(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-28
(45)【発行日】2023-07-06
(54)【発明の名称】EUVリソグラフィ方法、およびEUVリソグラフィ装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20230629BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
G03F7/20 503
G03F7/20 502
H01L21/30 565
(21)【出願番号】P 2023078841
(22)【出願日】2023-05-11
【審査請求日】2023-05-12
(31)【優先権主張番号】202210807148.0
(32)【優先日】2022-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523175476
【氏名又は名称】上海伝芯半導体有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI CHUANXIN SEMICONDUCTOR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】5F South, Bldg 1, Lane 2699 Jiangshan Rd, Lingang Special Area, China (Shanghai) Pilot Free Trade Zone, Shanghai 201306, China
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】季明華
(72)【発明者】
【氏名】董于虎
(72)【発明者】
【氏名】黄早紅
【審査官】三好 貴大
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-250511(JP,A)
【文献】特開2009-038360(JP,A)
【文献】国際公開第2009/022504(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20 -7/24
9/00 -9/02
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
EUVフォトレジスト層が形成されているウェハを提供するステップ;
前記EUVフォトレジスト層の表層が親水性表層になるように、DUV光源を用いて、前記EUVフォトレジスト層の表層をDUV露光するステップ;
前記EUVフォトレジスト層の親水性表層に水蒸気を供給し、且つ供給された前記水蒸気の少なくとも一部が前記EUVフォトレジスト層の親水性表層上で凝縮されて一層の水膜を形成するステップ;
EUV光源を用いて、EUVマスク上のパターンを前記水膜を透過して前記親水性表層の下方のEUVフォトレジスト層に露光するステップ;
を含む、ことを特徴とするEUVリソグラフィ方法。
【請求項2】
前記親水性表層の厚さが2nm未満である、ことを特徴とする請求項1に記載のEUVリソグラフィ方法。
【請求項3】
DUV露光の波長が193nm~248nmであり、露光量が1mJ/cm
2未満である、ことを特徴とする請求項1に記載のEUVリソグラフィ方法。
【請求項4】
前記EUVフォトレジスト層の表層を少なくとも1回DUV露光をし、且つ毎回DUV露光する時間が5秒~10秒である、ことを特徴とする請求項1に記載のEUVリソグラフィ方法。
【請求項5】
毎回前記DUV露光が終わった後、または全ての回数のDUV露光が完成し終わった後に、前記EUVフォトレジスト層の表層をプラズマ処理して、前記親水性表
層の親水性を増強する、ことを特徴とする請求項4に記載のEUVリソグラフィ方法。
【請求項6】
前記プラズマ処理に用いられるプラズマは、N、O、Hの少なくとも一つを含む、ことを特徴とする請求項5に記載のEUVリソグラフィ方法。
【請求項7】
前記プラズマ処理の工程条件が、10mTorr~100mTorrの工程圧力を含む、ことを特徴とする請求項5に記載のEUVリソグラフィ方法。
【請求項8】
脱イオン水が混合されている所望の湿度の担体気体流で、前記EUVフォトレジスト層の親水性表
層に水蒸気を提供する、ことを特徴とする請求項1に記載のEUVリソグラフィ方法。
【請求項9】
前記担体気体流が、窒素および/または不活性気体を含む、ことを特徴とする請求項8に記載のEUVリソグラフィ方法。
【請求項10】
前記所望の湿度が少なくとも60%である、ことを特徴とする請求項8に記載のEUVリソグラフィ方法。
【請求項11】
前記水膜の厚さが、少なくともλ/2nナノメートルであり、ここで、λは、EUV光源の波長であり、nは水の屈折率である、ことを特徴とする請求項1に記載のEUVリソグラフィ方法。
【請求項12】
DUV光源を備えるDUV露光システム、EUV光源を備えるEUV露光システム、および前記EUV露光システムの外周に配置された気体供給システムを含み、
前記DUV露光システムは
、EUVフォトレジスト層の表層が親水性表層になるように、前記DUV光源を用いて対応するウェハ上の
前記EUVフォトレジスト層の表層をDUV露光するために用いられ;
前記気体供給システムは、前記EUV
フォトレジスト層の親水性表層に水蒸気を供給し、且つ供給された前記水蒸気の少なくとも一部が前記
EUVフォトレジスト層の親水性表層で凝縮されて一層の水膜を形成するようにするために用いられ;
前記EUV露光システムは、前記EUV光源を用いてEUVマスク上のパターンが前記水膜を透過して前記親水性表層の下方のEUVフォトレジスト層上に露光されるようにするために用いられる、ことを特徴とするEUVリソグラフィ装置。
【請求項13】
前記気体供給システムは、脱イオン水が混合されている所望の湿度の担体気体流を利用して、前記ウェハ上のEUVフォトレジスト層の親水性
表層に水蒸気を供給し、且つ、前記気体供給システムは、DUV露光中およびEUV露光中に全部閉じられている、ことを特徴とする請求項12に記載のEUVリソグラフィ装置。
【請求項14】
前記気体供給システムで供給される担体気体流が、窒素および/または不活性気体を含む、ことを特徴とする請求項13に記載のEUVリソグラフィ装置。
【請求項15】
前記所望の湿度が少なくとも60%である、ことを特徴とする請求項13に記載のEUVリソグラフィ装置。
【請求項16】
前記DUV露光システムの外周または前記EUV露光システムの外周に配置されたプラズマ処理システムをさらに含み、前記プラズマ処理システムは、前記DUV光源を用いて前記EUVフォトレジスト層の表層にDUV露光を行った後、且つ、前記気体供給システムが水蒸気を供給する前に、前記親水性表層をプラズマ処理して、前記親水性表層の親水性を増強させる、ことを特徴とする請求項12~15のいずれか一項に記載のEUVリソグラフィ装置。
【請求項17】
前記プラズマ処理システムで供給されるプラズマは、N、O、Hの少なくとも一つを含む、ことを特徴とする請求項16に記載のEUVリソグラフィ装置。
【請求項18】
前記DUV露光システムはDUVウェハステージを有し、前記EUV露光システムはEUVウェハステージを有し、前記EUVリソグラフィ装置はデュアルウェハステージリソグラフィ機械であり、前記DUVウェハステージと前記EUVウェハステージの中の一つのウェハステージが露光操作を行う間に、もう一つのウェハステージはローディング、アライメントまたはアンローディングを含む非露光操作を行う、ことを特徴とする請求項12~15のいずれか一項に記載のEUVリソグラフィ装置。
【請求項19】
前記DUV露光システムはDUVウェハステージを有し、前記EUV露光システムはEUVウェハステージを有し、前記EUVリソグラフィ装置はデュアルウェハステージリソグラフィ機械であり、前記DUVウェハステージと前記EUVウェハステージの中の一つのウェハステージが露光操作を行う間に、もう一つのウェハステージはローディング、アライメントまたはアンローディングを含む非露光操作を行う、ことを特徴とする請求項17に記載のEUVリソグラフィ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路製造技術分野に関し、特に、EUVリソグラフィ方法、およびEUVリソグラフィ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィ装置は、フォトマスク(photo mask)上の回路パターンを拡大または縮小した倍率で集積回路(IC)を製造するためのウェハ上に投影することができる。また、ウェハ上の回路パターンの特徴寸法とリソグラフィ装置のパラメータとの間には、CD=k1*λ/NAの関係がある(いわゆるレイリー基準)。関係式において、λは、リソグラフィ装置に用いられる露光光源の波長、NAは、リソグラフィ装置における投影モジュールの開口数、k1は、露光プロセスに関する調整係数であって、レイリー定数1とも呼ばれ、CDは、ウェハ上の回路パターンの特徴寸法(または限界寸法)である。
【0003】
集積回路製造技術の急速な発展に伴い、集積回路の特徴寸法CDが持続的に縮小されるにつれて、集積度が徐々に向上され、リソグラフィ装置に用いられる露光光源の波長λも徐々に低下している。現在用いられている主なリソグラフィ技術は、露光光源として、193nm~248nmの波長を有する深紫外レーザ(deep ultraviolet lithography(深紫外リソグラフィ)、略称:DUV)を採用している。DUVリソグラフィ装置によって実施される露光工程(二重露光、および多重露光など)も、DUV波長で実現できるリソグラフィの限界にますます近づいているが、集積回路の特徴寸法CDのさらなる微細化のニーズに応えることは困難である。そこで、極端紫外線(extreme ultraviolet lithography(極端紫外線リソグラフィ)、略称:EUV)波長を用いた極端紫外線リソグラフィ装置(EUVL)が登場し、より大きな競争優位性が具現され、次世代リソグラフィ技術の最初の選択肢となっている。
【0004】
ここで、EUVリソグラフィ方法、およびEUVリソグラフィ装置のグラフィック解像度を向上し、従来よりも精密な構造を製造することは、当業者が関心を持っているイシューの1つである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】中国特許出願公開第102866580号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、EUVリソグラフィ技術のグラフィック解像度を向上させ、従来よりも精密な構造を製造することができるEUVリソグラフィ方法、およびEUVリソグラフィ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、
EUVフォトレジスト層が形成されているウェハを提供するステップ;
前記EUVフォトレジスト層の表層が親水性表層になるように、DUV光源を用いて、前記EUVフォトレジスト層の表層をDUV露光するステップ;
前記EUVフォトレジスト層の親水性表層に水蒸気を供給し、且つ供給された前記水蒸気の少なくとも一部が前記EUVフォトレジスト層の親水性表層上で凝縮されて一層の水膜を形成するステップ;
EUV光源を用いて、EUVマスク上のパターンを前記水膜を透過して前記親水性表層の下方のEUVフォトレジスト層に露光するステップ;
を含む、EUVリソグラフィ方法を提供する。
【0008】
選択的に、前記親水性表層の厚さが2nm未満である。
【0009】
選択的に、DUV露光の波長が193nm~248nmであり、露光量が1mJ/cm2未満である。
【0010】
選択的に、前記EUVフォトレジスト層の表層を少なくとも1回DUV露光をし、且つ毎回DUV露光する時間は5秒~10秒である。
【0011】
選択的に、毎回前記DUV露光が終わった後、または全ての回数のDUV露光が完成し終わった後に、前記EUVフォトレジスト層の表層をプラズマ処理して、前記親水性表面の親水性を増強する。
【0012】
選択的に、前記プラズマ処理に用いられるプラズマは、N、O、Hの少なくとも一つを含む。
【0013】
選択的に、前記プラズマ処理の工程条件は、10mTorr~100mTorrの工程圧力を含む。
【0014】
選択的に、脱イオン水が混合されている所望の湿度の担体気体流で、前記EUVフォトレジスト層の親水性表面に水蒸気を提供する。
【0015】
選択的に、前記担体気体流は、窒素および/または不活性気体を含む。
【0016】
選択的に、前記所望の湿度は少なくとも60%である。
【0017】
選択的に、前記水膜の厚さは、少なくともλ/2nナノメートルであり、ここで、λは、EUV光源の波長であり、nは水の屈折率である。
【0018】
同じ発明概念に基づいて、本発明は、DUV光源を備えるDUV露光システム、EUV光源を備えるEUV露光システム、および前記EUV露光システムの外周に配置された気体供給システムを含み、前記DUV露光システムは、前記EUVフォトレジスト層の表層が親水性表層になるように、前記DUV光源を用いて対応するウェハ上のEUVフォトレジスト層の表層をDUV露光するために用いられ、
前記気体供給システムは、前記EUVレジスト層の親水性表層に水蒸気を供給し、且つ供給された前記水蒸気の少なくとも一部が前記フォトレジスト層の親水性表層で凝縮されて一層の水膜を形成するようにするために用いられ、
前記EUV露光システムは、前記EUV光源を用いてEUVマスク上のパターンが前記水膜を透過して前記親水性表層の下方のEUVフォトレジスト層上に露光されるようにするために用いられる、EUVリソグラフィ装置をさらに提供する。
【0019】
選択的に、前記気体供給システムは、脱イオン水が混合されている所望の湿度の担体気体流を利用して、前記ウェハステージに配置されたウェハ上のEUVフォトレジスト層の親水性層に水蒸気を供給し、且つ、前記気体供給システムは、DUV露光中およびEUV露光中に全部閉じられている。
【0020】
選択的に、前記気体供給システムで供給される担体気体流は、窒素および/または不活性気体を含む。
【0021】
選択的に、前記所望の湿度は少なくとも60%である。
【0022】
選択的に、前記EUVリソグラフィ装置は、前記DUV露光システムの外周または前記EUV露光システムの外周に配置されたプラズマ処理システムをさらに含み、前記プラズマ処理システムは、前記DUV光源を用いて前記EUVフォトレジスト層の表層にDUV露光を行った後、且つ、前記気体供給システムが水蒸気を供給する前に、前記親水性表層をプラズマ処理して、前記親水性表層の親水性を増強させる。
【0023】
選択的に、前記プラズマ処理システムで供給されるプラズマは、N、O、Hの少なくとも一つを含む。
【0024】
選択的に、前記DUV露光システムはDUVウェハステージを有し、前記EUV露光システムはEUVウェハステージを有し、前記EUVリソグラフィ装置はデュアルウェハステージリソグラフィ機械であり、前記DUVウェハステージと前記EUVウェハステージの中の一つのウェハステージが露光操作を行う間に、もう一つのウェハステージはローディング、アライメントまたはアンローディングを含む非露光操作を行う。
【0025】
従来技術に比べて、本発明の技術的手段は、少なくとも以下の有益な効果を奏する:
ウェハ上に塗布されたEUVフォトレジスト層にEUVリソグラフィを行う前に、EUVフォトレジスト層の表層をDUV露光して、EUVフォトレジスト層の表層が親水性表層になり、また、EUVフォトレジスト層の親水性表層に水を凝縮して一層の薄厚の水膜を形成するようにすることにより、EUVフォトレジスト層にEUV露光を行う過程で、水の屈折率が空気の屈折率よりも大きい性質を利用して、有効波長が短くなるという効果を奏することができ、EUV露光後のグラフィック解像度とコントラストがさらに向上され、従来よりも精密な構造に製造されるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】従来のEUVリソグラフィ装置の構造を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるEUVリソグラフィ方法のフローチャートである。
【
図3】本発明の一実施形態によるEUVリソグラフィ方法のフローチャートにおけるデバイス構造の断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるEUVリソグラフィ方法のフローチャートにおけるデバイス構造の断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態によるEUVリソグラフィ方法のフローチャートにおけるデバイス構造の断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態によるEUVリソグラフィ方法のフローチャートにおけるデバイス構造の断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態によるEUVリソグラフィ方法のフローチャートにおけるデバイス構造の断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態によるEUVリソグラフィ方法で用いられるEUVマスクの断面構造を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態によるEUVリソグラフィ装置の構造を示す図である。
【
図10】本発明の他の実施形態によるEUVリソグラフィ装置の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の説明では、本発明をより完全に理解するために、多数の特定の詳細について説明する。しかしながら、これらの特定の詳細の1つまたは複数がなくても本発明を実施することができることは、当業者にとって自明である。他の例において、本発明を不明瞭にすることを回避するために、本分野において公知の特徴は説明しない。なお、本発明は、様々な形態で実施されることができ、ここで開示される実施例に限定されるように解釈されてはならないことに理解されるべきである。それどころか、これらの例は、これら実施例を十分且つ完全に開示するために提供され、当業者に本発明の範囲を十分に受け止めてもらうために提供される。図面においては、明瞭さの目的で、層および領域の大きさおよび相対的大きさが誇張されていることがあり、図面において、同じ参照符号は同じ要素を示す。
【0028】
理解すべきことは、要素または層が他の要素または層「...の上にある」と記載される場合、それは、直接他の要素または層の上にあり、それに隣接し、接続されまたは結合されてもよく、またはそれらは、中間の要素または層が存在してもよい。逆に、要素が他の要素または層に「直接...の上にある」と記載される場合、中間の要素または層が存在しない。理解すべきことは、第一、第二、第三という用語を用いて各種の要素、部品、領域、層、部分および/または工程を記述することができるが、これらの要素、部品、領域、層、部分および/または工程は、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、一つの要素、部品、領域、層、部分および/または工程を別の要素、部品、領域、層、部分および/または工程と区別する目的のみに用いられる。したがって、本発明の教示を逸脱することなく、以下に討論される第一の要素、部品、領域、層、部分および/または工程は、第二の要素、部品、領域、層、部分および/または工程と表してもよい。
【0029】
空間的関係用語、例えば「・・・の下にある」、「・・・の下方にある」、「下の」、「・・・の下部にある」、「・・・の上にある」、「上の」、「頂部に」、「底面に」、「正面」、「背面」などは、本明細書では、記述を容易にするために使用されてもよく、それによって、図に示された一つの要素または特徴と他の要素または特徴との関係を記述する。理解すべきことは、図に示される配向のほか、空間的関係用語は、使用および操作中のデバイスの異なる配向をさらに含むことを意図する。例えば、添付図面における要素が反転する場合、「他の要素の下にある」または「その下にある」または「その下方にある」または「底面で」または「その背面で」と記述される要素または特徴は、他の要素または特徴の「上」または「頂」または「正」にあると配向される。したがって、「・・・の下にある」、「・・・の下方にある」および「背面にある」という例示的な用語は、上と下の両方の配向を含んでもよい。デバイスは、追加的に配向(90度回転または他の配向)されてもよく、且つ本明細書で使用される空間的記述用語は、それに応じて解釈される。
【0030】
本明細書で使用される用語の目的は、具体的な実施例を記述するだけであり、且つ本発明を限定するものではない。ここで使用される場合、単数形の「一」、「一つ」および「前記/該」は、文脈が他の方式を明示的に示していない限り、複数形を含むことも意図する。さらに理解すべきことは、用語「構成する」および/または「含む」は、該明細書で使用されるときには、前記特徴、整数、ステップ、操作、要素および/または部品の存在を決定するが、一つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、部品および/または組の存在または追加を排除するものではない。また、「および/または」という用語は、関連列挙項目のいずれかおよび全ての組み合わせを含む。
【0031】
背景技術に記載されたように、EUVリソグラフィ装置、およびEUVリソグラフィ方法のグラフィック解像度を向上し、従来よりも精密な構造を製造することは、当業者が関心を持っているイシューの1つである。
【0032】
現在のEUVリソグラフィ装置は、ドライリソグラフィ装置であり、その典型的な構造は、
図1に示されるように、EUV光源110、EUV照明モジュール111、EUVマスク20を載置するためのEUVマスクテーブル112、EUV投影モジュール113、およびウェハ30を載置するためのEUVウェハステージ114を含む。
【0033】
従来技術において、EUVリソグラフィ装置およびEUVリソグラフィ方法のグラフィック解像度を向上し、従来よりも精密な構造に製造して、集積回路の特徴寸法CDのさらなる縮小ニーズ(例えば、5nm以下)を満たすためには、通常、EUVリソグラフィ装置のアップグレード、すなわち、EUVリソグラフィ装置のEUV光源、EUV照明モジュール111、EUV投影モジュール113などの構造を改善することによって実現される。例えば、以前よりも高い像側開口数NAを有する投影モジュールを開発することにより、EUVリソグラフィ装置の解像能力をさらに向上させる。明らかではあるが、この方法はコストが高くかかる。
【0034】
したがって、本発明は、EUVフォトレジスト層にEUV露光を行う前に、まず、EUVフォトレジスト層の表層にDUV露光を行って、親水性表層を形成し、また、この親水性表層の表面に水蒸気を提供して薄厚の水膜を形成し、さらに、EUV露光中にEUV露光ビームがこの水膜の有効波長を短くする性質を利用して、EUVリソグラフィのグラフィック解像度とコントラストがさらに向上されるようにし、それにより、より簡単な手段、且つ低コストで、EUVリソグラフィ技術のグラフィック解像度を向上させる効果を達成し、従来よりも精密な構造を製造することができるEUVリソグラフィ方法およびEUVリソグラフィ装置を提供する。
【0035】
以下、
図2~
図10および具体的な実施形態を結合して、本発明のEUVリソグラフィ方法をおよびEUVリソグラフィ装置について詳しく説明する。
【0036】
図2を参照すると、本発明の一実施形態は、具体的には、
S1:EUVフォトレジスト層が形成されているウェハを提供するステップ;
S2:DUV光源を用いて、前記EUVフォトレジスト層の表層をDUV露光して、前記EUVフォトレジスト層の表層が親水性表層になるようにするステップ;
S3:前記EUVフォトレジスト層の親水性表層に水蒸気を供給し、且つ供給された前記水蒸気の少なくとも一部が前記EUVフォトレジスト層の親水性表層で凝縮して水膜を形成するステップ;
S4:EUV光源を用いて、EUVマスク上のパターンを前記水膜を透過して前記親水性表層の下方のEUVフォトレジスト層に露光するステップ;
を含むEUVリソグラフィ方法を提供する。
【0037】
図3を参照すると、ステップS1において、提供されるウェハ30は、任意の適切なウェハであってもよく、ベアウェハであってもよく、フィルム層、パターン、回路または素子が形成されているウェハであってもよい。EUVフォトレジスト層31は、フォトレジストをスピンコートする方法によってウェハ30の上面全体に被覆される。ここで、EUVフォトレジスト層31の材料は、例えば、ポジ型フォトレジストまたは化学増幅型フォトレジスト(CAR、Chemical Amplified Resist)であり、EUVフォトレジスト層31の材料の組成は、フォトレジストの互いに異なる材料の接着剤として、フォトレジストに機械的および化学的性質(接着性、膜厚、熱安定性など)を与える樹脂(resin/polymer);光エネルギーに光化学反応を引き起こす感光剤;フォトレジストの液体状態を保持して、良好な流動性を有するようにする溶媒(Solvent);および染料を添加するなどして、フォトレジストで反射が発生するように改善する、フォトレジストのいくつかの性質を変更するための添加剤(Additive)を含む。
【0038】
一例として、EUVフォトレジスト層31はポジ型フォトレジストであり、その樹脂はノボラック型フェノール樹脂のフェノールホルムアルデヒドであり、フォトレジストの接着性、化学増幅レジストを提供する。溶解抑制剤が存在しない場合、ノボラック型フェノール樹脂は現像液に溶解される。その感光剤は、光活性化合物(PAC、Photo Active Compound)であり、最も一般的な感光剤は、ジアゾナフトキノン(DNQ)である。露光前に、DNQは強力な溶解抑制剤として樹脂の溶解速度を低下させるが、UV露光後には、DNQはフォトレジストで化学的に分解されて、溶解促進剤となって、現像液での溶解係数を100以上に大きく向上させる。このような露光反応は、DNQでカルボン酸が生成されるようにし、これは現像液での溶解度が非常に高い。ポジ型フォトレジストは優れたコントラストを有するので、生成されたグラフィックスは優れた解像度を有する。
【0039】
他の例として、EUVフォトレジスト層31は化学増幅型フォトレジストCARであり、その樹脂は化学基保護(t-BOC)を有するポリエチレン(PHS)で、水に溶解しない(hydrophobic)。その感光剤は光酸発生剤(PAG、Photo Acid Generator)であり、フォトレジストが露光されると、露光領域でのPAGに光化学反応が発生して一種の酸を生成し、この酸は露光後にベーク(PEB、Post Exposure Baking)される時に、化学触媒として樹脂上の保護基を除去する。それにより、露光領域のフォトレジストを水不溶性から水(hydrophilic)を主成分とする現像液に高度に溶解される状態に変化させ、化学的にフォトレジスト露光速度を増幅して非常に早くし、それは、DNQノボラック型フェノール樹脂フォトレジストの場合の約10倍とし、且つ波長の短い光源に対して優れた光感度を有して、急峻な側壁を提供することができ、高いコントラスト、例えば、0.25μmおよびその以下の高解像度を有することができる。
【0040】
ステップS2において、
図3および
図4を参照すると、EUVフォトレジスト層31の表層全体をDUV露光し、例えば、EUVフォトレジスト層31の表層をDUV光源に配置してフラッドライトを照射して、EUVフォトレジスト層31の表層が親水性表層31aになるようにし、DUVによって露光されない親水性表層31aの下の部分は31bと表記する。このステップの原理は、DUV光源に対するEUVフォトレジスト層の光感度がEUV光源に対するEUVフォトレジスト層の光感度よりも低いため、低線量、短時間のDUV露光を利用して、EUVフォトレジスト層31の浅い表層のみ微少露光されるようにし、且つ、DUV露光の深さはDUV露光パラメータによって制御可能であり、DUV露光後に、EUVフォトレジスト層31の浅い表層で特定の光化学反応が発生して一種の酸を生成し、この酸は化学触媒として、EUVフォトレジスト層31の浅い表層の樹脂上の保護基の一部を除去することができ、EUVフォトレジスト層31の浅い表層が既存の疎水性から親水性に変化するようにすることである。
【0041】
明らかなことであるが、親水性表層31aの厚さは、EUVフォトレジスト層31の材料、DUV露光の露光量および露光時間などの露光パラメータによって決められる。
【0042】
本ステップでは、親水性表層31aの厚さが2nmを超えないように、例えば、1nmになるように、EUVフォトレジスト層31の表層の全体に対して、露光時間が比較的短く(例えば、5秒~10秒)且つ露光量(例えば、1mJ/cm2未満)が比較的低いDUV露光を少なくとも一回実施する(DUV光源を用いて、EUVフォトレジスト層31の表層に対してフラッドライトを照射)。DUV露光の波長は、193nm~248nmであり、例えば、193nmまたは248nmである。
【0043】
選択的に、DUV露光が所望の厚さの親水性表層31aを実現するのに十分でない場合、すなわち、DUV露光後に形成される親水性表層31の親水性が後続するステップS3の要件を満たさない場合、前記DUV露光を行うたびに、または全ての回数のDUV露光が完成し終わった後に、さらに、前記EUVフォトレジスト層31の表層に対してプラズマ処理を施して、親水性表層31aの親水性を高めてもよい。ここで、一例として、前記プラズマ処理に用いられるプラズマは、N、O、Hの少なくとも1つを含む。プラズマ処理により親水性表層31aの親水性を高めることができる原理は、親水性表層が対応するプラズマの中のN、O、Hなどの原子と結合(結合などの化学反応を含む)して、薄く、且つ親水性原子を含む親水層に変化することにより、既存の親水性表層の親水性を高めるのである。
【0044】
さらに選択的に、このプラズマ処理における工程圧力は比較的低く、例えば、10mTorr~100mTorrであり、比較的低い工程圧力は、このプラズマ処理後にN、O、Hなどの原子のEUVフォトレジスト層31の表面での分布の均一性を向上させ、さらにステップS3で膜厚の均一な水膜を形成するのに役立つ。
【0045】
ステップS3において、
図4および
図5を参照すると、EUVフォトレジスト層31の親水性表層31aに水蒸気を供給し、供給された水蒸気の少なくとも一部が親水性表層31aで凝縮されて一層の水膜32を形成する。ここで、水膜32の厚さは、EUVフォトレジスト層31の親水性表層31aの親水性力によって決められ、少なくとも水中でのEUVビームの波長の半分、すなわちλ/2nナノメートルである。選択的に、形成された水膜32の厚さは、少なくともλ/2nナノメートルで、20ナノメートルを越えず、λはEUV光源の波長であり、nは水の屈折率である。好ましくは、前記水膜32の厚さは、λ/2nナノメートル、またはEUV投影モジュール113の最適透過係数の倍数である。一例として、n=1.33、且つλ=13.6nmとすると、水膜32の厚さは、λ/2n=13.6nm/(2×1.33)≒5nmとなる。
【0046】
なお、形成された水膜32の厚さは薄すぎないことが好ましく(例えば、λ/2nナノメートル未満)、そうでない場合、表面張力の作用により、親水性表層31aの表面に水膜32がある部分とない部分が生じ、ウェハ30全体のEUVフォトレジスト層31の表面に形成される水膜32の厚さが不均一になって、完全で短い光波長を形成しにくく、これは、EUVリソグラフィ後の特徴寸法の均一性に影響を与える。一方、水膜32の厚さが十分でないと、露光過程で一部または全部が自然に蒸発してしまって、リソグラフィ効果にさらに影響を与える。
【0047】
同時に、形成される水膜32の厚さは厚すぎても好ましくなく(例えば、20ナノメートル超え)、水膜32の上面は空気によって境界付けられ、下面は親水性表層31aの下面によって境界付けられる。すなわち、水膜32の厚さが、EUVリソグラフィ装置の投影モジュール内の最後の対物レンズの表面に接触するのに十分でなく、水膜32と投影モジュールとの間にさらに空隙を有する必要がある。これは、EUVマスクが反射性であり、投影モジュールに反射された光が、EUV光源で放出された光よりも損失が大きく、形成された水膜32が厚すぎると、EUV光を吸収して、EUVフォトレジスト層31bの後続するEUV露光が不十分になるという問題が発生する一方、EUVフォトレジスト層31b上の水膜32が厚すぎると、EUV光を吸収しすぎて温度が上昇してしまい、さらに、EUVフォトレジスト層31bが熱変形される問題を引き起こし、EUVフォトレジスト層31bの後続するEUV露光効果に影響を与えるからである。
【0048】
選択的に、ステップS3において、脱イオン水が混合された所望の湿度の担体気体流によって、親水性表層31aに水蒸気を供給することができる。前記担体気体流は、窒素および/または不活性気体(アルゴンおよび/またはヘリウムなどの不活性気体)を含み、前記所望の湿度は、少なくとも60%であり、前記水膜32の厚さは、少なくともλ/2nナノメートルである。λ/2nは、水中でのEUVビームの半波長で、λは、EUV光源の波長、nは、水の屈折率である。好ましくは、水膜32の厚さは、λ/2nナノメートル、またはEUV投影モジュール113の最適透過係数の倍数である。一例として、n=1.33、λ=13.6nmとすると、水膜32の厚さλ/2n≒5nmである。
【0049】
ステップS4において、
図5および
図6を参照すると、EUV光源を用いて、対応するEUVマスク上のパターンを水膜32を透過して親水性表層31a’の下のEUVフォトレジスト層31bに露光する。この時に、EUVフォトレジスト層31bは、EUV露光部分31’およびEUV非露光部分31cとなる。
【0050】
本ステップで用いられるEUV光源は、非常に高いスペクトル輝度を有するコヒーレント放射を生成できる自由電子レーザ(FEL)などのシンクロトロン放射源であってもよい。EUV光源の波長λは、5nm~30nm、例えば11nm~14nmである。そのうち、波長λは13.6nmが最も一般的に用いられる。
【0051】
図8を参照すると、本ステップで用いられるEUVマスクのブランクは、通常、順次積層される基板(ガラスまたは石英など)200、反射膜スタック層(モリブデンMoおよびシリコンSiが交互に積層されてなり、反射構造とも呼ばれる)201、カバー層202(例えば、ルテニウム、ルテニウム合金、酸化ルテニウムの少なくとも1つを含む)、および吸収体層(単層膜、またはコバルト、テルル、ハフニウム、ニッケル、タンタル、クロム、タンタル系材料、クロム系材料などの少なくとも一つを含む多層膜)203を含み、反射膜スタック層201はEUV露光ビームを反射し、吸収体層203は前記EUV露光ビームを吸収し、且つ集積回路製造に必要な所定のパターン(すなわち、回路パターン)203aにエッチングされる。吸収体層203は、EUV反射率が低く、例えば3~5%未満である。前記EUVマスクは、吸収体層203、カバー層202、および反射膜スタック層201を貫通するベゼルパターン204、および基板200の裏面に位置する裏面導電層205(例えば、クロム、クロム系材料、タンタル、またはタンタル系材料などの少なくとも1つを含む)を含む。
【0052】
本実施形態において、形成された水膜32がより優れたリソグラフィパターン解像度の効果を達成することができるのは、その基本的な理由として、水膜32はEUVフォトレジスト層31bの表面と密接に接触することに相当し、且つ、屈折率nが空気よりも大きいので(屈折率1)、EUV光源から放出されるEUV露光ビームの波長をλとすると、水膜での波長はλ/nとなり、さらに、レイリー基準CD=k1*λ/NAによれば、レイリー定数k1および投影モジュールの開口数NAが変化しない場合、水膜での光の波長が短くなって、EUVフォトレジスト層31bのEUV露光後に形成されるパターンの特徴寸法CDが小さくなり、さらに、より微細なパターンを画定するので、この水膜層32を追加することで、より優れたEUVリソグラフィパターン解像度の効果を達成することができるからである。例えば、水膜32の屈折率n=1.33とし、EUV光源110から放出されるEUV露光ビームの波長λ=13.6nmとすると、水膜32での波長は13.6/1.33≒10nmとなる。
【0053】
なお、本ステップでは、EUVフォトレジスト層31の親水性表層31a自体が水蒸気を吸収して水系親水性表面層31a'になり、その上方は、水分子の間の吸着力と表面張力によって、さらに凝縮して一層の水膜32を形成し、水系親水性表面層31a'および水膜32は、実は親水性表層の成分が水に溶解されるため溶液層を形成してもよく、この溶液層の溶媒は水であり、溶質は親水性表面層31aで水に溶解できる成分であるので、この溶液層の屈折率は脱イオン水よりも大きく、それにより、脱イオン水よりもさらに有効波長を短くすることができる。したがって、EUVフォトレジスト層の表面のみに脱イオン水膜を形成する方法に比べて、より優れたEUVリソグラフィパターン解像度の効果を達成することができる。
【0054】
続いて、EUV露光が完了された後、
図7に示すように、ウェハ30を現像システムに移送して現像を行い、EUV露光部分31cを除去し、残った非露光部分31b’は後続するウェハ30をエッチングするためのパターン化されたフォトレジスト層とする。
【0055】
上述したように、本発明によるEUVリソグラフィ方法は、ウェハ上のEUVフォトレジスト層をEUV露光する前に、まず、EUVフォトレジスト層の表層をDUV露光して親水性表層を形成し、さらに、この親水性表層に水を凝縮させて比較的薄い水膜を形成することにより、水の屈折率が空気の屈折率よりも大きい性質を利用して、有効波長を短くする効果を実現し、また、EUVリソグラフィのグラフィック解像度とコントラストがさらに向上されるようにして、従来よりも微細な構造を製造するのに役立ち、方法が簡単で、且つコストが低い。
【0056】
なお、本発明によるEUVリソグラフィ方法を対応する半導体素子の製造方法に適用する場合、ウェハ上にコーティングされたEUVフォトレジスト層に必要なEUVリソグラフィプロセスを完成することができ、対応するEUVマスクにおけるパターンを、グラフィックの解像度とコントラストが全部向上される効果でウェハの表面のEUVフォトレジスト層に露光し、EUV露光後のフォトレジスト層を現像した後、ウェハ上にパターン化されたEUVフォトレジスト層を形成することができ、その後に、このパターン化されたEUVフォトレジスト層をマスクとして、ウェハ内の対応する膜層をエッチングすると、ウェハ上に対応するパターンを製造することができる(例えば、回路パターンおよびベゼルパターンなど)。
【0057】
また、前記半導体素子の製造方法は本発明によるEUVリソグラフィ方法を適用したので、従来よりも微細な構造をウェハ内に製造するのに役立つ。
【0058】
図9を参照すると、本発明の一実施形態によるEUVリソグラフィ装置は、DUV露光システム10、EUV露光システム11、および気体供給システム12を含む。
【0059】
ここで、DUV露光システム10は、光路に沿って順次配置されたDUV光源100、DUV照明モジュール101、EUV投影モジュール102、およびDUVウェハステージ103を含む。
【0060】
DUV光源100は、193nm~248nmの波長λを有するDUV露光ビームを生成し、このDUV露光ビームを用いてDUVウェハステージ103上のウェハ30上のEUVフォトレジスト層(図示せず)をDUV露光して、前記EUVフォトレジスト層の表層が親水性表層になるようにする。
【0061】
DUV照明モジュール101は、DUV光源100で放出されたDUV露光ビームを誘導、成形、反射、透過または制御する各種工学部材として配置され、例えば、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型またはその他光学部材またはいずれの組合せである。
【0062】
DUV投影モジュール102は、DUV光源100で放出されるDUV露光ビームの角度、焦点距離、強度などを調整するように配置されて、DUV光源100で放出されるDUV露光ビームがDUV照明モジュール101を経てDUVウェハステージ103に配置されたウェハ30上に伝送されるようにし、さらに、ウェハ30上のEUVフォトレジスト層の表層をDUV露光する。選択的に、DUV光源100に対応して設けられるDUV投影モジュール102は、DUVウェハステージ103上のウェハ30の表面全体を照射することができる。すなわち、露光フィールドのサイズは、ウェハ30のサイズよりも大きいので、一回のDUV露光でウェハ表面全体のEUVフォトレジスト層の表層を露出させることができる。
【0063】
DUVウェハステージ103は、DUV露光するウェハ30(すなわち、シリコンウェハ)を載置するように配置され、特定のパラメータに従って、DUV露光するウェハ30の位置を正確に固定、移動、および位置決めすることができる。さらに、
図3~
図6に示されるように、ウェハ30がDUVウェハステージ103上に配置される前に、ウェハ30の表面にEUVフォトレジスト層31が形成され、DUV露光システム10がウェハ30をDUV露光すると、ウェハ30の表面のEUVフォトレジスト層31の表層は親水性表層になる。
【0064】
EUV露光システム11は、光路に沿って順次配置されたEUV光源110、EUV照明モジュール111、EUVマスクテーブル112、EUV投影モジュール113、およびEUVウェハステージ114を含む。
【0065】
ここで、EUV光源110は、5nm~30nm(波長λ13.6nmは最も一般的に用いられる)の波長λを有するEUV露光ビームを生成するように配置される。EUV光源110は、非常に高いスペクトルの輝度を有するコヒーレント放射を生成できる、自由電子レーザ(FEL)などのシンクロトロン放射源であってもよい。
【0066】
EUV照明モジュール111は、EUV光源110で放出されたEUV露光ビームを誘導、成形、反射、透過または制御する各種光学部材として配置され、最終的に、EUV光源110で放出されるEUV露光ビームをEUVマスクテーブル112に配置されたEUVマスク20に伝送する。EUV照明モジュール111は、例えば、屈折型、反射型、磁気型、電磁気型、静電気型、またはその他光学部材またはそれらの任意の組み合わせである。
【0067】
EUVマスクテーブル112は、反射型EUVマスク20を支持できる支持構造として配置され、機械、真空、静電または他のクランプ技術を利用して、特定のパラメータに従って反射型EUVマスク20の位置を正確に固定、移動、および位置決めすることにより、反射型EUVマスク20がEUV投影モジュール113に対して所望の位置に位置されるようにする。前記EUVマスクテーブル112は、反射型EUVマスク20の重量を支え、特定の方法で反射型EUVマスク20を固定する。この方法は、反射型EUVマスク20の配向、リソグラフィ装置の設計、およびその他の条件、例えば、反射型EUVマスク20が真空環境に保持されているか否かによって決められる。EUVマスクテーブル112は、必要に応じて、固定または可動のフレームまたはテーブルであってもよい。ここで、反射型EUVマスク20の構造は、
図7を参照することができ、その説明はここでは繰り返さない。
【0068】
EUVウェハステージ114は、DUV露光システム10によって露光されたウェハ30を載置するように配置され、特定のパラメータに従って、ウェハ30の位置を正確に固定、移動、および位置決めすることができる。さらに、
図3~
図6に示されたように、EUV露光システムがウェハ30をEUV露光する前に、ウェハ30の表面にEUVフォトレジスト層31が形成され、EUVフォトレジスト層31の表層は親水性表層であり、この親水性表層に水膜が形成され、この水膜は気体供給システムにおける気流中の水が凝縮されてなる。
【0069】
EUV投影モジュール113は、EUVマスクテーブル112上の反射型EUVマスク20によって反射されるEUV露光ビームの角度、焦点距離、強度などを調整し、また、EUV露光ビームをEUVウェハステージ114に配置されたウェハ30に伝送して、EUVフォトレジスト層31をEUV露光するように配置される。
【0070】
気体供給システム12は、EUVウェハステージ114の外周に配置され、また、DUV露光されたウェハ30がEUVウェハステージ114に移送された後、EUV光源110がEUVウェハステージ114上のウェハ30上のEUVフォトレジスト層31をEUV露光する前に、ウェハ30のEUVフォトレジスト層31の親水性表層に水蒸気を供給し、供給された水蒸気の少なくとも一部がEUVフォトレジスト層31の親水性表層で凝縮されて水膜32を形成するように配置される。この「水蒸気」は、気体状態の水であってもよく、担体気体(例えば、窒素および/または不活性気体など)によって搬送可能な非常に小さな液体状態の水(例えば、液体状態のミスト)であってもよい。
【0071】
選択的に、気体供給システム12は、EUVウェハステージ114の移動中に開かれて、脱イオン水が混合されている所望の湿度(例えば、少なくとも60%)の担体気体流によってEUVウェハステージ114に載置されたウェハ30上のEUVフォトレジスト層31の親水性表層に水蒸気を提供し、且つ、気体供給システム12はDUV露光中(すなわち、DUV光源100がEUVフォトレジスト層31をDUV露光する間)およびEUV露光中(すなわち、EUV光源110がEUVフォトレジスト層31に対してEUV露光を実行する期間)には、全て閉じられている。
【0072】
さらに、選択的に、気体供給システム12によって提供される担体気体流は、窒素および/または不活性気体を含んでもよく、不活性気体は、例えば、アルゴン、ヘリウムなどの1種以上の混合物を含む。ここで、気体供給システム12が開かれると、EUVフォトレジスト層の表面に形成された水膜の厚さは、EUVフォトレジスト層の親水性表層の親水性レベル(すなわち、EUVフォトレジスト層表面の親水性力)によって制御される。
【0073】
なお、本実施形態において、EUV光源110およびDUV光源100は、それぞれ照明モジュールセットおよび投影モジュールセットと対応して、本実施形態のEUVリソグラフィ装置がデュアルウェハステージ(Twin stage)のシステム設計になるようにする。EUV光源110とDUV光源100は個別に用いられ、同じウェハ30に対応して、このウェハ30に対してEUVリソグラフィを行う必要がある場合、まずDUVウェハステージ103でDUV光源100を用いて、ウェハ表面全体上のEUVフォトレジスト層の表面をDUV露光して、所望の親水性表層を形成した後、気体供給システムによって親水性表層に水膜を形成し、その後、EUVウェハステージ114でEUV光源110を用いる。それにより、EUVリソグラフィ装置全体の制御を簡素化し、リソグラフィ工程を加速化する。
【0074】
EUVリソグラフィ装置の製造効率をさらに加速するために、DUVウェハステージ103とEUVウェハステージ114のうち、一つのウェハステージが露光動作を行う間に、他のウェハステージはローディング、アライメント、フォーカスレベリング、アンローディングなどの非露光操作を行う。
【0075】
この場合、まず、ウェハ30をDUV光源100が存在する露光フィールド内のウェハステージ(図示せず)に移動し、DUV露光が終わると、再び、ウェハ30をEUV光源110のEUVの露光フィールド内のEUVウェハステージ114に移動する。具体的には、前記EUVリソグラフィ装置が一枚のウェハ30に対してEUVリソグラフィを行う作業プロセスは、
まず、所望のパターンを有するEUVマスク20をEUVマスクテーブル112に固定し、EUVフォトレジスト層を有するウェハ30をDUVウェハステージ103上に固定するステップ;
次に、DUV光源100をオンにすると、放出されるDUV露光ビームがDUV光源100に対応するDUV照明モジュール101およびDUV投影モジュール102を介してDUVウェハステージ103のウェハ30のEUVフォトレジスト層31の表層に入射されて、さらに、ウェハ30のEUVフォトレジスト層31の表層全体をDUV露光して、所望の親水性表層を形成するステップ;
次に、DUV光源100をオフにすると、DUV露光されたウェハ30をEUVウェハステージ114に移送し、また、気体供給システム12をオンにして、脱イオン水が混合されている所望の湿度(例えば、少なくとも60℃)の担体気体流によって、DUV露光されたウェハ30上のEUVフォトレジスト層の親水性表層に水蒸気を供給し、それによって、ウェハ30上のEUVフォトレジスト層31の表面全体に水分吸着によって均一な厚さの水膜32を形成するステップ;
その後、気体供給システム12を閉じ、EUV光源110をオンにすると、放出されるEUV露光ビームが、まず、EUV光源110に対応するEUV照明モジュール111の伝達によってEUVマスクテーブル112のEUVマスク20上に入射され、再び、EUVマスク20で反射された後、EUV光源110に対応するEUV投影モジュール113に入射され、このEUV投影モジュール113は水膜32を透過して、ビームをEUVウェハステージ114上のウェハ30のEUVフォトレジスト層31のターゲット領域にフォーカシングして、1回のEUV露光を完成し、その後、EUVウェハステージ114をステップオンして、EUVフォトレジスト層31の各ターゲット領域のEUV露光を完成するステップ;を含む。
【0076】
なお、本実施形態によるEUVリソグラフィ装置において、DUV光源100、DUV照明モジュール101、DUV投影モジュール102、DUVウェハステージ103、EUV光源110、EUV照明モジュール111、EUVマスクテーブル112、EUV投影モジュール113、EUVウェハステージ114、および気体供給システム12は、同じフレームハウジングに統合されてもよく、または少なくとも1つが他のモジュールと別途に設置されてもよく、または少なくとも1つのモジュールがEUVリソグラフィ装置の他のシステムまたはモジュールと統合されてもよい。例えば、DUV露光システム10のDUV照明モジュール101およびDUV投影モジュール102は、アライメントのための、独立した照明システムおよび投影モジュールと共有してもよく、それにより、EUVリソグラフィ装置が小型化され、リソグラフィ工程が加速されることができ(1つのシステムはアライメントに用い、1つのシステムは露光に用いるが、ここでは説明しない)、これは従来のデュアルウェハステージ(Twin stage)のシステムの設計に基づいて調整されてもよく、DUV光源100の露光要件に合わせて実現される。
【0077】
また、本実施形態で説明されるEUVリソグラフィ装置の各サブシステム(すなわち、DUV露光システム10、EUV露光システム11および気体供給システム12)は、特定の例に過ぎず、本発明のEUVリソグラフィ装置がこれらのサブシステムのみ備えることを意味するのではなく、従来のEUVリソグラフィ装置における他のサブシステムを含んでもよく、例えば、ウェハ表面にEUVフォトレジスト層を形成するためのコーティングシステム、リソグラフィ工程において対応するパラメータを測定するための測定システム(センサなどを含む)、露光されたウェハ30上のEUVフォトレジスト層31を現像するための現像システム、ウェハ30および/またはマスク20を搬送および交換するためのマニピュレータシステム、現像済みのウェハ30を洗浄する洗浄システム、およびEUV用フォトレジスト層31を親水性表面処理する親水性表面処理システムなどの少なくとも一つを含んでもよい。
【0078】
例えば、
図10を参照すると、本発明の他の実施形態は、DUV露光システム10、EUV露光システム11、および気体供給システム12を有するだけでなく、DUVウェハステージ103の外周に配置されるプラズマ処理システム13をさらに有するEUVリソグラフィ装置を提供する。このプラズマ処理システム13は、DUV光源100でウェハ30上のEUVフォトレジスト層をDUV露光した後に、ウェハ30をDUVウェハステージ103からEUVウェハステージ114に移送する前に、ウェハ30上のEUVフォトレジスト層の親水性表層をプラズマ処理して、親水性表層の親水性を高める。
【0079】
もちろん、本発明の他の実施形態において、プラズマ処理システム13は、前記EUV露光システム11の外周に配置されてもよく、ウェハ30をDUVウェハステージ103からEUVウェハステージ114に移送した後、気体供給システムでEUVウェハステージ114上のウェハ30上のEUVフォトレジスト層の親水性表層に水蒸気を供給する前に、ウェハ30上のEUVフォトレジスト層の親水性表層をプラズマ処理して、親水性表層の親水性を高めるように配置される。
【0080】
選択的に、上述のプラズマ処理システム13は、EUVフォトレジスト層の表面を親水性表面処理するためのプラズマ処理の工程圧力が比較的低く、例えば、10mTorr~100mTorrであり、比較的低い工程圧力は、プラズマ処理後にEUVフォトレジスト層31の表面におけるN、O、Hなどの原子が均一に分布されるようにし、さらに、均一な膜厚の水膜の形成に役立つ。
【0081】
さらに、例えば、
図9または
図10を参照すると、本発明のまた他の実施形態は、DUV露光システム10、EUV露光システム11、および気体供給システム12を有するだけでなく、ウェハ30を搬送するためのマニピュレータシステム(図示せず)、および工程ステップにしたがって、DUVウェハステージ103およびEUVウェハステージとカスケードを形成するウェハステージをさらに有するEUVリソグラフィ装置を提供し、ここで、1つまたは複数のウェハステージ(図示せず)は、ウェハをDUV露光およびEUV露光する以外のステップで用いられてもよい(例えば、プラズマ処理、プレクリーニング、現像、後洗浄、乾燥等)。
【0082】
上述したように、本発明のEUVリソグラフィ装置は、既存のEUVリソグラフィ装置に対して、対応するDUV露光システムおよび気体供給システムを追加してもよく、さらに、ウェハ上のEUVフォトレジスト層を露光する前に、まず、EUVフォトレジスト層の表層をDUV露光して、親水性表層を形成し、その後に、親水性表層に水を凝縮させて薄厚の水膜を形成することにより、水の屈折率が空気よりも大きい性質を利用して、有効波長を短くする効果を実現し、さらに、EUVリソグラフィのグラフィック解像度とコントラストをさらに向上させるようにし、既存のEUV露光システムの構造を変更しなくてもよく、装置のアップグレードと集積化方法が簡単であり、従来よりもさらに微細な構造を製造するのに役立つ。
【0083】
上記説明は本発明の好ましい実施形態の説明に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。当業者が上記開示された内容に基づいて施した如何なる変更、および修正はいずれも本発明の技術的手段の範囲に属するとすべきである。
【要約】
【課題】本発明は、EUVリソグラフィ方法、およびEUVリソグラフィ装置を提供する。
【解決手段】ウェハ上に塗布されたEUVフォトレジスト層にEUV露光を行う前に、まず、EUVフォトレジスト層の表層をDUV露光して、EUVフォトレジスト層の表層が親水性表層になり、また、EUVフォトレジスト層の親水性表層に水を凝縮して薄厚の水膜がさらに形成されるようにすることにより、EUVフォトレジスト層をEUV露光する過程で、EUV露光後のグラフィック解像度およびコントラストがさらに向上されるように、水の屈折率が空気よりも大きい性質を利用して有効波長を短くする効果を実現することができて、従来よりも精密な構造を製造するのに役立つ。本発明によるEUVリソグラフィ装置は、従来のEUVリソグラフィ装置に比べて、DUV光源と気体供給システムを追加するだけでよく、装置の改良手段が簡単である。
【選択図】
図2