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特許7304364マルチファイバインタフェース自動パワー低減システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-28
(45)【発行日】2023-07-06
(54)【発明の名称】マルチファイバインタフェース自動パワー低減システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/079 20130101AFI20230629BHJP
   H04B 10/25 20130101ALI20230629BHJP
【FI】
H04B10/079
H04B10/25
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020554508
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-23
(86)【国際出願番号】 US2020024595
(87)【国際公開番号】W WO2020198294
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-01-31
(31)【優先権主張番号】16/710,139
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/364,749
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519382455
【氏名又は名称】シエナ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100120684
【弁理士】
【氏名又は名称】宮城 三次
(72)【発明者】
【氏名】ポール シェドア
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-208357(JP,A)
【文献】特開2016-012827(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0099851(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0149810(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/075 - 10/079
H04B 10/25
H04J 14/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の出力ポートおよび複数の入力ポート(12)であって、当該複数の出力ポートおよび複数の入力ポート(12)にそれぞれ接続するための送信ファイバおよび受信ファイバを含む複数のファイバを含んでいるマルチファイバケーブルに接続するように構成された複数の出力ポートおよび複数の入力ポート(12)と、
前記複数の出力ポートおよび複数の入力ポートのそれぞれに対する検出器であって、ポートレベルでの信号損失を検出するように構成された、前記複数の入力ポートに関連付けられた検出器と、
前記複数の出力ポートおよび複数の入力ポートに接続されている波長選択スイッチモジュール(20)と、
信号損失が検出されたマルチファイバケーブルに接続されるように構成されている前記入力ポートに関連付けられている光のスペクトルに対してのみ自動パワー低減を実行させるように構成されているプロセッサ(24)とを備え、
前記自動パワー低減は、信号損失が検出されている前記マルチファイバケーブルに接続されるように構成されている前記入力ポートに関連付けられている前記出力ポートの光のスペクトルを減衰させる前記波長選択スイッチモジュール(20)によって実行されることを特徴とする、
光モジュール(10)。
【請求項2】
前記マルチファイバケーブルは、マルチファイバプッシュオン(MPO)ケーブルである、請求項1に記載の光モジュール(10)。
【請求項3】
前記自動パワー低減は、信号損失が検出された入力ポートに関連付けられている出力ポートの検出器によって検出されたパワーとしきい値との比較に基づいて実行される、請求項1~2のいずれかに記載の光モジュール(10)。
【請求項4】
前記光モジュール(10)は、インターコネクトモジュール、再構成可能光アド・ドロップマルチプレクサ方路モジュール、およびマルチプレクサ/デマルチプレクサモジュールのいずれかである、請求項1~3のいずれかに記載の光モジュール(10)。
【請求項5】
前記マルチファイバケーブル内のすべてのファイバの光パワーの合計は、21.3dBmを超える、請求項1~4のいずれかに記載の光モジュール(10)。
【請求項6】
前記自動パワー低減は、前記波長選択スイッチモジュール(20)に接続されたハードウェアラインを介して優先順位付けされる、請求項1~5のいずれかに記載の光モジュール(10)。
【請求項7】
複数の出力ポートおよび複数の入力ポート(12)を、前記複数の出力ポートおよび複数の入力ポート(12)にそれぞれ接続するための送信ファイバおよび受信ファイバを含む複数のファイバを含んでいるマルチファイバケーブルに接続するように構成することと、
ポートレベルでの信号損失を検出するために、複数の検出器を介して前記複数の出力ポートおよび複数の入力ポート(12)を監視することと、
信号損失が検出された前記マルチファイバケーブルに接続されるように構成されている前記入力ポートに関する光のスペクトルに対してのみ自動パワー低減を実行することと、
を含み、
前記自動パワー低減は、信号損失が検出されている前記マルチファイバケーブルに接続されるように構成されている前記入力ポートに関連付けられている前記出力ポートの光のスペクトルを減衰させる、前記複数の出力ポートおよび入力ポートに接続されている波長選択スイッチモジュール(20)によって実行されることを特徴とする、方法。
【請求項8】
前記マルチファイバケーブルは、マルチファイバプッシュオン(MPO)ケーブルである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記自動パワー低減は、信号損失が検出された入力ポートに関連付けられている出力ポートの検出器によって検出されたパワーとしきい値との比較に基づいて実行される、請求項7~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、インターコネクトモジュール、再構成可能光アド・ドロップマルチプレクサ方路モジュール、およびマルチプレクサ/デマルチプレクサモジュールのいずれかである光学モジュール(10)で実行される、請求項7~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記マルチファイバケーブル内のすべてのファイバの光パワーの合計は、21.3dBmを超える、請求項7~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記自動パワー低減は、前記波長選択スイッチモジュール(20)に接続されたハードウェアラインを介して優先順位付けされる、請求項7~11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1~6のいずれかの前記光モジュールによって、請求項7~12のいずれかに記載の方法をプロセッサに実行させるように構成されたコンピュータ実行可能命令を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、光ネットワーキング分野に関する。より具体的には、本開示は、スペクトル固有の波長選択スイッチ(WSS)応答に基づくマルチファイバインタフェース自動パワー低減(APR)システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動パワー低減(APR)とは、レーザの安全性の文脈において使用される語句である。システムファイバは、多くの場合、オープンインタフェースで許容されるよりも大きなパワーを備えている。したがって、システムは、オープン接続を検出し、一定の時間内にパワーを下げて、露出と潜在的な目の損傷を制限する必要がある。これは、例えばIEC60825によって義務付けられている。
【0003】
Colorless-Directionless(CD、波長無依存・方向無依存)、Colorless-Directionless-Add(CDA、波長無依存・方向無依存・アド)、およびColorless-Directionless-Contentionless(CDC、波長無依存・方向無依存・無競合)の再構成可能光アド・ドロップマルチプレクサ(ROADM)アーキテクチャの人気が高まり続けている。これらのROADMタイプは、通常、マルチファイバプッシュオン(MPO)スタイルのケーブルなどを利用して、ノード内のファイバ接続を運用しやすくしている。大まかに言えば、これらのマルチファイバケーブルは、レーザの安全性の観点から単一点光源として扱われる。そのため、すべてのサブファイバからの放射パワーの合計は、例えば、特定の条件に基づいた約21.3dBmのIEC60825クラス1M(「1M」)の限度を超えることはできない。したがって、ケーブルあたり4つのアクティブなサブファイバがある場合、これは、サブファイバあたりの最大値約15.3dBmに変換される。
【0004】
ROADM設計の以前のバージョンでは、反応的なメカニズムを何ら必要とせずに、この制限に準拠することが可能であった。チャネルの数、それらのスペクトル占有率、およびシステムのパワースペクトル密度(PSD)ターゲットにより、合計パワーは、1Mであることを要するサブファイバあたりの最大値よりも低い結果となっていた。一般に、チャネルのPSDターゲットは、スペクトル占有率に関係なく一定のままである。そのため、Colorless Channel Mux/Demux(CCMD、波長無依存チャネルマルチプレクサ/デマルチプレクサ)のパワー要件は、チャネルの数だけでなく、それらのスペクトル占有率にも比例する。
【0005】
進化するテクノロジと組み合わせて、容量の増加を推進することは、全体のスペクトルおよびそれに対応してパワーを効果的に増加させる変更をもたらし、波長選択スイッチ(WSS)は、特定のCCMD(すなわち、サブファイバあたり)に向かわなければならない。ボーレートの増加(例えば、56、75、90+GBaud)は、これらのチャネルのスペクトル占有率を高める。さらに、CCMDあたりのアド/ドロップチャネルの数は増加している(例えば、12~24+)。さらに、チャネルの事前結合は、CCMDあたりのチャネル数(例えば、4X24)のポートマルチプライヤとして機能する。
【0006】
これらの変更は、特定のCCMDがそれぞれ90GHzを超えるスペクトルの96チャネルを含むという可能性を生み出す。実際には、これは複数方路のCまたはLバンドを満たすのに十分である。そのため、アクティブな応答がなければ、ケーブルの1M限度を下回ったままにすることはできなくなる。特別な課題は、他のポートの信号への付随的な損傷を回避することである。したがって、必要なのは、1つ以上の対応するAPRトリガに対するスペクトル選択的な応答である。
【0007】
以前は、レーザの安全要件を維持するために、クランプメカニズムまたは後方反射型APRが頻繁に当てにされていた。スペクトルの量、つまりパワーが所定のCCMDポートにルーティングされていることから、アンプを、目に安全な限度を下回る量のパワーにクランプすることはもはや不可能である。シングルモードMPOケーブルのアングルドフィジカルコンタクト(APC)終端により、後方反射型APRはもはや不可能である。
【発明の概要】
【0008】
例示的な様々な実施形態では、本開示は、対応する入力信号損失(LOS)に基づくWSS液晶オンシリコン(LCoS)などの格子パターンへの急速な変化に依存するスペクトル/ポート固有のAPRシステムおよび方法を提供する。したがって、スペクトル固有のWSS応答が活用される。なお、LCoSは、本明細書に限っては例示的なテクノロジである。
【0009】
例示的な一実施形態では、本開示は、光ネットワークモジュールのための自動パワー低減(APR)システムを提供し、このシステムは、1つ以上のマルチファイバコネクタに結合されるように適合された複数のポートを含むマルチファイバインタフェースと、複数のポートの入力ポートでの信号損失を検出し、関連する出力ポートのパワーを、カードプロセッサによって受信したアクティベーションしきい値と比較するように動作可能なカードプロセッサと、入力ポートで信号損失が検出されかつ出力ポートのパワーがアクティベーションしきい値を超えている場合に、光ネットワークモジュールをトリガしてAPRルーチンを実行し、複数のポートに結合された波長選択スイッチを使用して、影響を受けるポートに関連するスペクトルを減衰させるように動作可能なモジュールプロセッサと、を備える。任意選択で、カードプロセッサおよびモジュールプロセッサは、同じプロセッサのそれぞれの機能部分である。モジュールプロセッサはさらに、入力ポートで信号損失が検出されかつ出力ポートのパワーがアクティベーションしきい値を超えていない場合に、光ネットワークモジュールをトリガしてAPRルーチンを実行し、複数のポートに結合された波長選択スイッチを使用して、影響を受けるポートに関連するスペクトルを減衰させるということを拒否するように動作可能である。光ネットワークモジュールをトリガしてAPRルーチンを実行することは、ハードウェアラインを使用して、光ネットワークモジュールに他のルーチンよりも優先してAPRルーチンを実行させることを含む。複数のポートに結合された波長選択スイッチを使用して、影響を受けるポートに関連するスペクトルを減衰させることは、影響を受けるポートに関連するスペクトルを、モジュールプロセッサによって受信された所定の量だけ減衰させることを含む。あるいは、複数のポートに結合された波長選択スイッチを使用して、影響を受けるポートに関連するスペクトルを減衰させることは、影響を受けるポートに関連するスペクトルを、出力ポートのパワーとモジュールプロセッサによって受信されたアクティベーションしきい値との差に応じて可変量だけ減衰させることを含む。
【0010】
例示的な別の実施形態では、本開示は、光ネットワークモジュールのための自動パワー低減(APR)方法を提供し、この方法は、1つ以上のマルチファイバコネクタに結合されるように適合された複数のポートを含むマルチファイバインタフェースを与えることと、カードプロセッサにて、複数のポートの入力ポートでの信号損失を検出し、関連する出力ポートのパワーを、カードプロセッサによって受信されたアクティベーションしきい値と比較することと、入力ポートで信号損失が検出されかつ出力ポートのパワーがアクティベーションしきい値を超えている場合に、モジュールプロセッサにて、光ネットワークモジュールをトリガしてAPRルーチンを実行し、複数のポートに結合された波長選択スイッチを使用して、影響を受けるポートに関連するスペクトルを減衰させることと、を含む。任意選択で、カードプロセッサおよびモジュールプロセッサは、同じプロセッサのそれぞれの機能部分である。方法はさらに、入力ポートで信号損失が検出されかつ出力ポートのパワーがアクティベーションしきい値を超えていない場合に、モジュールプロセッサにて、光ネットワークモジュールをトリガしてAPRルーチンを実行し、複数のポートに結合された波長選択スイッチを使用して、影響を受けるポートに関連するスペクトルを減衰させるということを拒否することを含む。光ネットワークモジュールをトリガしてAPRルーチンを実行することは、ハードウェアラインを使用して、光ネットワークモジュールに他のルーチンよりも優先してAPRルーチンを実行させることを含む。複数のポートに結合された波長選択スイッチを使用して、影響を受けるポートに関連するスペクトルを減衰させることは、影響を受けるポートに関連するスペクトルを、モジュールプロセッサによって受信された所定の量だけ減衰させることを含む。あるいは、複数のポートに結合された波長選択スイッチを使用して、影響を受けるポートに関連するスペクトルを減衰させることは、影響を受けるポートに関連するスペクトルを、出力ポートのパワーとモジュールプロセッサによって受信されたアクティベーションしきい値との差に応じて可変量だけ減衰させることを含む。
【0011】
例示的なさらなる実施形態では、本開示は、1つ以上のマルチファイバコネクタに結合されるように適合された複数のポートを含むマルチファイバインタフェースを与えるステップと、カードプロセッサにて、複数のポートの入力ポートでの信号損失を検出し、関連する出力ポートのパワーを、カードプロセッサによって受信されたアクティベーションしきい値と比較するステップと、入力ポートで信号損失が検出されかつ出力ポートのパワーがアクティベーションしきい値を超えている場合に、モジュールプロセッサにて、光ネットワークモジュールをトリガして自動パワー低減(APR)ルーチンを実行し、複数のポートに結合された波長選択スイッチを使用して、影響を受けるポートに関連するスペクトルを減衰させるステップと、を生じさせるように構成されたコンピュータ実行可能命令を格納するコンピュータ可読媒体を提供する。任意選択で、カードプロセッサおよびモジュールプロセッサは、同じプロセッサのそれぞれの機能部分である。ステップとしてさらに、入力ポートで信号損失が検出されかつ出力ポートのパワーがアクティベーションしきい値を超えていない場合に、モジュールプロセッサにて、光ネットワークモジュールをトリガしてAPRルーチンを実行し、複数のポートに結合された波長選択スイッチを使用して、影響を受けるポートに関連するスペクトルを減衰させるということを拒否することが含まれる。光ネットワークモジュールをトリガしてAPRルーチンを実行することは、ハードウェアラインを使用して、光ネットワークモジュールに他のルーチンよりも優先してAPRルーチンを実行させることを含む。複数のポートに結合された波長選択スイッチを使用して、影響を受けるポートに関連するスペクトルを減衰させることは、影響を受けるポートに関連するスペクトルを、モジュールプロセッサによって受信された所定の量だけ減衰させることを含む。あるいは、複数のポートに結合された波長選択スイッチを使用して、影響を受けるポートに関連するスペクトルを減衰させることは、影響を受けるポートに関連するスペクトルを、影響を受けるポートのパワーとモジュールプロセッサによって受信されたアクティベーションしきい値との差に応じて可変量だけ減衰させることを含む。
【0012】
本開示は、以下に示すさまざまな図面を参照して本明細書で例示および説明され、同じ参照番号は適宜同じシステムコンポーネント/方法ステップを示すために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示のAPRシステムの例示的な一実施形態を示す概略図である。
図2】本開示のAPR方法の例示的な一実施形態を示すフローチャートである。
図3図1および図2のAPRシステムおよび方法に従って、影響を受けるポートのスペクトルのみに適用されるAPRを示す概略図である。
図4】他のポートが影響を受けないようにサブファイバごとのAPR応答の必要性を示す概略図である。
図5】光ネットワークモジュールのための自動パワー低減(APR)プロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
繰り返しになるが、概して、本開示は、対応する入力LOSに基づくWSS LCoS格子パターンへの急速な変化に依存するスペクトル/ポート固有のAPRシステムおよび方法を提供する。したがって、スペクトル固有のWSS応答が活用される。
【0015】
MPOインタフェースなどのマルチファイバインタフェースの課題は、サブファイバ間の分離が小さいため、サブファイバの集合体が単一点(またはほぼ単一点)のソースと見なされることである。そのため、1Mの安全性限度は、すべてのサブファイバの放射の合計に適用される。Cバンドでは、その限度は約21.3dBmである。これは、ケーブルごとに4つのファイバペアがあるシナリオにおいて、サブファイバあたり約15.3dBm未満に相当する。
【0016】
例えば、前世代のCDC ROADMでは、適切なシステムパフォーマンスに必要な適当なPSDを依然として達成しながら、サブファイバあたりのパワーを最大レベルを下回ってクランプすることが可能であった。ただし、それは56GBaudで最大16チャネルであった。直近のCDC ROADM設計では、サブファイバ限度あたりのこの約15.3dBmを超えない限り、必要なPSDを達成することはできなくなっている。これは、CCMDあたりの24のアド/ドロップチャネルへのジャンプに関連する総信号スペクトルの大幅な増加、サポートされるボーレート(すなわち、スペクトル占有率)の増加、およびチャネルの事前結合に起因する。
【0017】
下の表1は、前の世代のCDC(CCMD8x16@56GHz)の集約として1Mの限度を下回ったままにすることが可能であった方法を示しているが、これはもはや不可能である。最新のCCMD設計では、90GHz以上で96チャネルに対応できるようになっている。これは2つの方路を満たすのに十分なスペクトルである。
【表1】
【0018】
本開示は、マルチファイバケーブル内の双方向ファイバペアリングの性質を利用する。特定のポートの送信(デマルチプレクサ)と受信(マルチプレクサ)のファイバペアは、同じMPOケーブルに配置される。そのため、入力LOSを使用して、オープン接続を検出できる。デュプレックスLCコネクタとは異なり、MPOケーブルのサブファイバを細分割することは不可能であるため、入力LOSは信頼性の高い検出メカニズムを表す。シングルモードMPOケーブルの標準はAPC終端であるため、これは反射型の検出を不可能にする。
【0019】
入力ポートでLOSが検出された場合、その応答は、WSSモジュールの減衰機能を介してそのポートにクロスコネクトされたスペクトルのみのパワーを下げることである。したがって、他のポートのトラフィックは影響を受けない。追加のロジックにより、応答する前に出力パワーをアクティベーションしきい値と比較する。そのポートのパワーがすでにマルチファイバの最大値を下回っている場合、システムはAPR応答をスキップすることを選択してもよい。
【0020】
クラス1Mのタイミング要件を満たすために、ハードウェア(HW)ラインを使用して、他のすべてのWSSモジュールプロセスを中断し、必要に応じて1つ以上のポートのパワー低減を優先してもよい。以下の図により、そのメカニズムの実装方法を示し、説明する。
【0021】
ここで特に図1を参照すると、例示的な一実施形態では、本開示のAPRシステム10は、本ケースでは、4つのTx/Rxサブファイバを備えたMPOインタフェース12を含む。このMPOインタフェース12は、Mux WSS14およびDemux WSS16に結合され、これらは両方とも、例えば、従来通り、モジュール20およびラインアンプ22内のアンプ18(プリまたはポスト)に結合される。ラインアンプ22にはカードCPUまたはFPGA24が提供され、モジュール20にはモジュールCPUまたはFPGAが提供され、どちらも本開示の機能を可能にするように動作可能である。カードCPUまたはFPGA24がポート1 12(1)でLOSを検出すると、ポート1 12(1)の出力パワーがアクティベーションしきい値と比較される。このアクティベーションしきい値を超えると、HWラインがアクティベーションされ、モジュール20をトリガして、次に到来するAPR命令に優先順位を付ける。具体的には、モジュール20は、シリアル通信を介して通知され、タイミング要件に基づいて必要に応じてHWラインを使用してもよい。これらのAPR命令は、モジュール24に送られ、どのポートにAPRを適用するか(例えば、ポート1 12(1))を示す。次いで、モジュール24は、影響を受けるポート(例えば、ポート1 12(1))にクロスコネクトされたスペクトルにのみAPR減衰を適用する。MPOインタフェース12(または他のMPOインタフェース)の他のポートは影響を受けない。なお、過渡的な影響を軽減するために、パワー低減スルーレートを制御できる。本明細書におけるLOSは、例えば、自由空間で放射される光が安全なパワーレベルであることを確認することを目的としているため、コネクタの引き抜きやファイバの破損であってもよい。
【0022】
この方法論は図2に示されている。方法30は、ポートXでのLOS検出で始まる(32)。LOSが検出されない場合、パワーまたは減衰コントローラは正常に機能し、APRアクションは実行されない(34)。LOSが検出されると、ポートXのパワーがアクティベーションしきい値と比較される(36)。ポートXのパワーがすでにアクティベーションしきい値未満の場合、パワーまたは減衰コントローラは正常に機能し、APRアクションは実行されない(38)。ポートXのパワーがアクティベーションしきい値を超える場合、ポートXのWSSスペクトルは、APRアクションの一部として減衰させられる(40)。
【0023】
図3は、ポート1のみでのそのような減衰を示している。図からわかるように、提供されている例では、ポート1、2、および3の出力に関し、共通の入力が、APRの前後において同等のWSSスペクトルを受信する。APR後は、ポート1に関連するWSSスペクトル出力は減衰するが、ポート2および3に関連するWSSスペクトル出力は同じままである。
【0024】
図4は、他のポートが影響を受けないようにサブファイバごとのAPR応答の必要性を示す概略図である。APRスキームの対象となる選択されたポート50に関連するWSSスペクトルのみでは、他の多数のポートとチャネルは影響を受けない。
【0025】
例に応じて、本明細書に記載されている技法のいずれかの特定の行為またはイベントは、異なる順序で実行でき、追加、マージ、または完全に省略してもよい(例えば、記載されているすべての行為またはイベントが技法の実践において必要でない)ということを認識されたい。さらに、特定の例では、行為またはイベントは、順次ではなく、例えば、マルチスレッド処理、割り込み処理、または複数のプロセッサを介して、同時に実行されてもよい。
【0026】
1つ以上の例では、説明された機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組合せで実装されてもよい。ソフトウェアで実装される場合、機能は、コンピュータ可読媒体上の1つ以上の命令またはコードとして格納または送信され、ハードウェア系の処理ユニットによって実行されてもよい。コンピュータ可読媒体は、データ記憶媒体などの有形の媒体に対応するコンピュータ可読記憶媒体、または例えば通信プロトコルに従ってある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を容易にする任意の媒体を含む通信媒体を含んでもよい。このようにして、コンピュータ可読媒体は一般に、(1)非一時的である有形のコンピュータ可読記憶媒体、または(2)信号または搬送波などの通信媒体に対応してもよい。データ記憶媒体は、本開示で説明する技法を実装するための命令、コード、および/またはデータ構造を取得するために1つ以上のコンピュータまたは1つ以上のプロセッサからアクセスできる任意の利用可能な媒体としてもよい。コンピュータプログラム製品は、コンピュータ可読媒体を含んでもよい。
【0027】
限定ではなく例として、そのようなコンピュータ可読記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMもしくは他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージもしくは他の磁気記憶デバイス、フラッシュメモリ、または命令またはデータ構造の形で所望のプログラムコードを格納するために使用できかつコンピュータからアクセスできる他の任意の媒体を含むことができる。また、任意の接続を適当にコンピュータ可読媒体と称する。例えば、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者線(DSL)、または赤外線、ラジオ、マイクロ波などのワイヤレス技術を使用して、Webサイト、サーバ、またはその他のリモートソースから指示が送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、または赤外線、ラジオ、マイクロ波などのワイヤレス技術は、媒体の定義に含まれる。しかしながら、コンピュータ可読記憶媒体およびデータ記憶媒体は、接続、搬送波、信号、または他の一時的な媒体を含まず、代わりに非一時的な有形の記憶媒体に向けられることを理解されたい。本明細書で使用されるディスク(DiskまたはDisc)は、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、およびブルーレイディスクを含み、ディスク(Disk)は通常、データを磁気的に再生する一方、ディスク(Disc)はレーザで光学的にデータを再生する。上記の組み合わせもコンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるものとする。
【0028】
命令は、1つ以上のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)、汎用マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、コンプレックスプログラマブルロジックデバイス(CPLD)、または他の同等の集積またはディスクリートロジック回路などの1つ以上のプロセッサによって実行されてもよい。したがって、本明細書で使用する「プロセッサ」という用語は、前述の構造のいずれか、または本明細書で説明する技法の実装に適した任意の他の構造を指す場合がある。さらに、いくつかの態様では、本明細書で説明される機能は、専用のハードウェアおよび/またはソフトウェアモジュール内で提供されてもよい。また、当該技法は、1つ以上の回路またはロジック要素で完全に実装することができる。
【0029】
本開示の技法は、集積回路(IC)またはICのセット(例えば、チップセット)を含む、多種多様なデバイスまたは装置において実装されてもよい。様々なコンポーネント、モジュール、またはユニットは、開示された技法を実行するように構成されたデバイスの機能的側面を強調するためにこの開示で説明されるが、異なるハードウェアユニットによる実現を必ずしも必要としない。むしろ、上記のように、様々なユニットは、一つのハードウェアユニット内に組み合わされるか、または好適なソフトウェアおよび/またはファームウェアと組み合わせて、上記の1つ以上のプロセッサを含む相互動作ハードウェアユニットの集まりによって提供されてもよい。
【0030】
したがって、本開示は、追加のHWまたはコストを追加してパフォーマンスを低下させる手法に頼ることなく、レーザの安全性の課題を解決する。WSSを使用してパワーを低減する代わりの方法は、アンプをミュートすることであるが、これは、その方路に関連するすべてのトラフィックに不必要に影響を与えることになる(付随的な損傷を引き起こす)、またはすべてのWSSデマルチプレックスポートにシャッタを追加することであるが、これは大幅なコストの追加となり、ROADM損失を増やし、パフォーマンスに影響を与えることになる。したがって、本開示は、優れた解決策を提供する。有利には、本明細書で提供されるシステムおよび方法は、アクティブなサブファイバの数に関して柔軟である。入力LOSを使用して、MPOあたり4つのサブファイバの特定の実装や所与のフォトダイオード精度に関する想定などに基づいてサブファイバの最大パワー限度ごとに計算されたレベル、例えば、15dBm未満にAPRをトリガするというサブファイバごとの応答が提供される。
【0031】
取り得る減衰スキームとしては、固定減衰、ポート固有の固定減衰、および単に十分な減衰が含まれる。固定減衰では、入力LOSが検出された場合、対応するポートに関連するスペクトルの減衰は、ポートパワーに関係なく、デフォルトでユニバーサル(プロビジョニング可能な)値、例えば、約5dB)になる。これはシンプルで応答性が高いが、不必要に大きなパワーの過渡現象が発生する可能性がある。ポート固有の固定減衰では、各ポートについて最小公称パワー値を考慮することができる。繰り返しになるが、これはシンプルで応答性が高いが、それでも不必要に大きなパワーの過渡現象が発生する可能性がある。単に十分な減衰では、出力がAPRアクティベーションパワーをどれだけ上回っているかを考慮して、目に安全なレベルを達成するためにバルクオフセットを追加する。これにより、パワーの過渡現象が最小限に抑えられるが、計算の複雑さがさらに必要になる。これは、例えば、減衰プロファイルをすべてのポートの準備ができた状態に保つことによって軽減できる。
【0032】
図5は、光ネットワークモジュールのための自動パワー低減(APR)プロセス80のフローチャートである。プロセス80は、1つ以上のマルチファイバコネクタに結合されるように適合された1つ以上のポートを備えるマルチファイバインタフェースにおいて、カードプロセッサにて、1つ以上のポートの入力ポートでの信号損失を検出し、関連する出力ポートのパワーを、カードプロセッサによって受信されたアクティベーションしきい値と比較すること(ステップ82)と、入力ポートで信号損失が検出されかつ出力ポートのパワーがアクティベーションしきい値を超えている場合に、モジュールプロセッサにて、光ネットワークモジュールをトリガしてAPRルーチンを実行し、1つ以上のポートに結合された波長選択スイッチを使用して、影響を受けるポートに関連するスペクトルを減衰させること(ステップ84)と、を含む。カードプロセッサおよびモジュールプロセッサは、同じプロセッサのそれぞれの機能部分とすることができる。
【0033】
プロセス80はさらに、入力ポートで信号損失が検出されかつ出力ポートのパワーがアクティベーションしきい値を超えていない場合に、モジュールプロセッサにて、光ネットワークモジュールをトリガしてAPRルーチンを実行し、1つ以上のポートに結合された波長選択スイッチを使用して、影響を受けるポートに関連するスペクトルを減衰させるということを拒否することを含むことができる。光ネットワークモジュールをトリガしてAPRルーチンを実行することは、通信ラインを使用して、光ネットワークモジュールに他のルーチンよりも優先してAPRルーチンを実行させることを含むことができる。1つ以上のポートに結合された波長選択スイッチを使用して、影響を受けるポートに関連するスペクトルを減衰させることは、影響を受けるポートに関連するスペクトルを、モジュールプロセッサによって受信された所定の量だけ減衰させることを含むことができる。1つ以上のポートに結合された波長選択スイッチを使用して、影響を受けるポートに関連するスペクトルを減衰させることは、影響を受けるポートに関連するスペクトルを、影響を受けるポートのパワーとモジュールプロセッサによって受信されたアクティベーションしきい値との差に応じて可変量だけ減衰させることを含むことができる。
【0034】
本開示は、好ましい実施形態およびその特定の例を参照して本明細書で図示および説明しているが、他の実施形態および例が同様の機能を実行し、および/または同様の結果を達成し得ることは当業者には容易に明らかであろう。そのような同等の実施形態および例はすべて、本開示の要旨および範囲内にあり、それによって企図され、すべての目的のための以下の非限定的な請求項によってカバーされることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5