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特許7304429露点センサシステム、加湿器のヒータープレートを調節するための方法および該システムを備える加湿器/医療機器
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  • 特許-露点センサシステム、加湿器のヒータープレートを調節するための方法および該システムを備える加湿器/医療機器 図1
  • 特許-露点センサシステム、加湿器のヒータープレートを調節するための方法および該システムを備える加湿器/医療機器 図2
  • 特許-露点センサシステム、加湿器のヒータープレートを調節するための方法および該システムを備える加湿器/医療機器 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-28
(45)【発行日】2023-07-06
(54)【発明の名称】露点センサシステム、加湿器のヒータープレートを調節するための方法および該システムを備える加湿器/医療機器
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/16 20060101AFI20230629BHJP
   F24F 6/00 20060101ALN20230629BHJP
【FI】
A61M16/16 Z
F24F6/00 E
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021563628
(86)(22)【出願日】2019-06-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-04
(86)【国際出願番号】 CN2019090385
(87)【国際公開番号】W WO2020243954
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】520376373
【氏名又は名称】ヴィンセント メディカル(ドングアン)マニュファクチャリング シーオー.,エルティーディー.
(73)【特許権者】
【識別番号】521241111
【氏名又は名称】ヴィンセント メディカル(ドングアン)テクノロジー シーオー.,エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ス,ジェビン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ハイビン
(72)【発明者】
【氏名】ヂャオ,ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ヂゥ,ウェイ
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-521705(JP,A)
【文献】特表2015-524296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/16
A61B 5/08
F24F 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)リアルタイムな露点温度および目標ヒータープレート温度を計算するためのルックアップテーブルである露点計算機を備えるコントローラと、
B)環境温度データを生成し、前記コントローラに接続された環境温度センサと、
C)空気通路であって、
i)空気を前記空気通路内で移動させる前記空気通路内のブロワーと、
ii)前記空気通路内の空気移動に関する空気流量データを生成する前記空気通路内の空気流量センサと、
iii)前記空気通路に操作可能に接続された液体リザーバと、
iv)空気通路温度センサ、または呼吸回路加熱素子を備える呼吸回路のうちの少なくとも1つである部材と、
を備える空気通路と、
D)前記液体リザーバを加熱するように接続されたヒータープレートであって、ヒータープレート温度データを生成するヒータープレート温度センサを備えるヒータープレートと、
E)前記コントローラと前記部材とを接続する外部ワイヤであって、前記環境温度センサは前記外部ワイヤに位置する、外部ワイヤと、
を備え、
前記ヒータープレートおよび前記ヒータープレート温度センサは前記コントローラに接続され、且つ、前記ブロワーは前記コントローラに接続され、
前記コントローラは、前記環境温度データ、前記空気流量データおよび前記ヒータープレート温度データを受信し、設定露点温度を取得し、且つ、前記ルックアップテーブルを用いることにより、前記リアルタイムな露点温度および前記目標ヒータープレート温度を計算するように構成され、
前記リアルタイムな露点温度は、前記環境温度データ、前記空気流量データおよび前記ヒータープレート温度データから計算され、前記目標ヒータープレート温度は、前記環境
温度データ、前記空気流量データおよび前記設定露点温度から計算される、露点センサシステム。
【請求項2】
前記空気通路温度センサは前記液体リザーバの下流の前記空気通路の出口に位置するか、または、前記空気通路温度センサは前記液体リザーバのすぐ下流に位置するか、または、前記空気通路温度センサは前記液体リザーバの下流に位置している、請求項1に記載の露点センサシステム。
【請求項3】
複数の空気通路温度センサを備える、請求項1~2のいずれか1項に記載の露点センサシステム。
【請求項4】
空気通路湿度センサを更に備え、前記空気通路湿度センサは前記空気通路内に位置する請求項1~3のいずれか1項に記載の露点センサシステム。
【請求項5】
前記部材は前記空気通路温度センサである、請求項1~4のいずれか1項に記載の露点センサシステム。
【請求項6】
前記ヒータープレート温度センサは、前記ヒータープレートに直接固定されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の露点センサシステム。
【請求項7】
前記液体リザーバは、液体または水または蒸留水または滅菌水を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の露点センサシステム。
【請求項8】
ハウジングを更に備え、前記空気通路、前記ヒータープレートおよび前記コントローラは前記ハウジングに収容される請求項1~7のいずれか1項に記載の露点センサシステム。
【請求項9】
A)請求項1~8のいずれか1項に記載の露点センサシステムを備える加湿器を提供するステップと、
B)前記環境温度センサが前記環境温度データを生成するステップと、
C)前記環境温度センサが前記環境温度データを前記コントローラに伝送するステップと、
D)前記空気流量センサが前記空気流量データを生成するステップと、
E)前記空気流量センサが前記空気流量データを前記コントローラに伝送するステップと、
F)前記ヒータープレート温度センサが前記ヒータープレート温度データを生成するステップと、
G)前記ヒータープレート温度センサが前記ヒータープレート温度データを前記コントローラに伝送するステップと、
H)前記コントローラが前記設定露点温度を取得するステップと、
)前記コントローラが、前記環境温度データ、前記空気流量データおよび前記ヒータープレート温度データを受信するステップと、
J)前記コントローラが、前記ルックアップテーブルを用いることにより、前記環境温度データ、前記空気流量データおよび前記ヒータープレート温度データから前記リアルタイムな露点温度を計算するステップと、
K)前記コントローラが、前記ルックアップテーブルを用いることにより、前記環境温度データ、前記空気流量データおよび前記設定露点温度から前記目標ヒータープレート温度を計算するステップと、
L)前記コントローラが、前記目標ヒータープレート温度と前記ヒータープレート温度データとを比較するステップと、
M)前記コントローラが、前記目標ヒータープレート温度および前記ヒータープレート温度データに基づいて、前記ヒータープレートに流れる電力を調節することによってヒータープレート温度を前記目標ヒータープレート温度に調節するステップと、
を含む、加湿器のヒータープレートを調整するための方法。
【請求項10】
前記ヒータープレートをアクティブ化するステップを更に含み、且つ、前記ヒータープレートがアクティブ化された後に、ステップ(F)における前記ヒータープレート温度データの生成が生じる、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記コントローラが、前記ヒータープレートがアクティブ化されて昇温した後に前記設定露点温度と前記リアルタイムな露点温度との間の差が約≧1℃、または約≧2℃、または約≧4℃であることを発見した場合、前記コントローラは警報音を発する、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記コントローラが、前記ヒータープレートがアクティブ化されて昇温した後に前記設定露点温度と前記リアルタイムな露点温度との間の差が、約≧30秒、または約≧1分間、または約≧2分間という連続時間帯にわたって、約≧1℃であるか、または約≧2℃であるか、または約≧4℃であることを発見した場合、前記コントローラは前記警報音を発する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ヒータープレート温度と前記目標ヒータープレート温度との間の差が約≧0.1℃、または約≧2℃、または≧4℃程度である場合、ステップ(M)における前記ヒータープレート温度の調節を行
前記ヒータープレート温度が前記目標ヒータープレート温度よりも高い場合、前記コントローラは、前記ヒータープレートに流れる電力を低減することで前記ヒータープレート温度を調節し、前記ヒータープレート温度が前記目標ヒータープレート温度よりも低い場合、前記コントローラは、前記ヒータープレートに流れる電力を増加することで前記ヒータープレート温度を調節する、請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(B)~(M)を繰り返すステップ、または少なくとも約600回/分、または約1回/分~約1000回/分、または約10回/分~約800回/分で、ステップ(B)~(M)を繰り返すステップを含む、請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~のいずれか1項に記載の露点センサシステムを備える、加湿器。
【請求項16】
請求項1~のいずれか1項に記載の露点センサシステムを備える、医療機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露点センサシステムおよびこのような露点センサシステムを備える機器、例えば、加湿器に関する。より具体的には、本発明は、環境温度センサを備える露点センサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
加湿器は、ユーザ(通常は病院、ホスピス、更に自宅の患者)に加湿空気を提供するために用いられる。加湿器は、通常、様々な条件で運転し、温度範囲は約10℃~約40℃以上である。周知のように、空気中に含有可能な水の量は空気の温度に依存し、これにより、相対湿度と絶対湿度とに区別がある。
【0003】
そのため、2013年12月31日に開示されたFisher&Paykel Healthcare社の米国特許No.8616202B2、および2018年8月28日に開示されたFisher & Paykel Healthcare社の米国特許No.10058663B2で見られるように、環境空気温度を測定する加湿器は知られている。
【0004】
このような参照は、通常、デバイスのハウジング内および/またはデバイスのハウジングに取り付けられた環境温度センサ、例えば、空気通路の外部表面にある環境温度センサを備える。しかし、現在、このような環境温度センサの位置は環境温度の正確な温度の読み取り値を提供できないことが既に発見されており、これにより、露点の計算に悪影響を及ぼして加湿器が不正確な加熱量を提供する可能性がある。
【0005】
そのため、環境温度をより正確に測定する環境温度センサを有する加湿器を提供することが望ましい。より正確な環境温度センサを有する加湿器および/または医療機器を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施例は、露点計算機を有するコントローラと、環境温度センサと、空気通路と、ヒータープレートと、外部ワイヤとを備える露点センサシステムに関する。環境温度センサは環境温度データを生成し、環境温度センサはコントローラに操作可能に接続されている。空気通路は、空気通路内にあるブロワーと、空気通路内にある空気流量センサと、空気通路に操作可能に接続された液体リザーバと、空気通路温度センサおよび/または呼吸回路加熱素子であり得る部材とを備える。ブロワーは空気を空気通路内で移動させるとともに、空気流量センサは空気通路内の空気移動に関する空気流量データを生成する。ヒータープレートはヒータープレート温度センサを備え、且つ、ヒータープレート温度センサはヒータープレート温度データを生成する。外部ワイヤはコントローラと部材とを操作可能に接続する。
【0007】
環境温度センサは外部ワイヤ上に位置する。ヒータープレートおよびヒータープレート温度センサはコントローラに操作可能に接続されている。コントローラは、露点温度を参照し、環境温度データ、空気流量データおよび露点温度を受信して、目標ヒータープレート温度を計算する。
【0008】
本明細書の発明の一実施例において、加湿器のヒータープレートを調節するための方法
は、A)本明細書の露点センサシステムを備える加湿器を提供するステップと、B)環境温度データを生成するステップと、C)環境温度データをコントローラに伝送するステップと、D)空気流量データを生成するステップと、E)空気流量データをコントローラに伝送するステップと、F)ヒータープレート温度データを生成するステップと、G)ヒータープレート温度データをコントローラに伝送するステップと、H)露点温度を参照するステップと、I)必要な露点温度をコントローラに伝送するステップと、J)コントローラで環境温度データ、空気流量データおよび露点温度を受信するステップと、K)環境温度データ、空気流量データおよび露点温度に基づいて目標ヒータープレート温度を計算するステップと、L)目標ヒータープレート温度とヒータープレート温度データとを比較するステップと、M)コントローラが目標ヒータープレート温度およびヒータープレート温度データに基づいてヒータープレート温度を目標ヒータープレート温度に調節するステップとを含む。
【0009】
本発明の実施例において、加湿器は本明細書の露点センサシステムを備えてもよい。
【0010】
本発明の実施例において、医療機器は本明細書の露点センサシステムを備えてもよい。
【発明の効果】
【0011】
理論によって制限されるものではないが、ハウジング内に位置するおよび/またはハウジングに直接接続された環境温度センサを備えるシステムと比べ、本発明は、著しくより正確な露点計算を提供することができると考えられる。前述したように、環境温度センサがハウジングの外部の空気通路に接続されていても、該空気通路を通過する空気は、通常、既にある方式で加熱されている。そのため、本発明の外部ワイヤに取り付けられた環境温度センサはより良く位置決めされ、環境温度を正確に測定する。このようなより良い、より正確な環境温度データは、例えば、リアルタイム露点のより正確な計算、ヒータープレート温度のより正確な管理等をもたらすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】露点センサシステムの電子部材の実施例の模式図を示す。
図2】本発明の加湿器の実施例を示す。
図3】本明細書の発明のブロワーを備える実施例を示す。
【0013】
本明細書の図面は、説明のみを目的としており、本明細書は必ずしもスケールに従って描画されるわけではない。
【発明を実施するための形態】
【0014】
特に断りのない限り、全ての測定はいずれもメートル単位で行われる。また、特に説明しない限り、本明細書中の全ての百分率、割合等はいずれも重量で計算する。
【0015】
本明細書に使用されるように、「操作可能に接続される」という用語は、物品が操作することを可能にする方式で接続されることを意味する。例えば、ワイヤ、発信機/受信機ペア、1対の送受信機等に関する可能性がある。このフレーズは、物理構造が様々な指示された物品を接続することを表すこともできる。
【0016】
本明細書に使用されているように、「ユーザ」という用語は、本明細書で本発明のユーザを表し、且つ、例えば、所有者、患者、介護者(car-giver)等であってもよい。
【0017】
別の具体的な説明がない限り、本明細書における全てのデバイス、項目および/または部品は、いずれも世界中の多くのサプライヤーにより提供される業界標準の材料で作製で
きる。
【0018】
本発明の実施例において、露点センサシステムは、コントローラと、環境温度センサと、空気通路と、ヒータープレートとを備える。コントローラは露点計算機を備え、且つ、環境温度センサは環境温度データを生成する。環境温度センサはコントローラに操作可能に接続されている。空気通路は、ブロワーと、空気通路内にある流量センサと、空気通路に操作可能に接続された液体リザーバと、空気通路温度センサ、呼吸回路加熱素子およびそれらの組み合わせから選ばれる部材とを備える。ブロワーは空気を空気通路内で移動させ、且つ、流量センサは、空気通路内の空気移動に基づいて空気流量データを生成する。ヒータープレートは、液体リザーバを加熱するように操作可能に接続されている。ヒータープレートは1つのヒータープレート温度センサを更に備え、ヒータープレート温度を測定してヒータープレート温度データを生成する。外部ワイヤはコントローラおよび部材に操作可能に接続されている。
【0019】
本明細書の一実施例において、ユーザは所望の空気流量を設定し、コントローラはそれに応じてブロワーを調節する。本明細書の実施例において、ユーザにより設定された所望の空気流量に基づき、空気流量が異なり、または少なくとも5%異なり、または少なくとも10%異なると空気流量データが示した場合、コントローラは鳴るまたは警報音を発することができる。本明細書の一実施例において、コントローラは、空気通路内の空気流量と所望の空気流量との間の差が約≧30秒、または約≧1分間、または約≧2分間の連続時間帯にわたって存在する場合にのみ警報音を発する。
【0020】
環境温度センサは外部ワイヤ上に位置する。ヒータープレートおよびヒータープレート温度センサはいずれもコントローラに操作可能に接続されている。コントローラは露点温度を参照する。コントローラは、更に環境温度データ、空気流量データおよび露点温度を受信して、目標ヒータープレート温度を計算する。好ましくは、ブロワーがコントローラに操作可能に接続されている。コントローラは、例えば、ヒータープレート温度を増加すること、またはヒータープレート温度を低減すること、またはその両者によりヒータープレート温度を調整することができる。
【0021】
所望のように、コントローラは、例えば、ルックアップテーブルを参照すること、露点温度を計算すること等により、露点温度を参照することができる。
【0022】
理論によって制限されるものではないが、驚くべきことに、空気通路内の加湿器のハウジング内に接続された環境温度センサは、通常、不正確な温度を読み取ることが既に発見されている。環境温度センサが液体チャンバ/加湿チャンバの前の空気通路内に位置するまたはそれに隣接している場合であっても、ブロワー、ヒータープレート、内部の電子デバイスおよび電力システム等から放散された熱により、ハウジング自体および/またはハウジング表面内の温度、およびそれに接続された空気通路内の温度は、通常、環境温度よりも暖かく、且つ検出された温度は、実際の環境温度よりも高く、または著しくより高く、例えば、10℃高いことが既に発見されている。驚くべきことに、環境温度センサが空気通路の外部表面に接続されている場合であっても、検出された温度は、通常、実際の環境温度よりも高いことが既に発見されている。
【0023】
このような不正確な環境温度データは、もちろん、コントローラによる露点計算に悪影響を及ぼし、且つ、これにより、例えば、空気通路内の凝縮の増加等を引き起こす可能性がある。
【0024】
そのため、本明細書の一実施例において、環境温度センサは、ブロワーによりハウジング内に吸引されて空気通路内に吸引された空気の環境温度を検出するように、ハウジング
外部の位置で外部ワイヤに固定されている。本明細書の一実施例において、外部ワイヤは、電気を空気通路内、外部または空気通路に隣接する任意の加熱素子に伝導したりまたはいずれかの加熱素子から電気を伝導したりしない。理論によって制限されるものではないが、電気を加熱素子(例えば、空気通路内、空気通路の外部または付近)に伝導するワイヤまたは加熱素子から電気を伝導するワイヤは、暖かくなって環境温度センサにより生成された環境温度データから外れる可能性もある。
【0025】
本明細書の実施例において、露点センサシステムはハウジングを更に備える。ハウジングは、通常、空気通路、ヒータープレートおよびコントローラを含むまたは包含する。液体リザーバは、部分的にハウジング内に含まれてもよいし、ハウジング等に固定されてもよく、且つ、通常、液体リザーバはヒータープレートに直接接触する。
【0026】
本明細書の実施例において、空気通路温度センサは、液体リザーバの下流の空気通路内に位置する。または、空気通路温度センサは、液体リザーバのすぐ下流の空気通路内に位置する。または、空気通路温度センサは、液体リザーバの下流に位置してユーザに近接し、またはユーザのすぐ上流に位置する。
【0027】
本明細書の実施例において、コントローラは、露点計算機を用いるまたは含むまたは参照し、環境温度データ、空気流量データおよびヒータープレート温度データに基づいて露点を計算する。本明細書の実施例において、露点計算機は、環境温度データ、空気流量データおよびヒータープレート温度データから露点温度を計算するルックアップテーブルである。通常、露点温度は、空気通路内の空気流量速度、ヒータープレート温度および環境(部屋)温度に基づいて計算される。従って、ユーザにより設定された所定の流速(即、「所望の空気流量」)、環境温度およびユーザにより設定された所定の露点温度に対し、コントローラは目標ヒータープレート温度を計算し、その後、コントローラはヒータープレートに流れた電力を調節することで該温度を実現することができる。本明細書の実施例において、一部のデータまたは全てのデータはいずれもリアルタイムデータである。本明細書の実施例において、ヒータープレート温度と目標ヒータープレート温度との間の差が約>0.1℃である場合、コントローラは、ヒータープレートに流れた電力を調節する。このような実施例において、ヒータープレート温度と目標ヒータープレート温度との間の差が約≦0.1℃である場合、コントローラはヒータープレートに流れた電力を調節しない。
【0028】
本明細書の実施例において、本明細書の露点システムは多重または複数の空気通路温度センサを備えることが望ましい。本明細書の実施例において、液体リザーバ側の空気通路温度センサは空気通路内および液体リザーバの下流またはそのすぐ下流に位置し、且つ、患者側の空気通路温度センサは液体リザーバの下流の空気通路内に位置してユーザに近接するか、またはそのすぐ上流に位置する。
【0029】
露点は、更に空気通路内の空気の流速に依存し、従って、本明細書の露点システムは、空気通路を通過するように空気を移動させるブロワーと、空気通路内の空気移動に基づいて空気流量データを生成する空気流量センサとを備える。本明細書の一実施例において、所望の空気流量(速度)は、ユーザにより特定の速度に設定され、その後、コントローラがそれに応じてブロワーを調節してそれを変数として除去するが、実際には、これはコントローラによって安定した一定の空気流量値である。本明細書の一実施例において、ブロワーはブロワー運転速度を有し、且つ、コントローラはそれを参照するか、または、空気流量データを参照してブロワー運転速度を調整することができる。コントローラは、例えば、ブロワー運転速度を増加すること、またはブロワー運転速度を低減すること、またはその両者によりブロワー運転速度を調整することができる。
【0030】
本明細書の一実施例において、正確なヒータープレート温度データを受信することの重要性により、ヒータープレート温度センサはヒータープレートに直接固定されている。理論によって制限されるものではないが、このような配置により、例えば、ヒータープレートを加熱するための電気負荷を測定することによりヒータープレート温度を推定するのではなく、ヒータープレート温度を直接測定することが可能となると考えられる。
【0031】
露点に対してヒータープレート温度を調整することに加えて、ヒータープレート温度データが許容できない高温(例えば、約120℃よりも高い、または約150℃よりも高い等)を示す場合、コントローラはそれに応じてヒータープレート温度を調整してもよい。このようなデータは、貯水器が既に乾燥していることを示しており、よって、ヒータープレート、液体リザーバ等の破損を回避するために、ヒータープレートをオフにする必要がある。
【0032】
本明細書の液体リザーバは、通常、透明または半透明の容器であり、高密度プラスチック、ガラス、金属、およびそれらの組み合わせ、またはポリプロピレン、ポリカーボネート、アルミニウム、およびそれらの組み合わせ、またはポリカーボネート、アルミニウム、およびそれらの組み合わせのような耐熱性材料で作製される。液体リザーバは、蒸発されて加湿空気を生成する液体、または水、または蒸留水、または滅菌水を含む。液体リザーバは、空気通路に操作可能に接続されるか、または空気通路に流体接続されて、ユーザ(または他の人)が液体または水または蒸留水または滅菌水を添加することを可能にするように、典型的に開放することができる。
【0033】
本明細書の一実施例において、露点センサシステムは、空気通路内に位置する1つまたは複数の空気通路湿度センサを更に備えてもよく、前記空気通路湿度センサは、空気通路湿度データを生成してこのような空気通路湿度データをコントローラに伝送する。
【0034】
本明細書の一実施例において、加湿器は、本明細書に記載の露点センサシステムを備える。本明細書の一実施例において、本明細書の露点センサシステムは、医療機器内に含まれるか、または医療機器の一部とする。
【0035】
本明細書の露点センサシステム、加湿器および/または医療機器は、通常、電源、電池、電力グリッド、AC電力コンセント等のような電力システムに操作可能に接続されている。
【0036】
方法
本明細書の一実施例において、加湿器の露点を調整するための方法は、以下のステップを含む。露点センサシステムを備える加湿器を生成し、環境温度データを生成し、環境温度データをコントローラに伝送し、空気流量データを生成し、空気流量データをコントローラに伝送し、ヒータープレート温度データを生成し、ヒータープレート温度データをコントローラに伝送し、露点温度を参照し、露点温度をコントローラに伝送し、コントローラで、またはコントローラによって環境温度データ、空気流量データ、ヒータープレート温度データおよび露点温度を受信し、環境温度データ、空気流量データおよび露点温度に基づいて目標ヒーター温度を計算し、目標ヒータープレート温度とヒータープレート温度データとを比較する。
【0037】
コントローラは、環境温度データ、空気流量データ(ユーザにより設定される)および設定露点温度に基づいて目標ヒーター温度を計算する。ヒータープレートが目標ヒータープレート温度よりも低いとヒータープレート温度データが示した場合、コントローラは目標ヒータープレート温度およびヒータープレート温度データに基づいてヒータープレート温度を目標ヒータープレート温度に調節する。本明細書の一実施例において、ヒータープ
レート温度と目標ヒータープレート温度との間の差が約≧0.1℃、または約≧2℃、または約≧4℃である場合、コントローラはヒータープレート温度を調節する。本明細書の一実施例において、ヒータープレート温度が目標ヒータープレート温度よりも高いとコントローラが発見した場合、コントローラは、ヒータープレートに流れた電力を低減することでヒータープレート温度を調節することができる。ヒータープレート温度が目標ヒータープレート温度よりも低いとコントローラが発見した場合、コントローラは、ヒータープレートに流れた電力を増加することでヒータープレート温度を調節することができる。または、上記いずれかの場合、コントローラはいずれも警報音を発することができる。
【0038】
本明細書の方法の実施例において、露点センサシステムは呼吸回路(図2における54を参照する)を更に備えてもよく、呼吸回路は、呼吸気体を加熱する加熱回路を含む。露点センサシステムは、コントローラに空気通路温度データを提供する空気通路温度センサを更に備えてもよく、且つ、該方法は、コントローラが空気通路温度データに基づいて加熱回路に流れた電力を調節するステップを更に含んでもよい。本明細書で記述された様々なタイプのデータ(例えば、環境温度データ、空気流量データ、ヒータープレート温度データ、空気通路温度データ、空気通路湿度データ等)は、ワイヤを介して、または、例えば、ラジオまたは他の無線信号を介してコントローラに伝送され得る。
【0039】
本明細書の一実施例において、コントローラは、更にヒータープレート温度データ、空気流量データおよび環境温度データに基づいてリアルタイムな露点温度を計算または参照する。本明細書の一実施例において、昇温後(ヒータープレートがアクティブ化されてから約20分間)に設定露点温度データとリアルタイムな露点温度との間の差が約≧1℃、または約≧2℃、または約≧4℃であるとコントローラが発見した場合、コントローラは警報音を発する。本明細書の発明の一実施例において、昇温後(ヒータープレートがアクティブ化されてから約20分間)に設定露点温度データとリアルタイムな露点温度との間の差が、約≧30秒、または約≧1分間、または約≧2分間という連続時間帯にわたって、約≧1℃、または約≧2℃、または約≧4℃であるとコントローラが発見した場合、コントローラは警報音を発する。
【0040】
本明細書の一実施例において、本明細書の警報は、例えば、音、光、コンピュータメッセージ、無線信号および/または、ユーザに通知するおよび/またはユーザの注意を喚起するための任意の他の信号のような通知であってもよい。
【0041】
本明細書の一実施例において、該過程は、環境温度データを生成するステップから、コントローラが目標温度およびヒータープレート温度データに基づいてヒータープレート温度を目標温度に調節するステップまでを繰り返すステップを更に含む。
【0042】
本明細書の一実施例において、本明細書の露点センサシステムは環境温度データを生成し、該データをコントローラに送信する。ブロワーは起動し、空気流量データを生成してコントローラに伝送する。本明細書の一実施例において、ユーザは所望の空気流量を設定し、コントローラは該所望の空気流量を提供するようにブロワーの速度を調節する。本明細書の一実施例において、空気流量とユーザにより設定された所望の空気流量とが異なる、または少なくとも5%異なる、または少なくとも10%異なると空気流量データが示した場合、コントローラは警報音を発してもよい。ヒータープレートはコントローラによりアクティブ化され、且つ、ヒータープレート温度センサはヒータープレート温度データを生成し、前記ヒータープレート温度データはコントローラに伝送される。コントローラは環境温度データ、空気流量データおよび設定露点温度に基づいて目標ヒータープレート温度を計算または引用する。
【0043】
その後、コントローラはヒータープレート温度データと目標ヒータープレート温度とを
比較する。ヒータープレート温度と目標ヒータープレート温度との間の差が約≧0.1℃、または約≧2℃(より低い)、または約≧4℃であるとヒータープレート温度データが示した場合、コントローラは、ヒータープレート温度を適当に増加または減少するか、またはヒータープレートに流れた電力を適当に増加または減少することにより、ヒータープレート温度を調節する。
【0044】
本発明の方法の一実施例において、コントローラは、少なくとも約600回/分、または約1回/分~約1000回/分、または約10回/分~約800回/分の速度でシステムを検査する。
【0045】
本明細書の実施例において、加湿器および/または医療機器をオンにした後、ヒータープレートは、所定の時間帯、または約1分間~35分間、または約2分間~約30分間にわたって昇温する。ヒータープレートがアクティブ化されると、ステップ(F)でヒータープレート温度データを生成する。
【0046】
本明細書の一実施例において、医療機器は、加湿器、連続的陽圧空気装置、自動陽圧空気装置およびそれらの組み合わせの素子群から選ばれるか、または加湿器である。
【0047】
図面を参照すると、図1は、露点センサシステム10の電子部材の実施例の模式図を示す。環境温度センサ20は、ワイヤ24を介してコントローラ22に操作可能に接続されている。環境温度センサは環境温度データを生成し、ワイヤを介してコントローラに伝送する。空気流量センサ26もコントローラ22に操作可能に接続され、空気流量データを生成してコントローラ22に伝送する。空気通路温度センサ28はコントローラ22に操作可能に接続され、空気通路温度データを生成してコントローラ22に伝送する。同様に、図1において、空気通路湿度センサ30はコントローラ22に操作可能に接続され、空気通路湿度データを生成してコントローラ22に伝送する。
【0048】
ヒータープレート32はコントローラ22に操作可能に接続され、ヒータープレート温度センサ34も同様である。コントローラ22は、ヒータープレート32に供給される電力量を調節することでヒータープレート温度を調整する。コントローラ22も、コントローラ22に電力を送る電源36に操作可能に接続されている。ブロワー38はコントローラ22に操作可能に接続されている。コントローラ22は、例えば、ブロワー38に提供される電力量を調節することによりブロワーの運転速度を調整する。
【0049】
コントローラ22は、更にルックアップテーブル40に操作可能に接続され、コントローラ22は該ルックアップテーブルを用いて目標ヒータープレート温度および露点温度を計算する。コントローラ22は、更に1つまたは複数の付加部材42に接続されてもよく、前記付加部材は、時計、警報、水位センサ、呼吸回路用の加熱回路およびそれらの組み合わせのような追加機能を提供することができる。
【0050】
図2は、本発明の加湿器50の実施例を示す。空気通路52は、呼吸回路54と、液体リザーバ56と、コントロールパネル58と、ハウジング62の外部にある外部ワイヤ60とを備え、前記ハウジングは、例えば、コントローラ(図1における22を参照)、ヒータープレート(図1における32を参照)、ヒータープレート温度センサ(図1における34を参照)、ブロワー(図1における36を参照)等を備える。環境温度センサ20は外部ワイヤ60に位置決めされ、即ち、取り付けられている。
【0051】
図2の実施例は、呼吸回路54内に位置する加熱回路66に給電する好ましい加熱回路ワイヤ64を更に示す。外部ワイヤ60は空気通路温度センサ28に接続され、前記空気通路温度センサは、呼吸回路54の加湿器側における温度を監視する。空気通路温度セン
サ28は、呼吸回路54の患者側に位置してもよい。
【0052】
図3は、ブロワー38の一実施例の側面図を示す。図2は、空気通路52の一部に接続されたブロワーを示し、前記空気通路は空気流量センサ26を備える。図3は、混合室70の上流の酸素ガス入口68を更に示し、前記混合室70は、ブロワー38からの空気と酸素ガス入口68からの酸素ガスとを組み合わせて均一化させる。コントローラ22はワイヤ24を介してブロワーに操作可能に接続されている。
【0053】
以上は、本発明の実施可能な例のみを示して記述しており、本発明の精神から逸脱しない場合、修正および/または変更を行ってもよいことが理解されるべきである。
【0054】
明確にするために、別々の実施例の背景で記述された本発明のいくつかの特徴は、組み合わせて単一の実施例に提供されてもよいことが更に理解されるべきである。逆に、簡潔にするために、単一の実施例の背景で記述された本発明の様々な特徴も別々に提供されてもよいし、任意の適当なサブコンビネーションで提供されてもよい。
【0055】
本明細書に具体的に引用される全ての参照文献は、ここで全て参照として組み込まれる。しかし、このような参照文献の引用または組み込みが、本発明の従来技術としての適当性、引用可能性および/または使用可能性を認めるとは限らない。
図1
図2
図3