(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】身体機能管理システム、及び、身体機能管理方法
(51)【国際特許分類】
G16H 50/20 20180101AFI20230630BHJP
G16H 50/30 20180101ALI20230630BHJP
A61B 5/117 20160101ALI20230630BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20230630BHJP
【FI】
G16H50/20
G16H50/30
A61B5/117 100
G06T7/00 660Z
(21)【出願番号】P 2021513182
(86)(22)【出願日】2020-02-05
(86)【国際出願番号】 JP2020004270
(87)【国際公開番号】W WO2020208917
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2021-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2019074281
(32)【優先日】2019-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】和田 健吾
(72)【発明者】
【氏名】相原 貴拓
(72)【発明者】
【氏名】濱塚 太一
(72)【発明者】
【氏名】内田 嵩
(72)【発明者】
【氏名】樋山 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 佳州
(72)【発明者】
【氏名】松原 彰
(72)【発明者】
【氏名】湯峯 学
(72)【発明者】
【氏名】松村 吉浩
【審査官】玉木 宏治
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-197330(JP,A)
【文献】国際公開第2009/025140(WO,A1)
【文献】特開2007-202869(JP,A)
【文献】特開2011-215122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 -80/00
A61B 5/117- 5/1178
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が被写体として映る動画を撮像する撮像部と、
撮像された前記動画に基づいて、前記人の身体機能情報、及び、前記人の識別情報を特定し、特定された前記身体機能情報及び特定された前記識別情報を紐づけて記憶部に一時的に記憶する情報処理部と、
通信端末と通信する通信部とを備え、
前記記憶部には、登録済み識別情報があらかじめ記憶され、
前記情報処理部は、
特定された前記識別情報が前記登録済み識別情報と一致する場合に、特定された前記身体機能情報を前記登録済み識別情報に紐づけて前記記憶部に記憶し、
前記通信端末に入力されたID情報が前記登録済み識別情報に含まれるID情報と一致する場合に、前記記憶部において前記登録済み識別情報に紐づけられた前記身体機能情報を、前記通信部に前記通信端末へ送信させる
身体機能管理システム。
【請求項2】
前記人の身体機能情報は、前記人の歩容情報である
請求項1に記載の身体機能管理システム。
【請求項3】
前記人の身体機能情報は、前記人の筋力情報である
請求項1に記載の身体機能管理システム。
【請求項4】
前記撮像部は、ドアが設けられた閉空間の外部を撮像し、
前記情報処理部は、特定された前記識別情報が前記登録済み識別情報と一致する場合に、前記ドアのロックを解除するための解除信号を出力する
請求項1~3のいずれか1項に記載の身体機能管理システム。
【請求項5】
さらに、人検知部を備え、
前記情報処理部は、前記人検知部によって前記人が検知されたことをトリガとして前記撮像部に前記動画の撮像を開始させる
請求項1~4のいずれか1項に記載の身体機能管理システム。
【請求項6】
前記情報処理部は、前記撮像部によって撮像された動画に基づいて前記人を検知する
請求項1~4のいずれか1項に記載の身体機能管理システム。
【請求項7】
前記識別情報は、前記人の顔の部分の画像情報である
請求項1~6のいずれか1項に記載の身体機能管理システム。
【請求項8】
前記識別情報は、前記身体機能情報の少なくとも一部である
請求項1~6のいずれか1項に記載の身体機能管理システム。
【請求項9】
コンピュータによって実行される身体機能管理方法であって、
人が被写体として映る動画を撮像し、
撮像された前記動画に基づいて、前記人の身体機能情報、及び、前記人の識別情報を特定し、
特定された前記身体機能情報及び特定された前記識別情報を紐づけて記憶部に一時的に記憶し、
特定された前記識別情報が前記記憶部にあらかじめ記憶された登録済み識別情報と一致する場合に、特定された前記身体機能情報を前記登録済み識別情報に紐づけて前記記憶部に記憶し、
通信端末と通信することにより得られる前記通信端末に入力されたID情報が前記登録済み識別情報に含まれるID情報と一致する場合に、前記記憶部において前記登録済み識別情報に紐づけられた前記身体機能情報を前記通信端末へ送信する
身体機能管理方法。
【請求項10】
前記人の身体機能情報は、前記人の歩容情報、または、前記人の筋力情報である
請求項9に記載の身体機能管理方法。
【請求項11】
請求項9または10に記載の身体機能管理方法をコンピュータに実行させるための
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の身体機能を管理する身体機能管理システムおよび身体機能管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康に対する関心が強くなっている。健康寿命を延ばすためには、日々の健康管理が大切である。その中で、自分自身の身体の機能の状態、衰退を知っておくことが健康管理の意識向上につながる。健康に関する技術として、特許文献1には、ユーザの心身状態を検出し、ユーザの行動を制限したり、ユーザにリラクゼーション情報を配信したりする生活管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数人の健康状態を管理するためには、複数人分の健康状態を示す情報のそれぞれが誰のものであるかを識別するために、識別情報の入力が必要である。人数が多くなると識別情報の入力に非常に手間がかかり、非効率的である。
【0005】
本発明は、人の身体機能情報を効率的に管理することができる、身体機能管理システム、及び、身体機能管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る身体機能管理システムは、人が被写体として映る動画を撮像する撮像部と、撮像された前記動画に基づいて、前記人の身体機能情報、及び、前記人の識別情報を特定し、特定された前記身体機能情報及び特定された前記識別情報を紐づけて記憶部に記憶する情報処理部とを備える。
【0007】
本発明の一態様に係る身体機能管理方法は、コンピュータによって実行される身体機能管理方法であって、人が被写体として映る動画を撮像し、撮像された前記動画に基づいて、前記人の身体機能情報、及び、前記人の識別情報を特定し、特定された前記身体機能情報及び特定された前記識別情報を紐づけて記憶部に記憶する。
【0008】
本発明の一態様に係るプログラムは、前記身体機能管理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の身体機能管理システム、及び、身体機能管理方法は、人の身体機能情報を効率的に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る身体機能管理システムの概要を示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る身体機能管理システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る身体機能管理システムの登録動作のフローチャートである。
【
図4】
図4は、登録完了通知を受信した通信端末に表示される登録完了画面の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る身体機能管理システムの歩容情報及び他の身体機能情報の蓄積動作のフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る身体機能管理システムの身体機能情報の配信動作のフローチャートである。
【
図7】
図7は、通知情報を受信した通信端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施の形態に係る身体機能管理システムの認証動作の概要を示す図である。
【
図9】
図9は、実施の形態に係る身体機能管理システムの認証動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0013】
(実施の形態)
[構成]
まず、実施の形態に係る身体機能管理システムの構成について説明する。
図1は、実施の形態に係る身体機能管理システムの概要を示す図である。
図2は、実施の形態に係る身体機能管理システムの機能構成を示すブロック図である。
図1及び
図2に示されるように、実施の形態に係る身体機能管理システム10は、複数の撮像部20と、人検知部30と、錠前装置40と、管理装置50とを備える。なお、
図1および
図2には、通信端末60も示されている。
【0014】
身体機能管理システム10は、人の身体機能を示す身体機能情報を管理するシステムである。ここでの身体機能は、例えば、歩容、筋力、及び、認知機能などを意味する。歩容とは、人が歩いている時の身体運動の様子であり、歩容を示す歩容情報には、歩行速度、歩幅、歩隔、歩行周期、ケイデンス、左右のステップ差、歩行時の体幹の揺れ、及び、関節角度の変化量などが含まれる。身体機能管理システム10は、上記のような身体機能情報を蓄積し、人の健康管理に役立てるシステムである。
【0015】
撮像部20は、住宅などの建物に設置され、当該建物の外側を撮像する。撮像部20は、当該撮像部20の撮像範囲を通行する人を撮像することができる。撮像部20が住宅に設置される場合、撮像部20は、家族の一員を撮像することができる。なお、撮像部20は、介護施設、オフィス、または、公共機関など住宅以外の建物に設置されてもよい。
【0016】
撮像部20は、具体的には、セキュリティカメラ(監視カメラ)であるが、
図1に示されるようにドアホン(インターホン)のカメラであってもよい。身体機能管理システム10は、複数の撮像部20を備えているが、身体機能管理システム10は、少なくとも1つの撮像部20を備えていればよく、撮像部20の数は特に限定されない。
【0017】
人検知部30は、当該人検知部30の設置場所の周辺において、人の体から発せられる赤外線を検知する焦電センサであり、ドアホンに備えられている。人検知部30は、可視光または超音波などを用いて人を検出するセンサであってもよい。人検知部30は、撮像部20に、撮像を開始するためのトリガを与える装置として機能する。なお、身体機能管理システム10が人検知部30を備えることは必須ではなく、撮像部20は常時動画を撮像し、情報処理部52が撮像部20によって撮像された動画に基づいて人を検知してもよい。
【0018】
錠前装置40は、建物のドア41を施錠及び解錠するための電気錠である。錠前装置40は、例えば、管理装置50から送信される解除信号に基づいてドア41のロックを解除(つまり、解錠)する。
【0019】
管理装置50は、撮像部20によって撮像された動画を取得し、取得した動画に映る人の歩容情報を管理する。管理装置50は、例えば、住宅に設置される制御装置(ホームコントローラなど)であるが、サーバ装置(クラウドサーバ)であってもよい。管理装置50は、住宅に設置される制御装置及びサーバ装置を組み合わせたシステムとして実現されてもよい。管理装置50は、第一通信部51と、情報処理部52と、記憶部53と、第二通信部54とを備える。
【0020】
第一通信部51は、管理装置50が、撮像部20、人検知部30、及び、錠前装置40などと局所通信網を介した通信を行うための通信モジュール(通信回路)である。第一通信部51によって行われる通信は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。通信に用いられる通信規格は、特に限定されない。
【0021】
情報処理部52は、人の歩容情報を管理するための情報処理を行う。情報処理部52は、登録処理部55と、蓄積処理部56と、配信処理部57と、認証処理部58とを有する。情報処理部52は、具体的には、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)などによって構成されている。
【0022】
記憶部53は、第一通信部51によって取得された動画、動画に基づいて特定された歩容情報などが蓄積される記憶装置である。記憶部53には、情報処理部52が実行するためのコンピュータプログラムなども記憶されている。記憶部53は、具体的には、半導体メモリまたはHDD(Hard Disk Drive)などによって実現される。
【0023】
第二通信部54は、管理装置50がインターネットなどの広域通信網70を介して通信端末60と通信を行うための通信モジュール(通信回路)である。第二通信部54によって行われる通信は、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。通信に用いられる通信規格についても特に限定されない。
【0024】
通信端末60は、例えば、スマートフォン、または、タブレット端末などの携帯型の情報端末であるが、パーソナルコンピュータなどの据え置き型の情報端末であってもよい。通信端末60は、人が、自身の身体機能情報を閲覧したい場合に、当該人によって操作される。通信端末60は、広域通信網70を介さずに管理装置50と直接通信を行ってもよい。
【0025】
[登録動作]
次に、身体機能管理システム10の動作について説明する。以下では、身体機能情報の一例として、歩容情報が蓄積される例について説明する。身体機能管理システム10は、撮像部20によって撮像された人の歩容情報を蓄積するが、このときに、当該人が誰であるかを区別する必要がある。身体機能管理システム10においては、人を区別するための識別情報として、顔画像(顔の部分の画像情報)、及び、歩容情報が用いられる。まず、識別情報を登録するときの動作について説明する。
図3は、身体機能管理システム10の登録動作のフローチャートである。
【0026】
まず、通信端末60は、登録のための所定の操作を登録希望者から受け付ける。この操作には、ログインID、名前、年齢、身長、性別などの情報の入力操作が含まれる。なお、これらの情報の入力方法については特に限定されず、例えば、管理装置50がユーザインターフェースを備えるような場合には、このようなユーザインターフェースを介して入力されてもよい。このような操作が受け付けられると、通信端末60から登録要求が送信され、送信された登録要求は管理装置50によって受信される。
【0027】
管理装置50の第二通信部54によって登録要求が受信されると(S11)、登録処理部55は、登録処理を開始する(S12)。管理装置50の登録処理部55は、具体的には、撮像部20に撮像を開始させるとともに、第二通信部54に、登録希望者に登録のための動作を指示するための指示情報を送信させる。指示情報を受信した通信端末60の表示画面には、撮像部20の撮像範囲を何回か歩いて往復することを指示する情報と、撮像部20によって顔画像を撮像することを指示する情報とが表示される。
【0028】
登録処理部55は、登録希望者が指示通りに行動することで得られる動画に基づいて、登録用の顔画像、及び、登録用の歩容情報を生成し、上述のログインID、名前、年齢、身長、性別などの情報と、登録用の顔画像と、登録用の歩容情報とを紐づけた情報である登録済み識別情報を記憶部53に記憶する。そして、登録処理部55は、パスワードを発行し、パスワードを含む登録完了通知を通信端末60に送信する。
図4は、登録完了通知を受信した通信端末60に表示される登録完了画面の一例を示す図である。なお、顔画像は、撮像部20ではなく、通信端末60が備える撮像部によって撮像し、登録されてもよい。
【0029】
また、登録処理において歩容情報が登録されることは必須ではなく、例えば、登録処理においては顔画像のみが登録され、後述する他の身体機能情報の蓄積動作の際に、初回に特定された歩容情報、または、初回に特定された歩容情報に基づいて推定された身体機能情報の少なくとも一部が登録済み識別情報として使用されてもよい。
【0030】
[歩容情報及び他の身体機能情報の蓄積動作]
次に、身体機能管理システム10の歩容情報及び他の身体機能情報の蓄積動作について説明する。
図5は、身体機能管理システム10の歩容情報及び他の身体機能情報の蓄積動作のフローチャートである。
【0031】
人検知部30によって人が検知されると(S21)、管理装置50の蓄積処理部56は、撮像部20による動画の撮像を開始する(S22)。動画は、一時的に記憶部53に記憶される。
【0032】
蓄積処理部56は、記憶部53に記憶された動画を読み出し、当該動画に基づいて、人の歩容情報を特定する(S23)。歩容を特定するに際して、例えば、動画に映る人の3次元骨格モデル(人の膝関節、股関節、くるぶしなどの各関節の3次元座標データ)を既存のアルゴリズムを用いて特定し、3次元骨格モデルの各骨格点の位置変化を用いて歩容情報を特定する。上述のように、歩容情報は、歩行速度、歩幅、歩隔、歩行周期、ケイデンス、左右のステップ差、歩行時の体幹の揺れ、及び、関節角度の変化量などの少なくとも1つを含めばよい。
【0033】
次に、蓄積処理部56は、動画に映る人の識別情報を特定する(S24)。例えば、蓄積処理部56は、既存の顔画像認識処理により、動画に映る人の顔画像を特定する。また、蓄積処理部56は、ステップS23で特定した歩容情報の少なくとも一部を識別情報として特定してもよい。例えば、動画に人の顔画像が映っていなかった場合などに、歩容情報の少なくとも一部が識別情報として使用される。動画に映る人が撮像部20に背中を向けて歩行している場合、及び、動画に映る人がマスクを装着しているような場合には、上記顔画像認識処理によって顔画像が取得できない可能性がある。
【0034】
次に、蓄積処理部56は、ステップS23で特定された歩容情報及びステップS24で特定された識別情報を紐づけて記憶部53に一時的に記憶する(S25)。なお、ステップS25において複数人分の歩容情報が一時的に記憶される場合、複数人分の歩容情報は、類似度に応じてクラス分けされた状態で記憶されていてもよい。
【0035】
次に、蓄積処理部56は、ステップS25において一時的に記憶された識別情報が、登録済み識別情報と一致するか否かの判定を行う(S26)。蓄積処理部56は、一時的に記憶された識別情報が、登録済み識別情報と一致しないと判定した場合、一時的に記憶された歩容情報、及び、識別情報を破棄し(S27)、動作は終了となる。
【0036】
一方、蓄積処理部56は、一時的に記憶された識別情報(顔画像または歩容情報の少なくとも一部)が、登録済み識別情報と一致すると判定した場合、一時的に記憶された歩容情報を、当該登録済み識別情報に紐づけて記憶(蓄積)する(S28)。
【0037】
そして、蓄積処理部56は、ステップS28で記憶された歩容情報に基づいて他の身体機能情報の推定を行う(S29)。他の身体機能情報は、例えば、筋力情報または認知機能情報である。蓄積処理部56は、例えば、動画に映る人が歩行中に前方へ踏み出す脚の膝の曲げ角度に基づいて、当該人の下肢筋力情報を推定する。また、蓄積処理部56は、動画に映る歩行中の人が停止するときの歩行速度の変化に基づいて、当該人の下肢筋力情報を推定する。身体機能情報としては、その他に、歩行中の左右のバランスなどが例示される。筋力と同じように、認知機能に関しても、例えば歩行中の脚の膝の曲げ角度の衰えや歩行中の左右バランスの劣化をもとに推定することが可能である。また、蓄積処理部56は、このように推定した他の身体機能情報を、上記登録済み識別情報に紐づけて記憶する(S30)。
【0038】
このように、身体機能管理システム10は、特定される識別情報が、登録済み識別情報と一致する場合には、歩容情報を登録済み識別情報と紐づけて記憶し、歩容情報に基づいて、他の身体機能を推定する。これにより、登録済みの人の身体機能情報を選択的に記憶部53に蓄積することができる。また、身体機能容管理システム10は、識別情報と一致した人の歩容情報に基づいて認知症機能低下や筋力低下などの他の身体機能情報を推定し、記憶部53に蓄積することもできる。なお、複数種類の身体機能情報が蓄積されることは必須ではなく、身体機能管理システム10は、少なくとも一種類の身体機能情報を蓄積すればよい。
【0039】
なお、上記
図5のフローチャートにおいては、動画は、一時的に記憶部53に記憶され、蓄積処理部56は、記憶部53に記憶された動画を読み出し、当該動画に基づいて人の歩容情報を特定し、特定した歩容情報に基づいて他の身体機能情報の推定を行った。しかしながら、他の身体機能情報は、歩容情報を特定せずに動画から直接推定されてもよい。この場合、蓄積処理部56は、識別情報と動画が紐付けされているために、記憶部53への一時的な記憶が終了してから他の身体機能情報を推定することができ、推定に必要なコンピュータなどの計算処理時間を十分にかけて精度のよい推定を行うことができる。
【0040】
[身体機能情報の配信動作]
次に、身体機能管理システム10の身体機能情報の配信動作について説明する。
図6は、身体機能管理システム10の身体機能情報の配信動作のフローチャートである。
【0041】
まず、通信端末60は、身体機能情報の配信を受けるための所定の操作を登録済みユーザから受け付ける。この操作には、ログインID、及び、パスワードの入力操作が含まれる。なお、これらの情報の入力方法については特に限定されない。このような操作が受け付けられると、通信端末60から配信要求が送信され、送信された配信要求は管理装置50によって受信される。
【0042】
管理装置50の第二通信部54によって配信要求が受信されると(S31)、配信処理部57は、配信処理を開始する(S32)。配信処理部57は、配信要求に含まれるログインID及びパスワードが正しいかを判定し、正しい場合には、これらのログインID(つまり、登録済み識別情報)に紐づけられた身体機能情報を、記憶部53を参照することにより特定する。
【0043】
配信処理部57は、第二通信部54に、特定した身体機能情報を通知するための通知情報を通信端末60へ送信させる。
図7は、このような通知情報を受信した通信端末60に表示される表示画面の一例を示す図である。
【0044】
このように、身体機能管理システム10は、蓄積した身体機能情報を、登録ユーザの要求に応じて配信することができる。
【0045】
[認証動作]
上記登録動作によって登録された識別情報は、ドア41のロックを解除するための認証情報として使用することもできる。
図8は、身体機能管理システム10の認証動作の概要を示す図である。
図9は、身体機能管理システム10の認証動作のフローチャートである。
【0046】
図8に示されるように、実施の形態では、撮像部20の1つ、及び、人検知部30は、ドアホンによって備えられている。ドアホンに人が近づくと、人検知部30はこれを検知する(S41)。管理装置50の認証処理部58は、撮像部20による動画の撮像を開始する(S42)。動画は、一時的に記憶部53に記憶される。
【0047】
次に、認証処理部58は、記憶部53に記憶された動画を対象として顔画像認識処理を行うことにより動画に映る人の顔画像を特定し(S43)、特定した顔画像が、登録済み識別情報に含まれる顔画像と一致するか否かの判定を行う(S44)。認証処理部58によって、特定した顔画像が登録済み識別情報に含まれる顔画像と一致しないと判定された場合(S44でNo)、動作は終了となる。
【0048】
一方、認証処理部58は、特定した顔画像が、登録済み識別情報に含まれる顔画像と一致すると判定した場合(S44でYes)、ドア41のロックを解除するための解除信号を、第一通信部51に錠前装置40へ出力させる(S45)。これにより、ドア41のロックが解除される。
【0049】
このように、身体機能管理システム10は、上記登録動作によって登録された識別情報を、ドア41のロックを解除するための認証情報として使用することもできる。なお、ステップS43及びステップS44では、顔画像に代えて、身体機能情報に基づく認証処理が行われてもよい。
【0050】
[効果等]
以上説明したように、身体機能管理システム10は、人が被写体として映る動画を撮像する撮像部20と、撮像された動画に基づいて、人の身体機能情報、及び、人の識別情報を特定し、特定された身体機能情報及び特定された識別情報を紐づけて記憶部53に記憶する情報処理部52とを備える。
【0051】
このような身体機能管理システム10は、動画に基づいて、人の身体機能情報、及び、人の識別情報の両方を特定することができるため、識別情報が手動入力される必要がない。つまり、身体機能管理システム10は、人の身体機能情報を効率的に管理することができる。
【0052】
また、例えば、情報処理部52は、人の身体機能情報として、人の歩容情報を特定し、特定された歩容情報及び特定された識別情報を紐づけて記憶部53に記憶する。
【0053】
このような身体機能管理システム10は、人の歩容情報を管理することができる。
【0054】
また、例えば、記憶部53には、登録済み識別情報があらかじめ記憶される。情報処理部52は、特定された身体機能情報及び特定された識別情報を紐づけて記憶部53に一時的に記憶し、特定された識別情報が登録済み識別情報と一致する場合に、特定された身体機能情報を登録済み識別情報に紐づけて記憶部53に記憶する。
【0055】
このような身体機能管理システム10は、識別情報が登録されている人の身体機能情報のみを選択的に管理することができる。
【0056】
また、例えば、身体機能管理システム10は、さらに、通信端末60と通信する第二通信部54を備える。情報処理部52は、通信端末60に入力された識別情報が登録済み識別情報と一致する場合に、記憶部53において登録済み識別情報に紐づけられた、身体機能情報を、第二通信部54に通信端末60へ送信させる。
【0057】
このような身体機能管理システム10は、記憶(蓄積)した身体機能情報を、通信端末60を操作する人に提供することができる。
【0058】
また、例えば、撮像部20は、ドア41が設けられた閉空間の外部を撮像し、情報処理部52は、特定された識別情報が登録済み識別情報と一致する場合に、ドア41のロックを解除するための解除信号を出力する。
【0059】
このような身体機能管理システム10は、識別情報が登録されている人が撮像部20によって撮像されたときに、ドア41のロックを解除することができる。
【0060】
また、例えば、身体機能管理システム10は、さらに、人検知部30を備え、情報処理部52は、人検知部30によって人が検知されたことをトリガとして撮像部20に動画の撮像を開始させる。
【0061】
このような身体機能管理システム10は、必要なときのみ撮像部20を動作させることができるため、撮像部20の消費電力を低減することができる。
【0062】
また、例えば、情報処理部52は、撮像部20によって撮像された動画に基づいて人を検知する。
【0063】
このような身体機能管理システム10は、センサなどを用いずに画像によって人を検知することができる。
【0064】
また、例えば、識別情報は、人の顔の部分の画像情報(つまり、顔画像)である。
【0065】
このような身体機能管理システム10は、動画から得られる人の顔画像を識別情報として使用することができる。
【0066】
また、例えば、識別情報は、身体機能情報の少なくとも一部である。
【0067】
このような身体機能管理システム10は、動画から得られる人の身体機能情報の少なくとも一部を識別情報として使用することができる。
【0068】
また、身体機能管理システム10などのコンピュータによって実行される身体機能管理方法は、人が被写体として映る動画を撮像し、撮像された動画に基づいて、人の身体機能情報、及び、人の識別情報を特定し、特定された身体機能情報及び特定された識別情報を紐づけて記憶部53に記憶する。
【0069】
このような身体機能管理方法は、動画に基づいて、人の身体機能情報、及び、人の識別情報の両方を特定することができるため、識別情報が手動入力される必要がない。つまり、身体機能管理方法は、人の歩容情報を効率的に管理することができる。
【0070】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態に係る身体機能管理システム及び身体機能管理方法について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0071】
例えば、上記実施の形態では、識別情報として顔画像及び歩容情報の一部が併用されたが、識別情報としては顔画像及び歩容情報の少なくとも一方が用いられればよい。
【0072】
また、上記実施の形態では、撮像部は屋外に設置されると説明されたが、屋内に設置されてもよい。また、撮像部は、介護施設、または、公共機関などの住宅以外の建物に設置されてもよいし、電柱などに設置されてもよい。
【0073】
また、上記実施の形態では、身体機能管理システムは、複数の装置によって実現されたが、単一の装置として実現されてもよい。身体機能管理システムが複数の装置によって実現される場合、身体機能管理システムが備える各構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。
【0074】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0075】
また、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0076】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。例えば、本発明は、上記実施の形態の身体機能管理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよいし、このようなプログラムが記憶された、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0077】
また、上記実施の形態において説明された動作例のフローチャートにおける複数の処理の順序は一例である。複数の処理の順序は、変更されてもよいし、複数の処理は、並行して実行されてもよい。また、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。
【0078】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
10 身体機能管理システム
20 撮像部
30 人検知部
52 情報処理部
53 記憶部
54 第二通信部
60 通信端末