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特許7304266水に素早く分散する茶加工品および茶加工品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-28
(45)【発行日】2023-07-06
(54)【発明の名称】水に素早く分散する茶加工品および茶加工品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23F 3/14 20060101AFI20230629BHJP
【FI】
A23F3/14
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019193071
(22)【出願日】2019-10-23
(65)【公開番号】P2020065550
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-03-23
(31)【優先権主張番号】10-2018-0128236
(32)【優先日】2018-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0128237
(32)【優先日】2018-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0077830
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】506213681
【氏名又は名称】アモーレパシフィック コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】AMOREPACIFIC CORPORATION
【住所又は居所原語表記】100, Hangang-daero, Yongsan-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シン, クヮンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】チョ, ウォンギョン
(72)【発明者】
【氏名】チョン, ジノ
(72)【発明者】
【氏名】ホン, ヨン ドク
【審査官】村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】特許第6313889(JP,B1)
【文献】特開2016-146780(JP,A)
【文献】特開2008-005703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子状の茶(tea)加工品であって、
茶の粉末と水のみを原料とし、
茶(tea)粒子の全質量を基準として微粉末を20質量%以下含み、
前記微粉末は、粒子径が75μm以下であり、
前記茶粒子は、下記のi)~iii)の粒度分布値を有する、粒子状の茶(tea)加工品:
i)粒度分布D 10 値が60μm≦D 10 ≦200μm;
ii)粒度分布D 50 値が120μm≦D 50 ≦250μm;および
iii)粒度分布D 90 値が200μm≦D 90 ≦600μm、
ここで、前記i)~iii)においてD 10 、D 50 、D 90 は、それぞれ、茶粒子の累積分布を測定したときにおける、累積分布の下から10%に該当する粒子径、中央粒子径、累積分布の下から90%に該当する粒子径を意味する。
【請求項2】
前記茶は、茶葉である、請求項1に記載の粒子状の茶(tea)加工品。
【請求項3】
前記茶は、不発酵茶、半発酵茶、発酵茶、および後発酵茶からなる群より選ばれる1以上である、請求項1又は2に記載の粒子状の茶(tea)加工品。
【請求項4】
前記茶は、緑茶である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の粒子状の茶(tea)加工品。
【請求項5】
前記茶加工品は、茶粒子の全質量を基準として微粉末を15質量%以下含むものである、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の粒子状の茶(tea)加工品。
【請求項6】
茶粒子の全質量を基準として微粉末を6質量%以下含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の粒子状の茶(tea)加工品
【請求項7】
全茶粒子の平均粒子径は、100~300μmである、請求項1乃至のいずれか一項に記載の粒子状の茶(tea)加工品。
【請求項8】
前記全茶粒子の平均粒子径は、190~300μmである、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の粒子状の茶(tea)加工品。
【請求項9】
前記茶加工品は、35°以下の安息角を有するものである、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の粒子状の茶(tea)加工品。
【請求項10】
前記茶加工品は、水と接触させたときの湿潤時間が60秒以下のものである、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の粒子状の茶(tea)加工品。
【請求項11】
前記湿潤時間は、茶加工品1.5gを水の水面上に置いたときに茶加工品全体が水の水面下に沈むのにかかる時間である、請求項10に記載の粒子状の茶(tea)加工品。
【請求項12】
前記茶加工品は、細粒剤又は散剤である、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の粒子状の茶(tea)加工品。
【請求項13】
回転板を含むローター型流動層造粒機で茶(tea)粒子を製造する段階を含む、請求項1乃至12に記載の粒子状の茶(tea)加工品の製造方法。
【請求項14】
前記製造方法は、茶粉末を回転板に置いて回転板を回転させる段階;空気を給気して茶粉末を浮揚させる段階;および浮揚された茶粉末に水を噴射して茶粉末と水とを接触させる段階を含む、請求項13に記載の粒子状の茶(tea)加工品の製造方法。
【請求項15】
前記茶粉末は、茶粉末の全質量を基準として99質量%以上に該当する茶粉末の粒子径が75μm以下のものである、請求項14に記載の粒子状の茶(tea)加工品の製造方法。
【請求項16】
前記製造方法では、茶粉末の全質量の0.3倍~1.5倍の質量に該当する量の水を茶粉末に噴射する、請求項14又は15に記載の粒子状の茶(tea)加工品の製造方法。
【請求項17】
前記ローター型流動層造粒機は、容器;前記容器の内部に設けられた回転板;前記容器の内部に空気を給気する隙間形成部;および前記容器の内部に水を噴射するノズル形成部を含む、請求項13乃至16のいずれか一項に記載の粒子状の茶(tea)加工品の製造方法。
【請求項18】
前記回転板は、2~20m/secの先端速度(tip speed)で茶粒子を製造するものである、請求項13乃至17のいずれか一項に記載の粒子状の茶(tea)加工品の製造方法。
【請求項19】
前記ローター型流動層造粒機は、給気温度15℃~40℃、排気温度10℃~35℃、噴霧ノズル直径1.0~2.0mm、噴霧圧1.0~5.0bar、および乾燥温度40℃~80℃のうち1以上の条件で茶粒子を製造するものである、請求項13乃至18のいずれか一項に記載の粒子状の茶(tea)加工品の製造方法。
【請求項20】
前記製造方法で製造された茶加工品は、下記の特徴a)~e)のうち1以上を有するものである、請求項13乃至19のいずれか一項に記載の粒子状の茶(tea)加工品の製造方法。
a)茶粒子の全質量を基準として微粉末を20質量%以下含み、前記微粉末は、粒子径が75μm以下であること;
b)茶粒子は、下記のi)~iii)の粒度分布値を有すること;
i)粒度分布D10値が60μm≦D 10 ≦200μm
ii)粒度分布D50値が120μm≦D 50 ≦250μm;および
iii)粒度分布D90値が200μm≦D 90 ≦600μm
ここで、前記i)~iii)においてD10、D50、D90は、それぞれ、茶粒子の累積分布を測定したときにおける、累積分布の下から10%に該当する粒子径、中央粒子径、累積分布の下から90%に該当する粒子径を意味する。
c)全茶粒子の平均粒子径は、100~300μmであること;
d)茶加工品は、35°以下の安息角を有するものであること;および
e)茶加工品は、水と接触させたときの湿潤時間が60秒以下のものであること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書には、水に素早く分散する粒子状の茶加工品および粒子状の茶加工品の製造方法が開示される。
【背景技術】
【0002】
緑茶を水で出して飲む場合には緑茶に含有されている水溶性成分だけを飲んで残りはそのまま捨てることになるが、粉末緑茶の場合には緑茶のすべての成分、例えば、トコフェロール、ビタミンA、繊維質などを摂取できる長所がある。したがって、粉末緑茶はお湯で淹れて飲む茶葉よりも有用な成分をはるかに多く摂取できるが、粉末緑茶を飲用するためには、茶具や茶器などが必要となり、且つ粒子間の凝集力のために分散性が低下して時間が多くかかるという不便な点がある。近年、水ボトルやタンブラーに粉末緑茶を入れて飲用できるように使い捨てスティック包装に入れて販売する製品も多くあるが、水に入れると固まって分散し難いという問題点を依然として抱えており、相当な時間振り混ぜて飲用しなければならない不便さがある。また、粉末緑茶が少量で包装されるスティック形態の製品(例えば、Rishi Matcha travel packs、Rishi-Tea、米国)の場合、粉末の流動性が低いため粉末緑茶を定量で入れることが難しいだけでなく、封止の際に微粉末により不良が生じる確率も高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】韓国公開特許第10-2006-0090894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一側面において、本明細書は、水に素早く湿潤および分散する粒子状の茶(tea)加工品を提供することを目的とする。
【0005】
他の側面において、本明細書は、水に素早く湿潤および分散する粒子状の茶(tea)加工品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一側面において、本明細書に開示された技術は、茶(tea)粒子の全質量を基準として微粉末を20質量%以下含み、前記微粉末は、粒子径が75μm以下である、粒子状の茶(tea)加工品を提供する。
【0007】
例示的な一具現例において、前記茶は、茶葉であってよい。
【0008】
例示的な一具現例において、前記茶は、不発酵茶、半発酵茶、発酵茶、および後発酵茶からなる群より選ばれる1以上であってよい。
【0009】
例示的な一具現例において、前記茶は緑茶であってよい。
【0010】
例示的な一具現例において、前記茶加工品は、茶粒子の全質量を基準として微粉末を15質量%以下含むものであってよい。
【0011】
例示的な一具現例において、前記茶粒子は、下記のi)~iii)のうち1以上の粒度分布値を有するものであってよい。
i)粒度分布D10値が50μm以上;
ii)粒度分布D50値が100μm以上;および
iii)粒度分布D90値が200μm以上。
【0012】
前記i)~iii)においてD10、D50、D90は、それぞれ、茶粒子の累積分布を測定したときにおける、累積分布の下から10%に該当する粒子径、中央粒子径、累積分布の下から90%に該当する粒子径を意味する。
【0013】
例示的な一具現例において、前記粒度分布D10値は、50μm≦D10≦200μmであってよく、粒度分布D50値は、100μm≦D50≦250μmであってよく、粒度分布D90値は、200μm≦D90≦600μmであってよい。
【0014】
例示的な一具現例において、前記全茶粒子の平均粒子径は、100~300μmであってよい。
【0015】
例示的な一具現例において、前記茶加工品は、35°以下の安息角を有するものであってよい。
【0016】
例示的な一具現例において、前記茶加工品は、水と接触させたときの湿潤時間が60秒以下のものであってよい。
【0017】
例示的な一具現例において、前記湿潤時間は、茶加工品1.5gを水の水面上に置いたときに茶加工品全体が水の水面下に沈むのにかかる時間であってよい。
【0018】
例示的な一具現例において、前記茶加工品は、細粒剤又は散剤であってよい。
【0019】
他の側面において、本明細書に開示された技術は、回転板を含むローター型流動層造粒機で茶(tea)粒子を製造する段階を含む粒子状の茶(tea)加工品の製造方法を提供する。
【0020】
例示的な一具現例において、前記製造方法は、茶粉末を回転板に置いて回転板を回転させる段階;空気を給気して茶粉末を浮揚させる段階;および浮揚された茶粉末に水を噴射して茶粉末と水とを接触させる段階を含んでよい。
【0021】
例示的な一具現例において、前記茶粉末は、茶粉末の全質量を基準として99質量%以上に該当する茶粉末の粒子径が75μm以下のものであってよい。
【0022】
例示的な一具現例において、前記製造方法では、茶粉末の全質量の0.3倍~1.5倍の質量に該当する量の水を茶粉末に噴射してよい。
【0023】
例示的な一具現例において、前記ローター型流動層造粒機は、容器;前記容器の内部に設けられた回転板;前記容器の内部に空気を給気する隙間形成部;および前記容器の内部に水を噴射するノズル形成部を含むものであってよい。
【0024】
例示的な一具現例において、前記回転板は、2~20m/secの先端速度(tip speed)で茶粒子を製造するものであってよい。
【0025】
例示的な一具現例において、前記ローター型流動層造粒機は、給気温度15℃~40℃、排気温度10℃~35℃、噴霧ノズルの直径1.0~2.0mm、噴霧圧1.0~5.0bar、および乾燥温度40℃~80℃のうち1以上の条件で茶粒子を製造するものであってよい。
【0026】
例示的な一具現例において、前記製造方法で製造された茶加工品は、下記の特徴のうち1以上を有するものであってよい。
a)茶粒子の全質量を基準として微粉末を20質量%以下含み、前記微粉末は、粒子径が75μm以下であること;
b)茶粒子は、下記のi)~iii)のうち1以上の粒度分布値を有すること;
i)粒度分布D10値が50μm以上;
ii)粒度分布D50値が100μm以上;および
iii)粒度分布D90値が200μm以上。
【0027】
前記i)~iii)においてD10、D50、D90は、それぞれ、茶粒子の累積分布を測定したときにおける、累積分布の下から10%に該当する粒子径、中央粒子径、累積分布の下から90%に該当する粒子径を意味する。
c)全茶粒子の平均粒子径は、100~300μmであること;
d)茶加工品は、35°以下の安息角を有するものであること;および
e)茶加工品は、水と接触させたときの湿潤時間が60秒以下のものであること。
【発明の効果】
【0028】
一側面において、本明細書に開示された技術は、水に素早く湿潤および分散する粒子状の茶(tea)加工品を提供する効果がある。
【0029】
他の側面において、本明細書に開示された技術は、水に素早く湿潤および分散する粒子状の茶(tea)加工品の製造方法を提供する効果がある。
【0030】
本明細書に係る茶加工品は、水に素早く湿潤および分散して飲用が便利であり、且つ安息角が低いことから流れ性に優れ、製品包装や使用が容易である効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本明細書の一実験例に従い実施例2のサンプルを水に入れて湿潤時間を測定した直後(13秒)に水に分散した茶加工品を目視にて観察した写真を示すものである。
図2】本明細書の一実験例に従い実施例3のサンプルを水に入れて湿潤時間を測定した直後(11秒)に水に分散した茶加工品を目視にて観察した写真を示すものである。
図3】本明細書の一実験例に従い実施例4のサンプルを水に入れて湿潤時間を測定した直後(23秒)に水に分散した茶加工品を目視にて観察した写真を示すものである。
図4】本明細書の一実験例に従い比較例1のサンプルを水に入れて3分が経過したときに水に分散したサンプルを目視にて観察した写真を示すものである。3分経過後も比較例1のサンプルは湿潤できず相当の量が水面上に残っていた。
図5】本明細書の一実験例に従い比較例4のサンプルを水に入れて3分が経過したときに水に分散したサンプルを目視にて観察した写真を示すものである。3分経過後も比較例4のサンプルは湿潤できず相当の量が水面上に残っていた。
図6】本明細書の一実験例に従い比較例5のサンプルを水に入れて3分が経過したときに水に分散したサンプルを目視にて観察した写真を示すものである。3分経過後も比較例5のサンプルは湿潤できず相当の量が水面上に残っていた。
図7】本明細書の一実験例に従い比較例6のサンプルを水に入れて3分が経過したときに水に分散したサンプルを目視にて観察した写真を示すものである。3分経過後も比較例6のサンプルは湿潤できず相当の量が水面上に残っていた。
図8】本明細書の一実験例に従い比較例7のサンプルを水に入れて3分が経過したときに水に分散したサンプルを目視にて観察した写真を示すものである。3分経過後も比較例7のサンプルは湿潤できず相当の量が水面上に残っていた。
図9】実施例3のサンプルを水500mLが入っている水ボトルに入れてから上下方向に1回ひっくり返した後に目視にて観察した写真を示すものである。
図10】実施例3のサンプルを水500mLが入っているビーカーに入れてから1回振った後に目視にて観察した写真を示すものである。
図11】本明細書の一実験例に従い実施例1のサンプル1.5gを水500mLが入っているビーカーに入れてから20秒後に分散状態を目視にて確認した写真を示すものである。
図12】本明細書の一実験例に従い比較例8のサンプル1.5gを水500mLが入っているビーカーに入れてから20秒後に分散状態を目視にて確認した写真を示すものである。
図13】本明細書の一実施例に係るローター型流動層造粒機の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本明細書に開示された技術を詳細に説明する。
【0033】
一側面において、本明細書に開示された技術は、茶(tea)粒子の全質量を基準として微粉末を20質量%以下含み、前記微粉末は、粒子径が75μm以下である、粒子状の茶(tea)加工品を提供する。
【0034】
他の側面において、本明細書に開示された技術は、回転板(Rotor disc)を含むローター型流動層造粒機で茶(tea)粒子を製造する段階を含む粒子状の茶(tea)加工品の製造方法を提供する。
【0035】
本明細書に係る粒子状の茶加工品は、粒子形態を有する茶(tea)の加工品を意味する。前記茶加工品は、複数粒の茶粉末が凝集してなる粒子形態を有するものであってよい。例えば、前記茶加工品は、茶粉末に水を加えることによって複数粒の茶粉末が固まってなる茶粒子を含むものであってよい。細かい粉末状態の乾燥物に水分を加えると粉末成分が粘着性を持つようになり、その粘着性により互いに凝集することで粉末に対して約10~150倍の大きな粒子を形成するようになる。このような粒子を乾燥させてなるものを細粒又は顆粒ということがあり、一般的に流れ性の増進、保存性の向上などのために粉末を細粒化又は顆粒化して用いる。
【0036】
例示的な一具現例において、前記粒子状は、例えば、無定形、球形、楕円形、又は、長方形などの形状を有してよい。
【0037】
本明細書において茶粉末は、茶の木(Camellia sinensis)を原料として得た粉末(パウダー)を意味し、例えば、茶の木の葉を粉砕、破砕又は磨砕して得た粉末(パウダー)や茶の木の葉の抽出物又は抽出液を噴霧乾燥などの工程を通じて粉末化して得た粉末(パウダー)であってよい。前記茶の木の葉は、収穫時期、加工の有無又は加工方法などに特に制限がなく使用可能である。
【0038】
例示的な一具現例において、前記茶粉末は、粉砕装置を利用して得ることができる。粉砕装置は、破砕機(crusher)、粉末機(grinder)などに大別することができる。破砕機は、大きな塊の固体を粉砕する装置であり、装置の例としては、ジョークラッシャ(jaw crusher)、ジャイレートリクラッシャ(gyratory crusher)などがある。粉末機は、破砕機で1次粉砕された粉末をさらに細かい粉砕生成物にしたり、1次粉砕を行うことなく微粉末にしたりする装置であって、ハンマーミル(hammer mill)、ローラミル(roller mill)、ボールミル(ball mill)、アトリションミル(attrition mill)、気流式ミル(air-flow type mill)などがこれに属する。茶の木の葉を粉砕して粉末緑茶を製造する場合、前記粉砕装置、特に電気ひき臼、ボールミル、ハンマーミルなどが利用されている。
【0039】
例示的な一具現例において、前記茶粉末は、50μm以下、又は1~50μm、又は10~50μmの粒子径を有するものであってよい。
【0040】
例示的な一具現例において、前記茶粉末は、茶粉末の全質量を基準として99質量%以上に該当する茶粉末の粒子径が75μm以下のものであってよい。
【0041】
例示的な一具現例において、前記茶加工品は、茶粉末からなるものであって、他の添加剤を用いることなく100%の茶粉末からなるものであってよい。他の例示的な一具現例において、前記茶加工品は、加工品の全質量を基準として90質量%以上又は95質量%以上が茶粉末からなるものであってよい。
【0042】
例示的な一具現例において、前記茶は、茶葉であってよい。
【0043】
例示的な一具現例において、前記茶は、不発酵茶、例えば緑茶など、発酵茶、例えば紅茶など、半発酵茶、例えばウーロン茶、白茶、花茶など、後発酵茶、例えばプーアル茶、黄茶などを含む群から選ばれる1以上であってよい。
【0044】
例示的な一具現例において、前記茶は、緑茶であってよい。
【0045】
例示的な一具現例において、前記茶は、茶葉であってよい。
【0046】
本明細書に係る茶加工品は、湿潤性や分散性(粒子の拡散性)に優れる効果がある。従来の粉末緑茶又は粉末緑茶の顆粒を水に分散させるために掻き回したり振ったりしなければならない過程を不要とするほど非常に素早い分散速度を有する茶加工品を提供する。前記茶加工品は、再分散性に優れるため水に分散した後も互いにくっ付いたり凝集したりする現象が生じなく、且つ時間が過ぎても分散状態を保持する。前記茶加工品は、水の温度に関係なく冷たい水やお湯のいずれでも優れた分散性や再分散性を示す。
【0047】
また、本明細書に係る茶加工品は、流れ性又は流動性に優れる長所がある。このため、包装が容易となることからスティック包装の際に充填、封止などの製造工程でも有利な長所を提供し(例えば、定量で包装しやすく、且つ封止の際に発生し得る不良を予防する)、消費者が使用する際にも粒子の排出が容易であるため使用が便利である効果がある。
【0048】
本明細書に係る茶加工品の製造方法は、回転板を含むローター型流動層造粒機で茶粒子を製造することによって、水に素早く湿潤および分散して流れ性に優れる粒子状の茶加工品を提供する効果がある。例示的な一具現例において、前記製造方法は、他の添加剤を用いることなく茶粉末と水だけで分散性および流れ性に優れる茶粒子の製造が可能である。
【0049】
本明細書において微粉末とは、茶粒子の大きさ、すなわち粒子の直径(粒子径又は粒径ともいう)が75μm(200mesh)以下の粒子を意味する。
【0050】
本明細書において粒子の直径は、粒子の最長直径を意味してよい。
【0051】
例示的な一具現例において、前記茶加工品は、茶粒子の全質量を基準として微粉末を15質量%以下、14質量%以下、13質量%以下、12質量%以下、11質量%以下、10質量%以下、9質量%以下、8質量%以下、7質量%以下、6質量%以下、5質量%以下、4質量%以下、3質量%以下、2質量%以下、又は1質量%以下含むものであってよい。他の例示的な一具現例において、前記茶加工品は、微粉末を含まないか、茶粒子の全質量を基準として微粉末を0.0001~20質量%、0.001~20質量%、0.01~20質量%、0.05~20質量%、又は0.1~20質量%の範囲で含むものであってよい。ここで、茶粒子の全質量は、茶加工品の全体質量を意味してよい。
【0052】
例示的な一具現例において、前記茶粒子は、下記のi)~iii)のうち1以上の粒度分布値を有するものであってよい。ここで、茶粒子は、茶加工品を意味してよい。
i)粒度分布D10値が50μm以上;
ii)粒度分布D50値が100μm以上;および
iii)粒度分布D90値が200μm以上。
【0053】
前記i)~iii)においてD10、D50、D90は、それぞれ、茶粒子の累積分布を測定したときにおける、累積分布の下から10%に該当する粒子径、中央粒子径、累積分布の下から90%に該当する粒子径を意味する。
【0054】
例示的な一具現例において、前記粒度分布D10値は、50μm以上、60μm以上、70μm以上、80μm以上、90μm以上、又は100μm以上であり、且つ200μm以下、190μm以下、180μm以下、170μm以下、160μm以下、150μm以下、140μm以下、130μm以下、120μm以下、110μm以下、又は100μm以下であってよい。
【0055】
例示的な一具現例において、前記粒度分布D50値は、100μm以上、110μm以上、120μm以上、130μm以上、140μm以上、又は150μm以上であり、且つ250μm以下、240μm以下、230μm以下、220μm以下、210μm以下、又は200μm以下であってよい。
【0056】
例示的な一具現例において、前記粒度分布D90値は、200μm以上、220μm以上、240μm以上、260μm以上、280μm以上、又は300μm以上であり、且つ600μm以下、550μm以下、500μm以下、450μm以下、400μm以下、350μm以下、340μm以下、330μm以下、320μm以下、310μm以下、又は300μm以下であってよい。
【0057】
例示的な一具現例において、前記粒度分布D10値は、50μm≦D10≦200μmであってよく、粒度分布D50値は、100μm≦D50≦250μmであってよく、粒度分布D90値は、200μm≦D90≦600μmであってよい。
【0058】
例示的な一具現例において、前記全茶粒子の平均粒子径は100~300μmであってよい。ここで、茶粒子は茶加工品を意味してよい。他の例示的な一具現例において、前記全茶粒子の平均粒子径は、100μm以上、110μm以上、120μm以上、130μm以上、140μm以上、150μm以上、160μm以上、170μm以上、180μm以上、190μm以上、又は200μm以上であり、且つ300μm以下、290μm以下、280μm以下、270μm以下、260μm以下、250μm以下、240μm以下、230μm以下、220μm以下、210μm以下、又は200μm以下であってよい。
【0059】
例示的な一具現例において、前記茶加工品は、35°以下、好ましくは30°以下の安息角を有することで流れ性や流動性に優れており、製品包装および使用が容易であるという効果がある。安息角は、茶粒子を積み上げたときに安定して保持できる角度のことを意味し、安息角が高いほど流れ性は低下するようになる。
【0060】
例示的な一具現例において、前記茶加工品は、水と接触させたときの湿潤時間が60秒以下、50秒以下、40秒以下、30秒以下、20秒以下、又は10秒以下のものであってよい。
【0061】
例示的な一具現例において、前記湿潤時間は、茶加工品1.5gを水の水面上に置いたときに茶加工品全体が水の水面下に沈むのにかかる時間であってよい。すなわち、前記湿潤時間は、物理的又は化学的処理を加えることなく茶加工品1.5gを水の水面上に静かに置いたときに茶加工品全体が水に浸漬するのにかかる時間を意味してよい。例示的な一具現例において、前記水の量は500mLであってよい。
【0062】
他の例示的な一具現例において、前記湿潤時間は、茶加工品1.5gを室温で15~25℃の水の水面上に置いたときに茶加工品全体が水の水面下に沈むのにかかる時間であってよい。
【0063】
例示的な一具現例において、前記茶加工品は、細粒剤又は散剤であっておい。
【0064】
例示的な一具現例において、前記茶加工品は、加工された茶粒子をカプセル又はスティック形態の包(packets)に充填したり、発泡錠又は懸濁用錠などの形態にさらに加工したりしたものであってよい。
【0065】
本明細書に係る茶加工品は、結合剤などが全く含まれていない茶粉末100%からなるものであってよい。既存の細粒又は顆粒の製造の際は、茶粉末に結合剤を水に溶かした液を噴霧して製造していたため、水に分散又は溶解させると濁った色相やさっぱりしない後味などが残ったが、本明細書に係る茶加工品は、このような嗜好性を阻害する要素が排除されただけでなく、溶媒、例えば、水に対する分散性が顕著に増進した効果がある。また、結合剤などを含んでおらず、工程の単純化や嗜好性改善の効果を提供することができる。
【0066】
例示的な一具現例において、前記製造方法では、茶粉末に水を噴射して茶粒子を製造してよい。
【0067】
例示的な一具現例において、前記製造方法は、茶粉末を回転板に置いて回転板を回転させる段階;空気を給気して茶粉末を浮揚させる段階;および浮揚された茶粉末に水を噴射して茶粉末と水とを接触させる段階を含んでよい。
【0068】
例示的な一具現例において、前記製造方法では、回転板を回転させて茶粉末に遠心力を加えてよい。
【0069】
例示的な一具現例において、前記製造方法は、水と接触した茶粉末を重力によって落とす段階を含んでよい。
【0070】
例示的な一具現例において、前記製造方法では、茶粉末の全質量の0.3倍~1.5倍の質量に該当する量の水を茶粉末に噴射してよい。
【0071】
例示的な一具現例において、前記製造方法は、粒子径が75μm以下の微粉末を除去する段階をさらに含んでよい。
【0072】
流動層造粒機は、一般的に液体の粉末化や顆粒化、粉末の顆粒化、薬品成分の被覆などに使用される機器であって、食品や製薬製品の生産に主に使用されている。流動層造粒機の一般的な稼動方式を検討すると、空気圧によって液体、粉末、および顆粒が流動化する流動層内で設計された仕様の組成比を有する顆粒が生産される。本明細書においてローター型流動層造粒機とは、回転する回転板を含む流動層造粒機であって、回転板の回転によって茶粉末に遠心力が加えられ得る。
【0073】
例示的な一具現例において、前記ローター型流動層造粒機は、容器;および前記容器の内部に設けられた回転板を含むものであってよい。
【0074】
例示的な一具現例において、前記ローター型流動層造粒機は、容器;前記容器の内部に設けられた回転板;前記容器の内部に空気を給気する隙間形成部;および前記容器の内部に水を噴射するノズル形成部を含むものであってよい。
【0075】
例示的な一具現例において、前記隙間形成部は、前記回転板と容器の器壁との間に設けられてよい。
【0076】
例示的な一具現例において、前記隙間形成部は、容器の内部および回転板の上部に空気が給気できるように設けられてよい。
【0077】
例示的な一具現例において、前記隙間形成部は、上向きに空気が給気できるように設けられてよい。
【0078】
例示的な一具現例において、前記ノズル形成部は、前記隙間形成部と隣接して設けられてよく、又は前記隙間形成部と離間して設けられてよい。
【0079】
例示的な一具現例において、前記ノズル形成部は、容器の内部および回転板の上部に水が噴射できるように設けられてよい。
【0080】
例示的な一具現例において、前記ノズル形成部は、上向きに水が噴射できるように設けられてよい。
【0081】
例示的な一具現例において、前記製造方法は、回転板と容器の器壁との間の隙間から空気を給気し、噴霧ノズルを介して容器の内部に水を噴射して茶粒子を製造するものであってよい。例示的な一具現例において、前記噴霧ノズルは、空気を給気する隙間に隣接し又は離間して設けられてよい。
【0082】
例示的な一具現例において、前記回転板は、水平方向に設けられてよい。
【0083】
例示的な一具現例において、前記回転板は、速度調節が可能なものであってよい。
【0084】
例示的な一具現例において、前記回転板は、90~1,200rpmの速度で茶粒子を製造するものであってよい。回転板の回転速度は、装備の大きさに応じて種々に大きく異なり得る、例えば、一般的に実験室装備の場合、回転板の大きさが小さいため(例えば、Glatt社製のGPCG-1の回転板の直径は30cmである。)、茶粒子の製造の際に約360~1200rpmの範囲で稼動されてよく、回転板の大きさが1,200cmである生産装備の場合、約90~300rpmの範囲で稼動されてよい。
【0085】
例示的な一具現例において、前記回転板は、2~20m/sec、3~20m/sec、4~20m/sec、又は5~20m/secの先端速度(tip speed)で茶粒子を製造し、分散性や流れ性が向上した茶加工品を提供する効果がある。
【0086】
例示的な一具現例において、前記ローター型流動層造粒機は、給気温度15℃~40℃、排気温度10℃~35℃、噴霧ノズル直径1.0~2.0mm、噴霧圧1.0~5.0bar、および乾燥温度40℃~80℃のうち1以上の条件で茶粒子を製造するものであってよい。
【0087】
例示的な一具現例において、前記ローター型流動層造粒機は、給気温度25℃~35℃、排気温度15℃~30℃、噴霧ノズル直径1.0~2.0mm、噴霧圧1.0~3.0bar、および乾燥温度60℃~80℃のうち1以上の条件で茶粒子を製造するものであってよい。
【0088】
例示的な一具現例において、前記ローター型流動層造粒機は、給気量150~2,000m/hr又は600~1,000m/hrで茶粒子を製造することができ、これは、ローター型流動層造粒機の装備規模に応じて適宜調節可能である。
【0089】
前記のように、本明細書に係る茶加工品の製造方法では、回転板の回転による遠心力、回転板と容器の器壁との間の隙間(gap)を通過する給気エアー(inlet air)による浮揚力、および回転板上に物質を落とす重力、の3つの力で茶粒子を製造してよい。
【0090】
従来、50μm以下の粒子径を有する粉末は細かすぎて、流動層造粒機で加工しても製造された粒子の大きさが所望の大きさほど大きくならない限界があったが、本明細書に係る茶加工品の製造方法では、茶粉末の全質量を基準として99質量%以上に該当する茶粉末の粒子径が75μm以下であっても約2時間以下の短い時間で所望の大きさを有する茶粒子を製造することができる。前記製造方法で製造された茶加工品は、溶媒に対する分散性に優れ、且つ茶粒子の流れ性を向上させ、製品の包装や使用の容易性を増加させることができる。
【0091】
例示的な一具現例において、前記製造方法で製造された茶加工品は、下記の特徴のうち1以上を有するものであってよい。
a)茶粒子の全質量を基準として微粉末を20質量%以下含み、前記微粉末は粒子径が75μm以下であること;
b)茶粒子は、下記のi)~iii)のうち1以上の粒度分布値を有すること;
i)粒度分布D10値が50μm以上;
ii)粒度分布D50値が100μm以上;および
iii)粒度分布D90値が200μm以上。
【0092】
前記i)~iii)においてD10、D50、D90は、それぞれ、茶粒子の累積分布を測定したときにおける、累積分布の下から10%に該当する粒子径、中央粒子径、累積分布の下から90%に該当する粒子径を意味する。
c)全茶粒子の平均粒子径は、100~300μmであること;
d)茶加工品は、35°以下の安息角を有するものであること;および
e)茶加工品は、水と接触させたときの湿潤時間が60秒以下のものであること。
【0093】
以下、実施例を挙げて本明細書に開示された技術をより一層詳細に説明することにする。なお、これらの実施例は単に開示物を例示するためのものであるに過ぎず、本開示物の範囲がこれらの実施例によって制限されると解釈されないのは当業界における通常の知識を有する者にとって自明である。
【0094】
[実施例1]
粉末緑茶(オソルロク農場、大韓民国)600gをローター型流動層造粒機(GPCG-1、rotor type、Glatt、ドイツ)に入れ、水750gを下記の条件で噴射しながら、75μm以下の粒径を有する微粉末比率が20質量%以下の粒子状の茶加工品を製造した。また、30mesh(600μm)の篩に通したものを使用した。
給気温度:30℃、排気温度:23±5℃、ノズル内径:1.0mm、噴霧圧:1.0bar、エアーフラップ(air flap):25~30%、ローターrpm:540rpm、乾燥温度:70℃。
【0095】
[実施例2]
粉末緑茶(オソルロク農場、大韓民国)600gをローター型流動層造粒機(GPCG-1、rotor type、Glatt、ドイツ)に入れ、水660gを下記の条件で噴射しながら、75μm以下の粒径を有する微粉末比率が20質量%以下の粒子状の茶加工品を製造した。また、30mesh(600μm)の篩に通したものを使用した。
給気温度:30℃、排気温度:23±5℃、ノズル内径:1.0mm、噴霧圧:1.0bar、エアーフラップ(air flap):25~30%、ローターrpm:540rpm、乾燥温度:70℃。
【0096】
[実施例3]
粉末緑茶(オソルロク農場、大韓民国)600gをローター型流動層造粒機(GPCG-1、rotor type、Glatt、ドイツ)に入れ、水600gを下記の条件で噴射しながら、75μm以下の粒径を有する微粉末比率が20質量%以下の粒子状の茶加工品を製造した。また、30mesh(600μm)の篩に通したものを使用した。
給気温度:30℃、排気温度:23±5℃、ノズル内径:1.0mm、噴霧圧:1.0bar、エアーフラップ(air flap):25~30%、ローターrpm:720rpm、乾燥温度:70℃。
【0097】
[実施例4]
粉末緑茶(オソルロク農場、大韓民国)600gをローター型流動層造粒機(GPCG-1、rotor type、Glatt、ドイツ)に入れ、水500gを下記の条件で噴射しながら、75μm以下の粒径を有する微粉末比率が20質量%以下の粒子状の茶加工品を製造した。また、30mesh(600μm)の篩に通したものを使用した。
給気温度:30℃、排気温度:23±5℃、ノズル内径:1.0mm、噴霧圧:1.0bar、エアーフラップ(air flap):25~30%、ローターrpm:360rpm、乾燥温度:50℃。
【0098】
[実施例5]
粉末緑茶(オソルロク農場、大韓民国)600gをローター型流動層造粒機(GPCG-1、rotor type、Glatt、ドイツ)に入れ、水600gを下記の条件で噴射しながら、75μm以下の粒径を有する微粉末比率が20質量%以下の粒子状の茶加工品を製造した。また、30mesh(600μm)の篩に通したものを使用した。
給気温度:30℃、排気温度:23±5℃、ノズル内径:1.0mm、噴霧圧:1.0bar、エアーフラップ(air flap):25~30%、ローターrpm:720rpm、乾燥温度:65℃。
【0099】
[実施例6]
粉末緑茶(オソルロク農場、大韓民国)600gをローター型流動層造粒機(GPCG-1、rotor type、Glatt、ドイツ)に入れ、水700gを下記の条件で噴射しながら、75μm以下の粒径を有する微粉末比率が20質量%以下の粒子状の茶加工品を製造した。また、30mesh(600μm)の篩に通したものを使用した。
給気温度:30℃、排気温度:23±5℃、ノズル内径:1.0mm、噴霧圧:1.0bar、エアーフラップ(air flap):23~28%、ローターrpm:360rpm、乾燥温度:80℃。
【0100】
[実施例7]
粉末緑茶(オソルロク農場、大韓民国)40kgをローター型流動層造粒機(WBF200/120/100、Rotor type、Enger、中国)に入れ、水34kgを下記の条件で噴射しながら、75μm以下の粒径を有する微粉末比率が20質量%以下の粒子状の茶加工品を製造した。また、30mesh(600μm)の篩に通したものを使用した。
給気温度:23℃、排気温度:23±5℃、ノズル内径:1.5mm、噴霧圧:3.0bar、給気エアー量:800m/hr、ローターrpm:240rpm、乾燥温度:70℃。
【0101】
[比較例1]
粉末緑茶(オソルロク農場、大韓民国) 500gをトップスプレー流動層造粒機(GPCG-1、Top spray type、Glatt、ドイツ)に入れ、水300gを下記の条件で噴射しながら粒子状の茶加工品を製造した。また、30mesh(600μm)の篩に通したものを使用した。
給気温度:30℃、排気温度:23±5℃、ノズル内径:1.0mm、噴霧圧:1.0bar、エアーフラップ(air flap):25~30%、乾燥温度:70℃。
【0102】
[比較例2]
粉末緑茶(オソルロク農場、大韓民国)475gをトップスプレー流動層造粒機(GPCG-1、Top spray type、Glatt、ドイツ)に入れ、水485gにマルチトール25gを入れて溶かした液を下記の条件で噴射しながら粒子状の茶加工品を製造した。また、30mesh(600μm)の篩に通したものを使用した。
給気温度:50℃、排気温度:27±5℃、ノズル内径:1.0mm、噴霧圧:1.0bar、エアーフラップ(air flap):25~30%、乾燥温度:70℃。
【0103】
[比較例3]
粉末緑茶(オソルロク農場、大韓民国)350gとマンニトール125gを混合してトップスプレー流動層造粒機(GPCG-1、Top spray type、Glatt、ドイツ)に入れ、水525gにマルチトール25gを入れて溶かした液を下記の条件で噴射しながら粒子状の茶加工品を製造した。また、30mesh(600μm)の篩に通したものを使用した。
給気温度:50℃、排気温度:25±5℃、ノズル内径:1.0mm、噴霧圧:1.0bar、エアーフラップ(air flap):25~30%、乾燥温度:70℃。
【0104】
[比較例4]
粉末緑茶(オソルロク農場、大韓民国)495gをトップスプレー流動層造粒機(GPCG-1、Top spray type、Glatt、ドイツ)に入れ、水295gにマルトデキストリン5gを入れて溶かした液を下記の条件で噴射しながら粒子状の茶加工品を製造した。また、30mesh(600μm)の篩に通したものを使用した。
給気温度:60℃、排気温度:30±5℃、ノズル内径:1.0mm、噴霧圧:1.0bar、エアーフラップ(air flap):25~30%、乾燥温度:70℃。
【0105】
[比較例5]
市販製品の粉末緑茶(オソルロク農場、大韓民国)を比較例5と指定して下記の実験例で用いた。
【0106】
[比較例6]
市販製品のであるリシ抹茶(Rishi Matcha travel packs、Rishi-Tea)を比較例6と指定して下記の実験例で用いた。
【0107】
[比較例7]
市販製品の烟茶有機農抹茶(Encha organic matchagreen tea powder packets、Encha)を比較例7と指定して下記の実験例で用いた。
【0108】
[比較例8]
市販されている結晶性粉末である結晶セルロース(Avicel PH200、Dupont、米国)を比較例8と指定して下記の実験例で用いた。本比較例8で用いた結晶セルロースは、粒度分析測定器(Mastersizer、Malvern、英国)で測定したとき、粒子径が75μm以下の微粉末比率が9.29%であると示された。
【0109】
実験例1.粒度の分析
粒度分析測定器(Mastersizer、Malvern、英国)を利用して前記実施例1~7および比較例1~7の粒度分布、平均粒子の大きさ、特定範囲の粒子の大きさ(75μm以下)を有する微粉末比率などを測定し、その結果を表1に表した。
【0110】
実験例2.湿潤時間の測定
室温と同じ温度の水500mLが入っているビーカーに実施例1~7および比較例1~7のサンプル1.5gを慎重に入れた後、水面上で固まることなく下に沈む湿潤時間を測定し、その結果を表1および図1~8に示した。前記湿潤時間は、掻き混ぜたり振ったりするなどの物理的力を加えずに放置した後、サンプルがすべて水面下に沈む時間を測定したものである。
【0111】
実験例3.安息角の測定
粉体が通過する漏斗を底面に固定させた状態で実施例1~7および比較例1~7のサンプルを漏斗に入れてから、漏斗を徐々に持ち上げながら積み上げられた円錘状の塊ができるようにした。積み上げられた円錐4箇所の直径の平均値と円錐の高さを測定して下記の式から安息角を求め、その結果を表1に表した。
tanα=高さ/(0.5×底面直径)
【0112】
安息角は、粒子の流動性(流れ性)を示す指標であって、一般的に25°~30°であれば極めて良好、31°~35°であれば良好、36°~40°であればやや良好であることを意味する。流動性に優れるほど、粒子をカプセルやスティク包に充填したり錠剤に打錠したりするときに所望の量だけ充填されることで工程を円滑にする長所がある。
【0113】
実験結果
【0114】
【表1】
【0115】
前記実験例1および2から、比較例1~7に比べて75μm以下の粒径を有する微粉末比率が遥かに低い実施例1~7の場合、180秒を超える比較例1~7の湿潤時間に比べて顕著に短い湿潤時間を有することを確認した。本明細書に係る茶加工品の溶媒(例えば、水)に対する分散速度は、粉末緑茶又は既存の粉末緑茶の顆粒に比べて顕著に優れている。実際に、カップ、タンブラー又は水ボトルなどに本明細書に係る茶加工品を入れると、水に容易に分散して便利に飲用することができた(図9および10参照)。
【0116】
分散性を高めるために通常の方法に従いマルチトール又はマルトデキストリンを添加して茶加工品を製造した比較例2~4の場合にも、湿潤時間が高くて所望の効果を達成することができなかった。具体的に、比較例2~4の場合、湿潤時間の測定の間(3分)全く湿潤がなされずに相当の量が水面上に残っており、水ボトルに入れて振ったときは水ボトルの入口に茶加工品が付着している現象が現れ、湿潤性が顕著に低いことを確認した。
【0117】
比較例のうち低い微粉末比率を有する比較例1(44.6%)と実施例のうち高い微粉末比率を有する実施例4(14.5%)の湿潤時間を比較したとき、実施例4は23秒の湿潤時間を示したのに対し、比較例1は湿潤時間の測定の間(3分)全く湿潤がなされずに相当の量が水面上に残っていた(図4参照)。
【0118】
また、湿潤がなされたとしても沈んだ粉末緑茶又は粉末緑茶の顆粒が分散され難く固まっているが、本明細書に係る茶加工品は分散性に極めて優れ、振ったり掻き混ぜたりしなくても固まり現象が殆どないということを確認した(図1~3参照)。特に、実施例4は、実施例2および3に比べて相対的に湿潤時間は長いが、湿潤時間の測定直後の写真をみると、茶加工品が湿潤の間に水によく分散され、不溶性物質を含んでいる茶加工品が水に分散された後も互いにくっ付いたり凝集したりする現象がなく再分散性に優れることを目視にて確認した。
【0119】
上述したように、本明細書に係る75μm以下の粒径を有する微粉末比率が20質量%以下の茶加工品は、結合剤などの添加剤を用いることなく茶粉末だけから構成することができ、迅速な分散特性を有することを確認した。このような分散特性は、微粉末比率がより高く且つ粒子の平均直径がより低い比較例1~7に比べて顕著に優れている。したがって、粒子状の茶加工品において粒子の大きさおよび粒度分布が分散性に影響を及ぼし、茶加工品の粒子大きさが小さいほど分散性が増加することではないことが分かった。
【0120】
前記実験例3から、比較例1~7に比べて75μm以下の粒径を有する微粉末比率が遥かに低い実施例1~7の場合、安息角が35°を超える比較例1~7とは異なり、流れ性が非常に良好であることを確認した。したがって、本明細書に係る茶加工品は、極めて良好な流動性を有するため、包装や使用が容易である長所を提供することが分かった。
【0121】
また、実施例1および比較例8のサンプルを同じ条件でそれぞれ水に添加したとき、実施例1の茶加工品は20秒後にも水によく分散されているのに対し、比較例8の結晶セルロースは20秒後に全部底に沈むと示された(図11および12参照)。このように、結晶セルロースは微粉末含量が少ないにも係わらず分散性が低いことが分かった。したがって、微粉末比率と分散特性が一括して比例又は反比例関係を有するのではなく、粒子の種類が分散特性に影響を及ぼす要素として働き、微粉末比率が少なくても粒子の種類に応じて異なった分散特性を示し得る可能性があることを確認した。
【0122】
以上、本開示内容の特定の部分を詳細に記述したところ、当業界における通常の知識を有する者にとって、このような具体的な記述は単に好適な実施態様であるに過ぎず、これによって本開示物の範囲が制限されるものではない点は明らかである。したがって、本開示物の実質的な範囲は請求項とそれらの等価物によって定義されるといえる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13