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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-28
(45)【発行日】2023-07-06
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 21/22 20060101AFI20230629BHJP
   H02K 5/173 20060101ALI20230629BHJP
   H02K 5/167 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
H02K21/22 M
H02K5/173 A
H02K5/167 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019103237
(22)【出願日】2019-05-31
(65)【公開番号】P2020198694
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】岩田 仁
(72)【発明者】
【氏名】大沢 直生
(72)【発明者】
【氏名】山西 生馬
(72)【発明者】
【氏名】西方 俊之
(72)【発明者】
【氏名】三田村 聖司
(72)【発明者】
【氏名】清水 道弘
(72)【発明者】
【氏名】天城 雄太
【審査官】池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-015106(JP,A)
【文献】特開平02-168835(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0119349(US,A1)
【文献】実開昭63-194571(JP,U)
【文献】実開平02-014276(JP,U)
【文献】特開平04-359649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 21/22
H02K 5/173
H02K 5/167
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部材と、
前記軸部材に対して回転可能な筒状の回転体と、
前記回転体の第1の部分を前記軸部材に対して支持する第1の軸受と、
前記回転体の第2の部分を前記軸部材に対して支持する第2の軸受と、
前記回転体の内側にあるステータと、
前記回転体の第3の部分に固定されたマグネットと、
を備え
前記ステータは前記軸部材に固定されており、
前記第1の軸受の半径寸法と前記第2の軸受の半径寸法は異なり、
前記回転体の第3の部分の内周面の半径寸法に対して、前記回転体の第1の部分の内周面の半径寸法は小さく、かつ、前記回転体の第2の部分の内周面の半径寸法は大きい、モータ。
【請求項2】
径方向において、前記第1の軸受は前記マグネットに対して前記軸部材側にあり、
径方向において、前記第2の軸受は前記マグネットに対して前記回転体側にある、請求項に記載のモータ。
【請求項3】
記軸部材の軸方向において、前記第1の軸受と前記第2の軸受との間に、前記マグネット及び前記ステータがある、請求項に記載のモータ。
【請求項4】
前記回転体は、前記軸部材の軸方向において、2つの端部を備え、
前記第1の軸受は、前記2つの端部のうち一方の端部側にある前記回転体の第1の部分に固定されており、
前記第2の軸受は、前記2つの端部のうち他方の端部側にある前記回転体の第2の部分に固定されている、請求項1から3のいずれかに記載のモータ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な用途や要求される性能に応じて、種々のモータが開発・製造され、用いられてきたが、さらなる小型化の要求がある。また、その他各種用途で、高トルクと小型化の要求もある。即ち、小型でありながら、モータとしての高い性能を実現し得るモータが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-64800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は、小型化の要求を実現し得るモータを提供することを目的の一例とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、以下の本発明により解決される。即ち、本発明のモータは、軸部材と、
前記軸部材に対して回転可能な筒状の回転体と、
前記回転体を前記軸部材に対して支持する軸受と、
前記回転体の内側にあるステータと、
を備える。
【0006】
本発明のモータにおいては、前記回転体が、単一の部材で形成された筒部材と、マグネットと、を備えるものとすることができる。
また、本発明のモータにおいては、前記軸部材に前記ステータが固定されているものとすることができる。
前記ステータの半径寸法としては、前記軸受の半径寸法に比して、小さい又は等しいものとすることができる。
【0007】
前記軸受としては、第1の軸受及び第2の軸受の2つを備えるものとすることができる。
このとき、前記回転体が、単一の部材で形成された筒部材と、マグネットと、を備え、
前記軸部材の軸方向において、前記第1の軸受と前記第2の軸受との間に、前記マグネット及び前記ステータのいずれか一方もしくは双方があるものとすることができる。
【0008】
また、前記回転体は、前記軸部材の軸方向において、2つの端部を備え、前記第1の軸受は、前記2つの端部のうち一方の端部側にある前記回転体の一部分に固定されており、
前記第2の軸受は、前記2つの端部のうち他方の端部側にある前記回転体の他の部分に固定されていても構わない。
【0009】
また、前記第1の軸受及び前記第2の軸受が、前記軸部材の軸方向において、前記回転体の両端部乃至その近傍で、当該回転体に固定されていても構わない。
また、前記第1の軸受が固定される前記筒部材の一部分から前記第2の軸受が固定される当該筒部材の他の部分にかけて、当該筒部材は単一の部材で形成されていても構わない。
【0010】
本発明のモータにおいては、前記第1の軸受と前記第2の軸受とが同一構成の部材であることができる。
また、本発明のモータにおいては、前記軸部材の一端部側における前記筒部材の半径寸法は、前記軸部材の他端部側における前記筒部材の半径寸法に対して大きいものとすることができる。
【0011】
さらに、本発明のモータにおいては、前記軸部材が、前記回転体に同軸上に固定されていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一例である実施形態にかかるモータを斜め上方から見た断面斜視図である。
図2】本発明の一例である実施形態にかかるモータの縦断面図である。
図3】本発明の他の一例である第1の変形例にかかるモータの縦断面図である。
図4】本発明のさらに他の一例である第2の変形例にかかるモータの縦断面図である。
図5】本発明のさらに他の一例である第3の変形例にかかるモータの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態にかかるモータについて、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一例である実施形態にかかるモータ1を斜め上方から見た断面斜視図であり、図2はその縦断面図である。
【0014】
なお、本実施形態の説明において、上方乃至下方と云う時は、図1及び図2における上下関係を意味し、重力方向における上下関係とは、必ずしも一致しない(後述する変形例においても同様)。
また、本実施形態の説明において、モータ1内で回転する部分を「回転側」と、当該回転側の部材を支持して、自らは回転せず固定される部分を「固定側」と、それぞれ称する場合がある。
【0015】
本実施形態のモータ1は、後述する軸部材(柱5)が被取付部材7に固定されている。被取付部材7は、モータ1を固定する対象であり、例えば、モータの筐体(ハウジング)や、モータが取り付けられる装置(電子機器、移動体としての自動車、や回転装置等のフレームや基板等)を挙げることができる。被取付部材7は、軸部材とともに、固定側の部材となる。
【0016】
軸部材と被取付部材7は、後述する回転体に対して相対的に静止した部材である。よって、これらを総称して静止部材(静止部)と呼称する。なお、静止部材(静止部)は、回転体に対して静止していればよく、静止部材(静止部)自体が完全に静止している必要はなく、回転体の回転によって揺れていても構わない。つまり、回転体に対して相対的に静止していればよい。被取付部材7は、モータ1を被取付部材として、被取付部材が取り付けられる取付部材となる。
【0017】
モータ1は、回転体であるロータ3と、ロータ3に囲まれるステータ2と、軸受4と、軸部材である柱5と、を備えている。
ステータ2は、柱5に固定され、当該柱5を軸として外径側に放射状に延びる磁極部23を有するステータコア21と、磁極部23に巻き回されたコイル22と、を含む。
【0018】
ステータコア21は、珪素鋼板等の積層体となっており、柱5と同軸上に配された円環部24と、円環部24から外径側へ向かって放射状に延びるように形成された複数の磁極部23と、を備える。
コイル22は、複数のステータコア21の各々の周囲に巻き回されている。ステータコア21とコイル22とは、絶縁体で形成されたインシュレータ(不図示)によって絶縁されている。なお、インシュレータに代えて、ステータコアの表面に絶縁膜を塗装してコイルと絶縁しても構わない。
【0019】
ロータ3は、ステータ2の外周部側で磁極部23と対向するマグネット31と、マグネット31が内周面に直接または接着剤等の他の部材を介して取り付けられた筒状の筒部材32と、を含む。筒部材32は、柱5の軸を中心とする円筒状であり、ステータ2を取り囲んだ状態になっている。また、筒部材32は単一の部材で形成されている。筒部材32は、筒部材32内部からの磁界の漏れを抑止する機能を併せ持ち、磁性体により形成されている。なお、筒部材32は、特性上問題がなければ、例えば、アルミニウムやプラスチック等の非磁性体で形成されていても構わない。
【0020】
マグネット31は、ステータ2と対向するように筒部材32の内周面に取り付けられている。マグネット31は環状を有しており、N極に着磁された領域と、S極に着磁された領域とが円周方向に沿って一定の間隔で交互に設けられている。マグネット31は環状の一体成形物であってもよいが、複数のマグネットを筒部材32の内周面に並べて取り付けて筒状に配しても構わない。マグネット31とステータ2との間には、所定の磁気ギャップGが設けられている。この磁気ギャップGは、周方向に複数配置または連続して形成されている。また、磁気ギャップGが少なくとも一定の半径寸法を備えるように、マグネット31とステータ2との間には所定の間隙が設けられている。
【0021】
軸受4は、柱5の軸方向において、ステータ2の両側に配されており、上方に位置する第1の軸受41及び下方に位置する第2の軸受42の2つを有する。即ち、マグネット31とステータ2は、柱5の軸方向において、第1の軸受41と第2の軸受42との間に位置する。第1の軸受41及び第2の軸受42は、同一構成(形状、構造、大きさ、材質が同一)の部材を用いている。以下、第1の軸受41を取り上げて説明するが、第2の軸受42についても同様に適用される。
【0022】
第1の軸受41は、外周輪41aと、内周輪41bと、外周輪41a及び内周輪41b間に介在するベアリングボール41cと、を有する、いわゆるボールベアリングである。ベアリングボール41cが外周輪41aと内周輪41bとの間で転がることにより、外周輪41aに対する内周輪41bの回転抵抗が大幅に少なくなるようになっている。第1の軸受41は、その機能から、例えば、鉄等の硬質の金属やセラミックス等の部材で形成されている。
【0023】
第1の軸受41の外周輪41a及び第2の軸受42の外周輪42aは、筒部材32の両端部の内周面に固定されている。また、軸部材である柱5の軸方向において、第1の軸受41の外周輪41aと第2の軸受42の外周輪42aは、ステータ2に対向している。一方、第1の軸受41の内周輪41b、及び、第2の軸受42の内周輪42bは、それぞれ、柱5の周面に固定される。軸部材である柱5の軸方向において、第1の軸受41の内周輪41bと第2の軸受42の内周輪42bはマグネット31に対向している。
【0024】
これにより、柱5に対してロータ3が回転可能となっている。また、柱5の軸を中心軸として、ロータ3が回転可能に構成されている。
図2に示すように、本実施形態において、軸受4(第1の軸受41)の径方向における寸法である半径寸法bは、ステータ2の径方向における寸法である半径寸法aに比して、大きくなって(b>a)いる。
【0025】
柱5は、軽量化のために、例えばアルミニウムで形成され、中空状態(より詳しくは円筒状態)になっている。本実施形態において、柱5は、固定側の部材である。モータ1全体を固定し、支持する機能を有する部材なので、当該機能に応じた剛性が求められる。
【0026】
柱5の途中には、開口部51が設けられており、コイル22に接続されたリード線25が、当該開口部51から柱5内部の空洞52に引き込まれ、柱5の端部開口53からモータ1の外部に、引き出されるようになっている。
【0027】
本実施形態にかかるモータ1において、筒部材32は、その両端部が第1の軸受41及び第2の軸受42によって閉塞されている。この閉塞された空間内にあるステータ2のコイル22に対して、外部から給電される。
【0028】
本実施形態にかかるモータ1では、柱5内部の空洞52にリード線25を通すことによって、筒部材32及び軸受4等により閉塞された空間内とその外部とを電気的に繋いでいる。そのため、当該リード線25によって、閉塞された空間内にあるステータ2のコイル22に給電できるようになっている。
【0029】
以上のように構成されたモータ1は、柱5に固定されたステータ2に対して、当該ステータ2を取り囲むロータ3が回転可能となっており、いわゆるアウターロータ型のブラシレスモータを構成する。しかし、一般的なアウターロータ型のブラシレスモータでは、ロータに固定されたシャフトが回転し、当該シャフトによって回転力が取り出されるようになっているが、本実施形態にかかるモータ1では、ロータ3の回転の中心軸と軸が一致する柱5は固定側の部材であり、ロータ3から直接回転力が取り出されるように構成されている。
【0030】
筒部材32を単一の部材で形成することで、第1の軸受41、第2の軸受42の中心軸を柱5に対して同軸上にすることができる。
筒部材32を複数の部材で形成した場合には、筒部材32を構成する複数の部材と、第1の軸受41及び第2の軸受42に対する公差を複数勘案する場合がある。しかし、筒部材32を単一の部材で形成することで、勘案する公差の数を低減でき、第1の軸受41、第2の軸受42の中心軸を柱5に対して同軸上に合わせることが容易になる。
【0031】
被取付部材7は、モータ1が固定される部材であり、例えば、プラスチックあるいは金属等で形成されている。被取付部材7は、図面では平板状に描かれているが、これは、モータ1が取り付けられる部位周辺が平板状であることを想定して例示しているだけであり、被取付部材7は、被取付部材7自身がどのようなものであるかに応じて、各種形状となり得る。モータ1が取り付けられる部位周辺が平板状でなくても構わない。
【0032】
本実施形態にかかるモータ1において、柱(軸部材)5が被取付部材7に、同軸上に固定されている。また、本実施形態にかかるモータ1において、柱(軸部材)5が、回転体であるロータ3に同軸上に固定されている。
【0033】
本実施形態にかかるモータ1は、柱5が固定側で、当該柱5に対して、軸受4を介して回転体であるロータ3を回転させる構成なので、図2に示すように、ステータ2の半径寸法aを軸受4の半径寸法bに比して小さくする(b>a)ことができている。そのため、ステータ2をごく小型のものにすることができる。
【0034】
ロータ3に当たる回転体と柱5に当たるシャフトとが固定されて共に回転する従来のアウターロータ型のブラシレスモータでは、回転体の内部に位置する固定側であるステータとシャフトとの間に軸受を配さなければならないことから、ステータの半径寸法aは、軸受4の半径寸法bに比して必然的に大きく(b<a)なってしまう。
【0035】
しかし、本発明の構成を具備すれば、ステータの半径寸法aを軸受の半径寸法bに比して小さくする(b>a)ことも、あるいは、両者を同じにする(b=a)ことも可能であり、モータ全体の小型化を実現することができる。
また、回転力を取り出すための軸部材をモータから突出させる必要が無い場合には、さらに小型化乃至省スペース化を実現することができる。
【0036】
また、回転する軸部材がモータから突出する従来のモータでは、軸部材の一方側が支持されつつ回転し、突出した他端側から回転力を取り出すことになるため、回転のブレが生じやすいが、本実施形態にかかるモータ1は、軸受4で支持されたロータ3自体が回転体として回転するため、ロータ3の回転が安定する。
【0037】
また、本実施形態にかかるモータ1は、ロータ3の両端部に第1の軸受41及び第2の軸受42がそれぞれ固定されて、回転体となるロータ3が支持されているので、柱5に対してロータ3の回転が安定する。特に、回転体であるロータ3の構成部材であり、所定の重量を有するマグネット31が、柱5の軸方向において、ロータ3を回転可能に支持する第1の軸受41と第2の軸受42との間にあるので、ロータ3の回転が安定化する。
【0038】
なお、軸受の配される位置としては、本実施形態の如く、回転体の両端部であることがより望ましいが、回転体の両端部近傍であれば、軸部材に対する回転体の回転は十分に安定した状態になる。ここで云う「近傍」とは、回転体の両端部寄りの位置であればよく、数値で明確に定義できるものではないが、例えば、回転体の軸方向における両端から20%の長さの領域、好ましくは両端から10%の長さの領域は、「両端部近傍」の概念に含まれる。
【0039】
さらに、本実施形態にかかるモータ1においては、第1の軸受41と第2の軸受42とが同一構成の部材であるため、ロータ3の回転が安定化する。
以上のように、本実施形態にかかるモータ1は、ロータ3の回転にブレが生じ難く、高精度の安定化を達成することができる。
ロータ3の回転の安定化は、回転ムラが生じ難くなることを意味するため、モータ1の高トルク化を実現することもできる。即ち、本実施形態にかかるモータ1は、小型化を実現しながら、モータとしての基本特性に優れたものを提供することができる。
【0040】
次に、本発明の第1の変形例にかかるモータ1aについて、図面を参照しながら説明する。
図3は、本発明の一例である第1の変形例にかかるモータ1aの縦断面図である。当該図3は、図2と略同じ位置の断面にかかる縦断面図である。本変形例の説明において、上記実施形態と同一の機能及び構造の部材乃至部品については、上記実施形態と同一となる符号を図3に付して、その詳細な説明を省略している(ただし、特に説明を加えている場合はこの限りではない。)。
【0041】
本変形例においては、軸受4aと、回転体であるロータ3aの構成が、上記実施形態の軸受4及びロータ3とは異なっている。
図3に示されるように、本変形例における軸受4aは、下方側の第2の軸受42は上記実施形態と同一であるが、上方側にはすべり軸受44を採用している。
【0042】
すべり軸受44は、転がり軸受けであるベアリングに比して小型・小径化が容易であり、高速回転に適している。したがって、本発明のモータの部材に採用するに適していると云える。
図3に示す通り、すべり軸受44は、扁平であり、また、内径、外径ともに小径化できるため、外径が第2の軸受42に比して小径になっている。
【0043】
また、本変形例においては、ロータ3aにおける筒部材32aが、軸方向の上端近傍に段部33aを有し、当該段部33aよりも上方の外径が下方の外径に比して小さくなるように縮径し、外径の小さなすべり軸受44に対応させている。そして、筒部材32aにおける、縮径されて内径が小さくなっている内周面にすべり軸受44の外径が固定されている。すなわち、柱(軸部材)5の一端部側における筒部材32aの半径寸法は、柱(軸部材)5の他端部側における筒部材32aの半径寸法に対して大きい。
【0044】
本変形例では、図3に示す通り、上下方向(軸方向)が短縮化され、かつ、上方において、ロータ3aの径が窄まっており、上記実施形態に比して、より一層の小型化が実現される。また、軸受4aが上下で異なっているが、それ以外のモータ1aの構成は、上記実施形態のモータ1と同じであることから、回転の安定化が図られる。
【0045】
図3に示すように、本変形例においても、軸受4a(第2の軸受42)の径方向における寸法である半径寸法bは、ステータ2の径方向における寸法である半径寸法aに比して、大きくなって(b>a)いる。
なお、軸受4aにおける下方側にも、第2の軸受42に代えてすべり軸受44と同一の軸受を採用し、上方で縮径している筒部材32aに代えて、全体の径が小さい円筒状の筒部材を用い、かつ、ステータ2に代えて、当該筒部材の内径より小径のステータを用いることとしても軸受の半径寸法bは、ステータの半径寸法aに比して、大きくなる(b>a)。この場合には、ロータの外径をさらに小さくすることができ、より一層の小型化が実現できる。
【0046】
次に、本発明の第2の変形例にかかるモータ1bについて、図面を参照しながら説明する。
図4は、本発明の一例である第2の変形例にかかるモータ1bの縦断面図である。当該図4は、図2及び図3と略同じ位置の断面にかかる縦断面図である。本変形例の説明において、上記実施形態や第1の変形例と同一の機能及び構造の部材乃至部品については、上記実施形態や第1の変形例と同一となる符号を図4に付して、その詳細な説明を省略している(ただし、特に説明を加えている場合はこの限りではない。)。
【0047】
本変形例においては、上記第1の変形例と同様、軸受4aとして、下方側の第2の軸受42は上記実施形態と同一で、上方側にすべり軸受44を採用しているが、回転体であるロータ3bの構成は、上記第1の変形例のロータ3aとは異なっている。本変形例においては、ロータ3bにおける筒部材32bが、軸方向の上端近傍の段部(第1の段部33b)のみならず、下端近傍にも段部(第2の段部34b)を有している。即ち、本実施形態においては、第2の軸受42とすべり軸受44との外径の差を、第1の段部34aと第2の段部33bの2段階の縮径によって、調整している。
【0048】
本実施形態において、筒部材32bの軸方向において、筒部材32bは、下端近傍の領域では、外径の大きな第2の軸受42が圧入されて嵌合する程度の内径を有し、第2の段部34bで縮径して、当該第2の段部34bよりも上方で外径が小さくなっている。そして、第1の変形例の段部33aと同様の箇所にある第1の段部33bでさらに縮径し、当該第1の段部33bよりも上方で外径がさらに小さくなり、外径の小さなすべり軸受44に対応させている。2段階の縮径によって、軸受4aの外径の差を調整しているため、第1の段部33bは、第1の変形例の段部33aと同様の箇所にあるものの、段部33aに比して縮径の程度が緩やかになっている。
【0049】
本実施形態では、第1の段部33b及び第2の段部34bを備えることで、第2の軸受42及びすべり軸受44のそれぞれの中心軸を筒部材32bの中心軸(図中の一点鎖線)に対して、少ない数の交差で、同軸上に配置することができる。また、第2の軸受42を筒部材32bの下方側の開口から圧入した際に、第2の段部34bにより位置決めされ、製造が容易になるとともに精度向上を図ることもできる。
【0050】
なお、図4に示すように、本変形例においても、軸受4a(第2の軸受42)の径方向における寸法である半径寸法bは、ステータ2の径方向における寸法である半径寸法aに比して、大きくなって(b>a)いる。
【0051】
次に、本発明の第3の変形例にかかるモータ1cについて、図面を参照しながら説明する。
図5は、本発明の一例である第3の変形例にかかるモータ1cの縦断面図である。当該図5は、図2図4と略同じ位置の断面にかかる縦断面図である。本変形例の説明において、上記実施形態と同一の機能及び構造の部材乃至部品については、上記実施形態と同一となる符号を図5に付して、その詳細な説明を省略している(ただし、特に説明を加えている場合はこの限りではない。)。
【0052】
本変形例においては、上記第1の変形例や第2の変形例と異なり、軸受4は上記実施形態と同一の構成である。本変形例においては、ステータ2cと、回転体であるロータ3cの構成が、上記実施形態のステータ2及びロータ3とは異なっている。
本変形例において、ステータ2cは、磁極部23cが上記実施形態における磁極部23に比して径方向の長さが短く、それに合わせて、コイル22cの巻き線の幅も上記実施形態におけるコイル22に比して短くなっている。そのため、ステータ2cの径方向における寸法である半径寸法aが、上記実施形態におけるステータ2に比して、短くなっている。
【0053】
既述の通り、軸受4は上記実施形態と同一の構成なので、当該軸受4に対応する筒部材32cの部位の内径は、上記実施形態における筒部材32の同部位と同一であるが、ステータ2cに対応する筒部材32cの部位の内径は、上記実施形態における筒部材32の同部位よりも小さくなっていることが要求される。
【0054】
本変形例においては、筒部材32cの軸(図5中の一点鎖線)方向における上下2カ所の段部(第1の段部33c及び第2の段部34c)によって、軸受4に対応する筒部材32cの部位の内径と、ステータ2cに対応する筒部材32cの部位の内径との差を調整している。
本変形例において、筒部材32cは、上端近傍や下端近傍の領域では、外径の大きな第1の軸受41及び第2の軸受42が圧入されて嵌合する程度の内径を有し、その間の領域では、ステータ2cに対応して内径が小さくなっている。
【0055】
即ち、筒部材32cは、第1の軸受41が圧入される領域で内径が大きく、第1の段部33cで縮径されて、ステータ2cに対応する領域で内径が小さくなっている。そして、筒部材32cは、第2の段部34cで再度拡径されて、第2の軸受42が圧入される領域で内径が大きくなっている。このとき、筒部材32cの内径は、第1の軸受41が圧入される領域と第2の軸受42が圧入される領域とで等しくなっている。
【0056】
本変形例においては、第1の段部33c及び第2の段部34cによって、筒部材32cの軸方向における内径を、軸受4に対応する部位と、ステータ2cに対応する部位とで最適に調整することができる。これにより、筒部材32cの軸方向におけるステータ2cに対応する部位の小径化を実現することができる。
【0057】
なお、図5に示すように、本変形例においても、軸受4(第1の軸受41及び第2の軸受42)の径方向における寸法である半径寸法bは、ステータ2cの径方向における寸法である半径寸法aに比して、大きくなって(b>a)いる。
【0058】
以上、本発明のモータについて、好ましい実施形態及び変形例を挙げて説明したが、本発明のモータは、上記の実施形態や変形例の構成に限定されるものではない。例えば、上記の実施形態及び第3の変形例において、第1の軸受41及び第2の軸受42は、同一構成の部材を用いているとしたが、これに限定されず、異なる構成の部材(異なる形状、異なる構造、異なる大きさ、異なる材質)にしても構わない。
【0059】
上記の実施形態にかかるモータでは、ロータの両端部に第1の軸受41及び第2の軸受42がそれぞれ固定されているが、これに限定されない。ロータ3の両端部に対してマグネット31側にある、ロータ3の一部分に第1の軸受41が固定され、ロータ3の他の部分に第2の軸受42が固定されていても構わない。このような態様であっても、回転体となるロータ3が支持されているので、柱5に対してロータ3の回転が安定する。
【0060】
また、上記の実施形態や変形例にかかるモータ1が備える筒部材32,32a,32b,32cの一方の端部をつぼませて、一方の端部よりロータ3側にある筒部材32,32a,32b,32cの一部分に第1の軸受41を固定し、他方の端部または他方の端部よりロータ3側にある筒部材32,32a,32b,32cの他の部分に第2の軸受42を固定しても構わない。
【0061】
なお、第1の軸受41、第2の軸受42の配置は、上記の実施形態の態様に限定されず、第1の軸受41、第2の軸受42の順でもよく、第2の軸受42、第1の軸受41の順であっても構わない。
【0062】
以上より、回転体は、軸部材の軸方向において、2つの端部を備え、第1の軸受は2つの端部のうち一方の端部側にある回転体の一部分に固定されており、第2の軸受は2つの端部のうち他方の端部側にある回転体の他の部分に固定されていてもよい。
【0063】
上記の実施形態や変形例にかかるモータでは、筒部材32,32a,32b,32cについて、少なくとも、第1の軸受41(またはすべり軸受44)が固定される筒部材32,32a,32b,32cの一部分から、第2の軸受42が固定される当該筒部材32,32a,32b,32cの他の部分にかけて、当該筒部材32,32a,32b,32cは単一の部材で形成されている。
【0064】
上記の実施形態や変形例にかかるモータでは、筒部材32,32a,32b,32cについて、少なくとも、第1の軸受41(またはすべり軸受44)が固定される筒部材32,32a,32b,32cの一部分から、第2の軸受42が固定される当該筒部材32,32a,32b,32cの他の部分にかけて、当該筒部材32,32a,32b,32cは実質的に同じ半径寸法であっても構わない。
【0065】
また、上記の実施形態及び変形例において、筒部材32,32a,32b,32cは単一の部材で形成されているが、これに限定されず、必要に応じて複数の部材で筒部材を形成しても構わない。
その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明のモータを適宜改変することができる。かかる改変によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0066】
1,1a,1b,1c…モータ、2,2c…ステータ、3,3a,3b,3c…ロータ(回転体)、4,4a…軸受、5…柱(軸部材)、7…被取付部材、21,21c…ステータコア、22,22c…コイル、23,23c…磁極部、24,24c…円環部、25…リード線、31…マグネット、32,32a,32b,32c…筒部材、33a…段部、33b,33c…第1の段部、34b,34c…第2の段部、41…第1の軸受(軸受)、41a,42a…外周輪、41b,42b…内周輪、41c,42c…ベアリングボール、42…第2の軸受(軸受)、43…リング部材、44…すべり軸受、51…開口部、52…空洞、53…端部開口
図1
図2
図3
図4
図5