(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-28
(45)【発行日】2023-07-06
(54)【発明の名称】光ファイバ特性測定システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01M 11/02 20060101AFI20230629BHJP
H04B 10/077 20130101ALI20230629BHJP
G01M 11/00 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
G01M11/02 J
H04B10/077 150
G01M11/00 G
G01M11/00 Q
(21)【出願番号】P 2020544654
(86)(22)【出願日】2019-05-15
(86)【国際出願番号】 US2019032353
(87)【国際公開番号】W WO2019226425
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-05-10
(32)【優先日】2018-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519382455
【氏名又は名称】シエナ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100120684
【氏名又は名称】宮城 三次
(72)【発明者】
【氏名】アーシャンボウ, ジャン-リュック
(72)【発明者】
【氏名】カオ,ソン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ナ,ヨン
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-101670(JP,A)
【文献】特開2003-121303(JP,A)
【文献】特開2009-290360(JP,A)
【文献】特開2003-134047(JP,A)
【文献】特開平10-229366(JP,A)
【文献】特開2006-287649(JP,A)
【文献】特開平3-113930(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0123687(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0356805(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2819321(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 11/00 - G01M 11/08
H04B 10/00 - H04B 10/90
H04J 14/00 - H04J 14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバ(16、18)を特性評価するように構成された光回線システム(10)の光ノード(12)であって、
前記光ノード(12)の動作中に機能を実行するように構成され
ている1つ以上のコンポーネント(50、52)であって、1つ以上の測定を実行して前記光ファイバ(16、18)を特性評価するように構成されており、
前記1つ以上の測定を実行するように構成可能である、1つ以上のコンポーネント(50、52)と、
前記1つ以上の測定に基づいて、前記光ファイバを介して
前記光ノード(12)と異なる他の光ノードと通信するように構成された光モデムと、を備え、
前記1つ以上の測定は、
光ファイバ(16、18)の終端で明確な基準点を提供するように構成された構成可能反射要素(402)を備えた光時間領域反射率計(OTDR)測定に基づく光ファイバの長さの測定、光ファイバの分散の測定、および誘導ラマン散乱(SRS)測定のうちの1つを含む、光ノード(12)。
【請求項2】
前記1つ以上のコンポーネントはそれぞれ、光サービスチャネル(OSC)(502、504)、光時間領域反射率計(OTDR)(300)、および光増幅器(302、304)のうちのいずれかを含む、請求項1に記載の光ノード。
【請求項3】
前記光モデムのための前記光ファイバ(16、18)への出射パワーは、前記1つ以上の測定に基づいて設定される、請求項1
又は2に記載の光ノード。
【請求項4】
前記1つ以上のコンポーネントは、光時間領域反射率計(OTDR)(300)
を含み、
前記光ファイバの長さは、前記明確な基準点に基づいて前記OTDR測定から決定される、請求項1~3
のいずれか一項に記載の光ノード。
【請求項5】
前記構成可能反射要素(402)は、複数の光ファイバ(16、18)とOTDR(300)を共有するように構成された1×N微小電気機械システム(MEMS)スイッチを含む、
請求項1~4のいずれか一項に記載の光ノード。
【請求項6】
前記1つ以上のコンポーネントは、i)光増幅器(302、304)と、ii)前記光増幅器の増幅帯域幅外の光波長を提供するように構成されたデバイスと、を含み、
前記1つ以上の測定は、前記光増幅器(302、304)が無効になっている前記光ノード(12)の下流ノードでの光波長のパワーP1の測定と、増幅誘導放出(ASE)を生成するように構成された前記光増幅器(302、304)を使用した、前記光ノード(12)の下流ノードでの光波長のパワーP2の測定と、測定された前記パワーP1および前記パワーP2に基づいた、誘導ラマン散乱(SRS)の決定と、を含む、
請求項3に記載の光ノード。
【請求項7】
前記
誘導ラマン散乱(SRS)測定は、ファイバ長に基づいてかつ前記光ファイバ(16、18)の減衰係数を使用してスケーリングされ、前記光ファイバ(16、18)への前記出射パワーを決定するために使用される、請求項6に記載の光ノード。
【請求項8】
前記1つ以上のコンポーネントは、第1の波長での光サービスチャネル(OSC)(502、504)および第2の波長での光時間領域反射率計(OTDR)(300)を含み、
前記第1の波長および前記第2の波長のそれぞれは、同期した方法でまたは既知の遅延を伴って同じビットパターンで駆動され、
下流ノードでの前記第1の波長および前記第2の波長の受信に基づいて、前記光ファイバ(16、18)上の分散が測定される、請求項1~3
のいずれか一項に記載の光ノード。
【請求項9】
前記分散は、前記第1の波長と前記第2の波長のそれぞれの光パルス間の差分時間遅延を決定し、差分時間遅延を前記光ファイバの長さおよび前記第1の波長と前記第2の波長の間隔で除算して前記第1の波長と前記第2の波長の平均値で分散を決定することにより測定される、請求項8に記載の光ノード。
【請求項10】
光回線システム(10)内の光ノード(12)によって部分的に実行される光ファイバ(16、18)を特性評価する方法であって、
前記光ノード(12)で1つ以上のコンポーネント(50、52)を用いて前記光ファイバ(16、18)を特性評価するために1つ以上の測定を実行することであって、前記1つ以上のコンポーネント(50、52)が、前記光ノード(12)の動作中に機能を実行し、
前記1つ以上の測定を実行するように構成可能である、実行することと、
前記1つ以上の測定に基づいて、前記光ファイバ(16、18)を介した
前記光ノード(12)と異なる他の光ノードとの通信のために前記光ノード(12)を構成することと、を含み、
前記1つ以上の測定は、
光ファイバ(16、18)の終端で明確な基準点を提供するように構成された構成可能反射要素(402)を備えた光時間領域反射率計(OTDR)測定に基づく光ファイバの長さの測定、光ファイバの分散の測定、および誘導ラマン散乱(SRS)測定のうちの1つを含む、方法。
【請求項11】
前記1つ以上のコンポーネントはそれぞれ、光サービスチャネル(OSC)(502、504)、光時間領域反射率計(OTDR)(300)、および光増幅器(302、304)のうちの1つを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記構成することは、前記1つ以上の測定に基づいて、前記光ファイバ(16、18)への出射パワーを設定することを含む、請求項10
又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上のコンポーネントは、光時間領域反射率計(OTDR)(300)を含み、
前記1つ以上の測定を実行することは、
前記明確な基準点に基づいて前記OTDR測定から前記光ファイバ(16、18)の長さを決定する
ことを含む、請求項10
又は11に記載の方法。
【請求項14】
前記1つ以上のコンポーネントは、i)光増幅器(302、304)と、ii)前記光増幅器の増幅帯域幅外の光波長を提供するように構成された少なくとも1つのデバイスと、を含み、
前記1つ以上の測定を実行することは、
前記光増幅器が無効になっている前記光ノードの下流ノードでの前記光波長のパワーP1を測定することと、
増幅誘導放出(ASE)を生成するように構成された前記光増幅器を用いて、前記下流ノードでの前記光波長のパワーP2を測定することと、
測定された前記パワーP1および前記パワーP2に基づいて誘導ラマン散乱(SRS)を決定することと、を含む、請求項10
又は11に記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上のコンポーネントは、第1の波長での光サービスチャネル(OSC)(502、504)および第2の波長での光時間領域反射率計(OTDR)(300)を含み、
前記1つ以上の測定を実行することは、
前記第1の波長および前記第2の波長のそれぞれを、同期した方法でまたは既知の遅延を伴って同じビットパターンで駆動することと、
下流ノードでの前記第1の波長および前記第2の波長の受信に基づいて、前記光ファイバ上の分散を測定することと、を含む、請求項10
又は11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、光ファイバ通信システムおよび方法に関する。より具体的には、本開示は、光ファイバ特性測定システムおよび方法、たとえば、光ネットワーキングシステムで使用するためのファイバスパン長、誘導ラマン散乱(SRS)測定、分散測定などを決定するなどの方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ特性測定として、たとえば、ファイバスパン長、誘導ラマン散乱(SRS)測定、分散測定、損失測定などを挙げることができる。ファイバ特性に対する従来のアプローチには、テスト機器による非稼働時測定、および/または計算値(たとえば、長さ、ファイバタイプなどに基づいて決定される損失および分散)に基づいた推定を伴う。非稼働時測定は、時間がかかり、コストがかかり、かつエラーが発生しやすい(たとえば、測定データを計画ツール、スプレッドシートなどにロードすること)。また、非稼働時測定には、光学システムが稼働中にある際の将来の状態が反映されない場合がある。光ネットワーキングシステムは、より大きな容量で進化し続けているため、それに応じて光ネットワーキングシステムを構成するための正確なファイバ特性測定を行うことを含むシステムから、可能な限り多くのマージンと性能を得る必要がある。
【0003】
ファイバスパン長の測定値とは、ファイバスパンの物理的な長さのことである。従来のアプローチの1つは、マップ、全地球測位衛星(GPS)などに基づくなどして物理的なルート距離を調べることである。別の従来のアプローチとしては、光時間領域反射率計(OTDR)トレースを使用して光学システムのファイバスパンの長さを推定することと、観測された事象に基づいてファイバの終端を特定することまたは光サービスチャネル(OSC)を使用してラウンドトリップ遅延(RTD)測定を実行することと、を含むものがある。RTD測定では、1つのファイバでノードAからノードBにデータパケットを送信し、そのパケットを別のファイバでノードAに返してから、送信パケットと戻りパケットのタイムスタンプを比較する必要がある。ファイバの長さは、タイムスタンプと光速から決定できる。OTDRトレースを使用すると、ファイバの終端を明確に識別することは一般的に困難であるか不可能である。OTDRトレースではそれは明確なシグネチャではない可能性があるからである。たとえば、長いスパンでは、ファイバの終端に対応する低反射事象がOTDRのノイズフロアを下回る可能性があるため、検出できない。OSCパケットのタイミングジッタのため、RTD測定の精度は制限される(+/-5%)。また、RTD測定では、2本のファイバが同じ長さであると想定しているが、常にそうであるとは限らない。
【0004】
ファイバのSRS測定はファイバの非線形性に関連している。慣例的には、ファイバの非線形性係数またはファイバの有効面積(Aeff)は、データベースから抽出された、またはネットワーク設計ツールに手動で入力されたファイバタイプ情報から単純に導出される。このタイプの測定を実行する既知の市販の機器は存在しない。ファイバタイプ情報は、通常は手動で入力されるため、信頼できないことが多い。また、同じファイバスパンに混合したファイバタイプが存在し、組み合わせるのが難しい場合も、混乱を招き得る。多くの場合、パッチパネルの損失は、無視されるか、測定値ではなくデフォルト値として設計ツールに入力される。これにより、非線形測定に基づいて各スパンで最適なチャネル出射パワーを決定する際に大きな不確実性が生じる可能性がある。
【0005】
ファイバ分散測定は、市販のテスト機器を使用してフィールドで実行できる。ただし、多くの場合、ファイバ分散は、データベースから抽出された、またはネットワーク設計ツールに手動で入力されたファイバタイプ情報から導出される。市販のテスト機器の使用は、費用と時間がかかる。さらに、市販のテスト機器は必要なときに利用できない場合があり、各ファイバスパンの終端に物理的に運び出す必要がある。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態では、光回線システム内の光ノードによって部分的に実行される光ファイバを特性評価する方法は、光ノードで1つ以上のコンポーネントを用いて光ファイバを特性評価するために1つ以上の測定を実行することと、前記1つ以上の測定に基づいて、光ファイバを介した通信のために光ノードを構成することとを含む。前記1つ以上のコンポーネントは、光ノードの動作中に機能を実行し、その機能に関係なく1つ以上の測定を実行するように再構成される。1つ以上のコンポーネントはそれぞれ、光サービスチャネル(OSC)、光時間領域反射率計(OTDR)、および光増幅器のうちの1つを含むことができる。前記構成することは、1つ以上の測定に基づいて、光ファイバに出射パワーを設定することを含むことができる。
【0007】
1つ以上のコンポーネントは、光時間領域反射率計(OTDR)を含むことができ、1つ以上の測定を実行することは、光ファイバの終端で明確な基準点を提供するように構成された構成可能反射要素を使用してOTDR測定を実行することと、明確な基準点に基づいてOTDR測定から光ファイバの長さを決定することと、を含むことができる。構成可能反射要素は、複数の光ファイバとOTDRコンポーネントを共有するように構成された1×N微小電気機械システム(MEMS)スイッチを含むことができる。
【0008】
1つ以上のコンポーネントは、i)光増幅器と、ii)光増幅器の増幅帯域外の光波長を提供するように構成された少なくとも1つのデバイスと、を含むことができ、1つ以上の測定を実行することは、光増幅器が無効になっている光ノードの下流ノードでの光波長のパワーP1を測定することと、増幅誘導放出(ASE)を生成するように構成された光増幅器を使用して、下流ノードでの光波長のパワーP2を測定することと、測定されたパワーP1およびパワーP2に基づいて、誘導ラマン散乱(SRS)を決定することと、を含むことができる。1つ以上の測定を実行することは、ファイバ長に基づいてSRSをスケーリングすることと、光ファイバの減衰係数を使用することと、をさらに含むことができる。光ノードは、スケーリングされたSRSに基づいて光ファイバへの出射パワーを決定することを含むことができる。
【0009】
1つ以上のコンポーネントは、第1の波長での光サービスチャネル(OSC)および第2の波長での光時間領域反射率計(OTDR)を含むことができ、1つ以上の測定を実行することは、第1の波長および第2の波長のそれぞれを、同期した方法でまたは既知の遅延を伴って同じビットパターンで駆動することと、下流ノードでの第1の波長および第2の波長の受信に基づいて、光ファイバ上の分散を測定することと、を含むことができる。
【0010】
分散を測定することは、第1の波長と第2の波長のそれぞれの光パルス間の差分時間遅延を決定することと、差分時間遅延を光ファイバの長さおよび第1の波長と第2の波長の間隔で除算して第1の波長と第2の波長の平均値で分散を決定することと、を含むことができる。
【0011】
別の実施形態では、光ファイバを特性評価するように構成された光回線システムの光ノードは、光ノードの動作中に機能を実行するように構成され、1つ以上の測定を実行して光ファイバを特性評価するように構成されて、光ノードの動作中に機能を実行し、機能とは無関係に1つ以上の測定を実行するように再構成される1つ以上のコンポーネントと、前記1つ以上の測定に基づいて、光ファイバを介して通信するように構成された光モデムとを備える。1つ以上のコンポーネントはそれぞれ、光サービスチャネル(OSC)、光時間領域反射率計(OTDR)、および光増幅器のうちのいずれかを含むことができる。光モデムの光ファイバへの出射パワーは、1つ以上の測定に基づいて設定できる。
【0012】
1つ以上のコンポーネントは、光時間領域反射率計(OTDR)を含むことができ、1つ以上の測定は、光ファイバの終端で明確な基準点を提供するように構成された構成可能反射要素でのOTDR測定を含むことができ、明確な基準点に基づいてOTDR測定から光ファイバの長さが決定される。構成可能反射要素は、複数の光ファイバとOTDRコンポーネントを共有するように構成された1×N微小電気機械システム(MEMS)スイッチを含むことができる。
【0013】
1つ以上のコンポーネントは、i)光増幅器と、ii)光増幅器の増幅帯域外の光波長を提供するように構成されたデバイスと、を含むことができ、1つ以上の測定は、光増幅器が無効になっている光ノードの下流ノードでの光波長のパワーP1の測定と、増幅誘導放出(ASE)を生成するように構成された光増幅器を使用した、光ノードの下流ノードでの光波長のパワーP2の測定と、測定されたパワーP1およびパワーP2に基づいた、誘導ラマン散乱(SRS)の決定と、を含むことができる。SRSは、ファイバ長に基づいてかつ光ファイバの減衰係数を使用してスケーリングでき、光ファイバへの出射パワーを決定するために使用できる。
【0014】
1つ以上のコンポーネントは、第1の波長での光サービスチャネル(OSC)および第2の波長での光時間領域反射率計(OTDR)を含むことができ、第1の波長および第2の波長のそれぞれは、同期した方法でまたは既知の遅延を伴って同じビットパターンで駆動され、下流ノードでの第1の波長および第2の波長の受信に基づいて、光ファイバ上の分散が測定される。分散は、第1の波長と第2の波長のそれぞれの光パルス間の差分時間遅延を決定し、差分時間遅延を光ファイバの長さおよび第1の波長と第2の波長の間隔で除算して第1の波長と第2の波長の平均値で分散を決定することにより測定することができる。
【0015】
さらなる実施形態では、光回線システム内の光ノードによって部分的に実行される光ファイバを特性評価するように構成された装置は、1つ以上の測定に、光ノードで1つ以上のコンポーネントを用いて光ファイバを特性評価させるように構成された回路構成であって、1つ以上のコンポーネントが、光ノードの動作中に機能を実行し、その機能に関係なく1つ以上の測定を実行する、回路構成と、1つ以上の測定に基づいて、光ファイバを介した通信のために光ノードを構成するように構成された回路構成と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本開示は、以下に示すさまざまな図面を参照して本明細書で例示および説明され、同じ参照番号は適宜同じシステムコンポーネント/方法ステップを示すために使用される。
【0017】
【
図1】ファイバによって相互接続された2つのノードを備えた光ネットワークのネットワーク図である。
【0018】
【
図2】偏波計が内部に統合された光回線デバイスのブロック図である。
【0019】
【
図3】ループバックされた偏波計構成において光回線デバイスとともに動作するための増幅器を備えた光回線デバイスのブロック図である。
【0020】
【
図4】偏波計が内部に統合されたラマン増幅器である光回線デバイスのブロック図である。
【0021】
【
図5】偏波計が内部に統合され、光時間領域反射率計(OTDR)とコンポーネントを共有する、プラガブルモジュールなどとすることができる光回線デバイスのブロック図である。
【0022】
【
図6】統合された偏波計に使用し得る振幅分割偏光計(DOAP)を示すブロック図である。
【0023】
【0024】
【
図8】異なるファイバタイプの区別を示す、ファイバ上のOTDRトレースのグラフである。
【0025】
【
図9】ファイバスパン長測定を説明するための光ネットワークのネットワーク図である。
【0026】
【
図10】ファイバSRS測定を説明するための光ネットワークのネットワーク図である。
【0027】
【
図11】異なるファイバタイプのラマン利得係数および有効面積のグラフである。
【0028】
【
図12】ファイバへと出射されたCバンド増幅誘導放出(ASE)ソースの強度と、0dBと3dBとの間のパッチパネル損失について1511nmで測定されたSRS係数と、の間の相関のグラフである。
【0029】
【0030】
【
図14】ファイバ分散測定および非線形係数を説明するための光ネットワークのネットワーク図である。
【0031】
【
図15】光回線システム内の光ノードによって部分的に実行される光ファイバを特性評価するためのプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
さまざまな実施形態では、本開示は、光ファイバ特性測定システムおよび方法、たとえば、光ネットワーキングシステムで使用するためのファイバスパン長、誘導ラマン散乱(SRS)測定、分散測定などを決定するなどの方法に関する。光ファイバ特性測定システムおよび方法は、自動構成を含む、さまざまな光学特性およびそれに基づく光回線システムの関連構成の稼働中測定を可能にする。高度な光学システムでは、出射パワー、分散補償フィルタ設定などのさまざまな設定の構成のために、ファイバスパン長、SRSなどの非線形測定値、分散測定値などを正確に把握することが非常に望ましい。従来型の推定のアプローチは、前世代システムに対しては十分であったが、その不正確性は、100Gb/s以上で動作し、柔軟な変調とボーレートをサポートする次世代の光モデムを使用する場合に必要となるマージンを費やす。
【0033】
ファイバスパン長測定は、ファイバの終端に配置された構成可能な反射器を備えたOTDRトレースを利用して、ファイバスパン長測定の基準点を提供する。たとえば、構成可能な反射器は、N個の異なるファイバにまたがってOTDRシステムを構成するためにも使用される1×N微小電気機械システム(MEMS)スイッチとすることができる。構成可能な反射器を有効または無効にし、OTDRトレース同士を比較してファイバの終端を正確に特定できる。
【0034】
ファイバSRS測定では、OSCまたはOTDRなどの光学システム内の既存の機器をプローブ信号として利用し、増幅器をASEソースとして利用して、スパンごとに自動化されたSRS測定を実行することができる。統合されたSRS測定能力を備えた光伝送システムを使用して、ファイバタイプまたはパッチパネルの損失に関する事前の知識がなくても、スパンごとに光信号の出射パワーを自動的に最適化できる。
【0035】
ファイバ分散測定は、2つの異なる波長(たとえば、OSCとOTDR)で2つの統合されたトランスミッタを利用して、ファイバスパンの遅延差または分散測定を実行する。2つの統合されたトランスミッタのパルスは、上流ノードで同期して、ビットシーケンスで符号化することができ、時間ベースの相互相関や高速フーリエ変換(FFT)ベースの位相シフト検出などの2つの受信信号間の遅延を測定するために、短時間遅延測定技法を実行する。ファイバ分散測定では、ファイバスパン長測定を使用できる。
【0036】
有利なことに、これらの測定はすべて、OSC、OTDRなどの光回線システムの統合機器を使用して実施することができる。ファイバスパン長の測定は、再構成可能光アド/ドロップマルチプレクサ(ROADM)などの2つの端末ノード間の長さの決定をサポートする。ファイバSRS測定およびファイバ分散測定は、2つの端末間、2つの増幅器間、1つの端末と1つの増幅器との間などのスパンごとの測定をサポートできる。
【0037】
ファイバスパン長の測定結果は、ファイバSRS測定およびファイバ分散測定において使用することができる。ファイバSRS測定およびファイバ分散測定を使用して、スパンごとに光信号の出射パワーを自動的に最適化できる。有利なことに、これらの測定は、本明細書で説明されるように、光回線システムおよびさまざまな統合コンポーネントを使用して、遠隔でかつ自動的に実行することができる。このアプローチにより、時間、費用、手動のファイバ特性評価の不正確さ、仮定とデフォルトへの依存を回避できる。
【0038】
光回線システム
図1は、ファイバ16、18によって相互接続された2つのノード12、14を備えた光ネットワーク10のネットワーク図である。ファイバ16、18を介して互いに接続された光ノード12、14は、光回線システムと呼ぶことができ、単一のスパンを表す。当然のことながら、当業者であれば、光ネットワーク10が追加のノード、ファイバ、スパン、光増幅器サイト、アド/ドロップサイトなどを含むことができることを認識するであろう。ノード12、14は、限定はしないが、波長分割多重(WDM)端末、再構成可能光アド/ドロップマルチプレクサ(ROADM)、スイッチ、ルータ、クロスコネクトなどを含む、任意のタイプの光ネットワーク要素とすることができる。一実施形態では、ノード12、14は、光トランシーバ、トランスポンダ、またはモデム(本明細書ではまとめて「モデム」と称する)を有してトラフィック伝達チャネルの送信を提供する。ノード12、14は、エルビウムドープファイバ増幅器(EDFA)、ラマン増幅器などのような光増幅器をさらに含むことができる。ノード12、14は、スプリッタ、コンバイナ、波長選択スイッチなどのマルチプレクサおよびデマルチプレクサコンポーネントを含んで、複数のモデムからの複数のトラフィック伝達チャネルのWDMを実行することができる。また、ノード12、14には、光増幅器などの光ノード間の通信を管理するための光サービスチャネル(OSC)、ファイバ16、18上の後方反射を測定する光時間領域反射率計(OTDR)、ラマン増幅器など、さまざまな他のコンポーネントを含むことができる。
【0039】
ノード12、14内の前述のさまざまなコンポーネントは、ノード12、14を形成するネットワーク要素内のハードウェアコンポーネントで物理的に実現することができる。ハードウェアコンポーネントは、ラインカード、ラインモジュール、プラガブルモジュール、高さが1~2ラックユニット(RU)などの小型フォームユニットである「ピザボックス」などに搭載することができる。ハードウェアコンポーネントは概して、ファイバ16、18を介した最終的な送受信のために、互いに光学的に接続される。本明細書で説明されるように、光回線デバイスは、ノード12、14の一部であり、そこに統合されるハードウェアデバイスである。光回線デバイスの例としては、ラマン増幅器モジュール、EDFA増幅器モジュール、OSCモジュール、OTDRモジュール、モデムなどが挙げられる。
【0040】
モデムは、非ゼロ復帰(NRZ)、デュオバイナリ、直交振幅変調(QAM)、微分位相シフトキーイング(DPSK)、微分直交位相シフトキーイング(DQPSK)、直交周波数分割多重化(OFDM)、前述のいずれかを用いた偏波多重化、および他の任意のタイプの光変調および検出技術を含むことができる。重要なことに、モデムは、高度なコヒーレント変調/復調技術を利用するので、モデムは、ファイバ16、18の光学特性を完全に可視化して適切に構成する必要がある。また、ノード12、14は、ネットワーク管理システム(NMS)、要素管理システム(EMS)、パス計算要素(PCE)、ソフトウェア定義ネットワーク(SDN)コントローラ、コントロールプレーンなどの管理システムと通信できる。
【0041】
光回線デバイス/システム内の統合された偏波計
図2は、偏波計40が内部に統合された光回線デバイス30のブロック図であり、
図3は、ループバックされた偏波計構成において光回線デバイス30とともに動作するための増幅器42を備えた光回線デバイス32のブロック図であり、
図4は、偏波計40が内部に統合されたラマン増幅器である光回線デバイス34のブロック図であり、
図5は、偏波計40が内部に統合され、光時間領域反射率計(OTDR)とコンポーネントを共有する、プラガブルモジュールなどとすることができる光回線デバイス36のブロック図である。
【0042】
図2において、光回線デバイス30は、内部に統合された偏波計40を含み、ファイバ16上の偏波計プローブ信号の送信およびファイバ18上の対応する偏波計プローブ信号の受信をサポートする。一実施形態では、光回線デバイス30を光ネットワーク10内のさまざまなノードで使用して、ファイバ16、18の両方で偏波計プローブ信号をサポートすることができる。
図3において、光回線デバイス32は、ファイバ16上の偏波計プローブ信号を受信し、偏波計プローブ信号を増幅し、ファイバ18上の偏波計プローブ信号をループバックするように構成された、内部に統合された増幅器42を含む。したがって、一実施形態では、光回線デバイス30は、対向するノード12、14に位置して各ファイバ16、18上の単一の偏波計プローブ信号をサポートすることができ、別の実施形態では、光回線デバイス30は、ノード12に位置し、光回線デバイス32は、ノード14に位置して、同じプローブ信号のループバックをサポートすることができる。ループバックは、SOPトランジェントの局在化の粒度をより細かくするために、追加の詳細を提供することができる。別の実施形態では、光回線デバイス30は、対向するノード12、14に位置して、それぞれがファイバ16、18上を反対方向に伝播する単一の偏波計プローブ信号をサポートすることができる。変形としては、単一の偏波計プローブ信号のトランスミッタは調整可能とすることかできる。対向する光回線デバイス30からの単一の偏波計プローブ信号が逆伝播する場合、調整可能なトランスミッタは、偏波プローブ信号のそれぞれについて異なる波長に同調することができる。このようにして、偏波計データが対向する光回線デバイス30の両方から得られた際に仮想ループバックが達成され、この偏波計データを、光回線デバイス32を用いた物理ループバックと同様の方法で故障の局在化に使用できる。
【0043】
光回線デバイス30、32は、偏波計40および増幅器42に加えて、さまざまな光回線コンポーネント50、52を含む。光回線コンポーネント50は、ファイバ16上を送信するものとして示されている一方、光回線コンポーネント52は、ファイバ18から受信するものとして示されている。光回線コンポーネント50、52は、EDFA増幅器、ラマン増幅器、OSC、OTDR、モデムまたはトランシーバ、WSSなどのような光回線システム内に統合することができる。光回線デバイス30、32は、偏波計プローブ信号をWDM信号、OSC信号、OTDR信号、ラマンポンプなどと多重化および逆多重化するためのフィルタ54、56を含む。光回線コンポーネント50において、フィルタ54は、偏波計40の出力を光回線コンポーネント50の出力と組み合わせるように構成され、フィルタ56は、偏波計プローブ信号を偏波計40へと、その他の信号(WDM信号、OSC信号、OTDR信号、ラマンポンプなど)を光回線コンポーネント52へと分岐するように構成されている。同様に、光回線デバイス32において、フィルタ56は、偏波計プローブ信号を、光回線コンポーネント52に提供される他の信号から分離して増幅器42へと分岐し、フィルタ54は、増幅器42の出力、すなわち、増幅された偏波プローブ信号と、光回線コンポーネント50の出力とを合成する。本明細書では、光回線デバイス32は、増幅器42とともに示されているが、他の実施形態では、光回線デバイス32においてループバック機能を形成する単純な接続の代わりに、増幅器42を省略してもよい。これは、より短いスパンなど、偏波プローブ信号がファイバ16、18の両方を横断するのに増幅が不要な場合に使用されてもよい。
【0044】
統合に関して、光回線デバイス30、32は、ラインカード、ラマン増幅器モジュール、EDFA増幅器モジュール、OSCモジュール、OTDRモジュール、モデム、プラガブルモジュール、ピザボックスなどとすることができる。また、統合された偏波計は、光回線システム内の別のハードウェアデバイスにプラグインするように構成されたプラガブルモジュールで実現できる。これらのハードウェアデバイスは、光回線システムの一部であり、統合された方法で動作する。すなわち、これらのハードウェアデバイスは、統一された管理と制御、すなわち、運用、管理、保守、プロビジョニング(OAM&P)をサポートする。偏波計40は、この統一された管理および制御、ならびにWDMトラフィック伝達チャネル、OSCチャネル、OTDR信号などを使用して動作することができる。増幅器42は、EDFA、半導体光増幅器(SOA)、ラマン増幅器などとすることができる。なお、偏波計プローブ信号の波長に応じて、増幅器42は、従来のEDFAとは異なる動作バンドを必要としてもよい。増幅器42の接続性に基づいて、光回線デバイス32は、増幅された偏波計プローブ信号を光回線デバイス30にループバックするように構成されている。
【0045】
偏波計40は、フィルタ54に結合されたトランスミッタと、フィルタ56に結合されたレシーバとを含む。なお、概して偏波計40は、試験信号の偏波を測定するように構成された受信デバイスである。当業者であれば、本明細書に記載された統合された偏波計が、試験信号、すなわち偏波プローブ信号のための受信デバイスおよびトランスミッタを含むことを認識するであろう。一実施形態では、レシーバは、
図6の実施形態を含むことができる。一実施形態では、トランスミッタは、単一の偏波、連続波(CW)またはパルスを提供するなどのために、分散フィードバックレーザ(DFB)とすることができる。トランスミッタは、WDMトラフィック伝達チャネル、OSCチャネル、OTDR信号などに干渉しない波長で偏波プローブ信号を提供する。たとえば、WDMトラフィック伝達チャネルは、約1528~1560nmなどのCバンド内にあってもよいし、当然のことながら、他の送信バンドも考えられる。ラマンポンプは典型的には、1400nmの範囲で1500nm未満である。OSCチャネル、OTDR波長などは、相互および偏波プローブ信号に干渉しないように選択できる。たとえば、OSCチャネルは、1510nm、1625nmなどとすることができる。一実施形態では、偏波プローブ信号は、ラマンポンプとの非線形相互作用を回避するために1591nmにある。当然のことながら、光回線システム内の他の信号と干渉しない限り、偏波計40および偏波計プローブ信号について他の値も考えられる。一実施形態では、偏波計40は、本明細書で説明されるように、レーザをOTDRと共有することができる。
【0046】
図4は、ラマン増幅器60、OTDR62、およびOSC64とともに偏波計40が内部に統合されたラマン増幅器である光回線デバイス34を示す。光回線デバイス34は、line_A_inポート70、line_A_outポート72、line_B_outポート74、およびline_B_inポート76を備えた4ポート光デバイスである。たとえば、ラインAは、ファイバ16または他の光学コンポーネントに結合でき、ラインBは、ファイバ18または他の光学コンポーネントに結合できる。ラマン増幅器60は、フィルタ80を介して結合された1つ以上のラマンポンプ78を含んで、line_A_inポート70から逆伝播する。フィルタは、14XXフィルタとすることができて、XXは、ラマンポンプの1400~1500nmの範囲の波長であり、または、フィルタは、1500nm未満の任意信号などを1500nm超の他の信号と合成することができる。OTDR62は、DFBレーザ82とアバランシェフォトダイオードなどの検出器84とを介して後方反射測定を提供することができる。DFBレーザ82および検出器84は、サーキュレータ86などとフィルタ88とを介してline_A_inポート70に結合することができる。一実施形態では、DFBレーザ82は、1527nmとすることができ、当然のことながら、他の波長も考えられる。OSC64は、スモールフォームファクタプラガブル(SFP)などのようなプラガブル光トランシーバ90を使用して実現することができる。OSC64は、フィルタ92を介して追加されることと、フィルタ94を介して除去されることとの両方により、双方向遠隔測定チャネルを提供する。一実施形態では、OSC64は、1511nmで動作することができ、当然のことながら、他の波長も考えられる。
【0047】
偏波計40は、レシーバ100およびDFBレーザ102を含む。この場合も、DFBレーザ102は、テスト信号、すなわち偏波プローブ信号をフィルタ54を介してline_B_outポート76に提供し、レシーバ100で、フィルタ56を介してline_A_inポート70から対応するテスト信号を受信する。この場合も、一実施形態では、DFBレーザ102は、1591nmとすることができ、当然のことながら、他の波長も考えられる。この実施形態では、テスト信号は、WDMトラフィック伝達チャネルのCバンドと共伝播し、それにより、上流の偏波プローブ信号からのSOPトランジェントの検出を可能にする。レシーバ100は、
図6で説明されるさまざまな実施形態を含む任意のアーキテクチャを企図している。したがって、光回線デバイス34では、ラマン増幅器60、OTDR62、OSC64、および偏波計40は
、それぞれが異なる動作波長を有し、各動作波長がWDMトラフィック伝達チャネルのCバンドの外側にあるので、同時に動作することができる。
【0048】
図5では、光回線デバイス36は、光回線システムにプラグインしてデュアルOTDRおよび偏波計機能をサポートすることができるプラガブルモジュールである。
図5は、ファイバ16、18を介するなどして互いに接続された2つの相補的な光回線デバイス36を示す。光回線デバイス36は、スイッチ110、112の構成に基づいて、OTDRまたは偏波計として動作するように構成されている。なお、OTDRと偏波計との両方が、OTDRモードのパルスまたはSOPモードの単一偏波連続波(CW)として構成できるDFBレーザ114を共有できる。光回線デバイス36は、出力ポート120および入力ポート122を含む。DFBレーザ114は、後方反射を測定するために、DFBレーザ114を、SOPモードの場合は出力ポート120に結合し、OTDRモードの場合はサーキュレータ124を介して入力ポート122に結合するスイッチ110に結合される。入力ポート122は、スイッチ112の構成に基づいて、偏波計レシーバ100またはOTDRレシーバ126のいずれかに接続するサーキュレータ124に結合される。一実施形態では、光回線デバイス36のデフォルト動作は、後方反射を測定するために必要に応じてOTDRモードが選択的に有効にされた状態の偏波計、すなわち、「1」の位置に接続されたスイッチ110、112とすることができる。
【0049】
図6は、統合された偏波計に使用し得る振幅分割偏光計(DOAP)200を示すブロック図である。DOAP200は、4つの検出器206に異なる配置の光を出力する異なる配置204を通してさまざまに配置される入力光202を有し、4つの検出器206は、入力光202のストークスパラメータの線形投影である、対応する電気出力i
1、i
2、i
3、i
4 208を提供する。異なる配置204は、DOAP200の出力光電流が入力光202 SOPの線形投影となるように、入力光202を、異なる配置で異なる方法(通常は4つの方法)に分割する。偏波計の重要な技術は、光の異なる配置204を実現する要素である。
【0050】
双方向OTDR
図7は、双方向OTDR構成のブロック図である。ここで、OTDR測定システム300は、1対のファイバ16、18のROADM方路302、304に接続される。ここで、OTDR測定システム300のポート328は、ROADM方路302のポート344に接続され、同様に、OTDR測定システム300のポート328は、ROADM方路304のポート344に接続される。ROADM方路302、304は、ファイバ16、18を介して互いに接続される。1×4光スイッチ326を用いて、OTDR測定システム300は、3つの追加のROADM方路(図示せず)に接続することができる。OTDR測定システム300の1つの利点は、ポート344とポート328との間に単一のファイバ接続しかないことである。
【0051】
ROADM方路302、304は、ファイバ16、18およびポート344に接続可能なポート346を含むモジュールによって形成することができる。モジュールは、光増幅器348(たとえば、EDFA、ラマンポンプなど)、波長選択スイッチ(WSS)などの他の機能を含むことができる。ROADM方路302、304を形成するモジュールは、さまざまなフィルタ350、352、354を含んで、OTDR測定システム300から波長λ1、λ2を配信する。ROADM方路302、304内では、ポート344同士のOTDR信号接続が、光学フィルタ350に結合され、2つの波長λ1、λ2を逆多重化する。第2のフィルタ352は、波長λ1(たとえば、赤色波長)と、送信方向、すなわち、波長ファイバ16上で右から左へ、ファイバ18上で左から右へと向かう、増幅器348からのWDM信号とを合成する。
【0052】
第3のフィルタ354は、同様に、波長λ2(たとえば、青色波長)と、受信方向(ファイバ18上で右から左へ、ファイバ16上で左から右へ)でROADM方路302、304に入ってくるWDM信号とを合成する。この場合、OTDRソースおよびWDM信号は逆伝播している。ファイバ16、18の両端は、同様の構成であり、これは、各ファイバ16,18内において、WDM信号とともに共伝播する赤色OTDRソース(波長λ1)と、逆伝播する青色OTDRソース(波長λ2)とが存在することを意味する。
【0053】
この例では、OTDR波長λ1は、ファイバ16上でWDMチャネルとともに共伝播して送信され、後方散乱信号λ1_BACKは、OTDR測定システム300のOTDR測定サブシステム360に戻って受信される。ファイバ16上の他方の方向では、OTDR波長λ2は、WDMチャネルとともに逆伝播して送信され、後方散乱信号λ2_BACKは、OTDR測定サブシステム360に戻って受信される。ファイバ18は、波長λ1、λ2、λ1_BACK、λ2_BACKに対してファイバ16とは反対の構成を有する。
【0054】
二つの異なる波長λ1、λ2の使用により、同じファイバ16、18を共有する2つOTDRソースが互いに干渉しない、したがって、独立して動作できることが保証される。これにより、スパンの両端でODTRを同期する必要がなくなり、ソフトウェアの実装が大幅に簡素化される。使用中にある一方のOTDRは、他方のOTDRの測定を妨げないため、いつでも両方のOTDRを使用できることが保証される。OTDR測定システム300をROADMカードまたは両方向用のモジュールに接続するために必要なのは単一のファイバのみであるため、ケーブル配線が簡素化されるという利点もある。
【0055】
図8は、異なるファイバタイプの区別を示す、ファイバ16上のOTDRトレース380のグラフである。デュアル波長OTDRトレースが各OTDR測定システム300で取得されると、光サービスチャネル(OSC)、データ通信ネットワーク(DCN)などを介してネットワーク要素間でトレースデータを交換でき、これにより、複合トレースを同じファイバ16の両端から収集されたトレースを組み合わせることによって作成することができる。各スパンからのトレースは、EMS、NMS、SDNアプリケーションなどの上位アプリケーションによって照合することもできる。双方向OTDRの場合、両方向で同様のスプライス損失が観察される一方、スパン内のファイバタイプは、一方の方向(小さいコアから大きいコアのファイバに向かう)では損失として、他方の方向(大きいコアから小さいコアに向かう)では利得として現れる。
【0056】
2つの波長λ1、λ2の選択は、設計の重要な部分である。実施形態では、波長λ1は、エルビウム添加ファイバ増幅器(EDFA)増幅バンド外の、たとえば1560nmより大きく、典型的には1530nmと1565nmとの間(すなわち、EDFA増幅バンド)にあるWDM信号よりも大きい、赤色波長である。波長λ2は、同様にEDFA増幅バンド外の、たとえば1530nmより小さく、WDM信号より小さい、青色波長とすることができる。実施形態では、波長λ1は、WDM信号とともに共伝播する一方、波長λ2は、WDM信号とともに逆伝播する。波長λ1、λ2の上述の選択は、WDM信号を伴う稼働中動作を有利にサポートする。すなわち、OTDR測定システム300の重要な態様は、送信および受信方向のノードに接続された2つのファイバの状態を知るために、2つの異なる波長(たとえば、赤および青の波長)で2つのOTDRソースを利用することである。実施形態では、波長λ1は1625nmであり、波長λ2は1527nmである。
【0057】
この場合も、2つの波長は、トラフィックが実行している間の稼働中で双方向OTDRが動作できるように、トラフィック伝達チャネル(たとえば、Cバンド、約1530~1565nm、またはLバンド、Sバンドなどの他の伝送バンド)の1つ以上の信号バンドの外側のものに選択される。すなわち、2つの波長は、トラフィック伝達チャネル用に予約されたスペクトルの外側になるように選択される。たとえば、1つ以上の信号バンド(たとえば、Cバンド内の1560nm)において最大値となる波長、すなわち、より長い波長よりも長いWDM信号とともに共伝播する波長λ1を選択することにより、相互位相変調などの非線形相互作用は、WDM信号に対して回避または最小化される。逆伝播では、WDM信号との非線形相互作用が最小限に抑えられるため、柔軟性が向上する。1つ以上の信号バンド(たとえば、Cバンド内の1528nm)において最小値となる波長、すなわち、より短い波長よりも短いWDM信号とともに逆伝播する波長λ2を選択することにより、波長λ2は、ラマン利得の測定とプロファイルに使用できる。たとえば、WDM信号ハンドのすぐ下のOTDR波長を使用して、ラマン利得を監視できる。ラマン利得領域に1つの波長を持ち、その外部に1つの波長があると、ラマンポンプをオンにせずに取得したベースライントレースのみに依存する必要なく、ファイバ媒体を介したラマン利得とその分布の稼働中測定を実行するのに役立つ。当然のことながら、異なる波長λ1、λの他の値も考えられる。また、レーザには調整可能な波長を含めることができ、さまざまな用途のためにさまざまな波長をサポートする。
ファイバスパン長測定
【0058】
図9は、ファイバスパン長測定を説明するための光ネットワーク10のネットワーク図である。本明細書で説明されるように、OTDRトレースを使用してファイバスパン長を決定すると、ファイバ16、18の終端を明確に識別することは一般的に困難であるか不可能である。OTDRトレースではそれは明確なシグネチャではない可能性があるからである。一実施形態では、構成可能反射要素402は、ファイバ16、18の各終端で使用されて、OTDRトレース内のファイバ終端の位置を特定するために使用できる明確な基準点を提供する。各ファイバ16、18は個別に測定でき、長測定の精度は、+/-1%よりも良好にすることができる。
【0059】
ノード12、14は、OTDR測定システム300などの統合されたOTDRを含むことができる。ファイバスパン長測定は、OTDR測定システム300を利用して、OTDRトレースに基づいてファイバスパン長を決定することができる。注目すべきは、OTDR測定システム300は、1×N微小電気機械システム(MEMS)スイッチ(たとえば、1×4光スイッチ326)は、構成可能反射要素402である。ファイバスパン長測定は、ラインポートのうちの少なくとも1つのためのミラーとして構成されるように構成可能反射要素402を較正することにより、OTDR測定システム300内の任意の追加のコンポーネントで実施することができる。
【0060】
本明細書で説明されるように、OTDR測定システム300は、稼働中に動作することができるので、ファイバスパン長測定は、稼働中に実行することができる。また、ファイバスパン長測定は、ファイバのたるみ、非直接的な物理ルーティングなどが存在するため、物理的な距離とは異なり得るファイバの長さを測定する。
【0061】
1×N MEMSスイッチは、構成可能反射要素402であり、これは、OTDRソースの反対側のスパンの端にある高反射要素とすることができ、OTDRトレース内のファイバ終端の位置を特定するために使用できる明確な基準点を提供できる。注目すべきは、これはファイバの終端の位置であり、OTDRソースは、ファイバの始点の位置である。あるOTDR構成では、1×4光スイッチ326を使用して、複数のファイバ間で同じOTDRハードウェアを共有する。たとえば、ライン増幅器サイトは、1×4光スイッチ326を使用して、そのサイトに出入りする4本のファイバすべてでOTDR測定を実行できる。一実施形態では、1×Nスイッチは、異なるファイバを互いに結合するために異なる角度で傾けることができるMEMSミラーを含む。また、MEMSミラーを傾けて、所定の入力ファイバからの光をミラー自体に反射させることで、制御可能なミラーを作成できる。これは、ファイバ16、18を有するファイバスパンについての
図9に示されている。
【0062】
ファイバ16の長さを測定するために、Line_A_Inから入ってくるOTDR波長を反射すべく、1×N MEMSスイッチ(構成可能反射要素402)が、ノード14で構成され、OTDRトレースがノード12でキャプチャされ、高反射点が、1×N MEMSスイッチに基づいて、ファイバ16の終端で決定される。
【0063】
ファイバ18の長さを測定するために、Line_B_Inから入ってくるOTDR波長を反射すべく、1×N MEMSスイッチ(構成可能反射要素402)が、ノード12で構成され、OTDRトレースがノード14でキャプチャされ、高反射点が、1×N MEMSスイッチに基づいて、ファイバ18の終端で決定される。
【0064】
なお、構成可能反射要素402は、たとえば、受動反射要素(金属化端面を備えたファイバ、薄膜フィルタなど)を使用して、他の方法で実装できる。スイッチまたは可変光減衰器(VOA)を使用して反射のオン/オフを切り替える機能があると望ましい。なぜなら、構成可能反射要素402によって設定された遠端反射がある場合とない場合とでOTDRトレースを比較するだけで、ソフトウェアが遠端反射を回線システムで発生する可能性のある他の反射から簡単に区別できるからである。
【0065】
ファイバSRS測定
図10は、ファイバSRS測定を説明するための光ネットワーク10のネットワーク図である。ファイバSRS測定は、光回線システムで一般的に利用可能なコンポーネントを使用して、モードフィールド直径または有効面積(A
eff)に相関する光ファイバ16の非線形係数を特性評価する技法を提供する。システムおよび方法は、OSCトランスミッタ502、OSCレシーバ504、および増幅器506、508などの既存のコンポーネントを使用するSRS測定能力を含む。たとえば、光ネットワーク10では、ノード12は、後置増幅器506を含むことができ、ノード14は、前置増幅器508を含むことができる。増幅器506、508は、EDFAベースとすることができる。ノード12は、OSCトランスミッタ502を含み、ノード14は、OSCレシーバ504を含む。また、ノード12は、挿入損失(IL
1)を持つパッチパネル510を含むことができ、ノード14は、挿入損失(IL
2)を持つパッチパス512を含むことができる。後置増幅器506は、出力パワーP
OUT、およびファイバへのパワーP
FIB=P
OUT-IL
1を有する。
【0066】
非線形係数を推定するには、OSCトランスミッタ502(または代替的にOTDRもしくは増幅器の光帯域幅外のその他の利用可能なソース)の波長をプローブとして使用し、増幅器506からの増幅誘導放出(ASE)をポンプとして使用してSRS測定を実行する。
【0067】
SRS測定を実行するために、第1に、増幅器506が無効にされた状態で、ノード14においてOSCパワー(パワーP1として示される)が測定される。たとえば、OSC波長は、1511nmとすることができる。また、これは、OTDR波長とすることもできる。第2に、増幅器506は、Cバンド増幅誘導放出(ASE)ノイズを生成するように提供される。第3に、再びOSCパワーが測定される(パワーP2として示される)。ここで、P1-P2に等しいS(dB)であるSRSに起因した、より低い波長プローブ(OSC又はOTDR波長)からCバンドASEへのエネルギー伝達が存在するゆえに、パワーP2は低い。
【0068】
Sは、ファイバ長を考慮して以下のようにスケーリングできる。
【数1】
ここで、αは、ファイバの減衰係数であり、典型的には0.2dB/kmであるか、またはOTDRトレースからより正確に取得でき(減衰はOTDRトレースの勾配である)、Lは、ファイバの長さであり、ファイバスパン測定から取得できる。なお、長いファイバスパン(たとえば、100km)の場合には、S≒S’である。
【0069】
SRSパラメータS’は、スパンファイバへと出射されるポンプ信号の強度I
fib=P
fib/A
effに直接相関する。これは、ファイバのラマン利得係数が、異なるファイバタイプのラマン利得係数と有効面積のグラフである
図11に示されているように、主にA
effの関数であるからである。たとえば、85mWのASEが、ある長さの非分散シフトファイバ(NDSF)に結合された場合、I
fib≒1mW/μm
2およびS’≒0.86dBであり、簡単に測定できる。有効面積が小さいTruewave Classicの場合、S’は、およそ1.3dBになる。上流の増幅器の後にパッチパネル損失IL
1が導入された場合、S’パラメータは、それに応じて減少する。たとえば、IL
1=3dBでは、NDSFの場合、S’は、0.43dBに減少する。
図12は、異なるファイバタイプと0~3dBの間で変化するパッチパネル損失の場合のこの関係を示す。
図12は、ファイバへと出射されたCバンドASEソースの強度と、0dB~3dBのパッチパネル損失について1511nmで測定されたSRS係数との間の相関のグラフである。なお、この関係は、異なるファイバタイプに対して準普遍的である。
【0070】
SRS測定を使用して、ファイバタイプまたはパッチパネル損失に関する事前の知識がなくても、ファイバへと出射される実際の信号強度を較正することができる。また、SRSに起因したパワー伝達と非線形ペナルティとの両方が主に最初の10~20kmのファイバで発生するため、このアプローチを使用して、混合タイプのファイバが一緒に接続されている場合でも、出射パワーを最適化できる。
【0071】
この測定はスパンごとに実行でき、本明細書で説明される分散測定と組み合わせて使用すると、システム(コントローラ)ソフトウェアに、エンドツーエンドのチャネル性能を予測および最適化するために必要な情報を提供する。これにより、システムソフトウェアは、たとえば設計ツールに手動で入力された一般的なファイバタイプ情報ではなく、実際のファイバ測定データに基づいて各スパン(Pfib)に入るチャネルの出射パワーを最適化することにより、回線システムから可能な限り多くの性能を抽出できる。
【0072】
測定は、スパンの送信側から実行されるため、ASE信号とプローブ信号は、あらゆるデータチャネルと同じ挿入損失と非線形性を受け、これにより、最適チャネルパワーに較正するのに使用できる。測定は、各スパンで自動的に実行され、システムソフトウェアがチャネル性能を最適化できるように十分な精度を提供する。これにより、システムからより多くの容量を引き出すことができる。
【0073】
図13は、最適出射パワー対SRSのグラフである。たとえば、最適出射パワーは、以下によって与えられる。
【数2】
仮定/定義として、最適出射パワーは、A
effに比例し、SRS係数は、A
effに反比例し、IL
1は、P
outおよびdBのSRS係数dBに影響を与え、P
refは、パッチパネル損失のないNDSFについての最適出射パワーであり、S
refは、パッチパネル損失のない100kmのNDSFについてのSRSに起因したOSCパワーの変化である。
【0074】
ファイバSRS測定は、ラマン利得較正手順と同様に、最初のスパンの出現中に実行できる。このアプローチの利点は、混合ファイバタイプを含むすべてのファイバタイプで機能し、パッチパネル損失を考慮し、追加のハードウェアを必要としないことである。
【0075】
ファイバ分散測定
図14は、ファイバ分散測定および非線形係数を説明するための光ネットワーク10のネットワーク図である。ファイバスパン長測定およびファイバSRS測定と同様に、ファイバ分散測定は、光回線システムに統合された既存の機器で実行でき、これらの測定は、スパンごとに実行して、システム(コントローラ)ソフトウェアにエンドツーエンドのチャネル性能を予測および最適化するために必要な情報を提供することができる。これにより、システムソフトウェアは、たとえば設計ツールに手動で入力された一般的なファイバタイプ情報ではなく、実際のファイバ測定データに基づいて各スパン(P
fib)に入るチャネルの出射パワーを最適化することにより、回線システムから可能な限り多くの性能を抽出できる。
【0076】
分散測定能力は、ノード12でのOTDRソース602とノード14でのOTDRレシーバ604とを含むOTDRや、OSCトランスミッタ502とOSCレシーバ504とを含むOSCなどの既存のコンポーネントを使用する。測定は、各スパンで自動的に実行され、システムソフトウェアがチャネル性能を最適化できるように十分な精度を提供する。これにより、オペレータの運用コストが削減され、システムからより多くの容量を抽出できる。
【0077】
分散測定とは、2つの異なる波長での光パルス間の差分時間遅延を測定し、この数をファイバ長と波長の間隔で除算して、2つの波長の平均値に対応する波長でのファイバ分散の推定値を取得することである。ファイバ長は、本発明で説明されるファイバスパン測定を使用して、または光サービスチャネル(OSC)の往復遅延測定を使用するなどの他の方法で取得できる。
【0078】
この分散測定でも、OSCおよびOTDR機能に使用される既存のハードウェアを活用できる。典型的なOSCとOTDRの波長は、それぞれ1511nmと1625nmであり、これを使用して1568nm(2つの波長の平均値)で分散推定値を提供できる。当業者であれば、OSCおよびOTDRの波長が設計上の選択に基づいて異なる値とすることができ、唯一の変化が、分散推定値が提供される波長、すなわち2つの波長の平均値であると認識するであろう。
【0079】
OSC機能とOTDR機能を同じ回路パッケージ内にまたは同じハードウェア内に配置でき、これにより、同期パルスドライバ610を介してTx信号を同期し、遅延測定612を介してスパンの他端でRx信号間の差分遅延を測定できる。共通クロックを使用してOTDRトランスミッタ502およびOSCトランスミッタ602の両方を駆動することにより、2つの波長のパルスを送信側で1ナノ秒または数ナノ秒以内に同期させることができる。光学アセンブリのドライブエレクトロニクスまたはファイバで発生し得る差分遅延を補償するために、なんらかの較正を必要としてもよい。好ましくは、Txパルス間の差分遅延を測定するために、OSCトランスミッタ502/OTDRトランスミッタ602の設計内に検出回路を含めることができる。そして、遅延を最小限に抑えるためにフィードバックループを実装できる。あるいは、測定されたTx遅延値は、OSC通信チャネルなどを介して遠端に送信することができる。そして、遠端で遅延を計算するソフトウェア/コントローラは、このTx遅延値を差し引いて、真のファイバ遅延を取得できる。
【0080】
同期パルスドライバ610は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などのプログラマブルデバイスによって制御することができるため、使用される遅延測定技法のタイプに応じて、特定のパルスパターンを生成して測定を容易にすることができる。たとえば、特定のデューティサイクルで周期的なパルスを作成し、2つの波長の連続するパルスがファイバを伝播するときに重複しないように選択できる。あるいは、疑似ランダムバイナリシーケンス(PRBS)などの符号化されたビットシーケンスを生成することもできる。
【0081】
検出回路は、ロックイン検出などの既知の技法を使用することができる。短時間遅延測定の場合、時間領域相互相関法または周波数領域位相シフト測定法のいずれかを使用して、2つの受信信号間の差分遅延を測定できる。相互相関は、PRBSシーケンスで適切に機能する一方、位相シフト測定は、固定周波数トーンで適切に機能する。
【0082】
一実施形態では、ファイバ分散測定において、同期パルスドライバ610が、共通のフレーミングで1511nmのOSC信号を駆動し、1568nmのOTDR信号を共伝播すること(なお、OTDRレートは、OSCほど高くはないが、それらは、8kHzのOC-3フレームパルスなどの共通のフレームパルスを含むことができる)を含むことができる。OTDRレシーバ604は、専用のOC-3レシーバ(たとえば、アバランシェフォトダイオード(APD)レシーバ光サブアセンブリ(ROSA)およびWDMフィルタ)を使用して、順方向伝播するOTDRパルスを終端することができる。位相検出回路(PLL)を使用して、OSCパルスとOTDRパルスの遅延(たとえば、NDSFの場合は約1ns/km)を比較できる。1538nmでの平均分散値を取得するために、OSC往復遅延測定を使用して推定された、またはファイバスパン長測定を介して推定されたファイバ長を使用する。
【0083】
OSC信号とOTDR信号との間の差分遅延を測定することに関して、これらの信号のそれぞれは、同期パルスドライバ610からの同じビットシーケンスで駆動される。分散により、一方での狭いパルスが、他方では広いパルスになり得る。差分遅延は、2つのシーケンス間の相関に基づいて測定できる。
【0084】
ファイバ測定プロセス
図15は、光回線システム内の光ノードによって部分的に実行される光ファイバを特性評価するためのプロセス700のフローチャートである。プロセス700は、光ノードで1つ以上のコンポーネントを用いて光ファイバを特性評価するために1つ以上の測定を実行することであって、1つ以上のコンポーネントが、光ノードの動作中に機能を実行し、その機能に関係なく1つ以上の測定を実行すること(ステップ702)と、1つ以上の測定に基づいて、光ファイバを介した通信のために光ノードを構成すること(ステップ704)と、を含む。
【0085】
1つ以上のコンポーネントはそれぞれ、光サービスチャネル(OSC)、光時間領域反射率計(OTDR)、および光増幅器のうちのいずれかを含むことができる。当業者であれば、OSCが、運用、管理、保守、およびプロビジョニング(OAM&P)を目的とする2つの隣接ノード間の帯域内通信のためのものであり、OTDRが、光ファイバの後方反射と損失を決定するためのものであり、光増幅器が、増幅のためのものであることを認識する。測定は、これらのコンポーネントによって、それらの通常の機能とは別に実行される。構成することは、1つ以上の測定に基づいて、光ファイバに出射パワーを設定することを含むことができる。
【0086】
一実施形態では、1つ以上のコンポーネントは、光時間領域反射率計(OTDR)を含むことができ、1つ以上の測定を実行することは、光ファイバの終端で明確な基準点を提供するように構成された構成可能反射要素を用いてOTDR測定を実行することと、明確な基準点に基づいてOTDR測定から光ファイバの長さを決定することと、を含むことができる。構成可能反射要素は、複数の光ファイバとOTDRコンポーネントを共有するように構成された1×N微小電気機械システム(MEMS)スイッチを含むことができる。
【0087】
別の実施形態では、1つ以上のコンポーネントは、i)光サービスチャネル(OSC)および光時間領域反射率計(OTDR)のうちの1つを通じて形成される光波長と、ii)光増幅器、を含むことができ、1つ以上の測定を実行することは、光増幅器が無効になっている光ノードの下流ノードでの光波長のパワーP1を測定することと、増幅誘導放出(ASE)を生成するように構成された光増幅器を用いて、光ノードの下流ノードでの光波長のパワーP2を測定することと、測定されたパワーP1およびパワーP2に基づいて、誘導ラマン散乱(SRS)を決定することと、を含むことができる。1つ以上の測定を実行することは、ファイバ長に基づいてSRSをスケーリングすることと、光ファイバの減衰係数を使用することと、をさらに含むことができる。光ノードを構成することは、スケーリングされたSRSに基づいて光ファイバへの出射パワーを決定することを含むことができる。
【0088】
さらなる実施形態では、1つ以上のコンポーネントは、第1の波長での光サービスチャネル(OSC)および第2の波長での光時間領域反射率計(OTDR)を含むことができ、1つ以上の測定を実行することは、第1の波長および第2の波長のそれぞれを、同期した方法で同じビットパターンで駆動することと、下流ノードでの第1の波長および第2の波長の受信に基づいて、光ファイバ上の分散を測定することと、を含むことができる。分散を測定することは、第1の波長と第2の波長のそれぞれの光パルス間の差分時間遅延を決定することと、差分時間遅延を光ファイバの長さおよび第1の波長と第2の波長の間隔で除算して第1の波長と第2の波長の平均値で分散を決定することと、を含むことができる。
【0089】
光ファイバを特性評価するように構成された光回線システムの光ノードは、光ノードの動作中に機能を実行するように構成された1つ以上のコンポーネントであって、1つ以上の測定を実行して光ファイバを特性評価するように構成され、光ノードの動作中に機能を実行し、機能とは無関係に1つ以上の測定を実行するように再構成される、1つ以上のコンポーネントと、1つ以上の測定に基づいて、光ファイバを介して通信するように構成された光モデムと、を備える。
【0090】
光回線システム内の光ノードによって部分的に実行される光ファイバを特性評価するように構成された装置は、1つ以上の測定に、光ノードで1つ以上のコンポーネントを用いて光ファイバを特性評価させるように構成された回路構成であって、1つ以上のコンポーネントが、光ノードの動作中に機能を実行し、その機能に関係なく1つ以上の測定を実行する、回路構成と、1つ以上の測定に基づいて、光ファイバを介した通信のために光ノードを構成するように構成された回路構成と、を備える。
【0091】
本明細書で説明されるいくつかの実施形態は、マイクロプロセッサなどの1つ以上の汎用または専用プロセッサ(「1つ以上のプロセッサ」);中央処理装置(CPU);デジタルシグナルプロセッサ(DSP);ネットワークプロセッサ(NP)またはネットワークプロセッシングユニット(NPU)、グラフィックプロセッシングユニット(GPU)などのカスタマイズされたプロセッサ;フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA);その他同様なものを、その制御のための特有の格納されたプログラム命令(ソフトウェアおよびファームウェアの両方を含む)とともに含んで、特定の非プロセッサ回路と組み合わせて、本明細書に記載の方法および/またはシステムの機能の一部、大部分、またはすべてを実装してもよいことが理解されよう。あるいは、一部またはすべての機能は、プログラム命令が保存されていないステートマシンによって、または1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)によって実装されてもよく、各機能または特定の機能のいくつかの組み合わせがカスタムロジックまたは回路として実装される。当然のことながら、前述のアプローチの組み合わせを使用してもよい。本明細書で説明するいくつかの実施形態では、ハードウェア内の、および任意選択でソフトウェア、ファームウェア、およびそれらの組み合わせを有する、対応するデバイスを、「~するように構成されたまたは適合した回路」、「~するように構成されたまたは適合したロジック」などと称し、さまざまな実施形態について本明細書で説明するデジタルおよび/またはアナログ信号に対する操作、ステップ、方法、プロセス、アルゴリズム、機能、技法などのセットを実行することができる。
【0092】
さらに、いくつかの実施形態は、コンピュータ、サーバ、アプライアンス、デバイス、プロセッサ、回路などをプログラミングするためのコンピュータ可読コードが格納された非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含んで、それらの各々が、本明細書で説明されおよび請求された機能を実行してもよい。そのようなコンピュータ可読記憶媒体の例として、ハードディスク、光学記憶デバイス、磁気記憶デバイス、ROM(読み取り専用メモリ)、PROM(プログラマブル読み取り専用メモリ)、EPROM(消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ)、EEPROM(電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ)、フラッシュメモリなどが挙げられるが、これらに限定されない。非一時的コンピュータ可読媒体に格納される場合、ソフトウェアは、プロセッサまたはデバイスによって実行可能な命令(たとえば、任意のタイプのプログラマブル回路またはロジック)を含むことができ、その命令は、そのような実行に応じて、プロセッサまたはデバイスに、さまざまな実施形態について本明細書で説明されているように、操作、ステップ、方法、プロセス、アルゴリズム、機能、技法などのセットを実行させることができる。
【0093】
本開示は、好ましい実施形態およびその特定の例を参照して本明細書で図示および説明されたが、他の実施形態および例が同様の機能を実行し、および/または同様の結果を達成し得ることは当業者には容易に明らかであろう。そのような同等の実施形態および例はすべて、本開示の要旨および範囲内にあり、それによって企図され、以下の請求の範囲によってカバーされることが意図されている。