(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-28
(45)【発行日】2023-07-06
(54)【発明の名称】複数の低次元血管造影投影からの移動血管脈波の時空間的再構成
(51)【国際特許分類】
A61B 6/02 20060101AFI20230629BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
A61B6/02 353C
A61B6/00 331E
A61B6/00 335
A61B6/02 ZDM
(21)【出願番号】P 2021541303
(86)(22)【出願日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 US2020017057
(87)【国際公開番号】W WO2020163629
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-09-14
(32)【優先日】2019-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521313979
【氏名又は名称】バトラー, ウィリアム イー
【氏名又は名称原語表記】BUTLER, WILLIAM, E.
【住所又は居所原語表記】P.O. Box 140340, Boston, MA 02114-0340 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】バトラー, ウィリアム イー
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-006083(JP,A)
【文献】特表2002-505437(JP,A)
【文献】特開2005-062147(JP,A)
【文献】特開2009-112532(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0000441(US,A1)
【文献】国際公開第2014/162741(WO,A1)
【文献】特開2016-101364(JP,A)
【文献】国際公開第2012/011014(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0040178(US,A1)
【文献】国際公開第2006/038166(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/14
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管造影の方法であって、
心臓周波数よりも速い速度で取得される、再構成された時空間的心臓周波数現象の複数の低次元の同期された投影から時空間的心臓周波数現象のより高次の画像表示を再構成
し、
前記再構成は、血管造影現象の時空間的再構成における心臓周波数での生理学的コヒーレンス
を使用して実行され、
実数成分と虚数成分を有する複素数値データ上で動作する、複素数値による方法が前記投影において行われ
る、方法。
【請求項2】
血管造影法を用いて得られた複数の低次元画像投影から時空間的心臓周波数現象のより高い次元空間表現を再構成するための方法であって、
心臓の周波数よりも速い速度で物体の複数の画像投影のシーケンスを取得することと、
前記複数のシーケンスの各々を独立して処理して、心臓周波数血管造影現象に対応する複数のシーケンスを取得することと、
生理学的コヒーレンスを使用して、心臓周波数血管造影現象に対応する前記複数のシーケンスを同期させることと、
前記同期された複数のシーケンスを
実数成分と虚数成分を有する複素数値データ上で動作する複素数値による方法で処理して、前記心臓周波数血管造影現象のより高いレベルの空間的再構成を生成することを含む方法。
【請求項3】
前記複素数値による方法は、逆ペンローズ変換である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記シーケンスがまばらなデータを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記まばらなデータの処理を補足するために、補間が使用される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
血管造影のタイプが、平行ビーム形状、ファンビーム形状、またはコーンビーム形状を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のシーケンスが、指標源を参照して得られる、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記指標源が、生理学的マーカー、パルスオキシメータ、心電図、または頭蓋内圧波形から得られる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
複数の2D画像投影から3D再構成が生成されるか、または複数の1D画像投影から2D再構成が生成される、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
別々の投影の各々における移動血管脈波を同期させるための方法であって、
請求項2に記載の方法を含み、さらに、再構成された時空間的心臓周波数現象の別々の投影を同期させるために、心臓周波数で血管造影コヒーレンスを使用することを含む方法。
【請求項11】
バイプレーンデータから心臓周波数血管造影現象のより高次の表現を再構成するための方法であって、
血管造影データが同じ時点で得られた3D物体の2D画像投影の2つのシーケンス(第1のシーケンスおよび第2のシーケンス)を含み、前記シーケンスが心臓周波数よりも速い速度で取得される、前記血管造影データを取得することと、
各シーケンスを独立して処理して時空間的心臓周波数現象を取得することと、
フレームごとに、第1の投影と第2の投影とを、容積空間において互いに直交して位置させて、第1の軸に沿って前記第1の投影を投影させると共に、第2の軸に沿って前記第2の投影を投影させることと、
ボクセルに関連した複素数値データに基づいたコヒーレンス値を有する各ボクセルにおいて、交差するボクセルに対して、閾値よりも大きいコヒーレンス値を有するボクセルが保持されるようにボクセルをフィルタ処理することと、
前記フィルタ処理されたボクセルに基づいて前記時空間的心臓周波数現象の3D再構成を生成することと、を含む方法。
【請求項12】
前記第1のシーケンスを、SI次元に対して前記第2のシーケンスと整列させるために、前記第1のシーケンスを変位させることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
フィルタ処理が、閾値未満のコヒーレンス値を有するボクセルを除去することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
3D空間内で第1及び第2のシーケンスを整列させるために、画像投影の前記第1及び/又は第2のシーケンスを転置することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記コヒーレンス値は、前記交差するボクセルが同じ血管に対応することを示す閾値に設定される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の軸および前記第2の軸は、互いに直交している、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
血管造影のためのコンピュータシステムであって、
1つ以上のコンピュータプロセッサと、
1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体と、
前記1つ以上のコンピュータプロセッサによる実行のために、前記1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体に記憶されると共に、請求項1~16のいずれか1つ又は複数に従った方法を行うための実行可能な命令を含むプログラム命令と、を含むコンピュータシステム。
【請求項18】
請求項1~16のいずれか又は複数の方法を行うための命令を処理させるコンピュータによりプログラム命令が実行可能であり、具現化された前記プログラム命令を有するコンピュータ可読記憶媒体を含む血管造影用のコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年2月6日に出願された仮特許出願第62/801766号に対して米国特許法119条の下、優先権を主張し、参照によりその全体が本出願に組み込まれる。
【0002】
複数の下位次元血管造影投影からの移動血管脈波の高次元の再構成を作製するための技術が提供される。血管造影投影(例えば、X線造影)は、3D血管床における時間の関数として進行する血管造影の対比による2次元投影画像として一般的に生成されるので、この方法は、3D空間および時間次元を含む、4次元における血管造影の再構成を含んでおり、心臓周波数血管造影現象に基づいている。
【0003】
本技術は、それぞれ2つの空間次元で得られた複数の血管造影画像投影から3つの空間次元の血管造影に再構成する。これらの技術は、血管脈波および他の心臓周波数現象を使用して、より低い次数の空間次元からより高次の時空間的再構成を得るために適用することができる。
【0004】
本技術によれば、下位次元血管造影投影は、同時に、連続して、またはそれらがいくつか組み合わされた状態で取得され得る。
【0005】
本技術によれば、心臓周波数における生理学的コヒーレンスは、それぞれ2つの空間次元の画像投影を同期させるために使用される。生理学的コヒーレンスに基づく同期は、単一の心臓周波数ペースメーカまたは他の外部原因に同期した心臓周波数血管造影現象の時間的一貫性に起因する再構成を可能にする。
【0006】
本方法、装置、およびコンピュータ可読媒体は、血管脈波の生理学的コヒーレンスを利用して、2つの空間次元画像投影からの血管脈波の3D空間再構成のトモシンセシス(tomosynthesis)を可能にする。
【背景技術】
【0007】
心臓は、動脈の拍動の連続(シーケンス)として、器官を含む血管系全体にわたって血液を送り込む。心拍ゲート法(cardiac gating)は、血管を走行させながらの1回1回の拍動の画像化を可能にしないが、代わりに多数の心拍から脈波を補間する。米国特許10,123,761号は、心臓周波数よりも速い速度で取得された血管造影画像からの1回1回の移動血管脈波の時空間的再構成を実行する態様を開示している。このアプローチでは、移動血管脈波は、2つの空間次元の血管造影投影に再構成される。いくつかの態様では、運動エイリアスと周波数エイリアスのバランスをとる技術が使用される。しかしながら、このアプローチは、3つの空間次元における移動血管脈波の時空間的再構成を提供することができないことによって制限される。
【0008】
米国特許10,123,671号は、心拍数よりも速い速度で取得された血管造影画像のシーケンスを解析して、その画像投影に従って移動血管脈波の時空間的再構成を得るための技術を開示している。時空間的再構成は、投影と同じ次元性の複素数値データである。各時点における各画素は複素数値データを有する。それは実数および虚数として表すことができる。しかしながら、生理学的解釈のためには、それは、大きさおよび位相を有する極形式で表される。その大きさは、心臓の周波数のその画素におけるコントラストの変化を表す。位相は、心周期内の位置を表す。
【0009】
より低い次元の投影からのより高い次元の再構成へのコンピュータによるアプローチは、一般化されたラドン変換の反転、フィルタ処理された逆投影、制約付きの反転、反復技法、期待値最大化、および他のアルゴリズムのような技法を使用することができる。これらの方法は、画像化される物体が1つの投影角度と次の投影角度との間で変化しないと仮定する。したがって、これらのアプローチは、例えば、投影によって画像化されている物体によるX線の減衰を記述するために、実数値の投影データに適している。
【0010】
しかしながら、これらの方法は、造影剤を使用して可視化される再構成の対象が投影の間で変化するので、動的現象の再構成には適していない。
【0011】
他の技術は、より小さい次元の複数のデータのセットからより高い次元の画像を再構成することに関する分野において知られている。しかし、これらの技術は、複数の画像投影から得られた静的な解剖学的X線画像の再構成にも適用される。しかしながら、血管脈波および他の心臓周波数現象などの動的情報は、静止画像の処理からは得られないであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許10,123,761号は、2つの空間次元の血管造影投影内のウェーブレット技術による血管脈波の時空間的再構成を開示している。動的、一時的、周期的に再発生する2次元血管脈波(心臓周波数血管造影現象に含まれる)は、血管脈波のより高い空間次元画像の再構成において使用され得る。空間的に分布された血管脈波は、正常なヒト組織、器官、および特に脳を含む血管系における心臓周波数で生理学的にコヒーレントである。心臓周波数における生理学的コヒーレンスは、血管床の異なる空間領域が複数の心周期にわたって相対的に固定された位相差を維持するときであると定義される。
【0013】
本発明の目的は、2つの次元における血管脈波の存在を利用することによって、2次元画像投影から3つの空間次元における血管脈波の時空間的再構成を提供することである。
【0014】
ここで使用されるように、時空間的再構成は、下位次元の複数の画像投影からの高次元の物体の再構成であると定義される。例えば、1つの空間次元の画像投影の複数のシーケンスからの物体の2つの空間次元画像の生成は、時空間的再構成を表す。別の例として、2つの空間次元の画像投影の複数のシーケンスからの物体の3つの空間次元における表現の生成は、時空間的再構成を表す。画像投影は、平行ビーム形状、ファンビーム形状、コーンビーム形状、または他の方法を含むがこれらに限定されない、任意の適切な血管造影法によって得ることができる。
【0015】
下位次元の物体から高次元の物体を時空的に再構成することは、限定されないが、逆ペンローズ変換技術、または複素数値データ上で動作することが可能な任意の他の適切な変換を含む、任意の適切なコンピュータ技術を利用することができる。これらの技術は、血流を可視化するために使用される血管造影コントラストの空間分布が画像投影の間に系統的に変化する場合に、下位空間次元血管造影画像投影から高次空間次元画像を再構成するためのアプローチを提供する。
【0016】
移動血管脈波は、複素数値データで適切に記述される。再構成されるすべての画素は、実数成分および虚数成分を有するものとして表すことができ、心臓の周波数の大きさおよび位相に基づいて視覚化することができる。したがって、時空間的再構成は、複素数値の画像投影データ上で動作することができる技術を用いて実行され得る。例えば、逆ラドン変換の複素数値バージョン、逆ペンローズ変換は、そのような再構成のために使用され得る。本明細書で提供される実施例は、より低い次数の空間次元の複素数値の投影から複素数値の高次の空間次元血管造影画像の再構成の計算手段として逆ペンローズ変換を利用するが、これらの技法は、複素数値投影データを使用して時空間的再構成を実行するための任意の適切なアルゴリズムに適用することができることを理解すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
投影の間の血管造影コントラストの進行中の変化によって、より低い次元の投影から高次の時空間的再構成を行うことができないことを克服するために、本技術は、複素数値の投影を処理するように設計された血管脈波およびアルゴリズムの生理学的コヒーレンスを利用する。
【0018】
一実施形態では、複数の下位血管造影投影が、被験者に投与される血管造影剤の塊の通過または一時的な多量摂取から得られる。投影は、それぞれがX線センサに対して直径方向に配向されたX線源を含む複数の同時投影装置の組み合わせによって、または画像化された物体についての投影装置の迅速な動きによって、または別個の血管造影剤の塊の移動から得られた投影によって得ることができる。
【0019】
方法、システム、デバイス、およびコンピュータプログラム製品は、本明細書では、複数のより低い次元の再構成された時空間的心臓周波数現象の同期された投影からの時空間的心臓周波数現象のより高い次元の画像表現を再構成するため、血管造影現象の時空間的再構成における心臓周波数での生理学的コヒーレンスを使用して実行される再構成のため、および投影上で動作するための複素数値による方法のために提供される。
【0020】
方法、システム、デバイス、およびコンピュータプログラム製品は、本明細書では、血管造影法を用いて得られた複数の低次元画像投影から時空間心臓周波数現象のより高い次元空間表現を再構成するために提供され、これは、心臓周波数よりも速い速度で物体の複数の画像投影シーケンスを取得することと、心臓周波数血管造影現象に対応する複数のシーケンスを取得するために複数のシーケンスの各々を独立して処理することと、生理学的コヒーレンスを使用して心臓周波数血管造影現象に対応する複数のシーケンスを同期させることと、同期された複数のシーケンスを複素数値による方法で処理して、心臓周波数血管造影現象のより高いレベルの空間的再構成を生成することとを含む。
【0021】
いくつかの態様において、複数のシーケンスは、指標源を参照して得られる
【0022】
いくつかの態様では、指標源は、生理学的マーカー、パルスオキシメータ、心電図、または頭蓋内圧波形から得られる。
【0023】
いくつかの態様では、複数の2D画像投影から3D再構成が生成されるか、または複数の1D画像投影から2D再構成が生成される。
【0024】
方法、システム、デバイス、およびコンピュータプログラム製品は、別々の投影の各々における移動血管脈波を同期させるために提供され、その方法は、再構成された時空間心臓周波数現象の別々の投影を同期させるために、心臓周波数における血管造影のコヒーレンスを使用することを含む。
【0025】
方法、システム、デバイス、およびコンピュータプログラム製品は、バイプレーンのデータから心臓周波数血管造影現象のより高次の表現を再構成するために提供され、これは、心臓周波数よりも速い速度で得られ、同じ時点で得られる3D物体の2次元画像投影の2つのシーケンスを含む血管造影データを取得することと、時空間心臓周波数現象を得るために各シーケンスを独立して処理することと、空間容積内で第1の投影と第2の投影が相互に直交する位置と、第1軸に沿う第1の投影と第2軸に沿う第2の投影の投影と、閾値よりも大きい一定値を有するボクセルが保持されるようにボクセルをフィルタ処理することと、フィルタ処理されたボクセルに基づいて時空間心臓周波数現象の3D再構成を生成することとを含む。
【0026】
いくつかの態様において、第1のシーケンスは、第1のシーケンスをSI(superoinferior)次元に対して第2のシーケンスと整列させるように変位される。
【0027】
いくつかの態様では、フィルタ処理は、閾値未満のコヒーレンス値を有するボクセルを除去することをさらに含む。
【0028】
いくつかの態様において、画像投影における第1及び/又は第2のシーケンスは、3D空間における第1及び/又は第2のシーケンスに整列させるように転置される。
【0029】
いくつかの態様では、コヒーレンス値は、交差するボクセルが同じ血管に対応することを示す閾値に設定される。
【0030】
高速断層撮影システムが、心拍数よりも速い速度で生成される再構成画像に対して十分に速い画像投影を得る場合、米国特許第10,123,761号に開示されているような移動血管脈波のために、時空間的再構成技術が適用されてもよい。
【0031】
本発明の技術によれば、血管床の生理学的コヒーレンスは、位相指標と呼ばれる過程において、指標源に関して各画素の位相を表現するために利用される。指標源は、それが全ての投影に存在する限り、血管造影画像内の特定の構造であってもよい。これは、例えば、名前付き動脈または名前付き静脈を含むことができる。位相指標のための指標源は、画像から独立して選択された基準心臓信号、例えば、パルスオキシメータ、心電図、または頭蓋内圧波形であってもよい。
【0032】
一実施形態では、位相指標は、基準心臓信号と各投影の各時点における各画素との間の複素数値演算を使用して実行される。
【0033】
このように、画像投影ごとに、血管脈波活動を含む基準心臓信号に参照されるコントラスト変動の複素数値表現が得られる。複数の画像投影は、逆ペンローズ変換のような複素数値計算技術を用い、任意にフィルタ処理を用いて、単一の高次元表現に再構成される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本明細書で提供される技術のより完全な理解のために、以下の説明および添付の図面を参照する。
【0035】
【
図1A】本実施形態の態様による、ヒト脳で得られた血管造影データに基づいて、2つの次元で示される血管造影性の生理学的コヒーレンスを示しており、動脈における関心領域を示す。
【
図1B】本実施形態の態様による、ヒト脳で得られた血管造影データに基づいて、2つの次元で示される血管造影性の生理学的コヒーレンスを示しており、静脈における関心領域を示す。
【
図1C】本実施形態の態様による、ヒト脳で得られた血管造影データに基づいて、2つの次元で示される血管造影性の生理学的コヒーレンスを示しており、動脈および静脈の流れの時間信号曲線を示す。
【
図1D】本実施形態の態様による、ヒト脳で得られた血管造影データに基づいて、2つの次元で示される血管造影性の生理学的コヒーレンスを示しており、心臓周波数血管造影現象を示すために
図1Aおよび
図1Bの血管造影データが数学的に変換された心臓周波数空間血管造影図のフレームを示している。
【
図1E】本実施形態の態様による、ヒト脳で得られた血管造影データに基づいて、2つの次元で示される血管造影性の生理学的コヒーレンスを示しており、心臓周波数血管造影現象の大きさのグラフを示す。
【
図1F】本実施形態の態様による、ヒト脳で得られた血管造影データに基づいて、2つの次元で示される血管造影性の生理学的コヒーレンスを示しており、心臓周波数血管造影現象の位相のグラフを示す。
【
図2】本実施形態の態様による、2つの仮想的な血管の断面における心臓周波数血管造影現象の時空間的再構成のために使用される複素数値画像投影図を仮想的に取得した状態を示す図である。
【
図3】逆ペンローズ変換を示す図であって、(a)は
図2の投影図からなる複素数値のサイノグラムを示す図であり、(b)は本実施形態の態様に従って再構成された物体を示す図である。
【
図4A】本実施形態における時空間的再構成の様々な態様を示す図であって、より高次元の再構成を得るために、様々な血管造影図の組み合わせを示す図である。
【
図4B】本実施形態における時空間的再構成の様々な態様を示す図であって、
図4Aの動作の流れを示すフロー図である。
【
図5】本実施形態の態様による、血管コヒーレンスを用いた2次元投影の3D空間再構成のために生成される容積空間を示す図である。
【
図6】本実施形態の態様において、バイプレーン血管造影装置を使用して得られた血管造影データによる、
図5の容積空間に対する時空間的再構成を示す図である。
【
図7】本実施形態の態様による、バイプレーン血管造影装置から得られた血管造影データの時空間的再構成のための動作のフローチャートである。
【
図8A】本実施形態の態様による、血管造影データを取得するために使用され得るX線システムを示す図であり、Cアームを有するガントリを備えた回転X線システムを示す図である。
【
図8B】本実施形態の態様による、血管造影データを取得するために使用され得るX線システムを示す図であり、ガントリおよびガントリを制御するための構成要素を有する回転X線システムを示す図である。
【
図8C】本実施形態の態様による、血管造影データを取得するために使用され得るX線システムを示す図であり、バイプレーン画像取得のために構成されたX線システムの別の実施形態を示す図である。
【
図9】本実施形態の態様による、本発明の実施形態と共に使用され得るコンピュータシステムまたは情報処理装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
血管造影の心臓血管現象は、心臓周波数より速い、例えば、ナイキストレート(Nyqist rate)の2倍またはそれ以上で得られた血管造影データを処理することによって視覚化され得る。生理学的コヒーレンスを含むこの現象は、動的、一時的、および周期的に再発生し、血管脈波として視覚化され得る。生理学的コヒーレンスは、血管床の異なる空間領域が複数の心周期にわたって相対的に固定された位相差を維持するときに生じる。本明細書に記載されるように、血管造影の心臓血管現象は、より高次の空間次元物体を再構成し、より低い次数の画像投影から血管脈波を可視化するために使用され得る。
【0037】
以下の実施例は、ヒトの脳血管のデータとの血管造影の生理学的コヒーレンスを示す。しかしながら、血管造影の生理学的コヒーレンスは、この例に限定されることを意図するものではなく、血管構成要素または適切な血管系を有する他のシステムを備える様々な他の器官において見出され得る。さらに、本明細書で提供される技法は、例示的な実施形態に見られるように、より低い次元のデータに限定されることを意図するものではない。
【0038】
図1A~1Fは、ヒトの器官における血管造影の生理学的コヒーレンスの一例を示しており、この場合は脳である。
図1Aは、動脈における関心領域(ROI)1を示し、
図1Bは静脈におけるROI2を示している。動脈におけるROIを通る血管造影剤の塊の通過の時間的プロファイルは、
図1Cに示すような動脈時間信号曲線3を生成する。同様に、静脈におけるROIを通る血管造影剤の塊の通過の時間的プロフィールは、また
図1Cに示されている静脈時間信号曲線4を生成する。血管造影投影は、
図1Dに示される心臓空間血管造影
図5として名付けられた例示の血管造影のフレームと共に、移動血管脈波の複素数値レンダリングに再構成される。心臓空間血管造影
図5の2つのROI(例えば動脈および静脈における)活動の時間的プロファイルは、
図1Eに示される動脈における関心領域(ROI)1と静脈におけるROI2の信号の振動を示す。これらの時間的プロファイルは心臓空間血管造影から得られるので、これらのプロファイルは心臓周波数で振動する。動脈におけるROIの脈波と静脈におけるROIの脈波との間の一貫した心臓周波数位相差の維持は、
図1Fに示すように動脈と静脈におけるROIの間のコヒーレンスを示す。
【0039】
図2は、一連の時点のための2つの血管の仮想的な2D断面画像を有する複素数値画像投影の取得を示す。X線プレートに対して水平および垂直の空間データを含む2D投影画像を生成するために、3D空間を介してX線を投影することによって、透視血管造影図が生成される。しかしながら、このアプローチは、血管の病理を理解するのに有用であり得る情報を除去する(3Dから2Dへ)。本技術は、この3D空間を再構成するためのアプローチを提供し、それによって、この除去された情報の少なくとも一部を取り戻す。この実施形態では、血管造影画像は心拍数よりも速い速度で得られる。
【0040】
したがって、
図2は、血管造影データを含む3D空間の2D切断面を示す。この例では、画像投影は、X線投影後の2D切断面(平面)の1Dの行空間である。このように、各矢印(投影されたX線を表す)に対して、対応する1Dの行空間が生成される。一実施形態では、投影角度は密に詰められてもよく、0からπまでの半円の間を変化してもよい。2D切断面の1D画像投影について説明しているが、これらの技術は、逆ペンローズ変換またはペンローズ逆投影技術を含み、本明細書で説明された動作と同じことを行うことによって3Dまで拡張することができる。例えば、2D画像投影の手順を使用して、3Dの物体を生成することができる。
【0041】
図2には2つの血管(第1血管8及び第2血管9)が示されている。この例では、コンピュータで生成された画像内の全ての画素は複素数値データを表す。各複素数値データcは、明度‐色相の色モデルで表され、ここで、例えば明度‐色相表示10に従って、心臓周波数の大きさは明度として表され、位相は色相として表される。
【0042】
この図の2つの空間次元、xおよびyは、時系列を表すために、時間次元tによって補完される。心臓周波数血管造影現象の時空間的再構成において、時空間的再構成は、時間次元を有する画像特性を有する。心臓周波数における脈波は、明度‐色相表示10に示されるように、色相を循環する。
【0043】
いくつかの態様では、血管造影画像中のすべての画素は、心臓周波数で変化する指標源に索引付けされる。いくつかの態様では、指標源は、画像化されている器官の外側に発生し得る。一例は、パルスオキシメータまたは他の適切な供給源から得られる心臓信号である。あるいは、画像内から発生してもよい。一例は、血管内において明確に規定されたROIである。生理学的コヒーレンスのために、索引付けの後に、時間tkにおける血管造影画像のフレームから別の時間tk+1の別のフレームへの各画素における位相(例えば、色相として表される)の相対的な変化が存在する。ある実施形態では、異なる心拍に基づいて得られた血管造影データは、指標源への索引付けに基づいて結合され得る。
【0044】
この例は、単一の時点(tk)を使用して示されているが、本技術は、時間の関数として時空的再構成を示すために、一連の画像(例えば、時間(tk+1)の関数としての2D切断面等)に適用され得る。
【0045】
この例は、変換後に相対的に多数のX線投影を有するペンローズ逆投影/逆ペンローズ変換を示しており、これは滑らかであるように見える。しかしながら、本技術は、例えば少ない投影で動作する制約された逆投影技術を使用して、まばらなデータに適用可能である。実施形態では、まばらな血管造影データから得られた結果を平滑化するために補間を使用することができる。したがって、別の実施形態では、X線投影は、比較的まばらであってもよい。
【0046】
投影角度は、例えば、平行ビーム、ファンビームまたはコーンビーム形状を利用する装置を含む任意の適切な装置に対して任意の適切な方法で得ることができる。
【0047】
図3(a),(b)は、(例えば、
図2のコヒーレント物体を得るために)複素数値の投影の逆ペンローズ変換から任意の時点で複素数値フィールドを使用した、物体(例えば、この場合では、
図2の血管)の再構成を示す。
【0048】
図3(a)は、
図2に示すX線投影によって生成されたサイノグラムを示しており、ここで、横軸は血管造影投影角を表し、縦軸は
図2に示される物体の水平空間次元に基づく空間次元に対応する。実施形態では、サイノグラムは、同じ心周期に関して血管造影を得る1組のX線装置によって生成されてもよい。あるいは、サイノグラムは、同じ心臓信号を参照することによって、他のX線装置に同期される血管造影を得る1つのX線装置によって生成されてもよい。
【0049】
同時に得られないいくつかの2D画像は、基準心臓信号に基づいて同期され得て、これは脈拍数または呼吸数であり得る。この実施形態では、2つの血管は、基準心臓信号に対して同じ時点で脈打つことができる。この態様では、異なる位置における血管造影は、対象物(subject)/対象物(object)に対する位置を変化させるモノプレーン装置(ガントリ)を用いて得ることができる。この実施形態では、ガントリの位置は、心臓信号および対象物に対して既知である。2つ以上の平面画像投影からの3D画像の再構成は、心臓信号(例えば、異なる心拍であってもよい)のような指標源と再構成される脈波の識別とに基づいて実行されてもよい。
【0050】
図3(a)において、複素数値サイノグラム12は、例えば逆ペンローズ変換13等の数学的変換を受けて、
図3(b)に示すように、複素数値再構成14を生成し、
図2の生理学的にコヒーレントな物体(例えば、脈動する血管)を示す。これらの物体は、例えば、明度‐色相表示10に従って任意に表され得る大きさおよび位相に基づく、心臓周波数血管造影現象の明度‐色相モデルに基づいて、画像として表現され得る。
【0051】
図2及び
図3(a),(b)は、単一の時点での本技術を示す。
図2の血管造影のフレームt
kは、ナイキストの標本化定理にしたがって必要とされる心臓周波数よりも速い速度で得られた一連のフレームのうちの1つであるが、移動血管脈波の画像の時空間的再構成を得る。
図2及び
図3(a),(b)によって示される技術は、心臓のペースメーカのような指標源に索引付けられる心臓活動を示す
図3(a)のような複数のサイノグラムを生成するために、血管造影剤の塊の持続期間にわたって繰り返され得る。
図3(a),(b)は、
図2の血管造影法を用いて得られた投影からの物体の再構成を示している。各血管造影のフレームのための投影が1つの時間次元に加えて2つの空間次元にある場合には、再構成された画像の物体は、3つの空間次元と1つの時間次元を有している。
【0052】
本技術は、対象物を表す2次元画像に逆ペンローズ変換された1次元投影の結果を生成する仮想的な一連の2次元物体を用いて示されている。同様に、3Dの物体は、2D画像投影から再構成され得る。さらに、これらの技術は、平面投影、ファンビーム投影、またはコーンビーム投影に適用される。
【0053】
血管のコヒーレンスは、ここに例示した逆ペンローズ変換以外の再構成アルゴリズムの使用を可能にする。他の再構成アルゴリズムの例には、フィルタ処理された逆投影、反復法、制約されたまたは規則化された方法、ウェーブレット法、期待最大化方法、または最大エントロピー法が含まれるが、これらに限定されない。さらに、血管のコヒーレンスは、再構成アルゴリズムが、トモシンセシスの方法下で半円またはまばらに離間した投影にわたって細かく離間した投影で動作するかどうかにかかわらず適用される。まばらに離間した投影のために、補間技術を利用することができる。
【0054】
心臓周波数における生理学的コヒーレンスは、投影の向きおよびタイミングを柔軟に変化させることを可能にする。例えば、投影は、連続的に移動するガントリなどによって、順番に、並行して、またはそれらのいくつかの組み合わせで得ることができる。これらのアプローチは、平面投影、ファンビーム投影、またはコーンビーム投影を含む任意の適切な画像形成技術に適用される。
【0055】
心臓周波数での生理学的コヒーレンスは、ヒトの脳の血管造影において発見されているが、心臓周波数で脈波コヒーレンスがある他の器官系および他の血管床にも適用される。
【0056】
したがって、例えば、異なる角度での投影(例えば直角、または任意の他の適切な角度の少なくとも2つの投影)を得ることができる血管造影装置から得られる画像投影のセットは、本明細書で提供される技術に従って処理されて、心臓周波数血管造影現象(生理学的コヒーレンスを含む)を生成することができる。脈波として現れる可能性のある生理学的コヒーレンスを利用して、例えば血管脈波に対応する3D物体を再構成することができる。
【0057】
図4Aは、本実施形態の態様による、より高次の時空間的再構成を得るために、様々な血管造影図を組み合わせる説明を示す。
【0058】
異なる角度で得られた一連の血管造影
図510が心臓周波数よりも速い速度で得られる。血管造影データの各セットは、本明細書に記載されるような心臓現象変換を使用して処理され、血管脈波として現れることができる心臓周波数血管造影現象データ520を得る。
【0059】
本明細書において参照される心臓現象変換は、複雑なデータに対して動作可能であり、周波数領域での時間指標を保持する数学的変換が周波数領域のデータ上の心臓スケールでフィルタ処理を行い、フィルタ処理されたデータを対応する逆数学的変換を用いて時間領域に変換する、“761特許”の処理技術を指す。その結果は、心臓周波数血管造影現象と呼ばれる。
【0060】
本出願は、2つの空間的次元血管造影投影内のウェーブレット技術による血管脈波の時空間的再構成を含む、本明細書で参照される心臓現象変換のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許10,123,761号の開示に依拠する。
【0061】
本明細書で提供される方法、システム、およびコンピュータプログラム製品を実施する際に、血管造影データは、フィリップス(Philips)やシーメンス(Siemens)のような製造業者から入手可能な走査デバイスの一部として市販されている、および/または
図8A~8Cで参照されるものなどのデジタル検出器デバイスを使用して記録される。デジタルデータは次にコンピュータメモリに取り込まれる。血管造影のコンピュータメモリへの取り込みの後、心臓周波数血管造影現象の時空間的再構成は、(運動エイリアスの不在下において)以下の動作によって得ることができる。
【0062】
q個のフレームデータによってなるn×mの画素からなる血管造影データは、コンピュータメモリに取り込まれ、メモリ内のプロセッサで再フォーマットされて、各q個のサンプルの長さが長い時間信号のn×mの配列を与える;
【0063】
画素ごとの時間信号に対してプロセッサによって複素数値ウェーブレット変換が適用され、ウェーブレット変換のn×mの配列が与えられる;
【0064】
画素ごとのウェーブレット変換は、プロセッサによって心臓周波数のためにフィルタ処理される。これは、心臓ウェーブレットスケール(この用語は心臓周波数の概念に対応する)に対応しない全てのウェーブレット係数をゼロに設定することによって行われる;
【0065】
画素ごとのウェーブレット変換データは、プロセッサによって時間領域に逆ウェーブレット変換され、コンピュータメモリ内でn×mの画素のq個のフレームに再フォーマットされる。この3次元格子における各データ要素(ボクセル)は複素数値である;
【0066】
各フレームは、プロセッサによって各画素内の複素数データを表すために、明度‐色相カラーモデルを有する画像として表すことができる;
【0067】
心臓周波数の大きさは、明度として表され、位相は色相として表される;
【0068】
q個の画像は、プロセッサによって動画として表されてもよく、またはプロセッサによって動画ファイルフォーマットとして記憶されてもよい。
【0069】
周波数領域への変換後に時間インデックスを保持する複素数で動作可能であり、心臓周波数血管造影現象の時空間的再構成を抽出することができる任意の適切な変換が、本技術と共に使用することが期待される。
【0070】
心臓周波数血管造影現象データ(血管脈波を含む)520は、例えば、逆ペンローズ変換に従って処理されて、血管脈波のより高次の時空的再構成を生成することができる。
角度θ
1、角度θ
2、角度θ
Nに対応するシーケンスは、3Dの高次物体を生成するために、逆ペンローズ変換(例えば、
図3(a),(b)と同様)を使用して処理され得る。例えば、角度θ
1、角度θ
2、角度θ
Nに対応するフレームを(任意の時点での決定された角度について)逆ペンローズ変換を使用して処理することができるように、フレームの各セットについて処理を繰り返すことができる。ここで、心臓周波数血管造影現象を含む各シーケンスは、例えば、心臓周波数血管造影現象の位相および/または大きさに基づいて同期されているものと仮定される。いくつかの態様では、補間は、心臓周波数血管造影現象のシーケンスを整列させるときに使用され得る。したがって、これらの技術は、時間の関数として3D血管脈波の可視化を提供する。
【0071】
同期は、位相および/または大きさに基づく整列を含む、および/または任意に且つ追加的に、生理学的マーカーを含む任意の適切な技法によって実行され得る。いくつかの態様では、位相は各ボクセルに対して決定され得、そして整列は、計算された位相に基づいて実行され得る。
【0072】
図4Bは、本明細書で提供される技術に従う、時空間的再構成のための動作の流れ図を示すフロー図である。動作610において、3D物体の2D画像投影の複数のシーケンスが得られ、各画像投影は、軸へのX線の配向のそれぞれの角度に関連しており、各シーケンスは、心臓周波数よりも速い速度で得られる。いくつかの態様では、血管造影データは、指標源に対して取得され得る。動作620において、2D画像投影の複数のシーケンスの各シーケンスは、生理学的コヒーレンスを示す血管脈波として表される心臓周波数血管造影現象に対応する複数のシーケンスを得るために独立して処理される。動作630において、心臓周波数血管造影現象に対応する複数のシーケンスは、本明細書で提供される技術(例えば、位相および/または大きさなど)に従って同期および/または整列される。シーケンスは、必要に応じて、本明細書に記載されるように索引付けされ得る。動作640において、整列された複数のシーケンスは逆変換され、(例えば、生理学的コヒーレンスに基づいて整列された異なる角度におけるフレームのセットは、例えば、逆ペンローズ変換を用いて逆変換されて、)3Dの血管脈波の再構成を生成する。
【0073】
図5を参照すると、投影画像の異なるシーケンスは、例えば、バイプレーン血管造影装置によって異なる角度で得ることができる。バイプレーン投影画像から3Dの再構成を生成するために、技法を使用することができる。いくつかの態様では、バイプレーン装置は、対象物(subject)/対象物(object)に対して異なる角度で2次元画像を取得し、その画像は、同じ時点で取得される。本技術は、3Dの再構成画像を取得するために、心臓周波数血管造影現象を可視化することができる、心臓血管造影装置におけるバイプレーン技術を利用する方法を提供する。
【0074】
従来の神経血管X線造影では、直角に配向された2つの画像平面が、単一のヨード造影剤注入のための血管造影画像の2つの同時のシーケンスを得るために、例えば、バイプレーン装置を用いて、同時に使用される。例示的なケースとして、そして
図5に示されるように、2つの血管造影投影が得られ、前後(AP)および側面に配置され得る。画像取得の間、側面および前後面を取得することができ、1つまたは両方のシーケンスを、容積空間(例えば、SI軸、AP軸、および横軸を有する空間)に対して転置または整列させることができる。例えば、第1のシーケンスは、前後面に対して整列され得る。第2のシーケンスは、例えば、AP、上下(SI)、および左右(横)の3つの直交軸を含む3D解剖学的座標系に基づいて、側面に対して整列され得る。いくつかの態様では、バイプレーン系によって得られたAPおよび横方向の血管造影画像は、(
図5に示すように)同じSI軸を共有するように配置され得、その結果、所与の物体は、APおよび横方向投影画像の両方に対して同じSI座標を有する。したがって、三次元における解剖学的構造の空間的構成を推測するために、APと横方向の投影からの空間的整合を使用してもよい。空間的ミスマッチの誤りは、生理学的コヒーレンスを利用して空間整合を実行することによって低減される。したがって、心臓現象変換(例えば、ウェーブレット血管造影法)によって抽出された心臓周波数血管造影現象(例えば、特に位相情報)は、空間的ミスマッチの誤りを低減した再構成を可能にする。
【0075】
2D透視図から、3次元の異なる血管は、2次元再構成において重複して現れることがある。AP投影および横方向の投影に対して同じSI座標を有する2つの交差構造(血管)が、心臓現象変換を使用して処理した後に異なる脈波位相を有している場合、これらの構造は、同じ血管構造(例えば、血管)を表すとは考えにくい。
【0076】
一方、これら2つの構造が同一の脈波位相を共有する場合、これらの構造は同じ血管構造を表す可能性がある。これらの技術に基づいて、バイプレーン投影からの構造の空間的整合を高めるために、位相情報、または心臓周波数での生理学的コヒーレンスを使用することによって、3Dの空間的再構成を得ることができる。いくつかの態様では、同じパルス位相を有する交差部分は保持され、一方、異なる位相を有する他の交差部分は保持されない。したがって、2次元画像から3D物体を再構成する際に、血管脈波は、血管内の同期された脈動の存在に基づいて、異なる配向で得られる異なる画像内の血管を識別するために使用され得る。
【0077】
従来のバイプレーン血管造影法が得られ、心臓基準信号と共に記録される。心臓現象変換は、画像投影の各シーケンスに適用されて、2つの3D(2D空間および時間)の時空間的再構成を生成する。各データ要素(ボクセル)は、実数および虚数成分を有する複素数値データであり、これは、極形式で表されてもよく、その大きさは、そのボクセルにおける心臓周波数動作の強度を表し、位相は、心周期における相対位置を表す。
【0078】
本明細書で提供される実施例は、単一の時点におけるバイプレーンコヒーレンス断層撮影について述べている。しかしながら、本技術は、3D(2Dおよび時間)画像投影のシーケンスを処理し、結果を集約して、4D(3Dおよび時間)バイプレーンコヒーレンス断層像を生成することによって、4Dバイプレーンコヒーレンス断層撮影を生成するために拡張され得る。
【0079】
各投影は、2D空間画像のシーケンスとして血管造影装置によって得られる。各投影のためのSI次元が垂直軸上に位置決めされるように、AP投影および横方向投影を配置することができる。本技術によれば、3D空間容積(例えば、
図5に示すような立方体)は、3D空間容積の表面上にある1つ以上の投影を転置/変位することによって作成され、ここで、3D空間容積は、最初に空である。
【0080】
いくつかの態様では、各画像投影(一平面)は、軸に沿って一定の間隔で反復される。例えば、AP投影は横軸に沿って反復され、横方向投影はAP軸に沿って反復される。反復された画像の部分は、容積空間で交差し、本技術は、どの交差部分が同じ血管であり、異なる血管であるかを決定することを可能にする。各ボクセルについて、コヒーレンス値が決定される。SI次元に関して交差する点について、所与の横方向座標位置におけるAP投影中の所与の画素について、その複素共役は、横方向投影における全てのAP位置によって乗算され、複素数値(コヒーレンス メトリック)である生成物は、各ボクセル位置に記憶される。
図5は、横方向の次元に沿って反復されたAPボクセルの例を示す(図示されていないが、横方向の画素もまた、AP次元に沿って反復される)。
【0081】
全てのSI、APおよび横方向の座標位置による反復は、ボクセルによる最初の空の体積の集合をもたらす。いくつかの態様では、閾値よりも小さいコヒーレンス値を有するボクセルは、透明なものまたは除去されるものとして処理される。より大きいコヒーレンス値を有するボクセルは、同一の血管であると考えられ、明度として複素数の大きさが表されると共に、色相として位相が表される。
【0082】
処理操作の関連部分は、以下のように提供される。第1に、データはメモリに読み出され、データは、心臓周波数血管造影現象を発生させるために処理された3D(2D画像投影および時間)を含む。いくつかの態様では、データは、HDF5ファイルフォーマットまたは任意の他の適切なファイルフォーマットで記憶され得る。
【0083】
場合によっては、複素数値データを実数および虚数として別々に記憶することが望ましい場合がある。この場合、2つのファイルの各々からデータを読み出して、画素ごとに結合して単一の複素数にすることができる。
【0084】
いくつかの態様では、データは、データの周波数および大きさの態様を理解するために、分位数情報を使用して分析され得る。この情報は、例えば、必要に応じて、フィルタリング、スケーリング、または他の正規化技術を使用することを可能にする、3D再構成空間データのレンダリングの助けとなるために使用され得る。
【0085】
画像投影は、必要に応じて、SI次元(または他の適切な次元)を整列させるために転置され、
図5に示されるように、APおよび横方向次元が直交したままであることを可能にする。一度整列されると、各画像投影は、他の直交空間次元に沿って所定の間隔で反復される。したがって、AP画像投影は横軸に沿って反復され、横方向画像投影はAP軸に沿って反復される。いくつかの態様において、画像投影を反復および転置するためのコマンドは、以下のものを含む:
【0086】
場合によっては、第1の投影のSI次元は、第2の投影のSI次元と整合しないことがあり、第1または第2の位置は、各投影の解剖学的特徴が整列するように、変位する必要があり得る。これは、二段面のアームが完全には較正されず強固に固定されていない場合に起こり得る。本技術は、整列の尺度を決定することと、最大限に調整するために適切な量だけ画像投影を変位することとを含む。
【0087】
血管が交差するかどうかを決定するために、コヒーレンスの尺度が決定され得る。いくつかの態様では、閾値(例えば、0.89より小さい絶対値)などのカットオフ値が設定されてもよい。この範囲(低コヒーレンス)内にあるボクセルは0の値に設定される。この場合、使用可能な数学的関数は次の通りである:
ここで、相関関数は次の通りである
【0088】
他の態様では、複素画像の3D空間スタックを作成することができ、各画素は、心臓の周波数の大きさに対応する明度および心周波数位相に対応する色相を有する。
【0089】
出力は、再構成されたバイプレーン血管造影データの3Dレンダリングである
図6に示されている。
【0090】
図7は、バイプレーン血管造影データに基づいて3D再構成を生成するための高レベルな動作を示す。動作710において、血管造影データが得られ、血管造影データは、同じ時点で得られた3D物体の2次元画像投影の2つのシーケンスを含み、これらのシーケンスは、心臓周波数よりも速い速度で得られる。動作720において、各シーケンスは、時空間心臓周波数現象を得るために独立して処理される。動作730において、(時間的に整列された)フレームごとに、第1および第2の投影は、互いに直交する容積空間内に配置される。第1のシーケンスは、第2の投影に直交する第1の軸に沿って投影され、第2のシーケンスは、第1の投影に直交する第2の軸に沿って投影され、第1および第2のシーケンスの両方が共通の第3の軸を共有する。動作740において、体積空間において交差するボクセルについて、ボクセルは、閾値よりも大きいコヒーレンス値を有するボクセルが保持されるようにフィルタ処理される。動作750において、時空間的心臓周波数現象の3D再構成が、フィルタ処理されたボクセルに基づいて生成される。
【0091】
これらの技術は、従来の心臓画像技術を使用しては利用できない特徴である3D空間心臓血管造影を生成する能力を提供する。さらに、本技術は、バイプレーン血管造影装置と互換性がある。従来の血管造影法(モノプレーン心臓血管造影法)は、バイプレーン装置では実施されず、本技術は、心臓血管造影法における改善を提供する。
【0092】
本技術は、3Dと同様に個々の2D切断面においても、生理学的コヒーレンス(血管脈波を含む)を可視化する能力を提供する。さらに、本技術は、脳室のような3D構造にわたる3D次元における血管脈動の分布を示すために、または拍動心臓の筋肉を横切る血管脈動を示すために使用され得る。
【0093】
図8A~8Cを参照すると、X線システム28が図示されており、透視血管造影法などによる心拍数での造影よりも速い速度で血管造影図を得るために使用することができる。先に説明したように、血管造影剤を取得する際に、化学造影剤を患者に注入し、X線システムによって画像投影を2次元画像投影として捕捉することができる。血管造影検査または血管造影データは、(例えば、時間の関数として)これらの2次元投影画像のシーケンスを含み、心臓周波数よりも速い速度で取得された血管造影画像フレームを用いて、例えば、心臓空間血管造影での心臓周波数現象の時空間的再構成を可能にする。
【0094】
図8Aに示すように、回転X線システム28は、その一端にX線源アセンブリ32を支持すると共にその他端にX線検出器アレイアセンブリ34を支持するCアーム30を有するガントリを特徴とする。ガントリは、X線源32および検出器34が、テーブル36上に配置された患者の周りの異なる位置および角度で配向され、一方、医師が患者にアクセスすることを可能にする。ガントリは、テーブル36の下方に延在する水平脚部40と、水平脚部40のテーブル部36から離間した端部で上方に延在する垂直脚部42とを有する台座38を備えている。支持アーム44は、水平旋回軸46を中心に回転するために垂直脚部42の上端部に回転可能に固定されている。
【0095】
旋回軸46はテーブル36の中心線と位置合わせされ、アーム44は旋回軸46から半径方向外側に延び、その外端にCアーム駆動アセンブリ47を支持する。Cアーム30は、駆動アセンブリ47に摺動可能に固定され、矢印50で示すようにCアーム30をC軸48の回りに回転させる駆動モータ(図示せず)に連結され、旋回軸46とC軸48とは、テーブル36の上方に位置するアイソセンタ56において互いに交差し、互いに垂直である。
【0096】
X線源アセンブリ32は、Cアーム30の一端に取り付けられていると共に、検出器アレイアセンブリ34は、その他端に取り付けられている。X線源32は、検出器アレイ34に向けられたX線のビームを放射する。両方のアセンブリ32,34は、このビームの中心線がシステムアイソセンタ56を通過するように、旋回軸46に対して半径方向内側に延びている。したがって、ビームの中心線は、テーブル36上に置かれた被検体からのX線減衰データの取得の間、旋回軸46またはC軸48のいずれか、またはその両方の回りでシステムアイソセンタを中心に回転することができる。
【0097】
X線源アセンブリ32は、励起されたときにX線のビームを放出するX線源を含む。中心線はシステムアイソセンタ56を通過し、検出器アセンブリ34内に収容された2次元平面パネルデジタル検出器58に衝突する。検出器58は、例えば、2048×2048素子の2次元アレイ検出器素子とすることができる。各素子は、衝突するX線の強度を表す電気信号を生成し、それゆえ、それが患者を通過する際のX線の減衰を表す。スキャンの間、X線源アセンブリ32および検出器アレイアセンブリ34は、システムアイソセンタ56の回りで回転され、異なる角度からのX線減衰投影データを取得する。検出器アレイは、1秒間に少なくとも約50個以上の投影または図を取得することができ、それは、所定の走査経路および速度でどのようにして多くの図を取得することができるかを決定する制限因子である。
【0098】
図8Bを参照すると、アセンブリ32,34の回転およびX線源の動作は、X線システムの制御機構60によって支配される。制御機構60は、X線源32に電力及び時間信号を供給するX線コントローラ62を含む。制御機構60内のデータ収集システム(DAS)64は、検出器要素からのデータをサンプリングし、データを画像再構成装置65に渡す。画像再構成装置65は、DAS64からデジタル化されたX線データを受信し、本開示の方法に従って高速画像再構成を実行する。再構成された画像は、画像を大容量記憶装置69に記憶するか、または画像をさらに処理するコンピュータ66への入力として適用される。
【0099】
制御機構60はまた、ガントリモータコントローラ67およびC軸モータコントローラ68を含む。コンピュータ66からの動作コマンドに応答して、モータコントローラ67,68は、それぞれの旋回軸46およびC軸48の回りの回転を生成するX線システム内のモータに電力を供給する。コンピュータ66はまた、キーボードおよび他の手動で動作可能な制御手段を有するコンソール70を介して操作者からコマンドおよび走査パラメータを受信する。関連ディスプレイ72は、操作者がコンピュータ66から再構成された画像および他のデータを観察することを可能にする。操作者に供給されたコマンドは、制御信号および情報をDAS64、X線コントローラ62およびモータコントローラ67,68に提供するために、記憶されたプログラムの指示の下でコンピュータ66によって使用される。また、コンピュータ66は、システムアイソセンタ56に対して患者を位置決めするために電動テーブル36を制御するテーブルモータコントローラ74を動作させる。
【0100】
図8Cを参照すると、2つのX線検出器アレイアセンブリ34と2つのX線源アセンブリ32とを備えたバイプレーン血管造影装置が示されている。この装置は、本明細書で参照されるバイプレーン血管造影装置の実施形態と共に使用され得る。この装置は、
図8A及び8Bの装置と同様の方法で作動される。いくつかの態様では、バイプレーン血管造影装置は、同じ時点で異なる軸に沿って画像を取得することができる。
【0101】
ここで
図9を参照すると、心臓周波数現象の抽出および血管造影コヒーレンスの使用のために
図8A~8Cに示される回転X線システム28と共に使用されて、再構成された時空間的心臓周波数現象の別々の投影を同期する、及び/又は再構成された時空間的心臓周波数現象のより低次な同期された複数の投影から時空間的心臓周波数現象のより高次な画像表示を再構成する、本発明の一実施形態によるコンピュータシステムまたは情報処理装置80のブロック図が示されている。
【0102】
図9は、本明細書で提供される実施形態のための本開示または特定の情報処理装置内の技術に従ってプログラムされた汎用コンピュータシステム80の例示であり、本明細書に開示される主題の範囲を限定することを意図するものではない。当業者は、本開示の範囲および均等物内におけるコンピュータシステム80の他の変形例、変更例および代替物を認識するであろう。
【0103】
一実施形態では、コンピュータシステム80は、モニタ82と、コンピュータ84(プロセッサ86、バスサブシステム88、メモリサブシステム90、およびディスクサブシステム92を含む)と、ユーザ入力デバイス94と、ユーザ出力デバイス96と、通信インターフェース98とを含む。モニタ82は、画像表示または情報の表示を生成するように構成されたハードウェアおよび/またはソフトウェア要素を含むことができる。モニタ82のいくつかの例は、テレビモニタ、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)などの周知のディスプレイデバイスを含むことができる。いくつかの実施形態では、モニタ82は、タッチスクリーン技術を組み込むなどの入力インターフェースを提供することができる。
【0104】
コンピュータ84は、1つまたは複数の中央処理ユニット(CPU)、メモリまたは記憶装置、グラフィックス処理ユニット(GPU)、通信システム、インターフェースカードなどのような周知のコンピュータ構成要素を含むことができる。
図9に示すように、コンピュータ84は、バスサブシステム88を介して多数の周辺装置と通信する1つまたは複数のプロセッサ86を含むことができる。プロセッサ86は、市販の中央処理装置などを含むことができる。バスサブシステム88は、コンピュータ84の様々な構成要素およびサブシステムを意図するように互いに通信するための機構を含むことができる。バスサブシステム88は単一のバスとして概略的に示されているが、代替の実施形態は、複数のバスサブシステムを利用することができる。プロセッサ86と通信する周辺デバイスは、メモリサブシステム90、ディスクサブシステム92、ユーザ
入力デバイス94、ユーザ
出力デバイス96、通信インターフェース98等を含み得る。
【0105】
メモリサブシステム90およびディスクサブシステム92は、データを記憶するように構成された物理的記憶媒体の例である。メモリサブシステム90は、プログラムコード、命令、およびプログラム実行中のデータの揮発性記憶のためのランダムアクセスメモリ(RAM)と、固定されたプログラムコード、命令、およびデータが記憶される読み出し専用メモリ(ROM)を含む多数のメモリと、を含むことができる。ディスクサブシステム92は、プログラムおよびデータの永続的(不揮発性)記憶を提供する多数のファイル記憶システムを含むことができる。他のタイプの物理的記憶媒体には、フロッピーディスク、取り外し可能なハードディスク、CD‐ROMS、DVDおよびバーコードなどの光記憶媒体、フラッシュメモリのような半導体メモリ、読み出し専用メモリ(ROMS)、バッテリバックアップされた揮発性メモリ、ネットワーク化された記憶装置などが含まれる。
【0106】
メモリサブシステム90およびディスクサブシステム92は、本明細書で説明する技術の機能性または特徴を提供するプログラミングおよびデータ構築物を記憶するように構成され得る。ソフトウェアコードモジュールおよび/またはプロセッサ命令は、プロセッサ86により実行されると、機能を実施するか、そうでなくても、メモリサブシステム90およびディスクサブシステム92に記憶することができる。
【0107】
ユーザ入力デバイス94は、コンピュータシステム80の構成要素による処理のためにユーザからの入力を受信するように構成されたハードウェアおよび/またはソフトウェア要素を含むことができる。ユーザ入力デバイスは、コンピュータシステム84に情報を入力するためのすべての可能なタイプの装置および機構を含むことができる。これらは、キーボード、キーパッド、タッチスクリーン、ディスプレイに組み込まれたタッチインターフェース、マイクロフォンおよび音声認識システムのようなオーディオ入力デバイス、および他のタイプの入力デバイスを含むことができる。様々な実施形態では、ユーザ入力デバイス94は、コンピュータマウス、トラックボール、トラックパッド、ジョイスティック、ワイヤレスリモート、描画タブレット、音声コマンドシステム、アイトラッキングシステムなどとして具体化され得る。いくつかの実施形態では、ユーザ入力デバイス94は、ユーザが、コマンド、動作、またはボタンなどのクリックのようなしぐさを介してモニタ82上に現れることができるオブジェクト、アイコン、テキストなどで選択する、あるいは相関することを可能にするように構成される。
【0108】
ユーザ出力デバイス96は、コンピュータシステム80の構成要素からユーザに情報を出力するように構成されたハードウェアおよび/またはソフトウェア要素を含むことができる。ユーザ出力デバイスは、コンピュータ84から情報を出力するためのすべての可能なタイプの装置および機構を含むことができる。これらはディスプレイ(例えば、モニタ82)、プリンタ、タッチまたは力フィードバックデバイス、オーディオ出力デバイスなどを含むことができる。
【0109】
通信インターフェース98は、他のデバイスとの一方向または双方向通信を提供するように構成されたハードウェアおよび/またはソフトウェア要素を含むことができる。例えば、通信インターフェース98は、コンピュータ84と他の通信ネットワークとの間のインターフェースおよび、例えばインターネット接続を介するような装置を提供することができる。
【0110】
図9は、本発明の実施形態を具体化することができるコンピュータシステムの代表例である。多くの他のハードウェア及びソフトウェア構成が本発明での使用に適していることは、当業者には容易に明らかであろう。例えば、コンピュータは、デスクトップ、ポータブル、ラックマウント、またはタブレット構成とすることができる。さらに、コンピュータは、一連のネットワーク化されたコンピュータであってもよい。さらに他の実施形態では、上記の技術は、チップまたは補助処理ボード上に実装され得る。
【0111】
したがって、前述の説明から明らかにされたものの中で、上記の物は効率的に達成されて、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、特定の変更を行うことができるので、上述の説明に含まれ、添付の図面に示された全ての事項は、例示として解釈されるべきであり、限定的な意味ではないことが意図される。
【0112】
特許請求の範囲は、本明細書に記載された本発明の物の全体的および特定の特徴のすべてをカバーすることを意図しており、その範囲のすべての記述は、文言として、その中にある。