IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダート インダストリーズ インコーポレイテッドの特許一覧

特許7304373反転を含むマイクロ波加熱用装置及びマイクロ波加熱方法
<>
  • 特許-反転を含むマイクロ波加熱用装置及びマイクロ波加熱方法 図1
  • 特許-反転を含むマイクロ波加熱用装置及びマイクロ波加熱方法 図2
  • 特許-反転を含むマイクロ波加熱用装置及びマイクロ波加熱方法 図3
  • 特許-反転を含むマイクロ波加熱用装置及びマイクロ波加熱方法 図4
  • 特許-反転を含むマイクロ波加熱用装置及びマイクロ波加熱方法 図5
  • 特許-反転を含むマイクロ波加熱用装置及びマイクロ波加熱方法 図6
  • 特許-反転を含むマイクロ波加熱用装置及びマイクロ波加熱方法 図7
  • 特許-反転を含むマイクロ波加熱用装置及びマイクロ波加熱方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-28
(45)【発行日】2023-07-06
(54)【発明の名称】反転を含むマイクロ波加熱用装置及びマイクロ波加熱方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20230629BHJP
   H05B 6/64 20060101ALI20230629BHJP
   F24C 7/02 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
A47J27/00 107
H05B6/64 D
F24C7/02 551N
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021015992
(22)【出願日】2021-02-03
(62)【分割の表示】P 2019080265の分割
【原出願日】2019-04-19
(65)【公開番号】P2021065752
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】15/967,725
(32)【優先日】2018-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591038831
【氏名又は名称】ダート インダストリーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ マイケル ウィギンス
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン カレッテ
(72)【発明者】
【氏名】ナタリー ロワレ
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0206074(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0029316(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
H05B 6/64
F24C 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反転を含むマイクロ波加熱用装置であって、
一緒になって加熱室を定めるベース及びカバーと、
前記ベース上に取り付けられたベースサセプタ、及び前記カバー上に取り付けられたカバーサセプタと、を備え、
前記サセプタの両方は、マイクロ波エネルギーを熱エネルギーに変換し、
前記ベースは金属ベースコアを含み、前記ベースサセプタは、前記金属ベースコアの食品に接する側とは反対側に取り付けられ、
前記カバーは金属カバーコアを含み、前記カバーサセプタは、前記金属カバーコアの食品に接する側とは反対側に取り付けられ、
前記カバーは、前記金属カバーコアの上面を貫通して延びて前記加熱室から蒸気を放出する少なくとも1つのアパーチャを含み、
前記少なくとも1つのアパーチャは、複数の前記アパーチャからなり、
前記アパーチャは、前記カバーの特定の領域に限定され、前記カバーの残りの領域は、前記アパーチャを有しておらず、
前記カバーサセプタは、前記残りの領域のみに配置されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記カバーは、前記装置が反転時に安定して前記カバーを下にすることを可能にする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記カバーは、このカバーから延びる少なくとも1つの支持体を含み、この少なくとも1つの支持体は、前記装置が反転時に安定して前記カバーを下にすることを可能にする、請求項に記載の装置。
【請求項4】
反転を含むマイクロ波加熱方法であって、
一緒になって加熱室を定めるベース及びカバーと、前記ベース上に取り付けられたベースサセプタ、及び前記カバー上に取り付けられたカバーサセプタと、を有し、前記サセプタの両方がマイクロ波エネルギーを熱エネルギーに変換し、前記カバーが前記加熱室から蒸気を放出するための少なくとも1つのアパーチャを含む、装置を準備するステップと、 前記加熱室内に食品を配置するステップと、
前記装置が前記ベースを下にした状態で、初期加熱期間にわたって前記装置をマイクロ波エネルギーに曝すステップと、
前記装置を反転させて前記カバーを下にするステップと、
二次加熱期間にわたって前記装置をマイクロ波エネルギーに曝すステップと、を含み、
前記少なくとも1つのアパーチャは、複数の前記アパーチャからなり、
前記アパーチャは、前記カバーの特定の領域に限定され、前記カバーの残りの領域は、前記アパーチャを有しておらず、
前記カバーサセプタは、前記残りの領域のみに配置されていることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、同時係属中の代理人整理番号第132048-D200号に関連し、この文献は引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
〔連邦政府が支援する研究に関する記述〕
該当なし
【背景技術】
【0003】
本発明は、一般に焼くことを含む食品の再加熱又は調理を電子レンジ内で行うための装置及び方法に関する。ほとんどの食品にマイクロ波エネルギーを直接適用すると、加熱むら、焦げ目不足などの、望ましいとは言い難い加熱又は調理結果しか得られないことが分かっている。これを解決するために、マイクロ波エネルギーを熱エネルギーに変換するサセプタ付き電子レンジ容器を提供することが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような装置では、一般に容器に接触した食品部分にしか焦げ目が付かない。また、このような装置では、一般に食品が不必要に湿っぽくなって(水分含量が高過ぎて)しまう。
【0005】
本発明の目的は、電子レンジ内で食品を加熱して焦げ目付け(browning)又はカリッとした仕上がり(crisping)を改善するための装置及び方法を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、完全な焦げ目付け及びカリッとした仕上がりのための、反転を含むこのような装置及び方法を提供することである。
【0007】
本発明のさらなる目的は、カバー内に通気のためのアパーチャを含むこのような装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの及びその他の目的は、反転を含むマイクロ波加熱用装置及びマイクロ波加熱方法によって達成することができる。
【0009】
同じ要素を同じ参照番号で示す以下の図面を参照しながら、上述した本発明の目的及び特徴をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】反転を含むマイクロ波加熱用装置の第1の実施形態の上面斜視図である。
図2図1の線2-2に沿った側面断面図である。
図3図2の断面の詳細図である。
図4】第2の実施形態によるカバーの上面斜視図である。
図5図4の線5-5に沿った側面断面図である。
図6】装置を反転させた、図1の線2-2に沿った断面図である。
図7】第3の実施形態による装置の上面斜視図である。
図8図7の線8-8に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に、本発明による、反転を含むマイクロ波加熱用装置の全体を参照番号10によって示す。一般に、装置10は、一緒になって加熱室16(図2)を定めるベース12及びカバー14を含む。装置10は、好ましくは家庭用電化製品であるが商用電化製品とすることもできる電子レンジ(図示せず)内に収容されるようなサイズを有する。
【0012】
装置10は、加熱室16にマイクロ波エネルギーが入り込むのを実質的に回避して、純粋に熱エネルギーで調理を行うように形成することができる。この目的のために、ベース12は、底面20と、底面20の周縁部から延びる少なくとも1つの側壁22とを含む、一般的な凹(上向き)形状を有するベースコア18を含む。或いは、装置10は、ケーキの焼き型と同様の1つの側壁22を含む、円形又は必要に応じて他の形状の底面20を有することもできる。この実施形態では、ベースコアが、引き抜き加工された金属で形成され、従って電子レンジに対するシールドを形成する。図示の実施形態では4つの側壁22が存在し、ベースコア18が小型のローフパンとしてのサイズ及び形状を有し、好ましくは内面を焦げ付き防止加工される。側壁22は上側リムにおいて終端し、上側リムからは半径方向外向きにフランジ24が延びることが好ましい。
【0013】
同様に、カバー14は、上面28を有するカバーコア26と、上面28の周縁部から延びる少なくとも1つの側壁30とを含む。側壁30は下側リムにおいて終端し、上側リムからは半径方向外向きにフランジ32が延びることが好ましい。カバー14は、その下側リムがベース12の上側リムに実質的に適合して、密閉された加熱室16を形成するようなサイズ及び形状を有する。カバーコア26も、(この実施形態では)引き抜き加工された金属で形成される。このパン焼きを目的とした実施形態では、上面28が図示のようにわずかにドーム形である。
【0014】
ベースコア18及びカバーコア26は、それぞれベースサセプタ38及びカバーサセプタ40によって加熱される。当該分野で周知であるように、サセプタは、適切な母材全体に分散した金属粉末によって形成することができる。この第1の実施形態では、サセプタ38及び40が、いずれもエラストマ内に懸濁した金属粒子によって形成され、ベースコア18及びカバーコア26の各々の(食品に接触する側とは逆の)外面上にオーバーモールド加工される。第1の実施形態では、ベースサセプタ38が、底面20全体及びベースコア18の側壁22をフランジ24までコーティングする。しかしながら、ベースサセプタ38は、サセプタ及びベースコア18の熱伝達によって発生する熱に応じて他の形を取ることもできる。コーティングは、ドット状、ストライプ状などのグリッドの形態の部分的なものとすることもできる。
【0015】
ベースサセプタ38を保護して食品36の汚染を防ぐために、ベースサセプタ38には、エラストマなどの耐久性材料で形成されたベースコーティング42をオーバーモールド加工することが好ましい。このベースコーティング42は、ベースサセプタ38上にオーバーモールド加工することができる。図示の実施形態では、フランジ24を封入するためにもベースコーティング42がオーバーモールド加工される。これにより、ベースコア18のフランジ24よりも低い温度であり続ける絶縁把持領域が提供される。図3に最も分かりやすく示すように、フランジは、ベースコーティング42が流入して適所に固定されるように、その周縁部に離間した切り欠きを含むことができる。
【0016】
同様に、カバーコア26は、その外面上にオーバーモールド加工されたカバーサセプタ40と、カバーサセプタ40上にオーバーモールド加工されたカバーコーティング44とを有する。これについてさらに説明する前に、本発明の重要な側面は、カバーコア26の上面28を貫通する複数のアパーチャ34の存在である。これらのアパーチャ34は、加熱室16と大気との間の連通を可能にし、とりわけ加熱室16から蒸気を排出させる。蒸気は、加熱室16における食品36内の水分、及び/又は食品36又は加熱室16上の(液体又は凍結)凝縮物から発生する。パン焼き中には水分を放出できなければならず、そうでなければケーキ、パン又はその他の焼いて作る製品が、焼かれている間に適切に乾燥しない。同様に、冷凍食品を再加熱する際には、食品上又は装置10内に凍結凝縮物が存在し、これによって加熱中に蒸気が発生することがあるため、製品の水分が多くなり過ぎないようにこの蒸気を放出しなければならず、或いは単純に食品の水分含量が高く、これを消費前に最良に減少させなければならない。アパーチャ34は、上面28のみを貫通して、焼いている間に食品36が膨らむための十分な余裕を保証する。すなわち、アパーチャ34は、部分的に調理された食品36が1又は2以上のアパーチャ34内まで及んでしまうほど低い装置10上の位置に配置すべきではない。
【0017】
装置10は、電子レンジ内での使用を意図されているので、カバーコア26のアパーチャ34のサイズが重要になる。具体的に言えば、カバーコア26は、(これらの第1の2つの実施形態では)加熱室を電子レンジからシールドするように意図される。アパーチャ34は、その直径が電子レンジの波長よりも小さい限り、このシールドを破壊することはない。従って、これらの第1の2つの実施形態では、アパーチャ34が、加熱室16に入り込むマイクロ波をシールドするようにこのような小さな直径を有する。このことは必須ではなく、特定の加熱要件では、アパーチャ34の一部の直径を、マイクロ波エネルギーの一部が加熱室16に、従って食品36に入り込めるほど十分に大きくすることもできる。
【0018】
図4及び図5の第2の実施形態に示すように、カバーコア26は、実質的に上面28全体を覆うアパーチャ34を含むこともできる。図5に最も分かりやすく示すように、この構成では、カバーサセプタ40がオーバーモールド加工されることに加え、カバーコーティング44も数多くの緊密な寸法でオーバーモールド加工され、これらが全て限定空間内で行われる。この構成は、製造は可能ではあるが好ましくはない。
【0019】
図1図3に示す異なる方法では、アパーチャ34が上面28の特定の領域内に限定されて、上面28の残りの(比較的広い)領域にはアパーチャ34が含まれていない。様々なパターンが可能であり、図示の実施形態では、アパーチャ34が上面28にわたって横向きに延びる複数の帯域に限定され、これらの間に複数の帯状の連続する上面28が残っている。さらに、カバーサセプタ40及びカバーコーティング44のオーバーモールド加工はこれらの連続する上面28の領域に限定され、アパーチャの帯域ではカバーサセプタ40又はカバーコーティング44がオーバーモールド加工されていない。この構成は、製造がはるかに容易でありながらも、必要に応じてカバーコア26を加熱するのに十分なサセプタ領域を提供する。
【0020】
ベース12と同様に、ここでも絶縁把持面を提供するためにカバーコーティング44が延びてフランジ32を封入することが好ましい。フランジ24及び/又は32は、他の領域よりもさらに広がった、持ち運び用ハンドルとして機能できる領域を有することができる。第1の実施形態では、長手方向端部がこのように延びている。さらに、図3に最も分かりやすく示すように、コーティング42又は44の一方を他方よりも長くしてロック用フランジ46を含めることもできる。このロック用フランジ46は、カバー14がベース12に対して偶発的にずれるのを防ぐ。
【0021】
フランジ24及び32をコーティング42及び44で封入すると、組み合わさった封入部分の厚みによって必然的にフランジ24及び32が互いに離間するようになる。このことを、図3に最も分かりやすく示す。電子レンジ内の離間した金属部分に対する第1の懸念はアーク放電である。好ましい構成では、側壁(22及び30)からフランジ(24、32)への移行部が滑らかな曲線であり、これらのフランジ24及び32間の間隔が、ベースコア18とカバーコア26との間のアーク放電を防ぐように構成される。離間した金属部品に対する第2の懸念は、シールドとして使用する際の空間又は間隙のサイズである。この構成では、ベースコア18とカバーコア26との間の間隔が電子レンジの波長よりも小さく、従って加熱室16の望ましいシールドを損なうことがない。
【0022】
動作中、食品36を内部に含む装置10は、電子レンジ(図示せず)内で、ベース12が最下部に存在してカバー14が最上部に存在する直立構成で配置される。これが初期加熱期間である。電子レンジが動作すると、サセプタ38及び40がマイクロ波エネルギーを吸収して加熱を開始する。この状態は、サセプタ38及び40がその「キュリー温度」に達するまで継続し、この時点でエネルギーの吸収を中止して冷却し始める。「キュリー温度」をわずかに下回るまで冷却すると、サセプタ38及び40は、再びエネルギーを吸収して「キュリー温度」まで加熱する。このようにして、装置10は、オペレータ入力を必要とすることなく比較的安定した所定の温度まで加熱される。加熱されたサセプタ38及び40は、その熱をベースコア18及びカバーコア26にそれぞれ伝え、これにより加熱室16内の温度が上昇して食品36を加熱する。
【0023】
加熱室16及び食品36が加熱されると、加熱室内又は食品上のあらゆる凝縮物が蒸気として蒸発する(凝縮物が凍っていた場合には最初に液化すると思われる)。同様に、食品36が高水分含量を有することもあり、この水分が加熱プロセス中に減少して、やはり蒸気として蒸発する。この蒸気は、複数のアパーチャ34を介して加熱室16から出ることができる。上述したように、この構成は、再加熱中に食品36をカリッと仕上げ又は皮で覆い(crust)、或いは適切な堅さを維持するのに役立つ。
【0024】
この期間中、装置10は高温になる。この熱は、装置10がレンジ内部に接触することによって電子レンジ自体に伝わることができる。この熱伝達を低減し、従って電子レンジを保護するために、ベース12から下向きに延びる足部48を設けることが好ましい。想像できるように、足部48は、ベース12の底面20をオーブン自体から離間させる役割を果たす。足部48は、ベース12に固定された独立部材とすることができる。図示の好ましい形態では、足部48がベースコーティング42で一体的に形成される。
【0025】
装置10は、所望の時間わたってこの状態を保って食品36を加熱する。食品36が生パン生地、特に調理パン生地、ケーキ又は他の同様の焼いて作る食品である場合、この期間中に食品が膨張してさらに完全に加熱室16を満たす。これを図2に示しており、ここでの食品36は、部分的に膨らんだビードを表すように意図される。装置10は、この初期加熱期間中に食品36がカバーコア26から間隔を空けるようなサイズを有することが好ましい。これにより、食品36がアパーチャ34内にまで及んで食品36が損傷を受け、又は蒸気の出口を塞いでしまう可能性を防ぐ。食品36が焼いて作る食品である場合、食品は、同様に完全に膨らんだとしても依然としてカバーコア26から離れている。この初期加熱期間中には、伝導を通じた高い熱伝達に起因して、ベースコア18に直接接触する食品36の部分に焦げ目が付く。通常、いずれのコア18又は26にも接触していない食品36の上面には焦げ目が付かず、又は望むような焦げ目が付かない。しかしながら、焼き調理の際には、食品36の上部が皮で覆われるまで、又は別様に比較的固くなるまで初期加熱期間が継続することが好ましい。これにより、食品36がアパーチャ34内にまで及ぶことが防がれる。
【0026】
食品36が完全に調理されるまで初期加熱期間が継続した場合でも、食品36の上面に望むような焦げ目が付かない可能性もある。これを克服するために、本発明は、二次加熱期間にわたる装置10の反転を発明特徴とする。具体的には、ユーザが電子レンジを開き、装置10を把持して反転させる。すると、装置10は、以前と同様に電子レンジ内に存在するが、ベース12ではなくカバー14が下になるように反転する。そうすると、食品36がベースコア18との接触を失って加熱室16内で落下し、逆さまにカバーコア26に載る。この様子を図6に示す。その後、ユーザは、電子レンジを作動させて二次加熱期間を開始する。前回と同様に、サセプタ38及び40が熱せられ、その熱をベースコア18及びカバーコア26にそれぞれ伝える。この時点で食品36の上部がカバーコア26に接触することにより、伝導による熱伝達の増加に起因してこの食品36の上部に焦げ目が付くようになる。二次加熱期間は、食品36の上部に焦げ目を付けるのに必要な時点で、又は望む通りに終了する。
【0027】
初期加熱期間中には、調理を改善するためにアパーチャ34が蒸気を逃がした。装置10を反転させた二次加熱期間中には、食品36がアパーチャ34の大部分又は全部を覆うことができる。これは容認可能である。第1に、初期加熱期間と二次加熱期間とを、蒸気が存在する場合でも二次加熱期間中にはその放出がほとんど必要でないようにタイミング調整することができる。第2に、アパーチャ34を、反転時に1つ又は2つ以上が食品36によって覆われず、必要に応じてこれらのアパーチャ34が通気し続けるように配置することができる。これを図6に示しており、ここではいくつかのアパーチャ34が塞がれずに残っている。これにより、必要な場合にはあらゆる所望の通気が可能になる。
【0028】
図1図6に示す実施形態は焼き調理に関するものであり、従ってカバーコア26は、焼いて作る食品の上面にほぼ対応する概ねドーム形を有することが好ましい。これにより、装置10が反転した時に、カバーコア26と食品36との間の接触が増加する。しかしながら、反転時には、湾曲したカバー14を下にした装置10が安定しないと考えられる。これを克服するために、カバー14は、ベース12の足部48と同様に装置10を反転姿勢で安定して保持する、カバー14から上向きに延びる1又は2以上の支持体50を含む。支持体50は、カバー14の大部分が電子レンジ上に存在し、支持体50が揺動を解消することのみによって装置10を安定して保持するように、低く(図示せず)することができる。図示の好ましい実施形態では、支持体50が、カバー14の大部分、具体的にはアパーチャ34を含むカバー14の部分が電子レンジから離間するように高くなっている。支持体50は、カバー14に固定された独立部材とすることができる。図示の好ましい形態では、支持体50がカバーコーティング44で一体的に形成される。
【0029】
なお、アパーチャ34は、反転中にパンくず又は食品34の他の除去/分離されたわずかな部分が装置10から落下できるようにする。この落下は、いくつかの食品に合わせて初期加熱期間及び二次加熱期間のタイミングを適切に図ることによって最小化することができる。いずれにせよ、二次加熱期間が終了すると、ユーザは、電子レンジから装置10を取り出す。装置10を開いて調理済みの食品36を取り出す前には、安静期間又は冷却期間を置くことが望ましい場合もある。ほとんどの場合、ユーザは、装置10を開く前に再び最初の配向に反転させたいと望むことができる。
【0030】
別様に形成された装置10でも、この同じマイクロ波加熱方法を実施することができる。図7及び図8に、このような装置10のさらなる実施形態を示す。第1の実施形態は、キッチン用品として繰り返し使用する耐久装置10に関連するものであったが、図7及び図8の実施形態は、製品パッケージ及び使い捨て用の再加熱装置10として機能するように意図される。通常、この装置は、包装済みの冷凍食品又は包装済みの冷蔵食品のためのものである。
【0031】
図7及び図8を参照すると、装置10は、底部パネル52と、平行な離間した上部パネル54と、4つの側部パネル56とを含む一般的な矩形の紙箱の形を取る。これらのパネルは、一緒になって加熱室58を定める。一般的に見られるように、通常、装置10は箱ブランクから形成され、特定の側部パネル56は、共に固定された2つの重なりタブで形成される。他の様々な典型的な食品パッケージの特徴を含むこともでき、例えば側部パネルのうちの1つは、装置10の開封を容易にするための開封タブ(tear tab)60を含むことができる。この構成では、底部パネル52と、側部パネル56の全部又は一部とがベース62を定め、上部パネルと、場合によっては側部パネル56の残り部分とがカバー64を定める。
【0032】
前回と同様に、ベース62はベースサセプタ66を含み、カバー64はカバーサセプタ68を含む。この実施形態では、ベース66及びカバーサセプタ68が、底部パネル52及び上部パネル54の内部にそれぞれ接着されたラベルとして形成される。このようなラベルは当業で周知である。この実施形態のベース62及びカバー64は、シールドのための金属コアを含んでいないが、サセプタ66及び68は、底部パネル及び上部パネル52及び54を通過するほとんど全てのマイクロ波エネルギーを吸収することによってシールドとして機能する。側部パネル56は、シールドされないままにしておくことも、或いは側部パネル56自体にラベルとしての又はブランク上のコーティングの形のシールド70を接着することもできる。
【0033】
加熱室58は、食品72を保持する。食品72は、前回同様に多くの形を取ることができるが、ミートパティ、刻んだポテトのパティ、中身が詰まったペストリーなどを含むことができる。図示の実施形態では、食品72が、2切れのパンと中身とを有するサンドイッチであり、提供前にパンをカリッと仕上げ又は焦げ目を付けるように意図される。この包装済みの食品の実施形態では、包装時に既に食品72に焦げ目を付けておくことができ、装置10には、食品72を加熱してその外側をカリッと仕上げることのみが意図される。
【0034】
第1の実施形態と同様に、食品72は、最初はカバー64に接触していないことが好ましい。その理由は、やはり加熱室58を通気したいと望むからである。この目的のために、上部パネル54は、上部パネル54を貫通する1又は2以上のアパーチャ74を含む。アパーチャ74は、カバーサセプタ68の周縁部の外側に配置することができる。カバーサセプタ68の周縁部内に配置する場合には、カバーサセプタ58を形成するラベルが、アパーチャ74と位置合わせされた同様のサセプタアパーチャ76を必要とする。図7及び図8の実施形態では、単一のアパーチャ74及びサセプタアパーチャ76が設けられる。
【0035】
通常、冷凍又は冷蔵食品のパッケージに開いたアパーチャが存在すると、冷凍焼け、乾燥又はその他の腐敗を招く可能性があるので望ましくない。これらの問題を避けるために、この実施形態は、アパーチャ74を覆って接着剤で固定されたアパーチャシール78を含む。このアパーチャシール78は、ユーザが把持してシール78を手動で除去することによって通気のためにアパーチャ74を開くことができる未固定のタブ部分80を含むことができる。或いは、通気のためにシール78を穿孔するようにユーザに指示することもできる。
【0036】
この装置の動作は、上述した動作と同様である。この例では、装置10が工場で内部の食品72と共に組み立てられ、場合によってはその後に冷凍又は冷蔵保存される。食品72を加熱することが望ましい場合、ユーザは、上部パネル54を上にして装置10を配置し、アパーチャシール78を手動で除去(又は穿孔)する。次に、底部パネル52を下にして上部パネル54を上にした状態で装置10を電子レンジ内に配置する。次に、初期加熱期間にわたって電子レンジを作動させる。前回と同様に、これによってサセプタ66及び68を所定の温度まで加熱する。さらに、これによって加熱室58及び食品72が加熱される。この初期加熱期間中には、ベースサセプタ66からの熱伝導によって、ベースサセプタ66に接触する食品の下面に焦げ目を付け又はカリッと仕上げることができる。
【0037】
初期加熱期間が終了したら、電子レンジを開いて装置10を反転させ、底部パネル52を上にして上部パネル54を下にした状態で電子レンジ内に配置する。その後、二次加熱期間にわたって電子レンジを作動させる。装置10の反転中には、食品72の上面がカバーサセプタ68に載るようになる。この二次加熱期間中には、やはり伝導を通じた高い熱伝達によって、カバーサセプタ66に接触する食品の上面に焦げ目を付け又はカリッと仕上げることができる。二次加熱期間が終了したら、冷却期間又は安静期間を設けることもできる。その後、ユーザは、(開封タブ60などによって)装置10を開いて調理済みの食品72を取り出すことができる。
【0038】
上述の内容から、本発明は、上述した全ての目的及び目標、並びにその構造に内在する他の利点を達成することに良好に適したものであると分かるであろう。
【0039】
いくつかの特徴及び部分的組み合わせも有用であり、他の特徴及び部分的組み合わせを参照することなくこれらを採用することもできると理解されるであろう。これも特許請求の範囲によって想定され、その範囲に含まれる。
【0040】
本発明の範囲から逸脱することなく多くの実施形態が可能であるため、添付図面に示して本明細書で説明した全ての事項は限定的な意味ではなく例示として解釈すべきであると理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8