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特許7304309プログラム、電子的価値管理装置、電子的価値管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-28
(45)【発行日】2023-07-06
(54)【発明の名称】プログラム、電子的価値管理装置、電子的価値管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/10 20120101AFI20230629BHJP
【FI】
G06Q20/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020062558
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021163053
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】593022629
【氏名又は名称】株式会社ジェーシービー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】間下 公照
(72)【発明者】
【氏名】南井 享
【審査官】新里 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-288573(JP,A)
【文献】特開平11-272763(JP,A)
【文献】国際公開第2019/035459(WO,A1)
【文献】特開2019-125201(JP,A)
【文献】特開2014-75007(JP,A)
【文献】特開2000-259745(JP,A)
【文献】特開2003-58801(JP,A)
【文献】特開2019-74983(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1928455(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
電子的価値の種類を識別する価値情報と前記電子的価値の利用に対する手数料の算出に用いられる手数料設定情報を取得する取得処理と、
前記価値情報と前記手数料設定情報と関連付けられた価値生成情報を記憶部に記憶する生成処理と、
前記電子的価値の前記手数料を、前記価値情報に関連付けられた前記手数料設定情報に基づいて算出する手数料算出処理と、を実行させるプログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のプログラムであって、
前記手数料設定情報は、前記手数料の負担者を示す、前記電子的価値の発行者と、前記電子的価値を用いて決済を行う利用者と、前記電子的価値を決済手段として利用可能とする加盟店と、のうちの少なくとも一つを示す情報を含む、プログラム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプログラムであって、
前記手数料設定情報には、
前記手数料の算出方法を示す算出情報が含まれる、プログラム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のプログラムであって、
前記手数料設定情報は、
前記手数料が発生するするタイミングを示す情報を含む、プログラム。
【請求項5】
請求項4に記載のプログラムであって、前記コンピュータに、
前記電子的価値と換算可能な他の価値の種別を選択し、前記他の価値との換算率とを決定するための価値換算情報を取得する価値換算情報取得処理と、
前記価値換算情報に基づいて、前記電子的価値を前記他の価値と交換するための交換処理と、をさらに実行させ、
前記算出するタイミングは、前記交換処理が行われるタイミングである、プログラム。
【請求項6】
電子的価値の種類を識別する価値情報と前記電子的価値の利用に対する手数料の算出に用いられる手数料設定情報を取得する取得部と、
前記価値情報と前記手数料設定情報と関連付けられた価値生成情報を記憶部に記憶する生成部と、
前記電子的価値の前記手数料を、前記価値情報に関連付けられた前記手数料設定情報に基づいて算出する手数料算出部と、を備える電子的価値管理装置。
【請求項7】
コンピュータが、
電子的価値の種類を識別する価値情報と前記電子的価値の利用に対する手数料の算出に用いられる手数料設定情報を取得することと、
前記価値情報と前記手数料設定情報と関連付けられた価値生成情報を記憶部に記憶することと、
前記電子的価値の前記手数料を、前記価値情報に関連付けられた前記手数料設定情報に基づいて算出することと、を含む、電子的価値管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、電子的価値管理装置及び電子的価値管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
仮想通貨やトークン等の電子的価値によって、決済が行われることがある。特許文献1は、電子的価値の流通を促進するための技術として、価値情報システムを開示している。特許文献1に記載の価値情報システムは、第1種類の価値情報(電子的価値)により第1ユーザに対する支払いが行われた場合に、支払われた第1種類の電子的価値のうちの一部に相当する第1種類の電子的価値を、第1種類の電子的価値に応じた第2ユーザに付与する付与部を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6545919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子的価値は、電子的価値の発行者によって発行される。発行者は電子的価値を何らかの目的をもって発行する。発行者の目的は発行者それぞれにとって異なり得る。電子的価値を発行しようとする者の目的に適うような設定がなし得ない場合、電子的価値が発行されにくくなる。結果として様々な種類の電子的価値の利用が促されにくくなる。
【0005】
そこで、本発明は、電子的価値の利用を促すプログラム、電子的価値管理装置及び電子的価値管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、電子的価値の利用に対する手数料に関する情報を含み、手数料の算出に用いられる手数料設定情報を取得する取得処理と、電子的価値を示す価値情報を生成し、価値情報を手数料設定情報と関連付けて記憶部に記憶する生成処理と、電子的価値の利用に応じた手数料を、電子的価値を示す価値情報に関連付けられた手数料設定情報に基づいて算出する手数料算出処理と、を実行させる。
【0007】
この態様によれば、電子的価値の生成の際に、手数料設定を含めて電子的価値を生成することが可能となる。手数料設定情報に基づいて、電子的価値の利用に応じて発生する手数料を算出できるようになるので、発行者は手数料の算出に関して、別途手数料を算出する方法を用いることなく、電子的価値を発行することが可能となる。これにより、発行者の発行時の負担を軽減することができ、電子的価値の発行を促す。よって、電子的価値の利用を促すことができる。
【0008】
本発明の他の態様に係る電子的価値管理装置は、電子的価値の利用に対する手数料に関する情報を含み、手数料の徴収に用いられる手数料設定情報を取得する取得部と、電子的価値を示す価値情報を生成し、価値情報を手数料設定情報と関連付けて記憶部に記憶する生成部と、電子的価値の利用に応じた手数料を、電子的価値を示す価値情報に関連付けられた手数料設定情報に基づいて算出する手数料算出部と、を備える。
【0009】
本発明の他の態様に係る電子的価値管理方法は、コンピュータが、電子的価値の利用に対する手数料に関する情報を含み、手数料の徴収に用いられる手数料設定情報を取得することと、電子的価値を示す価値情報を生成し、価値情報を手数料設定情報と関連付けて記憶部に記憶することと、電子的価値の利用に応じた手数料を、電子的価値を示す価値情報に関連付けられた手数料設定情報に基づいて算出することと、を含む。
【0010】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、電子的価値を使用する際に用いられるユーザインターフェイスを生成するためのインターフェイス情報を取得する、インターフェイス情報取得処理と、電子的価値を示す価値情報を生成し、価値情報をインターフェイス情報と関連付けて記憶部に記憶する生成処理と、を実行させる。
【0011】
この態様によれば、発行者はインターフェイス情報を設定可能となる。発行者ごとの個性を付加可能なインターフェイスを用いることができる。よって、発行者による電子的価値への発行を促す。これにより、電子的価値の利用を促すことができる。
【0012】
本発明の他の態様に係る電子的価値管理装置は、電子的価値を使用する際に用いられるユーザインターフェイスを生成するためのインターフェイス情報を取得する、インターフェイス情報取得部と、電子的価値を示す価値情報を生成し、価値情報をインターフェイス情報と関連付けて記憶部に記憶する生成部と、を備える。
【0013】
本発明の他の態様に係る電子的価値管理方法は、コンピュータが、電子的価値を使用する際に用いられるユーザインターフェイスを生成するためのインターフェイス情報を取得することと、電子的価値を示す価値情報を生成し、価値情報をインターフェイス情報と関連付けて記憶部に記憶することと、を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電子的価値の利用を促すプログラム、電子的価値管理装置及び電子的価値管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態に係る電子的価値管理システムの概略図である。
図2】第1実施形態に係る電子的価値管理装置のブロック図である。
図3】第1実施形態に係る価値生成情報の一例である。
図4】第1実施形態に係る価値管理情報の一例である。
図5】第1実施形態に係る電子的価値管理装置における処理を示すフローチャートである。
図6】第1実施形態に係る電子的価値管理システムでの交換処理を説明する図である。
図7】第1実施形態に係る電子的価値管理システムでの手数料請求までの処理を説明する図である。
図8】第2実施形態に係る電子的価値管理装置のブロック図である。
図9】第2実施形態に係る電子的価値管理装置における処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0017】
第1実施形態について説明する。図1には、第1実施形態に係る電子的価値管理システム1の概略図が示される。電子的価値管理システム1は、電子的価値管理装置101、発行者端末102、利用者端末1031、1032、加盟店端末104及び外部端末105を備える。
【0018】
電子的価値管理装置101は、発行者端末102、利用者端末1031、1032、加盟店端末104及び外部端末105とネットワークNを通じて通信可能に接続される。電子的価値管理装置101は、所定のプログラムを実行することによって、後述する処理を行い、電子的価値の管理を行う情報処理装置である。なお、電子的価値とは、価値の移転が、情報処理装置による電子的な処理により行われる必要がある価値のことである。電子的価値は、例えば、決済時に利用可能な電子マネーやポイント、トークン、仮想通貨等である。
【0019】
発行者端末102は、電子的価値を発行する発行者が操作する端末である。発行者は、発行者端末102を操作し、電子的価値の発行に必要な情報を電子的価値管理装置101に送信し、電子的価値を発行する。発行者端末102は、例えば、スマートフォンやタブレット端末である。あるいは、デスクトップ型又はノート型のパーソナルコンピュータであってもよい。すなわち、電子的価値管理装置101と通信可能であり、各種情報の入出力が可能な端末であればよい。発行者端末は発行者ごとに、電子的価値管理装置101に接続可能に複数台あってもよい。
【0020】
利用者端末1031は、電子的価値を用いた取引を行う利用者が操作する端末である。利用者は、利用者端末1031を用いて、電子的価値の交換、電子的価値を用いた決済などを行う。利用者端末1031は、例えばスマートフォンのような持ち運び可能な端末である。あるいは、利用者端末1031は、発行者端末102と同様の各種端末であってもよい。利用者端末1032も同様である。なお、図1では利用者端末を2つしか示していないが、利用者端末は3台以上でもよい。
【0021】
加盟店端末104は、電子的価値による決済を可能とする加盟店において操作される端末である。加盟店端末104は、電子的価値による決済を行うために、利用者端末1031から情報を取得する。あるいは、加盟店端末104は、加盟店端末104の操作を行う者から、利用者端末1031に表示される情報を入力されることで、電子的価値を用いた決済を行う。なお、図1では加盟店端末を1つしか示していないが、加盟店端末は2台以上あってもよい。
【0022】
外部端末105は、電子的価値管理装置101によって管理される電子的価値とは異なる電子的価値の管理を行う装置である。
【0023】
図2を参照して、電子的価値管理装置101の各部について説明する。電子的価値管理装置101は、記憶部201、取得部202、生成部203、手数料算出部204、価値換算情報取得部205、交換部206、残高管理部207、手数料請求部208を備える。電子的価値管理装置101の各部は、例えば、電子的価値管理装置101において、メモリ等の記憶領域を用いたり、記憶領域に格納されたプログラムをプロセッサが実行したりすることによって、実現することができる。
【0024】
記憶部201は、電子的価値管理装置101が処理に用いる各種情報を記憶する。記憶部201には、電子的価値管理装置101によって生成される電子的価値に関する価値生成情報が記憶される。また、記憶部201には、電子的価値を用いた取引を管理するための価値管理情報が記憶される。
【0025】
取得部202は、手数料設定情報を発行者端末102から取得する。手数料設定情報は、電子的価値の利用に対する手数料に関する情報を含み、手数料の算出に用いられる。
【0026】
生成部203は、電子的価値を示す価値情報を生成し、価値情報を手数料設定情報と関連付けて記憶部201に記憶する。価値情報は、電子的価値を示す情報であり、例えば、電子的価値の名称、単位名、電子的価値の生成数等を含む。
【0027】
手数料算出部204は、電子的価値の利用に応じた手数料を、価値情報に関連付けられた手数料設定情報に基づいて算出する。
【0028】
価値換算情報取得部205は、電子的価値と換算可能な他の価値の種別を選択し、他の価値との換算率とを決定するための価値換算情報を取得する。
【0029】
交換部206は、価値換算情報取得部205が取得した価値換算情報に基づいて、電子的価値を他の価値と交換する。
【0030】
残高管理部207は、電子的価値の管理に用いられる価値管理情報を管理する。価値管理情報は記憶部201に記憶される。
【0031】
手数料請求部208は、手数料算出部が算出した手数料を請求するための処理を行う。
【0032】
図3を参照して、価値生成情報について説明する。図3には、電子的価値管理装置101によって生成される電子的価値に関する価値生成情報の一例が示される。図3に示される価値生成情報は、電子的価値管理装置101によって処理された後の価値生成情報である。
【0033】
価値生成情報は、「発行者ID」、「価値名称」、「単位名」、「サブ単位名」、「生成数」、「取引単位」、「手数料負担者」、「手数料種別」、「手数料算出方法」、「割合又は固定値」、「手数料発生タイミング」、「交換対象の価値種別」及び「換算率」の項目を有する。
【0034】
「発行者ID」は、電子的価値の発行主体を識別するIDの情報である。「価値名称」は、発行される電子的価値の名称の情報である。「単位名」は、電子的価値の価値単位の名称の情報である。「サブ単位名」は、「単位名」で設定される単位を分割した場合の価値単位の名称の情報である。「生成数」は、電子的価値の生成数である。「取引単位」は、電子的価値を用いた取引において利用できる単位を決定する最小取引単位の情報である。「価値名称」、「単位名」、「サブ単位名」、「生成数」及び「取引単位」をまとめて価値情報とする。
【0035】
「手数料負担者」は、電子的価値の利用に際して発生した手数料を負担する負担者を示す情報である。「手数料種別」は、電子的価値を用いた取引において、手数料を発生させる対象について示す情報である。「手数料算出方法」及び「割合又は固定値」は、手数料の算出方法を示す情報である。「手数料発生タイミング」は、電子的価値の利用に対する手数料が発生するタイミングを示す情報である。「手数料負担者」、「手数料種別」、「手数料算出方法」及び「手数料発生タイミング」が手数料設定情報である。
【0036】
図3の「手数料負担者」の項目には、「加盟店」、「発行者」及び「利用者」のうち、少なくとも一つを示す情報が記録される。「手数料種別」の項目には、「取引内課金」又は「取引外課金」を示す情報が記録される。取引内課金とは、取引の際に取引される決済額の中に手数料を含むようにする手数料の課金方法である。取引外課金とは取引とは別に手数料を課す課金方法である。
【0037】
「手数料算出方法」の項目には、「パーセント方式」又は「固定値方式」を示す情報が記録される。パーセント方式は取引額に所定の割合をかけて手数料を算出する方法である。固定値方式は、取引額に関わらず、例えば取引回数に応じて所定の金額を手数料として算出する方法である。「割合又は固定値」の項目には、パーセント方式での算出に用いられる割合又は固定値方式での算出に用いられる固定値が記録される。固定値の場合の手数料は所定の通貨単位に基づいて課金される。
【0038】
「手数料発生タイミング」の項目には、「交換時」又は「使用時」を示す情報が記録される。交換時とは、電子的価値と、当該電子的価値と交換可能な他の価値との交換が行われる時である。使用時とは、利用者が加盟店等で電子的価値を用いた取引を行う時である。
【0039】
図3では、価値名称が「Aコイン」である電子的価値は、手数料負担者として加盟店が設定される。手数料種別は取引内課金である。手数料算出方法は割合が1%のパーセント方式である。例えば、利用者が加盟店においてAコインを用いて取引額が10X5αの決済を行ったとする。なお、単位名Xとサブ単位名αの関係は1X=10αである。このとき算出される手数料は、1.005αとなる。手数料請求処理においては1.005αを、例えば円に換算して課金する処理が行われる。
【0040】
価値名称が「Bトークン」である電子的価値による決済では、Bトークンを用いた決済ごとに、取引額に関わらず1円が発行者に対して課金される。
【0041】
価値名称が「Cコイン」である電子的価値は、手数料負担者として、利用者と加盟店とが設定される。Cコインを用いた決済では、利用者に対して取引外課金として固定値である5円が、取引ごとに手数料として算出される。加盟店には、Aコインと同様に取引内課金によって手数料が算出される。
【0042】
手数料算出方法及び手数料算出方法に対応する割合又は固定値は、図3の例に限られず、発行者の設定によって任意に調整することが可能である。
【0043】
「交換対象の価値種別」は、電子的価値が交換可能な他の価値の種別である。「換算率」は、電子的価値が他の価値と交換される際のレートを設定するための情報である。「交換対象の価値種別」と「換算率」とが価値換算情報である。
【0044】
図3では、価値名称が「Aコイン」である電子的価値は、交換対象の価値種別が円である。「換算率」は1X=100円である。価値名称が「Bトークン」である電子的価値は、交換対象の価値種別がドルである。「換算率」は1Y=10ドルである。価値名称が「Cコイン」である電子的価値は、交換対象の価値種別が円である。「換算率」は、外部の取引所における円の価格に連動して算出される取引所価格連動係数を用いて、1Z=(取引所価格連動係数)×100円となる。
【0045】
図4を参照して、価値管理情報について説明する。図4には、電子的価値管理装置101によって管理される電子的価値に関する価値管理情報の一例が示される。
【0046】
価値管理情報は「価値名称」、「保有者」、「保有量」の項目を有する。「価値名称」の項目には、管理される電子的価値の名称が記録される。「保有者」の項目には、電子的価値の保有者を識別するための情報が記録される。「保有量」の項目には、それぞれの保有者の保有量が示される。
【0047】
図4では、価値名称が「Aコイン」である電子的価値は、保有者「ID001」、「ID004」、「ID007」、「ID501」を含む保有者によって保有される。Bトークン及びCコインについても同様である。ID001、ID004、ID007は利用者に、ID501は加盟店に、それぞれ対応している。
【0048】
図5のフローチャートを参照して、電子的価値管理装置101による電子的価値の生成処理について説明する。
【0049】
ステップS501において、取得部202は、発行者端末102から、価値情報を取得する。例えば、発行者IDが「PB01」である発行者は、価値名称、単位名、サブ単位名、生成数及び取引単位をそれぞれ、「Aコイン」、「X」、「α」、「100000X」及び「1α」として、発行者端末102から電子的価値管理装置101に送信する。
【0050】
ステップS502において、取得部202は、発行者端末102から、手数料設定情報を取得する。例えば、発行者ID「PB01」の発行者は、手数料負担者、手数料種別及び手数料算出方法をそれぞれ、「加盟店」、「取引内課金」、「パーセント方式」として、発行者端末102から電子的価値管理装置101に送信する。
【0051】
ステップS503において、価値換算情報取得部205は、発行者端末102から、価値換算情報を取得する。例えば、発行者ID「PB01」の発行者は、交換対象の価値種別及び換算率をそれぞれ、「円」及び「1X=1円」として発行者端末102から電子的価値管理装置101に送信する。
【0052】
ステップS504において、生成部203は、価値情報、手数料設定情報及び価値換算情報を関連付けて記憶部201に記憶する。ステップS501からステップS504までの生成処理によって、電子的価値の利用の準備が整う。
【0053】
図6を参照して、電子的価値を取引に使用する前段階として、利用者及び加盟店の登録と利用者による電子的価値の交換について説明する。図5では、発行者による生成処理はなされているものとする。
【0054】
ステップS601において、電子的価値の利用を希望する利用者は利用者端末1031を通じて利用者情報を電子的価値管理装置101に送信する。ステップS602において、電子的価値管理装置101の記憶部201に利用者情報が記録され利用者登録がなされる。利用者情報は例えば、メールアドレスなどの連絡先に関する情報及び精算に関する情報を含む。精算に関する情報は、手数料や電子的価値の交換への対価が請求される銀行口座やクレジットカードの情報である。精算に関する情報は暗号資産のウォレットを含むこともできる。
【0055】
ステップS603において、電子的価値の利用を希望する加盟店は加盟店端末104を通じて加盟店情報を電子的価値管理装置101に送信する。ステップS604において、電子的価値管理装置101の記憶部201に加盟店情報が記録され、加盟店登録がなされる。加盟店情報は、利用者情報と同様に、連絡先に関する情報及び精算に関する情報を含む。
【0056】
ステップS605において、利用者は利用者端末1031を通じて、電子的価値管理装置101へ電子的価値の購入要求を送信する。ステップS606において、電子的価値管理装置101の交換部206は、購入要求に応じた請求額算出処理を行う。購入要求には、電子的価値の購入希望数量が含まれる。購入希望数量は例えば、図3の価値名称「Aコイン」の電子的価値を数量「5X5α」だけ購入するといったものである。交換部206は、記憶部201の価値発行情報から、対象の電子的価値の交換対象の換算率を参照し、請求金額を算出する。先の例の場合は、換算率が1X=100円であるので、交換部206は換算された金額を550円として算出する。また、電子的価値の「手数料発生タイミング」が「交換時」である場合は、手数料算出部204が手数料算出情報に基づいて手数料を算出した上で、請求金額を算出する。Aコインにおける、この場合の手数料は、1.005αであるので、10α=1Xの関係から、端数を切り下げるなどして、1円が手数料として算出される。よって、請求金額は551円である。なお、算出された手数料が、円等の通貨単位を用いて算出された手数料である場合、すなわち換算する必要がない場合がある。この場合、交換部206は、算出された手数料を換算せずに用いることができる。
【0057】
ステップS607において、手数料請求部208は、請求額算出処理で算出した金額について、記憶部201に記録される利用者情報に基づいて、請求処理を行う。例えば、利用者が登録した銀行口座への引き落とし要求や、クレジットカードへの請求である。請求処理は、銀行口座あるいはクレジットカードを管理する外部の装置へ要求を送信し、当該外部の装置から請求結果を取得する。ステップS608において、交換部206は請求が正しく行われたかを確認する。
【0058】
ステップS608で請求完了が確認されると、ステップS609において、残高管理部207は、記憶部201に記憶される価値管理情報を更新する。
【0059】
ステップS610において、残高管理部207は、利用者端末1031に、購入の結果得られた電子的価値の残高を示す残高情報を送信する。ステップS611において、利用者端末1031に電子的価値の残高が表示される。これにより、利用者は電子的価値の購入が行われたことを把握できる。
【0060】
図7を参照して、利用者による加盟店における決済について説明する。図7で説明される例では、電子的価値の手数料算出方法は「使用時」が設定されているものとする。
【0061】
ステップS701において、利用者の操作によって利用者端末1031に電子的価値を利用するための決済用画面が表示される。ステップS702において、加盟店端末104には、表示された電子的価値に対応した決済を行うための決済用画面が表示される。
【0062】
ステップS703において、利用者端末1031から、利用者が受け渡す電子的価値の量を含む購買情報が、電子的価値管理装置101に送信される。ステップS704において、加盟店端末104から、加盟店が利用者から受け取る電子的価値の量を含む販売情報が、電子的価値管理装置101に送信される。
【0063】
ステップS705において電子的価値管理装置101の残高管理部207は、利用者端末1031及び加盟店端末104からの情報に基づいて、販売処理として、価値管理情報を更新する。
【0064】
ステップS706において、残高管理部207は、利用者端末1031へ、更新された利用者の残高情報を送信する。ステップS707において、残高管理部207は、利用者端末1031へ、更新された加盟店の残高情報を送信する。
【0065】
利用者端末1031に送信された残高情報は、ステップS708において利用者端末1031に表示され得る。加盟店端末104に送信された残高情報は、ステップS709において加盟店端末104に表示され得る。
【0066】
ステップS710において、電子的価値管理装置101の手数料算出部204は、記憶部201に記憶される手数料算出情報に基づいて、手数料を算出する。手数料の具体的な算出の流れについて、一例として、手数料発生タイミングが「使用時」である価値名称が「Cコイン」の電子的価値における取引を説明する。
【0067】
Cコインを用いた取引において、ID001で識別される保有者が、10Zの取引をID502で識別される保有者(加盟店)において行ったとする。このとき、残高管理部207は、ID001の保有者の保有量である20Zから10Zを引き、10Zとして更新する。残高管理部は、ID502で識別される保有者の残高を150Zに10Zを加えた160Zとして更新する。
【0068】
図3を参照すると、Cコインには、手数料負担者として、利用者と加盟店とが設定される。Cコインを用いた決済では、利用者に対して取引外課金として固定値である5円が課金される。よって、利用者の手数料は5円である。また、加盟店に対して取引内課金としてパーセント方式が設定され、割合は2%である。よって、取引額10Zの2%である、0.2Z(=2β)の手数料が、手数料算出部204によって算出される。
【0069】
ステップS711において、手数料請求部208は、手数料算出部204が算出した手数料に基づいて、利用者及び加盟店に対して手数料を精算する処理を行う。手数料請求部208は、Cコインの例において、手数料が0.2Zと算出されたような場合、円への換算を行う。Cコインの「換算率」は、外部の取引所における円の価格に連動して算出される取引所価格連動係数を用いて、1Z=(取引所価格連動係数)×100円である。ここで、取引所価格連動係数を1.2とすると、手数料は、24円となる。手数料の精算は、記憶部201に記憶される精算に関する情報に基づいて、算出された手数料を請求することによって行われる。請求を処理する端末はネットワークNを通じて電子的価値管理装置101と通信可能な外部の端末である。
【0070】
また、記憶部201に記憶される価値生成情報において、発行者を課金対象と設定された電子的価値を用いた取引の場合も同様に発行者に対して手数料の算出及び精算が行われる。
【0071】
外部端末105と電子的価値管理装置101の関係について説明する。外部端末105は他の電子的価値を管理する端末である。電子的価値管理装置101で管理される電子的価値は、所定の換算レートに基づいて、外部端末105で管理される電子的価値と交換可能である。また、手数料算出部204が算出した手数料を精算する際に、外部端末105で管理される電子的価値へと手数料を換算した上で、外部端末105で管理される電子的価値を用いるようにしてもよい。
【0072】
第1実施形態に係る電子的価値管理システム1では、利用者端末1031と利用者端末1032との間で電子的価値が交換可能であるようにしてもよい。このとき、電子的価値管理装置101は、利用者端末1031と利用者端末1032とから、電子的価値のやり取りに関する情報を取得し、手数料を算出するようにできる。
【0073】
第1実施形態に係る電子的価値管理装置101によって実現し得るサービスについて一例を説明する。発行者は地域振興のために、電子的価値の発行を行うとする。加盟店は対象地域にある店舗等である。この場合に、発行者は、手数料負担者を利用者とし、加盟店には手数料を負担させない。一方で、加盟店に対しては、手数料の負担をさせない代わりに、利用者に対して限定特典を提供することを条件とする。利用者は、手数料を負担することとなるが、限定特典を受けられる利点がある。
【0074】
以上第1実施形態について説明した。なお、第1実施形態に係る電子的価値管理装置101では、同一の発行主体が別種の電子的価値を発行することも可能である。第1実施形態では、価値管理情報は電子的価値管理装置101によって管理されていたが、価値管理情報は、外部の装置に記憶され管理されてもよい。その場合、電子的価値管理装置101は、生成した価値情報と取得した手数料設定情報とを当該外部の装置に送信して、電子的価値を生成する。
【0075】
第1実施形態に係る電子的価値管理装置101は、電子的価値の利用に対する手数料に関する情報を含み、手数料の算出に用いられる手数料設定情報を取得する取得処理と、電子的価値を示す価値情報を生成し、価値情報を手数料設定情報と関連付けて記憶部に記憶する生成処理と、電子的価値の利用に応じた手数料を、電子的価値を示す価値情報に関連付けられた手数料設定情報に基づいて算出する手数料算出処理と、を実行する。
【0076】
発行者は手数料の算出に関して、別途手数料を算出する方法を用いることなく、電子的価値を発行することが可能となる。これにより、発行者の発行時の負担を軽減することができ、電子的価値の発行を促す。よって、電子的価値の利用を促すことができる。また、電子的価値管理システム1の維持に必要となる手数料の負担者を設定しつつ、電子的価値を発行できるので、電子的価値管理システム1の持続性を高めることが可能となる。
【0077】
第1実施形態に係る電子的価値管理装置101では、手数料設定情報は、手数料の負担者を示す、電子的価値の発行者と、電子的価値を用いて決済を行う利用者と、電子的価値を決済手段として利用可能とする加盟店と、のうちの少なくとも一つを示す情報を含む。これにより、発行者が手数料の負担先を選択することが可能となり、電子的価値の発行に際しての負担が軽減される。よって、電子的価値の利用を促すことが可能になる。
【0078】
第1実施形態に係る電子的価値管理装置101では、手数料設定情報は、手数料が発生するするタイミングを示す情報を含む。これにより、手数料をどのタイミングで発生させるかを発行者が選択できるようになるため、手数料を設定する場合の負担を軽減し、発行者の利便性が向上する。よって、電子的価値の利用を促すことが可能になる。
【0079】
第1実施形態に係る電子的価値管理装置101は、電子的価値と換算可能な他の価値の種別を選択し、他の価値との換算率とを決定するための価値換算情報を取得する価値換算情報取得処理と、価値換算情報に基づいて、電子的価値を他の価値と交換するための交換処理と、を実行し、手数料を算出するタイミングは、交換処理が行われるタイミングである。
【0080】
これにより、発行者は、自身が発行する電子的価値の価値換算の基準を設定することが可能となる。また、電子的価値の発行後は、手数料算出タイミングを交換時として交換処理を行うことによって、設定された基準をもとに電子的価値と他の価値との交換がなされるようにできる。換算基準の設定とその設定を適用可能にすることで、発行者による発行の利便性が向上する。よって、電子的価値の利用を促すことが可能になる。
【0081】
第2実施形態に係る電子的価値管理装置801について説明する。電子的価値管理装置801は、図1の電子的価値管理装置101と同様にネットワークNを通じて発行者端末102、利用者端末1031、1032、加盟店端末104、外部端末105に通信可能に接続される。第2実施形態では第1実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0082】
図8には、第2実施形態に係る電子的価値管理装置801の構成を示すブロック図が示される。電子的価値管理装置801は、記憶部201、インターフェイス情報取得部802、生成部203A、交換部206A及び残高管理部207を備える。
【0083】
インターフェイス情報取得部802は、価値情報及び電子的価値を使用する際に用いられるユーザインターフェイスを生成するためのインターフェイス情報を取得する。インターフェイス情報は、例えば、画面の背景、メニュー画面、キャラクターによるガイド表示、画面操作時のサウンド設定等を含む。
【0084】
生成部203Aは、電子的価値を示す価値情報を生成し、価値情報をインターフェイス情報と関連付けて記憶部に記憶する。生成部203Aは、電子的価値管理装置101の生成部203とは、価値情報を手数料設定情報に関連付けなくともよい点で異なる。
【0085】
交換部206Aは、生成部203Aが生成した電子的価値を、他の価値と交換する処理を行う。交換部206Aは、電子的価値管理装置101の交換部206とは、手数料に関する処理を必ずしも行う必要がない点で異なる。
【0086】
図9を参照して、電子的価値管理装置801による、電子的価値の生成について説明する。
【0087】
ステップS901において、インターフェイス情報取得部802は、発行者端末102から価値情報を取得する。
【0088】
ステップS902において、インターフェイス情報取得部802は、発行者端末102からインターフェイス基本情報を取得する。インターフェイス情報の取得にあたっては、インターフェイス情報取得部802が発行者端末102へ、インターフェイス情報の選択肢を送信し、発行者が受信した選択肢の中から項目を選択することによって、インターフェイス情報を取得するようにしてもよい。
【0089】
ステップS903において、生成部203Aは、価値情報をインターフェイス情報と関連付けて記憶部に記憶する。
【0090】
電子的価値の利用及び交換は第1実施形態と同様にして行うことができる。
【0091】
インターフェイス情報取得部802が取得するインターフェイス情報は、電子的価値を用いて決済を行う利用者の利用者端末1031、1032に表示される利用者端末インターフェイスを生成するための情報を含んでもよい。
【0092】
インターフェイス情報取得部802が取得するインターフェイス情報は、電子的価値を決済手段として利用可能とする加盟店の加盟店端末104に表示される加盟店端末インターフェイスを生成するための情報を含んでもよい。
【0093】
例えば、第2実施形態に係る電子的価値管理装置801によって実現し得るサービスについて一例を説明する。電子的価値管理装置801は、ある映画に関連する地域及び加盟店等で利用可能な電子的価値を生成する。その際、映画のキャラクターをインターフェイスとして設定することで、利用に伴って映画のプロモーションを行うことが可能となる。
【0094】
以上第2実施形態について説明した。第2実施形態に係る電子的価値管理装置801では、発行者はインターフェイス情報を設定可能となる。発行者は、電子的価値の交換や精算に関しては、発行者ごとに差異のないプラットフォームを使用することができる。ここで、電子的価値の発行と合わせてインターフェイスを設定可能とすることで、発行者は、電子的価値の交換や精算のプラットフォームを独力で用意する必要なく、発行者ごとの個性を付加可能なインターフェイスを用いることができる。
【0095】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその条件等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0096】
1…電子的価値管理システム、101、801…電子的価値管理装置、102…発行者端末、1031、1032…利用者端末、104…加盟店端末、105…外部端末、201…記憶部、202…取得部、203、203A…生成部、204…手数料算出部、205…価値換算情報取得部、206、206A…交換部、207…残高管理部、208…手数料請求部、802…インターフェイス情報取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9