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特許7304491積み重ね装置および積み重ね装置用の運搬ブロック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-28
(45)【発行日】2023-07-06
(54)【発明の名称】積み重ね装置および積み重ね装置用の運搬ブロック
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/46 20060101AFI20230629BHJP
   B65H 31/00 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
B65H29/46
B65H31/00 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022533620
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-07
(86)【国際出願番号】 EP2020085605
(87)【国際公開番号】W WO2021116325
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】19020685.4
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512159605
【氏名又は名称】ボブスト メックス ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Bobst Mex SA
【住所又は居所原語表記】Route de Faraz 3,CH-1031 MEX(VD),Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【弁理士】
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】ロバデイ ピエール
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特公昭59-052137(JP,B2)
【文献】中国特許出願公開第102582131(CN,A)
【文献】特開昭50-032666(JP,A)
【文献】米国特許第04280690(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/46
B65H 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート要素(12)のデッキ(10)を生じさせる積み重ね装置であって、前記積み重ね装置は、
前記シート要素(12)を輸送するための上側部を備えた運搬装置(14)を有し、前記上側部は、複数のシート区分(50)を有し、前記複数のシート区分(50)は、該シート区分上に配置されるべきシート要素(12)を受け入れるよう構成され、前記複数のシート区分(50)は、ロウ(R)およびコラム(C)の状態に配列され、
前記ロウ(R)は、前記積み重ね装置の輸送方向(T)において互いに整列し、前記コラム(C)は、積み重ね方向(S)において前記ロウに垂直であり、
前記1つのコラム(C)の前記複数のシート区分(50)は、少なくとも1つの第1のシート区分(50)および前記積み重ね方向(S)においてさらに下流側に配置された少なくとも1つの隣の第2のシート区分(50)を含み、
高さオフセット(Δh)が前記積み重ね方向(S)において前記第1のシート区分(50)と前記第2のシート区分(50)との間に設けられ、前記高さオフセット(Δh)により、前記第1のシート区分上の少なくとも1枚のシート要素(12)を前記第2のシート区分(50)上の隣のシート要素の頂部を覆うよう動かしてこの上に位置決めすることができ、
コラム(C)の前記シート区分(50)に沿って前記運搬方向(T)に対して横方向に動かされるよう駆動される少なくとも1つの変位要素(34)を有し、
前記変位要素(34)は、第1のシート区分(50)の前記少なくとも1枚のシート要素(12)を隣の前記第2のシート区分(50)上の前記シート要素(12)の上にずらすために1つのコラム(C)の前記シート区分(50)と係合し、前記変位要素(34)のための案内(40)が前記シート区分(50)の上方に配置され、前記案内は、前記運搬方向(T)において前記運搬装置の前記上側部を横切って斜めに延びている、積み重ね装置。
【請求項2】
前記シート区分(50)の前端部を定める停止突出部(48)が設けられ、より好ましくは、1つのコラム(C)の前記停止突出部(48)が直線配列状態で設けられている、請求項1記載の積み重ね装置。
【請求項3】
前記シート区分(50)は、前記積み重ね方向において勾配が付けられている、請求項1または2記載の積み重ね装置。
【請求項4】
前記シート区分(50)は、前記積み重ね方向において上方に勾配が付けられている、請求項3記載の積み重ね装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの変位要素(34)は、各コラム(C)に関連付けられている、請求項1~4のうちいずれか一に記載の積み重ね装置。
【請求項6】
前記案内(40)は、無端ループ軌道(32)の一部をなしている、請求項1~5のうちいずれか一に記載の積み重ね装置。
【請求項7】
前記変位要素(34)は、前記シート区分(50)よりも下の位置まで延びている、請求項1~6のうちいずれか一に記載の積み重ね装置。
【請求項8】
前記シート区分(50)は、前記変位要素(34)が突き出ている少なくとも1つの側方溝(52)を有し、特に前記側方溝(52)は、前記運搬方向(T)に垂直に延びている、請求項7記載の積み重ね装置。
【請求項9】
少なくとも2つの変位要素(34)が各コラム(C)について設けられ、前記変位要素(34)の各々は、コラム(C)の前記シート区分(50)に設けられた関連の単一溝(52)を有する、請求項8記載の積み重ね装置。
【請求項10】
各コラム(C)の前記変位要素(34)は、前記案内(40)によって案内される共通キャリヤ(36)に取り付けられている、請求項9記載の積み重ね装置。
【請求項11】
前記運搬方向(T)における前記シート区分(50)の運搬速度は、前記運搬方向(T)における前記変位要素(34)の速度に一致している、請求項1~10のうちいずれか一に記載の積み重ね装置。
【請求項12】
前記運搬装置は、無端軌道として形成され、特に、前記無端軌道は、無端ベルトから成るとともに/あるいは前記上側部を構成する異形運搬ブロック(20)が特に無端プルまたはプッシュ機素によって互いに取り付けられ、または無端チェーンを構成するよう互いに取り付けられている、請求項1~11のうちいずれか一に記載の積み重ね装置。
【請求項13】
請求項12記載の前記積み重ね装置のための運搬ブロックであって、前記運搬ブロック(20)は、異形上側部および反対側の下側部を有し、前記上側部は、複数のシート区分(50)を有し、前記複数のシート区分(50)は、該シート区分上に配置されるべきシート要素(12)を受け入れるよう構成され、高さオフセット(Δh)が前記積み重ね方向(S)において隣り合うシート区分(50)相互間に設けられている、運搬ブロック。
【請求項14】
前記運搬ブロック(20)は、前端部(22)および後端部(24)を有し、前記前端部(22)は、前記シート区分(50)の上方に突き出た停止突出部(48)を有するとともに/あるいは前記運搬ブロック(20)は、その上側部のところに設けられていて前記前端部(22)に平行に延びる少なくとも1つの溝(52)を有する、請求項13記載の運搬ブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙、厚紙、またはプラスチックのシート要素のデッキ(パックともいう)を生じさせるための積み重ね装置に関する。さらに、本発明は、積み重ね装置のための輸送ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
個々のシート要素を枚葉紙または巻取紙の形態をした基材から作るコンバート加工(converting)機械が用いられる場合がある。関連のプロセスでは、基材に印刷を施し、これをダイカットして各々が独特のモチーフを備えた個々の印刷済みシート要素を形成することができる。
【0003】
かかるシート要素の一例は、1組のトランプカード(トランプ札)であり、各カードは、シート要素を構成する。印刷およびダイカット後、シート要素をロウ(横列)およびコラム(縦列)の状態に配列し、そしてデッキを形成するよう積み重ねられるようになっている。コンバート加工機械の状態調節区分では、これらシート要素は、当初、ロウおよびコラムの状態で移動し、次に、最終の完全な組を形成するよう互いの頂部上に重なり合うことができる。
【0004】
米国特許第4315710号明細書は、カードを集めてデッキの状態にするための積み重ね装置を開示している。部分的デッキを小さな受け器の中に堆積させ、これら受け器は、移動中のフィンガが受け器を横切って動き、そして1つの部分的デッキを押して他の部分的デッキ上に載せ、それにより単一のデッキを形成することができるようにする幾何学的形状を有している。
【0005】
積み重ね装置の別の例が欧州特許第0093987号明細書に開示されている。この積み重ね装置は、隣り合うカードを横方向に動かすよう構成されており、その結果、これらカードは、互いの頂部上に位置決めされるようになってパイルを形成するようになっている。
【0006】
米国特許第4280690号明細書は、複数のシートを順番に並べるための装置を開示している。この装置は、主運搬コンベヤおよび主運搬コンベヤと角度をなして配列された複数の横方向供給手段を有する。横方向供給手段からのシートは、コンベヤと選択された場所で交差し、その結果、重ね合わされたシートのスタックが作られるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第4315710号明細書
【文献】欧州特許第0093987号明細書
【文献】米国特許第4280690号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、シート要素がつかえて動かなくなるという恐れなく、シート要素を信頼性のある状態で高速で積み重ねることができる、シート要素のデッキを生じさせる積み重ね装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、シート要素のデッキを生じさせる積み重ね装置であって、積み重ね装置は、
シート要素を輸送するための上側部を備えた運搬装置を有し、上側部は、複数のシート区分を有し、複数のシート区分は、該シート区分上に配置されるべきシート要素を受け入れるよう構成され、複数のシート区分は、ロウまたは横列およびコラムまたは縦列をなした状態に配列され、
ロウは、積み重ね装置の輸送方向において互いに整列し、コラムは、積み重ね方向においてロウに垂直であり、
1つのコラムの複数のシート区分は、少なくとも1つの第1のシート区分および積み重ね方向においてさらに下流側に配置された少なくとも1つの隣の第2のシート区分を含み、高さオフセットが積み重ね方向において第1のシート区分と第2のシート区分との間に設けられ、
高さオフセットにより、第1のシート区分上の少なくとも1枚のシート要素を第2のシート区分上の隣のシート要素の頂部を覆うよう動かしてこの上に位置決めすることができ、
コラムのシート区分に沿って運搬方向に対して横方向に動かされるよう駆動される少なくとも1つの変位要素を有し、
変位要素は、第1のシート区分の少なくとも1枚のシート要素を隣の第2のシート区分上のシート要素の上にずらすために1つのコラムのシート区分と係合し、変位要素のための案内がシート区分の上方に配置され、案内は、運搬方向において運搬装置の上側部を横切って斜めに延びていることを特徴とする積み重ね装置を提供する。
【0010】
案内は、運搬方向に対して傾けられているのが良い。それゆえ、案内は、積み重ね装置の平面図で見て傾けられた仕方で端から端まで延びる。
【0011】
「上流側」および「下流側」は、積み重ね方向Sに関して用いられる。「後(または後側)」および「前(または前側)」は、運搬方向Tに関して用いられる。
【0012】
好ましくは、複数のシート要素が第1のシート区分上に配置され、複数のシート要素が隣の第2のシート区分上に配置され、複数のシート区分の各々は、部分的デッキを形成し、変位要素は、第1のシート区分上の部分的デッキを隣の第2のシート区分上の部分的デッキの上にずらすよう構成されている。
【0013】
1つのコラムの部分的デッキは、共通のデッキを形成することができる。それゆえ、「共通デッキ」は、1組のシート要素一式である。かかる共通デッキは、全てのトランプカードを1つのフルデッキの状態で含むことができる。
【0014】
シート要素および積み重ね装置の入力部は、例えば、本明細書で「シート要素」と呼ばれかつ所与のシート厚みを有するトランプカードのサブデッキを形成するように既に数枚のシートで作られていても良い。シート区分相互間の高さオフセットは、少なくともシート厚さと同じほど大きくなければならず、好ましくは、シート厚さよりも大きい。
【0015】
所与の順序での積み重ねを保証するとともに、シート要素を積み重ね目的で取り扱う吸引ツールを使用しないようにするために、本発明は、特定の異形の上側部を備えた運搬装置を用いている。積み重ね方向に沿って延びる特別な輪郭形状により、高い位置にあるシート区分上に位置決めされたシート要素を低い位置にある隣のシート区分上にずらすことができる。このずらしは、変位要素が運搬装置の上側部を横切って動かされることによって達成される。好ましくは、運搬装置の異形上側部は、上側部の輪郭形状を作りやすくする全体を通じて同じロウである。
【0016】
停止突出部がシート区分の前端を定めるよう設けられるのが良い。これにより、シート要素の前縁を停止突出部に接触させた状態でシート要素を互いに完全に整列させることができる。停止突出部は、好ましくは、最も下に位置するシート要素と接触状態にある上シート区分の表面に垂直である。
【0017】
好ましくは、シート区分は、積み重ね方向に勾配が付けられている。勾配は、積み重ね方向において上方に付けられるのが良い。これにより、積み重ね方向においてずらしている間、シートスタックとシート区分の端部が妨げられることなく接触し、その結果、シートスタックは、これらの側方へのずらし運動中に回されないようになっている。好ましくは、勾配は、水平方向に対して2%~10%であるのが良く、例えば5%であるのが良い。各シート区分の前端部は、その後端部よりも低い。円筒形の形をした単一の変位要素がシートスタックを横方向にずらすために用いられる場合に傾斜が特に好適である。
【0018】
1つのコラムの1つまたは複数の停止突出部は、直線配列状態で延びるのが良くまたは設けられるのが良い。これにより、積み重ね方向に沿ってずらされている間にシート要素のスタックの案内が保証される。
【0019】
1つまたは複数の停止突出部は、運搬装置の上側部を構成する部分に一体的に連結されてもよく、あるいは運搬装置の上側部を構成する部分に取り付けられた別個の部分であっても良い。
【0020】
少なくとも1つの変位要素が各コラムと関連しているのが良く、すなわち、少なくとも1つの変位要素が1つのコラムのシート要素を互いの上にずらす。
【0021】
一実施形態では、案内は、直線案内であるのが良く、この案内は、運搬方向に対して10゜から80゜までの角度範囲、特に30゜から70゜までの範囲で延びるのが良い。
【0022】
一実施形態では、案内は、無端ループ軌道の一部をなす。これにより、変位要素の駆動のための信頼性の高い機構が得られる。ベルト、チェーンまたはケーブルのような被動プッシュまたはプル手段がこの軌道内に配置されるのが良い。変位要素は、プッシュまたはプル手段に取り付けられている。
【0023】
軌道は、丸められたコーナー部を備えた三角形の形をしているのが良く、三角形の1つの辺(案内)は、運搬方向に対して傾けられた運搬装置の上側部を横切って延びる。他の2つの辺は、運搬方向において端部に垂直に延びるのが良い。
【0024】
1つまたは複数の変位要素は、好ましくは、上からシート区分の下の位置まで延びる。このようにすると、シート区分の上側部と変位要素の下端部との間に生じる可能性のある隙間を回避することができる。
【0025】
シート区分は、変位要素が突き出る少なくとも1つの側方溝を有するのが良い。これは、上述の隙間を回避するのに役立つ。側方溝は、積み重ね方向に沿って延びるのが良い。積み重ね方向は、好ましくは、運搬方向に垂直である。
【0026】
一実施形態では、各コラムについて少なくとも2つの変位要素が設けられるのが良い。変位要素の各々は、コラムのシート区分に設けられた単一の関連の溝を有することができる。これは、シート要素を安全に接触させる作用効果を持ち、その結果、シート要素は、これらの側方へのずらし運動中に回されることがないようになっている。2つの変位要素の代替手段として、シート長さの少なくとも25%の幅を備えた単一の広幅変位要素が設けられても良い。
【0027】
各コラムの変位要素は、案内によって案内される共通のキャリヤに取り付けられるのが良い。これは、変位要素の十分な安定性を保証する。
【0028】
運搬方向におけるシート区分の搬送速度は、運搬方向における変位要素の速度(より正確に言えば、速度の諸成分)に一致している。これにより、1つまたは複数の変位要素とシート要素との相対運動が運搬方向に垂直に差し向けられた純粋な側方運動であることが保証される。
【0029】
運搬装置は、ループを形成する無端軌道であるのが良い。この無端軌道は、例えば、駆動・偏向ローラによって駆動される無端ベルト、無端チェーン、もしくは無端ケーブル、または複数のこれら機素によって形成されるのが良い。
【0030】
異形運搬ブロックは、運搬装置の上側部を構成する。これら異形運搬ブロックは、互いに取り付けられている。
【0031】
一実施形態では、無端の可撓性プッシュまたはプル機素、例えば無端ベルト、チェーンまたはケーブルが設けられ、運搬ブロックは、対応の無端プッシュまたはプル機素に取り付けられる。
【0032】
別の実施形態では、運搬ブロックは、無端チェーンを構成するために回転軸によって互いに直に取り付けられる。
【0033】
運搬ブロックは、これらが最終の偏向または駆動ローラに達したときに運搬装置の上側部の端部のところで下方に動きまたは旋回しなければならないので互いにしっかりと連結されてはいない。このように、シート要素を放出した後の運搬ブロックは、テーブル状上側部の下に動かされるのが良い。運搬ブロックは、次に、これが上側部の一部を再び構成するよう上方に動かされる運搬装置の前端部のところまで偏向ローラに向かって反運搬方向に動かされる。
【0034】
搬送装置、すなわち無端ベルトがシート区分の最も下のロウと関連した運搬装置の縁部に隣接して配置される。変位要素は、デッキを積み重ね装置から取り出す隣の搬送装置上にデッキをずらすよう配置されている。
【0035】
本発明はまた、本発明に係る積み重ね装置のうちの運搬ブロックを提供する。運搬ブロックは、異形の上側部および反対側の下側部を有する。上側部は、複数のシート区分を有し、複数のシート区分は、シート区分上に配置されるべきシート要素を受け入れるよう構成され、高さオフセットが積み重ね方向において隣り合うシート区分相互間に設けられる。
【0036】
運搬ブロックは、前端部および後端部を有し、前端部は、シート区分の上方に付き出た停止突出部を有するとともに/あるいは運搬ブロックは、その上側部のところに設けられていて前端部に平行に延びる少なくとも1つの溝を有する。
【0037】
運搬ブロックは、プラスチック材料から成形されるのが良い。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明にかかる積み重ね装置の一実施形態の平面図である。
図2図1に記載された積み重ね装置の上側部の一部の斜視図である。
図3】積み重ねプロセスの終了時における図1の積み重ね装置の上側部の斜視図である。
図4】積み重ねプロセスの初めにおける図1の積み重ね装置の詳細図である。
図5図1の積み重ね装置の本発明の一実施形態に係る運搬ブロックを示す図である。
図6】本発明に従ってキャリヤの向きを制御する案内の一例を示す図である。
図7】本発明に従ってキャリヤの向きを制御しない案内の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1には、紙、厚紙(段ボールを含む)またはプラスチックで作られたシート要素12のデッキ10を生じさせる積み重ね装置が示されている。
【0040】
積み重ね装置は、運搬装置14を有し、運搬装置14は、1つ以上のローラ18によって駆動されるとともに偏向ローラに部分的に巻き付けられるプッシュまたはプル手段、例えば無端ベルト16(図4参照)を有する無端軌道である。
【0041】
無端ベルト16に代えて、チェーンまたは1本以上の無端ケーブルを設けることができる。かくして、「無端ベルト」という用語が以下において用いられる場合にはいつでも、無端ベルト16に代えてチェーン、ケーブルなどを用いることができる。
【0042】
幾つかの細長い運搬ブロック20が無端ベルト16の外側部に取り付けられている(図1および図4参照)。
【0043】
無端ベルト16は、運搬方向Tに駆動される(図1および図4参照)。
【0044】
運搬ブロック20は、これらの長い方の側部が運搬方向Tと一致した状態で配置されるのが良い。変形例として、図示していない実施形態では、運搬ブロックの長い方の側部は、運搬方向Tに垂直に差し向けられても良い。
【0045】
角運搬ブロック20は、前端部22および後端部24を有し、これら端部は、互いに対しかつ積み重ね方向Sに平行でありかつ運搬方向Tに対して垂直である。
【0046】
さらに、各運搬ブロック20は、上流側の第1の長手方向縁部26(この場合、運搬方向Tでみて左側の縁部)および反対側の縁部28を有する。すべてのブロック20の縁部26,28は、運搬装置の長手方向縁部を構成する。
【0047】
変位装置30が運搬装置の上側部の上方に配置されている。「上側部」は、無端ベルト16から上方に突き出た、すなわち、上方に方向付けられているこれらの上端部を有する運搬ブロック20の全てによって構成される。無端ベルト16がその運搬ブロック20と一緒に動かされているとき、運搬ブロック20のうちで下方に向いているものがあれば、上方に向いているものもある。
【0048】
変位装置30は、変位要素34を案内するとともに駆動する無端ループ軌道32を有する(図2図4を参照)。
【0049】
一実施形態では、単一の変位要素34がキャリヤ36に取り付けられ、または軌道32に沿って動かされる無端プッシュまたはプル機素110、例えば、チェーン、無端ベルトまたはケーブルに直接取り付けられる。変位要素34は、好ましくは、各シート要素の長手方向側部の中央に配置され、その結果、シート要素は、その側方ずらし運動中に回されないようになる。この実施形態により、キャリヤ36は、垂直軸線回りに自由に回転することができ、その結果、単純なシステムが得られる。別の実施形態では、2つの変位要素34がフォーク状本体を形成するためにキャリヤ36に取り付けられる。キャリヤ36は、軌道32中に突き出たピン38(図4参照)を有し、無端プッシュまたはプル機素、例えばチェーン、無端ベルトまたはケーブルがこの軌道中に動かされる。ピン38は、案内軌道32内に設けられたスライダに結合され、スライダは、プッシュまたはプル機素に取り付けられる。無端プッシュまたはプル機素を動かすための駆動手段として、プッシュまたはプル機素に係合する歯車または摩擦ローラを備えたモータが用いられるのが良い。この実施形態では、垂直軸線に沿うキャリヤ36の向きは、固定されなければならず、かくして、案内40は、キャリヤ36の向きを制御するよう配置されなければならない。
【0050】
案内される機素の向きを制御するよう配置されまたは案内される機素の向きを自由にしたままにする直線案内が先行技術において周知である。図6は、キャリヤ36の向きを制御する案内40の一例を示し、図7は、キャリヤの向きが十分には制御されないが、具体化するのが簡単な案内の一例を示している。
【0051】
図6は、2つの内側方溝101を備えた案内40を示している。案内型キャリヤ102が玉軸受および外側異形部104を備えた3つのホイール106を有し、外側異形部104は、溝101中に嵌まり込むようになっている。案内型キャリヤ102は、その3つのホイール106が溝101中に嵌め込まれる際、単一の自由度を有し、その結果、その下に取り付けられている変位要素34の向きが制御される。案内型キャリヤ102は、案内型キャリヤを案内40に沿って動かす無端プッシュまたはプル機素110、例えばチェーン、無端ベルトまたはケーブルに連結された状態でこれによって運搬される。無端プッシュまたはプル機素は、図6に示されているように案内型キャリヤ102と変位要素34との間にまたは案内型キャリヤ102の上方に配置されるのが良い。図7は、案内型キャリヤ102が嵌め込まれる溝112を備えた案内40を示している。案内型キャリヤ102を溝112中に嵌めこむことにより、変位要素34の方向Vに沿う向きが固定され、それにより積み重ね方向Sに沿うシートのスタックの適正な整列が保証される。案内型キャリヤ102は、案内40に沿って無端プッシュまたはプル機素110、例えばチェーン、無端ベルトまたはケーブルによって運搬される。
【0052】
軌道32は、2つの辺または側が互いに垂直に配置された三角形の形をしている。第1の辺または側は、運搬方向Tに平行に延び、第2の辺または側は、これに垂直に延びる。「案内」40と呼ばれている第3の辺または側は、上側部の端から端まで角度をなして延びている(図1参照)。
【0053】
案内40は、運搬装置の上側部の端から端まで運搬方向Tに対して10゜~80゜、特に30゜~70゜の角度αをなして延びるのが良い(図1参照)。
【0054】
案内40は、左側の長手方向縁部のところの後端部42から右側の長手方向縁部のところの前端部44まで直線状に延びている。
【0055】
図1図2、および図3から理解できるように、キャリヤ36は、これらキャリヤが位置決めされている軌道32の部分に対して互いに異なる角度で整列している。キャリヤ36は、案内40の長手方向Tに対して傾けられた状態で案内40に沿って配置され、軌道32の残部では、キャリヤ36は、軌道方向に配置されている。デフレクタ要素または駆動要素がキャリヤ36をこれに対応して整列させるよう設けられている。
【0056】
図1から理解できるように、非常に多くのシート要素12がロウR(運搬方向Tに整列している)およびコラムC(積み重ね方向Sに整列している)をなして運搬装置の上側部上に分布して配置されている。複数の運搬ブロック20(図4参照)は、ロウRおよびコラムCで定められ、これら運搬ブロックは、シート要素12が乗るシート区分50を提供している。一実施形態では、各運搬ブロック20は、当初、1枚のシート要素12を受け入れるのが良い。しかしながら、好ましい実施形態では、各運搬ブロック20は、部分的デッキの形態を下複数の重ね合わされたシート要素12を受け入れるよう構成されている。このようにすると、本発明の積み重ね装置は、複数の部分的デッキを互いの頂部上に積み重ねることができ、しかも大きなデッキ10全体を迅速に形成することができる。
【0057】
本発明の積み重ね装置は、数個のコラムCを有することができるので、各コラムCは、好ましくは、少なくとも1つの変位要素34と関連する(上述したように)。変位要素34は、無端ループ軌道32に沿って移動し、非常に多くの変位要素34を無端ループ軌道32に沿って分布して配置できる。変位要素34は、好ましくは、無端ループ軌道34に沿って互いに一定距離を置いて等間隔に分布して配置される。これにより、コラムCのシート区分50と連続的に係合するために、変位要素34の一定の供給が得られるようになる。それゆえ、これにより、変位要素34のうちで動作状態にあることができるものがあり(すなわち、コラム内で動く)、無端ループ軌道32の戻り経路上に位置決めされるものもある。
【0058】
かかる部分的デッキを作る装置および方法が国際出願PCT/EP2020/085546号明細書に記載されており、この国際出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。PCT/EP2020/085546号明細書に記載された装置は、上流側に配置される積み重ね装置であり、この積み重ね装置は、部分的デッキを形成するために、幾つかの運搬経路(すなわち、ロウR)中の個々のシート要素12を運搬方向Tにおいて互いの頂部上に次第にオーバーラップさせるよう設計されている。
【0059】
このようにすると、本発明の積み重ね装置は、部分的デッキを運搬方向Tに垂直な方向において各コラムCから重ね合わせてデッキ一式が作られるようにするよう、PCT/EP2020/085546号明細書の装置のさらに下流側で使用できる。
【0060】
シート要素12は、後端部のところで、案内40に到達する前に、1枚ずつ互いに配置されるとともに互いに距離を置いて配置される。したがって、各シート要素12は、特定のロウおよび特定のコラムの位置を有する。
【0061】
運搬方向Tにおける運搬装置の上側部上で運搬されている間、かつ上流側のシート要素12が案内40に到達するや否や、コラムCのシート要素12は、上流側側部上のシート要素12から、すなわち、図中の左側の長手方向縁部から始まって下流側側部上の反対側の長手方向縁部、すなわち、図中の右側の長手方向縁部に向かって連続的に変位する。
【0062】
上流側から下流側へのシート要素12の変位は、変位要素34が図4で理解できるようにシート要素12の上流側側部の上流側縁部に係合することによって達成される。変位要素34の各対は、この対がシート要素12に接触し始めるコラムCに関連付けられる。
【0063】
図1は、キャリヤ36が運搬方向におけるシート要素12のこれらのコラムCと一緒に動くことを示している。キャリヤ36は、運搬方向Tに動くとともに積み重ね方向においてこれに対して横方向に動く。運搬方向Tにおけるこれらの運動速度は、運搬装置の速度に一致している。
【0064】
図1図4から理解できるように、1つのコラムCのシート要素12は、対応の変位要素34によって運搬方向Tに動かされると縁部28までずらされる。シート区分50のうちの1つに形成される部分的デッキは、このシート区分に隣接して位置するシート要素上にずらされ、その結果、デッキの高さは、1つのコラムCの全てのシート要素12が一緒に積み重ねられるまでいつまでも増大するようになる。
【0065】
案内40の端部28のところで、変位要素34は、デッキ10を無端ベルトの形態を下搬送装置70上にずらす。搬送装置70の上側部は、縁部28を構成する最も下のシート区分50よりもわずかに下に配置されている。
【0066】
図1は、各運搬ブロック20が1つのコラム、好ましくは単一のコラムCに関連付けられていることをさらに示している。かくして、1つのコラムCのシート要素12は、1つの運搬ブロック20の上側部上に位置決めされる。
【0067】
1つのコラムCのシート要素12を運搬方向Tにおいて完全に整列させるため、各運搬ブロック20は、その前側端部のところに少なくとも1つの関連の停止突出部48を有する。図2は、停止突出部48が運搬装置の上側部上に突き出ているとともに1つのコラムCの停止突出部48が直線をなして配置されている状態を示している。運搬ブロック20は、例えば、成形プラスチック部品である。
【0068】
停止突出部48は、運搬ブロック20に一体に形成されても良く、運搬ブロック20の前側部に取り付けられた別個のプレート状部品によって構成されても良い(図4参照)。
【0069】
図5から理解できるように、各シート区分50は、積み重ね方向Sにおいて隣のシート区分50に対して高さオフセットΔhを持った状態で配置されている。シート区分50はどれも、積み重ね方向Sにおいて上流側から下流側に移動することで、その隣のシート区分50との高さオフセットΔhを示す。この高さオフセットは、シート要素厚さと少なくとも同じ程度大きくなければならず、好ましくはこれよりも大きく、その目的は、シート要素の適正な積み重ねを保証することにある。所与のコラムCにおいて、最も上流側に位置するシート区分は、「最も高い位置にある」シート区分、または「上の方に位置する」シート区分とも呼ばれ、最も下流側に位置するシート区分は、「最も低い位置にある」シート区分と呼ばれ、このことは、たとえ水平と比較してこれらのそれぞれの高さが同一であったとしてもこの通りである。高さオフセットΔhにより、シート要素を互いの上にずらすことができる(図2で理解できるように)。
【0070】
1つのコラムCのシート区分50は、第1の長手方向縁部50Aおよび第2の長手方向縁部50Bを有する。第2の長手方向縁部50Bは、第1の長手方向縁部50Aよりも積み重ね方向Sにおいて下流側に配置されている。第1のシート区分50の第2の長手方向縁部50Bは、積み重ね方向Sのさらに下流側に配置された隣の第2のシート区分50の第1の長手方向縁部50Aよりも高い垂直位置に配置されている。これにより、積み重ね方向Sにおいて隣り合うシート区分50相互間の高さオフセットΔhが得られる。第1の長手方向縁部50Aおよび第2の長手方向縁部50Bをシート要素12のそれぞれの縁部と整列させることができる。
【0071】
たとえ最も下のシート区分50のところであっても運搬装置の上側部と変位要素34の最も下の端部との間に隙間が生じるのを回避するため、変位要素34は、その運搬ブロック20に設けられた関連の側方溝52中に延びる。側方溝52は、その運搬ブロック20の幅全体に沿って延び、その結果、変位要素34は、縁部26のところで側方溝に入ることができ、そして縁部28のところでこれら側方溝から出ることができるようになっている。
【0072】
運搬ブロック20の長手方向溝54により、プレート状案内は、シート要素12がシート区分50上に正確に位置決めされるようにするためにシート要素12のロウR相互間に延びることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7