(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-28
(45)【発行日】2023-07-06
(54)【発明の名称】照明付折畳み式手持ち網
(51)【国際特許分類】
A01K 77/00 20060101AFI20230629BHJP
A01M 3/00 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
A01K77/00 A
A01M3/00 A
(21)【出願番号】P 2019114526
(22)【出願日】2019-06-20
【審査請求日】2022-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000179373
【氏名又は名称】山田電器工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大田 益夫
(72)【発明者】
【氏名】貞島 次良
(72)【発明者】
【氏名】武元 亮
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-240309(JP,A)
【文献】特許第4875667(JP,B2)
【文献】特開平11-056185(JP,A)
【文献】特開2011-043284(JP,A)
【文献】実開昭53-045291(JP,U)
【文献】特開2002-186398(JP,A)
【文献】登録実用新案第3143799(JP,U)
【文献】特表2018-524234(JP,A)
【文献】登録実用新案第3147293(JP,U)
【文献】特開2007-319011(JP,A)
【文献】登録実用新案第3078562(JP,U)
【文献】実開平06-003070(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 77/00
A01M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の把持部本体と、
上記把持部本体に
折畳み連結部を介して伸長状態及び折り畳み状態に切換可能に連結された網本体と、
上記把持部本体又は上記網本体に設けられ、該網本体を
、上記折畳み連結部を介して上記折り畳み状態から上記伸長状態に切り換えると自動で点灯する照明部とを備えている
ことを特徴とする照明付折畳み式手持ち網。
【請求項2】
請求項1に記載の照明付折畳み式手持ち網において、
上記照明部は、上記網本体に設けられ、該網本体を照らすように構成されている
ことを特徴とする照明付折畳み式手持ち網。
【請求項3】
棒状の把持部本体と、
上記把持部本体に伸長状態及び折り畳み状態に切換可能に連結された網本体と、
上記把持部本体又は上記網本体に設けられ、該網本体を上記折り畳み状態から上記伸長状態に切り換えると自動で点灯する照明部とを備えており、
上記網本体及び上記把持部本体の一方に近接センサ又は物理的スイッチが設けられ、
上記網本体及び上記把持部本体の他方に上記近接センサ又は上記物理的スイッチに検知される被検出部が設けられている
ことを特徴とする照明付折畳み式手持ち網。
【請求項4】
請求項3に記載の照明付折畳み式手持ち網において、
伸長状態に切り換えても上記照明部が点灯しないようにする強制オフスイッチが設けられており、
上記網本体に上記被検出部を検知する近接センサ又は物理的スイッチが設けられ、
上記強制オフスイッチは、上記把持部本体に回動可能に設けられ、
上記強制オフスイッチに上記被検出部が設けられ、
上記強制オフスイッチを上記照明部が点灯しない位置に回動させたときには、上記近接センサ又は物理的スイッチは、上記伸長状態でも上記被検出部を検知しないように構成されている
ことを特徴とする照明付折畳み式手持ち網。
【請求項5】
棒状の把持部本体と、
上記把持部本体に伸長状態及び折り畳み状態に切換可能に連結された網本体と、
上記把持部本体又は上記網本体に設けられ、該網本体を上記折り畳み状態から上記伸長状態に切り換えると自動で点灯する照明部とを備えており、
上記照明部には、光の色を変えるフィルタが脱着可能に設けられ、
上記フィルタを係合させて保持できるフィルタ係合部が設けられており、
上記フィルタは、オレンジ色又は赤色のフィルタである
ことを特徴とする照明付折畳み式手持ち網。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明付の折畳み式手持ち網に関し、特にそれが有する照明の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、折畳み式の手持ち編み(タモ網、ハンドネットともいう)は知られている。そして、例えば、特許文献1のように、広げられた状態にあるフープに面している開口部を3方向接続部材にある2つの支持端部の間に形成し、この開口部にLEDランプを設けたハンドネットが知られている。通常のワイヤ又は無線によるLEDランプのオンオフのためのバッテリー装置及びスイッチは、夜間にネット部分の開口部の方向に向かってライトが放射されるように、ロッド胴体のハンドル部分内側にある。
【0003】
一方、折畳み式ではないが、特許文献2のように、内嵌された各パイプ部材を前方に繰り出して柄部を伸長するタモ網において、柄部の先端側に、取込網が取り付けられた部位の近傍を照明する照明器具を設け、この照明器具の電源を、柄部が伸長されたときに自動的にオン、柄部が縮められたときに自動的にオフとするスイッチ手段を設けることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-240309号公報
【文献】特許4875667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のタモ網では、手元でLEDランプのオンオフ操作ができるようになっており、とっさの場合に、折り畳んでいた網を延ばした上に照明の点灯操作もすることは面倒であるという問題がある。
【0006】
特許文献2のものでは、スイッチの設定によっては、タモ網を延ばさずに用いたり、一部のみ延ばしたりした場合に点灯しない場合があり得る。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、折畳み式手持ち網を、その特長を生かしたオンオフ操作が容易なものにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明では、折り畳み状態から伸長状態にするときに照明が点灯するようにした。
【0009】
具体的には、第1の発明では、棒状の把持部本体と、
上記把持部本体に伸長状態及び折り畳み状態に切換可能に連結された網本体と、
上記把持部本体又は上記網本体に設けられ、該網本体を上記折り畳み状態から上記伸長状態に切り換えると自動で点灯する照明部とを備えている。
【0010】
折畳み式手持ち網は、使用しないときには、折り畳んで腰に差したり、ライフジャケットの背中のDカンに付けたり、地面に置いたりするが、使用時には必ず折り畳み状態から伸長状態に切り換えられる。このため、上記の構成によると、使用時には照明部が自動的に点灯するので、点灯操作をすることなく素早く確実に使用することができる。照明部は、網本体側に設けても把持部本体側に設けてもよい。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、
上記照明部は、上記網本体に設けられ、該網本体を照らすように構成されている。
【0012】
上記の構成によると、魚等の捕獲に必要な領域を確実に照らすことができる。
【0013】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、
上記網本体及び上記把持部本体の一方に近接センサ又は物理的スイッチが設けられ、
上記網本体及び上記把持部本体の他方に上記近接センサ又は上記物理的スイッチに検知される被検出部が設けられている。
【0014】
上記の構成によると、例えば、近接センサ又は物理的スイッチを水密状に内装することによって、簡単かつ水密性の高い自動のオンオフスイッチを実現できる。
【0015】
第4の発明では、第3の発明において、
伸長状態に切り換えても上記照明部が点灯しないようにする強制オフスイッチが設けられており、
上記網本体に上記被検出部を検知する近接センサ又は物理的スイッチが設けられ、
上記強制オフスイッチは、上記把持部本体に回動可能に設けられ、
上記強制オフスイッチに上記被検出部が設けられ、
上記強制オフスイッチを上記照明部が点灯しない位置に回動させたときには、上記近接センサ又は物理的スイッチは、上記伸長状態でも上記被検出部を検知しないように構成されている。
【0016】
上記の構成によると、昼間や明るい場所などでは、伸長状態とした使用時でも照明部を必要としないので、強制オフスイッチを操作することで無駄な点灯が避けられる。また、簡単かつ壊れにくい構成で確実に機能する強制オフスイッチを実現できる。
【0017】
第5の発明では、第1から第4のいずれか1つの発明において、
上記照明部には、光の色を変えるフィルタが脱着可能に設けられ、
上記フィルタを係合させて保持できるフィルタ係合部が設けられており、
上記フィルタは、オレンジ色又は赤色のフィルタである。
【0018】
上記の構成によると、ある種の魚は白い色に対して驚いて逃げる傾向にあるので、オレンジ色や赤色のフィルタで照明部を覆って魚が逃げにくいようにして魚を確実に捕獲できる。また、フィルタ係合部にフィルタを脱着可能に保持することで、必要なときにすぐに使用でき、必要ないときには無くさないように保管できる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、網本体を折り畳み状態から伸長状態に切り換えると自動で点灯する照明部を設けたので、オンオフ操作が容易で確実に点灯できる商品性の高い照明付折畳み式手持ち網が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】折り畳み状態の照明付折畳み式手持ち網を示す斜視図である。
【
図2】伸長状態の照明付折畳み式手持ち網を示す斜視図である。
【
図3】
図1の連結部及びその周辺を拡大して示す拡大斜視図である。
【
図4A】
図2の連結部及びその周辺を拡大して示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
-折畳み式手持ち網の構成-
図1及び
図2は本発明の実施形態の照明付折畳み式手持ち網1を示し、この照明付折畳み式手持ち網1は、棒状の把持部本体2を備えている。把持部本体2は、アルミニウム、カーボンファイバー樹脂等の外径の異なる円筒状の複数の部材で構成されており、所望の伸縮自在となっている。把持部本体2の基端側は、グリップ2aが設けられている。把持部本体2の先端側には、縮小した際にユーザの腰に差し込んだり、ライフジャケットの背中のDカンに差し込んだりして固定するための挿入部2bが設けられている。
図5に示すように、先端側には例えば、連結用の雌ネジ部2cが設けられている。把持部本体2は、使用しないときは最も短い長さに縮小され、使用時には任意の長さに調整することもできるようになっているが、長さは一定でもよい。
【0023】
把持部本体2には、網本体3が伸長状態及び折り畳み状態に切換可能に連結されている。網本体3は、例えば、アルミニウム製などのパイプ部材で構成された略円形の網枠3aと、網枠3aに取り付けられたナイロン製などの網3bとを備えている。網枠3aは、矩形状、六角形状等他の形状でもよい。
【0024】
図4A~
図6に示すように、把持部本体2と網本体3とは、折畳み連結部4を介して折り畳み可能に連結されている。折畳み連結部4は、例えば、樹脂成形品で構成され、把持部本体2の先端の雌ネジ部2cが螺合される連結用雄ネジ部4cを有する把持部側連結部4aと、網枠3aの基端側が結抗された網側連結部4bとを有する。把持部側連結部4aを基準としたときに、網側連結部4bは約180°回動可能となっており、0°のときの折り畳み状態及び180°のときの伸長状態を保持できるように、図示しないバネ部や係合部が設けられている。照明付折畳み式手持ち網1は、使用しないときには、折り畳んで腰に差したり、ライフジャケットの背中のDカンに付けたり、地面に置いたりするが、使用時には必ず折り畳み状態から伸長状態に切り換えられる。
【0025】
この折畳み連結部4における網側連結部4bには、網本体3を折り畳み状態から伸長状態に切り換えると自動で点灯する照明部10が設けられている。照明部10は、LED10aを備え、図示しない基板、電池16等に電気的に接続されている。電池16は、乾電池でもよいし、充電池でもよい。照明部10は、網本体3に設けられ、網本体3を照らすように構成されている。このため、魚等の捕獲に必要な領域を確実に照らすことができるようになっている。
【0026】
また、把持部側連結部4aには、網本体3を伸長状態に切り換えても照明部10が点灯しないようにする強制オフスイッチ11が設けられている。強制オフスイッチ11は、把持部本体2の先端部に回動可能に設けられている。具体的には、強制オフスイッチ11は、中心のスイッチ回動ピン11aを中心に手でつまんで回動させることができるように一方が突出している。
【0027】
一方、網本体3側の網側連結部4bの内部に近接センサとしてのリードスイッチ12が設けられている。リードスイッチ12は、網側連結部4b内に水密状に内装されている。そして、強制オフスイッチ11の突出部と反対側外周には、その一部が露出するように、リードスイッチ12に検知される被検出部としてのマグネット13が設けられている。強制オフスイッチ11が機能しないときには、
図4A及び
図6に示すように、マグネット13がリードスイッチ12の検知範囲内に来るように回動される。なお、近接センサとしては、ホール素子、磁気抵抗素子等でもよい。
【0028】
図示しないが、強制オフスイッチ11をスイッチ回動ピン11aを中心に照明部10が点灯しない位置に回動させたときには、マグネット13がリードスイッチ12から離れるので、リードスイッチ12は伸長状態でもマグネット13を検知しないようになっている。このような構成にすれば、リードスイッチ12を水密状に内装でき、簡単かつ水密性の高い自動オンオフスイッチを実現できると共に、簡単かつ壊れにくい構成で水密性の高い強制オフスイッチ11を実現できる。
【0029】
照明部10には、光の色を変える、例えば円形蓋状のフィルタ14が脱着可能に構成されている。具体的には、フィルタ14は、フィルタ取付部14aを介して網側連結部4bに取り付けられている。フィルタ取付部14aは、例えば、フィルタ回動ピン14bを中心に回動可能に構成された柔軟性のある樹脂成形品よりなる。フィルタ14は、フィルタ回動ピン14bを中心に回動させることで、照明部10を覆う場合と、網側連結部4bの側方に設けたフィルタ係合部15に係合させる場合とで切り換えできるようになっている。これにより、使用しないときには、フィルタ14をフィルタ係合部15に係合させて保持できるようになっていると共に、フィルタ取付部14aによって紛失しにくくなっている。
【0030】
-折畳み式手持ち網の作動-
次に、本実施形態に係る照明付折畳み式手持ち網1の作動について説明する。
【0031】
照明付折畳み式手持ち網1を使用しないときは、
図1に示すように、網本体3を把持部本体2に対して折り畳んだ折り畳み状態で、地面に置いたり、ライフジャケットの背中のDカンやユーザの腰に挿入部2bを差したりする。このときには、
図5に示すように、マグネット13は、リードスイッチ12から遠く離れたところにあり、リードスイッチ12は、マグネット13を検出しないので、照明部10は点灯しない。なお、把持部本体2は、持ち運んだり、ライフジャケットの背中のDカンに付けたり、腰に差したりするときには、通常最も短い状態である。
【0032】
そして、ユーザが照明付折畳み式手持ち網1を使用するときには、まず、網本体3を
図2に示すように、把持部本体2に対して約180°回動させて伸長状態とする。すると、
図6に示すように、マグネット13がリードスイッチ12の検知範囲内に移動するので、リードスイッチ12がマグネット13を検知し、照明部10が自動的に点灯する。そして、把持部本体2は適切な長さに調整する。このため、点灯操作をすることなく素早く確実に照明付折畳み式手持ち網1を使用することができる。
【0033】
一方、強制オフスイッチ11を強制オフの位置に回動させておけば、伸長状態にしてもマグネット13はリードスイッチ12の検知範囲外にあるので、照明部10は点灯しない。このため、昼間や明るい場所などでは、伸長状態とした使用時でも照明部10を必要としないので、無駄な点灯が避けられる。
【0034】
また、本実施形態の照明付折畳み式手持ち網1は、フィルタ係合部15にフィルタ14を脱着可能に保持しているので、光を嫌う魚を捕獲対象とする場合には、照明部10をカバーして発光色をオレンジ色や赤色に変えることができる。このため、魚が逃げにくいようにして魚を確実に捕獲できる。そして、必要ないときにはフィルタ係合部15にフィルタ14を無くさないように保管できる。
【0035】
したがって、本実施形態によれば、網本体3を折り畳み状態から伸長状態に切り換えると自動で点灯する照明部10を設けたので、オンオフ操作が容易で確実に点灯できる商品性の高い照明付照明付折畳み式手持ち網1が得られる。
【0036】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0037】
すなわち、上記実施形態では、強制オフスイッチ11の関係もあって、強制オフスイッチ11側にマグネット13を設けたが、逆に網側連結部4b側に被検出部を設け、把持部側連結部4aに近接センサを設けるようにしてもよい。
【0038】
上記実施形態では、近接センサであるリードスイッチ12を設ける例について説明したが、これは物理的スイッチであってもよい。詳しくは図示しないが、網側連結部4b側に物理的スイッチを設け、そのスイッチ周りをゴムなどのシール部材で防水し、把持部側連結部4a側に突起を出しておけば防水を維持したまま物理的スイッチのオンオフを自動で行うことができる。
【0039】
上記実施形態では、照明部10は、網本体3側に設けたが、把持部本体2側に設けてもよい。
【0040】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0041】
1 照明付折畳み式手持ち網
2 把持部本体
2a グリップ
2b 挿入部
2c 雌ネジ部
3 網本体
3a 網枠
3b 網
4 折畳み連結部
4a 把持部側連結部
4b 網側連結部
4c 連結用雄ネジ部
10 照明部
10a LED
11 強制オフスイッチ
11a スイッチ回動ピン
12 リードスイッチ(近接センサ)
13 マグネット(被検出部)
14 フィルタ
14a フィルタ取付部
14b フィルタ回動ピン
15 フィルタ係合部
16 電池