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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】太陽電池
(51)【国際特許分類】
   H10K 30/50 20230101AFI20230630BHJP
   H10K 30/40 20230101ALI20230630BHJP
   H10K 30/80 20230101ALI20230630BHJP
【FI】
H10K30/50
H10K30/40
H10K30/80
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019087563
(22)【出願日】2019-05-07
(65)【公開番号】P2020013982
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】P 2018130520
(32)【優先日】2018-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100143236
【弁理士】
【氏名又は名称】間中 恵子
(72)【発明者】
【氏名】横山 智康
(72)【発明者】
【氏名】河野 謙司
(72)【発明者】
【氏名】宮本 唯未
【審査官】原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/170869(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/153752(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0087233(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105762282(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103855307(CN,A)
【文献】特開2016-100418(JP,A)
【文献】MARSHALL, Kenneth P. et al.,“Tin perovskite/fullerene planar layer photovoltaics: improving the efficiency and stability of lead-free devices”,Journal of Materials Chemistry A,2015年,Vol. 3, No. 21,pp. 11631-11640,DOI: 10.1039/c5ta02950c
【文献】WOJCIECHOWSKI, Konrad et al.,“Heterojunction Modification for Highly Efficient Organic-Inorganic Perovskite Solar Cells”,ACS Nano,2014年,Vol. 8, No. 12,pp. 12701-12709,DOI: 10.1021/nn505723h
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 30/00-30/89
H10K 39/00-39/38
JSTPlus/JSTChina/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池であって、
第1電極、
第2電極、
前記第1電極および前記第2電極の間に位置する光吸収層、および
前記光吸収層、および前記第1電極および前記第2電極から選ばれる少なくとも1つの電極の間に位置する中間層、
を具備し、
前記光吸収層は、組成式ASnX3(ここで、Aは1価のカチオンであり、かつXはハロゲンアニオンである)により表されるペロブスカイト化合物を含有し、
前記中間層は、前記光吸収層に接しており、
前記第1電極および前記第2電極からなる群より選ばれる少なくとも1つの電極が透光性を有し
前記中間層は、(4-(1’,5’-dihydro-1’-methyl-2’H-[5,6]fullereno-C60-Ih-[1,9-c]pyrrol-2’-yl)benzoic acid)およびフラーレンC60からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有し、
前記中間層は、スズ元素を含み、かつ
前記中間層において、スズに対する炭素のモル比率が、35%以上408%以下である、
太陽電池。
【請求項2】
請求項1に記載の太陽電池であって、
前記中間層の質量スペクトルは、質量数720に位置する第1ピークを有する、
太陽電池。
【請求項3】
請求項1に記載の太陽電池であって、
前記中間層が、(4-(1’,5’-dihydro-1’-methyl-2’H-[5,6]fullereno-C60-Ih-[1,9-c]pyrrol-2’-yl)benzoic acid)を含有し、
前記中間層において、スズに対する炭素の前記モル比率が、74%以上408%以下である、
太陽電池。
【請求項4】
請求項1に記載の太陽電池であって、
前記中間層が、フラーレンC60を含み、かつ
前記中間層において、スズに対する炭素の前記モル比率が、51%以上109%以下である、
太陽電池。
【請求項5】
請求項に記載の太陽電池であって、
前記中間層において、スズに対する炭素の前記モル比率が、51%以上110%以下で 太陽電池。
【請求項6】
請求項1からのいずれか一項に記載の太陽電池であって、
前記光吸収層および前記第1電極の間に電子輸送層をさらに具備し、
前記中間層が、前記光吸収層および前記電子輸送層の間に位置している、
太陽電池。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載の太陽電池であって、
前記光吸収層および前記第2電極の間に正孔輸送層をさらに具備している、
太陽電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ペロブスカイト太陽電池が研究および開発されている。ペロブスカイト太陽電池では、化学式ABX3(ここで、Aは1価のカチオンであり、Bは2価のカチオンであり、かつXはハロゲンアニオンである)で示されるペロブスカイト化合物が光吸収材料として用いられている。
【0003】
非特許文献1には、ペロブスカイト太陽電池の光吸収材料として、化学式CsSnI3で示されるペロブスカイト化合物を用いること、電子輸送材料としてTiO2を用いること、および、正孔輸送材料としてSpiro-OMETADと呼ばれる有機半導体を用いることが開示されている。
【0004】
非特許文献2には、ペロブスカイト太陽電池の光吸収材料として、化学式CH3NH3PbI3-xClxで示されるペロブスカイト化合物を用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-025170号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】Mulmudi Hemant Kumar、外12名、「Lead-free halide perovskite solar cells with high photocurrents realized through vacancy modulation」、Advanced Materials、(英国)、2014年11月、第26巻、第41号、p.7122-7127
【文献】Agnese Abrusci、他5名、「High-Performance Perovskite-Polymer Hybrid Solar Cells via Electronic Coupling with Fullerene Monolayers」、Nano Letter、(英国)、2013年6月、第13巻、p.3124-3128
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の目的は、開放電圧がさらに向上されたスズ系ペロブスカイト太陽電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示による太陽電池は、
第1電極、
第2電極、
前記第1電極および前記第2電極の間に位置する光吸収層、および
前記光吸収層、および前記第1電極および前記第2電極から選ばれる少なくとも1つの電極の間に位置する中間層、
を具備し、
前記光吸収層は、組成式ASnX3(ここで、Aは1価のカチオンであり、かつXはハロゲンアニオンである)により表されるペロブスカイト化合物を含有し、
前記中間層は、前記光吸収層に接しており、
前記第1電極および前記第2電極からなる群より選ばれる少なくとも1つの電極が透光性を有し、かつ
前記中間層は、(4-(1’,5’-dihydro-1’-methyl-2’H-[5,6]fullereno-C60-Ih-[1,9-c]pyrrol-2’-yl)benzoic acid)およびフラーレンC60からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示は、開放電圧がさらに向上されたスズ系ペロブスカイト太陽電池を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明者によって作製された鉛系ペロブスカイト太陽電池およびスズ系ペロブスカイト太陽電池の変換効率の実測値を示すグラフである。
図2A図2Aは、TiO2を電子輸送層とし、鉛系ペロブスカイト化合物であるCsPbI3を光吸収層とし、かつ電子輸送層と光吸収層との界面においてCsPbI3にPb空孔を導入した場合について、第一原理計算法により求められた電子状態密度計算結果を示す。
図2B図2Bは、TiO2を電子輸送層とし、スズ系ペロブスカイト化合物であるCsSnI3を光吸収層とし、かつ電子輸送層と光吸収層との界面においてCsSnI3にSn空孔を導入した場合について、第一原理計算法により求められた電子状態密度計算結果を示す。
図3図3は、実施形態による太陽電池の断面図を示す。
図4図4は、実施形態による太陽電池の変形例の断面図を示す。
図5図5は、実施例および比較例の太陽電池における、飛行時間型二次イオン質量分析法(すなわち、TOF-SIMS)によるC60の分析結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<用語の定義>
本明細書において用いられる用語「ペロブスカイト化合物」とは、化学式ABX3(ここで、Aは1価のカチオン、Bは2価のカチオン、およびXはハロゲンアニオンである)で示されるペロブスカイト結晶構造体およびそれに類似する結晶を有する構造体を意味する。
本明細書において用いられる用語「スズ系ペロブスカイト化合物」とは、スズを含有するペロブスカイト化合物を意味する。
本明細書において用いられる用語「スズ系ペロブスカイト太陽電池」とは、スズ系ペロブスカイト化合物を光吸収材料として含む太陽電池を意味する。
本明細書において用いられる用語「鉛系ペロブスカイト化合物」とは、鉛を含有するペロブスカイト化合物を意味する。
本明細書において用いられる用語「鉛系ペロブスカイト太陽電池」とは、鉛系ペロブスカイト化合物を光吸収材料として含む太陽電池を意味する。
【0012】
<本開示の実施形態>
以下、本開示の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図3は、実施形態による太陽電池100の断面図を示す。
【0014】
図3に示されるように、実施形態による太陽電池100は、第1電極2、第2電極7、光吸収層5、および中間層4を具備している。光吸収層5は、第1電極2および第2電極7の間に位置している。中間層4は、光吸収層5、および第1電極2および第2電極7から選ばれる少なくとも1つの電極の間に位置している。図3では、中間層4は、光吸収層5および第1電極2の間に位置している。中間層4は、光吸収層5および第2電極7の間に位置していてもよい。実施形態による太陽電池100は、2つの中間層4を具備していてもよい。一方の中間層4は、光吸収層5および第1電極2の間に位置し、他方の中間層4は、光吸収層5および第2電極7の間に位置する。中間層4は、光吸収層5に直接(すなわち、物理的に)接している。第1電極2および第2電極7の間に中間層4および光吸収層5が配置されるように、第1電極2は第2電極7に対向している。第1電極2および第2電極7からなる群より選ばれる少なくとも1つの電極は、透光性を有する。本明細書において、「電極が透光性を有する」の語は、200から2000nmの波長を有する光のうち、いずれかの波長において、10%以上の光が電極を透過することを意味する。
【0015】
実施形態による太陽電池100は、光吸収層5および第1電極2の間に位置する電子輸送層3をさらに備えていてもよい。この場合、中間層4は、光吸収層5および電子輸送層3の間に位置していてもよい。
【0016】
実施形態による太陽電池100は、光吸収層5および第2電極7の間に位置する正孔輸送層6をさらに備えていてもよい。この場合、中間層4は、光吸収層5および正孔輸送層6の間に位置していてもよい。実施形態による太陽電池100は、基板1を具備していてもよい。基板1上に、第1電極2が設けられている。
【0017】
(光吸収層5)
光吸収層5は、光吸収材料として、化学式ASnX3(ここで、Aは1価のカチオンであり、かつXはハロゲンアニオンである)で示されるペロブスカイト化合物を含有する。Aサイトに位置している1価のカチオンは、限定されない。1価のカチオンの例は、有機カチオンまたはアルカリ金属カチオンである。有機カチオンの例は、メチルアンモニウムカチオン(すなわち、CH3NH3 +)、ホルムアミジニウムカチオン(すなわち、NH2CHNH2 +)、フェネチルアンモニウムカチオン(すなわち、C65CH2CH2NH3 +)、またはグアニジニウムカチオン(すなわち、CH63 +)である。アルカリ金属カチオンの例は、セシウムカチオン(Cs+)である。Aサイトに位置している1価のカチオンは、ホルムアミジニウムカチオンであることが望ましい。Aサイトに位置している1価のカチオンは、2種以上のカチオンから構成されていてもよい。Xサイトに位置しているハロゲンアニオンの例は、ヨウ化物イオンである。Xサイトに位置しているハロゲンアニオンは、2種以上のハロゲンイオンから構成されていてもよい。
【0018】
光吸収層5は、光吸収材料以外の材料を含んでいてもよい。例えば、光吸収層5は、化学式ASnX3で示されるペロブスカイト化合物の欠陥密度を低減するためのクエンチャー物質をさらに含んでいてもよい。クエンチャー物質は、フッ化スズのようなフッ素化合物である。クエンチャー物質の光吸収材料に対するモル比は、5%以上20%以下であってもよい。
【0019】
光吸収層5は、上述のとおり、化学式ASnX3で示されるペロブスカイト化合物を含有する。光吸収層5は、化学式ASnX3で示されるペロブスカイト化合物を主として含有していてもよい。ここで、「光吸収層5が、化学式ASnX3で示されるペロブスカイト化合物を主として含む」とは、光吸収層5が化学式ASnX3で示されるペロブスカイト化合物を70質量%以上含有することを意味する。光吸収層5が化学式ASnX3で示されるペロブスカイト化合物を80質量%以上含有していてもよい。光吸収層5は、化学式ASnX3で示されるペロブスカイト化合物とは異なる他の化合物をさらに含んでいてもよい。光吸収層5は、不純物を含み得る。
【0020】
光吸収層5の厚さは、例えば100ナノメートル以上10マイクロメートル以下である。光吸収層5の厚さは、100ナノメートル以上1000ナノメートル以下であってもよい。光吸収層5の厚さは、光吸収層5の光吸収の大きさに依存し得る。光吸収層5は、溶液を用いる塗布方法によって形成され得る。
【0021】
(中間層4)
中間層4は、フラーレンおよびフラーレン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有する。フラーレンは、フラーレンC60(すなわち、バックミンスターフラーレン)である。フラーレン誘導体は、4-(1’,5’-dihydro-1’-methyl-2’H-[5,6]fullereno-C60-Ih-[1,9-c]pyrrol-2’-yl) benzoic acid(以下、「C60-SAM」という)である。中間層4は、質量数720に位置する第1ピークを有する質量スペクトルを有していてもよい。
【0022】
C60-SAMは[6,6]-phenyl-C61-butyric acid methyl(以下、「PCBM」という)よりも大きな電圧向上効果を有する。なぜなら、SAM部分が電子輸送層である酸化物表面に化学吸着するため、C60の面内被覆率があがるためである。PCBMではこのような吸着がないため、ペロブスカイト溶液塗布時にPCBMが溶解してなくなるため、被覆率が下がり、効果は低減する。
【0023】
中間層4はスズ元素を含み得る。
【0024】
中間層4において、スズに対する炭素のモル比率(すなわち、(炭素原子のモル数/スズ原子のモル数)の値に等しい)は、35%以上408%以下であってもよいし、51%以上110%以下であってもよい。当該モル比率は、X線光電子分光法による測定結果から算出される。
【0025】
中間層4がC60-SAMを含む場合、スズに対する炭素のモル比率は、51%以上263%以下であってもよく、51%以上109%以下であってもよい。
【0026】
中間層4がフラーレンC60を含む場合、スズに対する炭素のモル比率は、74%以上408%以下であってもよく、74%以上212%以下であってもよい。
【0027】
スズに対する炭素のモル比率が上記の範囲であると、高い開放電圧が実現できる。
【0028】
中間層4におけるスズに対する炭素のモル比率とは、中間層の領域として決定される領域において、X線光電子分光法による測定が、測定装置の測定限界と中間層4の厚さとの関係で1点のみでしか実施できない場合は、その1点の測定結果から算出されるモル比率となる。中間層4の領域として決定される領域において、X線光電子分光法による測定が複数点で実施できる場合、中間層4におけるスズに対する炭素のモル比率は、複数の測定結果から算出されるモル比率の平均値となる。
【0029】
中間層4の厚さは、例えば0.7nm以上10nm以下である。本実施形態では、太陽電池における中間層4の領域が、次のように決定される。太陽電池の主面から厚さ方向に太陽電池がエッチングされるとともに、エッチングされて露出した表面の元素組成がX線分光測定によって測定される。このX線分光測定の結果に基づいて求められる、光吸収層5に含まれるペロブスカイト化合物のモル量と、中間層4を介して光吸収層5と隣り合う層を構成する材料のモル量とが、ほぼ同量となる領域が、中間層4の領域と決定される。光吸収層5に含まれるペロブスカイト化合物のモル量は、例えば、X線分光測定によって測定されたスズ元素のモル数を用いて求めることができる。中間層4を介して光吸収層5と隣り合う層を構成する材料のモル量は、X線分光測定によって測定された、この隣り合う層を構成する特定の元素(以下、「第1元素」と記載する)のモル数を用いて求めることができる。中間層4がこのように決定されるので、中間層4が非常に薄い場合でも、中間層4が設けられている領域を特定することができる。中間層4を介して光吸収層5と隣り合う層は、例えば電子輸送層3であってもよいし、後述する多孔質層等の電子輸送層3以外の層であってもよい。例えば、光吸収層5、中間層4、および電子輸送層3がこの順で互いに接して配置されている場合であって、電子輸送層3がTiO2により構成されている場合は、X線分光測定によって、スズ元素と、第1元素として選択されるチタン元素とがほぼ同じモル量で検出される領域が中間層4と決定される。第1元素として酸素元素が選択される場合は、酸素元素のモル量の1/2が、スズ元素のモル量とほぼ同量で検出される領域が、中間層4と決定される。「モル量がほぼ同じ」とは、モル量(モル%)の差が10モル%以下であることをいう。中間層4を認定する際に用いられる第1元素は、中間層4を介して光吸収層5と隣り合う層を構成する元素の中から、次のように決定される。中間層4を介して光吸収層5と隣り合う層を構成する元素が1種であれば、その元素が第1元素となる。中間層4を介して光吸収層5と隣り合う層が複数種の元素を含む場合は、例えば、X線分光測定で分解能が最も高い元素が第1元素として選択され得る。例えば中間層4を介して光吸収層5と隣り合う層がTiO2により構成されている電子輸送層3である場合、軽元素であるOよりも金属元素であるTiの方が分解能が高い。したがって、この場合、Tiが第1元素として選択され得る。
【0030】
(基板1)
基板1は、第1電極2、中間層4、光吸収層5、および第2電極7を保持する。基板1は、透明な材料から形成され得る。基板1の例は、ガラス基板またはプラスチック基板である。プラスチック基板の例は、プラスチックフィルムである。第1電極2が十分な強度を有している場合、第1電極2が、中間層4、光吸収層5、および第2電極7を保持するので、太陽電池100は、基板1を有しなくてもよい。
【0031】
(第1電極2および第2電極7)
第1電極2および第2電極7は、導電性を有する。第1電極2および第2電極7は、少なくとも一方が透光性を有する。透光性を有する電極を可視領域から近赤外領域の光が透過し得る。透光性を有する電極は、透明でありかつ導電性を有する材料から形成され得る。
このような材料の例は、
(i) リチウム、マグネシウム、ニオブ、およびフッ素からなる群から選択される少なくとも1つをドープした酸化チタン、
(ii) 錫およびシリコンからなる群から選択される少なくとも1つをドープした酸化ガリウム、
(iii) シリコンおよび酸素からなる群から選択される少なくとも1つをドープした窒化ガリウム、
(iv) インジウム-錫複合酸化物、
(v) アンチモンおよびフッ素からなる群から選択される少なくとも1つをドープした酸化錫、
(vi) ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウムの少なくとも1種をドープした酸化亜鉛、または、
(vii) これらの複合物
である。
【0032】
透光性を有する電極は、透明でない材料を用いて、光が透過するパターンを設けて形成することができる。光が透過するパターンとしては、例えば、線状、波線状、格子状、および多数の微細な貫通孔が規則的または不規則に配列されたパンチングメタル状のパターンが挙げられる。透光性を有する電極がこれらのパターンを有すると、電極材料が存在しない部分を光が透過することができる。透明でない材料として、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム、チタン、鉄、ニッケル、スズ、亜鉛、およびこれらのいずれかを含む合金を挙げることができる。また、導電性を有する炭素材料を用いることもできる。
【0033】
太陽電池100が電子輸送層3を具備していない場合、第1電極2は、光吸収層5からの正孔に対するブロック性を有する材料で形成されていてもよい。この場合、第1電極2は、光吸収層5とオーミック接触しない。光吸収層5からの正孔に対するブロック性とは、光吸収層5で発生した電子のみを通過させ、正孔を通過させない性質のことである。正孔に対するブロック性を有する材料のフェルミエネルギーは、光吸収層5の価電子帯上端のエネルギーよりも高い。正孔に対するブロック性を有する材料のフェルミエネルギーは、光吸収層5のフェルミエネルギーよりも高くてもよい。正孔に対するブロック性を有する材料の例は、アルミニウムである。太陽電池100は、光吸収層5および第1電極2の間に電子輸送層3を有している場合、第1電極2は、光吸収層5からの正孔に対するブロック性を有していなくてもよい。この場合、第1電極2は、光吸収層5とオーミック接触していてもよい。
【0034】
太陽電池100が正孔輸送層6を具備していない場合、第2電極7は、例えば光吸収層5からの電子に対するブロック性を有する材料で形成されている。この場合、第2電極7は、光吸収層5とオーミック接触しない。光吸収層5からの電子に対するブロック性とは、光吸収層5で発生した正孔のみを通過させ、電子を通過させない性質のことである。電子に対するブロック性を有する材料のフェルミエネルギーは、光吸収層5の伝導帯下端のエネルギー準位よりも低い。電子に対するブロック性を有する材料のフェルミエネルギーは、光吸収層5のフェルミエネルギー準位よりも低くてもよい。電子に対するブロック性を有する材料の例は、白金、金、またはグラフェンのような炭素材料である。太陽電池100は、光吸収層5および第2電極7の間に正孔輸送層6を有している場合、第2電極7は、光吸収層5からの電子に対するブロック性を有さなくてもよい。この場合、第2電極7は、光吸収層5とオーミック接触していてもよい。
【0035】
光吸収層5からの正孔に対するブロック性を有する材料は、透光性を有さないことがある。光吸収層5からの電子に対するブロック性を有する材料もまた、透光性を有さないことがある。そのため、これらの材料を用いて第1電極2または第2電極7が形成されているとき、第1電極2または第2電極7は、光が第1電極2または第2電極7を透過するような上記のパターンを有する。
【0036】
第1電極2および第2電極7のそれぞれの光の透過率は、50%以上であってもよく、80%以上であってもよい。電極を透過する光の波長は、光吸収層5の吸収波長に依存する。第1電極2および第2電極7のそれぞれの厚さは、例えば、1nm以上1000nm以下の範囲内にある。
【0037】
(電子輸送層3)
電子輸送層3は、半導体を含む。電子輸送層3は、バンドギャップが3.0eV以上の半導体から形成されていてもよい。バンドギャップが3.0eV以上の半導体で電子輸送層3を形成することにより、可視光および赤外光を光吸収層5まで透過させることができる。半導体の例としては、有機または無機のn型半導体が挙げられる。
【0038】
有機のn型半導体の例は、イミド化合物、キノン化合物、フラーレン、またはフラーレンの誘導体である。無機のn型半導体の例は、金属酸化物、金属窒化物、またはペロブスカイト酸化物である。金属酸化物の例は、Cd、Zn、In、Pb、Mo、W、Sb、Bi、Cu、Hg、Ti、Ag、Mn、Fe、V、Sn、Zr、Sr、Ga、Si、またはCrの酸化物である。TiO2が望ましい。金属窒化物の例は、GaNである。ペロブスカイト酸化物の例は、SrTiO3またはCaTiO3である。
【0039】
電子輸送層3は、バンドギャップが6.0eVよりも大きな物質によって形成されていてもよい。バンドギャップが6.0eVよりも大きな物質の例は、(i)フッ化リチウムまたはフッ化カルシウムのようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物、(ii)酸化マグネシウムのようなアルカリ土類金属酸化物、または(iii)二酸化ケイ素である。この場合、電子輸送層3の電子輸送性を確保するために、電子輸送層3の厚みは、例えば、10nm以下であってもよい。
【0040】
電子輸送層3は、互いに異なる材料からなる複数の層を含んでいてもよい。
【0041】
(正孔輸送層6)
正孔輸送層6は、有機物または無機半導体によって構成される。正孔輸送層6として用いられる代表的な有機物の例は、2,2′,7,7′-tetrakis-(N,N-di-p-methoxyphenylamine)9,9′-spirobifluorene(以下、「spiro-OMeTAD」という)、poly[bis(4-phenyl)(2,4,6-trimethylphenyl)amine](以下、「PTAA」という)、poly(3-hexylthiophene-2,5-diyl)(以下、「P3HT」という)、poly(3,4-ethylenedioxythiophene)(以下、「PEDOT」という)、または銅フタロシアニン(以下、「CuPC」という)である。
【0042】
無機半導体の例は、Cu2O、CuGaO2、CuSCN、CuI、NiOx、MoOx、V25、または酸化グラフェンのようなカーボン材料である。
【0043】
正孔輸送層6は、互いに異なる材料から形成される複数の層を含んでいてもよい。
【0044】
正孔輸送層6の厚さは、1nm以上1000nm以下であってもよく、10nm以上500nm以下であってもよく、または10nm以上50nm以下であってもよい。正孔輸送層6の厚さが1nm以上1000nm以下であれば、十分な正孔輸送性を発現できる。さらに、正孔輸送層6の厚さが1nm以上1000nm以下であれば、正孔輸送層6の抵抗が低いので、高効率に光が電気に変換される。
【0045】
正孔輸送層6は、支持電解質および溶媒を含有していてもよい。支持電解質および溶媒は、正孔輸送層6中の正孔を安定化させる。
【0046】
支持電解質の例は、アンモニウム塩またはアルカリ金属塩である。アンモニウム塩の例は、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、六フッ化リン酸テトラエチルアンモニウム、イミダゾリウム塩、またはピリジニウム塩である。アルカリ金属塩の例は、Lithium bis(trifluoromethanesulfonyl)imide(以下、「LiTFSI」という)、LiPF6、LiBF4、過塩素酸リチウム、または四フッ化ホウ酸カリウムである。
【0047】
正孔輸送層6に含有される溶媒は、高いイオン伝導性を有していてもよい。当該溶媒は、水系溶媒または有機溶媒であり得る。溶質の安定化の観点から、有機溶媒であることが望ましい。有機溶媒の例は、tert-ブチルピリジン、ピリジン、またはn-メチルピロリドンのような複素環化合物である。
【0048】
正孔輸送層6に含有される溶媒は、イオン液体であってもよい。イオン液体は、単独でまたは他の溶媒と混合されて用いられ得る。イオン液体は、低い揮発性および高い難燃性の点で望ましい。
【0049】
イオン液体の例は、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラシアノボレートのようなイミダゾリウム化合物、ピリジン化合物、脂環式アミン化合物、脂肪族アミン化合物、またはアゾニウムアミン化合物である。
【0050】
(太陽電池の作用効果)
次に、太陽電池100の基本的な作用効果を説明する。太陽電池100に光が照射されると、光吸収層5が光を吸収し、励起された電子と、正孔とを発生させる。この励起された電子は、中間層4を介して電子輸送層3に移動する。一方、光吸収層5で生じた正孔は、正孔輸送層6に移動する。電子輸送層3は第1電極2に接続され、かつ正孔輸送層6は第2電極7に接続されているので、負極として機能する第1電極2および正極として機能する第2電極7から電流が取り出される。
【0051】
(太陽電池100の製法)
太陽電池100は、例えば以下の方法によって作製することができる。
【0052】
まず、基板1の表面に第1電極2を、化学気相蒸着法(以下、「CVD法」という)またはスパッタ法により形成する。次に、第1電極2の上に電子輸送層3をスパッタ法により形成する。
【0053】
次に、電子輸送層3の上に中間層4を形成する。中間層4を形成する方法の例は、塗布法または蒸着法である。以下、塗布法が説明される。まず、フラーレンおよびフラーレン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つおよび有機溶媒を含有する溶液が調製される。有機溶媒の例は、クロロベンゼン、トルエン、ジメチルスルホキシド(以下、「DMSO」)という、またはN,N-ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」という)である。フラーレンおよびフラーレン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つの濃度は、0.01mg/mL以上10mg/mL以下であってもよく、0.1mg/mL以上5mg/mL以下であってもよい。当該溶液は、電子輸送層3上にスピンコート法によって塗布される。次いで、塗布された溶液は、例えば、80℃以上160℃以下の温度で加熱される。これにより、中間層4が得られる。
【0054】
次に、中間層4の上に光吸収層5を形成する。光吸収層5は、例えば、次の方法によって形成されてもよい。一例として、(HC(NH221-y(C65CH2CH2NH3ySnI3(0<y<1、以下「FA1-yPEAySnI3」という)で示されるペロブスカイト化合物を含む光吸収層5の形成方法が説明される。
【0055】
まず、有機溶媒に、SnI2、HC(NH22I(以下、「FAI」という)、およびC65CH2CH2NH3I(以下、「PEAI」という)が添加され、混合液を得る。有機溶媒の例は、DMSOおよびDMFの混合液(DMSO:DMFの体積比=1:1)である。
SnI2のモル濃度は、0.8mol/L以上2.0mol/L以下であってもよく、0.8mol/L以上1.5mol/L以下であってもよい。
FAIのモル濃度は、0.8mol/L以上2.0mol/L以下であってもよく、0.8mol/L以上1.5mol/L以下であってもよい。
PEAIのモル濃度は、0.1mol/L以上0.5mol/L以下であってもよく、0.1mol/L以上0.3mol/L以下であってもよい。
【0056】
次に、加熱装置を用いて、混合液が、摂氏40度以上摂氏180度以下の温度に加熱される。これにより、SnI2、FAIおよびPEAIを溶解させた混合溶液を得る。続いて、得られた混合溶液を室温で放置する。
【0057】
次に、混合溶液を電子輸送層3上にスピンコート法にて塗布し、塗布膜を形成する。次いで、塗布膜は、40℃以上100℃以下の温度で、15分以上1時間以下の間、加熱される。これにより、光吸収層5が形成される。スピンコート法にて混合溶液が塗布される場合には、スピンコート中に貧溶媒を滴下してもよい。貧溶媒の例は、トルエン、クロロベンゼン、またはジエチルエーテルである。
【0058】
混合溶液は、フッ化スズのようなクエンチャー物質を含んでいてもよい。クエンチャー物質の濃度は、0.05mol/L以上0.4mol/L以下であってもよい。クエンチャー物質により、光吸収層5内に欠陥が生成することが抑制される。光吸収層5内に欠陥が生成する原因は、例えば、Sn4+の量の増加によるSn空孔の増加である。
【0059】
光吸収層5の上に、正孔輸送層6が形成される。正孔輸送層6の形成方法の例は、塗布法または印刷法である。塗布法の例は、ドクターブレード法、バーコート法、スプレー法、ディップコーティング法、またはスピンコート法である。印刷法の例は、スクリーン印刷法である。複数の材料を混合して正孔輸送層6を得て、次いで正孔輸送層6を加圧または焼成してもよい。正孔輸送層6の材料が有機の低分子体または無機半導体である場合には、真空蒸着法によって正孔輸送層6を作製してもよい。
【0060】
最後に、正孔輸送層6の上に、第2電極7が形成される。このようにして、太陽電池100が得られる。第2電極7は、CVD法またはスパッタ法により形成され得る。
【0061】
図4は、本実施形態による太陽電池200の変形例の断面図を示す。図3に示される太陽電池100とは異なり、太陽電池200は、多孔質層8を備える。
【0062】
図4に示される太陽電池200では、基板1上に、第1電極2、電子輸送層3、多孔質層8、中間層4、光吸収層5、正孔輸送層6、および第2電極7がこの順に積層されている。多孔質層8は、多孔質体を含む。多孔質体は、空孔を含む。太陽電池200は、基板1を有していなくてもよい。太陽電池200は、正孔輸送層6を有していなくてもよい。
【0063】
(多孔質層8)
多孔質層8中の空孔は、中間層4と接する部分から、電子輸送層3と接する部分まで繋がっている。多孔質層8中の空孔は、中間層4の材料で充填されていてもよい。さらに、中間層4の材料は、多孔質層8中の空孔を介して、電子輸送層3の表面まで到達していてもよい。光吸収層5の材料は、多孔質層8上、および、多孔質層8中の空孔内に、中間層4を介して配置されている。いいかえると、多孔質層8、中間層4、および光吸収層5がこの順で積層されている。したがって、光吸収層5は、電子輸送層3と直接接触することなく、光吸収層5から中間層4を介して電子輸送層3へ電子が移動する。
【0064】
多孔質層8は、光吸収層5の形成を容易にする。多孔質層8上に形成された中間層4は、例えば、多孔質層8の表面および空孔壁を被覆する。中間層4の厚みは小さいので、多孔質層8の表面および空孔の形状は維持される。この場合、光吸収層5の材料が、中間層4で被覆された多孔質層8の空孔の内部にも侵入する。そのため、光吸収層5の材料が中間層4の表面で弾かれたり、凝集したりすることが起こりにくい。したがって、多孔質層8は光吸収層5の足場となり、光吸収層5を均一な膜として形成することができる。光吸収層5は、中間層4上に溶液をスピンコート法で塗布し、次いで加熱することによって形成され得る。
【0065】
多孔質層8によって光散乱が起こる。そのため、光吸収層5を通過する光の光路長が増加し得る。光路長の増加は、光吸収層5中で発生する電子および正孔の量を増加させ得る。
【0066】
太陽電池200は、太陽電池100と同様の方法によって作製することができる。多孔質層8は、電子輸送層3の上に、例えば塗布法によって形成する。
【0067】
多孔質層8は、光吸収層5を形成する際の土台となる。多孔質層8は、光吸収層5の光吸収を阻害しない。多孔質層8はまた、光吸収層5から中間層4を介して電子輸送層3へ電子が移動することを阻害しない。
【0068】
上述のように、多孔質層8は、多孔質体を含む。多孔質体の例は、絶縁性または半導体の粒子が連なった多孔質体である。絶縁性の粒子の材料の例は、酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素である。半導体粒子の材料の例は、無機半導体である。無機半導体の例は、金属酸化物(ペロブスカイト酸化物を含む)、金属硫化物、または金属カルコゲナイドである。金属酸化物の例は、Cd、Zn、In、Pb、Mo、W、Sb、Bi、Cu、Hg、Ti、Ag、Mn、Fe、V、Sn、Zr、Sr、Ga、Si、またはCrの酸化物である。TiO2が望ましい。ペロブスカイト酸化物の例は、SrTiO3またはCaTiO3である。金属硫化物の例は、CdS、ZnS、In23、SnS、PbS、Mo2S、WS2、Sb23、Bi23、ZnCdS2、またはCu2Sである。金属カルコゲナイドの例は、CdSe、CsSe、In2Se3、WSe2、HgSe、SnSe、またはPbSeのような金属セレン化物である。金属カルコゲナイドの他の例は、CdTeである。
【0069】
多孔質層8の厚さは、0.01μm以上10μm以下であってもよく、0.1μm以上1μm以下であってもよい。多孔質層8の表面粗さは大きくてもよい。具体的には、実効面積/投影面積で与えられる表面粗さ係数が10以上であってもよく、100以上であってもよい。なお、投影面積とは、物体を真正面から光で照らしたときに、後ろにできる影の面積である。実効面積とは、物体の実際の表面積のことである。実効面積は、物体の投影面積および厚さから求められる体積と、物体を構成する材料の比表面積および嵩密度とから計算することができる。比表面積は、例えば窒素吸着法によって測定される。
【0070】
次に、太陽電池200の基本的な作用効果を説明する。太陽電池200に光が照射されると、光吸収層5が光を吸収し、励起された電子と、正孔とを発生させる。この励起された電子は、中間層4を介して電子輸送層3に移動する。一方、光吸収層5で生じた正孔は、正孔輸送層6に移動する。前述のとおり、電子輸送層3は第1電極2に接続され、正孔輸送層6は第2電極7に接続されている。これにより、負極として機能する第1電極2および正極として機能する第2電極7から電流が取り出される。
【0071】
<本開示の基礎となった知見>
本開示の基礎となった知見は以下のとおりである。
【0072】
スズ系ペロブスカイト太陽電池は、理論変換効率が高いにもかかわらず、鉛系ペロブスカイト太陽電池と比較すると実際の変換効率が低い。図1は、本発明者によって作製された鉛系ペロブスカイト太陽電池およびスズ系ペロブスカイト太陽電池の変換効率の実測値を示すグラフである。当該鉛系ペロブスカイト太陽電池およびスズ系ペロブスカイト太陽電池は、基板/第1電極/電子輸送層/多孔質層/光吸収層/正孔輸送層/第2電極、の積層構造を有していた。鉛系ペロブスカイト太陽電池およびスズ系ペロブスカイト太陽電池の詳細が、以下、説明される。
【0073】
<鉛系ペロブスカイト太陽電池>
基板:ガラス基板
第1電極:インジウム-錫複合酸化物(ITO)とアンチモンをドープした酸化錫(ATO)との混合物
電子輸送層:緻密TiO2(c-TiO2
多孔質層:メソポーラスTiO2(mp-TiO2
光吸収層:HC(NH22PbI3
正孔輸送層:spiro-OMeTAD(2,2′,7,7′-tetrakis-(N,N-di-p-methoxyphenylamine)9,9′-spirobifluorene)
第2電極:金
【0074】
<スズ系ペロブスカイト太陽電池>
基板:ガラス基板
第1電極:インジウム-錫複合酸化物(ITO)とアンチモンをドープした酸化錫(ATO)との混合物
電子輸送層:緻密TiO2(c-TiO2
多孔質層:メソポーラスTiO2(mp-TiO2
光吸収層:HC(NH22SnI3
正孔輸送層:PTAA(すなわち、poly[bis(4-phenyl)(2,4,6-trimethylphenyl)amine])
第2電極:金
【0075】
図1より、鉛系ペロブスカイト太陽電池と比較して、スズ系ペロブスカイト太陽電池では開放電圧が低いことがわかる。このことが、スズ系ペロブスカイト太陽電池の変換効率が鉛系ペロブスカイト太陽電池の変換効率よりも低いことの要因だと考えられる。開放電圧が低くなることの要因として、電子輸送層とスズ系ペロブスカイト化合物との界面においてスズ系ペロブスカイト化合物の深い欠陥準位が存在し、その準位でキャリアが再結合することが考えられる。
【0076】
スズ系ペロブスカイト太陽電池では、鉛系ペロブスカイト太陽電池と異なり、電子輸送層と光吸収層との界面での欠陥が多い。この理由は、スズ系ペロブスカイト化合物は、Sn空孔が生じやすい材料であり、鉛系ペロブスカイト化合物よりも欠陥が多い材料であることである。電子輸送層と光吸収層との界面に欠陥が生じる場合、電子輸送材料とスズ系ペロブスカイト化合物との強い相互作用により、電子輸送層と光吸収層との界面に深い再結合準位が作られてしまう。
【0077】
図2Aは、TiO2を電子輸送層とし、鉛系ペロブスカイト化合物であるCsPbI3を光吸収層とし、かつ電子輸送層と光吸収層との界面においてCsPbI3にPb空孔を導入した場合について、第一原理計算により求められた電子状態密度計算結果を示す。
【0078】
図2Bは、TiO2を電子輸送層とし、スズ系ペロブスカイト化合物であるCsSnI3を光吸収層とし、かつ電子輸送層と光吸収層との界面においてCsSnI3にSn空孔を導入した場合について、第一原理計算により求められた電子状態密度計算結果を示す。
【0079】
図2Aおよび2Bでは、ペロブスカイト化合物の価電子帯上端のエネルギー準位を0eVとして、ペロブスカイト化合物の伝導帯下端、TiO2の価電子帯上端、およびTiO2の伝導帯下端のエネルギー準位が、ペロブスカイト化合物の価電子帯上端のエネルギー準位に対する相対値として示されている。
【0080】
図2Bより、電子輸送層と光吸収層との界面でSn空孔ができることで、スズ系ペロブスカイト化合物の価電子帯上端と伝導帯下端との中央に深い欠陥準位が形成されることが示唆される。
【0081】
具体的には、Sn空孔が生じたことで余ったI原子がTi原子と強く結合し安定化し、電子輸送層と光吸収層との界面において、伝導帯を形成するTi原子の3d軌道(Ti-3d軌道)が変化すると考えられる。
【0082】
その結果、スズ系ペロブスカイト化合物の価電子帯上端と伝導帯下端との中央に、変化したTi-3d軌道のエネルギー準位に起因して深い欠陥準位が形成されると考えられる。
【0083】
一方、図2Aによれば、鉛系ペロブスカイト化合物は、スズ系ペロブスカイト化合物に比べて電子輸送材料との電子的な相互作用が弱く、Pb空孔に起因して形成される欠陥準位は、価電子帯上端と伝導帯下端との中央よりも浅い欠陥準位となる。
【0084】
スズ系ペロブスカイト化合物にみられるような深い欠陥準位が生じると、伝導帯の電子と価電子帯のホールとが欠陥準位まで緩和し、キャリアが失活する場合がある。一方、鉛系ペロブスカイト化合物にみられるような浅い欠陥準位が生じたときには、電子とホールとが緩和する確率は比較的低い。
【0085】
したがって、欠陥準位の存在はキャリアの失活には寄与しにくい。よって、界面欠陥は、スズ系ペロブスカイト化合物に特有の課題である。
以上を踏まえると、界面でのスズ系ペロブスカイト化合物の欠陥準位を浅くすることで、スズ系ペロブスカイト太陽電池の開放電圧を向上させることができる。
【0086】
本発明者らは、電子輸送層と光吸収層との間にフラーレンまたはフラーレン誘導体を導入することで、深い欠陥準位を生じさせにくいことを見出した。詳しくは、本発明者らは、フラーレンおよびフラーレン誘導体が、スズ系ペロブスカイト化合物との相互作用が比較的弱く、スズ系ペロブスカイト化合物と接する場合でもスズ系ペロブスカイト化合物に深い欠陥準位を生じさせにくいことを見出した。
【0087】
(実施例)
本開示を以下の実施例を参照しながらより詳細に説明する。
【0088】
[実施例1]
実施例1では、図3に示される太陽電池100が以下のように作製された。
【0089】
インジウムによってドープされたSnO2層を表面に有するガラス基板(日本板硝子製)が用意された。ガラス基板およびSnO2層は、それぞれ、基板1および第1電極2として機能した。ガラス基板は、1ミリメートルの厚みを有していた。
【0090】
第1電極2上に、電子輸送層3として、厚さ約10nmの酸化チタン層をスパッタ法により形成した。
【0091】
C60-SAM濃度が0.1mg/mLのクロロベンゼン溶液(200ミリリットル)を電子輸送層3上に滴下した。次いで、当該溶液はスピンコート法により電子輸送層3上に広げられた。溶液は、摂氏120度に維持されたホットプレート上で焼成された。このようにして、中間層4を形成した。
【0092】
次に、SnI2、SnF2、FAI(すなわち、HC(NH22I)、およびPEAI(すなわち、C65CH2CH2NH3I)を、DMSOおよびDMFの混合溶媒に添加し、混合溶液を得た。混合溶媒におけるDMSO:DMFの体積比は、1:1であった。SnI2、SnF2、FAI、およびPEAIの濃度は、それぞれ、1.5mol/L、0.15mol/L、1.5mol/L、および0.3mol/Lであった。
【0093】
グローブボックス内で、混合溶液(80マイクロリットル)をスピンコート法により中間層4上に滴下し、塗布膜を得た。グローブボックスの内部は、N2で満たされており、その酸素濃度は0.1ppm以下であった。
【0094】
次に、塗布膜を摂氏80度に維持されたホットプレート上で焼成した。このようにして、光吸収層5を形成した。光吸収層5は、組成式FA0.83PEA0.17SnI3のペロブスカイト化合物を主として含有していた。
【0095】
次に、グローブボックス内で、10mg/mLの濃度でPTAA(すなわち、poly[bis(4-phenyl)(2,4,6-trimethylphenyl)amine])を含有するトルエン溶液(80マイクロリットル)を、光吸収層5上にスピンコート法で滴下し、正孔輸送層6を形成した。
【0096】
最後に、正孔輸送層6上に、厚み100ナノメートルの金膜を蒸着し、第2電極7を形成した。このようにして、実施例1によるスズ系ペロブスカイト太陽電池を得た。
【0097】
[中間層4の決定および中間層4におけるスズに対する炭素のモル比率]
X線光電子分光分析装置(PHI 5000 Versa-Probe II:アルバック・ファイ株式会社製)によって、中間層4におけるスズに対する炭素のモル比率が測定された。具体的には、実施例1による太陽電池を、第2電極7の主面から厚さ方向にエッチングするとともに、エッチングされて露出した表面の元素組成を、当該装置を用いたX線分光測定法によって測定した。エッチングは、アルゴンガスを用いたスパッタリング法によって行った。チタン元素およびスズ元素がほぼ同じモル量で検出された領域を中間層4の領域と決定した。このように決定された中間層4の領域におけるスズに対する炭素のモル比率を、上記装置を用いたX線分光測定結果から求めた。測定サンプルは、大気には暴露されずにN2雰囲気で搬送された。
【0098】
[中間層4のTOF-SIMSによる分析]
本発明者らは、飛行時間型二次イオン質量分析計(ドイツ・ION-TOF社製、商品名:TOF.SIMS5-200)を用いて、上記のように決定された中間層4の領域がフラーレンまたはフラーレン誘導体を含有しているかどうかを、飛行時間型二次イオン質量分析法(以下、「TOF-SIMS法」という)によるC60の分析に基づいて判定した。
【0099】
エッチングは、スパッタリング法によって行った。
スパッタイオン源としては、GCIB(Gas Cluster Ion Beam)を用いた。
測定サンプルは、大気には暴露されずにN2雰囲気で搬送された。
【0100】
図5は、実施例1において、マイナスイオンのTOF-SIMSスペクトルを示す。図5は、後述される実施例5および比較例1におけるマイナスイオンのTOF-SIMSスペクトルも示す。
【0101】
図5に示す質量スペクトルにおいて、質量数720に位置するピークが、C60のフラーレン基に由来する。図5に示す質量スペクトルでは、横軸が質量電荷比(m/z)を示す。しかし、本実施例では電荷数が1(z=1)であるので、(m/z)の値は質量数の値(m値)を表す。
【0102】
[蛍光寿命]
近赤外蛍光寿命測定装置(C7990:浜松ホトニクス)を用いて、フォトルミネッセンス測定から、実施例1による太陽電池に含まれる光吸収層5の蛍光寿命を測定した。励起レーザーとして、532nmのYAGレーザーを用いた。測定は、観測波長が890nm、励起出力が0から50mW、ピークカウントが1000の条件で行われた。電子輸送層3への方向に沿ってレーザーを入射させ、当該方向に沿って返ってくる蛍光を測定し、光吸収層5の電子輸送層3側の表面部分でのペロブスカイト化合物の欠陥密度を測定した。レーザーの時間波形のパルスの重畳による影響がない部分のみを取り出し、蛍光減衰曲線A=A0exp(-t/t)(ここで、A、A0、およびtは、それぞれ、蛍光強度、成分強度、および時間を表す)に最小二乗法でフィッティングし、蛍光寿命tを求めた。
測定サンプルは大気に暴露されず、N2雰囲気で測定サンプルの搬送および測定が実施された。
【0103】
[開放電圧]
ソーラーシミュレータを用いて100mW/cm2の照度の疑似太陽光を実施例1による太陽電池に照射して、電流-電圧特性を測定した。安定化後の電流-電圧特性から、実施例1による太陽電池の開放電圧を求めた。測定は室温で実施された。測定サンプルは大気に暴露されず、N2雰囲気で測定サンプルの搬送および測定が実施された。
【0104】
[実施例2]
実施例2では、クロロベンゼン溶液に含有されるC60-SAMの濃度が0.5mg/mLとされた以外は、実施例1と同様に実験が行われた。
【0105】
[実施例3]
実施例3では、クロロベンゼン溶液に含有されるC60-SAMの濃度が1.0mg/mLとされた以外は、実施例1と同様に実験が行われた。
【0106】
[実施例4]
実施例4では、C60-SAMを含有するクロロベンゼン溶液をスピンコート法により塗布する代わりに、電子輸送層3上にフラーレンC60を厚さ1nmで蒸着して中間層4を形成した以外は、実施例1と同様に実験が行われた。
【0107】
[実施例5]
実施例5では、C60-SAMを含有するクロロベンゼン溶液をスピンコート法により塗布する代わりに、電子輸送層3上にフラーレンC60を厚さ5nmで蒸着して中間層4を形成した以外は、実施例1と同様に実験が行われた。
【0108】
[実施例6]
実施例6では、C60-SAMを含有するクロロベンゼン溶液をスピンコート法により塗布する代わりに、電子輸送層3上にフラーレンC60を厚さ10nmで蒸着して中間層4を形成した以外は、実施例1と同様に実験が行われた。
【0109】
[比較例1]
比較例1では、C60-SAMを含有するクロロベンゼン溶液をスピンコート法により塗布しなかった(すなわち、中間層4を形成しなかった)こと以外は、実施例1と同様に実験が行われた。
【0110】
[比較例2]
比較例2では、C60-SAMを含有するクロロベンゼン溶液をスピンコート法により塗布する代わりに、4-フルオロ安息香酸を0.2mol/Lの濃度で含有するエタノール溶液をスピンコート法により塗布して中間層4を形成したこと以外は、実施例1と同様に実験が行われた。
【0111】
[比較例3]
比較例3では、C60-SAMを含有するクロロベンゼン溶液をスピンコート法により塗布する代わりに、グリシンを0.2mol/Lの濃度で含有するエタノール溶液をスピンコート法により塗布して中間層4を形成したこと以外は、実施例1と同様に実験が行われた。
【0112】
以下の表1は、実施例1~実施例6および比較例1~比較例3の結果を示す。
【0113】
【表1】
【0114】
比較例1および実施例1~実施例6の比較から明らかなように、C60-SAMおよびフラーレン60からなる群から選ばれる少なくとも1つを含有する中間層4が設けられることにより、太陽電池の開放電圧が高められる。
【0115】
実施例1~実施例3において実証されるように、中間層4がC60-SAMを含有し、かつ中間層4においてスズに対する炭素のモル比率が51%以上109%以下である場合には、高い開放電圧が得られる。
【0116】
比較例1および実施例1~実施例3の比較から明らかなように、C60-SAMを含有する中間層4が設けられることにより、蛍光寿命が増加している。このことは、C60-SAMを含有する中間層4によって、光吸収層5の電子輸送層3側の表面部分でのペロブスカイト化合物の欠陥準位が浅くなり、その結果、再結合ロスが減少していることを示唆している。
【0117】
非特許文献2は、鉛系ペロブスカイト化合物が光吸収層の材料として用いられる太陽電池において、光吸収層および電子輸送層の間にC60-SAMの層を設けることを開示している。しかし、スズ系ペロブスカイト化合物とは異なり、鉛系ペロブスカイト化合物では、光吸収層および電子輸送層の間の界面において欠陥が生じにくい。さらに、図2Aおよび図2Bを参照しながら説明したように、鉛系ペロブスカイト化合物にPb空孔の欠陥が生じた場合でも、生じる欠陥準位はもともと浅い。したがって、鉛系ペロブスカイト太陽電池の場合、ペロブスカイト化合物に欠陥が生じた場合でも、キャリアの失活による電圧低下の問題は生じない。したがって、鉛系ペロブスカイト太陽電池は、スズ系ペロブスカイト太陽電池の課題である、ペロブスカイトの欠陥に起因する電圧低下の課題を有しない。換言すると、鉛系ペロブスカイト太陽電池おいてC60-SAMによって解決される課題は、スズ系ペロブスカイト太陽電池である本開示の太陽電池の課題とは異なる。
【0118】
非特許文献2において報告されているように、鉛系ペロブスカイト太陽電池においては、C60-SAMを電子輸送層として用いることにより、電子輸送層と光吸収層との伝導帯下端のエネルギー差を小さくしている。このことにより、電子が光吸収層から電子輸送層へ移動する際のエネルギー障壁を小さくすることができる。これにより、鉛系ペロブスカイト太陽電池に設けられたC60-SAMは、太陽電池の蛍光寿命を減少させる。これに対し、表1に示すように、本開示の太陽電池ではC60-SAMを含む中間層を設けることにより太陽電池の蛍光寿命が増加している。この結果から、スズ系ペロブスカイト太陽電池では、C60-SAMは鉛系ペロブスカイト太陽電池に設けられた場合とは異なる効果を奏することがわかる。具体的には、スズ系ペロブスカイト太陽電池では、フラーレン誘導体がスズ系ペロブスカイト化合物と電子輸送材料との間に導入されることにより、スズ系ペロブスカイト化合物と電子輸送材料との電子的な相互作用を弱め、価電子帯上端と伝導帯下端との間に深い界面欠陥準位を生じさせない、すなわち欠陥準位を浅くする効果を発現する。スズ系ペロブスカイト太陽電池では、価電子帯上端と伝導帯下端との間に深いエネルギー準位がなくなることで、この準位を介した電子の失活過程を抑制することができ、特性が向上すると考えられる。
【0119】
実施例4~実施例6において実証されているように、中間層4がフラーレンC60を含有し、かつ、中間層4におけるスズに対する炭素のモル比率が74%以上408%以下である場合には、高い開放電圧が得られる。当該モル比率が74%以上212%以下である場合には(実施例4および実施例5を参照せよ)、より高い開放電圧が得られる。
【0120】
比較例1と、比較例2および3との比較から理解されるように、フラーレン基を含まない化合物を用いた中間層を設けた場合、開放電圧はむしろ減少してしまう。これは、比較例2および3で用いられた化合物は、フラーレンおよびフラーレン誘導体とは異なり、スズ系ペロブスカイト化合物中のSn原子と相互作用し、Sn空孔由来の深い欠陥準位を増加させるためと考えられる。また比較例2および3で用いられた化合物は、電子伝導性に乏しいことから取り出される電圧は減少する。以上より相互作用の少なく、また電子伝導性が高いフラーレンおよびフラーレン誘導体を用いることで、開放電圧を向上させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本開示の太陽電池は、例えば、屋根上に設置する太陽電池として有用である。
【符号の説明】
【0122】
1 基板
2 第1電極
3 電子輸送層
4 中間層
5 光吸収層
6 正孔輸送層
7 第2電極
8 多孔質層
100,200 太陽電池
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5