IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-二次電池 図1
  • 特許-二次電池 図2
  • 特許-二次電池 図3
  • 特許-二次電池 図4
  • 特許-二次電池 図5
  • 特許-二次電池 図6
  • 特許-二次電池 図7
  • 特許-二次電池 図8
  • 特許-二次電池 図9
  • 特許-二次電池 図10
  • 特許-二次電池 図11
  • 特許-二次電池 図12
  • 特許-二次電池 図13
  • 特許-二次電池 図14
  • 特許-二次電池 図15
  • 特許-二次電池 図16
  • 特許-二次電池 図17
  • 特許-二次電池 図18
  • 特許-二次電池 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-28
(45)【発行日】2023-07-06
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/533 20210101AFI20230629BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20230629BHJP
   H01M 50/103 20210101ALI20230629BHJP
   H01M 50/105 20210101ALI20230629BHJP
   H01M 50/54 20210101ALI20230629BHJP
   H01M 50/538 20210101ALI20230629BHJP
   H01M 50/586 20210101ALI20230629BHJP
   H01M 50/591 20210101ALI20230629BHJP
【FI】
H01M50/533
H01M10/04 Z
H01M10/04 W
H01M50/103
H01M50/105
H01M50/54
H01M50/538
H01M50/586
H01M50/591 101
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020156930
(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公開番号】P2022050804
(43)【公開日】2022-03-31
【審査請求日】2021-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(72)【発明者】
【氏名】藤嶋 正剛
【審査官】儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】特許第6362065(JP,B2)
【文献】中国特許出願公開第110620209(CN,A)
【文献】特開2003-187781(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0370345(US,A1)
【文献】特開平06-203824(JP,A)
【文献】特表2013-534361(JP,A)
【文献】特開2010-003803(JP,A)
【文献】特開2017-107773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50
H01M 10/04
H01M 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装体と、
前記外装体に収容された複数の電極体と
を備え、
前記複数の電極体は、正極シートと負極シートとがセパレータを介して積層された積層構造をそれぞれ備え、
前記正極シートは、
前記正極シートと前記負極シートとが前記セパレータを介して積層された部位からはみ出た第1正極タブと、
前記第1正極タブとは別の位置で前記積層された部位からはみ出た第2正極タブと
を有し、
前記負極シートは、
前記第1正極タブおよび前記第2正極タブとは別の位置で前記積層された部位からはみ出た第1負極タブと、
前記第1正極タブ、前記第2正極タブおよび前記第1負極タブとは別の位置で前記積層された部位からはみ出た第2負極タブと
を有し、
前記複数の電極体は、前記外装体内の1つの空間内に予め定められた配置で順に並べられており、
隣り合う2つの電極体の正極シートは、前記第1正極タブと前記第2正極タブの何れかが接合されることによって電気的に接続されており、かつ、
隣り合う2つの電極体の負極シートは、前記第1負極タブと前記第2負極タブの何れかが接合されることによって電気的に接続されており、
前記外装体は、予め定められた配置で順に並べられた前記複数の電極体のうち一端に配置された電極体の正極シートに接続された正極端子と、他端に配置された電極体の負極シートに接続された負極端子とが設けられている、
二次電池。
【請求項2】
前記正極シートと前記負極シートとは、前記セパレータを介して重ねられた矩形の領域を備え、
前記第1正極タブは、前記矩形の領域の片側の縁に設けられており、
前記第1負極タブは、前記矩形の領域の片側の縁において前記第1正極タブと干渉しない位置に設けられており、
前記第2正極タブは、前記矩形の領域の反対側の縁に設けられており、
前記第2負極タブは、前記矩形の領域の反対側の縁において前記第2正極タブと干渉しない位置に設けられている、
請求項1に記載された二次電池。
【請求項3】
前記第1正極タブは、前記矩形の領域の片側の縁に沿って第1の側に寄せて配置されており、
前記第2正極タブは、前記矩形の領域の反対側の縁に沿って、前記第1正極タブが配置された側とは反対の第2の側に寄せて配置されており、
前記第1負極タブは、前記矩形の領域の片側の縁に沿って前記第2の側に寄せて配置されており、
前記第2負極タブは、前記矩形の領域の反対側の縁に沿って前記第1の側に寄せて配置されている、
請求項2に記載された二次電池。
【請求項4】
前記複数の電極体は並べられた順に接続された部位が折り曲げられた状態で重ねられている、請求項3に記載された二次電池。
【請求項5】
前記第1正極タブは、前記矩形の領域の片側の縁に沿って第1の側に寄せて配置されており、
前記第2正極タブは、前記矩形の領域の反対側の縁に沿って前記第1の側に寄せて配置されており、
前記第1負極タブは、前記矩形の領域の片側の縁に沿って、前記第1正極タブが配置された側とは反対の第2の側に寄せて配置されており、
前記第2負極タブは、前記矩形の領域の反対側の縁に沿って前記第2の側に寄せて配置されている、
請求項2に記載された二次電池。
【請求項6】
前記複数の電極体は、予め定められた形状に形成された正極シートと負極シートとがセパレータを介在させて交互に重ねられている、請求項1から5までの何れか一項に記載された二次電池。
【請求項7】
前記複数の電極体は、それぞれ帯状の正極シートと、帯状の負極シートが長さ方向を揃えて重ねられて幅方向に設定された捲回軸周りに捲回された捲回電極体である、請求項1から5までの何れか一項に記載された二次電池。
【請求項8】
前記複数の電極体は、前記外装体の中において、前記正極シートと前記負極シートの積層方向の向きを揃えて前記外装体の長辺方向に沿って一列に並べられ、それぞれ電気的に並列に接続されている、
請求項1から7までの何れか一項に記載された二次電池。
【請求項9】
一列に並べられた複数の電極体のうち、一端の電極体に正極端子が取り付けられ、他端の電極体に負極端子が取り付けられている、請求項8に記載された二次電池。
【請求項10】
前記外装体は、
略矩形の底面部と、
前記底面部のうち長辺から立ち上がった一対の幅広面部と、
前記底面部のうち短辺から立ち上がった一対の幅狭面部と、
前記底面部に対向した上面部と
を有し、
前記短辺は、前記正極シートと前記負極シートとの積層方向に沿った、前記電極体の厚さに応じた長さであり、
前記長辺は、前記積層方向を平行にして前記複数の電極体を一列に並べられた長さに応じた長さである、
請求項9に記載された二次電池。
【請求項11】
前記外装体は、少なくとも2枚のプレート材が接合された、角型ケースである、
請求項10に記載された二次電池。
【請求項12】
前記複数の電極体の隣り合う2つの電極体は、電気的に並列に接続されており、前記隣り合う2つの電極体が接合された部位が折り曲げられて、前記隣り合う2つの電極体の前記正極シートと前記負極シートとが積層された部位が重ねられた状態で、前記外装体に収容されている、
請求項1から7までの何れか一項に記載された二次電池。
【請求項13】
前記外装体は、少なくとも2枚のプレート材が接合された、角型ケースである、
請求項12に記載された二次電池。
【請求項14】
前記外装体は、前記複数の電極体を覆うラミネートフィルム外装体である、請求項1から9、および、12のうち何れか一項に記載された二次電池。
【請求項15】
前記正極端子と前記負極端子に接続されない、一端の電極体の負極タブと、他端の電極体の正極タブとは、それぞれ絶縁処理が施されている、請求項1から14までの何れか一項に記載された二次電池。
【請求項16】
前記複数の電極体のうち一端の電極体は、前記正極端子に接続される電極タブのみを有している、請求項1から14までの何れか一項に記載された二次電池。
【請求項17】
前記複数の電極体のうち他端の電極体は、前記負極端子に接続される電極タブのみを有している、請求項1から14までの何れか一項に記載された二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
中国特許出願公開第110518174号明細書には、電池ケース内に直列に接続された複数の電極体が収容された構造が開示されている。
【0003】
特開2019-204799号公報には、2つの扁平状の捲回電極体が角形外装体内に収納された二次電池が開示されている。ここで開示された二次電池は、捲回電極体のそれぞれの捲回軸が、封口板に対して垂直な方向に配置されている。捲回電極体の正極タブ部及び負極タブ部は、封口板側に位置している。2つの捲回電極体の正極タブ部は、外装体内で正極集電体に接続されている。2つの捲回電極体の負極タブ部は、外装体内で負極集電体に接続されている。2つの捲回電極体の正極タブ部と正極集電体は、抵抗溶接によって溶接されている。2つの捲回電極体の負極タブ部と負極集電体は、抵抗溶接によって溶接されている。
【0004】
同公報の図9および図10に開示されているように、具体的には、正極集電体は、2つの捲回電極体の正極タブ部の間に配置されている。正極集電体は、外装体側に配置されるベース部と、ベース部から2つの捲回電極体の正極タブ部に沿って対向して延びた2つの接続部とを有している。そして、2つの接続部には、2つの接続部が対向する側の外側に正極タブ部が重ねられて接合されている。負極集電体および2つの捲回電極体の負極タブ部についても同様の構造で接合されている。接合は、抵抗溶接による。また、抵抗溶接の代わりに超音波溶接やレーザ等の高エネルギー線による溶接等を用いることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】中国特許出願公開第110518174号明細書
【文献】特開2019-204799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、本発明者は、外装体内に複数の電極体を収容すること、および、外装体内に収容された複数の電極体を電気的に並列に接続することによって、二次電池の高容量化を図ることを検討している。特開2019-204799号公報では、2つの捲回電極体が、外装体に取り付けられた正極集電体および負極集電体によって並列に接続されている。しかし、さらに多くの電極体を収容する場合には、特開2019-204799号公報で開示された構造は、そのままの形態では採用できない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここで開示される二次電池は、外装体と、外装体に収容された複数の電極体とを備えている。複数の電極体は、正極シートと負極シートとがセパレータを介して積層された積層構造をそれぞれ備えている。正極シートは、正極シートと負極シートとがセパレータを介して積層された部位からはみ出た第1正極タブと、第1正極タブとは別の位置で積層された部位からはみ出た第2正極タブとを有している。負極シートは、第1正極タブおよび第2正極タブとは別の位置で積層された部位からはみ出た第1負極タブと、第1正極タブ、第2正極タブおよび第1負極タブとは別の位置で積層された部位からはみ出た第2負極タブとを有している。複数の電極体は、外装体内に予め定められた配置で順に並べられている。隣り合う2つの電極体の正極シートは、第1正極タブと第2正極タブの何れかが接合されることによって電気的に接続されている。さらに、隣り合う2つの電極体の負極シートは、第1負極タブと第2負極タブの何れかが接合されることによって電気的に接続されている。
【0008】
かかる二次電池では、外装体に複数の電極体が収容されている。このため、高容量化が図られる。また、外装体に収容された複数の電極体の隣り合う電極体は、正極タブと正極タブ、および、負極タブと負極タブが電気的に接続されることによって、それぞれ並列に接続されている。このため、外装体内に収容された複数の電極体の電圧が把握することが容易になる。
【0009】
正極シートと負極シートとは、セパレータを介して重ねられた矩形の領域を備えていてもよい。第1正極タブは、矩形の領域の片側の縁に設けられていてもよい。第1負極タブは、矩形の領域の片側の縁において第1正極タブと干渉しない位置に設けられていてもよい。第2正極タブは、矩形の領域の反対側の縁に設けられていてもよい。第2負極タブは、矩形の領域の反対側の縁において第2正極タブと干渉しない位置に設けられていてもよい。
【0010】
第1正極タブは、矩形の領域の片側の縁に沿って第1の側に寄せて配置されていてもよい。第2正極タブは、矩形の領域の反対側の縁に沿って、第1正極タブが配置された側とは反対の第2の側に寄せて配置されていてもよい。第1負極タブは、矩形の領域の片側の縁に沿って第2の側に寄せて配置されていてもよい。第2負極タブは、矩形の領域の反対側の縁に沿って第1の側に寄せて配置されていてもよい。複数の電極体は並べられた順にひっくり返されていてもよい。
【0011】
第1正極タブは、矩形の領域の片側の縁に沿って第1の側に寄せて配置されていてもよい。第2正極タブは、矩形の領域の反対側の縁に沿って第1の側に寄せて配置されていてもよい。第1負極タブは、矩形の領域の片側の縁に沿って、第1正極タブが配置された側とは反対の第2の側に寄せて配置されていてもよい。第2負極タブは、矩形の領域の反対側の縁に沿って第2の側に寄せて配置されていてもよい。
【0012】
複数の電極体は、予め定められた形状に形成された正極シートと負極シートとがセパレータを介在させて交互に重ねられていてもよい。複数の電極体は、それぞれ帯状の正極シートと、帯状の負極シートが長さ方向を揃えて重ねられて幅方向に設定された捲回軸周りに捲回された捲回電極体であってもよい。
【0013】
複数の電極体は、外装体の中において、正極シートと負極シートの積層方向の向きを揃えて外装体の長辺方向に沿って一列に並べられ、それぞれ電気的に並列に接続されていてもよい。一列に並べられた複数の電極体のうち、一端の電極体に正極端子が取り付けられ、他端の電極体に負極端子が取り付けられていてもよい。
【0014】
外装体は、略矩形の底面部と、底面部のうち長辺から立ち上がった一対の幅広面部と、底面部のうち短辺から立ち上がった一対の幅狭面部と、底面部に対向した上面部とを有していてもよい。短辺は、正極シートと負極シートとの積層方向に沿った、電極体の厚さに応じた長さであってもよい。長辺は、積層方向を平行にして複数の電極体を一列に並べられた長さに応じた長さであってもよい。
【0015】
外装体は、少なくとも2枚のプレート材が組み合わされ、組み合わされたプレート材が接合された、角型ケースであってもよい。
【0016】
複数の電極体の隣り合う2つの電極体は、電気的に並列に接続されており、隣り合う2つの電極体が接合された部位が折り曲げられて、隣り合う2つの電極体の正極シートと負極シートとが積層された部位が重ねられた状態で、外装体に収容されていてもよい。外装体は、少なくとも2枚のプレート材が接合された、角型ケースであってもよい。外装体は、複数の電極体を覆うラミネートフィルム外装体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、二次電池10を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、電極体12の平面図である。
図3図3は、電極体12において負極シート32が重ねられた部分が図示された平面図である。
図4図4は、電極体12において正極シート31が重ねられた部分が図示された平面図である。
図5図5は、正極シート31と、負極シート32と、セパレータ33とに分離した電極体12の模式図である。
図6図6は、正極シート31の製造工程を示す模式図である。
図7図7は、捲回型の電極体12Aを分解した模式的な分解図である。
図8図8は、展開された捲回型の電極体12Aの模式的な展開図である。
図9図9は、3つの電極体12が接合された状態が模式的に示された斜視図である。
図10図10は、3つの電極体12を接合する際の接合工程を示す模式図である。
図11図11は、複数の電極体12が、外装体11に収容される工程を示す斜視図である。
図12図12は、他の形態に係る二次電池10Aを示す斜視図である。
図13図13は、図12に示された二次電池10Aに収容された複数の電極体12を示す平面図である。
図14図14は、他の形態に係る二次電池10Bを示す斜視図である。
図15図15は、図14に示された二次電池10Bに収容された電極体12を示す斜視図である。
図16図16は、他の形態に係る電極体12Bを示す平面図である。
図17図17は、複数の電極体12Bが接続された状態を示す斜視図である。
図18図18は、複数の電極体12Bが、外装体11Cに収容された二次電池10Cを示す斜視図である。
図19図19は、複数の電極体12Bの他の形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、ここで開示される二次電池の一実施形態を説明する。なお、以下の図面においては、同じ作用を奏する部材・部位には、適宜に同じ符号を付して説明している。また、各図における寸法関係は実際の寸法関係を反映するものではない。
【0019】
本明細書において、「電池」とは、電気エネルギーを取り出し可能な蓄電デバイス一般を指す用語であって、一次電池および二次電池を含む概念である。「二次電池」とは、繰り返し充放電可能な蓄電デバイス一般をいう。「二次電池」には、リチウム二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池などのいわゆる蓄電池が包含されうる。以下、二次電池の一種であるリチウムイオン二次電池を例示して、ここで開示される二次電池を詳細に説明する。ただし、ここで開示される二次電池は、特に言及されない限りにおいて、ここで説明される実施形態に限定されない。
【0020】
《二次電池10》
図1は、二次電池10を模式的に示す斜視図である。図1に示されているように、二次電池10は、外装体11と、複数の電極体12とを備えている。
【0021】
〈外装体11〉
外装体11は、図1に示されているように、複数の電極体12を収容する収容体である。この実施形態では、外装体11は、略直方体のいわゆる角型のケースである。外装体11は、底面部11aと、幅広面部11b、11cと、幅狭面部11d,11eと、上面部11fとを有している。
【0022】
底面部11aは、略矩形である。この実施形態では、図1に示されているように、外装体11には、複数の電極体12が向きを揃えて一列に並べられている。外装体11の内側において、底面部11aの短辺は、1つの電極体12の厚さに応じた長さを有している。底面部11aの長辺は、一列に並べられた複数の電極体12の長さに応じた長さを有している。
【0023】
幅広面部11bは、底面部11aの一方の長辺から立ち上がっている。幅広面部11cは、底面部11aの他方の長辺から立ち上がっている。幅狭面部11dは、底面部11aの一方の短辺から立ち上がっている。幅狭面部11eは、底面部11aの他方の短辺から立ち上がっている。上面部11fは、底面部11aに対向し、一対の幅広面部11b、11cと一対の幅狭面部11d,11eの上部の開口を閉じている。外装体11については、後でさらに述べる。
【0024】
〈電極体12〉
図2は、電極体12の平面図である。図3は、図2に示された電極体12において負極シート32が重ねられた部分が図示された平面図である。図4は、図2に示された電極体12において正極シート31が重ねられた部分が図示された平面図である。図5は、正極シート31と、負極シート32と、セパレータ33とに分離した電極体12の模式図である。電極体12は、図2図5に示されているように、正極シート31と負極シート32とがセパレータ33を介して積層された積層構造を備えている。ここでは、電極体12は、予め定められた形状に形成された正極シート31と負極シート32とがセパレータ33を介在させて交互に重ねられた、いわゆる積層型の電極体が例示されている。
【0025】
〈正極シート31〉
正極シート31は、図4および図5に示されているように、正極集電箔31aと、正極集電箔31aに形成された正極活物質層31bとを備えている。図4では、正極活物質層31bを部分的に剥離し、正極活物質層31bに隠れた正極集電箔31aが部分的に露出した状態が模式的に図示されている。正極集電箔31aには、例えば、アルミニウム箔が用いられうる。正極活物質層31bは、正極活物質を含む層である。正極活物質は、例えば、リチウムイオン二次電池では、リチウム遷移金属複合材料のように、充電時にリチウムイオンを放出し、放電時にリチウムイオンを吸収しうる材料である。正極活物質は、一般的にリチウム遷移金属複合材料以外にも種々提案されており、特に限定されない。正極活物質層31bは、正極集電箔31aの両側面にそれぞれ形成されている。
【0026】
この実施形態では、正極シート31と負極シート32とがセパレータ33を介して積層された部位12aは、略矩形である。正極シート31と負極シート32とがセパレータ33を介して重ねられた矩形の領域(積層された部位12a)では、正極シート31の両面に、正極活物質層31bがそれぞれ形成されている。正極シート31は、第1正極タブ31a1と、第2正極タブ31a2とをさらに有している。第1正極タブ31a1と第2正極タブ31a2は、正極シート31と負極シート32とがセパレータ33を介して重ねられた矩形の領域(積層された部位12a)から正極集電箔31aの一部がはみ出たものである。この実施形態では、第1正極タブ31a1と第2正極タブ31a2は、正極シート31と負極シート32とがセパレータ33を介して重ねられた矩形の領域の対角に配置されている。
【0027】
〈負極シート32〉
負極シート32は、図3に示されているように、負極集電箔32aと、負極集電箔32aに形成された負極活物質層32bとを備えている。図3では、負極活物質層32bを部分的に剥離し、負極活物質層32bに隠れた負極集電箔32aが部分的に露出した状態が模式的に図示されている。負極集電箔32aには、例えば、銅箔が用いられうる。負極活物質層32bは、負極活物質を含む層である。負極活物質は、例えば、リチウムイオン二次電池では、天然黒鉛のように、充電時にリチウムイオンを吸蔵し、充電時に吸蔵したリチウムイオンを放電時に放出しうる材料である。負極活物質は、一般的に天然黒鉛以外にも種々提案されており、特に限定されない。負極活物質層32bは、負極集電箔32aの両側面にそれぞれ形成されている。
【0028】
この実施形態では、正極シート31と負極シート32とがセパレータ33を介して重ねられた矩形の領域(積層された部位12a)では、負極シート32の両面に、負極活物質層32bがそれぞれ形成されている。負極活物質層32bは、正極シート31の正極活物質層31bを覆いうるように、正極活物質層31bよりも一回り大きい幅で形成されている。負極シート32は、第1負極タブ32a1と、第2負極タブ32a2とをさらに有している。第1負極タブ32a1と第2負極タブ32a2は、正極シート31と負極シート32とがセパレータ33を介して重ねられた矩形の領域(積層された部位12a)から負極集電箔32aの一部がはみ出たものである。この実施形態では、第1負極タブ32a1と第2負極タブ32a2は、正極シート31と負極シート32とがセパレータ33を介して重ねられた矩形の領域の対角に配置されている。
【0029】
〈セパレータ33〉
セパレータ33は、例えば、所要の耐熱性を有する電解質が通過しうる多孔質の樹脂シートが用いられる。セパレータ33は、負極シート32の負極活物質層32bを覆いうるように、負極活物質層32bよりも一回り大きい矩形の形状で形成されている。セパレータ33についても種々提案されており、特に限定されない。負極シート32の負極活物質層32bは、セパレータ33を介在させた状態で正極シート31の正極活物質層31bを覆っているとよい。セパレータ33は、さらに正極シート31の正極活物質層31bおよび負極シート32の負極活物質層32bを覆っているとよい。
【0030】
図5に示されているように、電極体12の製造では、予め定められた形状に整えられた正極シート31と、負極シート32と、セパレータ33とが用意される。そして、図2図4に示されているように、セパレータ33,負極シート32,セパレータ33,正極シート31,セパレータ33,負極シート32,・・・,セパレータ33,正極シート31、セパレータ33、負極シート32、セパレータ33の順で重ねられている。積層方向の両側では、最も外にセパレータ33が重ねられ、その内側に負極シート32が重ねられており、さらにその内側では、正極シート31と負極シート32とがセパレータ33を介して積層されている。
【0031】
図2に示されているように、第1正極タブ31a1と第2正極タブ31a2は、正極シート31と負極シート32とがセパレータ33を介して重ねられた矩形の領域(積層された部位12a)の対角において、矩形の領域(積層された部位12a)からはみ出ている。第1負極タブ32a1と第2負極タブ32a2は、第1正極タブ31a1と第2正極タブ31a2とは異なる対角において、矩形の領域(積層された部位12a)からはみ出ている。このように、第2正極タブ31a2は、第1正極タブ31a1とは別の位置で積層された部位12aからはみ出ている。第2負極タブ32a2は、第1負極タブ32a1とは別の位置で積層された部位12aからはみ出ている。
【0032】
〈積層型の電極体の製造工程〉
図6は、正極シート31の製造工程を示す模式図である。図6に示されているように、正極シート31は、正極活物質層31bが両面に形成された帯状の正極集電箔31aを用意する。正極活物質層31bは、帯状の正極集電箔31aの予め定められた幅領域において、正極集電箔31aの両面に形成されている。正極シート31は、例えば、ロールtoロール方式で製造される。まず、帯状の正極集電箔31aを搬送しつつ、正極活物質層31bに正極活物質層31bが形成される。正極集電箔31aの両面に正極活物質層31bが形成された後、第1正極タブ31a1と第2正極タブ31a2を含めて、予め定められた形状に切り出される。図6では、搬送される正極集電箔31aが途中で破断されている。図6には、正極シート31の製造工程における前段で行われる正極活物質層31bが形成される工程と、後段で行われる正極シート31が切断される工程とが図示されている。
【0033】
正極活物質層31bが形成される工程では、帯状の正極集電箔31aと、正極活物質を含む正極合剤が用意されている。帯状の正極集電箔31aは、幅方向の中央に正極活物質層31bが形成される領域が設定されている。そして、正極活物質層31bが形成される領域には、図6に示されているように、ダイコーター41が用いられて、正極集電箔31aの上に予め定められた目付量で正極合剤が塗工される。ここで、帯状の正極集電箔31aにおいて正極活物質層31bが形成される領域の両側には、正極タブを形成するために正極活物質層31bが形成されない未形成領域が設定されている。ここでは、正極活物質層31bが形成される領域は、帯状の正極集電箔31aに幅方向に位置をずらして、長さ方向に沿って2列設定されている。当該2列の領域において、正極活物質層31bは、正極集電箔31aの両面にそれぞれ形成されている。正極活物質層31bは、正極集電箔31aに片面ずつ形成されるとよい。
【0034】
その後、図6に示されているように、正極活物質層31bが形成されていない未形成領域において第1正極タブ31a1と第2正極タブ31a2とが形成される。例えば、搬送される正極集電箔31aに対して幅方向に設定されたレーザ照射位置c1で、正極集電箔31aにレーザが走査され、予め定められた形状に第1正極タブ31a1と第2正極タブ31a2とが形成される。この実施形態では、第1正極タブ31a1と第2正極タブ31a2は、正極活物質層31bの両側において千鳥配置で切り出されている。さらに、切断線c2に沿って正極集電箔31aが幅方向に切断されることによって、第1正極タブ31a1と第2正極タブ31a2とが対角に配置された正極シート31が切り出される。
【0035】
図示は省略するが、負極シート32も、正極シート31と同様の方法で作製される。つまり、帯状の負極集電箔32aに負極活物質層32bが形成された後で、第1負極タブ32a1と第2負極タブ32a2を含む予め定められた形状に切断されることによって、負極シート32が作製される。さらに、図5に示されているように、正極シート31と負極シート32に応じた形状を有する、矩形のセパレータ33が用意される。そして、図2図4に示されているように、正極シート31と負極シート32とが、セパレータ33を介在させて交互に重ねられているとよい。
【0036】
負極活物質層32bの幅d2は、図2図4に示されているように、正極活物質層31bの幅d1よりも広い。セパレータ33の幅d3は、負極活物質層32bの幅d2よりも広い。第1正極タブ31a1と第2正極タブ31a2、および、第1負極タブ32a1と第2負極タブ32a2は、セパレータ33からはみ出すように、所要の長さを備えている。正極シート31と負極シート32とセパレータ33とは、図2図4に示されているように、セパレータ33を介在させた状態で負極活物質層32bが正極活物質層31bを覆い、かつ、第1正極タブ31a1と、第2正極タブ31a2と、第1負極タブ32a1と、第2負極タブ32a2とが、それぞれセパレータ33からはみ出るように重ねられる。
【0037】
ここでは、正極シート31と負極シート32が、セパレータ33を介在させて予め定められた順番で重ねられた積層型の電極体12を例示した。電極体12は積層型に限定されず、いわゆる捲回型であってもよい。
【0038】
〈捲回型の電極体〉
図7は、捲回型の電極体12Aを分解した模式的な分解図である。図8は、展開された捲回型の電極体12Aの模式的な展開図である。かかる捲回型の電極体12Aは、図7に示されているように、帯状の正極シート31Aと、帯状の負極シート32Aと、2枚の帯状のセパレータ33Aとを備えている。帯状の正極シート31Aは、図7に示されているように、帯状の正極集電箔31aにおいて、幅方向の中央に正極活物質層31bが形成される領域が設定されている。正極活物質層31bが形成される領域の両側には、第1正極タブ31a1と第2正極タブ31a2を形成するために正極活物質層31bが形成されない未形成領域が設定されている。
【0039】
負極活物質層32bの幅d2は、正極活物質層31bの幅d1よりも広い。セパレータ33の幅d3は、負極活物質層32bの幅d2よりも広い。第1正極タブ31a1と第2正極タブ31a2、および、第1負極タブ32a1と第2負極タブ32a2は、セパレータ33からはみ出すように、所要の長さを備えている。捲回型の電極体12Aでは、図8に示されているように、帯状の正極シート31Aと、帯状の負極シート32Aと、帯状のセパレータ33Aとは、長さ方向を揃え、帯状のセパレータ33Aを介在させた状態で負極活物質層32bが正極活物質層31bを覆い、かつ、第1正極タブ31a1と、第2正極タブ31a2と、第1負極タブ32a1と、第2負極タブ32a2とが、それぞれセパレータ33からはみ出るように重ねられる。
【0040】
この際、最外周において、負極シート32が正極シート31よりも外側に配置され、さらにセパレータ33が、負極シート32よりも外側に配置されるように、正極シート31、セパレータ33、負極シート32、セパレータ33の順で重ねられて、正極シート31が負極シート32よりも内側に配置されるように捲回される。なお、捲回型の電極体12Aでは、正極シート31と負極シート32とが捲回された、略矩形の扁平な形状に整えられる。扁平な形状に整えられた際に、第1正極タブ31a1と、第2正極タブ31a2と、第1負極タブ32a1と、第2負極タブ32a2とが概ね同じ位置で重ねられる。このように複数の電極体12は、それぞれ帯状の正極シート31Aと、帯状の負極シート32Aが長さ方向を揃えて重ねられて幅方向に設定された捲回軸周りに捲回された捲回電極体であってもよい。
【0041】
なお、捲回型の電極体12Aでは、扁平な形状に整えられた際に、第1正極タブ31a1と、第2正極タブ31a2と、第1負極タブ32a1と、第2負極タブ32a2とが概ね同じ位置で重ねられように、帯状の正極シート31Aと、帯状の負極シート32Aにおいて、第1正極タブ31a1と、第2正極タブ31a2と、第1負極タブ32a1と、第2負極タブ32a2とは、予め定められた位置に設けられているとよい。つまり、図7および図8に示された帯状の正極シート31Aと、帯状の負極シート32Aは、厳密には正しくはない。
【0042】
厳密には、例えば、折り曲げ線b1は、周方向において内側ほど、ピッチが狭くなり、外側ほどピッチが広くなる。折り曲げ線b1のピッチは、計算により予め求められる。帯状の正極シート31Aに形成される、第1正極タブ31a1と第2正極タブ31a2の位置や形状は、折り曲げ線b1のピッチに応じて予め調整されるとよい。帯状の負極シート32Aに形成される、第1負極タブ32a1と第2負極タブ32a2の位置や形状は、折り曲げ線b1のピッチに応じて予め調整されるとよい。図7および図8では、捲回される際の折り曲げ線b1が模式的に示されている。第1正極タブ31a1と、第2正極タブ31a2と、第1負極タブ32a1と、第2負極タブ32a2とが、捲回後にそれぞれ重ねられるとよい。
【0043】
〈全固体電池への適用〉
図示は省略するが、電極体12は、いわゆる全固体電池を構成するものであってもよい。全固体電池では、セパレータ33は、固体電解質層に置き換えられうる。特に言及されない限りにおいて、「セパレータ」には、固体電解質層が含まれうる。全固体電池で構成される場合には、電極体12は、正極シート31と負極シート32とがセパレータとしての固体電解質層を介して積層された積層構造を備えているとよい。全固体電池を構成する電極体12の構造について、種々提案されており、特に限定されず、適宜に採用されうる。
【0044】
〈正極タブと負極タブの配置〉
外装体11に収容された複数の電極体12は、図2に示されているように、それぞれ正極シート31と負極シート32の積層方向に直交する方向に設定された直線L1に沿った両側にそれぞれ正極タブと負極タブが設けられている。正極タブと負極タブは、互いに干渉しない位置に配置されている。具体的には、この実施形態では、図2に示されているように、正極シート31と負極シート32とは、セパレータ33を介して重ねられた矩形の領域12aを備えている。第1正極タブ31a1は、矩形の領域12aの片側の縁12a1に設けられている。第1負極タブ32a1は、矩形の領域12aの片側の縁12a1において第1正極タブ31a1と干渉しない位置に設けられている。第2正極タブ31a2は、矩形の領域12aの反対側の縁12a2に設けられている。第2負極タブ32a2は、矩形の領域12aの反対側の縁12a2において第2正極タブ31a2と干渉しない位置に設けられている。このため、複数の電極体12は、直線L1に沿って、一直線状に並べられ、隣り合う電極体12の正極タブと正極タブ、および、負極タブと負極タブが接合されることによって、電気的に並列に接続される。
【0045】
さらに具体的には、この実施形態では、第1正極タブ31a1と第2正極タブ31a2、および、第1負極タブ32a1と第2負極タブ32a2は、それぞれ電極体12において対角に配置されている。具体的には、この実施形態では、第1正極タブ31a1は、矩形の領域12aの片側の縁12a1に沿って第1の側に寄せて配置されている。第2正極タブ31a2は、矩形の領域12aの反対側の縁12a2に沿って、第1正極タブ31a1が配置された側とは反対の第2の側に寄せて配置されている。第1負極タブ32a1は、矩形の領域12aの片側の縁12a1に沿って第2の側に寄せて配置されている。第2負極タブ32a2は、矩形の領域12aの反対側の縁12a2に沿って第1の側に寄せて配置されている。
【0046】
〈電極体12の接合〉
図9は、3つの電極体12が接合された状態が模式的に示された斜視図である。図9に示された形態では、第1正極タブ31a1と第2正極タブ31a2、および、第1負極タブ32a1と第2負極タブ32a2は、それぞれ電極体12において対角に配置されている。そして、3つの電極体12は、正極タブと負極タブが設けられた辺を対向させて順に並べられている。このうち、真ん中の電極体は、上下または左右にひっくり返されている。3つの電極体12は、対向する辺にそれぞれ正極タブと負極タブを備えている。そして、対向する辺において、正極タブと正極タブ、および、負極タブと負極タブが重ねられ、接合されている。このように、複数の電極体12は、並べられた順にひっくり返されていてもよい。これにより、複数の電極体12のうち隣り合う電極体12の正極タブと正極タブ、および、負極タブと負極タブの位置が合わせられている。
【0047】
このように、第1正極タブ31a1と第2正極タブ31a2、および、第1負極タブ32a1と第2負極タブ32a2は、それぞれ電極体12において対角に配置されているので、複数の電極体12を一列に並べて電気的に並列に接続することが容易になる。また、1つの電極体12において、第1正極タブ31a1と第2正極タブ31a2、および、第1負極タブ32a1と第2負極タブ32a2が対角に配置されているので、正極シート31の第1正極タブ31a1と第2正極タブ31a2を結ぶ最短経路と、負極シート32の第1負極タブ32a1と第2負極タブ32a2を結ぶ最短経路とが積層方向における平面視において交差する。このため、正極シート31と負極シート32との間で反応ムラが小さくなる。このため、正極シート31と負極シート32との間の電池反応に対する抵抗が低く抑えられうる。
【0048】
正極タブと正極タブ、および、負極タブと負極タブの接合は、例えば、固相接合によるとよい。固相接合によれば、正極タブと正極タブ、および、負極タブと負極タブの接合部の電気的な抵抗が低く抑えられる。固相接合は、例えば、超音波接合が採用されうる。超音波接合では、正極タブと正極タブ、または、負極タブと負極タブを重ね、ホーンとアンビルで挟み、ホーンを振動させる。これによって、重ねられた正極タブと正極タブ、または、負極タブと負極タブが溶融することなく固相(固体)状態のまま加熱され軟化され、さらに加圧されて塑性変形が与えられることによって接合される。固相接合による接合方法には、超音波接合の他、冷間圧接、熱間圧接、摩擦圧接などが採用されうる。固相接合による接合方法によれば、正極タブと正極タブ、および、負極タブと負極タブは、それぞれ電気的に低い抵抗値で接合される。なお、正極タブと正極タブ、および、負極タブと負極タブの接合は、ここで例示されるものに限定されず、種々の方法が採用されうる。例えば、特に言及されない場合には、正極タブと正極タブ、および、負極タブと負極タブの接合は、溶接でもよい。
【0049】
図10は、3つの電極体12を接合する際の接合工程を示す模式図である。3つの電極体12は、図10に示されているように、隣り合う2つの電極体12の間で正極タブと正極タブ、および、負極タブと負極タブが重ねられて接合される。このとき、隣り合う2つの電極体12には、正極シート31と負極シート32とが積層された部位12aの間に、隣り合う電極体12が接合された部位12bが設けられている。電極体12が接合された部位12bでは、2つの電極体12の正極タブと正極タブ、および、負極タブと負極タブが重ねられて接合されている。2つの電極体12の正極タブと正極タブ、および、負極タブと負極タブが、適切な長さで設けられていることによって、隣り合う2つの電極体12の正極シート31と負極シート32とが積層された部位12aの間に、集電タブを接合する装置46を差し入れるスペースを確保することができる。このように、3つの電極体12は、隣り合う電極体12において、正極タブと正極タブ、および、負極タブと負極タブが重ねられて接合されている。集電タブを接合する装置46は、例えば、超音波接合を行なうホーンやアンビルでありうる。
【0050】
図1に示された形態では、複数の電極体12は、外装体11の中において、正極シート31と負極シート32との積層方向の向きを揃えて外装体11の長辺方向に沿って一列に並べられ、それぞれ電気的に並列に接続されている。また、この実施形態では、図1に示されているように、一列に並べられた複数の電極体12のうち、一端の電極体12に正極端子61が取り付けられ、他端の電極体12に負極端子62が取り付けられている。このため、一列に並べられた複数の電極体12の両端に電圧を印加することができる。複数の電極体12に均一に電圧が印加されやすい。
【0051】
〈外装体11〉
図11は、複数の電極体12が、外装体11に収容される工程を示す斜視図である。外装体11は、図1および図11に示されているように、略矩形の底面部11aと、底面部11aのうち長辺から立ち上がった一対の幅広面部11b,11cと、底面部11aのうち短辺から立ち上がった一対の幅狭面部11d,11eと、底面部11aに対向した上面部11fとを有している。外装体11の内側において短辺は、正極シート31と負極シート32との積層方向に沿った、電極体12の厚さに応じた長さを有している。外装体11の内側において長辺は、積層方向を平行にして複数の電極体12を一列に並べられた長さに応じた長さを有している。この実施形態では、図1に示されているように、外装体11の長辺は、外装体11の内部において、積層方向を平行にして3つの電極体12が一列に並べられた長さに応じた長さを有している。このため、積層方向を平行にして一列に並べられた3つの電極体12を、一列に並べられた状態で収容することができる。この場合、隣り合う電極体12の正極タブと正極タブ、および、負極タブと負極タブが接合された部位12bが大きく折れ曲げられずに、外装体11内に収容できる。このため、正極タブと正極タブ、および、負極タブと負極タブが接合された部位12bの破損などが生じ難い。
【0052】
この実施形態では、外装体11は、枠体51と、プレート52~54とを備えている。枠体51とプレート52~54とは、例えば、アルミニウムやアルミ合金からなる金属製の部材で構成されているとよい。枠体51は、外装体11の底面部11aと、一対の幅広面部11b,11cとに対応した形状を有している。枠体51は、例えば、所定形状に切り出されたプレート状の素材が折り曲げられることによって形成されうる。プレート52は、幅狭面部11dに対応した形状を有している。プレート53は、幅狭面部11eに対応した形状を有している。プレート54は、上面部11fに対応した形状を有している。
【0053】
外装体11は、電極体12の厚さに応じた短辺と、複数の電極体12を一列に並べられた長さに応じた長さを有する長辺を有している。かかる細長い外装体11を絞り加工で形成するには、限界がある。この実施形態では、外装体11は、このように4枚のプレート材51~54が組み合わされ、組み合わされた4枚のプレート材51~54の縁が接合されている。この場合、絞り加工が必要とされないので、細長い大型の外装体11を実現できる。このように外装体11は、少なくとも2枚のプレート材が組み合わされ、組み合わされた少なくとも2枚のプレート材の縁が接合された、角型ケースであるとよい。外装体11を構成する少なくとも2枚のプレート材は、底面部11aと、一対の幅広面部11b,11cと、一対の幅狭面部11d,11eと、上面部11fの面単位で境目が設定されているとよい。そして、組み合わされた縁が接合されているとよい。プレート部材の枚数や境目をどのように設定するかは、特に限定されない。
【0054】
図11に示されているように、幅狭面部11dに対応したプレート52には、正極端子61が取り付けられている。対向する幅狭面部11eに対応したプレート53には、負極端子62が取り付けられている。図示は省略するが、正極端子61と負極端子62は、ガスケットなど絶縁部材を介してプレート52,53に取り付けられ、プレート52,53に対して絶縁され、かつ、気密性が確保されているとよい。正極端子61には、複数の電極体12の一端の電極体12の正極タブ31a1が接合される。負極端子62には、複数の電極体12の他端の電極体12の負極タブ32a2が接合される。このように一端の電極体12の正極タブ31a1には、幅狭面部11dに対応したプレート52が取り付けられる。他端の電極体12の負極タブ32a2には、幅狭面部11eに対応したプレート53が取り付けられる。
【0055】
複数の電極体12は、両端にプレート52,53が取り付けられた状態で、枠体51に収容される。図示は省略するが、複数の電極体12と外装体11との間には、絶縁フィルムが介在しているとよい。プレート52,53は、枠体51の両側に装着される。枠体51の上面の開口には、上面部11fに対応したプレート54が装着される。枠体51とプレート52~54とは、隙間なく合わせられて、例えば、枠体51の縁に沿って溶接されるとよい。ここで、枠体51とプレート52~54とは、シーム溶接されているとよい。かかるシーム溶接は、例えば、レーザ溶接によって実現されているとよい。また、外装体11には、必要に応じて適宜に、注液孔や安全弁が形成されているとよい。
【0056】
このように、ここで開示される二次電池10は、例えば、図1に示されているように、外装体11と、外装体11に収容された複数の電極体12とを備えている。複数の電極体12は、図2図5に示されているように、正極シート31と負極シート32とがセパレータ33を介して積層された積層構造をそれぞれ備えている。正極シート31は、第1正極タブ31a1と、第2正極タブ31a2とを有している。第1正極タブ31a1は、正極シート31と負極シート32とがセパレータ33を介して積層された部位12aからはみ出ている。第2正極タブ31a2は、第1正極タブ31a1とは別の位置で積層された部位12aからはみ出ている。負極シート32は、第1負極タブ32a1と、第2負極タブ32a2とを有している。第1負極タブ32a1は、第1正極タブ31a1および第2正極タブ31a2とは別の位置で積層された部位12aからはみ出ている。第2負極タブ32a2は、第1正極タブ31a1、第2正極タブ31a2および第1負極タブ32a1とは別の位置で積層された部位12aからはみ出ている。複数の電極体12は、外装体11内に予め定められた配置で順に並べられている。隣り合う2つの電極体12の正極シート31は、第1正極タブ31a1と第2正極タブ31a2の何れかが接合されることによって電気的に接続されている。さらに、隣り合う2つの電極体12の負極シート32は、第1負極タブ32a1と第2負極タブ32a2の何れかが接合されることによって電気的に接続されている。
【0057】
かかる二次電池10では、外装体11内に複数の電極体12が収容されている。このため、外装体11内に収容される電極体12の数を増やすことによって二次電池10の大容量化が図られる。また、外装体11に収容された複数の電極体12の隣り合う電極体12は、正極タブと正極タブ、および、負極タブと負極タブが電気的に接続されている。このため、複数の電極体12の隣り合う電極体12は、それぞれ並列に接続されている。外装体11に収容された複数の電極体12は、一端に設けられた正極端子61と、他端に設けられた負極端子62とを通じて、充放電される。この際、外装体11に収容された複数の電極体12は、並列に接続されているので、それぞれ同じ電圧になる。つまり、外装体11内の各電極体12に印加された電圧は、直接測定されない。しかし、外装体11の外で測定可能な正極端子61と負極端子62との間の電圧と、外装体11に収容された各電極体12に印加される電圧が同じになる(厳密に差があるとしても、電圧差は小さくなる)。このため、外装体11内の各電極体12の電圧を把握することができる。外装体11内に収容された複数の電極体12のうち、1つの電極体12だけ、他の電極体12よりも電圧が異常に高くなるということが防止されうる。
【0058】
本発明者の知見では、例えば、外装体11に収容された複数の電極体12が直列に接続されている場合、電極体の周りの電解液の間に電位差が発生する可能性がありうる。このため、電解液を通じて、電極体12の間で短絡するような事象が生じうる。このため、電極体12毎に電解液を仕切る必要があると本発明者は考えている。これに対して、図1に示されているように、外装体11に収容された複数の電極体12が並列に接続されている場合、電極体12毎に電解液を仕切る仕切りを設ける必要はない。このため、二次電池10の構造を簡単にできると、本発明者は考えている。
【0059】
また、二次電池10を高容量にするためには内部に収容される電極体12を高容量にする必要がある。電極体12を大型化すると、例えば、電極体12内部への電解液の含浸が十分に行なわれない場合がある。これに対して、図1に示された形態では、外装体11内に収容される電極体12の数を増やすことによって、二次電池10の大容量化が図られている。この場合、外装体11内に収容される1つの電極体12は、必ずしも大型にしなくてもよい。このため、内部へ電解液が含浸しやすく、かつ、性能が安定しやすい範囲内で、電極体12を設計しつつ、二次電池10の高容量化が図られる。
【0060】
図1に示された形態では、正極端子61と負極端子62は、一対の幅狭面部11d,11eを構成するプレート52,53に設けられている。正極端子61と負極端子62は、かかる位置に限定されない。正極端子61と負極端子62は、例えば、上面部11fを構成するプレート54に設けられていてもよい。
【0061】
〈二次電池10A〉
図12は、他の形態に係る二次電池10Aを示す斜視図である。二次電池10Aの外装体70は、上面が開口したケース本体71と、ケース本体71の上面の開口に装着される蓋72とを備えている。図12では、電極体12がケース本体71に収容される際に、蓋72が閉じられる状態が模式的に示されている。二次電池10Aでは、図12に示されているように、複数の電極体12が外装体70に収容される。図13は、図12に示された二次電池10Aに収容された複数の電極体12を示す平面図である。外装体70に収容された複数の電極体12は、展開されると、図9に示されているように、一列に並べられる。隣り合う2つの電極体12は、接続された部位12bにおいて、正極タブと正極タブ、および、負極タブと負極タブが接合されており、電気的に並列に接続されている(図9参照)。
【0062】
この実施形態では、隣り合う2つの電極体12は、接合された部位12bにおいて折り曲げられて、正極シートと負極シートとが積層された部位12aが重ねられた状態で、外装体11Aに収容されている。この場合、外装体70のアスペクト比が小さく抑えられる。また、外装体70には、複数の電極体12が収容されているので、大容量化が図られる。また、外装体70に収容された複数の電極体12は、電気的に並列に接続されている。このため、外装体70内の各電極体12に印加された電圧は、直接測定されない。しかし、外装体70の外で測定可能な正極端子61と負極端子62との間の電圧と、各電極体12の電圧が同じになる。このため、外装体70内の各電極体12の電圧を把握することができる。また、外装体70内の各電極体12は、図13に示されているように、正極シート31と負極シート32とが積層された部位12aが積層方向を合わせて重ねられている。正極シート31と負極シート32とが積層された部位12aに積層方向に拘束圧が掛けられる際に、各電極体12に掛けられる拘束圧の差が小さくなる。
【0063】
外装体70は、角型ケースである。外装体70は、略矩形の底面部70aと、底面部70aのうち長辺から立ち上がった一対の幅広面部70b,70cと、底面部70aのうち短辺から立ち上がった一対の幅狭面部70d,70eと、底面部70aに対向した上面部70fとを有している。複数の電極体12を収容できる角型ケースは、大型化するため絞り加工で作製するのに限界がある。この実施形態では、外装体70は、少なくとも2枚のプレート材が接合されている。組み合わされたプレート材は、例えば、縁を合わせて接合されているとよい。この場合、絞り加工が必要ないため、外装体70を大型化できる。このため、図13に示されているように、複数の電極体12が重ねられた、収容物が大きくなっても角型ケースを採用することができる。
【0064】
この実施形態では、外装体70は、略矩形の底面部70aと、一対の幅広面部70b,70cと、一対の幅狭面部70d,70eと、上面部70fとに、それぞれ対応した6枚のプレート材が直方体に組み合わされ、組み合わされた縁が隙間なく溶接されている。溶接には、例えば、レーザシーム溶接が採用されうる。なお、外装体70の構成は、かかる形態に限定されない。略直方体の角型ケースからなる外装体70は、略矩形の底面部70aと、一対の幅広面部70b,70cと、一対の幅狭面部70d,70eと、上面部70fとに対応した面を有している。外装体70は、少なくとも2枚のプレート材で、略矩形の底面部70aと、一対の幅広面部70b,70cと、一対の幅狭面部70d,70eと、上面部70fとに対応した面を構成し、直方体に組み合わせ、組み合わされた縁が、接合されてもよい。この場合、深絞り加工によらず、大型の角型ケースが作成される。略矩形の底面部70aと、一対の幅広面部70b,70cと、一対の幅狭面部70d,70eと、上面部70fとに対応した面を、少なくとも2枚のプレート材によってどのように構成するかは、種々の方法がある。外装体70をどのように構成するかは、特に言及されない限りにおいて限定されない。
【0065】
この実施形態では、電極体12は、図9に示されているように、対角に配置された2つの正極タブと、2つの正極タブとは異なる対角で配置された2つの負極タブをそれぞれ備えている。3つの電極体12の一端の正極タブ31a1と、他端の負極タブ32a2とは、3つの電極体12が並べられた中心線L2に対して同じ側に偏って配置される。このように、2つの正極タブと、2つの負極タブとが、それぞれ対角に配置された電極体12が3つ並列に繋げられた場合には、3つの電極体12の一端の正極タブ31a1と、他端の負極タブ32a2とは、3つの電極体12が並べられた中心線L2に対して同じ側に偏って配置される。隣り合う2つの電極体12が接合された部位12bが折り曲げられた場合、3つの電極体12の一端の正極タブ31a1と、他端の負極タブ32a2とは、同じ側に偏って配置される。そして、隣り合う2つの電極体12の正極シートと負極シートとが積層された部位が重ねられた状態で、外装体70に収容される。
【0066】
この実施形態では、3つの電極体12の一端の正極タブ31a1と、他端の負極タブ32a2とは、上面部70f側に偏って、外装体70に収容されとよい。上面部70fを構成する蓋72には、正極端子81と負極端子82が取り付けられている。正極端子81と負極端子82は、ガスケットなどを介して蓋72に絶縁され、かつ、気密性が確保されているとよい。正極端子81には、複数の電極体12の一端の正極タブ31a1が接合されている。負極端子82には、複数の電極体12の他端の負極タブ32a2が接合されている。
【0067】
この実施形態では、正極端子81には、複数の電極体12のうち、一端の電極体12の正極タブ31a1(図13参照)が接合され、負極端子82には、他端の電極体12の負極タブ32a2(図13参照)が接合されている。このように、正極端子81と負極端子82を通じて、外装体70内部の複数の電極体12に充放電を行なうことができる。複数の電極体12は、電気的に並列に接続されている。このため、正極端子81と負極端子82との電圧と、複数の電極体12に印加される電圧は、一致する。つまり、外装体70の外で測定可能な正極端子81と負極端子82との間の電圧と、各電極体12の電圧が同じになる。このため、外装体70内の各電極体12の電圧を把握することができる。なお、端子に接続されない、一端の電極体12の負極タブ32a1や、他端の電極体12の正極タブ31a2(図13参照)は、適宜に絶縁処理が施されているとよい。また、複数の電極体12のうち両端に接続される電極体12は、端子に接続される電極タブのみを有していてもよい。
【0068】
このように、電極体12が、対角に配置された2つの正極タブと、2つの正極タブとは異なる対角で配置された2つの負極タブをそれぞれ備えており、かつ、奇数個の電極体12の隣り合う2つの電極体12が電気的に並列に接続されている。ここでは、3つの電極体12が接続された場合が例示されているが、5つ、7つなど、奇数からなる複数の電極体12が接続されていても同様である。このような場合には、接続された複数の電極体12の一端の電極体12の正極タブ31a1と、他端の電極体12の負極タブ32a2は、角型ケースの一側面に偏って配置される。このため、並列に接続された複数の電極体12の一端の電極体12の正極タブ31a1と、他端の電極体12の負極タブ32a2とが、角型ケースの一側面に設けられた正極端子と負極端子とに接続することが容易になる。つまり、角型ケースの一側面に設けられた正極端子と負極端子の端子構造を簡単にできる。
【0069】
この実施形態では、図12に示されているように、上面部70fを構成する蓋72に正極端子81と負極端子82とが取り付けられている。外装体70に、正極端子81と負極端子82とが取り付けられる位置は、蓋72に限定されない。また、外装体70に収容される電極体12の数なども特に限定されない。
【0070】
図14は、他の形態に係る二次電池10Bを示す斜視図である。二次電池10Bでは、図14に示されているように、4つの電極体12が外装体90に収容される。なお、図14では、4つの電極体12が、外装体90に収容される工程が図示されている。図15は、二次電池10Bに収容された電極体12を示す斜視図である。電極体12が、対角に配置された2つの正極タブと、2つの正極タブとは異なる対角で配置された2つの負極タブをそれぞれ備えている。4つの電極体12のうち隣り合う2つの電極体12は、正極タブと正極タブ、および、負極タブと負極タブが接続されることによって、電気的に並列に接続されている。4つの電極体12は、隣り合う2つの電極体12が接合された部位12bが折り曲げられて、隣り合う2つの電極体12の正極シートと負極シートとが積層された部位12aが重ねられている。そして、図15に示されているように、隣り合う2つの電極体12の正極シートと負極シートとが積層された部位12aが重ねられた状態で、外装体90に収容されている。
【0071】
4つの電極体12は、隣り合う2つの電極体12が接合された部位12bが折り曲げられて、隣り合う2つの電極体12の正極シートと負極シートとが積層された部位12aが重ねられる。この場合、4つの電極体12の両端の電極体12の正極タブと負極タブは、図15に示されているように、同じ側面に配置される。図14に示されているように、二次電池10Bは、外装体90の1つの幅狭面部を構成するプレート91に、正極端子101と、負極端子102が設けられている。正極端子101には、両端の電極体12のうち一方の電極体12の正極タブが接続される。負極端子102には、両端の電極体12のうち他方の電極体12の負極タブが接続される。このように、偶数からなる複数の電極体12が接続された場合でも、正極端子101と負極端子102は、外装体90の一側面に設けることができる。
【0072】
ここでは、複数の電極体12が収容される外装体として角型ケースが例示されている。外装体は、かかる形態に限定されない。図示は省略するが、外装体は、例えば、複数の電極体12を覆うラミネートフィルム外装体であってもよい。ラミネートフィルム外装体は、例えば、アルミニウムからなる基材シートが絶縁樹脂によって被覆されたラミネートフィルムによって作成されているとよい。ラミネートフィルム外装体に用いられるラミネートフィルムは、二次電池用に種々提案されており、特に限定されない。
【0073】
例えば、ラミネートフィルム外装体が用いられる場合に、ラミネートフィルム外装体と電極体12との接合部や外装体の形状が厳密に固定されない。ラミネートフィルム外装体と電極体12との接合部は、ある程度の可動域を持つ。例えば、エネルギー密度を上げるために電極体がプレスされる場合、プレスされることに追従して、ラミネートフィルム外装体と電極体12との接合部が適当に変位しうる。このため、車両搭載作業などの製造過程での取り回しや、車両走行時に受ける加減速、振動などに対して、電極体12の接合部に作用する負荷が緩和される場合がある。また、電極体により大きな圧力を作用させる必要がある場合のように、電極体の構造に応じて、外装体としてラミネートフィルム外装体が適宜に用いられてもよい。
【0074】
図16は、他の形態に係る電極体12Bを示す平面図である。この実施形態では、電極体12Bは、正極シート31と負極シート32とが、セパレータ33を介して重ねられた矩形の領域12aを備えている。第1正極タブ31a1は、矩形の領域12aの片側の縁12a1に沿って第1の側に寄せて配置されている。第2正極タブ31a2は、矩形の領域12aの反対側の縁12a2に沿って第1の側に寄せて配置されている。第1負極タブ32a1は、矩形の領域12aの片側の縁に沿って、前記第1正極タブが配置された側とは反対の第2の側に寄せて配置されている。第2負極タブ32a2は、矩形の領域12aの反対側の縁に沿って第2の側に寄せて配置されている。つまり、電極体12Bでは、第1正極タブ31a1と第2正極タブ31a2は、矩形の領域12aの領域の両側の縁12a1,12a2において同じ側に寄せて配置されている。第1負極タブ32a1と第2負極タブ32b2は、矩形の領域12aの領域の両側の縁12a1,12a2において第1正極タブ31a1と第2正極タブ31a2とは、異なる側に寄せて配置されている。
【0075】
図17は、複数の電極体12Bが接続された状態を示す斜視図である。図18は、複数の電極体12Bが、外装体11Cに収容された二次電池10Cを示す斜視図である。図19は、複数の電極体12Bの他の形態を示す斜視図である。図19では、電極体12Bが接合された部位12bが折り曲げられ、隣り合う2つの電極体12Bの正極シートと負極シートとが積層された部位12aが重ねられた状態が示されている。
【0076】
図17および図18に示されているように、複数の電極体12Bは、外装体11Bの中において、正極シート31と負極シート32の積層方向の向きを揃えて一列に並べられている。複数の電極体12Bは、隣り合う電極体12Bの正極タブと正極タブ、および、負極タブと負極タブが接合され、それぞれ電気的に並列に接続されている。複数の電極体12Bは、外装体11Bの長辺方向に沿って一列に並べられている。かかる電極体12Bによれば、隣り合う電極体12Bの正極タブと正極タブが接合された部位、および、負極タブと負極タブが接合された部位が、それぞれ直線状に並ぶ。図18に示されているように、正極端子61,負極端子62は、幅狭面部11d,11eに設けられる。また、図19に示されているように、複数の電極体12Bの隣り合う2つの電極体12Bは、隣り合う2つの電極体12Bが接合された部位12bが折り曲げられて、隣り合う2つの電極体12Bの正極シートと負極シートとが積層された部位12aが重ねられた状態で、外装体に収容されてもよい。
【0077】
このように、外装体に収容される電極体の数や、配置、外装体に設けられる端子の位置など、種々変更が可能である。
【0078】
以上、ここで開示される二次電池について、種々説明した。特に言及されない限りにおいて、ここで挙げられた二次電池の実施形態などは本発明を限定しない。また、ここで開示される電池は、種々変更でき、特段の問題が生じない限りにおいて、各構成要素やここで言及された各処理は適宜に省略され、または、適宜に組み合わされうる。
【符号の説明】
【0079】
10,10A,10B,10C 二次電池
11,11A,11B,11C 外装体
11a 底面部
11b,11c 幅広面部
11d,11e 幅狭面部
11f 上面部
12,12A,12B 電極体
12a 正極シート31と負極シート32とが積層された部位(矩形の領域)
12a1 矩形の領域12aの片側の縁
12a2 矩形の領域12aの反対側の縁
12b 隣り合う電極体12が接合された部位
31,31A 正極シート
31a 正極集電箔
31a1 第1正極タブ
31a2 第2正極タブ
31b 正極活物質層
32,32A 負極シート
32a 負極集電箔
32a1 第1負極タブ
32a2 第2負極タブ
32b 負極活物質層
33,33A セパレータ
41 ダイコーター
46 集電タブを接合する装置
51 枠体
52~54 プレート
61 正極端子
62 負極端子
70 外装体
70a 底面部
70b,70c 幅広面部
70d,70e 幅狭面部
70f 上面部
71 ケース本体
72 蓋
81 正極端子
82 負極端子
90 外装体
91 プレート
101 正極端子
102 負極端子
b1 折り曲げ線
c1 レーザ照射位置
c2 切断線
d1 正極活物質層31bの幅
d2 負極活物質層32bの幅
d3 セパレータ33の幅
L1 正極シート31と負極シート32の積層方向に直交する方向に設定された直線
L2 電極体12が並べられた中心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19