(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】点灯装置及び照明器具
(51)【国際特許分類】
H05B 45/3725 20200101AFI20230630BHJP
H05B 45/50 20220101ALI20230630BHJP
【FI】
H05B45/3725
H05B45/50
(21)【出願番号】P 2019234500
(22)【出願日】2019-12-25
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 勇介
(72)【発明者】
【氏名】姫田 正人
(72)【発明者】
【氏名】土井 勝之
(72)【発明者】
【氏名】中城 明
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-225258(JP,A)
【文献】特開2017-175892(JP,A)
【文献】特開2015-104160(JP,A)
【文献】特開2014-110696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00
H05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力端子間に設けられた平滑コンデンサを有し、当該出力端子に接続された光源に電力を供給する主回路と、
前記主回路を制御する制御回路と、
前記平滑コンデンサに接続されたスイッチング回路を有し、前記制御回路用の電源電力を出力する第1電源と、
前記平滑コンデンサに接続されたドロッパー回路を有し、前記制御回路用の電源電力を出力する第2電源と、
前記平滑コンデンサの電圧が所定の閾値以上のとき前記第1電源から出力された電源電力を前記制御回路に供給し、前記平滑コンデンサの電圧が所定の閾値より低くなると前記第2電源から出力された電源電力を前記制御回路に供給する切替回路とを備える
ことを特徴とする点灯装置。
【請求項2】
前記制御回路は、第1回路と、前記第1回路よりも消費電力が小さい第2回路を備え、
前記第1回路に、前記切替回路が電源電力を供給し、
前記第2回路に、通常モード及び前記第1電源の出力が停止したときの両方において、前記第2電源から出力された電源電力を供給する、ことを特徴とする請求項1に記載の点灯装置。
【請求項3】
前記第1回路は、外部の機器と無線通信するための無線通信モジュールを含む、ことを特徴とする請求項2に記載の点灯装置。
【請求項4】
前記第2回路は、調光を制御するための調光回路を含む、ことを特徴とする請求項2または3に記載の点灯装置。
【請求項5】
前記所定の閾値は、前記第1電源の出力が停止するときの当該第1電源への入力電圧に対応する電圧である、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の点灯装置。
【請求項6】
前記所定の閾値は、待機モード時における前記平滑コンデンサの電圧である、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の点灯装置。
【請求項7】
前記切替回路は、前記第1電源の出力と前記第1回路の電源端子との間に設けられた第1ダイオードと、前記第2電源の出力と前記第1回路の電源端子との間に設けられた第2ダイオードとを備える、ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の点灯装置。
【請求項8】
前記主回路は、昇降圧方式、降圧方式、フライバック方式、SEPIC方式、Cuk方式、Zeta方式の群から選択される方式の電力変換回路を有する、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の点灯装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の点灯装置と、
前記点灯装置から電源が供給される前記光源とを備える
ことを特徴とする照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点灯装置及び照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
点灯装置において、瞬時停電等による商用電源の停止後でも点灯装置の制御回路になるべく長時間電源を供給するために、制御回路への電源供給路に平滑コンデンサを設ける技術が知られている(例えば特許文献1を参照)。また、制御回路用の電源回路は、損失を低減する観点から、スイッチング回路で構成されることが好ましい(同特許文献を参照)。特に、制御回路が無線モジュールのように消費電力が大きい回路を含む場合、スイッチング回路を用いることによる損失低減の効果が大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示される従来技術のように、制御回路用の電源回路をスイッチング回路で構成した場合、スイッチング回路から安定的な出力を得るために、電源回路への供給電圧をある程度高く保つ必要がある。しかしながら、通常モードから待機モードに移行した場合のように、平滑コンデンサの電圧が大きく変動する場合がある。また、平滑コンデンサの出力電圧を低く制御する場合があり、そうすると、電源回路の出力が停止したり不安定になったりするおそれがある。
【0005】
そこで、本開示では、制御回路への電源供給路に平滑コンデンサが設けられた点灯装置において、平滑コンデンサの電圧にかかわらず制御回路に安定した電源を供給することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の一実施形態に係る点灯装置は、出力ノード間に設けられた平滑コンデンサを有し、当該出力ノードに接続された光源に電力を供給する主回路と、前記主回路を制御するために用いられる第1回路と、前記出力ノードに接続されたスイッチング回路を有し、第1回路を動作させるための電力を出力する第1電源と、前記出力ノードに接続されたドロッパー回路を有し、前記第1回路を動作させるための電力を出力する第2電源と、通常動作時は前記第1電源からの電力を前記第1回路に供給させる一方で、前記出力ノード間の電圧が所定の閾値より低くなることで前記第1電源からの出力が停止した場合に前記第2電源からの電力を前記第1回路に供給させる切替回路とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、制御回路への電源供給路に平滑コンデンサが設けられた点灯装置において、平滑コンデンサの電圧にかかわらず制御回路に安定した電源を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2A】実施形態に係る点灯装置の動作を説明するための波形図
【
図2B】比較例に係る点灯装置の動作を説明するための波形図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本願発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0010】
<照明装置>
図1は、実施形態の照明器具LMの構成を示す。照明器具LMは、光源10と、光源10を点灯させるための点灯装置20とを備える。光源10の種類は、特に限定されないが、例えば、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子11を用いて構成される。
【0011】
<点灯装置>
点灯装置20は、入力フィルタ回路21と、整流回路22と、主回路23と、第1電源50と、第2電源60と、切替回路70と、制御回路80とを備える。
図1において、P1は点灯装置20の入力端子対、P2は点灯装置20の出力端子対である。説明の便宜上、一方の入力端子P11と一方の出力端子P21との間の配線を配線L11と呼び、他方の入力端子P12と他方の出力端子P22との間の配線を配線L12と呼ぶ場合がある。
【0012】
-入力フィルタ回路-
入力フィルタ回路21は、商用電源Eから入力端子対P1を介して入力された交流電力から高調波ノイズ等の不要な周波数成分を除去する。入力フィルタ回路21の構成は、特に限定されない。なお、商用電源Eに代えて、フィルタ処理が不要な電源を使用する場合、入力フィルタ回路21は省いてもよい。その場合、整流回路22が入力端子対P1に直接接続される。
【0013】
-整流回路-
整流回路22は、入力フィルタ回路21から出力された交流電圧を整流(全波整流又は半波整流)し、整流電圧として出力する。図示しないが、整流回路22は、例えば、ダイオードブリッジ回路で構成される。
【0014】
-主回路-
主回路23は、出力端子対P2に接続された光源10に電力を供給する。主回路23は、少なくとも、出力端子対P2間に設けられた平滑コンデンサ31を備える。また、主回路23は、一方の配線L11上に設けられたトランジスタ32を備える。このように、出力端子対P2間に平滑コンデンサ31を設けることで、商用電源Eに、瞬時停電や瞬時降電圧が発生した場合の電圧降下を緩やかにし、出力端子対P2間の電圧が急激に低下するのを防ぐことができる。
【0015】
図1の例では、主回路23は、整流回路22の出力を電力変換する昇降圧回路30と、光源10に定電流を供給する定電流回路40とを備える。
【0016】
図1において、昇降圧回路30は、一方の配線L11上に直列に設けられた前述のトランジスタ32とダイオード33とを備える。トランジスタ32は、一方の端子が整流回路22の出力に接続され、他方の端子がダイオード33のカソードに接続される。ダイオード33のアノードは、定電流回路40の入力に接続される。トランジスタ32は、制御回路80の制御を受けてオンオフされる。また、昇降圧回路30は、配線L11と配線L12との間に並列に接続された入力コンデンサ34と、インダクタ35と、前述の平滑コンデンサ31とを備える。入力コンデンサ34は整流回路22とトランジスタ32との間に、インダクタ35はトランジスタ32とダイオード33の間に、平滑コンデンサ31はダイオード33と定電流回路40との間に、それぞれ設けられる。
【0017】
定電流回路40は、後述する調光回路82からの調光制御信号LCを受けて、主回路23から光源10に流れる電流量を調整する機能を有する。定電流回路40の具体的な構成は特に限定されないが、例えば、
図1のような回路で構成される。
図1の定電流回路40は、ダイオード33のアノードと出力端子P21との間に、直列に接続された抵抗41及びトランジスタ43を備える。また、定電流回路40は、アンプ42を備える。アンプ42は、一方の入力端子に調光回路82からの調光制御信号LCを受け、他方の入力端子が抵抗41とトランジスタ43の間の配線L11に接続される。また、アンプ42の出力端子は、トランジスタ43のゲートに接続される。
【0018】
なお、本開示において、出力端子対P2の間に平滑コンデンサ31を設けるとは、
図1に示すように、出力端子対P2と平滑コンデンサ31との間に定電流回路40や受動素子等が介在された構成と、出力端子対P2に平滑コンデンサ31が直接接続された構成とを包含する概念である。また、本開示において「端子」とは、電流の出入口を示している。例えば、出力端子との用語は、光源10を点灯させるために点灯装置20から出力される電流の出入り口を示す語として用いている。したがって、例えば、「端子」として端子台のように物理的な金具が設けられていてもよいし、「端子」が電気回路同士を接続するための配線(例えば、電線)であってもよい。
【0019】
また、
図1において、昇降圧回路30を他の変換回路(コンバータ)に置き換えてもよい。例えば、
図1の昇降圧回路に代えて、降圧回路を用いてもよいし、昇圧回路と降圧回路とを互いに分離させた構成の回路を用いてもよい。また、昇降圧回路30の回路方式も
図1の構成に限定されず、フライバック方式、SEPIC(Single-ended primary inductance converter)方式、Cuk(チュック)方式、Zeta方式の群から選択される方式のコンバータを用いることができる。
【0020】
-第1電源-
第1電源50は、平滑コンデンサ31に接続されたスイッチング回路で構成され、制御回路80の電源に用いるための電力(以下、単に電源電力という)を出力する。具体的には、平滑コンデンサ31の電圧Vfを電圧Vd1(Vf>Vd1)に降圧して出力する。
【0021】
このように、電源電力を出力する回路(いわゆる電源回路)にスイッチング回路を用いることにより、後述するドロッパー回路を用いた場合と比較して、損失を低減させることができる。例えば、後述する無線モジュール81のように、消費電力が相対的に大きい回路において、特に顕著な損失低減効果がある。
【0022】
なお、第1電源50を構成するスイッチング回路の具体的な構成は特に限定されない。
図1の例では、第1電源50は、入力コンデンサ51と、スイッチングトランジスタ52と、ダイオード53と、インダクタ55と、出力コンデンサ54とを備える。入力コンデンサ51は、配線L11と配線L12との間に接続される。スイッチングトランジスタ52は、一端が配線L12に、他端がインダクタ55を介して切替回路70に接続される。すなわち、第1電源50から出力される電源電力は、切替回路70に供給される。ダイオード53は、カソードがスイッチングトランジスタ52とインダクタ55との間の配線に接続され、アノードが配線L11に接続される。出力コンデンサ54は、インダクタ55と切替回路70との間の配線と、配線L11との間に接続される。
【0023】
-第2電源-
第2電源60は、平滑コンデンサ31に接続されたドロッパー回路で構成され、制御回路80の電源に用いるための電力(以下、単に電源電力という)を出力する。具体的には、平滑コンデンサ31の電圧Vfを電圧Vd2(Vf>Vd2)に降圧して出力する。また、第2電源60の出力電圧Vd2は、通常モード時において、第1電源50の出力電圧Vd1よりも低くなるように設定される。通常モードとは、光源10の光量として設定可能な範囲全体を指すものとする。通常モードには、点灯装置20に電源は入っているものの光源10が消灯している、いわゆる「待機モード」は含まないものとする。
【0024】
このように、電源回路としてドロッパー回路を用いることにより、入力となる平滑コンデンサ31の電圧Vfが下がった場合に、スイッチング回路よりも低い電圧であっても電源電力の出力を維持することができる。換言すると、第2電源60の出力が停止するときの平滑コンデンサ31の電圧Vf2は、第1電源50の出力が停止するときの平滑コンデンサ31の電圧Vf1よりも小さい。すなわち、平滑コンデンサ31の電圧が徐々に低下した場合、第2電源60の出力は、第1電源50の出力よりも長い期間にわたって出力状態を継続することができる。
【0025】
なお、第2電源60を構成するドロッパー回路の具体的な構成は特に限定されない。
図1の例では、第2電源60は、配線L11と配線L12との間に、抵抗61とツェナーダイオード62との直列回路と、抵抗63とトランジスタ64とコンデンサ65との直列回路とが、並列接続された構成を有する。トランジスタ64のゲートは、抵抗61とツェナーダイオード62のカソードとの間の配線に接続される。また、トランジスタ64とコンデンサ65との間の配線から電源電力が出力され、切替回路70及び後述する調光回路82に供給される。
【0026】
-切替回路-
切替回路70は、第1電源50及び第2電源60のそれぞれから電源電力の供給を受け、一方の電源電力を後述する無線モジュール81に出力する。具体的に、切替回路70は、平滑コンデンサ31の電圧が所定の閾値以上のとき、第1電源50から出力された電源電力を無線モジュール81に供給する。一方で、切替回路70は、平滑コンデンサ31の電圧が所定の閾値(以下、第1閾値Vt1という)より低くなると第2電源60から出力された電源電力を無線モジュール81に供給する。
【0027】
図1の例では、切替回路70は、第1電源50の出力と無線モジュール81の電源線L81との間に設けられた第1ダイオード71と、第2電源60の出力と無線モジュール81の電源線L81との間に設けられた第2ダイオード72とを備える。電源線L81は、電源端子の一例である。
【0028】
図1のような回路を用いることで、第1電源50の出力と、第2電源60の出力のうち、電圧の高い方の出力が無線モジュール81に供給される。なお、切替回路70の出力を、3端子レギュレータに通すことで一定の電圧Vd3(Vd2>Vd3)に降圧して、無線モジュール81に供給するようにしてもよい。
【0029】
図1の回路では、通常モードにおいて、すなわち、平滑コンデンサ31の電圧が第1閾値Vt1よりも高い状態において、第1電源50の出力電圧Vd1の方が、第2電源60の出力電圧Vd2よりも高くなるように構成されている。これにより、通常モードでは、無線モジュール81に第1電源50からの出力電力が供給される。そして、平滑コンデンサ31の電圧Vfが低下することにより、第1電源50の出力電圧Vd1が低下し、第2電源60の出力電圧Vd2未満になると、第2電源60からの出力が無線モジュール81に供給される。このような構成にすることで、無線モジュール81に電源供給する回路を自動的に第1電源50から第2電源60に切り替えることができる。
【0030】
ここで、第1閾値Vt1は、例えば、第1電源50の出力が停止するときにおける、平滑コンデンサ31の電圧Vf以上の値に設定される。第1電源50の出力が停止するときの電圧Vf1は、例えば、第1電源50の構成や、スイッチングトランジスタ52の閾値電圧等に基づいて決まる。例えば、第1閾値Vt1を、第1電源50の出力が停止するときにおける平滑コンデンサ31の電圧Vfに設定してもよい。そうすると、第1電源50の出力が停止するまでは、第1電源50を使用することになるので、第1電源50を最大限活用することができる。この場合に、例えば、切替回路70に代えて第1電源50の出力と第2電源60の出力を切り替えるリレー(図示省略)を設け、第1電源50の出力をセンサ等で監視し、その結果に基づいてリレーを制御するようにしてもよい。
【0031】
また、第1閾値Vt1を待機モード時における平滑コンデンサ31の電圧Vfwにしてもよい。電圧Vfwは、例えば、第1電源50の出力が停止するときの電圧Vf1よりも小さく、第2電源60の出力が停止するときの電圧Vf2よりも大きい値に設定される。このとき、例えば、通常モード時の平滑コンデンサ31の電圧Vfnは、上記の電圧Vf1よりも大きい値に設定される。これにより、通常モード時は、第1電源50で無線モジュール81を駆動しつつ、待機モードや停電等のように、消費電力が相対的に少ない場面で、第2電源60を使うことができ、損失を低減することができる。
【0032】
-制御回路-
制御回路80は、外部機器(例えば、親機(図示省略))またはユーザの操作を受け付ける操作手段(図示省略)からの調光指示信号を受け、調光指示信号に基づく調光制御信号LCを定電流回路40に出力する。制御回路80は、相対的に消費電力が大きい第1回路81と、第1回路81よりも消費電力が小さい第2回路82とを備える。
【0033】
第1回路81は、例えば、上記の親機や操作手段から出力された無線の調光指示信号を受信する無線モジュールである。以下の説明では、第1回路81は、無線モジュールであるものとして説明する。なお、無線モジュールにも第1回路と同じ81の符号を付して説明するものとする。無線モジュール81は、無線通信により外部から調光指示信号を受信し、調光指示信号に基づいてPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成し、後述する調光回路82に出力する。なお、第1回路81は、無線モジュールに限定されない。例えば、図示しないが、人感センサや照度センサのようなセンサからの出力を用いて調光をする場合に、第1回路81としてセンサ回路を用いる場合がある。
【0034】
第2回路82は、例えば、無線モジュール81から出力されたPWM信号を受信し、そのPWM信号に基づいて調光制御信号LC生成し、定電流回路40に出力する調光回路である。以下の説明では、第2回路82は、調光回路であるものとして説明する。なお、調光回路にも第2回路と同じ82の符号を付して説明するものとする。
【0035】
<点灯装置の動作>
次に、
図2A,2B(以下、まとめて単に
図2ともいう)を参照しつつ、点灯装置20の動作について説明する。
図2Aは本実施形態の点灯装置20の動作例であり、
図2Bは比較例の点灯装置の動作例である。
図2において、Viは商用電源Eから点灯装置20への入力電圧、Ifは定電流回路40の出力電流、Vfは平滑コンデンサ31の電圧、Vd1は第1電源50の出力電圧、Vd2は第2電源60の出力電圧、Vd3は切替回路70の出力電圧、PWMは無線モジュール81から出力されるPWM信号である。
【0036】
また、
図2において、点灯装置20は、時刻t10までは光源10の光量が最大となる設定で動作し、t10以降は光源10の光量を薄暗い状態(Dim状態)まで落とす設定で動作しているものとする。また、時刻t20において商用電源Eが停電し、時刻t30で商用電源Eが復帰したものとする。なお、本開示の特徴部分を拡大して図示するために、
図2では、最大光量が設定された場合と、Dim状態に設定された場合の電圧差/電流差が実際の差より小さく図示されている。
【0037】
ここで、時刻t20から時刻t30の間の時間は、時刻t30の時点で、平滑コンデンサ31の電圧Vfが、第2電源60の出力が停止する電圧よりも高い電圧に維持されている時間とする。また、各ダイオードのオン抵抗は無視するものとする。
【0038】
時刻t10までの期間は、光量が最大なので、無線モジュール81から出力されるPWM信号がLow固定である。調光回路82は、光源10の光量が最大となるように、定電流回路40を制御する。第1電源50及び第2電源60は、それぞれ、平滑コンデンサ31の電圧Vfに応じた電源電力を出力する。切替回路70は、第1電源50及び第2電源60の両方から電源電力を受け、前述のとおり通常モードでは第1電源の出力の方が第2電源60の出力よりも大きいので、第1電源50から出力された電源電力が無線モジュール81に供給される。
【0039】
時刻t10から時刻t20までの期間は、光量が落とされるので、無線モジュール81から出力されるPWM信号は、所定のデューティ比のパルス信号となる。調光回路82は、光源10がPWM信号に応じた光量になるように、定電流回路40を制御する。第1電源50及び第2電源60は、継続して、それぞれ、平滑コンデンサ31の電圧Vfに応じた電源電力を出力する。切替回路70は、第1電源50及び第2電源60の両方から電源電力を受けているので、時刻t10までの期間と同様に、第1電源50から出力された電源電力が無線モジュール81に供給される。
【0040】
時刻t20において、商用電源Eの電力供給が停止すると、定電流回路40の出力電流Ifが停止し、光源10が消灯する。また、平滑コンデンサ31の電圧Vfが徐々に低下する。そうすると、第1電源50では、スイッチング回路を動作させるためのバイアスが足りなくなり、出力電圧Vd1が徐々に低下し、そのうち停止する(時刻t21参照)。一方で、第2電源60は、ドロッパー回路で構成されているため、第1電源50の出力が停止しても、しばらくの間は、従前の出力状態を維持している(時刻t20~t30参照)。そうすると、時刻t20から時刻t21の間で、第1電源50の出力電圧Vd1が第2電源60の出力電圧Vd2よりも小さくなる時刻があり、その時刻になると切替回路70の出力が第1電源50の出力から第2電源60の出力に切り替わる。これにより、第1電源50の出力が停止しても、第2電源60から無線モジュール81に対して継続して電力を供給することができる。
【0041】
時刻t30において、商用電源Eの電力供給が再開してしばらくすると、平滑コンデンサ31の電圧Vfが上昇し始める(時刻t31参照)。このとき、第1電源50は停止しているものの、第2電源60から無線モジュール81に電源が供給されているので、無線モジュール81は動作状態を維持し、従前の光量(Dim)を示すPWM信号が出力される。
【0042】
すなわち、無線モジュール81は、時刻t10から時刻t20までの期間と同様に、所定のデューティ比のパルス信号を出力する(時刻t31参照)。これにより、出力電流Ifが急激に上昇して照明が一瞬明るく点灯する、いわゆる、オンピカ現象の発生を防ぐことができる(時刻t32から時刻33の期間参照)。
【0043】
-比較例-
図2Bは、比較例に係る点灯装置の動作例を示している。比較例の具体的な回路構成は図示しないが、
図1の回路から切替回路70を除いて、第1電源50の出力が無線モジュール81に供給され、第2電源60の出力が調光回路82に供給されるように構成している。それ以外の構成は、
図1と同じにしている。
【0044】
図2Bでは、時刻t21で第1電源50の出力が停止すると、無線モジュール81の電源が停止され、無線モジュール81がリセットされ、復帰に時間がかかる場合がある。例えば、無線モジュール81では、一旦リセットされると、初期化のための時間や、親機との通信確立のための時間、通信確立後の親機の信号待ち時間等が発生し、正常なPWM信号を出力できる状態になるまで時間を要する場合がある。
【0045】
そうすると、時刻t30で商用電源Eの電力供給が再開してしばらくして、平滑コンデンサ31の出力電圧が上昇した後に、出力電流Ifが流れ始めるときに、調光回路82が最大光量の設定となり、前述のオンピカ現象が発生する恐れがある(
図2Bの時刻t32から時刻34の期間参照)。これに対し、前述のとおり、実施形態の構成によると、オンピカ現象の発生を防ぐことができる。
【0046】
以上のように、本実施形態に係る点灯装置20は、主回路23と、制御回路80と、第1電源50と、第2電源60と、切替回路70とを備える。具体的に、主回路23は、出力端子対P2間に設けられた平滑コンデンサ31を有し、出力端子対P2に接続された光源10に電力を供給する。制御回路80は、主回路23を制御する。第1電源50は、平滑コンデンサ31に接続されたスイッチング回路を有し、制御回路80の無線モジュール81のための電源電力を出力する。第2電源60は、平滑コンデンサ31に接続されたドロッパー回路を有し、制御回路80の無線モジュール81のための電源電力を出力する。そして、切替回路70は、平滑コンデンサ31の電圧Vfが所定の閾値以上のとき第1電源50から出力された電源電力を無線モジュール81に供給し、平滑コンデンサ31の電圧Vfが所定の閾値より低くなると第2電源60から出力された電源電力を無線モジュール81に供給する。
【0047】
このような構成にすることにより、平滑コンデンサ31の出力電圧が、スイッチング回路の動作範囲を下回るような低い電圧に制御されるような場合においても、ドロッパー回路を用いた第2電源60を用いて、無線モジュール81への電源供給を継続させることができる。これにより、消費電力が相対的に高くなるような通常モードでは、スイッチング回路を用いた第1電源50からの電力供給で損失を低減させつつ、平滑コンデンサ31の出力電圧が低くなっても無線モジュール81に安定して電源を供給することができるようになる。すなわち、平滑コンデンサ31の電圧Vfにかかわらず制御回路80に安定した電源を供給することができる。特に、無線モジュール81のように消費電流が相対的に大きい回路について、顕著な効果が得られる。
【0048】
上記の点灯装置20において、制御回路80は、無線モジュール81と、無線モジュール81よりも消費電力が小さい調光回路82とを備えていてもよい。そして、無線モジュール81に対して、切替回路70が電源電力を供給し、調光回路82に、通常モード及び第1電源50の出力が停止したときの両方において、第2電源60から出力された電源電力を供給する、としてもよい。
【0049】
前述のとおり、無線モジュール81は、一旦電源が停止すると、復帰までに時間がかかる傾向があり、本開示の技術を適用することによる効果がより顕著に表れる。
【0050】
<その他の実施形態>
なお、上記の実施形態の構成(
図1参照)を用いて、待機状態における電力分散制御を行うようにしてもよい。具体的な制御について、
図3を参照しつつ説明する。
【0051】
図3では、点灯装置20は、時刻t50までは光源10の光量が最大となる設定で動作し、時刻t50から時刻t60までの間は、光源10がDim状態となるように動作させているものとする。また、時刻t60から時刻t70までの間で待機状態になり、時刻t70でDim状態に復帰したものとする。なお、
図3においても、
図2と同様に、最大光量が設定された場合と、Dim状態に設定された場合の電圧差/電流差が実際の差より小さく図示されている。また、
図3の時刻t60までの動作は、
図2の時刻t20までの動作と同様であり、ここでは説明を省略する。
【0052】
図3の例では、時刻t60において待機モードになると、平滑コンデンサ31の電圧Vfがのこぎり波となるように制御する。例えば、ハイのときにVfをオフする方形波の制御信号DimVfを用いて、電圧Vfがのこぎり波となるように制御する。ここで、制御信号DimVfは、待機モード時における、のこぎり波(電圧Vf)の上限値Vt2が、Dim状態での平滑コンデンサ31の電圧Vfよりも小さい値になるように設定される。また、制御信号DimVfは、待機モード時における、のこぎり波(電圧Vf)の下限値が、第1電源50のスイッチング回路が動作しなくなり、出力が停止する閾値電圧Vt3よりも小さい値になるように設定される。
【0053】
このような制御をすることで、
図3に示すように、平滑コンデンサ31の電圧Vfが閾値電圧Vt3未満の期間(時刻t61からt63の間)は、第1電源50からの出力電圧Vd1が停止する。その結果、第1電源50が復帰するまでの時間を含めると、時刻t61からt64の間には、切替回路70の出力が第1電源50(電圧Vd1)から第2電源60(電圧Vd2)に切り替わる。
【0054】
以上のように、上記実施形態の構成を用いることで、平滑コンデンサ31の電圧Vfにかかわらず制御回路に安定した電源を供給するという効果に加えて、待機モード時に使用する電源の分散をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明による点灯装置は、平滑コンデンサの電圧にかかわらず制御回路に安定した電源を供給することができるので、例えば、LED等の光源を点灯させるための点灯装置として極めて有用である。
【符号の説明】
【0056】
LM 照明器具
10 光源
23 主回路
31 平滑コンデンサ
50 第1電源
60 第2電源
70 切替回路
71 第1ダイオード
72 第2ダイオード
80 制御回路
81 無線モジュール(第1回路)
82 調光回路(第2回路)
P2 出力端子対(出力端子)
Vt1 第1閾値