IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士通フロンテック株式会社の特許一覧

特許7304420印刷システム、印刷制御方法、情報処理装置及び印刷制御プログラム
<>
  • 特許-印刷システム、印刷制御方法、情報処理装置及び印刷制御プログラム 図1
  • 特許-印刷システム、印刷制御方法、情報処理装置及び印刷制御プログラム 図2
  • 特許-印刷システム、印刷制御方法、情報処理装置及び印刷制御プログラム 図3
  • 特許-印刷システム、印刷制御方法、情報処理装置及び印刷制御プログラム 図4
  • 特許-印刷システム、印刷制御方法、情報処理装置及び印刷制御プログラム 図5
  • 特許-印刷システム、印刷制御方法、情報処理装置及び印刷制御プログラム 図6
  • 特許-印刷システム、印刷制御方法、情報処理装置及び印刷制御プログラム 図7
  • 特許-印刷システム、印刷制御方法、情報処理装置及び印刷制御プログラム 図8A
  • 特許-印刷システム、印刷制御方法、情報処理装置及び印刷制御プログラム 図8B
  • 特許-印刷システム、印刷制御方法、情報処理装置及び印刷制御プログラム 図9
  • 特許-印刷システム、印刷制御方法、情報処理装置及び印刷制御プログラム 図10
  • 特許-印刷システム、印刷制御方法、情報処理装置及び印刷制御プログラム 図11
  • 特許-印刷システム、印刷制御方法、情報処理装置及び印刷制御プログラム 図12
  • 特許-印刷システム、印刷制御方法、情報処理装置及び印刷制御プログラム 図13
  • 特許-印刷システム、印刷制御方法、情報処理装置及び印刷制御プログラム 図14
  • 特許-印刷システム、印刷制御方法、情報処理装置及び印刷制御プログラム 図15
  • 特許-印刷システム、印刷制御方法、情報処理装置及び印刷制御プログラム 図16
  • 特許-印刷システム、印刷制御方法、情報処理装置及び印刷制御プログラム 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-28
(45)【発行日】2023-07-06
(54)【発明の名称】印刷システム、印刷制御方法、情報処理装置及び印刷制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20230629BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20230629BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
G06F3/12 344
G06F3/12 308
G06F3/12 351
G06F3/12 353
G06F3/12 378
H04N1/00 127A
B41J29/38
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021543808
(86)(22)【出願日】2019-09-02
(86)【国際出願番号】 JP2019034412
(87)【国際公開番号】W WO2021044480
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2021-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森本 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】栗原 誠
(72)【発明者】
【氏名】石黒 圭太
(72)【発明者】
【氏名】高村 亮太朗
(72)【発明者】
【氏名】大木 誠一
【審査官】豊田 真弓
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-190910(JP,A)
【文献】特開2006-042035(JP,A)
【文献】特開昭60-255462(JP,A)
【文献】特開2013-205703(JP,A)
【文献】特開2012-009926(JP,A)
【文献】特許第5265709(JP,B2)
【文献】中川 諒 外2名,「モルフォロジー演算と顔検出を用いたマンガ内文字領域検出精度の評価」,FIT2017 第16回情報科学技術フォーラム 講演論文集 第3分冊 ,一般社団法人情報処理学会 一般社団法人電子情報通信学会,2017年09月05日,第189頁-第190頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
H04N 1/00
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷媒体に印刷内容を印刷するサーマルヘッドを有する印刷装置と、前記印刷装置を制御する情報処理装置とを有する印刷システムであって、
前記情報処理装置は、
前記被印刷媒体が印刷品質の悪い印刷媒体である場合に、サーバからの印刷イメージデータから、当該印刷イメージデータに対応する印刷イメージ内の特定部分を含む制御対象部分の位置を検出する検出部と、
前記特定部分を含む前記制御対象部分の位置毎の印刷制御情報として、前記印刷装置が前記制御対象部分を印刷する際に、前記制御対象部分を印刷する際の印刷速度が遅くなるように前記印刷装置を制御する制御情報を生成する生成部と、
前記印刷イメージデータ、前記制御対象部分の位置及び前記印刷制御情報を前記印刷装置に送信する送信部と、
を有し、
前記印刷装置は、
前記印刷イメージデータ、前記制御対象部分の位置及び前記印刷制御情報に基づき、前記制御対象部分と、前記制御対象部分以外の部分とが異なる印刷制御を実行することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記検出部は、
前記特定部分と、前記印刷装置が前記被印刷媒体に前記印刷内容を行単位で列方向に順次印刷する際に前記特定部分と同一行の部分とを含む前記制御対象部分の位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記検出部は、
前記特定部分に類似する類似条件に基づき、前記印刷イメージデータから前記特定部分の輪郭を抽出し、抽出した前記輪郭から前記特定部分の位置を検出し、前記特定部分を含む前記制御対象部分の位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記検出部は、
前記印刷イメージの画素毎に2値化し、2値化後の画素毎にモルフォロジー変換処理を実行した後、モルフォロジー変換処理後の画素から輪郭を抽出し、抽出された輪郭から前記特定部分の位置を検出し、前記特定部分を含む前記制御対象部分の位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記検出部は、
抽出された前記輪郭の画素毎の2値の内、一方の値と他方の値とのデューティ比が所定デューティ閾値以上の場合に当該輪郭を前記特定部分の位置として検出し、前記特定部分を含む前記制御対象部分の位置を検出することを特徴とする請求項4に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記生成部は、
前記特定部分を含む前記制御対象部分の位置毎の前記印刷制御情報として、前記印刷装置が前記制御対象部分を印刷する際に、前記制御対象部分を印刷する際の印刷濃度が濃くなるように前記印刷装置を制御する制御情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項7】
被印刷媒体に印刷内容を印刷するサーマルヘッドを有する印刷装置と、前記印刷装置を制御する情報処理装置とを有する印刷システムにおける印刷制御方法であって、
前記情報処理装置は、
前記被印刷媒体が印刷品質の悪い印刷媒体である場合に、サーバからの印刷イメージデータから、当該印刷イメージデータに対応する印刷イメージ内の特定部分を含む制御対象部分の位置を検出し、
前記特定部分を含む前記制御対象部分の位置毎の印刷制御情報として、前記印刷装置が前記制御対象部分を印刷する際に、前記制御対象部分を印刷する際の印刷速度が遅くなるように前記印刷装置を制御する制御情報を生成し、
前記印刷イメージデータ、前記制御対象部分の位置及び前記印刷制御情報を前記印刷装置に送信し、
前記印刷装置は、
前記印刷イメージデータ、前記制御対象部分の位置及び前記印刷制御情報に基づき、前記制御対象部分と、前記制御対象部分以外の部分とが異なる印刷制御を実行する
処理を実行することを特徴とする印刷制御方法。
【請求項8】
被印刷媒体に印刷内容を印刷するサーマルヘッドを有する印刷装置を制御する情報処理装置であって、
前記被印刷媒体が印刷品質の悪い印刷媒体である場合に、サーバからの印刷イメージデータから、当該印刷イメージデータに対応する印刷イメージ内の特定部分を含む制御対象部分の位置を検出する検出部と、
前記特定部分を含む前記制御対象部分の位置毎の印刷制御情報として、前記印刷装置が前記制御対象部分を印刷する際に、前記制御対象部分を印刷する際の印刷速度が遅くなるように前記印刷装置を制御する制御情報を生成する生成部と、
前記印刷イメージデータ、前記制御対象部分の位置及び前記印刷制御情報を前記印刷装置に送信する送信部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
被印刷媒体に印刷内容を印刷するサーマルヘッドを有する印刷装置を制御する情報処理装置のプロセッサに、
前記被印刷媒体が印刷品質の悪い印刷媒体である場合に、サーバからの印刷イメージデータから、当該印刷イメージデータに対応する印刷イメージ内の特定部分を含む制御対象部分の位置を検出し、
前記特定部分を含む前記制御対象部分の位置毎の印刷制御情報として、前記印刷装置が前記制御対象部分を印刷する際に、前記制御対象部分を印刷する際の印刷速度が遅くなるように前記印刷装置を制御する制御情報を生成し、
前記印刷イメージデータ、前記制御対象部分の位置及び前記印刷制御情報を前記印刷装置に送信する
処理を実行させることを特徴とする印刷制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システム、印刷制御方法、情報処理装置及び印刷制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、スーパーマーケットや小売店等で、連続用紙から切り出してレシートを発行するレシート印刷装置がある。このようなレシート印刷装置では、ステッピングモータにより駆動機構を駆動させて、ロール状に保持された帯状の連続用紙に所定の情報を印刷し、必要に応じた長さに切り出してレシートとして発行する。
【0003】
また、例えば、行き先、便名及び席番等の搭乗情報が記載される航空搭乗券や、航空手荷物の行き先や便名等の荷物情報が記載され、手荷物に取り付けられて手荷物の輸送や受け渡し時の標識として使用されるバゲッジタグがある。航空搭乗券やバゲッジタグも、レシートを発行するレシート印刷装置と同様の印刷装置で印刷することができる。
【0004】
このようなレシート印刷装置等の印刷装置では、熱したサーマルヘッドを感熱紙等の被印刷媒体に当てることで被印刷媒体に印刷する。印刷装置では、例えば、ホストコンピュータから指定された印刷データを印刷イメージデータに展開し、展開された印刷イメージデータに対応する印刷内容を指定された印刷速度や印刷濃度で被印刷媒体に印刷する。
【0005】
しかしながら、印刷装置では、感熱紙等の被印刷媒体の品質が悪く発色が悪い場合、デフォルトの印刷速度だと印刷カスレが生じる。従って、例えば、バーコード等を当該被印刷媒体に印刷する場合、当該バーコード等の読取率が低下してしまう。そこで、従来の印刷装置では、印刷品質を改善すべく、印刷濃度が濃くし、それでも改善しない場合、印刷速度を遅くして印刷することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-168086号公報
【文献】特開平05-84984号公報
【文献】特開2014-166724号公報
【文献】特開2014-237237号公報
【文献】特開2014-131277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年の印刷装置では、例えば、サーバから印刷イメージデータを直接受信し、印刷イメージデータに応じた印刷内容を被印刷媒体に印刷することになる。しかしながら、印刷装置では、印刷イメージデータからでは、例えば、バーコードやロゴ等の特定部分の位置を特定することができない。従って、印刷イメージデータからバーコードやロゴ等の特定部分の位置を特定し、特定した位置の印刷速度や印刷濃度を調整することは困難である。その結果、特定部分を含む印刷イメージデータから印刷する際、特定部分の印刷品質が低下する虞がある。
【0008】
一つの側面では、特定部分を含む印刷イメージデータから印刷する場合でも、特定部分の印刷品質を改善できる印刷システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの態様の印刷システムは、被印刷媒体に印刷内容を印刷するサーマルヘッドを有する印刷装置と、前記印刷装置を制御する情報処理装置とを有する。前記情報処理装置は、検出部と、生成部と、送信部とを有する。検出部は、サーバからの印刷イメージデータから、当該印刷イメージデータに対応する印刷イメージ内の特定部分を含む制御対象部分の位置を検出する。生成部は、前記制御対象部分を印刷する際の印刷制御情報を生成する。送信部は、前記印刷イメージデータ、前記制御対象部分の位置及び前記印刷制御情報を前記印刷装置に送信する。前記印刷装置は、前記印刷イメージデータ、前記制御対象部分の位置及び前記印刷制御情報に基づき、前記制御対象部分と、前記制御対象部分以外の部分とが異なる印刷制御を実行する。
【発明の効果】
【0010】
一つの側面として、特定部分を含む印刷イメージデータから印刷する場合でも、特定部分の印刷品質を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施例の印刷システムの一例を示す説明図である。
図2図2は、印刷装置の一例を示す斜視図である。
図3図3は、印刷装置の内部構成の一例を示す説明図である。
図4図4は、印刷装置のハードウェア構成の一例を示す説明図である。
図5図5は、情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す説明図である。
図6図6は、印刷システムのソフトウェア構成の一例を示す説明図である。
図7図7は、情報処理装置の機能構成の一例を示す説明図である。
図8A図8Aは、航空搭乗券の印刷イメージの一例を示す説明図である。
図8B図8Bは、バゲッジタグの印刷イメージの一例を示す説明図である。
図9図9は、モルフォロジー変換処理の一例を示す説明図である。
図10図10は、モルフォロジー変換処理の一例を示す説明図である。
図11図11は、輪郭抽出処理の一例を示す説明図である。
図12図12は、Y座標方向のバーコード間隔が所定間隔以上離れている場合の印刷内容の一例を示す説明図である。
図13図13は、複数のバーコードがY座標上で重なっている場合の印刷内容の一例を示す説明図である。
図14図14は、Y座標方向のバーコード間隔が所定間隔未満の場合の印刷内容の一例を示す説明図である。
図15図15は、発券処理に関わる印刷システム全体の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図16図16は、検出処理に関わる情報処理装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図17図17は、印刷処理に関わる印刷装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて、本願の開示する印刷システム等の実施例を詳細に説明する。尚、本実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜組み合わせても良い。
【実施例
【0013】
[印刷システム1の構成]
図1は、本実施例の印刷システム1の一例を示す説明図である。図1に示す印刷システム1は、複数の情報処理装置2と、印刷装置3と、サーバ4と、LAN(Local Area Network)5と、USB(Universal Serial Bus)6とを有する。情報処理装置2は、サーバ4との間で、例えば、LAN5等で通信接続する。情報処理装置2は、例えば、パソコン等のコンピュータである。印刷装置3は、情報処理装置2との間で、例えば、USB6で通信接続し、例えば、航空搭乗券やバゲッジタグ等の印刷内容を印刷出力するエアラインプリンタ等のプリンタ装置である。尚、説明の便宜上、印刷装置3は、情報処理装置2との間をUSB6で通信接続する場合を例示したが、パラレルで接続しても良く、適宜変更可能である。また、印刷装置3は、情報処理装置2との間を有線で接続する場合を例示したが、無線で接続しても良く、適宜変更可能である。サーバ4は、印刷システム1全体を管理する、例えば、空港サーバ等のホストコンピュータ等である。
【0014】
[印刷装置3の構成]
図2は、印刷装置3の一例を示す斜視図である。図2に示す印刷装置3は、プリンタ部3Aと、制御部3Bとを有する。プリンタ部3Aの背面には、被印刷媒体(例えば、感熱紙)のロール状のロール紙11を載置するロール紙用スタンド12を接続して設置することが可能である。尚、ロール紙用スタンド12の代わりに、連続して折り畳まれたファンフォールド紙等の被印刷媒体を載置するファンフォールド紙トレイを接続することも可能である。
【0015】
制御部3Bは、前面に電源スイッチ21が設けられ、上面に操作部22が設けられている。電源スイッチ21は、印刷装置3の電源のオンとオフを切り換える。操作部22は、印刷装置3を操作するための操作用スイッチや印刷装置3の状態を表示する状態表示LEDを備える。状態表示LEDは、例えば、エラー発生時に点灯したり、ロール紙11やファンフォールド紙がなくなったときに点灯したりする。制御部3Bは、前面に排出用ローラ23が設けられている。排出用ローラ23は、印刷されたロール紙11をプリンタ部3Aから排出する。
【0016】
図3は、印刷装置3の内部構成の一例を示す説明図である。プリンタ部3Aは、操作部22と、排出用ローラ23と、搬送モータ24と、プラテンローラ25と、サーマルヘッド26と、カッター駆動モータ27と、カッター28等とを有する。プリンタ部3Aは、背面側に挿入口29Aが設けられ、正面側に排出口29Bが設けられている。そして、挿入口29Aと排出口29Bとの間には、搬送路29Cが形成されている。
【0017】
挿入口29Aは、ロール紙11又はファンフォールド紙等の被印刷媒体がロール紙用スタンド12又はファンフォールド紙トレイから挿入される。排出口29Bは、印刷内容が印刷された被印刷媒体としてのバゲッジタグや航空搭乗券を排出用ローラ23の回転力で排出する。搬送路29Cは、挿入口29Aから挿入された被印刷媒体を排出口29Bへ搬送する。搬送モータ24は、プラテンローラ25を回転させる。プラテンローラ25は、搬送モータ24により回転され、挿入口29Aから挿入された被印刷媒体を、搬送路29Cを経由して排出口29Bへ搬送する。サーマルヘッド26は、ライン状に配設された複数の発熱素子を選択的に発熱させ、熱により反応する被印刷媒体に印刷内容を印刷する。
【0018】
カッター駆動モータ27は、カッター28の昇降動作を行う。カッター28は、カッター駆動モータ27により昇降され、印刷内容が印刷された被印刷媒体を所定の寸法にカットし、バゲッジタグ等を形成する。排出用ローラ23は、対向するピンチローラとの間に印刷されたバゲッジタグ等を挟持して、排出口29Bから排出させる。
【0019】
図4は、印刷装置3のハードウェア構成の一例を示す説明図である。図4に示すプリンタ部3Aは、搬送モータ24と、サーマルヘッド26とを有する。サーマルヘッド26は、サーマルヘッド26内の任意の発熱素子の周辺温度を検出するサーミスタ26Aを有する。サーミスタ26Aは、発熱素子の周辺温度を検出信号のAD変換値を出力する。制御部3Bは、接続IF(Interface)31と、ROM(Read Only Memory)32と、RAM(Random Access Memory)33と、CPU(Central Processing Unit)34とを有する。接続IF31は、情報処理装置2との間をUSB6経由で通信接続するインタフェースである。
【0020】
ROM32は、印刷装置3において実行する印刷プログラムの他、印刷装置3の各機能を実行するためのテーブルデータ等を格納する。例えば、ヘッド駆動回路で駆動するサーマルヘッド26によって所望の描画図案を被印刷媒体へ印刷させるための制御プログラム、印刷対象となる描画図案に含まれる文字、記号、絵文字等の印刷データやサイズ情報、印刷フォント等のデータを記憶する。
【0021】
RAM33は、印刷対象となる所望の描画図案に含まれる文字、記号、絵文字やそれらのサイズ、文字間隔等を指定する情報、作成される印刷物の大きさ等の印刷情報を記憶する入力データメモリとして機能する。また、RAM33は、入力されたそれらの印刷情報に基づいて生成され、所望の描画図案を表す印刷イメージデータを記憶するデータメモリとして機能する。尚、印刷イメージデータは、印刷内容に対応した印刷イメージ等のデータである。また、RAM33は、印刷処理等に必要なデータ、例えば、特定部分の位置や位置毎の印刷制御情報を一時的に記憶するレジスタやカウンタ等を備える。尚、特定部分は、例えば、印刷イメージ上の高品質の印字が求められるロゴやバーコード等の部分である。CPU34は、印刷装置3全体を制御する。CPU34は、例えば、ROM32に格納された印刷プログラムをRAM33に展開し、展開された印刷プログラムに基づき、被印刷媒体に対する印刷制御を実行する。
【0022】
[情報処理装置2の構成]
図5は、情報処理装置2のハードウェア構成の一例を示す説明図である。図5に示す情報処理装置2は、通信IF41と、HDD(Hard Disk Drive)42と、ROM43と、RAM44と、CPU45とを有する。通信IF41は、LAN5経由でサーバ4と通信接続すると共に、USB6経由で印刷装置3と通信接続するインタフェースである。HDD42は、各種情報を記憶する領域である。ROM43は、各種プログラムを記憶する領域である。RAM44は、各種情報を記憶する領域である。CPU45は、情報処理装置2全体を制御する。
【0023】
図6は、印刷システム1のソフトウェア構成の一例を示す説明図である。図6に示す印刷システム1は、情報処理装置2と、印刷装置3とを有する。情報処理装置2内のCPU45上のソフトウェアとしては、アプリケーション(以下、単にアプリと称する)45Aと、ハンドラ45Bと、USBドライバ45Cとを有する。尚、これらアプリ45A、ハンドラ45B及びUSBドライバ45Cは、ROM43内に格納されているものとする。アプリ45Aは、サーバ4からの顧客データ等を送受信するための顧客アプリケーションである。ハンドラ45Bは、アプリ45Aからのコマンドを印刷装置3内のプリンタ部3Aのコマンドに変換するサービスモジュールである。ハンドラ45Bは、サーバ4から取得した印刷イメージデータから、例えば、バーコードやロゴ等の特定部分の座標位置を検出し、座標位置毎の印刷制御情報を生成する。USBドライバ45Cは、印刷装置3内のプリンタ部3Aを駆動させるためのドライバである。
【0024】
図7は、情報処理装置2の機能構成の一例を示す説明図である。図7に示す情報処理装置2は、制御部2Aと、記憶部2Bとを有する。制御部2Aは、ROM43に記憶中の印刷制御プログラムをRAM44に展開し、展開された印刷制御プログラムを実行することで、印刷制御プロセスの機能として実行する。制御部2Aは、機能構成として、受信部51と、検出部52と、生成部53と、送信部54とを有する。記憶部2Bは、第1の記憶部61と、第2の記憶部62と、座標テーブル63とを有する。制御部2Aは、情報処理装置2全体を制御する。記憶部2Bは、各種情報を記憶する。受信部51は、サーバ4から印刷対象の印刷イメージデータ等を含む顧客データをLAN5経由で受信する。検出部52は、印刷イメージデータから、例えば、バーコードやロゴ等の特定部分の座標位置を検出し、特定部分の座標位置から、後述する制御対象部分の座標位置を検出する。生成部53は、制御対象部分の座標位置毎の印刷制御情報、例えば、印刷速度や印刷濃度を生成する。尚、印刷制御情報は、制御対象部分の座標位置の印刷制御に使用する制御情報である。印刷制御情報は、例えば、デフォルトの印刷速度よりも遅い印刷速度及び、デフォルトの印刷濃度よりも濃い印刷濃度等の制御情報である。検出部52は、制御対象部分の座標位置毎の印刷制御情報を座標テーブル63に記憶する。送信部54は、バーコードやロゴ等を含む制御対象部分の座標位置、制御対象部分の座標位置毎の印刷制御情報及び印刷イメージデータをUSB6経由で印刷装置3に送信する。
【0025】
検出部52は、印刷イメージデータに対応する印刷イメージの画素毎に黒色及び白色で2値化し、2値化後の画素毎にモルフォロジー変換処理を実行する。検出部52は、モルフォロジー変換処理後の画素から、特定部分に類似する類似条件に基づき、特定部分の輪郭を抽出する。尚、類似条件は、特定部分がバーコードの場合、輪郭の縦横サイズがバーコードの縦横サイズと想定できるバーコード閾値である。また、類似条件は、特定部分がロゴの場合、輪郭の縦横サイズがロゴの縦横サイズと想定できるロゴ閾値である。検出部52は、モルフォロジー変換処理後の抽出輪郭の内、類似条件に該当する抽出輪郭を抽出した場合、類似条件に該当する抽出輪郭の座標位置を第1の記憶部61に記憶する。検出部52は、第1の記憶部61に記憶中の抽出輪郭の画素毎の2値の内、一方の値(黒色)と他方の値(白色)とのデューティ比がデューティ閾値以上の場合に当該輪郭を特定部分の座標位置として検出する。検出部52は、デューティ比がデューティ閾値以上の抽出輪郭の座標位置を第2の記憶部62に記憶する。そして、検出部52は、後述する単一条件に基づき、第2の記憶部62に記憶中の抽出輪郭の座標位置から制御対象部分の座標位置を検出し、制御対象部分の座標位置を座標テーブル63に記憶する。
【0026】
第1の記憶部61は、類似条件に該当する抽出輪郭の座標位置を記憶する。第2の記憶部62は、デューティ比がデューティ閾値以上の抽出輪郭の座標位置を記憶する。座標テーブル63は、制御対象部分の座標位置を記憶する。
【0027】
図8Aは、航空搭乗券の印刷イメージ70Aの一例を示す説明図である。図8Aに示す航空搭乗券の印刷イメージデータ対応の印刷イメージ70Aは、左下端付近にロゴ71A、下端中央付近にバーコード72A、右上端付近にロゴ71Aがある。左下端付近のロゴ71Aは、例えば、「ABCDエアライン」、右上端付近のロゴ71Aは、例えば、「ABCD」である。
【0028】
図8Bは、バゲッジタグの印刷イメージ70Bの一例を示す説明図である。図8Bに示すバゲッジタグの印刷イメージデータ対応の印刷イメージ70Bには、左側付近に3個のバーコード72B、中央付近に4個のバーコード72B、右側付近に1個のバーコード72B、中央付近に1個のロゴ71B、右側付近に1個のロゴ71Bがある。中央付近及び右側付近のロゴ71Bは、例えば、「ABCD」である。
【0029】
[モルフォロジー変換処理の説明]
図9は、モルフォロジー変換処理の一例を示す説明図である。検出部52は、印刷イメージデータに対応する印刷イメージ内の画素毎にモルフォロジー変換処理を実行する。モルフォロジー変換処理は、印刷イメージの画素毎に白色又は黒色で2値化し、図9に示すように1ドットの判定対象の画素α0に隣接する8個の画素α1内に1個でも黒色があるか否かを判定する。そして、モルフォロジー変換処理は、判定対象の画素α0に隣接する8個の画素α1内に1個でも黒色がある場合、判定対象の画素α0を黒色に置き換える。
【0030】
図10は、モルフォロジー変換処理の一例を示す説明図である。バーコードの線幅や比率に対して、例えば、1回で2ドット程度を黒色に置き換える、すなわち黒色に塗りつぶすモルフォロジー変換処理を複数回実行する。その結果、モルフォロジー変換処理後の画素は、図10に示すように黒色に塗り潰すことで黒色の範囲が次第に大きくなる。
【0031】
[輪郭抽出処理の説明]
図11は、輪郭抽出処理の一例を示す説明図である。輪郭抽出処理は、モルフォロジー変換後の印刷イメージの内、黒く塗りつぶされた範囲の中で、最も外側の輪郭のみを抽出輪郭として抽出し、抽出輪郭の内側にある黒く塗りつぶされた範囲は無視する。図11の例では、抽出輪郭R1、R2及びR3の内、抽出輪郭R3は抽出輪郭から除外される。検出部52は、抽出輪郭の縦横サイズがバーコードの類似条件(4mm×26mm)やロゴの類似条件(5mm×5mm)を満たした抽出輪郭の座標位置を第1の記憶部61に記憶する。更に、検出部52は、第1の記憶部61に記憶中の抽出輪郭の内、抽出輪郭のデューティがデューティ閾値(例えば、黒色の割合が40%)以上の抽出輪郭の座標位置を第2の記憶部62に記憶する。検出部52は、印刷イメージのY座標が小さい順に抽出輪郭の座標位置を第2の記憶部62内でソートする。
【0032】
図12は、Y座標方向のバーコード間隔が所定間隔以上離れている場合の印刷内容の一例を示す説明図である。プリンタ部3Aは、図12に示すように、上から下への列方向(Y座標方向)に順次行単位で印刷することになる。検出部52は、抽出輪郭R4と抽出輪郭R5との間のY座標方向の間隔が所定間隔以上の場合、抽出輪郭R4と抽出輪郭R5とが同一Y座標(同一行)上にないと判断し、抽出輪郭R4と抽出輪郭R5とは抽出輪郭の単一条件を満たさないものと判断する。そして、検出部52は、抽出輪郭R4の開始Y座標Y1から終了Y座標Y2までの部分と、抽出輪郭R5の開始Y座標Y3から終了Y座標Y4までの部分とを個別の制御対象部分Mの座標位置として座標テーブル63に記憶する。これに対して、制御対象部分M以外の部分の座標位置は、開始Y座標Y0から開始Y座標Y1までの部分、終了Y座標Y2から開始Y座標Y3までの部分、終了Y座標Y4以降の部分となる。制御対象部分Mの座標位置の印刷制御は第1の印刷制御、制御対象部分M以外の部分の座標位置の印刷制御は第2の印刷制御となる。第2の印刷制御は、デフォルトの印刷速度及び印刷濃度であるのに対し、第1の印刷制御は、デフォルトの印刷速度よりも遅い印刷速度、デフォルトの印刷濃度よりも濃い印刷濃度となる。
【0033】
印刷装置3内のプリンタ部3Aは、開始Y座標Y0から開始Y座標Y1までの部分、終了Y座標Y2から開始Y座標Y3までの部分、終了Y座標Y4以降の部分を第2の印刷制御で印刷する。更に、プリンタ部3Aは、開始Y座標Y1から終了Y座標Y2までの部分及び、開始Y座標Y3から終了Y座標Y4までの部分を第1の印刷制御で印刷する。つまり、プリンタ部3Aは、抽出輪郭R4及び抽出輪郭R5のロゴ又はバーコード等を含む制御対象部分Mを高品質に印刷すると共に、制御対象部分M以外の部分を通常の品質で印刷する。その結果、特定部分を含む印刷イメージデータから印刷する場合でも、特定部分の印刷品質を改善できる。
【0034】
図13は、複数のバーコードがY座標上で重なっている場合の印刷内容の一例を示す説明図である。検出部52は、図13に示すように抽出輪郭R6と抽出輪郭R7とがY座標上で重なって同一Y座標(同一行)上にあると判断し、抽出輪郭R6と抽出輪郭R7とは抽出輪郭の単一条件を満たすものと判断する。そして、検出部52は、抽出輪郭R6及び抽出輪郭R7が単一条件を満たすため、1個の抽出輪郭と判断し、抽出輪郭R6の開始Y座標Y11から抽出輪郭R7の終了Y座標Y14までの部分を制御対象部分Mの座標位置とする。これに対して、制御対象部分M以外の部分の座標位置は、開始Y座標Y10から開始Y座標Y11までの部分、終了Y座標Y14以降の部分となる。
【0035】
印刷装置3内のプリンタ部3Aは、開始Y座標Y10から開始Y座標Y11までの部分、終了Y座標Y14以降の部分を第2の印刷制御で印刷する。更に、プリンタ部3Aは、開始Y座標Y11から終了Y座標Y14までの部分を第1の印刷制御で印刷する。つまり、プリンタ部3Aは、抽出輪郭R6及び抽出輪郭R7のロゴ又はバーコード等を含む制御対象部分Mを高品質に印刷すると共に、制御対象部分M以外の部分を通常の品質で印刷する。その結果、特定部分を含む印刷イメージデータから印刷する場合でも、特定部分の印刷品質を改善できる。
【0036】
図14は、Y座標方向のバーコード間隔が所定間隔未満の場合の印刷内容の一例を示す説明図である。検出部52は、抽出輪郭R8と抽出輪郭R9との間のY座標方向の間隔が所定間隔未満の場合、抽出輪郭R8と抽出輪郭R9とが同一Y座標(同一行)上にあると判断し、抽出輪郭R8と抽出輪郭R9とは抽出輪郭の単一条件を満たすものと判断する。そして、検出部52は、抽出輪郭R8及び抽出輪郭R9が単一条件を満たすため、1個の抽出輪郭と判断し、抽出輪郭R8の開始Y座標Y21から抽出輪郭R9の終了Y座標Y24までの部分を制御対象部分Mの座標位置とする。これに対して、制御対象部分M以外の部分の座標位置は、開始Y座標Y20から開始Y座標Y21までの部分、終了Y座標Y24以降の部分となる。
【0037】
印刷装置3内のプリンタ部3Aは、開始Y座標Y20から開始Y座標Y21までの部分、終了Y座標Y24以降の部分を第2の印刷制御で印刷する。更に、プリンタ部3Aは、開始Y座標Y21から終了Y座標Y24までの部分を第1の印刷制御で印刷する。つまり、プリンタ部3Aは、抽出輪郭R8及び抽出輪郭R9のロゴ又はバーコード等を含む制御対象部分Mを高品質に印刷すると共に、制御対象部分M以外の部分を通常の品質で印刷する。その結果、特定部分を含む印刷イメージデータから印刷する場合でも、特定部分の印刷品質を改善できる。
【0038】
検出部52は、印刷イメージから制御対象部分Mの座標位置を検出し、座標位置を座標テーブル63に記憶する。更に、生成部53は、制御対象部分Mの座標位置に対する第1の印刷制御に関わる印刷制御情報を生成する。そして、送信部54は、印刷イメージデータ、制御対象部分Mの座標位置及び制御対象部分Mの座標位置に対応する印刷制御情報を印刷装置3に送信する。
【0039】
印刷装置3は、印刷イメージデータ、制御対象部分Mの座標位置及び印刷制御情報を受信した場合、印刷イメージデータから制御対象部分Mの座標位置及び、制御対象部分M以外の部分の座標位置を特定する。印刷装置3は、制御対象部分Mの座標位置に対する印刷制御情報に基づく第1の印刷制御と、制御対象部分M以外の部分の座標位置に対するデフォルトの第2の印刷制御とを特定する。印刷装置3は、座標位置毎の第1の印刷制御及び第2の印刷制御に基づき、被印刷媒体に対する印刷制御を実行する。
【0040】
[印刷システム1全体の動作の説明]
次に本実施例の印刷システム1の動作について説明する。図15は、発券処理に関わる印刷システム1の処理動作の一例を示すフローチャートである。情報処理装置2内のアプリ45Aは、サーバ4から印刷イメージデータを受信する(ステップS11)。尚、説明の便宜上、アプリ45Aは、サーバ4から印刷イメージデータを直接受信する場合を例示したが、サーバ4から受信した顧客データ内の座標やテキストデータ等から印刷イメージデータを生成しても良く、適宜変更可能である。アプリ45Aは、印刷イメージデータの印刷依頼をハンドラ45Bに要求する(ステップS12)。
【0041】
情報処理装置2内のハンドラ45Bは、アプリ45Aから印刷依頼を受信した場合、検出処理が有効であるか否かを判定する(ステップS13)。尚、検出処理は、印刷イメージデータからバーコード及びロゴ等の特定部分を含む制御対象部分の座標位置を検出する処理である。検出処理は、例えば、被印刷媒体の品質が良好の場合は検出処理が不要であるため無効とし、被印刷媒体の品質が悪い場合は検出処理が必要であるため有効とする。ハンドラ45Bは、検出処理が有効の場合(ステップS13:Yes)、印刷イメージデータ内のバーコードやロゴ等の特定部分を含む制御対象部分の座標位置を検出するための検出処理を開始する(ステップS14)。ハンドラ45Bは、印刷イメージデータ内にバーコード及びロゴ等の特定部分があるか否かを判定する(ステップS15)。
【0042】
ハンドラ45Bは、印刷イメージデータ内にバーコード及びロゴ等の特定部分がある場合(ステップS15:Yes)、印刷イメージデータ内からバーコード及びロゴ等の特定部分の座標位置を特定する(ステップS16)。ハンドラ45Bは、特定された特定部分の座標位置から制御対象部分の座標位置を特定する(ステップS17)。尚、制御対象部分の座標位置は、印刷イメージデータ内のバーコード及びロゴ等の特定部分を含む座標位置である。
【0043】
ハンドラ45Bは、制御対象部分の座標位置に対応した印刷制御情報、例えば、印刷濃度や印刷速度等の第1の印刷制御の情報を生成する(ステップS18)。尚、第1の印刷制御の情報は、デフォルトの印刷濃度よりも濃く、デフォルトの印刷速度よりも遅い印刷制御の情報である。ハンドラ45Bは、制御対象部分の座標位置毎の印刷制御情報をUSBドライバ45C経由で印刷装置3内のプリンタ部3Aに送信する(ステップS19)。尚、プリンタ部3Aは、制御対象部分の座標位置及び印刷制御情報をハンドラ45Bから受信するものの、制御対象部分以外の部分の座標位置及び、当該座標位置のデフォルトの印刷制御情報、例えば、第2の印刷制御の情報が事前に登録してある。更に、ハンドラ45Bは、印刷イメージデータをプリンタ部3Aに送信する(ステップS20)。
【0044】
印刷装置3内のプリンタ部3Aは、制御対象部分の座標位置毎の印刷制御情報(第1の印刷制御の情報)を受信したか否かを判定する(ステップS21)。プリンタ部3Aは、制御対象部分の座標位置毎の印刷制御情報(第1の印刷制御の情報)を受信した場合(ステップS21:Yes)、印刷制御情報(第1の印刷制御の情報)に基づき、座標位置毎の印刷制御情報(第1の印刷制御の情報)を記憶する(ステップS22)。つまり、プリンタ部3Aは、印刷イメージデータ内の制御対象部分の座標位置毎の印刷速度や印刷濃度等の第1の印刷制御の情報と、印刷イメージデータ内の制御対象部分以外の部分の座標位置毎の第2の印刷制御の情報とを記憶する。
【0045】
プリンタ部3Aは、座標位置毎の第1の印刷制御の情報及び第2の印刷制御の情報に基づき、印刷イメージデータの印刷動作を開始し(ステップS23)、図15に示す処理動作を終了する。つまり、プリンタ部3Aは、印刷イメージデータ内のバーコード及びロゴ等の制御対象部分の印刷濃度を濃く、かつ、印刷速度を遅くすることでバーコード及びロゴ部分の印刷品質を改善できる。尚、プリンタ部3Aは、印刷イメージデータ内のバーコード及びロゴ部分以外の部分はデフォルトの印刷速度及び印刷濃度で印刷する。
【0046】
また、プリンタ部3Aは、制御対象部分の座標位置毎の印刷制御情報を受信しなかった場合(ステップS21:No)、デフォルト設定の印刷速度及び印刷濃度等の第2の印刷制御の情報に基づき、印刷イメージデータの印刷動作を開始する(ステップS24)。そして、プリンタ部3Aは、図15に示す処理動作を終了する。
【0047】
ハンドラ45Bは、検出処理が有効でない場合(ステップS13:No)、印刷イメージデータをプリンタ部3Aに送信すべく、ステップS20に移行する。また、ハンドラ45Bは、印刷イメージデータ内にバーコード及びロゴ等の特定部分がない場合(ステップS15:No)、印刷イメージデータをプリンタ部3Aに送信すべく、ステップS20に移行する。
【0048】
[情報処理装置2の動作の説明]
図16は、検出処理に関わる情報処理装置2の処理動作の一例を示すフローチャートである。ハンドラ45Bは、印刷イメージデータがあるか否かを判定する(ステップS31)。ハンドラ45Bは、印刷イメージデータがある場合(ステップS31:Yes)、印刷イメージデータからバーコードやロゴ等の特定部分の座標位置を検出する検出処理が有効であるか否かを判定する(ステップS32)。ハンドラ45Bは、検出処理が有効の場合(ステップS32:Yes)、抽出輪郭の規定サイズが設定済みであるか否かを判定する(ステップS33)。尚、規定サイズは、印刷イメージデータ内のバーコード又はロゴの輪郭の最小サイズ等の類似条件である。規定サイズの対象は、例えば、1Dバーコードの場合、バーコード内の細い線と太い線との幅や比率とし、2Dバーコードの場合、1つの粒の大きさとする。
【0049】
ハンドラ45Bは、規定サイズが設定済みの場合(ステップS33)、印刷イメージデータに対して、図9及び図10に示すモルフォロジー変換処理を実行する(ステップS34)。ハンドラ45Bは、印刷イメージデータに対するモルフォロジー変換処理を実行した後、印刷イメージデータから抽出輪郭を抽出する輪郭抽出処理(図11参照)を実行する(ステップS35)。つまり、ハンドラ45Bは、モルフォロジー変換処理及び輪郭抽出処理を実行した後、印刷イメージデータから類似するロゴやバーコード等の特定部分の抽出輪郭の座標位置を特定し、特定後の抽出輪郭の座標位置を第1の記憶部61に記憶する。
【0050】
ハンドラ45Bは、類似するロゴやバーコード等の特定部分の抽出輪郭の座標位置を第1の記憶部61に記憶した後、第1の記憶部61に記憶中の抽出輪郭の数(抽出輪郭数)が所定閾値に到達したか否かを判定する(ステップS36)。尚、所定閾値は、印刷イメージデータ内に事前に設定されたロゴ及びバーコード等の特定部分の総数である。ハンドラ45Bは、抽出輪郭数が所定閾値に到達しなかった場合(ステップS36:No)、複数の抽出輪郭から任意の抽出輪郭を指定する(ステップS37)。ハンドラ45Bは、指定された抽出輪郭がバーコード閾値以上であるか否かを判定する(ステップS38)。尚、バーコード閾値は、例えば、事前に設定されたバーコードの最小サイズ等に相当する類似条件である。ハンドラ45Bは、指定された抽出輪郭がバーコード閾値以上の場合(ステップS38:Yes)、指定された抽出輪郭がバーコードに類似していると判断し、抽出輪郭の座標位置を第1の記憶部61に記憶する(ステップS39)。また、ハンドラ45Bは、抽出輪郭がバーコード閾値以上でない場合(ステップS38:No)、指定された抽出輪郭がバーコードに類似していないと判断し、指定された抽出輪郭がロゴ閾値以上であるか否かを判定する(ステップS40)。尚、ロゴ閾値は、例えば、事前に設定されたロゴの最小サイズ等に相当する類似条件である。
【0051】
ハンドラ45Bは、指定された抽出輪郭がロゴ閾値以上の場合(ステップS40:Yes)、抽出輪郭がロゴに類似していると判断し、指定された抽出輪郭の座標位置を第1の記憶部61に記憶する(ステップS41)。そして、ハンドラ45Bは、抽出輪郭数が所定閾値に到達したか否かを判定すべく、ステップS36に移行する。
【0052】
ハンドラ45Bは、抽出輪郭数が所定閾値に到達した場合(ステップS36:Yes)、デューティ閾値があるか否かを判定する(ステップS42)。尚、デューティ閾値は、例えば、黒色の割合が40%である。ハンドラ45Bは、デューティ閾値がある場合(ステップS42:Yes)、抽出輪郭数が有効検出数に到達したか否かを判定する(ステップS43)。尚、有効検出数は、事前に設定した印刷イメージデータ内の特定部分の総数である。
【0053】
ハンドラ45Bは、抽出輪郭数が有効検出数に到達しなかった場合(ステップS43:No)、抽出輪郭を指定する(ステップS44)。ハンドラ45Bは、指定された抽出輪郭のデューティを算出する(ステップS45)。尚、抽出輪郭のデューティは、印刷イメージデータから抽出輪郭の座標を切り出し、切出された座標の抽出輪郭の黒色と白色との割合である。ハンドラ45Bは、指定された抽出輪郭のデューティがデューティ閾値以上であるか否かを判定する(ステップS46)。
【0054】
ハンドラ45Bは、指定された抽出輪郭のデューティがデューティ閾値以上の場合(ステップS46:Yes)、指定された抽出輪郭がバーコード又はロゴ等の特定部分と判断し、抽出輪郭の座標位置を第2の記憶部62に記憶する(ステップS47)。更に、ハンドラ45Bは、抽出輪郭の座標位置を第2の記憶部62に記憶した後、第2の記憶部62に記憶中の抽出輪郭の抽出輪郭数が有効検出数に到達したか否かを判定すべく、ステップS43に移行する。ハンドラ45Bは、抽出輪郭のデューティがデューティ閾値以上でない場合(ステップS46:No)、指定された抽出輪郭がバーコード又はロゴ等の特定部分でないと判断し、抽出輪郭数が有効検出数に到達したか否かを判定すべく、ステップS43に移行する。
【0055】
ハンドラ45Bは、抽出輪郭数が有効検出数に到達した場合(ステップS43:Yes)、第2の記憶部62に記憶中のデューティ閾値以上の抽出輪郭の座標位置をソートする(ステップS48)。ハンドラ45Bは、ソート後の抽出輪郭の内、単一条件を満たす抽出輪郭があるか否かを判定する(ステップS49)。ハンドラ45Bは、単一条件を満たす抽出輪郭を1個の抽出輪郭と判断する(ステップS50)。
【0056】
ハンドラ45Bは、第2の記憶部62に記憶中の単一条件を満たす抽出輪郭の座標位置や、単一条件を満たさない抽出輪郭の座標位置を制御対象部分の座標位置と判断し、制御対象部分の座標位置を座標テーブル63内に記憶する(ステップS51)。つまり、ハンドラ45Bは、座標テーブル63内に記憶中のソート後の制御対象部分の抽出輪郭の座標位置を小さい順に並び替える。更に、ハンドラ45Bは、制御対象部分の座標位置毎に印刷制御情報(第1の印刷制御の情報)を座標テーブル63内に記憶する(ステップS52)。更に、ハンドラ45Bは、座標テーブル63内に記憶中の制御対象部分の座標位置、印刷制御情報(第1の印刷制御の情報)及び印刷イメージデータを印刷装置3に送信し(ステップS53)、図16に示す処理動作を終了する。つまり、印刷装置3内のプリンタ部3Aは、ソート後の抽出輪郭の座標位置を小さい順に並び替えて印刷を開始する。
【0057】
ハンドラ45Bは、印刷イメージデータがない場合(ステップS31:No)、印刷装置3に対して通常の印刷要求を送信し(ステップS54)、図16に示す処理動作を終了する。ハンドラ45Bは、検出処理が有効でない場合(ステップS32:No)、印刷装置3に対して印刷イメージデータを送信し(ステップS55)、図16に示す処理動作を終了する。
【0058】
ハンドラ45Bは、デューティ閾値がない場合(ステップS42:No)、デューティデフォルト値をデューティ閾値として設定し(ステップS56)、抽出輪郭数が有効検出数に到達したか否かを判定すべく、ステップS43に移行する。
【0059】
[印刷装置3の動作の説明]
図17は、印刷処理に関わる印刷装置3の処理動作の一例を示すフローチャートである。印刷装置3内のプリンタ部3Aは、情報処理装置2から制御対象部分の座標位置、印刷制御情報及び印刷イメージデータを受信したか否かを判定する(ステップS61)。尚、印刷制御情報は、制御対象部分の座標位置に対する第1の印刷制御の情報である。プリンタ部3Aは、制御対象部分の座標位置、印刷制御情報及び印刷イメージデータを受信した場合(ステップS61:Yes)、制御対象部分の座標位置から制御開始位置及び制御終了位置を算出する(ステップS62)。尚、制御開始位置とは、例えば、制御対象部分の座標位置が図14の場合、制御対象部分の抽出輪郭R8の開始Y座標Y21であり、その制御終了位置は、制御対象部分の抽出輪郭R9の終了Y座標Y24である。プリンタ部3Aは、印刷イメージ内の全ての制御対象部分の制御開始位置及び制御終了位置を算出した後、制御開始位置及び制御終了位置毎に第1の印刷制御の情報及び第2の印刷制御の情報を記憶する。更に、プリンタ部3Aは、被印刷媒体を印刷開始位置にセットし(ステップS63)、被印刷媒体への印刷を印刷開始位置から開始する(ステップS64)。尚、印刷開始位置は、例えば、印刷イメージデータに対応する印刷内容の開始位置である。
【0060】
プリンタ部3Aは、被印刷媒体への印刷開始後、デフォルトの印刷制御情報に応じた印刷制御を実行する(ステップS65)。プリンタ部3Aは、デフォルトの印刷制御情報に応じた印刷制御を実行した後、印刷位置が印刷終了位置に到達したか否かを判定する(ステップS66)。尚、印刷位置は、例えば、サーマルヘッド26で現在印刷中の印刷位置である。印刷終了位置は、例えば、印刷イメージデータに対応する印刷内容の終了位置である。プリンタ部3Aは、印刷位置が印刷終了位置に到達した場合(ステップS66:Yes)、図17に示す処理動作を終了する。
【0061】
プリンタ部3Aは、印刷位置が印刷終了位置に到達しなかった場合(ステップS66:No)、印刷位置が制御開始位置に到達したか否かを判定する(ステップS67)。プリンタ部3Aは、印刷位置が制御開始位置に到達した場合(ステップS67:Yes)、印刷制御情報(第1の印刷制御の情報)に応じた印刷制御を実行する(ステップS68)。つまり、プリンタ部3Aは、制御開始位置に到達した場合、制御対象部分の座標位置に対して第1の印刷制御、すなわち、印刷濃度を濃く、かつ、印刷速度を遅くする。更に、プリンタ部3Aは、ステップS68にて印刷制御情報に応じた印刷制御の実行中に、印刷位置が制御終了位置に到達したか否かを判定する(ステップS69)。
【0062】
プリンタ部3Aは、印刷位置が制御終了位置に到達した場合(ステップS69:Yes)、デフォルトの印刷制御情報に応じた印刷制御を実行すべく、ステップS65に移行する。また、プリンタ部3Aは、印刷位置が制御開始位置に到達したのでない場合(ステップS67:No)、デフォルトの印刷制御情報に応じた印刷制御を実行すべく、ステップS65に移行する。プリンタ部3Aは、印刷位置が制御終了位置に到達したのでない場合(ステップS69:No)、印刷制御情報に応じた印刷制御を実行すべく、ステップS68に移行する。
【0063】
[実施例の効果の説明]
情報処理装置2は、印刷イメージデータからバーコードやロゴ等の特定部分を含む制御対象部分を検出し、被印刷媒体内で制御対象部分のみの印刷濃度を濃く、印刷速度を遅くする印刷制御情報(第1の印刷制御の情報)を印刷装置3に送信する。その結果、印刷装置3は、特定部分を含む印刷イメージデータから印刷する場合でも、特定部分の印刷品質を改善できる。しかも、印刷装置3は、特定部分を含む制御対象部分のみの印刷速度を遅くするため、被印刷媒体全体の印刷速度が著しく低下するのを防止できる。更に、印刷装置3は、制御対象部分のみの印刷濃度を濃くするため、サーマルヘッド26の寿命への影響を軽減できる。
【0064】
検出部52は、特定部分に類似する類似条件に基づき、印刷イメージデータから特定部分の輪郭を抽出し、抽出した輪郭から特定部分の位置を検出する。その結果、情報処理装置2は、印刷イメージデータから特定部分を含む制御対象部分の位置を検出できる。
【0065】
検出部52は、印刷イメージの画素毎に2値化し、2値化後の画素毎にモルフォロジー変換処理を実行した後、モルフォロジー変換処理後の画素から輪郭を抽出し、抽出された輪郭から特定部分の位置を検出する。その結果、情報処理装置2は、印刷イメージデータから精度よく特定部分を含む制御対象部分の位置を検出できる。
【0066】
検出部52は、抽出された輪郭の画素毎の2値の内、一方の値と他方の値とのデューティ比が所定デューティ閾値以上の場合に当該輪郭を特定部分の位置として検出する。その結果、情報処理装置2は、印刷イメージデータから高精度に特定部分を含む制御対象部分の位置を検出できる。
【0067】
生成部53は、特定部分の位置毎の印刷制御情報として、サーマルヘッド26で印刷する際の特定部分以外の部分と異なるように印刷濃度が濃くなるように制御する第1の印刷制御の情報を生成する。その結果、印刷装置3は、特定部分の印刷濃度が濃くなるため、特定部分の印刷品質を改善できる。
【0068】
生成部53は、特定部分の位置毎の印刷制御情報として、サーマルヘッド26で印刷する際の特定部分以外の部分と異なるように印刷速度が遅くなるように制御する第1の印刷制御の情報を生成する。その結果、印刷装置3は、特定部分の印刷速度が遅くなるため、特定部分の印刷品質を改善できる。
【0069】
情報処理装置2は、印刷品質の悪い被印刷媒体の場合に検出処理を有効とした。その結果、印刷装置3は、印刷品質の悪い被印刷媒体でも、特定部分を含む印刷イメージデータから印刷する場合でも、特定部分の印刷品質を改善できる。また、情報処理装置2は、印刷品質の良い被印刷媒体の場合に検出処理を無効とした。その結果、従来機種と印刷速度は変わらない。
【0070】
情報処理装置2は、制御対象部分の座標位置、制御対象部分の座標位置毎の第1の印刷制御の情報及び印刷イメージデータを印刷装置3に送信する。印刷装置3は、情報処理装置2から取得した制御対象部分の座標位置及び制御対象部分の座標位置毎の第1の印刷制御の情報に基づき、制御対象部分を印刷制御する。その結果、印刷装置3は、ハードウェア構成を変更しなくても、特定部分の印刷品質を改善できる。
【0071】
尚、本実施例の印刷装置3は、航空搭乗券等を発券するエアラインプリンタ等で例示したが、例えば、レシート等を発行するレシート印刷装置等でも良く、適宜変更可能である。
【0072】
また、図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0073】
更に、各装置で行われる各種処理機能は、CPU(Central Processing Unit)(又はMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良い。また、各種処理機能は、CPU(又はMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行するプログラム上、又はワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良いことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0074】
1 印刷システム
2 情報処理装置
3 印刷装置
3A プリンタ部
4 サーバ
26 サーマルヘッド
51 受信部
52 検出部
53 生成部
54 送信部
61 第1の記憶部
62 第2の記憶部
63 座標テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17