(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-28
(45)【発行日】2023-07-06
(54)【発明の名称】符号化装置、符号化方法および符号化プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 19/85 20140101AFI20230629BHJP
H04N 19/423 20140101ALI20230629BHJP
H04N 19/127 20140101ALI20230629BHJP
H04N 19/142 20140101ALI20230629BHJP
H04N 19/172 20140101ALI20230629BHJP
【FI】
H04N19/85
H04N19/423
H04N19/127
H04N19/142
H04N19/172
(21)【出願番号】P 2022032591
(22)【出願日】2022-03-03
【審査請求日】2022-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】591230295
【氏名又は名称】NTTエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】矢野 豊
【審査官】鉢呂 健
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-128165(JP,A)
【文献】特開2004-193961(JP,A)
【文献】特開2010-272993(JP,A)
【文献】国際公開第2010/143654(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/163618(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 19/00-19/98
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される映像フレームの同期信号に基づいて、前記映像フレームが直前の映像フレームと同期しているか否かを検知する制御部と、
複数のフレームバッファを切り替えて、入力された前記映像フレームをいずれかのフレームバッファに順次蓄積し、蓄積した前記映像フレームを順次出力する切替部と、
前記フレームバッファから出力される前記映像フレームを符号化する符号化部と、を備え、
前記制御部は、前記映像フレームの非同期を検知した場合、前記切替部および前記符号化部を停止し、その後、n個の映像フレームの同期を検知した場合、前記切替部を再開し、n+1個の映像フレームの同期を検知した場合、前記符号化部を再開する
ことを特徴とする符号化装置。
【請求項2】
前記映像フレームは、インタレース方式の映像フレームであって、
前記制御部は、同期を検出したn個目の映像フレームがボトムフィールドの場合、同期するn+1個目の映像フレームから前記フレームバッファへの蓄積を、前記切替部に再開させ、n+2個の映像フレームの同期を検知した場合、前記符号化部を再開する
ことを特徴とする請求項1に記載の符号化装置。
【請求項3】
入力される映像フレームの同期信号に基づいて、前記映像フレームが直前の映像フレームと同期しているか否かを検知する制御部と、
複数のフレームバッファを切り替えて、入力された前記映像フレームをいずれかのフレームバッファに順次蓄積する蓄積処理と、蓄積した前記映像フレームを順次出力する出力処理とを行う切替部と、
前記フレームバッファから出力される前記映像フレームを符号化する符号化部と、
所定の映像フレームを格納する記憶部と、を備え、
前記制御部は、前記映像フレームの非同期を検知した場合、前記切替部の前記蓄積処理および前記出力処理を停止し、前記記憶部の前記所定の映像フレームを前記符号化部に出力し、その後、n個の映像フレームの同期を検知した場合、前記切替部の前記蓄積処理を再開し、n+1個の映像フレームの同期を検知した場合、前記所定の映像フレームの前記符号化部への出力を停止し、前記切替部の前記出力処理を再開する
ことを特徴とする符号化装置。
【請求項4】
符号化装置が行う符号化方法であって、
入力される映像フレームの同期信号に基づいて、前記映像フレームが直前の映像フレームと同期しているか否かを検知する検知ステップと、
複数のフレームバッファを切り替えて、入力された前記映像フレームをいずれかのフレームバッファに順次蓄積し、蓄積した前記映像フレームを順次出力する切替ステップと、
前記フレームバッファから出力される前記映像フレームを符号化する符号化ステップと、を行い、
前記検知ステップで前記映像フレームの非同期を検知した場合、前記切替ステップおよび前記符号化ステップを停止し、その後、n個の映像フレームの同期を検知した場合、前記切替ステップを再開し、n+1個の映像フレームの同期を検知した場合、前記符号化ステップを再開する
ことを特徴とする符号化方法。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載の符号化装置として、コンピュータを機能させる符号化プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像信号を符号化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ放送中継車などでは、テレビカメラで撮影したベースバンド映像信号を、MPEGなどの圧縮符号化技術を用いて符号化し、送信する。特許文献1には、MPEGを用いた圧縮符号化技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テレビ放送中継車などでは、複数のテレビカメラを切り替えるスイッチ装置を符号化装置の前に配置し、テレビカメラ信号を任意のタイミングで切り替える。
【0005】
一般的に、符号化装置に映像・音声等のベースバンド信号が入力され、映像フレームを示す同期信号が検出されると映像符号化を開始する。しかし、あるテレビカメラ(テレビカメラA)からの映像を、他のテレビカメラ(テレビカメラB)に切り替える場合には、テレビカメラAを切断したときに最後の映像フレームの入力は途中であり、正常に完了していない。このため、不完全な映像フレームが符号化装置のフレームバッファに記録されてしまう。この状態でテレビカメラBに入力が切り替わると、テレビカメラBの最初の映像フレームの同期信号をトリガとして、フレームバッファに記録された不完全な映像フレームが符号化および伝送され、不完全な映像フレームが再生されてしまう。
【0006】
すなわち、テレビカメラを任意のタイミングで切り替えると、符号化装置へ入力される映像信号が乱れ、受信側で乱れた映像が再生され、放送品質が著しく低下するという課題がある。
【0007】
本発明は、この課題に鑑みてなされたものであり、符号化装置に接続されるカメラを切り替えた場合でも、受信側での映像の乱れを防止する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の符号化装置は、入力される映像フレームの同期信号に基づいて、前記映像フレームが直前の映像フレームと同期しているか否かを検知する制御部と、複数のフレームバッファを切り替えて、入力された前記映像フレームをいずれかのフレームバッファに順次蓄積し、蓄積した前記映像フレームを順次出力する切替部と、前記フレームバッファから出力される前記映像フレームを符号化する符号化部と、を備え、前記制御部は、前記映像フレームの非同期を検知した場合、前記切替部および前記符号化部を停止し、その後、n個の映像フレームの同期を検知した場合、前記切替部を再開し、n+1個の映像フレームの同期を検知した場合、前記符号化部を再開する。
【0009】
本発明の一態様の符号化装置は、入力される映像フレームの同期信号に基づいて、前記映像フレームが直前の映像フレームと同期しているか否かを検知する制御部と、複数のフレームバッファを切り替えて、入力された前記映像フレームをいずれかのフレームバッファに順次蓄積する蓄積処理と、蓄積した前記映像フレームを順次出力する出力処理とを行う切替部と、前記フレームバッファから出力される前記映像フレームを符号化する符号化部と、所定の映像フレームを格納する記憶部と、を備え、前記制御部は、前記映像フレームの非同期を検知した場合、前記切替部の前記蓄積処理および前記出力処理を停止し、前記記憶部の前記所定の映像フレームを前記符号化部に出力し、その後、n個の映像フレームの同期を検知した場合、前記切替部の前記蓄積処理を再開し、n+1個の映像フレームの同期を検知した場合、前記所定の映像フレームの前記符号化部への出力を停止し、前記切替部の前記出力処理を再開する。
【0010】
本発明の一態様の符号化装置が行う符号化方法は、入力される映像フレームの同期信号に基づいて、前記映像フレームが直前の映像フレームと同期しているか否かを検知する検知ステップと、複数のフレームバッファを切り替えて、入力された前記映像フレームをいずれかのフレームバッファに順次蓄積し、蓄積した前記映像フレームを順次出力する切替ステップと、前記フレームバッファから出力される前記映像フレームを符号化する符号化ステップと、を行い、前記検知ステップで前記映像フレームの非同期を検知した場合、前記切替ステップおよび前記符号化ステップを停止し、その後、n個の映像フレームの同期を検知した場合、前記切替ステップを再開し、n+1個の映像フレームの同期を検知した場合、前記符号化ステップを再開する。
【0011】
本発明の一態様は、上記符号化装置として、コンピュータを機能させる符号化プログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、符号化装置に映像信号を供給するカメラを切り替えた場合でも、不完全な映像信号の符号化を回避して、受信側での映像の乱れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態の映像符号化・復号システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態の符号化装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図3】符号化装置の、テレビカメラの切り替えがない場合の動作を示すタイムチャートである。
【
図4】符号化装置の、テレビカメラの切り替えがある場合の動作を示すタイムチャートである。
【
図5】
図4のt2からt7間のフレームバッファのデータ、符号化部の入力データおよび符号化データを模式的に示した図である。
【
図6】符号化装置の処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】符号化装置の他の実施形態の処理手順を示すフローチャートである。
【
図8】比較例の符号化装置のテレビカメラが切り替わった場合の動作を示すタイムチャートである。
【
図9】変形例1の符号化装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図10】変形例1の符号化装置の処理手順を示すフローチャートである。
【
図11】変形例1の映像信号がインタレース方式の場合の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。複数の図面中同一のものに
は同じ参照符号を付し、説明は繰り返さない。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る符号化装置を適用した映像符号化・復号システムの概略構成を示すブロック図である。
図1に示す映像符号化・復号システム200は、テレビカメラA、テレビカメラB、スイッチ装置210、符号化装置100、復号装置220、及び表示装置230を備える。なお、3台以上のテレビカメラを備えても良い。スイッチ装置210は、複数のテレビカメラから1台を選択し、選択したテレビカメラの映像信号を符号化装置100に入力する。
【0016】
符号化装置100は、テレビカメラA又はテレビカメラBからの映像を符号化する。復号装置220は、符号化装置100で符号化した映像を復号する。表示装置230は、復号装置220で復号した映像を表示する。
【0017】
図2は、
図1に示す符号化装置100の機能構成を示すブロック図である。
図2に示す符号化装置100は、複数のテレビカメラが撮像した映像信号を符号化する装置である。
【0018】
図2に示す入力信号は、例えば、
図1で示したスイッチ装置210で切り替えられたテレビカメラA又はテレビカメラBの映像信号である。スイッチ装置210によって、入力信号は、例えばテレビカメラAの映像信号AからテレビカメラBの映像信号Bに切り替わる。テレビカメラAとテレビカメラBは独立しているので、映像信号Aと映像信号Bは非同期である。なお、映像信号は、符号化前の映像ベースバンド信号などである。
【0019】
符号化装置100は、同期信号検出部10、切替部20、第1フレームバッファ30、第2フレームバッファ31、符号化部40、及び符号化制御部50を備える。切替部20は、スイッチ21と、スイッチ22を備える。
【0020】
同期信号検出部10は、入力された映像信号(入力信号)から同期信号syncを検出する。映像信号は、フレーム周波数が例えば30Hzである。
【0021】
同期信号検出部10は、映像信号から同期信号syncを検出して符号化制御部50に出力する。テレビカメラが切り替えられなければ、同期信号検出部10は、同期信号syncを一定の時間間隔(周期)で符号化制御部50に出力する。また、同期信号検出部10は、映像信号を構成する映像フレームを切替部20を介して第1または第2フレームバッッファ30,31に出力する。
【0022】
切替部20は、複数のフレームバッファ30、31を切り替えて、入力された映像フレームをいずれかのフレームバッファに順次蓄積し、蓄積した前記映像フレームを順次出力する。図示する切替部20は、同期信号検出部10が出力する映像フレームを、第1フレームバッファ30及び第2フレームバッファ31に交互に蓄積させ、該蓄積させた映像フレームを交互に出力させる。なお、
図2では、符号化装置100は、2個のフレームバッファを備える例を示すが、3個以上のフレームバッファを備えるようにしても良い。
【0023】
符号化部40は、フレームバッファ30、32から出力される映像フレームを符号化する。ここでは、符号化部40は、第1フレームバッファ30及び第2フレームバッファ31が出力する映像フレームを符号化する。
【0024】
符号化部40は、メディア分離部41、映像符号化部42、音声符号化部43、映像符号化データパケット化部44、音声符号化データパケット化部45、アンシラリデータパケット化部46、及びパケット多重部47を備える。メディア分離部41は、映像信号を、制御信号などのアンシラリデータ、映像、及び音声の3つに分離する。
【0025】
映像符号化部42は、メディア分離部41で分離した映像データを符号化する。映像符号化部42は、符号化制御部50から入力されるスタート/ストップ信号C40によって制御される。スタート/ストップ信号C40は符号化部40の全体を制御する。映像符号化データパケット化部44は、映像符号化部42で符号化した映像符号化データをパケット化する。
【0026】
音声符号化部43は、メディア分離部41で分離した音声データを符号化する。音声符号化データパケット化部45は、音声符号化部43で符号化した音声符号化データをパケット化する。アンシラリデータパケット化部46は、制御信号などのアンシラリデータをパケット化する。
【0027】
パケット多重部47は、映像符号化データパケット化部44、音声符号化データパケット化部45、及びアンシラリデータパケット化部46がそれぞれ出力するパケットを対応付けて多重化した符号化データを出力する。
【0028】
符号化制御部50は、入力される映像フレームの同期信号に基づいて、映像フレームが直前の映像フレームと同期しているか否かを検知する。符号化制御部50は、映像フレームの非同期を検知した場合、切替部30および映像符号化部42を停止し、その後、n個の映像フレームの同期を検知した場合、切替部20を再開し、n+1個の映像フレームの同期を検知した場合、映像符号化部42を再開する。
【0029】
具体的には、符号化制御部50は、テレビカメラが切り替えられて同期信号の同期が外れた場合に、該同期が外れた映像フレームから切替部20の切り替えと符号化部40の符号化を停止させ、同期が回復した場合に、該同期が回復したn(nは1以上の整数)番目の映像フレームから第1・第2フレームバッファ30,31への蓄積を切替部20に再開させ、第1・第2フレームバッファ30,31のどちらかにn番目の映像フレームが蓄積された後に符号化部40の符号化を再開させる。
【0030】
(映像信号の切り替えがない場合の動作)
図3は、映像信号の切り替えがない場合の符号化装置100の動作を示すタイムチャートである。
図3の横方向は時間を示す。
図3の縦方向は、上から、入力信号(この例では映像信号A)、スイッチ21の切替信号sw21、スイッチ22の切替信号sw22、符号化部40の入力、及び符号化データのそれぞれを模式的に示す。これらの表記は
図2と対応している。
【0031】
図3に示す入力信号のA1~A9のそれぞれは映像フレームである。この例の映像信号は、映像信号の切り替えがない場合であるので、全てテレビカメラAで撮像された映像フレームで構成される。
【0032】
切替部20は、映像フレームを、第1フレームバッファ30及び第2フレームバッファ31に交互に蓄積させ、該蓄積させた映像フレームを交互に出力させる。切り替えは、符号化制御部50から出力される切替信号sw21とsw22に基づいて行われる。
【0033】
図3に示すように、切替信号sw21がLow(負電源電圧)の場合、映像フレームは第1フレームバッファ30に蓄積される。また、切替信号sw21がHigh(正電源電圧)の場合、映像フレームは第2フレームバッファ31に蓄積される。
【0034】
切替信号sw21は、同期信号syncが検出される度に交互にLow/Highを繰り返すので、シリアルに入力される映像フレームは、第1フレームバッファ30と第2フレームバッファ31に交互に切り替えて蓄積される。
【0035】
一方、切替信号sw22がLowの場合、スイッチ22は第1フレームバッファ30と符号化部40を接続させる。また、切替信号sw22がHighの場合、スイッチ22は第2フレームバッファ31と符号化部40を接続させる。よって、切替信号sw22がLowの場合は、第1フレームバッファ30に蓄積されている映像フレームが符号化部40に出力され、切替信号sw22がHighの場合は、第2フレームバッファ31に蓄積されている映像フレームが符号化部40に出力される。
【0036】
以上により、
図3に示す通り、符号化部40には入力信号に対して1フレーム遅れた映像フレームが入力される。t
0~t
1の間の符号化部40の入力の0は、映像フレームが入力されていない第2フレームバッファ31の初期値が符号化部40に入力されることを示している。
【0037】
図3に示すように、符号化部40の入力の映像フレームA1、A2、A3、…は、符号化の処理に必要な時間遅れて符号化データC
A1、C
A2、C
A3、…に符号化される。このように、映像フレームは、欠落することなく順番に符号化されて出力される。
【0038】
以降、第1フレームバッファ30と第2フレームバッファ31のどちらであるかを特定する必要の無い場合は、第1、第2及び参照符号の表記を省略して単にフレームバッファと表記する場合もある。
【0039】
(映像信号の切り替えがある場合の動作)
図4は、映像信号の切り替えがある場合の符号化装置100の動作を示すタイムチャートである。
図4の横方向は、
図3と同じ時間である。
【0040】
図4の縦方向は、上から、映像信号A、映像信号B、テレビカメラ切り替えタイミング、符号化装置100への入力信号、切替信号sw21、切替信号sw22、スタート/ストップ信号C40、符号化部40の入力、及び符号化データである。
【0041】
図5は、t2からt7間の第1フレームバッファ30、第2フレームバッファ31中のデータ、符号化部40の入力データ、符号化データを模式的に示したものである。
【0042】
映像信号AはテレビカメラAで撮像された映像信号である。映像信号BはテレビカメラBで撮像された映像信号である。テレビカメラAとBは、それぞれ独立であるので、同期信号syncのタイミングはずれている。ただし、映像信号AとBのフレーム周波数は同じである。
【0043】
図4は、t
3とt
4の間でテレビカメラを切り替えた場合の動作を示している。
図6は、本実施形態に係る符号化装置100の処理手順を示すフローチャートである。ここから
図4、
図5および
図6を参照して符号化装置100の動作を詳しく説明する。
【0044】
符号化装置100は動作を開始すると、同期信号検出部10が入力信号から同期信号syncを検出する(ステップS1)。同期信号検出部10は、同期信号syncを検出するとその旨を符号化制御部50に通知する。
【0045】
符号化制御部50は、同期信号syncを検出した通知を受けると、同期信号syncの周期を監視するフレーム周期監視タイマー(図示せず)の値を読み取り、その後リセットし、計時を再開させる(ステップS1)。
【0046】
符号化制御部50は、フレーム周期監視タイマーの値が、予定した値であるか否かを判定する(ステップS2)。予定した値、つまり、同期信号syncが予定したタイミングで検出されれば同期が取れていると判定する(ステップS2のYES)。
図4に示すt
0~t
3の映像フレームA1~A3の範囲は、同期が取れている範囲である。
【0047】
符号化制御部50は、sw21とsw22を反転させ、フレームバッファに読み込み済みの映像フレームを符号化部40に出力し、以前に映像フレームを出力済みのフレームバッファには新たに映像フレームを読み込む(ステップS3)。例えば、
図5に示すように、t2におけるスイッチ切り替えの結果、第2フレームバッファ31に蓄積されていた映像フレームA2は符号化部40に出力され、第1フレームバッファ30には新たに映像フレームA3が読み込まれる。
【0048】
図4に示すように、映像フレームがA3からA4になった直後(t
3とt
4の間)にテレビカメラを切り替えた場合を想定する。符号化制御部50は、t
4で同期信号syncが検出されることを予定しているが、t
3の直後に、テレビカメラAからテレビカメラBに切り替えられたので、次の同期信号syncはt
3+αで検出されることになる。
【0049】
すると、符号化制御部50は、同期信号syncが予定したタイミングで検出されないので同期が外れたと判定する(ステップS2のNO)。同期が外れた場合、符号化制御部50は、直ちに切替信号sw21,sw22の切り替えを停止させる(ステップS4)。そして、スタート/ストップ信号C40をストップ(C40=1)にし、符号化部40の符号化処理を停止させる(ステップS4)。また、符号化制御部50はフレーム読み込み再開カウンタCntを0に設定する。
【0050】
なお、
図5に示すように、t3におけるスイッチ切り替えの結果、第1フレームバッファに蓄積されていた映像フレームA3は符号化部40に出力されるが、上記の通り、t3+αで映像フレームA3の符号化は停止される。また、第2フレームバッファには入力信号として映像フレームA4,B3,B4の断片からなる不完全データが読み込まれる。
【0051】
従来のテレビカメラの切り替えでは、同期外れが発生しても検出した同期信号syncをトリガとしてフレームバッファの読み込みおよび出力と、符号化を継続していたため、不完全な映像データが符号化され、再生映像の乱れにつながっていた。本実施形態では同期外れが発生した場合、後続の同期のとれたsyncをn回(nは正の整数)カウントした後に、フレーム読み込みと符号化を再開する。これにより、不完全な映像が符号化されることを回避し、再生される映像の乱れを防ぐ。以下ではn=1の場合を例にとって説明する。
【0052】
次の同期信号syncはt4+αで検出される。符号化制御部50はCntに1を加算する(ステップS5)。t4+αは、符号化制御部50が予定しているタイミングであるので(ステップS6のYES)、符号化制御部50はsync検出が所定の回数に達したか否かを判定する(ステップS7)。
【0053】
Cnt=1なので(ステップS7のYES)、符号化制御部50は切替信号sw21,sw22を反転させる(ステップS8)。t4+αの切替信号sw21の1から0への変化、及び切替信号sw22の0から1への変化でそれを示す。
【0054】
t
4+αで切り替えが再開されると、映像フレームB5が第1フレームバッファ30に蓄積される(
図5)。第2フレームバッファ31に蓄積されていた不完全データは符号化部40に出力されるが、この時点ではまだ符号化部40は停止しているので、不完全データが符号化されることはない。
【0055】
符号化制御部50は、フレームバッファ読み込み再開後の最初のsync(t5+α)を検出する(ステップS9)。予定通りのタイミングでsyncが検出された場合(ステップS10)、符号化制御部50はsw21とsw22を反転させて、読み込み済みフレームB5を第1フレームバッファ30から符号化部40に出力するとともに、符号化部40の符号化処理をスタートさせる(ステップS11)。また、第2フレームバッファ31には映像フレームB6が読み込まれる(ステップS11)。
【0056】
以降はステップS1に戻り、同期外れが発生するまで、ステップS1~S3を繰り返す。
【0057】
このように符号化制御部50は、同期が回復した場合、切替部20に、同期が回復したn番目の映像フレームからフレームバッファへの蓄積を再開させ、フレームバッファにn番目の映像フレームが蓄積された後に、該蓄積された映像フレームの符号化を再開させる。図示する例では、符号化制御部50は、同期が回復した1番目の映像フレームB5から第1フレームバッファ30への蓄積を再開させ、映像フレームB5から符号化を再開させる。
【0058】
このように動作することで、符号化部40への入力はデータの欠落がない映像フレームB5から再開され、符号化部40は、完全な映像フレームを符号化することができる。
【0059】
なお、
図4の最下行は、符号化を停止している間、符号化部40は、最後に符号化を完了した符号化データ(CA
2)を繰り返し出力する例を示している。
【0060】
(映像信号がインタレース方式の場合)
図7は、実施形態に係る符号化装置100の他の実施形態の処理手順を示すフローチャートである。
図7に示す他の実施形態の処理手順は、符号化装置100の処理手順(
図6)のステップS6のYESと、ステップS8の間の処理手順が異なる。
【0061】
映像信号は、復号された画像データが映像出力機器(図示せず)の走査方式に対応させる必要がある。走査方式には、プログレッシブ方式とインタレース方式の2つがある。
【0062】
走査線を一本ずつ順番に伝送するプログレッシブ方式の場合は、上記の例で説明したように映像フレームを順番に符号化すれば良い。しかし、インタレース方式の場合は、走査線を一本おきに、トップフィールドとボトムフィールドの2回に分けて伝送するので、組みになる2つの映像フレームを順番に符号化する必要がある。
【0063】
他の実施形態の符号化制御部50は、映像信号がインタレース方式の場合、同期外れ後のsyncをn回カウント後、入力された映像信号がトップフィールドか否かを判定する(ステップS12)。トップフィールドの場合(S12のYES)、符号化制御部50は、
図6のステップS8に進み、フレームバッファへの読み込みを開始する。ボトムフィールドの場合(S12のNO)、ステップS13に進み、次のsyncを検出する。予定通りのタイミングで次のsyncが検出された場合(S6のYES)、CntはnのままなのでS12に進む(S7のYES)。ボトムフィールドの次のフレームはトップフィールなので(S12のYES)
図6のS8に進み、フレームバッファへの読み込みを開始する。
【0064】
つまり、他の実施形態の符号化制御部50は、同期を検出したn個目の映像フレームがボトムフィールドの場合、同期するn+1個目の映像フレーム(トップフィールド)からフレームバッファへの蓄積を切替部20に再開させ、n+2個の映像フレームの同期を検出した場合、符号化部40の符号化を再開する。
【0065】
これにより、映像信号がインタレース方式の場合に、複数のテレビカメラで撮像された映像信号が切り替えられた場合でも完全な映像フレームを符号化させることができる。
【0066】
(比較例)
図8は、比較例の符号化装置(図示せず)において、映像信号が切り替えられた場合の動作を示すタイムチャートである。
図8に示すテレビカメラ切り替えのタイミングは、
図4と同じである。
【0067】
比較例では、同期が外れても第1フレームバッファ30と第2フレームバッファ31のフレーム入力とフレーム出力は停止されないので、t3で映像フレームA3が符号化部40に出力された後、同期が外れたt3+αのタイミングで、映像フレームA4の一部と映像フレームB3の一部からなる不完全な映像フレームが符号化部40に出力される。
【0068】
このように比較例では、映像信号が切り替えられた場合に不完全な映像フレームが符号化部40に入力されてしまう。この結果、不完全な映像フレームが符号化され、再生映像が乱れることになる。
【0069】
以上説明したように本実施形態に係る符号化装置100は、入力される映像フレームの同期信号に基づいて、前記映像フレームが直前の映像フレームと同期しているか否かを検知する符号化制御部50と、複数のフレームバッファを切り替えて、入力された前記映像フレームをいずれかのフレームバッファ30,31に順次蓄積し、蓄積した前記映像フレームを順次出力する切替部20と、前記フレームバッファ30、31から出力される前記映像フレームを符号化する符号化部40と、を備え、前記符号化制御部50は、前記映像フレームの非同期を検知した場合、前記切替部20および前記符号化部40を停止し、その後、n個の映像フレームの同期を検知した場合、前記切替部20を再開し、n+1個の映像フレームの同期を検知した場合、前記符号化部40を再開する。
【0070】
これにより、符号化装置100に接続されるテレビカメラを切り替えた場合でも、受信側の映像表示装置は不完全な映像フレームを表示せず、映像の乱れを回避することができる。また、本実施形態では、映像符号化装置100に新たなハードウェアを追加することなく、制御方法を変更することで送信映像および受信映像の品質を大きく改善することができる。
【0071】
(ハードウェア構成)
上記説明した符号化装置100には、汎用的なコンピュータシステムを用いることができる。コンピュータシステムは、例えば、CPU(Central Processing Unit、プロセッサ)と、メモリと、ストレージ(HDD:Hard Disk Drive、SSD:Solid State Drive)と、通信装置と、入力装置と、出力装置とを備える。メモリおよびストレージは、記憶装置である。このコンピュータシステムにおいて、CPUがメモリ上にロードされた所定のプログラムを実行することにより、符号化装置100の各機能が実現される。
【0072】
また、符号化装置100は、1つのコンピュータで実装されてもよく、あるいは複数のコンピュータで実装されても良い。また、符号化装置100は、コンピュータに実装される仮想マシンであっても良い。符号化装置100用のプログラムは、HDD、SSD、USB(Universal Serial Bus)メモリ、CD (Compact Disc)、DVD (Digital Versatile Disc)などのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶することも、ネットワークを介して配信することもできる。
【0073】
本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0074】
(変形例1)
例えば、本実施形態では、同期が外れた場合に符号化を停止する例を示したが、符号化を停止しなくても良い。その場合は、符号化部40に入力するデータを特定のデータに固定すれば良い。例えば、復号された映像がブルー画面になるようなデータを符号化部40に入力する。その場合は、符号化部40は、特定のデータを符号化すれば良い。
【0075】
図9は、変形例1の符号化装置100Aの機能構成を示すブロック図である。変形例1の符号化装置100Aは、特定フレームバッファ60(記憶部)を備え、切替部20の動作が停止し、切替部20から符号化部40に映像信号が供給されない間は、特定フレームバッファ60の映像フレームが符号化部40に供給される点において、
図2に示す上記実施形態の符号化装置100と異なる。
【0076】
特定フレームバッファ60は、符号化制御部50から入力されるスタート/ストップ信号C60によって制御される。特定フレームバッファ60には、所定の映像フレーム(映像信号)が格納されている。所定の映像フレームは、例えばブルー画面が表示されるような映像信号であってもよい。以下、特定フレームバッファ60から供給される映像フレームを「ブルー画面」と称する。
【0077】
ここでは、所定の映像フレームとして、ブルー画面が表示されるような映像フレームが特定フレームバッファ60に格納されていることとするが、所定の映像フレームはこれに限定されない。すなわち、ブルー画面の映像フレームは一例であって、所定の映像フレームは、ブルー画面以外の他の画像が表示される映像フレームであってもよい。
【0078】
特定フレームバッファ60には、ブルー画面が表示される1枚の映像フレームが格納されていてもよく、ブルー画面が表示される複数の映像フレーム(映像信号)が格納されていてもよい。1枚の映像フレームが格納されていている場合、特定フレームバッファ60は、1枚の映像フレームを繰り返し、符号化部40に出力する。
【0079】
切替部20は、上記実施形態と同様に、複数のフレームバッファ30、40を切り替えて、入力された映像フレームをいずれかのフレームバッファ30、40に順次蓄積する蓄積処理と、蓄積した映像フレームを順次出力する出力処理とを行う。
【0080】
変形例1の符号化制御部50は、映像フレームの非同期を検知した場合、切替部20の蓄積処理および出力処理を停止し、特定フレームバッファ60(記憶部)のブルー画面(所定の映像フレーム)を符号化部40に出力する。その後、符号化制御部50は、n個の映像フレームの同期を検知した場合、切替部20の蓄積処理を再開し、n+1個の映像フレームの同期を検知した場合、ブルー画面の符号化部40への出力を停止し、切替部20の出力処理を再開する。
【0081】
図10は、変形例1の符号化装置100Aの処理手順を示すフローチャートである。
図10のフローチャートのステップS4A、S8A、S11Aが、
図6のフローチャートとステップS4、S8、S11と異なる。また、
図10のフローチャートは、
図6にはないステップS71Aを有する。それ以外は、
図10のフローチャートは、
図6のフローチャートと同じである。
【0082】
具体的には、検出された同期信号syncが予定したタイミングで検出されず、同期が外れたと判定された場合(ステップS2のNO)、符号化制御部50は、
図6のステップS4と同様に、切替信号sw21,sw22の切り替えを停止させ、フレームバッファの読み込みと出力を停止し、フレーム読み込み再開カウンタCntを0に設定する(ステップS4A)。そして、変形例1では、符号化部40の符号化処理を停止せずに、符号化部40に特定フレームバッファ60からブルー画面を供給する(ステップS4A)。ここでは、符号化制御部50は、特定フレームバッファ60に対するスタート/ストップ信号C60をスタート(C60=0)にして、ブルー画面を符号化部40に出力する。
【0083】
変形例1では、フレーム周期と一致したsyncが検出されない限り、符号化部40にはブルー画面が供給される(ステップS4A→ステップS5→ステップS6:NO→ステップSS4A)。
【0084】
また、フレーム周期と一致したsyncが検出されても、Cntがn未満の間、符号化部40にはブルー画面が供給される(ステップS6:YES→ステップS7:NO→ステップS71A→ステップS5)。
【0085】
sync検出がCnt=nになった場合(ステップS7のYES)、符号化制御部50は、切替信号sw21,sw22を反転させ切替部20の蓄積処理を再開するが、符号化部40には、特定フレームバッファ60のブルー画面を供給する(ステップS8A)。
【0086】
符号化制御部50は、フレームバッファ読み込み再開後の最初のsyncを検出し(ステップS9)、当該syncが予定通りのタイミングの場合(ステップS10:YES)、特定フレームバッファ60から符号化部40へのブルー画面の供給を停止し、sw21とsw22を反転させて、読み込み済みフレームをいずれかのフレームバッファ30、40から符号化部40に出力する(ステップS11A)。符号化制御部50は、スタート/ストップ信号C60をストップ(C60=1)にして、特定フレームバッファ60のブルー画面の供給を停止する。
【0087】
図11は、映像信号がインタレース方式の場合の変形例1の符号化装置100Aの処理手順を示すフローチャートである。
【0088】
図11は、ステップS121を有する点において、
図7のフローチャートと異なる。すなわち、Cnt=nのフレームがボトムフィールドの場合(ステップS12のNO)、符号化制御部50は、引き続き符号化部40にブルー画面を供給し(ステップS121)、次のフレーム(トップフィールド)のsyncを検出する。
【0089】
(変形例2)
上記の実施形態では、同期が回復した場合に、同期が回復したn=1の映像フレームから、第1・第2フレームバッファ30,31への蓄積を切替部20に再開させる例で説明を行ったが、この例に限定されない。nが2以上の場合、符号化制御部50は、切替部20および符号化部40を停止後、連続してn個の映像フレームの同期を検知した場合、切替部20を再開し、連続してn+1個の映像フレームの同期を検知した場合、符号化部40を再開する。
【0090】
(変形例3)
また、カメラはテレビカメラを例に説明したが、カメラはテレビカメラに限定されない。動画が撮影できるカメラであればどのようなカメラで有っても構わない。
【符号の説明】
【0091】
10:同期信号検出部
20:切替部
21、22:スイッチ
30:第1フレームバッファ
31:第2フレームバッファ
40:符号化部
50:符号化制御部
60:特定フレームバッファ(記憶部)
100:符号化装置
【要約】
【課題】カメラを切り替えた場合でも、受信側での映像の乱れを防止する。
【解決手段】入力される映像フレームの同期信号に基づいて、前記映像フレームが直前の映像フレームと同期しているか否かを検知する制御部50と、複数のフレームバッファ30,31を切り替えて、入力された前記映像フレームをいずれかのフレームバッファに順次蓄積し、蓄積した前記映像フレームを順次出力する切替部20と、前記フレームバッファ30,31から出力される前記映像フレームを符号化する符号化部40と、を備え、前記制御部50は、前記映像フレームの非同期を検知した場合、前記切替部20および前記符号化部40を停止し、その後、n個の映像フレームの同期を検知した場合、前記切替部20を再開し、n+1個の映像フレームの同期を検知した場合、前記符号化部40を再開する。
【選択図】
図2