ファイル作成テーブル、ファイル複製テーブルおよびファイル拡散テーブルは、たとえば、HDD45に設けられてもよいし、メモリ43に設けられてもよい。
【0030】
S605で、CPU41は、ファイル作成テーブル、ファイル複製テーブルおよびファイル拡散テーブルに基づいて、分析結果DB19に分析結果を書き込み、S606で、分析結果を出力部46から出力する。図11Aは、分析結果の一例を示す図である。各レコードは、ファイル名に対応する作成時間と利用時間から構成されている。図11Bは、分析結果の出力例を示す図である。情報分析装置13のCPU41は、分析結果を表またはグラフ化して、出力部46に出力する。図11Bによれば、ファイル毎の作成時間と利用時間を示した棒グラフが示されている。この例では、報告書のファイル(報告書.xls)は作成時間に比べて利用されている時間が多く、議事録のファイル(議事録.xls)は作成時間に比べて利用されている時間が少ないことが視覚的に把握することが可能となる。このように、CPU41は、分析結果に基づいてファイル利用状況を図表化した図表データを作成してもよい。
【0031】
(ファイル作成テーブル作成処理)
図7は、ファイル作成テーブル作成処理の一例を示すフローチャートである。S701で、CPU41はメモリ43から操作履歴のレコードを1つ読み出し、S702で、ファイル操作があるか否かを判定する。ファイル操作があるか否かの判定は、具体的には、操作履歴のファイル名の欄(たとえば、306、405)に操作対象のファイルの名称が記録されていればファイル操作があると判定し、記録されていなければファイル操作がないと判定する。
【0032】
S703で、CPU41は、読み出したレコードのPC名(ユーザ名)とファイル(パス名・ファイル名)の組み合わせが、ファイル作成テーブルに登録されているか否かを判定する。図10Aは、ファイル作成テーブルの一例を示す図である。
【0033】
ファイル作成テーブルに登録されていないと判定された場合(S703でNO)、S704で、CPU41はそのレコードをファイル作成テーブルに登録しIDを付与する。ファイル作成テーブルに登録されていると判定された場合(S703でYES)、S705で、CPU41は、登録されているレコードの作成時間をカウントアップする処理を行う。算出した作成時間をファイル作成テーブルに記録する。
【0034】
S706で、CPU41は、読み出した操作履歴を構成するすべてのレコードについて分析処理を終了したか否かを判定する。分析処理が終了していなければ、次のレコードについて分析するために、S701に戻る。分析処理が終了していれば、処理を終了する。
【0035】
(ファイル複製テーブル作成処理)
図8は、ファイル複製テーブル作成処理の一例を示すフローチャートである。S801で、CPU41はファイル作成テーブルのレコードを1つ読み出し、S802で、そのファイル(パス名・ファイル名)に対するファイル複製操作が操作履歴にあるか否かを判定する。ファイル複製操作があるか否かの判定は、具体的には、操作履歴の操作名の欄(たとえば、307、406)に、コピー・名前変更など、対象ファイルが複製された操作名が記録されていればファイル複製操作があると判定し、記録されていなければファイル操作がないと判定する。
【0036】
ファイル複製操作があると判定された場合(S802でYES)、S803で、CPU41は、S801にて読み出したレコードのIDに関連付けたIDを付与し、ファイル複製テーブルに登録する。図10Bは、ファイル複製テーブルの一例を示す図である。例えば、ファイル作成テーブルから読み出したIDが「1」のファイル(パス名:C¥book1.xls、ファイル名:book1.xls)をコピーしたファイル(パス名:C¥コピーbook1.xls、ファイル名:コピーbook1.xls)のレコードは、ファイル複製テーブルに、ID「1」に関連付けたIDとしてID「1-1」として登録される。
【0037】
S804で、ファイル複製テーブルに登録したレコードのファイル(パス名・ファイル名)に対するファイル複製操作が、操作履歴にあるか否かを判定する。ファイル複製操作があると判定された場合(S804でYES)、S803で対象レコードのIDに関連付けたIDを付与し、ファイル複製テーブルに新規に登録する。例えば、ファイル複製テーブルに登録したIDが「1-1」のファイル(パス名:C¥コピーbook1.xls、ファイル名:コピーbook1.xls)を名前変更したファイル(パス名:C¥週報.xls、ファイル名:週報.xls)のレコードは、ファイル複製テーブルに、ID「1-1」に関連付けたIDとしてID「1-2」として登録される。
【0038】
このような再帰的な処理により、ファイル作成テーブルから抽出した一件のレコードに対し、ツリーに拡散したファイルを網羅的に検出し、ファイル複製テーブルに登録することができる。
【0039】
S805で、CPU41は、すべてのレコードについて分析処理を終了したか否かを判定する。分析処理が終了していなければ、次のレコードについて分析するために、S801に戻る。分析処理が終了していれば、処理を終了する。
【0040】
(ファイル拡散テーブル作成処理)
図9は、ファイル拡散テーブル作成処理の一例を示すフローチャートである。S901で、CPU41はファイル作成テーブルおよびファイル複製テーブルのレコードを1つ読み出し、S902で、そのファイル(パス名・ファイル名)に対するファイル拡散操作が、操作履歴にあるか否かを判定する。
【0041】
ファイル拡散操作とは、メールでの添付ファイル送信、FTPやHTTPなどでの通信プロトコルによるファイルアップロード、共有フォルダへのアップロードなどが挙げられる。例えば、操作履歴の添付ファイル名の欄(たとえば、405)に対象のファイルが記録されていれば、ファイル拡散操作があると判定し、記録されていなければファイル拡散操作がないと判定する。
【0042】
ファイル拡散操作があると判定された場合(S902でYES)、S903で、CPU41は、S901にて読み出したレコードのIDに関連付けたIDを付与し、拡散先(たとえば、メール宛先)と共にファイル拡散テーブルに登録する。図10Cは、ファイル拡散テーブルの一例を示す図である。例えば、ファイル作成テーブルから読み出したIDが「1」のファイル(パス名:C¥book1.xls、ファイル名:book1.xls)を、「PC1」が「PC10」にメールにて送信したレコードは、ファイル拡散テーブルに、ID「1」に関連付けたIDとしてID「1-0-1」と登録されると共に、拡散先であるメールの宛先「PC10」を登録する。
【0043】
S904で、CPU41は、各拡散先での対象ファイルの利用時間の算出を行う。具体的には、操作履歴のPC名の欄(たとえば、301、401)と、ファイル名の欄(たとえば、306、405)に操作対象の拡散先とファイルの名称が記録されていれば、ファイル利用操作があると判定する。そして、利用した時間をカウントアップする処理を行い、算出した時間をファイル拡散テーブルに記録する。
【0044】
S905で、CPU41は、すべてのレコードについて分析処理を終了したか否かを判定する。分析処理が終了していなければ、次のレコードについて分析するために、S901に戻る。分析処理が終了していれば、処理を終了する。
【0045】
あるファイルに対する利用時間は、ファイル拡散テーブルに基づいて算出することができる。たとえば、図10AにおけるIDが「1」のファイル(パス名:C¥book1.xls、ファイル名:book1.xls)の利用時間は、図10CにおけるID「1-0-1」~「1-2-1」の合計時間(356秒)を算出すればよい。すなわち、ファイル作成テーブル、ファイル複製テーブルおよびファイル拡散テーブルを関連付けたIDで管理することによって、ファイル作成テーブルから抽出した一件のレコードに対し、ツリーに拡散したファイルの利用時間を網羅的に算出することができる。
【0046】
以上のように、本実施形態によれば、ファイルの作成時間と利用時間を算出することができ、ユーザはファイルの活用状況を把握することが可能となる。ファイルの活用状況を把握することで、たとえば、あるファイルを作成するのにかけた時間が適切であったのかどうかを把握することができ、業務の効率化を実現することができる。
【0047】
また、分析結果について、さらに詳細な分析を行うことも可能である。図11Cは、分析結果の出力例を示す図である。図11Cによれば、特定のファイル(たとえば、議事録.xls)のユーザ毎の利用時間を示した棒グラフが示されている。この例では、議事録のファイル(議事録.xls)について、「UserC」「UserE」は利用しているが、「UserA」「UserB」「UserD」は、全く利用していないことが視覚的に把握することがわかる。すなわち、特定のファイルについて、ユーザ毎の利用時間を表示することにより、従業員の管理者(上司や経営者など)や、そのファイルの作成者は、そのファイルをどのユーザに拡散(たとえば、メールでの添付ファイル送信)するのがよいのかを把握しやすくなる。たとえば、利用が少ないユーザへのメールでの添付ファイル送信をやめることにより、メールサーバの負荷を軽減することができる。また、利用が少ないユーザにとっては、不要な添付ファイルメールの受信を減らすことができ、業務の効率化を実現することができる。
【0048】
<他の実施形態>
上述したログ管理サーバ12と情報分析装置13が同一のサーバ上で実現してもよいし、それぞれ異なるサーバ上で実行されてもよい。前者の場合、ログ管理サーバ12と情報分析装置13とがネットワーク50を通じてデータ通信を行う必要がなくなるメリットがある。この場合、情報分析装置13が、ログ管理DB15、分析部18、分析結果DB19を備えることになる。このように、ログ管理サーバ12と情報分析装置13を同一のサーバ上で実現することで、同一企業内での操作履歴と分析結果を管理が可能となる。よって、よりセキュリティを考慮した分析が可能となる。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C