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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】照明システム及び電力線通信機
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/185 20200101AFI20230630BHJP
   H05B 47/16 20200101ALI20230630BHJP
【FI】
H05B47/185
H05B47/16
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019187578
(22)【出願日】2019-10-11
(65)【公開番号】P2021064487
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】星 浩司
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸本 龍海
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-347066(JP,A)
【文献】国際公開第2016/174815(WO,A1)
【文献】特開2007-267055(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
45/00-45/58
47/00-47/29
H02J 13/00
H03J 9/00-9/06
H04Q 9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力線に接続されて互いに通信し、それぞれが照明器具に接続されている複数の第1電力線通信機と、
前記電力線に接続されており、前記照明器具の発光状態を制御するための通信信号を前記電力線へ送信する第2電力線通信機と、を備え、
前記複数の第1電力線通信機は、それぞれ、
前記電力線から前記通信信号を受信する通信部と、
所定の条件を満たした場合に、受信された前記通信信号を中継処理によって前記電力線へ前記通信部に送信させる中継処理部と、
受信された前記通信信号に基づいて前記照明器具の発光状態を制御する制御部と、
前記複数の第1電力線通信機のうち、前記中継処理にかかる第1時間に起因して最も遅く前記通信信号を受信する末端第1電力線通信機における前記通信信号の受信タイミングに基づいて、前記制御部が前記照明器具の発光状態を制御する制御タイミングを遅延させる遅延処理部と、を有する、
照明システム。
【請求項2】
前記複数の第1電力線通信機は、それぞれ、
前記複数の第1電力線通信機それぞれが前記通信信号を前記中継処理するか否かを示す情報を含む、前記複数の第1電力線通信機及び前記第2電力線通信機における前記通信信号の伝送経路に関するトポロジー情報から、自ら受信する前記通信信号が前記中継処理される回数である第1回数、及び、前記末端第1電力線通信機において受信する前記通信信号が前記中継処理される回数である第2回数を取得する回数取得部を有し、
前記遅延処理部は、前記第1時間、前記第1回数及び前記第2回数に基づいて、前記制御タイミングを遅延させる、
請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
前記複数の第1電力線通信機は、それぞれ、
前記回数取得部が前記第1回数及び前記第2回数を取得する前に、前記電力線を介して前記トポロジー情報を取得する通信管理部を有する、
請求項2に記載の照明システム。
【請求項4】
前記通信信号は、前記中継処理部によって前記中継処理された回数である第3回数を示す回数情報を含み、
前記中継処理部は、前記中継処理する場合に、受信された前記通信信号の前記回数情報における前記第3回数を更新して、前記第3回数を更新された前記通信信号を前記電力線へ前記通信部に送信させ、
前記遅延処理部は、受信された前記通信信号の前記回数情報に示される前記第3回数を前記第1回数の代わりに用いて、前記制御タイミングを遅延させる、
請求項2又は3に記載の照明システム。
【請求項5】
前記複数の第1電力線通信機それぞれの前記遅延処理部は、前記通信部によって受信された前記通信信号に関する、前記中継処理とは異なる処理にかかる第2時間を、所定の第3時間から減じた時間に基づいて、前記制御タイミングをさらに遅延させる、
請求項2から4のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項6】
前記複数の第1電力線通信機は、それぞれ、
前記中継処理部の前記中継処理における前記通信信号の送信タイミングを、所定の時間範囲でランダムに遅延させる中継遅延部を有し、
前記中継処理部は、受信された前記通信信号に、前記中継遅延部によって遅延される第4時間を示す遅延情報を付加して、前記遅延情報を付加された前記通信信号を前記電力線へ前記通信部に送信させ、
前記複数の第1電力線通信機それぞれの前記遅延処理部は、前記通信部によって受信された前記通信信号の前記遅延情報に基づいて前記第2時間を算出し、前記制御タイミングを遅延させる、
請求項5に記載の照明システム。
【請求項7】
前記第3時間は、前記所定の時間範囲における最大値である第5時間に前記第2回数を乗じた時間以上である、
請求項6に記載の照明システム。
【請求項8】
前記複数の第1電力線通信機それぞれの前記遅延処理部は、前記通信部における前記通信信号を受信した時点から前記照明器具の発光状態を制御する時点までの間の第6時間に基づいて前記第2時間を算出し、前記制御タイミングを遅延させる、
請求項5から7のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項9】
前記電力線は、
第1領域と、
前記第1領域と離間し、前記第1領域よりも前記第2電力線通信機からの前記電力線上の距離が離れている第2領域と、を有し、
前記第2領域は、前記第1領域と近接した、前記第1領域から前記通信信号が送信される近接部を含み、
前記複数の第1電力線通信機のうち、前記中継処理を行う中継用第1電力線通信機は、前記電力線における前記第1領域と前記第2領域との間に接続され、
前記複数の第1電力線通信機のうち、少なくとも1つの第1電力線通信機は、前記第2領域において、前記中継用第1電力線通信機とよりも前記近接部との前記電力線上の距離が短い位置に接続されている、
請求項1から8のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の照明システムにおける1つの第1電力線通信機である、
電力線通信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明器具の発光状態を制御するための通信信号を電力線に送信する照明システムが知られている。このような電力線通信を用いた照明システムは、照明器具の制御のために専用の信号線を設置する必要が無いという特徴を有し、既設の電力線を利用することができる。電力線通信を用いた照明システムでは、例えば、照明器具の発光状態を制御するための制御信号と電力線通信用の通信信号とを変換する電力線通信機が用いられる。
【0003】
電力線通信においては、通信距離、すなわち、通信に用いる電力線の長さが長くなると、信号強度が減衰する。そのため、特許文献1では、通信距離が長くなる場合に、通信信号の伝送の確実性を上げるために、電力線通信機が通信信号を中継する照明システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-129480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電力線通信において、通信信号を中継する場合、バッファリング等を行うために中継処理に時間がかかり、複数の電力線通信機の間で通信信号を受信するタイミングにずれが生じる。そのため、複数の電力線通信機それぞれに接続された照明器具の発光状態が制御されるタイミング、言い換えると、制御タイミングにもずれが生じる。複数の照明器具を制御する照明システムにおいて、通信信号の伝送の確実性を上げるだけでなく、照明器具の発光状態が制御されるタイミングのずれを減らすことが求められる。
【0006】
本発明は、上記従来の課題を考慮し、電力線通信を用いて複数の照明器具を制御する照明システムであって、照明器具の制御タイミングのずれを低減できる照明システム等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る照明システムは、電力線に接続されて互いに通信し、それぞれが照明器具に接続されている複数の第1電力線通信機と、前記電力線に接続されており、前記照明器具の発光状態を制御するための通信信号を前記電力線へ送信する第2電力線通信機と、を備え、前記複数の第1電力線通信機は、それぞれ、前記電力線から前記通信信号を受信する通信部と、所定の条件を満たした場合に、受信された前記通信信号を中継処理によって前記電力線へ前記通信部に送信させる中継処理部と、受信された前記通信信号に基づいて前記照明器具の発光状態を制御する制御部と、前記複数の第1電力線通信機のうち、前記中継処理にかかる第1時間に起因して最も遅く前記通信信号を受信する末端第1電力線通信機における前記通信信号の受信タイミングに基づいて、前記制御部が前記照明器具の発光状態を制御する制御タイミングを遅延させる遅延処理部と、を有する。
【0008】
本発明の一態様に係る電力線通信機は、上記照明システムにおける1つの第1電力線通信機である。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る照明システム等によれば、照明器具の制御タイミングのずれを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態に係る照明システムの構成を模式的に示す図である。
図2図2は、実施の形態に係る照明システムの構成を示すブロック図である。
図3図3は、実施の形態に係る照明システムにおける通信の論理的な接続構成を示すトポロジー図である。
図4図4は、実施の形態に係る第2電力線通信機の動作を示すフローチャートである。
図5図5は、実施の形態に係る第1電力線通信機の動作例1を示すフローチャートである。
図6図6は、動作例1における複数の第1電力線通信機それぞれの制御タイミングの例を説明するための図である。
図7図7は、実施の形態に係る第1電力線通信機の動作例2を示すフローチャートである。
図8図8は、動作例2における複数の第1電力線通信機それぞれの制御タイミングの例を説明するための図である。
図9図9は、実施の形態に係る第1電力線通信機の動作例3を示すフローチャートである。
図10図10は、動作例3における複数の第1電力線通信機それぞれの制御タイミングの例を説明するための図である。
図11図11は、実施の形態の変形例に係る照明システムの構成を模式的に示す図である。
図12図12は、実施の形態の変形例に係る照明システムにおける通信の論理的な接続構成を示すトポロジー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
また、本明細書において、平行などの要素間の関係性を示す用語、及び、矩形などの要素の形状を示す用語、同時などの時間関係、並びに、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0013】
また、本明細書において接続するとは、物理的に直接接続している場合だけでなく、通信回路等のインタフェースを介して接続している場合も含む表現である。
【0014】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0015】
(実施の形態)
[照明システムの全体構成]
まず、本実施の形態に係る照明システムの構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る照明システム100の構成を模式的に示す図である。図1に示されている直線の矢印は、電力線通信における通信信号の流れを表している。
【0016】
照明システム100は電力線通信を用いて複数の照明器具を制御する照明システムである。照明システム100では、複数の照明器具への電力供給用の電力線が通信に用いられる。電力線通信には、例えば、ブロードバンドPLC(Power Line Communication)又はナローバンドPLCが用いられる。照明システム100は、例えば、屋外の、城、テレビ塔、橋梁若しくは寺院等の建築物又は樹木若しくは滝等の景観等を照明演出するために設置される照明システムである。照明システム100は、商業施設、オフィスビル、テレビ局、スタジアム、コンサートホール施設又は演劇場等の施設に設置される照明システムであってもよい。
【0017】
照明システム100は、複数の第1電力線通信機10a~10eと、第2電力線通信機20と、電力線30と、複数の照明器具40a~40eとを備える。照明システム100は、さらに、操作器50を備える。照明システム100は、電力線30を用いた電力線通信によって、複数の照明器具40a~40eを制御するためのシステムである。図1では5つの照明器具40a~40eが示されているが、この図は一例であり、照明器具は、2つ以上であってもよく、10以上の場合もある。また、図1では5つの第1電力線通信機10a~10eが示されているが、この図は一例であり、第1電力線通信機は、それぞれ、2つ以上であってもよく、10以上の場合もある。
【0018】
以下では、複数の第1電力線通信機10a~10eを総称して第1電力線通信機10と称する場合がある。また、以下では、第1電力線通信機10及び第2電力線通信機20を総称して電力線通信機と称する場合がある。また、以下では、複数の照明器具40a~40eを総称して照明器具40と称する場合がある。
【0019】
第1電力線通信機10は、例えば、ブロードバンドPLCを行う子機である。複数の第1電力線通信機10a~10eは、それぞれが、電力線30に接続されて互いに通信し、電力線30から照明器具40の発光状態を制御するための通信信号を受信する。また、複数の第1電力線通信機10a~10eは、それぞれ、複数の照明器具40a~40eのいずれかに接続されている。例えば、第1電力線通信機10aは、照明器具40aに接続されている。第1電力線通信機10は、受信された通信信号に基づいて、照明器具40の発光状態を制御する。例えば、第1電力線通信機10は、受信された通信信号を、照明器具40の発光状態を制御するための制御信号に変換して照明器具40に送信する。第1電力線通信機10には、例えば、識別情報としてMACアドレス(Media Access Control address)が付与されている。
【0020】
図1では、複数の第1電力線通信機10a~10eのうち、第1電力線通信機10b及び10dは、受信された通信信号を中継処理によって電力線30へ送信する。つまり、第1電力線通信機10b及び10dは、通信信号の中継機として機能する。第1電力線通信機10b及び10dは、中継用第1電力線通信機の一例である。電力線通信において、通信信号は送信元から離れるほど、信号強度が減衰する。そのため、中継処理によって、信号強度が高められた通信信号が送信されることで、より長い距離の電力線通信が可能となる。電力線通信における信号強度の減衰のしやすさは、電力線の材質、電力線の設置されている環境及び信号の周波数等の影響を受ける。例えば、電力線通信における信号強度は、電力線の抵抗が大きい、電力線の分岐数が多い又は信号の周波数が高い等により、減衰しやすくなる。なお、第1電力線通信機10b及び10d以外の第1電力線通信機10が、中継機として機能してもよい。複数の第1電力線通信機10a~10eは、それぞれ、所定の条件を満たした場合に、受信された通信信号を中継処理によって電力線30へ送信する。通信信号は、第1電力線通信機10に中継処理された回数である第3回数N3を示す回数情報を含んでいてもよい。
【0021】
また、複数の第1電力線通信機10a~10eのうち、第1電力線通信機10eは、第1電力線通信機10b及び10dによって合計2回中継処理された通信信号を受信する。第1電力線通信機10eは、複数の第1電力線通信機10a~10eのうち、中継処理にかかる第1時間T1に起因して最も遅く通信信号を受信する。なお、第1電力線通信機10eは、末端第1電力線通信機の一例である。
【0022】
第2電力線通信機20は、例えば、ブロードバンドPLCを行う親機である。第2電力線通信機20は、電力線30に接続されており、電力線30へ照明器具40の発光状態を制御するための通信信号を送信する。また、第2電力線通信機20は、操作器50に接続されている。例えば、第2電力線通信機20は、操作器50から照明器具40の発光状態を制御するための制御信号を受信し、受信された制御信号を照明器具の制御情報を含む通信信号に変換して、電力線30へ送信する。制御情報には、例えば、照明器具40の発光状態の制御レベルを示す情報、及び、制御対象となる照明器具40を示す情報等が含まれる。第2電力線通信機20には、例えば、識別情報としてMACアドレスが付与されている。
【0023】
また、第1電力線通信機10及び第2電力線通信機20には、例えば、電力線通信用のインタフェース及び照明器具の制御信号通信用のインタフェースを備える電力線通信機が用いられるため、同じ型の電力線通信機が用いられてもよい。具体的には、第1電力線通信機10及び第2電力線通信機20は、ブロードバンドPLCを行う親機及び子機の機能を有する電力線通信機であってもよい。例えば、同じ型の電力線通信機が、スイッチ等によって親機と子機とを切り替えることで第1電力線通信機10及び第2電力線通信機20に用いられる。
【0024】
電力線30は、複数の第1電力線通信機10a~10e及び第2電力線通信機20に接続されている。また、電力線30は、商用交流電源60と接続され、商用交流電源60からの電流によって、第1電力線通信機10、第2電力線通信機20及び照明器具40に電力を供給するための電力線である。また、電力線30には、照明器具40の発光状態を制御するための電力線通信用の信号として照明器具の制御情報を含む通信信号が第2電力線通信機20から送信される。
【0025】
第2電力線通信機20から、複数の第1電力線通信機10a~10eのうち第2電力線通信機20から最も遠い第1電力線通信機10eまでの電力線30上の距離は、100m以上であってもよく、500m以上であってもよく、1km以上であってもよく、2km以上であってもよい。照明システム100は、当該距離が長い場合であっても、照明器具40の発光状態の制御タイミングのずれを低減できる。
【0026】
電力線30は、例えば、市販されている、絶縁材料で被覆された交流電流用の電力線である。なお、照明システム100に直流電流が用いられる場合には、直流電流用の電力線であってもよい。
【0027】
照明器具40は、例えば、照明演出に用いられるスポットライトである。照明器具40は、ホリゾントライト、ダウンライト、スポットライト、シーリングライト又はフラッドライト等であってもよい。複数の照明器具40a~eそれぞれは、例えば、同一の対象物又は区切られた空間を照射するように設置される。
【0028】
照明器具40は、第1電力線通信機10に接続されており、第1電力線通信機10によって、発光状態が制御される。例えば、照明器具40は、第1電力線通信機10からの制御信号に従って、発光状態が制御される。照明器具40は、例えば、発光状態として点灯及び消灯、光量、光色並びに配光等が制御される。図1では、1つの第1電力線通信機10に対して、1つの照明器具40が接続されている。1つの第1電力線通信機10に対して、バトン等に吊り下げられて設置された複数の照明器具40が接続されていてもよい。なお、図示は省略されているが、照明器具40は、直接又は第1電力線通信機10を介して、電力線等の電力供給用の配線で電力線30と接続され、照明器具40には電力が供給される。
【0029】
操作器50は、例えば、照明器具40の調光レベルを設定するためのフェーダ等によって、照明器具40の発光状態を制御する操作をユーザから受け付ける調光操作卓である。操作器50は、照明器具40の発光状態を制御する操作を受け付ける壁スイッチ、壁付けコントローラ、又は、アプリケーションがインストールされたタブレット型端末、スマートフォン若しくはパソコン等であってもよい。操作器50は、第2電力線通信機20と接続されており、受け付けた操作に基づいた制御情報を有する制御信号を第2電力線通信機20に送信する。制御信号は、照明器具40の発光状態を制御するための制御信号である。制御信号は、例えば、DMX(Digital Multiplex System)512規格に沿った制御信号(DMX512信号)である。DMX512信号は、例えば、最大512チャネルを1つの信号として、操作器50から定期的にブロードキャスト方式で送信される。操作器50は、例えば、制御情報に変化が無くても数十msごとに制御信号を送信する。制御信号の送信に用いられる通信規格は、特に限定されず、Ethernet(登録商標)、DALI(Digital Addressable Lighting Interface)、BACnet(Building Automation and Control Networking protocol)又はLONWORKS等に係る通信規格であってもよい。また、制御信号は、PWM(Pulse Width Modulation)を用いた制御信号であってもよい。
【0030】
[照明システムの各構成]
次に、照明システム100を構成する複数の第1電力線通信機10a~10e、第2電力線通信機20及び複数の照明器具40a~40eの詳細について説明する。
【0031】
例えば、複数の第1電力線通信機10a~10eは、それぞれ、同じ機能構成を有し、複数の照明器具40a~40eは、それぞれ、同じ機能構成を有する。そのため、以下では、複数の第1電力線通信機10a~10eのうち第1電力線通信機10a、及び、複数の照明器具40a~20eのうち照明器具40a、を代表例に挙げて説明する。
【0032】
図2は、照明システム100を構成する第1電力線通信機10a、第2電力線通信機20及び照明器具40aの機能構成を示すブロック図である。
【0033】
第1電力線通信機10aは、第1通信部11と、第2通信部12と、中継処理部13と、中継遅延部14と、通信管理部15と、制御部16と、遅延処理部17と、回数取得部18と、記憶部19とを有する。第1電力線通信機10b~10eについても、第1電力線通信機10aと同じ構成を有する。
【0034】
第1通信部11は、例えば、電力線30に重畳された高周波信号等の信号を抽出する通信回路(言い換えれば、通信モジュール)である。また、第1通信部11は、電力線30に高周波信号等の信号を重畳させる。第1通信部11は、通信信号を電力線30から受信する。また、第1通信部11は、第1電力線通信機10及び第2電力線通信機20における電力線通信の状態を確認するための確認用信号を、電力線30へ送信又は電力線30から受信してもよい。第1通信部11は、通信部の一例である。
【0035】
第2通信部12は、照明器具40aと通信を行うための通信回路(言い換えれば、通信モジュール)である。第2通信部12は、DMX512信号等の制御信号を照明器具40aに送信する。第2通信部12は、例えば、DMX512規格に基づいて有線通信を行う有線通信回路であるが、無線通信を行う無線通信回路であってもよい。第2通信部12が行う通信の通信規格については、特に限定されない。
【0036】
中継処理部13は、所定の条件を満たした場合に、受信された通信信号を、中継処理によって、第1通信部11に電力線30へ送信させる。例えば、中継処理部13は、中継処理として、通信信号を記憶部19に記憶させてバッファリングし、バッファリングされた通信信号を第1通信部11に電力線30へ送信させる。中継処理部13は、例えば、記憶部19に記憶されたトポロジー情報に基づいて、中継処理を行うか否かを判定する。トポロジー情報は、複数の第1電力線通信機10a~10eそれぞれが通信信号を中継処理するか否かを示す情報を含む、複数の第1電力線通信機10a~10e及び第2電力線通信機20それぞれの間の信号の伝送経路に関する情報である。トポロジー情報は、例えば、複数の第1電力線通信機10a~10eそれぞれについて、通信信号が第2電力線通信機20から送信されてから、送信された通信信号を受信するまでの間で、通信信号の中継処理を行う第1電力線通信機10を示すリストである。
【0037】
また、中継処理部13は、中継処理を行うか否かの設定をユーザから受け付けるスイッチの操作に基づいて、中継処理を行うか否かを判定してもよい。
【0038】
また、中継処理部13は、中継処理する場合に、受信された通信信号の回数情報における第3回数N3を更新して、第3回数N3を更新された通信信号を第1通信部11に電力線30へ送信させてもよい。これにより、それぞれの第1電力線通信機10が、受信する通信信号が実際に中継処理された第3回数N3を示す回数情報を取得できる。
【0039】
また、中継処理部13は、後述する中継遅延部14によって遅延された送信タイミングで、受信された通信信号を、中継処理によって、第1通信部11に電力線30へ送信させてもよい。その場合、中継処理部13は、受信された通信信号に、後述する中継遅延部14によって遅延される第4時間T4を示す遅延情報を付加して、遅延情報を付加された通信信号を電力線30へ第1通信部11に送信させる。第1通信部11がすでに遅延情報を付加された通信信号を受信した場合には、中継処理部13は、例えば、遅延情報に自らの第4時間T4を追加する。
【0040】
中継処理部13は、具体的には、プロセッサ、マイクロコンピュータ又は専用回路等により実現される。また、中継処理部13は、ユーザからの操作を受け付けるボタン、タッチパネル又はスイッチ等の操作部を有していてもよい。
【0041】
中継遅延部14は、中継処理部13の中継処理における通信信号の送信タイミングを、所定の時間範囲でランダムに遅延させる。これにより、複数の第1電力線通信機10が同時に中継処理を行うような通信の接続構成である場合でも、中継処理された通信信号同士の干渉を抑制できる。中継遅延部14は、具体的には、プロセッサ、マイクロコンピュータ又は専用回路等により実現される。
【0042】
通信管理部15は、複数の第1電力線通信機10a~10e及び第2電力線通信機20それぞれの間の信号の伝送経路に関する情報を取得する。例えば、通信管理部15は、後述する回数取得部18が第1回数N1及び第2回数N2を取得する前に、電力線30を介してトポロジー情報を取得する。これにより、通信管理部15が取得したトポロジー情報に基づいて、回数取得部18が第1回数N1及び第2回数N2を取得することができる。
【0043】
トポロジー情報は、例えば、後述する第2電力線通信機20の通信管理部24によって生成される。通信管理部15は、第1通信部11によって受信された第2電力線通信機20からのトポロジー情報を含む信号から、トポロジー情報を取得する。通信管理部15は、トポロジー情報等の信号の伝送経路に関する情報を、記憶部19に記憶させてもよい。
【0044】
通信管理部15は、送受信される確認用信号を用いて、第1電力線通信機10aと、複数の第1電力線通信機10b~10e及び第2電力線通信機20それぞれとの間で確認用信号が伝送可能であるか否かを示す情報を取得する。また、例えば、通信管理部15は、送受信される確認用信号を用いて、第1電力線通信機10aと、複数の第1電力線通信機10b~10e及び第2電力線通信機20それぞれとの間での通信速度を示す情報を取得する。通信管理部15は、得られたこれらの情報を含む信号を電力線30へ第1通信部11に送信させてもよい。この信号が第2電力線通信機20に受信され、受信された信号の情報に基づいて第2電力線通信機の通信管理部24によってトポロジー情報が生成される。
【0045】
通信管理部15は、具体的には、プロセッサ、マイクロコンピュータ又は専用回路等により実現される。
【0046】
制御部16は、第1通信部11によって受信された通信信号に基づいて、照明器具40aの発光状態を制御する。例えば、制御部16は、第1通信部11が受信した通信信号を、DMX512信号等の制御信号に変換して、第2通信部12に照明器具40aへ送信させる。制御部16は、後述する遅延処理部17によって遅延された制御タイミングで、制御信号を第2通信部12に照明器具40aへ送信させる。また、制御部16は、第1通信部11が、あるタイミングで第2電力線通信機20から送信された通信信号を複数回受信した場合、最初に受信した通信信号を制御信号に変換して、第2通信部12に照明器具40aへ送信させる。その場合、制御部16は、あるタイミングで第2電力線通信機20から送信された通信信号のうち、最初に受信した通信信号よりも後に受信した通信信号は破棄する。例えば、中継処理された通信信号が電力線30へ送信されるため、第1通信部11が、あるタイミングで第2電力線通信機20から送信された通信信号を複数回受信する可能性がある。制御部16は、具体的には、プロセッサ、マイクロコンピュータ又は専用回路等により実現される。
【0047】
遅延処理部17は、第1電力線通信機10eにおける通信信号の受信タイミングに基づいて、制御部16が照明器具40aの発光状態を制御する制御タイミングを遅延させる。上述のように、第1電力線通信機10eは、複数の第1電力線通信機10a~10eのうち、最も遅く通信信号を受信する電力線通信機である。これにより、第1電力線通信機10eの制御タイミングに合わせて、第1電力線通信機10aも制御部16が照明器具40aの発光状態を制御する。そのため、複数の第1電力線通信機10a~10eそれぞれの間で制御タイミングのずれを低減できる。例えば、遅延処理部17は、第1時間T1、第1回数N1及び第2回数N2に基づいて、制御タイミングを遅延させる。第1時間T1は、中継処理部13の1回の中継処理にかかる時間である。第1時間T1は、例えば、第1電力線通信機10aにおける固定値として記憶部19に記憶されている。また、第1時間T1は、ユーザから入力される操作によって、記憶部19に記憶されてもよい。第1回数N1は、トポロジー情報に基づいた、第1電力線通信機10a自ら受信する通信信号が中継処理される回数である。第2回数N2は、トポロジー情報に基づいた、第1電力線通信機10eの受信する通信信号が中継処理される回数である。第1回数N1及び第2回数N2は、例えば、後述する回数取得部18によって取得される。第1回数N1及び第2回数N2は、ユーザから入力される操作によって、記憶部19に記憶されてもよい。
【0048】
また、遅延処理部17は、第1通信部11によって受信された通信信号の回数情報に示される第3回数N3を第1回数N1の代わりに用いて、制御タイミングを遅延させてもよい。第3回数N3は、第1通信部11によって受信された通信信号における、中継処理された回数である。これにより、第1電力線通信機10aが、電力線通信状態の変動等により、第1回数N1よりも少ない中継回数の通信信号を受信した場合でも、制御タイミングの遅延に実際の中継処理回数である第3回数N3を反映させることができる。そのため、複数の第1電力線通信機10a~10eそれぞれの間で制御タイミングのずれをより低減できる。
【0049】
また、遅延処理部17は、第1通信部11によって受信された通信信号に関する、中継処理とは異なる処理にかかる第2時間T2を、所定の第3時間T3から減じた時間に基づいて、制御タイミングをさらに遅延させてもよい。これにより、第1電力線通信機10aが、最大で第3時間T3分、制御タイミングをさらに遅延させることができる。そのため、制御部16の制御タイミングが第2時間T2分遅れた場合に、遅延処理部17は第3時間T3から第2時間T2を減じた時間分、制御部16の制御タイミングをさらに遅延させる。その結果、第1電力線通信機10aは、中継処理に起因して遅延させる時間に加えて、第3時間T3分、さらに遅延したタイミングで照明器具40aを制御することになる。これにより、複数の第1電力線通信機10a~10eそれぞれの間で中継処理とは異なる処理にかかる第2時間T2が異なる場合でも、複数の第1電力線通信機10a~10eそれぞれは、中継処理に起因して遅延させる時間に加えて、少なくとも第3時間T3分、さらに制御タイミングを遅延させる。そのため、照明システム100は、複数の第1電力線通信機10a~eそれぞれの間での制御タイミングのずれを抑制できる。第3時間T3は、例えば、固定値としてあらかじめ記憶部19に記憶されていてもよく、ユーザから入力される操作によって、記憶部19に記憶されてもよい。
【0050】
また、遅延処理部17は、第1通信部11によって受信された通信信号の遅延情報に基づいて第2時間T2を算出し、制御部16の制御タイミングを遅延させてもよい。具体的には、遅延処理部17は、受信された通信信号の遅延情報に示される第4時間T4を合計して、第2時間T2を算出する。第4時間T4は、1つの第1電力線通信機10における、中継遅延部14によって中継処理部13の中継処理が遅延される時間である。これにより、中継遅延部14によって中継処理が遅延される第4時間T4を第2時間T2に反映させることができる。また、所定の第3時間T3は、中継遅延部14がランダムに中継処理を遅延させる所定の時間範囲における最大値である第5時間T5に、第2回数N2を乗じた時間以上であってもよい。これにより、第3時間T3が、第1電力線通信機10eが受け取る通信信号における中継遅延部14によってランダムに中継処理を遅延された時間の最大時間以上の時間になる。そのため、中継遅延部14がどのような時間で中継処理を遅延させた場合であっても、複数の第1電力線通信機10それぞれの間での制御タイミングを合わせることができる。第5時間T5は、例えば、固定値としてあらかじめ記憶部19に記憶されている。
【0051】
また、遅延処理部17は、第1通信部11における通信信号を受信した時点から、照明器具40aの発光状態を制御する時点までの間の第6時間T6に基づいて、第2時間T2を算出し、制御タイミングを遅延させてもよい。例えば、遅延処理部17は、第6時間T6をそのまま第2時間T2とする。また、遅延処理部17は、遅延情報に示される第4時間T4と第6時間T6とを合計して、第2時間T2を算出してもよい。これにより、例えば、制御部16による通信信号から制御信号への変換処理に時間がかかる場合であっても、第6時間T6を第2時間T2に反映させることができる。第6時間T6は、例えば、遅延処理部17が、タイムスタンプ等を用いて、第1通信部11における通信信号を受信した時点から、照明器具40aの発光状態を制御する時点までの時間を計測した時間である。遅延処理部17が計測した第6時間T6は、記憶部19に記憶される。また、第6時間T6は、固定値としてあらかじめ記憶部19に記憶されていてもよい。
【0052】
遅延処理部17は、具体的には、プロセッサ、マイクロコンピュータ又は専用回路等により実現される。また、遅延処理部17は、ユーザからの操作を受け付けるボタン、タッチパネル又はスイッチ等の操作部を有していてもよい。
【0053】
回数取得部18は、トポロジー情報に基づいて、第1電力線通信機10a自ら受信する通信信号が中継処理される回数である第1回数N1及び第1電力線通信機10eが受信する通信信号が中継処理される回数である第2回数N2を取得する。例えば、回数取得部18はトポロジー情報を参照し、以下の計測を行う。回数取得部18は、第1電力線通信機10aについて、通信信号が第2電力線通信機20から送信されてから、送信された通信信号を受信するまでの間で、通信信号の中継処理を行う第1電力線通信機10の数を計測し、第1回数N1を取得する。同様に、回数取得部18は、第1電力線通信機10aについて、通信信号が第2電力線通信機20から送信されてから、送信された通信信号を受信するまでの間で、通信信号の中継処理を行う第1電力線通信機10の数を計測し、第2回数N2を取得する。回数取得部18は、取得した第1回数N1及び第2回数N2を記憶部19に記憶させる。
【0054】
記憶部19は、中継処理部13、中継遅延部14、通信管理部15、制御部16、遅延処理部17及び回数取得部18が実行する制御プログラムなどが記憶される記憶装置である。また、記憶部19には、中継処理部13、中継遅延部14、通信管理部15、制御部16、遅延処理部17及び回数取得部18により参照又は作成される各種データが記憶される。また、記憶部19には、第1通信部11によって受信された通信信号が一時的に記憶されてもよい。また、記憶部19には、第1電力線通信機10aのMACアドレス等の識別情報が記憶されてもよい。また、記憶部19には、トポロジー情報等の信号の伝送経路に関する情報が記憶されてもよい。また、記憶部19には、第1回数N1、第2回数N2、第1時間T1、第3時間T3、第5時間T5及び第6時間T6を示す情報が記憶されていてもよい。
【0055】
記憶部19は、具体的には、スタティックRAM(Random Access Memory)若しくはダイナミックRAM等の揮発性の記憶装置、又は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)若しくはフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶装置等によって実現される。
【0056】
第2電力線通信機20は、第1通信部21と、第2通信部22と、制御部23と、通信管理部24と、記憶部25とを有する。
【0057】
第1通信部21は、例えば、電力線30に高周波信号等の信号を重畳させる通信回路(言い換えれば、通信モジュール)である。また、第1通信部21は、電力線30に重畳された高周波信号等の信号を抽出する。第1通信部21は、通信信号を電力線30へ送信する。また、第1通信部21は、第1電力線通信機10及び第2電力線通信機20における電力線通信の状態を確認するための確認用信号を、電力線30へ送信又は電力線30から受信してもよい。
【0058】
第2通信部22は、操作器50と通信を行うための通信回路(言い換えれば、通信モジュール)である。第2通信部22は、操作器50からのDMX512信号等の制御信号を受信する。第2通信部22は、例えば、DMX512規格に基づいて有線通信を行う有線通信回路であるが、無線通信を行う無線通信回路であってもよい。第2通信部22が行う通信の通信規格については、特に限定されない。
【0059】
制御部23は、第2通信部22が受信した制御信号を、照明器具の制御情報を含む通信信号に変換して、第1通信部21に電力線30へ送信させる。制御部23は、具体的には、プロセッサ、マイクロコンピュータ又は専用回路等により実現される。
【0060】
通信管理部24は、第1通信部21に確認用信号を送受信させ、送受信される確認用信号を用いて、複数の第1電力線通信機10a~10e及び第2電力線通信機20それぞれの間の信号の伝送経路に関する情報を取得する。また、通信管理部24は、送受信される確認用信号を用いて、第1電力線通信機10のMACアドレス等の識別情報を取得してもよい。通信管理部24は、MACアドレス等の識別情報により、複数の第1電力線通信機10a~10e及び第2電力線通信機20を識別する。
【0061】
通信管理部24は、複数の第1電力線通信機10a~10eのうち中継処理を行う電力線通信機を判定してもよい。また、この判定に基づいて、通信管理部24は、第1電力線通信機10及び第2電力線通信機20における、通信信号の伝送経路に関するトポロジー情報を生成してもよい。トポロジー情報は、MACアドレス等の識別情報と関連付けられていてもよい。通信管理部24は、トポロジー情報等の信号の伝送経路に関する情報を、記憶部25に記憶させてもよい。また、通信管理部24は、生成させたトポロジー情報を含む確認用信号を、第1通信部21に電力線30へ送信させてもよい。例えば、送信されたトポロジー情報を含む確認用信号は、複数の第1電力線通信機10a~10eによって受信され、全ての電力線通信機の間でトポロジー情報が共有される。
【0062】
中継処理を行う電力線通信機の判定及びトポロジー情報の生成は、公知の方法によって実施可能である。例えば、通信管理部24は、送受信される確認用信号を用いて、複数の第1電力線通信機10a~10e及び第2電力線通信機20それぞれの間で確認用信号が伝送可能であるか否かを示す情報を取得する。また、例えば、通信管理部24は、送受信される確認用信号を用いて、複数の第1電力線通信機10a~10e及び第2電力線通信機20それぞれの間での通信速度を示す情報を取得する。通信管理部24は、確認用信号が伝送可能であるか否かを示す情報又は通信速度を示す情報等に基づいて、複数の第1電力線通信機10a~10eのうち中継処理を行う電力線通信機を判定する。例えば、確認用信号が受信できない電力線通信機が存在する場合、確認用信号が受信できない電力線通信機と通信可能な電力線通信機の中で、確認用信号を受信できる電力線通信機が中継機となるように判定する。このような判定を繰り返し、通信管理部24は、複数の第1電力線通信機10a~10e及び第2電力線通信機20における、通信信号の伝送経路に関するトポロジー情報を生成する。また、通信管理部24は、トポロジー情報をユーザから入力される操作によって、トポロジー情報を生成してもよい。
【0063】
通信管理部24は、具体的には、プロセッサ、マイクロコンピュータ又は専用回路等により実現される。また、通信管理部24は、ユーザからの操作を受け付けるボタン、タッチパネル又はスイッチ等の操作部を有していてもよい。
【0064】
記憶部25は、制御部23及び通信管理部24が実行する制御プログラムなどが記憶される記憶装置である。また、記憶部25には、制御部23及び通信管理部24により参照又は作成される各種データが記憶される。また、記憶部25には、第2通信部22によって受信された制御信号が一時的に記憶されてもよい。また、記憶部25には、第2電力線通信機20のMACアドレス等の識別情報が記憶されてもよい。また、記憶部25には、トポロジー情報等の信号の伝送経路に関する情報が記憶されてもよい。
【0065】
記憶部25は、具体的には、スタティックRAM若しくはダイナミックRAM等の揮発性の記憶装置、又は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、ROM若しくはフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶装置等によって実現される。
【0066】
照明器具40aは、例えば、DMX512信号等の制御信号を受信し、受信された制御信号に従って、出射する光が制御されるDMX512信号対応の照明器具である。照明器具40aがDMX512信号対応の照明器具である場合、照明器具40aには、照明器具の識別情報としてDMXアドレスが割り当てられる。照明器具40aは、DMX512信号対応の照明器具に限らず、操作器50等から送信される制御信号に従って出射する光が制御される照明器具であってもよい。
【0067】
照明器具40aは、光源41と、制御部42と、通信部43と、記憶部44とを有する。照明器具40b~40eについても、照明器具40aと同じ構成を有する。
【0068】
光源41は、例えば、基板上にLED(Light Emitting Diode)チップが配置されたCOB(Chip On Board)型の発光モジュールである。光源41は、基板上にSMD(Surface Mount Device)型のLED素子が配置されたSMD型の発光モジュールを用いて実現されてもよい。光源41には、例えば、半導体レーザまたは有機EL(Electro Luminescence)等、LED(LED素子)以外の固体発光素子が発光素子として用いられてもよい。また、光源41には、蛍光灯、白熱灯又はハロゲン電球等が用いられてもよい。
【0069】
また、光源41は白色光を発する構成に限定されず、他の色の光を発してもよい。例えば、光源41は、白色光、赤色光、緑色光又は青色光を発する複数のLED素子を含んでいてもよい。光源41が、光色の異なる複数のLED素子を有している場合、制御部42がそれぞれのLED素子への電流量を調整する等により、光源41の照明光が調色されてもよい。
【0070】
制御部42は、光源41の発光状態を制御する。制御部42は、例えば、通信部43が受信した制御信号に従って、光源41の発光状態を制御する。制御信号にDMX512信号が用いられる場合、制御部42は、受信されたDMX512信号のチャネル数をカウントし、カウントした数と割り当てられたDMXアドレスとが一致したDMX512信号のチャネルを取り込み、光源41の発光状態の制御に用いる。
【0071】
制御部42は、例えば、光源41の駆動回路、及び、プロセッサ又はマイクロコンピュータ等によって実現される。
【0072】
通信部43は、第1電力線通信機10aと通信を行うための通信回路(言い換えれば、通信モジュール)である。通信部43は、第1電力線通信機10aから光源41の発光状態を制御するためのDMX512信号等の制御信号を受信する。通信部43は、例えば、DMX512規格に基づいて有線通信を行う有線通信回路であるが、無線通信を行う無線通信回路であってもよい。通信部43が行う通信の通信規格については、特に限定されない。
【0073】
記憶部44は、制御部42が実行する制御プログラムなどが記憶される記憶装置である。また、記憶部44には、制御部42により参照又は作成される各種データが記憶される。記憶部44には、通信部43によって受信された制御信号が一時的に記憶されてもよい。また、記憶部44には、照明器具40aのDMXアドレス等の識別情報が記憶されてもよい。記憶部44は、具体的には、スタティックRAM若しくはダイナミックRAM等の揮発性の記憶装置、又は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、ROM若しくはフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶装置等によって実現される。
【0074】
[接続構成]
次に、本実施の形態に係る照明システム100の通信の論理的な接続構成について説明する。図3は、本実施の形態に係る照明システム100における通信の論理的な接続構成を示すトポロジー図である。
【0075】
図3に示されるように、照明システム100では、第1電力線通信機10a及び10bは、電力線30を介して第2電力線通信機20と通信する。これにより、第1電力線通信機10a及び10bは、第2電力線通信機20から、中継処理されていない通信信号を受信する。言い換えると、第1電力線通信機10a及び10bの受信する通信信号が中継処理される回数である第1回数N1は0回である。
【0076】
第1電力線通信機10bは、通信信号の中継処理を行う中継機として機能する。第1電力線通信機10c及び10dは、電力線30を介して第1電力線通信機10bと通信する。これにより、第1電力線通信機10c及び10dは、第1電力線通信機10bから、中継処理回数が1回である通信信号を受信する。言い換えると、第1電力線通信機10c及び10dの受信する通信信号の第1回数N1は1回である。
【0077】
第1電力線通信機10dは、通信信号の中継処理を行う中継機として機能する。第1電力線通信機10eは、電力線30を介して第1電力線通信機10dと通信する。これにより、第1電力線通信機10eは、第1電力線通信機10dから、中継処理回数が2回である通信信号を受信する。言い換えると、第1電力線通信機10eの受信する通信信号の第1回数N1は2回である。
【0078】
[照明システムの動作]
次に、本実施の形態に係る照明システム100の動作について説明する。
【0079】
<第2電力線通信機の動作>
まず、照明システム100の第2電力線通信機20の動作について説明する。図4は、第2電力線通信機20の動作を示すフローチャートである。
【0080】
まず、第2電力線通信機20の第2通信部22は、操作器50から制御信号を受信する(S11)。制御信号は、例えば、DMX512信号であり、照明器具40の発光状態を制御するための制御情報を含む。受信された制御信号は、一時的に記憶部25に記憶される。次に、制御部23は制御信号を、通信信号に変換する(S12)。そして、制御部23は、ステップS12で変換された通信信号を、第1通信部21に電力線30へ送信させる(S13)。制御信号がブロードキャスト方式で送信されるDMX512信号等である場合、変換された通信信号もブロードキャスト方式で送信される。ステップS13で送信された通信信号は、電力線30を介して第1電力線通信機10に受信される。
【0081】
例えば、照明システム100において照明器具40の発光状態を制御する間は、操作器50から、定期的に制御信号が送信される。その場合、第2電力線通信機20は、ステップS11からステップS13を繰り返し、定期的に電力線30へ通信信号を送信する。
【0082】
<第1電力線通信機の動作例1>
次に、照明システム100の第1電力線通信機10の動作例1について説明する。図5は、第1電力線通信機10の動作例1を示すフローチャートである。
【0083】
まず、第1電力線通信機10の通信管理部15は、電力線30を介してトポロジー情報を取得する(S21)。通信管理部15は、例えば、第2電力線通信機20によって生成されたトポロジー情報を含む信号を第2電力線通信機20から電力線30を介して受信することで、トポロジー情報を取得する。これにより、複数の第1電力線通信機10及び第2電力線通信機20の間で、トポロジー情報が共有される。次に、回数取得部18は、トポロジー情報から、当該第1電力線通信機10自ら受信する通信信号が中継処理される回数である第1回数N1及び第1電力線通信機10eが受信する通信信号が中継処理される回数である第2回数N2を取得する(S22)。
【0084】
次に、第1通信部11は、電力線30から通信信号を受信する(S23)。ステップS23で受信される通信信号は、ステップS13において第2電力線通信機20から送信された通信信号、又は、後述するステップS25において複数の第1電力線通信機10a~10eのいずれかから送信された通信信号である。また、ステップS23では、第1通信部11は、トポロジー情報通りに通信信号を受信する場合、第1回数N1と同じ中継処理回数の通信信号を受信する。そのため、ステップS23で、第1通信部11が通信信号を受信するタイミングは、第2電力線通信機20から通信信号が送信された時点から、中継処理部13の中継処理にかかる時間である第1時間T1に、第1回数N1を乗じた時間経過した後である。
【0085】
次に、中継処理部13は、ステップS23で受信された通信信号の中継処理を行うか否かを判定する(S24)。中継処理部13は、例えば、記憶部19に記憶されたトポロジー情報を参照し、当該第1電力線通信機10が中継処理を行う第1電力線通信機10に指定されているか否かによって、中継処理を行うか否かを判定する。中継処理部13は、中継処理を行うと判定した場合(S24でYes)、中継処理によって受信された通信信号を第1通信部11に電力線30へ送信させる(S25)。具体的には、中継処理部13は、受信された通信信号を記憶部19に記憶させてバッファリングし、バッファリングされた通信信号を第1通信部11に電力線30へ送信させる。そのため、中継処理部13は、第1通信部11が通信信号を受信してから、中継処理にかかる第1時間T1経過後に、バッファリングされた通信信号を第1通信部11に電力線30へ送信させる。また、中継処理部13は、中継処理を行わないと判定した場合(S24でNo)、中継処理を行わず、ステップS25がスキップされる。
【0086】
次に、遅延処理部17は、第1時間T1、第1回数N1及び第2回数N2に基づいて、制御部16が照明器具40の発光状態を制御する制御タイミングを遅延させる(S26)。具体的には、遅延処理部17は、第1時間T1に、第2回数N2から第1回数N1を減じた数を乗じた時間分、制御タイミングを遅延させる。つまり、遅延処理部17は、最も遅く通信信号を受信する第1電力線通信機10eよりも早く通信信号を受信した時間分、制御タイミングを遅延させる。これにより、遅延処理部17は、最も遅く通信信号を受信する第1電力線通信機10eにおける通信信号の受信タイミングに基づいて、制御タイミングを遅延させていることになる。そして、制御部16は、ステップS26で遅延された制御タイミングで、照明器具40の発光状態を制御する(S27)。具体的には、制御部16は、ステップS23において受信した通信信号を、DMX512信号等の制御信号に変換して、第2通信部12に照明器具40へ送信させる。これにより、第2電力線通信機20から送信された通信信号に基づいて、照明器具40が発光状態を制御される。
【0087】
例えば、照明システム100において照明器具40の発光状態を制御する間は、通信信号は定期的に電力線30へ送信される。その場合、第1電力線通信機10は、ステップS27の後は、ステップS23からステップS27を繰り返す。
【0088】
このように、動作例1においては、ステップS26において、遅延処理部17は、第1電力線通信機10eよりも早く通信信号を受信した時間分、制御タイミングを遅延させる。これにより、複数の第1電力線通信機10a~10eそれぞれで、ステップS23での通信信号を受信するタイミングがずれる場合でも、第1電力線通信機10eにおける通信信号の受信タイミングにあわせて、照明器具40の発光状態を制御できる。
【0089】
次に、動作例1における複数の第1電力線通信機10a~10eそれぞれの制御タイミングを説明する。図6は、動作例1における複数の第1電力線通信機10a~10eそれぞれの制御タイミングの例を説明するための図である。図6の説明において、複数の第1電力線通信機10a~10eそれぞれは、図5に示されるフローチャートの動作を行う。また、以下では、第2電力線通信機20が通信信号を送信してから第1電力線通信機10に通信信号が到着するまでの時間を通信信号到着時間と称する。また、ステップS26において遅延処理部17が制御タイミングを遅延させる時間を遅延処理時間と称する。
【0090】
図6には、照明システム100における通信の接続構成を示すトポロジー図、並びに、複数の第1電力線通信機10a~10eそれぞれの、通信信号到着時間、遅延処理時間及び制御タイミングが示されている。図6では、図3に示されるトポロジー図と同じ接続構成で、通信信号が通信される場合を説明する。また、図6では、第2回数N2は2回であり、第1時間T1は20msである場合を説明する。なお、図6における説明では、電力線30における通信信号の伝送速度が速いため、電力線通信機間の通信信号の送信時間は0msとしている。この、電力線通信機間の通信信号の送信時間は、後述する図8及び図10における説明でも同様である。
【0091】
図6に示されるように、第1電力線通信機10a及び10bにおける第1回数N1は0回である。そのため、第1電力線通信機10a及び10bにおける通信信号到着時間は、第1時間T1に第1回数N1を乗じた0msである。また、第1電力線通信機10a及び10bにおける遅延処理時間は、第1時間T1に、第2回数N2から第1回数N1を減じた数を乗じた40msである。その結果、第1電力線通信機10a及び10bは、第2電力線通信機20が通信信号を送信してから、通信信号到着時間と遅延処理時間との合計の40ms後に照明器具40を制御する。
【0092】
第1電力線通信機10c及び10dにおける第1回数N1は1回である。上記と同様に計算すると、通信信号到着時間は20msであり、遅延処理時間は20msである。その結果、第1電力線通信機10c及び10dは、第2電力線通信機20が通信信号を送信してから、40ms後に照明器具40を制御する。
【0093】
第1電力線通信機10eにおける第1回数N1は2回である。上記と同様に計算すると、通信信号到着時間は40msであり、遅延処理時間は0msである。その結果、第1電力線通信機10eは、第2電力線通信機20が通信信号を送信してから、40ms後に照明器具40を制御する。
【0094】
以上のように、動作例1においては、複数の第1電力線通信機10a~10eは、すべて、第2電力線通信機20が通信信号を送信してから、40ms後に照明器具40を制御する。よって、動作例1において、複数の第1電力線通信機10a~10eの間で、通信信号到着時間がずれている場合でも、複数の第1電力線通信機10a~10eの間で制御タイミングにずれがない。
【0095】
<第1電力線通信機の動作例2>
次に、照明システム100の第1電力線通信機10の動作例2について説明する。図7は、第1電力線通信機10の動作例2を示すフローチャートである。動作例2は、第1電力線通信機10の制御タイミングの遅延に、第1回数N1の代わりに第3回数N3を用いる場合の動作である。なお、以下の動作例2の説明において、動作例1との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0096】
ステップS21からステップS24までの第1電力線通信機10の動作は、動作例1と同様である。動作例2において、ステップS22で回数取得部18は、第1回数N1を取得せず、第2回数N2のみを取得してもよい。また、動作例2において、ステップS23で受信される通信信号は、ステップS13において第2電力線通信機20から送信された通信信号、又は、後述するステップS32において複数の第1電力線通信機10a~10eのいずれかから送信された通信信号である。また、動作例2において、ステップS23では、第3回数N3を示す回数情報を含む通信信号を受信する。そのため、動作例2において、ステップS23で、第1通信部11が通信信号を受信するタイミングは、第2電力線通信機20から通信信号が送信された時点から、第1時間T1に、第3回数N3を乗じた時間経過した後である。
【0097】
中継処理部13は、中継処理を行うと判定した場合(S24でYes)、通信信号の回数情報における第3回数を更新する(S31)。具体的には、中継処理部13は、受信された時点での通信信号の回数情報における第3回数N3に1を加算した値に、第3回数N3を更新する。次に、中継処理部13は、中継処理によって第3回数N3が更新された通信信号を第1通信部11に電力線30へ送信させる(S32)。また、中継処理部13は、中継処理を行わないと判定した場合(S24でNo)、中継処理を行わず、ステップS31及びS32がスキップされる。
【0098】
次に、遅延処理部17は、第1時間T1、第2回数N2及び第3回数N3に基づいて、制御部16が照明器具40の発光状態を制御する制御タイミングを遅延させる(S33)。具体的には、遅延処理部17は、第1時間T1に、第2回数N2から第3回数N3を減じた数を乗じた時間分、制御タイミングを遅延させる。つまり、遅延処理部17は、最も遅く通信信号を受信する第1電力線通信機10eよりも早く通信信号を受信した時間分、制御タイミングを遅延させる。そして、制御部16は、ステップS33で遅延された制御タイミングで、照明器具40の発光状態を制御する(S27)。これにより、第2電力線通信機20から送信された通信信号に基づいて、照明器具40が発光状態を制御される。
【0099】
例えば、照明システム100において照明器具40の発光状態を制御する間は、通信信号は定期的に電力線30へ送信される。その場合、第1電力線通信機10は、ステップS27の後は、ステップS23からステップS27を繰り返す。
【0100】
このように、動作例2においては、ステップS33において、遅延処理部17は、第1電力線通信機10eよりも早く通信信号を受信した時間分、制御タイミングを遅延させる。これにより、複数の第1電力線通信機10a~10eそれぞれで、ステップS23での通信信号を受信するタイミングがずれる場合でも、第1電力線通信機10eにおける通信信号の受信タイミングにあわせて、照明器具40の発光状態を制御できる。また、ステップS33において、遅延処理部17は、第1回数N1ではなく、第3回数N3を用いて制御タイミングを遅延させる。そのため、第1電力線通信機10が、電力線通信状態の変動等により、第1回数N1よりも少ない中継回数の通信信号を受信した場合でも、遅延処理部17は、制御タイミングの遅延に実際の中継処理回数である第3回数N3を用いて算出する。よって、電力線通信状態の変動等により、通信信号の送受信先が変化した場合でも、複数の第1電力線通信機10a~10eそれぞれの間で制御タイミングのずれを減らすことができる。
【0101】
次に、動作例2における複数の第1電力線通信機10a~10eそれぞれの制御タイミングを説明する。図8は、動作例2における複数の第1電力線通信機10a~10eそれぞれの制御タイミングの例を説明するための図である。図8の説明において、複数の第1電力線通信機10a~10eそれぞれは、図7に示されるフローチャートの動作を行う。
【0102】
図8には、照明システム100における通信の接続構成を示すトポロジー図、並びに、複数の第1電力線通信機10a~10eそれぞれの、通信信号到着時間、遅延処理時間及び制御タイミングが示されている。図8では、図3に示されるトポロジー図とは異なり、第1電力線通信機10eが第1電力線通信機10dによって中継処理された通信信号だけでなく、第1電力線通信機10bによって中継処理された通信信号も受信する場合を説明する。そのため、第1電力線通信機10eは、第1電力線通信機10bによって中継処理された通信信号を先に受信するため、第1電力線通信機10dによって中継処理された通信信号を破棄する。また、図8では、第2回数N2は2回であり、第1時間T1は20msである場合を説明する。
【0103】
図8に示されるように、第1電力線通信機10a及び10bが受信した通信信号の回数情報に示される第3回数N3は0回である。そのため、第1電力線通信機10a及び10bにおける通信信号到着時間は、第1時間T1に第3回数N3を乗じた0msである。また、第1電力線通信機10a及び10bにおける遅延処理時間は、第1時間T1に、第2回数N2から第3回数N3を減じた数を乗じた40msである。その結果、第1電力線通信機10a及び10bは、第2電力線通信機20が通信信号を送信してから、通信信号到着時間と遅延処理時間との合計の40ms後に照明器具40を制御する。
【0104】
次に、第1電力線通信機10c及び10dが受信した通信信号の回数情報に示される第3回数N3は1回である。また、第1電力線通信機10eが受信した通信信号の回数情報に示される第3回数N3も1回である。上記と同様に計算すると、通信信号到着時間は20msであり、遅延処理時間は20msである。その結果、第1電力線通信機10c、10d及び10eは、第2電力線通信機20が通信信号を送信してから、40ms後に照明器具40を制御する。
【0105】
以上のように、動作例1においては、複数の第1電力線通信機10a~10eは、すべて、第2電力線通信機20が通信信号を送信してから、40ms後に照明器具40を制御する。よって、動作例2においては、第1電力線通信機10eが、電力線通信状態の変動等により、第1回数N1よりも少ない中継回数の通信信号を受信した場合でも、複数の第1電力線通信機10a~10eの間で制御タイミングにずれがない。
【0106】
<第1電力線通信機の動作例3>
次に、照明システム100の第1電力線通信機10の動作例3について説明する。図9は、第1電力線通信機10の動作例2を示すフローチャートである。動作例3は、中継遅延部14が中継処理部13の中継処理を遅延させる場合の動作である。なお、以下の動作例3の説明において、動作例1との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0107】
ステップS21からステップS24までの第1電力線通信機10の動作は、動作例1と同様である。動作例3において、ステップS23で受信される通信信号は、ステップS13において第2電力線通信機20から送信された通信信号、又は、後述するステップS43において複数の第1電力線通信機10a~10eのいずれかから送信された通信信号である。また、ステップS23では、第1通信部11は、トポロジー情報通りに通信信号を受信し、第1回数N1と同じ中継処理回数の通信信号を受信する。また、ステップS23での通信信号の受信タイミングは、第2電力線通信機20から送信された時点から、中継処理にかかる第1時間T1に加えて、後述するステップS41において送信タイミングを遅延された第4時間T4分、さらに遅くなる。そのため、ステップS23で、第1通信部11が通信信号を受信するタイミングは、第2電力線通信機20から通信信号が送信された時点から、第1時間T1に第1回数N1を乗じた時間に、第4時間T4の合計を加算した経過した後である。
【0108】
中継処理部13が、中継処理を行うと判定した場合(S24でYes)、中継遅延部14は、中継処理部13の中継処理における通信信号の送信タイミングを所定の時間範囲でランダムに遅延させる(S41)。次に、中継処理部13は、ステップS23で第1通信部11によって受信された通信信号に、ステップS41で中継遅延部14によって遅延される第4時間T4を示す遅延情報を付加する(S42)。そして、中継処理部13は、遅延情報を付加された通信信号を、中継処理によって第1通信部11に電力線30へ送信させる(S43)。具体的には、中継処理部13は、第1通信部11が通信信号を受信してから、中継処理にかかる第1時間T1に第4時間T4を加えた時間経過した後に、遅延情報を付加された通信信号を第1通信部11に電力線30へ送信させる。また、中継処理部13は、中継処理を行わないと判定した場合(S24でNo)、中継処理を行わず、ステップS41、S42及びS43がスキップされる。
【0109】
次に、遅延処理部17は、ステップS23で第1通信部11によって受信された通信信号の遅延情報に基づいて、中継処理部13の中継処理以外の処理にかかる第2時間T2を算出する(S44)。例えば、遅延処理部17は、遅延情報に示される第4時間T4の合計をして、第2時間T2を算出する。また、遅延処理部17は、第1通信部11における通信信号を受信した時点から、照明器具40の発光状態を制御する時点までの間の第6時間T6と遅延情報に示される第4時間T4とを合計して、第2時間T2を算出してもよい。
【0110】
次に、遅延処理部17は、動作例1と同様に、第1時間T1、第1回数N1及び第2回数N2に基づいて、制御部16が照明器具40の発光状態を制御する制御タイミングを遅延させる(S26)。続いて、遅延処理部17は、所定の第3時間T3からステップS44で算出した第2時間T2を減じた時間に基づいて、制御部16が照明器具40の発光状態を制御する制御タイミングをさらに遅延させる(S45)。そして、制御部16は、ステップS26及びS45で遅延された制御タイミングで、照明器具40の発光状態を制御する(S27)。これにより、第2電力線通信機20から送信された通信信号に基づいて、照明器具40が発光状態を制御される。
【0111】
例えば、照明システム100において照明器具40の発光状態を制御する間は、通信信号は定期的に電力線30へ送信される。その場合、第1電力線通信機10は、ステップS27の後は、ステップS23からステップS27を繰り返す。
【0112】
このように、動作例3においては、ステップS42で、中継遅延部14は、所定の時間範囲で中継処理における送信タイミングをランダムに遅延させる。そのため、ステップS23において、第1通信部11が通信信号を受信するタイミングは、第2電力線通信機20から通信信号が送信された時点から、中継処理部13の中継処理にかかる時間に第4時間T4を合計した時間経過した後である。一方、ステップS45において、遅延処理部17が第3時間T3から、例えば第4時間T4の合計として算出される第2時間T2を減じた時間に基づいて制御タイミングを遅延させる。つまり、遅延処理部17は、受信された通信信号の遅延情報に示される第4時間T4を第3時間T3から差し引いて、制御タイミングを遅延させる。その結果、受信するタイミングにおいて遅れた第4時間T4が相殺され、第1電力線通信機10は、中継処理に起因して遅延させる時間に加えて、少なくとも第3時間T3分、さらに遅延したタイミングで照明器具40を制御する。よって、通信信号の中継処理毎にランダムに遅延され中継処理での送信タイミングが変わる場合であっても、複数の第1電力線通信機10a~10eそれぞれの間で制御タイミングのずれを減らすことができる。
【0113】
次に、動作例3における複数の第1電力線通信機10a~10eそれぞれの制御タイミングを説明する。図10は、動作例3における複数の第1電力線通信機10a~10eそれぞれの制御タイミングの例を説明するための図である。図10の説明において、複数の第1電力線通信機10a~10eそれぞれは、図9に示されるフローチャートの動作を行う。また、以下では、ステップS45における遅延処理部17が制御タイミングを遅延させる時間を追加遅延処理時間と称する。
【0114】
図10には、照明システム100における通信の接続構成を示すトポロジー図、並びに、複数の第1電力線通信機10a~10eそれぞれの、通信信号到着時間、遅延処理時間、追加遅延処理時間及び制御タイミングが示されている。図10では、図3に示されるトポロジー図と同じ接続構成で、通信信号が通信される場合を説明する。また、図10では、第2回数N2は2回であり、第1時間T1は20msであり、第3時間T3は30msであり、第5時間T5は10msである場合を説明する。これにより、図10では、第5時間T5に第2回数N2を乗じた時間以上になるように、第3時間T3が設定されている。また、図10では、第1電力線通信機10bの中継処理部13における第4時間T4は7msであり、第1電力線通信機10dの中継処理部13における第4時間T4は2msである場合について説明する。
【0115】
図10に示されるように、第1電力線通信機10a及び10bにおける第1回数N1は0回である。つまり、第1電力線通信機10a及び10bは、中継処理されていない通信信号を受信する。そのため、第1電力線通信機10a及び10bにおける通信信号到着時間は、第1時間T1に第1回数N1を乗じた0msである。また、第1電力線通信機10a及び10bにおける遅延処理時間は、第1時間T1に、第2回数N2から第1回数N1を減じた数を乗じた40msである。また、第1電力線通信機10a及び10bが受信する通信信号のおいては、ステップS41において送信タイミングを遅延された第4時間T4が無いため、第2時間T2は0msである。そのため、第1電力線通信機10a及び10bにおける追加遅延処理時間は、第3時間T3から第2時間T2を減じた30msである。その結果、第1電力線通信機10a及び10bは、第2電力線通信機20が通信信号を送信してから、通信信号到着時間と遅延処理時間と追加遅延処理時間との合計の70ms後に照明器具40を制御する。
【0116】
次に、第1電力線通信機10c及び10dにおける第1回数N1は1回である。また、第1電力線通信機10c及び10dは、ステップS41において中継処理の送信タイミングを、7ms遅延されて、すなわち、第4時間T4を合計した時間分、遅延されて通信信号を受信する。そのため、第1電力線通信機10c及び10dにおける通信信号到着時間は、第1時間T1に第1回数N1を乗じた時間に、第4時間T4の合計を加算した27msである。また、上記と同様に計算すると、遅延処理時間は20msである。また、第1電力線通信機10c及び10dが受信した通信信号の遅延情報が示す第4時間は7msであることから、第2時間T2は7msとなる。そのため、第1電力線通信機10a及び10bにおける追加遅延処理時間は、第3時間T3から第2時間T2を減じた23msである。その結果、第1電力線通信機10c及び10dは、第2電力線通信機20が通信信号を送信してから、70ms後に照明器具40を制御する。
【0117】
次に、第1電力線通信機10eにおける第1回数N1は2回である。また、第1電力線通信機10eは、ステップS41において中継処理の送信タイミングを、7msと2msとの合計時間すなわち、第4時間T4を合計した時間分、遅延されて通信信号を受信する。上記と同様に計算すると、通信信号到着時間は49msであり、遅延処理時間は0msであり、追加遅延処理時間は21msである。その結果、第1電力線通信機10eは、第2電力線通信機20が通信信号を送信してから、70ms後に照明器具40を制御する。
【0118】
以上のように、動作例3においては、複数の第1電力線通信機10a~10eは、すべて、第2電力線通信機20が通信信号を送信してから、70ms後に照明器具40を制御する。よって、動作例3においては、通信信号の中継処理毎にランダムに遅延され中継処理での送信タイミングが変わる場合であっても、複数の第1電力線通信機10a~10eの間で制御タイミングにずれがない。
【0119】
[効果]
以上説明したように、照明システム100は、電力線30に接続されて互いに通信し、それぞれが照明器具40に接続されている複数の第1電力線通信機10a~10eを備える。また、照明システム100は、電力線30に接続されており、照明器具40の発光状態を制御するための通信信号を電力線30へ送信する第2電力線通信機20を備える。複数の第1電力線通信機10a~10eは、それぞれ、電力線30から通信信号を受信する第1通信部11と、所定の条件を満たした場合に、受信された通信信号を中継処理によって電力線30へ第1通信部11に送信させる中継処理部13を有する。また、複数の第1電力線通信機10a~10eは、それぞれ、受信された通信信号に基づいて照明器具40の発光状態を制御する制御部16を有する。また、複数の第1電力線通信機10a~10eは、それぞれ、第1電力線通信機10eにおける通信信号の受信タイミングに基づいて、制御部16が照明器具40の発光状態を制御する制御タイミングを遅延させる遅延処理部17を有する。第1電力線通信機10eは、複数の第1電力線通信機10a~10eのうち、中継処理にかかる第1時間T1に起因して最も遅く通信信号を受信する。
【0120】
これにより、複数の第1電力線通信機10a~10eそれぞれの遅延処理部17は、第1電力線通信機10eよりも早く通信信号を受信した時間分、制御タイミングを遅延させる。これにより、複数の第1電力線通信機10a~10eそれぞれで、第1通信部11の通信信号を受信するタイミングがずれる場合でも、第1電力線通信機10eにおける通信信号の受信タイミングにあわせて、照明器具40の発光状態を制御できる。よって、照明システム100は、照明器具40の制御タイミングのずれを低減できる。
【0121】
また、例えば、照明システム100において、複数の第1電力線通信機10a~10eは、それぞれ、トポロジー情報から、第1回数N1、及び、第2回数N2を取得する回数取得部18を有する。トポロジー情報は、複数の第1電力線通信機10a~10eそれぞれが通信信号を中継処理するか否かを示す情報を含む、複数の第1電力線通信機10a~10e及び第2電力線通信機20における通信信号の伝送経路に関する情報である。また、第1回数N1は。当該第1電力線通信機10自ら受信する通信信号が中継処理される回数であり、第2回数N2は、第1電力線通信機10eにおいて受信する通信信号が中継処理される回数である。遅延処理部17は、第1時間T1、第1回数N1及び第2回数N2に基づいて、制御タイミングを遅延させる。
【0122】
これにより、第1時間T1に関する情報及びトポロジー情報を第1電力線通信機10に記憶させるだけで、制御タイミングが遅延処理部17によって算出される。よって、照明システム100は、簡易に、照明器具40の制御タイミングのずれを減らすことができる。
【0123】
また、例えば、照明システム100において、通信信号は、中継処理部によって中継処理された回数である第3回数N3を示す回数情報を含む。また、中継処理部13は、中継処理する場合に、受信された通信信号の回数情報における第3回数N3を更新して、第3回数N3を更新された通信信号を電力線30へ第1通信部11に送信させる。また、遅延処理部17は、受信された通信信号の回数情報に示される第3回数N3を第1回数N1の代わりに用いて、制御タイミングを遅延させる。
【0124】
これにより、第1電力線通信機10が、電力線通信状態の変動等により、第1回数N1よりも少ない中継回数の通信信号を受信した場合でも、遅延処理部17は、制御タイミングの遅延に実際の中継処理回数である第3回数N3を用いて算出する。よって、電力線通信状態の変動等により、通信信号の送受信先が変化した場合でも、複数の第1電力線通信機10a~10eそれぞれの間で制御タイミングのずれを減らすことができる。
【0125】
また、例えば、照明システム100において、複数の第1電力線通信機10a~10eは、それぞれ、中継処理部13の中継処理における通信信号の送信タイミングを、所定の時間範囲でランダムに遅延させる中継遅延部14を有する。中継処理部13は、受信された通信信号に、中継遅延部14によって遅延される第4時間T4を示す遅延情報を付加して、遅延情報を付加された通信信号を電力線30へ第1通信部11に送信させる。複数の第1電力線通信機10a~10eそれぞれの遅延処理部17は、第1通信部11によって受信された通信信号の遅延情報に基づいて第2時間T2を算出し、第2時間T2を所定の第3時間T3から減じた時間に基づいて、制御タイミングを遅延させる。
【0126】
これにより、第1通信部11が通信信号を受信するタイミングは、第2電力線通信機20から通信信号が送信された時点から、中継処理部13の中継処理にかかる時間に第4時間T4を合計した時間経過した後である。一方、遅延処理部17が第3時間T3から、遅延情報に基づいて算出される第2時間T2を減じた時間に基づいて、制御タイミングを遅延させる。つまり、遅延処理部17は、受信された通信信号の遅延情報に示される第4時間T4を第3時間T3から差し引いて、制御タイミングを遅延させる。その結果、受信するタイミングにおいて遅れた第4時間T4が相殺され、複数の第1電力線通信機10a~10eはそれぞれ、中継処理に起因して遅延させる時間に加えて、少なくとも第3時間T3分、さらに遅延したタイミングで照明器具40を制御する。よって、通信信号の中継処理毎にランダムに遅延され中継処理での送信タイミングが変わる場合であっても、複数の第1電力線通信機10a~10eそれぞれの間で制御タイミングのずれを減らすことができる。
【0127】
[変形例]
以下では、実施の形態の変形例について説明する。なお、以下の実施の形態の変形例の説明において、実施の形態との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0128】
図11は、実施の形態の変形例に係る照明システム100aの構成を模式的に示す図である。照明システム100aでは、実施の形態に係る照明システム100と比較して、電力線30の代わりに電力線130を備える点が異なる。
【0129】
図11に示されるように、照明システム100aは、複数の第1電力線通信機10f~10jと、第2電力線通信機20と、電力線130と、複数の照明器具40f~40jとを備える。照明システム100は、さらに、操作器50を備える。
【0130】
以下では、複数の第1電力線通信機10f~10jを総称して第1電力線通信機10と称する場合がある。また、以下では、複数の照明器具40f~40jを総称して照明器具40と称する場合がある。
【0131】
複数の第1電力線通信機10f~10jは、それぞれが、電力線130に接続されて互いに通信し、電力線130から照明器具40の発光状態を制御するための通信信号を受信する。また、複数の第1電力線通信機10f~10jは、それぞれ、複数の照明器具40f~40jのいずれかに接続されている。
【0132】
図1では、複数の第1電力線通信機10f~10jのうち、第1電力線通信機10gは、受信された通信信号を中継処理によって電力線130に送信する。第1電力線通信機10gは、中継用第1電力線通信機の一例である。
【0133】
また、複数の第1電力線通信機10f~10jのうち、第1電力線通信機10h及び10iは、第1電力線通信機10gによって合計1回中継処理された通信信号を受信する。第1電力線通信機10h及び10iは、複数の第1電力線通信機10f~10jのうち、中継処理にかかる第1時間T1に起因して最も遅く通信信号を受信する。なお、第1電力線通信機10h及び10iは、末端第1電力線通信機の一例である。
【0134】
電力線130は、複数の第1電力線通信機10f~10j及び第2電力線通信機20に接続されている。また、電力線130は、商用交流電源60と接続され、商用交流電源60からの電流によって、第1電力線通信機10、第2電力線通信機20及び照明器具40に電力を供給するための電力線である。また、電力線130には、照明器具40の発光状態を制御するための電力線通信用の信号として照明器具の制御情報を含む通信信号が第2電力線通信機20から送信される。
【0135】
電力線130は、第1領域131と、第1領域131と離間し、第1領域131よりも第2電力線通信機20からの電力線130上の距離が離れている第2領域132を有する。
【0136】
第1領域131は、電力線130において、第2領域132に近づくように屈曲した領域である。
【0137】
第2領域132は、電力線130において、第1電力線通信機10jに接続される電力線のつながる分岐箇所Bを含む領域である。また、第2領域132は、第1領域131と近接した、第1領域131から通信信号が送信される近接部132aを含む。
【0138】
複数の第1電力線通信機10f~10jのうち、中継処理を行う第1電力線通信機10gは、電力線130における第1領域131と第2領域132との間に接続されている。また、複数の第1電力線通信機10f~10jのうち、第1電力線通信機10jは、第2領域132において、第1電力線通信機10gよりも近接部132aとの電力線130上の距離が短い位置に接続されている。これにより、第1電力線通信機10jは、第1電力線通信機10gによって中継処理された通信信号ではなく、第2電力線通信機20から送信された通信信号を、近接部132aを介して受信する。
【0139】
近接部132aは、第2領域132において、第2領域132と第1領域131とが近接している領域である。近接部132aは、コイル又はコンデンサ等からなる通信回路が含まれない領域である。近接部132aは、例えば、第1領域131と第2領域132とが近接するように固定することで形成される。
【0140】
近接部132aにおける第1領域131と第2領域132との位置関係及び間隔、並びに、近接部132aの長さは、近接部132aにおいて第1領域131から第2領域132へ通信信号が伝送される態様であれば、特に制限されない。照明システム100aにおける通信環境、第1領域131及び第2領域132の材料、並びに、求められる通信速度等に応じて、近接部132aにおける第1領域131と第2領域132との位置関係及び間隔、並びに、近接部132aの長さが設定されてもよい。
【0141】
本変形例においても、複数の第1電力線通信機10f~10jそれぞれは、第1通信部11の通信信号を受信するタイミングがずれる場合でも、第1電力線通信機10h及び10iにおける通信信号の受信タイミングにあわせて、照明器具40の発光状態を制御できる。
【0142】
次に、本変形例に係る照明システム100aの通信の論理的な接続構成について説明する。図12は、本変形例に係る照明システム100aにおける通信の論理的な接続構成を示すトポロジー図である。
【0143】
図12に示されるように、照明システム100aでは、第1電力線通信機10f及び10gは、電力線130を介して第2電力線通信機20と通信する。また、第1電力線通信機10jも、電力線130及び電力線130の近接部132aを介して第2電力線通信機20と通信する。これにより、第1電力線通信機10f、10g及び10jは、第2電力線通信機20から、中継処理されていない通信信号を受信する。言い換えると、第1電力線通信機10f、10g及び10jの受信する通信信号の第1回数N1は0回である。
【0144】
第1電力線通信機10gは、通信信号の中継処理を行う中継機として機能する。第1電力線通信機10h及び10iは、電力線130を介して第1電力線通信機10gと通信する。これにより、第1電力線通信機10h及び10iは、第1電力線通信機10gから、中継処理回数が1回である通信信号を受信する。言い換えると、第1電力線通信機10h及び10iの受信する通信信号の第1回数N1は1回である。
【0145】
実施の形態に係る照明システム100において、最も遅く通信信号を受信する第1電力線通信機10eの受信する通信信号の中継処理される第2回数N2は2回であった。それに対して、本変形例に係る照明システム100aにおいて、最も遅く通信信号を受信する第1電力線通信機10i及び10hの受信する通信信号の中継処理される第2回数N2は、1回である。つまり、照明システム100aでは、照明システム100と比べて、第2回数N2が少ない。その結果、照明システム100aにおいて最も遅く通信信号を受信する第1電力線通信機10i及び10jは、照明システム100において最も遅く通信信号を受信する第1電力線通信機10eよりも、早いタイミングで通信信号を受信できる。よって、照明システム100aでは、最も遅く通信信号を受信する第1電力線通信機10i及び10jに合わせて遅延させて照明器具40の発光状態を制御するため、照明システム100よりも制御タイミングを遅延させる時間を短くすることができる。よって、照明システム100aは、第2電力線通信機20が通信信号を送信してから、照明器具40の発光状態が制御されるまでの時間を短縮しつつ、照明器具40の制御タイミングのずれを低減できる。
【0146】
(その他の実施の形態)
以上、各実施の形態及び実施の形態の各変形例について説明したが、本発明は上記実施の形態には限定されない。
【0147】
例えば、上記実施の形態において、操作器50の機能は、第2電力線通信機20に含まれ、第2電力線通信機20が照明器具40の発光状態を制御する操作をユーザから受け付けてもよい。つまり、第2電力線通信機20と操作器50とは、一体型の装置であってもよい。
【0148】
また、例えば、上記実施の形態において、第1電力線通信機10は、光源が備えられ、受信された通信信号に基づいて発光状態を制御する照明器具であってもよい。つまり、第1電力線通信機10と照明器具40とは、一体型の装置であってもよい。
【0149】
また、例えば、上記実施の形態において、商用交流電源60を用いていたが、これに限らない。電源は、直流電源であってもよい。
【0150】
また、例えば、上記実施の形態において、第2電力線通信機20の通信管理部24がトポロジー情報を生成していたが、これに限らない。通信管理部24の代わりに、第1電力線通信機10の通信管理部15がトポロジー情報を生成してもよい。その場合、第1電力線通信機10から、他の電力線通信機へ、生成されたトポロジー情報が送信される。
【0151】
また、例えば、上記実施の形態において、遅延処理部17は、第1時間T1、第1回数N1及び第2回数N2に基づいて、制御タイミングを遅延させていたが、これに限らない。遅延処理部17は、ユーザから遅延処理時間の入力の操作を受け付け、入力された遅延処理時間に基づいて、制御タイミングを遅延させてもよい。
【0152】
また、例えば、上記実施の形態において、通信信号は、第2回数N2、第1時間T1及び第1電力線通信機10eの通信信号の受信タイミングのうち少なくとも1つの情報を含んでいてもよい。この場合、第1電力線通信機10は、通信信号に含まれる第2回数N2、第1時間T1及び第1電力線通信機10eの通信信号の受信タイミングのうち少なくとも1つの情報を用いて、照明器具40の発光状態の制御タイミングを遅延させてもよい。
【0153】
また、上記実施の形態において、制御部等の各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0154】
また、各構成要素は、回路(又は集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0155】
また、本発明の包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの非一時的な記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び非一時的な記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。例えば、本発明は、照明システムの各構成要素が備える制御部等が行う制御をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。
【0156】
また、上記実施の形態において説明された照明システムの動作における複数の処理の順序は一例である。複数の処理の順序は、変更されてもよいし、複数の処理は、並行して実行されてもよい。
【0157】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0158】
10、10a、10b、10c、10d、10e、10f、10g、10h、10i、10j 第1電力線通信機
11 第1通信部(通信部)
13 中継処理部
14 中継遅延部
15 通信管理部
16 制御部
17 遅延処理部
18 回数取得部
20 第2電力線通信機
30、130 電力線
40、40a、40b、40c、40d、40e、40f、40g、40h、40i、40j 照明器具
100、100a 照明システム
131 第1領域
132 第2領域
132a 近接部
図1
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図3
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図12