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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-28
(45)【発行日】2023-07-06
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/533 20210101AFI20230629BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20230629BHJP
   H01G 11/76 20130101ALI20230629BHJP
【FI】
H01M50/533
H01M10/04 W
H01G11/76
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021011567
(22)【出願日】2021-01-28
(65)【公開番号】P2022115110
(43)【公開日】2022-08-09
【審査請求日】2022-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】播磨 幸男
(72)【発明者】
【氏名】脇元 亮一
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/215919(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108598353(CN,A)
【文献】国際公開第2021/124796(WO,A1)
【文献】特開2019-061779(JP,A)
【文献】特開2017-050069(JP,A)
【文献】特開2018-022696(JP,A)
【文献】再公表特許第2015/159433(JP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0104528(US,A1)
【文献】国際公開第2019/088053(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/060009(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 10/04
H01M 50/10-50/198
H01G 11/00-11/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁と、前記底壁から延び相互に対向する一対の第1側壁と、前記底壁から延び相互に対向する一対の第2側壁と、前記底壁に対向する開口と、を有する外装体と、
前記開口を封口する封口板と、
前記外装体の内部に収容され、第1電極板と、前記第1電極板とは極性が異なる第2電極板とを含む電極体と、
前記一対の第1側壁の一方と対向する前記電極体の第1端面に設けられ、前記第1電極板と電気的に接続される第1電極タブ群と、
前記一対の第1側壁の他方と対向する前記電極体の第2端面に設けられ、前記第2電極板と電気的に接続される第2電極タブ群と、
前記封口板に固定された端子と、
前記端子および前記電極体と電気的に接続された集電体と、
を備え、
前記集電体は、前記第1電極タブ群と接続される第1集電体と、前記第2電極タブ群と接続される第2集電体とを有しており、
前記第1集電体および前記第2集電体の少なくともいずれか一方は、
前記第1電極タブ群または前記第2電極タブ群と接合される第1領域部と、
前記端子と接続される第2領域部と、
前記第1領域部よりも前記電極体に近接する第3領域部と、
を有しており、
前記第3領域部は、前記第1領域部よりも前記底壁側に配置されており、前記第1領域部と前記第3領域部との間に段差が設けられている、二次電池。
【請求項2】
前記第2領域部は、前記第1領域部よりも前記封口板側に配置されており、前記第2領域部と前記第1領域部との間に段差が設けられており、前記第1領域部は、前記第2領域部よりも前記第1側壁と近接している、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記第3領域部は、前記第1端面または前記第2端面と接している、請求項1または2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記第3領域部は、前記第2領域部よりも前記電極体に近接している、請求項1~のいずれか一つに記載の二次電池。
【請求項5】
前記集電体は、前記第3領域部の前記電極体側の表面に絶縁層を備えている、請求項1~のいずれか一つに記載の二次電池。
【請求項6】
底壁と、前記底壁から延び相互に対向する一対の第1側壁と、前記底壁から延び相互に対向する一対の第2側壁と、前記底壁に対向する開口と、を有する外装体と、
前記開口を封口する封口板と、
前記外装体の内部に収容され、第1電極板と、前記第1電極板とは極性が異なる第2電極板とを含む電極体と、
前記一対の第1側壁の一方と対向する前記電極体の第1端面に設けられ、前記第1電極板と電気的に接続される第1電極タブ群と、
前記一対の第1側壁の他方と対向する前記電極体の第2端面に設けられ、前記第2電極板と電気的に接続される第2電極タブ群と、
前記封口板に固定された端子と、
前記端子および前記電極体と電気的に接続された集電体と、
を備え、
前記集電体は、前記第1電極タブ群と接続される第1集電体と、前記第2電極タブ群と接続される第2集電体とを有しており、
前記第1集電体および前記第2集電体の少なくともいずれか一方は、
前記第1電極タブ群または前記第2電極タブ群と接合される第1領域部と、
前記第1領域部よりも前記封口板側に配置された、前記端子と接続される第2領域部と、
前記第1領域部よりも前記電極体に近接する第3領域部と、
を有しており、
前記第3領域部は、前記第2領域部から前記電極体に向かって突出する突起状の部位である、二次電池。
【請求項7】
底壁と、前記底壁から延び相互に対向する一対の第1側壁と、前記底壁から延び相互に対向する一対の第2側壁と、前記底壁に対向する開口と、を有する外装体と、
前記開口を封口する封口板と、
前記外装体の内部に収容され、第1電極板と、前記第1電極板とは極性が異なる第2電極板とを含む電極体と、
前記一対の第1側壁の一方と対向する前記電極体の第1端面に設けられ、前記第1電極板と電気的に接続される第1電極タブ群と、
前記一対の第1側壁の他方と対向する前記電極体の第2端面に設けられ、前記第2電極板と電気的に接続される第2電極タブ群と、
前記封口板に固定された端子と、
前記端子および前記電極体と電気的に接続された集電体と、
を備え、
前記端子は、前記封口板の内側の面に沿って配置される上部と、該上部から前記底壁側に向かって延びる下部と、を有する集電体接続部を有しており、
前記集電体は、前記第1電極タブ群と接続される第1集電体と、前記第2電極タブ群と接続される第2集電体とを有しており、
前記第1集電体および前記第2集電体の少なくともいずれか一方は、
前記底壁側から前記封口板に向かって延びる、前記第1電極タブ群または前記第2電極タブ群と接合される第1領域部と、
前記第1領域部よりも前記封口板側に配置された、前記端子の前記下部と接続される第2領域部と、
前記第1領域部における前記封口板側の上端から前記電極体に向かって延びる段差部と、
を有しており、
前記第2領域部は、前記段差部における前記電極体側の端部から前記封口板に向かって延びるとともに、前記下部における前記電極体側の面に接合されており、かつ、前記第1領域部よりも前記電極体に近接している、二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池等の二次電池は、一般に、電池ケース内に収容された電極体と、電池ケース外部に露出した端子とが電気的に接続された構成を有している。かかる構成の二次電池は、例えば、第1電極板および該第1電極板とは極性が異なる第2電極板を有する電極体と、開口を有し電極体を収容する外装体と、外装体の開口を封口する封口板と、外装体の内部で電極板と電気的に接続され、かつ封口板から外装体の外側に延出された端子と、端子および電極体と電気的に接続される集電体と、を備えている。例えば、この種の二次電池の電極体には、集電用の電極タブを複数含む電極タブ群(正極タブ群および負極タブ群)が設けられており、当該電極タブ群と上記集電体を介して電極体と端子とが接続され得る。
【0003】
上記構成の二次電池の一例が特許文献1に示されている。かかる特許文献1に開示された二次電池では、電極体の一方の端部に正極タブが配置され、他方の端部に負極タブが配置されている。そして、当該文献では、正極タブおよび負極タブを折り曲げて、集電体に接続することが提案されている。これによって、二次電池の大容量化と高出力化との両立が実現し得るとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-141847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記電極体に電極タブ群が設けられた二次電池では、電極タブ群と集電体との接合部に損傷(箔切れ、接合部の剥離等)が生じる虞がある。具体的には、二次電池は、使用時や製造時に外部から振動や衝撃等が加わることがある。この振動等の外力によって、電池ケース内部で電極体が移動して所定の配設位置からずれると、電極タブ群と集電体との接合部に大きな応力が作用する。ここで、電極タブ群を構成する電極タブは、集電箔の一部などからなり、非常に柔らかく強度が低いため、上述の電極体の移動による応力が繰り返し作用すると、容易に損傷し得る。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、電池ケース内部での電極体の移動を抑制し、電極タブ群と集電体との接合部における損傷を防止する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここで開示される二次電池は、底壁と、上記底壁から延び相互に対向する一対の第1側壁と、上記底壁から延び相互に対向する一対の第2側壁と、上記底壁に対向する開口と、を有する外装体と、上記開口を封口する封口板と、上記外装体の内部に収容される、第1電極板と、上記第1電極板とは極性が異なる第2電極板とを含む電極体と、上記一対の第1側壁の一方と対向する上記電極体の一方側の第1端面に設けられ、上記第1電極板と電気的に接続される第1電極タブ群と、上記一対の第1側壁の他方と対向する上記電極体の第2端面に設けられ、上記第2電極板と電気的に接続される第2電極タブ群と、上記封口板に固定された端子と、上記端子および上記電極体と電気的に接続される集電体と、を備える。上記集電体は、上記第1電極タブ群と接続される第1集電体と、上記第2電極タブ群と接続される第2集電体とを有している。上記第1集電体および上記第2集電体の少なくともいずれか一方は、上記第1電極タブ群または上記第2電極タブ群と接合される第1領域部と、上記端子と接続される第2領域部と、上記第1領域部よりも上記電極体に近接する第3領域部とを有する。
【0008】
上記構成の二次電池の集電体は、第1領域部よりも電極体に近接する第3領域部を有している。かかる第3領域部が電極体の移動を制限することによって、二次電池に振動等の外力が加わった場合でも、電極タブ群と集電体との接合部に大きな応力が作用することを防止できる。この結果、電極タブ群と集電体との接合部における損傷を防止することができる。
【0009】
ここで開示される二次電池の好適な一態様では、上記第3領域部は、上記第1領域部よりも上記外装体の上記底壁側に配置されており、上記第1領域部と上記第3領域部との間には、段差が設けられている。かかる構成によると、ここで開示される技術の効果を適切に発揮することができる。
【0010】
他の好ましい一態様では、上記第2領域部は、上記第1領域部よりも上記封口板側に配置されている。上記第2領域部と上記第1領域部との間には、段差が設けられている。上記第1領域部は、上記第2領域部よりも上記外装体の上記第1側壁と近接している。かかる構成によると、ここで開示される技術の効果を適切に発揮することができる。
【0011】
他の好ましい一態様では、上記第3領域部は、上記第1端面または上記第2端面と接している。かかる構成によると、電極体の移動をより適切に抑制できる。
【0012】
他の好ましい一態様では、上記第3領域部が、上記第2領域部よりも上記電極体に近接している。かかる構成によると、電極体の移動をより適切に抑制できる。
【0013】
他の好ましい一態様では、上記集電体は、上記第3領域部の上記電極体側の表面に絶縁層を備えている。かかる構成によると、上述した接合部における破損の防止に加え、短絡防止効果を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態に係る二次電池を模式的に示す斜視図である。
図2図1のII-II線に沿う模式的な断面図である。
図3図1のIII-III線に沿う模式的な断面図である。
図4】封口板に取り付けられた電極体を模式的に示す斜視図である。
図5】正極集電体および負極集電体が取り付けられた電極体を模式的に示す斜視図である。
図6】一実施形態における電極体の構成を示す模式図である。
図7】一実施形態における正極端子および正極集電体の近傍を模式的に示す部分拡大断面図である。
図8】一実施形態に係る二次電池で使用される正極集電体を模式的に示す斜視図である。
図9図8の正極集電体を裏返した斜視図である。
図10】第2実施形態における正極端子および正極集電体の近傍を模式的に示す部分拡大断面図である。
図11】第3実施形態における正極端子および正極集電体の近傍を模式的に示す部分拡大断面図である。
図12】第4実施形態における正極端子および正極集電体の近傍を模式的に示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、ここで開示される技術のいくつかの好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、ここで開示される技術を特徴付けない二次電池の一般的な構成および製造プロセス)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。ここで開示される技術は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0016】
本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充放電が可能な蓄電デバイス全般を指す用語であって、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池等のいわゆる蓄電池(化学電池)と、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ(物理電池)と、を包含する概念である。
【0017】
1.第1実施形態
<二次電池100>
図1は、一実施形態に係る二次電池を模式的に示す斜視図である。図2は、図1のII-II線に沿う模式的な断面図である。図3は、図1のIII-III線に沿う模式的な断面図である。また、本明細書において参照する各図における符号Xは「奥行方向」を示し、符号Yは「幅方向」を示し、符号Zは「高さ方向」を示す。また、奥行方向XにおけるFは「前」を示し、Rrは「後」を示す。幅方向YにおけるLは「左」を示し、Rは「右」を示す。そして、高さ方向ZにおけるUは「上」を示し、Dは「下」を示す。ただし、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、二次電池100の設置形態を何ら限定するものではない。
【0018】
図2に示すように、二次電池100は、電池ケース10と、電極体20と、正極端子30と、負極端子40と、正極集電体50と、負極集電体60と、インシュレータ70と、を備えている。図示は省略するが、二次電池100は、ここではさらに電解液を備えている。二次電池100は、ここではリチウムイオン二次電池である。正極集電体50および負極集電体60は、ここで開示される二次電池における第1集電体および第2集電体の一例である。
【0019】
電池ケース10は、電極体20を収容する筐体である。電池ケース10は、ここでは扁平かつ有底の直方体形状(角形)の外形を有する。電池ケース10の材質は、従来から使用されているものと同じでよく、特に制限はない。電池ケース10は、金属製であることが好ましく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金等からなることがより好ましい。なお、電池ケース10の内部には、電極体20の他に、電解液(図示省略)も収容されている。かかる電解液については、この種の二次電池において使用され得るものを特に制限なく使用することができ、ここに開示される技術を特徴づけるものではないため詳細な説明を省略する。
【0020】
図2に示すように、電池ケース10は、開口12hを有する外装体12と、開口12hを塞ぐ封口板(蓋体)14と、を備えている。外装体12は、図1に示すように、平面矩形の底壁12aと、底壁12aの長辺の各々から高さ方向Zに延びて相互に対向する一対の長側壁12bと、底壁12aの短辺から高さ方向に延びて相互に対向する一対の短側壁12cと、を備えている。短側壁12cは、ここで開示される二次電池における第1側壁の一例である。長側壁12bは、ここで開示される二次電池における第2側壁の一例である。底壁12aは、開口12hと対向している。短側壁12cの面積は、長側壁12bの面積よりも小さい。封口板14は、外装体12の開口12hを塞ぐように外装体12に取り付けられている。封口板14は、外装体12の底壁12aと対向している。封口板14は、平面視において略矩形状である。電池ケース10は、外装体12の開口12hの周縁に封口板14が接合されることによって、一体化されている。電池ケース10は、気密に封止(密閉)されている。
【0021】
図2に示すように、封口板14には、注液孔15と、ガス排出弁17と、2つの端子引出孔18、19と、が設けられている。注液孔15は、外装体12に封口板14を組み付けた後に電解液を注液するためのものである。注液孔15は、封止部材16により封止されている。ガス排出弁17は、電池ケース10内の圧力が所定値以上になったときに破断して、電池ケース10内のガスを外部に排出するように構成された薄肉部である。端子引出孔18、19は、封口板14の幅方向Yの両端部にそれぞれ形成されている。端子引出孔18、19は、封口板14を高さ方向Zに貫通している。端子引出孔18、19は、それぞれ、封口板14に取り付けられる前の(かしめ加工前の)の正極端子30および負極端子40を挿通可能な大きさの内径を有する。
【0022】
ここに開示される二次電池は、封口板に固定された端子を備えている。ここでは、正極端子30および負極端子40のそれぞれが封口板14に固定されている。正極端子30は、封口板14の幅方向Yの一方側(図1図2の左側)に配置されている。負極端子40は、封口板14の幅方向Yの他方側(図1図2の右側)に配置されている。正極端子30には、例えば、アルミニウムなどが用いられる。
【0023】
正極端子30は、封口板14の外側の表面に配置される平板状の基部31と、基部31から高さ方向Zの下側(底壁12a側)に延びる軸部32と、正極集電体50および軸部32に接続される集電体接続部33と、を有する(図7参照)。図7に示すように、正極端子30の基部31は、封口板14の外側の表面に露出している。図7に示すように、正極端子30の軸部32は、端子引出孔18を挿通して封口板14の外部から内部へと延びている。正極端子30は、ここでは、かしめ加工により、封口板14の端子引出孔18を囲む周縁部分に固定されている。また、集電体接続部33は、後述する正極集電体50と接続される部分である。この集電体接続部33は、断面L字型に形成されており、封口板14の内側の面に沿って配置される上部33aと、当該上部33aの幅方向Yの一方の端部(図2および図7の左端)から下方(底壁12a側)に向かって延びる下部33bと、を有している。集電体接続部33の上部33aには、高さ方向Zに貫通した貫通孔33hが形成されている。かかる貫通孔33hは、封口板14の端子引出孔18に対応する位置に配置されて軸部32が挿通される。これによって、正極端子30が構築される。なお、集電体接続部33は、一つの板状部材を例えばプレス加工等によって折り曲げることで構成されてもよく、複数の部材を溶接接合等によって一体化することで構成されてもよい。また、本実施形態における正極端子30では、基部31と軸部32とが一体であり、かつ、集電体接続部33が別体である(図7参照)。ただし、正極端子30の詳細な構造は特に限定されず、基部31と軸部32と集電体接続部33が一体になるように成形されていてもよい。また、詳しい説明は省略するが、本実施形態に係る二次電池100では、負極端子40も正極端子30と略同様の構造を有している。なお、負極端子40の材料には銅などが用いられる。
【0024】
図2に示すように、正極端子30は、外装体12の内部で、正極集電体50を介して電極体20の正極板22(図6参照)と電気的に接続されている。負極端子40は、外装体12の内部で、負極集電体60を介して電極体20の負極板24(図6参照)と電気的に接続されている。なお、正極端子30および負極端子40はいずれも、インシュレータ70およびガスケット90によって封口板14と絶縁されている。
【0025】
インシュレータ70は、正極端子30(典型的には集電体接続部33)と封口板14の内側の表面との間に配置されている。インシュレータ70は、封口板14の内側の表面に沿って配置される平坦部71と、平坦部71の周縁から電極体20に向かって下降するように形成された壁部72とを有する(図7参照)。正極端子30は、上記壁部72に囲まれた凹部内に配置される。また、平坦部71には、貫通孔71hが形成されている。ガスケット90は、正極端子30(典型的には基部31)と封口板14の外側の表面との間に配置される。また、ガスケット90は、封口板14の端子引出孔18に挿入される筒状の突起を有している。かかるガスケット90の突起は、上記インシュレータ70の貫通孔71hの内周に沿うように配置されている。上記構成のインシュレータ70とガスケット90を設けることによって、正極端子30と封口板14との接触を防止することができる。なお、インシュレータおよびガスケットを用いた絶縁構造について、負極端子40側にも同様の構造が設けられているが、詳細な説明は省略する。なお、インシュレータ70やガスケット90の構成材料は、特に限定されず、ポリオレフィン樹脂(例、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE))、フッ素樹脂(例、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))等の樹脂材料であり得る。
【0026】
図4は、封口板に取り付けられた電極体を模式的に示す斜視図である。また、図5は、正極集電体および負極集電体が取り付けられた電極体を模式的に示す斜視図である。図3および図4に示すように、本実施形態に係る二次電池100は、3つの電極体20を備えている。ただし、1つの外装体12の内部に配置される電極体の数は特に限定されず、2つ以上(複数)であってもよいし、1つであってもよい。また、図4および図5に示すように、各々の電極体20には、後述の正極集電体50と負極集電体60が取り付けられている。そして、電極体20は、ここでは樹脂製シートからなる電極体ホルダ29(図2参照)に覆われた状態で、外装体12の内部に配置されている。
【0027】
図6は、電極体の構成を示す模式図である。図6に示すように、電極体20は、正極板22および負極板24を有する。電極体20は、ここでは、帯状の正極板22と帯状の負極板24とが帯状のセパレータ26を介して積層され、捲回軸WLを中心として捲回されてなる扁平形状の捲回電極体である。正極板22は、ここで開示される二次電池における第1電極板の一例である。そして、負極板24は、ここで開示される二次電池における第2電極板の一例である。なお、以下の説明では、電極体20を適宜「捲回電極体20」と称する。但し、かかる記載は、ここに開示される技術における電極体の構造を捲回電極体に限定することを意図したものではない。
【0028】
図2に示すように、捲回電極体20は、捲回軸WLが幅方向Yと平行になる向きで、外装体12の内部に配置されている。言い換えれば、捲回電極体20は、捲回軸WLが底壁12aと平行になり、短側壁12cと直交する向きで、外装体12の内部に配置されている。そして、捲回軸WLに沿った方向(言い換えれば、図6中の幅方向Y)における捲回電極体20の両端面は、外装体12の短側壁12cと対向している。本明細書では、説明の便宜上、正極端子30に近接した側(図2中の幅方向Yの左側)の短側壁12cと対向する捲回電極体20の端面を「第1端面20a」と称する。そして、負極端子40に近接した側(図2中の幅方向Yの右側)の短側壁12cと対向する捲回電極体20の端面を「第2端面20b」と称する。
【0029】
正極板22は、図6に示すように、長尺な帯状の部材である。かかる正極板22は、正極集電箔22cと、正極集電箔22cの少なくとも一方の表面上に固着された正極活物質層22aとを有する。特に限定するものではないが、正極板22の幅方向Yにおける一方の側縁部には、必要に応じて、正極保護層22pが設けられていてもよい。なお、正極活物質層22aや正極保護層22pを構成する材料は、この種の二次電池において使用されるものを特に制限なく使用することができ、ここに開示される技術を特徴づけるものではないため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0030】
帯状の正極集電箔22cの幅方向Yの一方の端部(図6の左端部)には、複数の正極タブ22tが設けられている。複数の正極タブ22tは、それぞれ幅方向Yの一方側(図6の左側)に向かって突出している。複数の正極タブ22tは、セパレータ26よりも幅方向Yの外側に突出している。複数の正極タブ22tは、正極板22の長手方向に沿って間隔を置いて(間欠的に)設けられている。複数の正極タブ22tは、それぞれ台形状である。正極タブ22tは、ここでは正極集電箔22cの一部であり、金属箔(例えばアルミニウム箔)からなっている。正極タブ22tは、正極集電箔22cの正極活物質層22aおよび正極保護層22pが形成されていない部分(集電箔露出部)である。ただし、正極タブ22tは、正極集電箔22cとは別の部材であってもよい。また、正極タブ22tは、幅方向Yの他方の端部(図6の右端部)に設けられていてもよいし、幅方向Yの両端部にそれぞれ設けられていてもよい。
【0031】
図2、3に示すように、複数の正極タブ22tは幅方向Yの一方の端部(図3の左端部)で積層され、正極タブ群23を構成している。換言すると、正極タブ群23は、外装体12の一方(正極端子30側)の短側壁12cと対向する捲回電極体20の第1端面20aに設けられている。複数の正極タブ22tは、外方側の端が揃うように折り曲げられて湾曲している。正極タブ群23は、正極集電体50を介して正極端子30と電気的に接続されている。複数の正極タブ22tは、折り曲げられていることが好ましい。複数の正極タブ22tのサイズ(幅方向Yの長さおよび幅方向Yに直交する長さ、図6参照)は、正極集電体50に接続される状態を考慮し、例えばその形成位置等によって、適宜調整することができる。なお、正極タブ群23は、ここで開示される二次電池における第1電極タブ群の一例である。
【0032】
上記正極板22と同様に、負極板24も、長尺な帯状の部材である。負極板24は、図6に示すように、負極集電箔24cと、負極集電箔24cの少なくとも一方の表面上に固着された負極活物質層24aと、を有する。なお、負極活物質層24aを構成する材料は、この種の二次電池において使用されるものを特に制限なく使用することができ、ここに開示される技術を特徴づけるものではないため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0033】
帯状の負極集電箔24cの幅方向Yの一方の端部(図6の右端部)には、複数の負極タブ24tが設けられている。複数の負極タブ24tは、幅方向Yの一方側(図6の右側)に向かって突出している。複数の負極タブ24tは、セパレータ26よりも幅方向Yの外側に突出している。複数の負極タブ24tは、負極板24の長手方向に沿って間隔を置いて(間欠的に)設けられている。複数の負極タブ24tは、それぞれ台形状である。負極タブ24tは、ここでは負極集電箔24cの一部であり、金属箔(例えば銅箔)からなっている。負極タブ24tは、ここでは、負極集電箔24cの負極活物質層24aが形成されていない部分(集電箔露出部)である。ただし、負極タブ24tは、負極集電箔24cとは別の部材であってもよい。また、負極タブ24tは、幅方向Yの他方の端部(図6の左端部)に設けられていてもよいし、幅方向Yの両端部にそれぞれ設けられていてもよい。
【0034】
図2、3に示すように、複数の負極タブ24tは幅方向Yの一方の端部(図6の右端部)で積層され、負極タブ群25を構成している。換言すると、負極タブ群25は、外装体12の他方(負極端子40側)の短側壁12cと対向する捲回電極体20の第2端面20bに設けられている。複数の負極タブ24tは、外方側の端が揃うように折り曲げられて湾曲している。負極タブ群25は、負極集電体60を介して負極端子40と電気的に接続されている。複数の負極タブ24tは、折り曲げられていることが好ましい。複数の負極タブ24tのサイズ(幅方向Yの長さおよび幅方向Yに直交する長さ、図6参照)は、負極集電体60に接続される状態を考慮し、例えばその形成位置等によって、適宜調整することができる。なお、負極タブ群25は、ここで開示される二次電池における第2電極タブ群の一例である。
【0035】
セパレータ26は、正極板22と負極板24との間に介在する絶縁部材である。図6に示すように、本実施形態における捲回電極体20は、長尺な帯状のセパレータ26を2枚備えている。なお、セパレータ26の構成材料は、この種の二次電池において使用されるセパレータと同様でよく、ここに開示される技術を特徴づけるものではないため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0036】
ここで、本実施形態に係る二次電池100は、上記構成の捲回電極体20の移動を抑制し得る構造の集電体を使用することによって特徴付けられる。以下、かかる集電体を正極集電体50に使用した場合について図7図9を参照しながら説明する。なお、図7は、一実施形態における正極端子および正極集電体の近傍を模式的に示す部分拡大断面図である。また、図8は、正極集電体を模式的に示す斜視図である。図9は、図8の正極集電体を裏返した斜視図である。
【0037】
この正極集電体50は、ここで開示される二次電池における第1集電体の一例である。正極集電体50は、上述した正極端子30と捲回電極体20とを電気的に接続する導通経路を構築する。具体的には、正極端子30の集電体接続部33と正極集電体50とを接続することによって、正極端子30と正極集電体50との導通経路が構築される。また、捲回電極体20の正極タブ群23と正極集電体50とを接続することによって、捲回電極体20と正極集電体50との導通経路が構築される。なお、正極集電体50は、正極集電箔22cと同じ金属種からなっていてもよい。そして、本実施形態における正極集電体50は、図4,5,7~9に示すように、第1領域部51と、第2領域部52と、第3領域部53とを有する。
【0038】
第1領域部51は、正極タブ群23(即ち、複数の正極タブ22t)と接合される部分である。第1領域部51は、外装体12の短側壁12cと対向するように配置される板状部分である。また、第1領域部51の、正極タブ群23と接合される面は、捲回電極体20の第1端面20aと対向している。図3に示すように、第1領域部51には、正極タブ群23との接合部Jが形成されている。接合部Jは、例えば、複数の正極タブ22tを重ねた状態で、従来公知の溶接手段を用いて第1領域部51の表面に溶接した溶接接合部である。接合部Jは、複数の正極タブ22tを捲回電極体20の奥行方向Xの一方側(図3では前側)に寄せて配置されている。
【0039】
第2領域部52は、正極端子30と接続される部分である。図4,5,7に示すように、第2領域部52は、第1領域部51よりも上方(封口板14側)に配置され、高さ方向Zに沿って延びた板状部分である。この第2領域部52の上端部が、正極端子30の集電体接続部33に接続されることによって、正極端子30と正極集電体50との導通経路が構築される。具体的には、第2領域部52には、その周囲よりも厚みが薄い凹部52dが設けられている。この凹部52dには、奥行方向Xに貫通した貫通孔52eが設けられている。そして、この第2領域部52の貫通孔52eに、正極端子30の集電体接続部33を挿通させて接合部を形成する。これによって、正極集電体50と正極端子30とが固定される。このときの接合部は、例えば、従来公知の溶接手段を用いて形成された溶接接合部であってもよい。また、第2領域部52には、ヒューズを設けてもよい。ヒューズは、第2領域部52の他の部分よりも厚みが小さい部分であり、二次電池100の短絡時や過充電時に熱量が加わることによって破断するように構成される。
【0040】
また、上述した第1領域部51と第2領域部52との間には、第1段差部54が設けられている。第1段差部54は、第1領域部51の上端と第2領域部52の下端とを接続している。第1段差部54は、外装体12の封口板14に沿うように配置される。第1段差部54は、第2領域部52が第1領域部51よりも幅方向Yの中央側(捲回電極体20側)に配置されるように形成される。換言すると、本実施形態における正極集電体50の第2領域部52は、第1領域部51よりも捲回電極体20に近接し、第1領域部51は、第2領域部52よりも外装体12の短側壁12cと近接する。このように第1領域部51を短側壁12c側に配置することによって、捲回電極体20の幅方向Yにおける寸法を大きくし、外装体12の内容量に対する捲回電極体20の体積割合を増加させることに貢献できる。また、第2領域部52よりも下方の第1領域部51を、正極タブ群23との接合位置にすることによって、集電体接続部33の下部33bと捲回電極体20との距離を確保し、これらの接触を防止することができる。なお、図7に示す第1段差部54は、第1領域部51および第2領域部52の各々に対して略垂直に形成されている。しかし、第1領域部51に対する第1段差部54の角度は特に限定されない。なお、本明細書において「AとBとが略垂直である」とは、AとBとがなす角度が90度であることの他、ここで開示される技術の効果を実現し得る限り、実質的に垂直とみなすことができる場合を含む。例えば、AとBとがなす角度が85度以上95度以下の場合が含まれ得る。
【0041】
第3領域部53は、第1領域部51よりも捲回電極体20に近接する部分である。本実施形態における第3領域部53は、図7に示すように、第1領域部51と接続された板状部分である。この第3領域部53は、第1領域部51の下側(底壁12a側)に配置され、高さ方向Zに沿って延びている。そして、本実施形態における正極集電体50の第3領域部53は、捲回電極体20の第1端面20aと接している。さらに、上述したように、正極集電体50は、第2領域部52において正極端子30と固定されている。すなわち、本実施形態に係る二次電池100では、正極端子30に固定された正極集電体50の第3領域部53によって、捲回電極体20の移動を制限できる。この結果、二次電池100に振動等の外力が加わった場合でも、正極タブ群23と正極集電体50(第1領域部51)との接合部Jに大きな応力が作用することを防止できるため、当該接合部Jの付近に損傷が発生することを防止できる。また、上記構成のように、正極集電体50に捲回電極体20の移動を制限する機能を付与すると、正極集電体50は、正極端子30との接続と、捲回電極体20の移動の制限とをともに実現する一体部品となる。そのため、捲回電極体20の移動を制限するための別個の部品が不要となり、組み立て作業を簡便化することができる。例えば、設備を用いて二次電池100を量産する時、その設備機能を削減することができる。換言すると、上記構成の正極集電体50を用いることによって、二次電池100を組み立てる際の部品数を減らすことができる。このため、組み立て性の高い二次電池100を提供できる。
【0042】
また、本実施形態における正極集電体50は、第1領域部51と第3領域部53との間に第2段差部55が設けられている。第2段差部55は、第1領域部51の下端と第3領域部53の上端とを接続している。第2段差部55は、封口板14に沿うように配置される。かかる第2段差部55を設けることによって、第3領域部53が第1領域部51よりも捲回電極体20に近接する正極集電体50を容易に構築できる。また、かかる第2段差部55は、板状の正極集電体50を折り曲げるだけで形成できるため、製造効率の向上にも貢献できる。
【0043】
さらに、本実施形態における正極集電体50は、第3領域部53が第2領域部52よりも捲回電極体20に近接するように成形されている。換言すると、この正極集電体50では、第1段差部54の幅方向Yにおける長さL1が同方向における第2段差部55の長さL2よりも短くなり、第3領域部53が第2領域部52よりも中央側に配置される。これによって、第3領域部53が捲回電極体20の第1端面20aと接触しやすくなるため、電池ケース10の内部における捲回電極体20の移動をより適切に制限できる。
【0044】
また、図7~9に示すように、第3領域部53の捲回電極体20側の表面には、絶縁層56が設けられている。これによって、短絡防止効果を発揮できる。特に限定するものではないが、二次電池の振動時、電極体の端面と第3領域部とが接触していると、かかる接触部に変形が生じ、集電体を導通経路として、第1電極板(正極板)と第2電極板(負極板)とに短絡が生じる虞がある。上記のとおり、絶縁層を備えることによって、過度な変形が生じた場合でも、上記短絡を防止できる。なお、絶縁層56は、樹脂製フィルムを接着剤等で第3領域部53に貼り付けられることによって形成されてよい。また、絶縁層56は、樹脂材料を上記表面に付与して固化することによって形成されてもよい。絶縁層56を構成する材料は、正極集電体50と捲回電極体20とを絶縁することができる限りは特に限定されないが、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の樹脂材料が用いられ得る。なお、図示される実施形態では、絶縁層56は、上記表面の全体に形成されているが、これに限定されず、該表面の少なくとも一部に形成されているとよい。また、絶縁層56の形成を省略してもよい。
【0045】
なお、本実施形態における負極集電体60は、ここで開示される二次電池における第2集電体の一例である。図2に示すように、この負極集電体60は、上述した正極集電体50と同様に、第1領域部61と、第2領域部62と、第3領域部63を備えている。これによって、電池ケース10の内部における捲回電極体20の移動をより適切に制限することができる。なお、上述の通り、負極集電体60は、正極集電体50と略同等の構成を有しており、重複する説明となるため、ここでは詳細な記載を省略する。また、上述の第1領域部と第2領域部と第3領域部を備えた集電体は、正極集電体と負極集電体の何れか一方に使用されていてもよい。
【0046】
また、本実施形態に係る二次電池100における電極体20の構造は、上述した捲回電極体に限定されない。例えば、電極体20は、複数枚の方形状(典型的には矩形状)の正極板と、複数枚の方形状(典型的には矩形状)の負極板とが、絶縁された状態で積み重ねられてなる積層電極体であってもよい。
【0047】
以上、ここに開示される技術の一実施形態に係る二次電池100について説明した。上記構成の二次電池100は、各種用途に利用可能であるが、使用時に振動や衝撃等の外力が加わりやすい用途、例えば移動体(典型的には、乗用車、トラック等の車両)に搭載されるモータ用の動力源(駆動用電源)として好適に用いることができる。車両の種類は特に限定されないが、例えば、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車(EV)等が挙げられる。二次電池100は、複数の二次電池100を所定の配列方向に複数個並べて、配列方向から拘束機構で荷重を加えてなる組電池としても好適に用いることができる。
【0048】
2.他の実施形態
上述した第1実施形態は、ここに開示される二次電池の一例に過ぎない。ここに開示される技術は、他にも種々の形態にて実施することができる。以下、ここに開示される技術の他の実施形態について説明する。
【0049】
<第2実施形態>
例えば、上記の第1実施形態では、正極集電体50の第1領域部51と第3領域部53との間に第2段差部55が設けられていた。しかし、正極集電体50の形状は、これに限定されない。図10は、第2実施形態における正極端子および正極集電体の近傍を模式的に示す部分拡大断面図である。この第2実施形態に係る二次電池200は、第1領域部251と第3領域部253との間に傾斜部255を有する正極集電体250を備えている。具体的には、図10に示すように、この正極集電体250の傾斜部255は、高さ方向Zの下方(底壁12a側)に向かうに従って、捲回電極体20の端面20aに近接する(換言すると、幅方向Yにおける中央に寄る)ように構成されると好ましい。かかる構成の正極集電体250を使用した場合であっても、捲回電極体20の移動を適切に制限し、振動等の外力による正極タブ群23の破損を防止できる。なお、第2実施形態に係る二次電池200は、上述した点を除いて、第1実施形態に係る二次電池100と同様であってよい。また、この第2実施形態では、第1領域部251と第2領域部252との間に第1段差部254が設けられている。しかし、かかる第1段差部254も必須の構造ではなく、傾斜部等に変更することができる。
【0050】
<第3実施形態>
また、第1実施形態では、正極集電体50の第3領域部53は、第1領域部51よりも底壁12a側(高さ方向Zの下方)に形成されていた。しかし、第3領域部は、第1領域部よりも捲回電極体に近接していればよく、高さ方向Zにおける形成位置は限定されない。図11は、第3実施形態における正極端子および正極集電体の近傍を模式的に示す部分拡大断面図である。この第3実施形態に係る二次電池300は、図11に示すように、第2領域部352(典型的には第一段差部354の近傍)から捲回電極体20に向かって突出した突起状の第3領域部353を有する正極集電体350を備えている。そして、この突起状の第3領域部353は、第1領域部351よりも捲回電極体20に近接している。かかる構成の正極集電体350を使用した場合であっても、捲回電極体20の移動を適切に制限し、振動等の外力による正極タブ群23の破損を防止できる。なお、特に限定するものではないが、第3領域部353は、捲回電極体20の側面に接しているとよい。また、第3領域部353は、捲回電極体20側の表面に絶縁層(図示なし)を備えているとよい。なお、第3実施形態に係る二次電池300は、上述した点を除いて、第1実施形態に係る二次電池100と同様であってよい。
【0051】
<第4実施形態>
また、第1実施形態における正極集電体50は、第2領域部52と第3領域部53とが別々の部材によって構成されていた。しかし、第2領域部を第1領域部よりも捲回電極体に近接させ、第3領域部を兼ねるような構成を採用することもできる。図12は、第4実施形態における正極端子および正極集電体の近傍を模式的に示す部分拡大断面図である。第4実施形態に係る二次電池400の正極集電体450における第2領域部452は、幅方向Yにおいて、正極端子30の集電体接続部33の下部33bと捲回電極体20の第1端面20aとの間に配置されている。具体的には、この実施形態では、集電体接続部33の下部33bと捲回電極体20の第1端面20aとの間に、正極集電体450の第2領域部452を差し込んでいる。かかる構成を採用すると、第2領域部452が、第1領域部451よりも電極体20に近接し、第3領域部453として機能するため、捲回電極体20の移動を制限することができる。なお、第2領域部452(第3領域部453)と第1領域部451との間には、第1段差部454が設けられている。また、特に限定するものではないが、第2領域部452(第3領域部453)の捲回電極体20側の表面には、絶縁層(図示なし)を設けられていると好ましい。なお、第4実施形態に係る二次電池400は、上述した点を除いて、第1実施形態に係る二次電池100と同様であってよい。
【0052】
以上、ここに開示される技術のいくつかの実施形態について説明したが、他にも種々の形態にて実施することができる。ここに開示される技術は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。例えば、上記した実施形態の一部を他の変形態様に置き換えることも可能であり、上記した実施形態に他の変形態様を追加することも可能である。また、その技術的特徴が必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することも可能である。
【符号の説明】
【0053】
12 外装体
14 封口板
20 電極体
23 正極タブ群
25 負極タブ群
30 正極端子
40 負極端子
50 正極集電体
51 第1領域部
52 第2領域部
53 第3領域部
60 負極集電体
70 インシュレータ
90 ガスケット
100、200、300、400 二次電池
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12