(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】アーク検出装置、屋内電力線システム、太陽光発電システム及び蓄電池システム
(51)【国際特許分類】
G01R 31/12 20200101AFI20230630BHJP
【FI】
G01R31/12 A
(21)【出願番号】P 2022505984
(86)(22)【出願日】2021-03-03
(86)【国際出願番号】 JP2021008295
(87)【国際公開番号】W WO2021182261
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】P 2020041738
(32)【優先日】2020-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】木寺 和憲
(72)【発明者】
【氏名】古賀 達雄
(72)【発明者】
【氏名】金森 圭太
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-36511(JP,A)
【文献】国際公開第2010/110383(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/163364(WO,A1)
【文献】特開2015-211606(JP,A)
【文献】国際公開第2011/065375(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0234722(US,A1)
【文献】米国特許第5986860(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/12
G01R 31/08
G01R 31/00
H01H 33/26
H02H 7/26
H02H 7/00
H02S 50/00
H02S 40/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電力源と、前記少なくとも1つの電力源の電圧を調整する複数のコンバータと、複数の負荷装置とを有するシステムにおけるアーク検出装置であって、
前記少なくとも1つの電力源と前記複数のコンバータとの間、及び、前記複数のコンバータと前記複数の負荷装置との間は、複数の電力線で結線され、
前記アーク検出装置は、
前記複数の電力線のうちの2以上の電力線が貫通する磁気コアを有し、前記磁気コアに発生する磁界に応じて前記2以上の電力線を流れる合成電流を検出する電流検出部と、
前記電流検出部により検出された合成電流に基づいて、アークの発生を判定するアーク判定部と、を備え、
前記少なくとも1つの電力源には前記複数のコンバータのうちの少なくとも1つのコンバータが接続され、
前記複数の負荷装置のそれぞれには前記複数のコンバータのうちの少なくとも1つのコンバータが接続される
アーク検出装置。
【請求項2】
前記磁気コアにおいて、前記2以上の電力線には電流の流れる向きが逆向きとなっている電力線が含まれる
請求項1に記載のアーク検出装置。
【請求項3】
前記2以上の電力線は、前記複数のコンバータのうちの第1のコンバータの一方の入出力端に接続された電力線と他方の入出力端に接続された電力線である
請求項1又は2に記載のアーク検出装置。
【請求項4】
前記アーク検出装置は、前記電流検出部を複数備え、
前記アーク判定部は、複数の前記電流検出部により検出された電流に基づいてアークが発生した個所を特定する
請求項3に記載のアーク検出装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のアーク検出装置を備え、
前記少なくとも1つの電力源のうちの1つの電力源は、系統電源で構成され、
前記複数のコンバータは、AC/DC変換器で構成される
屋内電力線システム。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載のアーク検出装置を備え、
前記少なくとも1つの電力源のうちの1つ以上の電力源は、太陽電池で構成され、
前記少なくとも1つの電力源のうちの他の1つの電力源は、系統電源で構成され、
前記複数の負荷装置のうちの1つの負荷装置は、前記系統電源に接続されたDC/AC変換器で構成される
太陽光発電システム。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか1項に記載のアーク検出装置と、
前記少なくとも1つの電力源のうちの1つ以上の電力源又は前記複数の負荷装置のうちの1つ以上の負荷装置として動作する蓄電池と、
前記少なくとも1つの電力源のうちの1つ以上の電力源又は前記複数の負荷装置のうちの1つ以上の負荷装置として動作する系統電源と、を備え、
前記蓄電池の充電時には、
前記系統電源が電力源として動作し、前記系統電源に接続されたコンバータがAC/DC変換器として動作し、前記蓄電池と当該蓄電池に接続されたコンバータとが負荷装置として動作し、
前記蓄電池の放電時には、
前記蓄電池が電力源として動作し、前記蓄電池に接続されたコンバータがDC/DC変換器として動作し、前記系統電源と当該系統電源に接続されたコンバータとが負荷装置として動作する
蓄電池システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの電力源のうちの1つ以上の電力源は、太陽電池で構成される
請求項7に記載の蓄電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アーク検出装置、屋内電力線システム、太陽光発電システム及び蓄電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PV(Photo Voltaic)パネル(太陽電池)等から電力線を介して供給される直流電力をインバータ等の機器で交流電力に変換するシステムが知られている。このような電力線は、外的要因又は経年劣化等によって損傷又は破断を引き起こすことが報告されている。このような電力線の損傷等に起因してアーク(つまりアーク放電)が発生する場合がある。そこで、アークを検出するためのアーク検出手段が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
今後、1つのシステム内において様々な機器が設けられ、様々な機器に電力を供給するために複数の電力線が設けられることが想定される。このとき、複数の電力線のそれぞれについてアークが発生する場合がある。複数の電力線のそれぞれにアーク検出手段を設ければ、複数の電力線において発生するアークを検出することができるが、システムが大型化し、また、高コスト化する。
【0005】
そこで、本発明は、複数の電力線において発生するアークを容易に検出できるアーク検出装置等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るアーク検出装置の一態様は、少なくとも1つの電力源と、前記少なくとも1つの電力源の電圧を調整する複数のコンバータと、複数の負荷装置とを有するシステムにおけるアーク検出装置であって、前記少なくとも1つの電力源と前記複数のコンバータとの間、及び、前記複数のコンバータと前記複数の負荷装置との間は、複数の電力線で結線され、前記アーク検出装置は、前記複数の電力線のうちの2以上の電力線が貫通する磁気コアを有し、前記磁気コアに発生する磁界に応じて前記2以上の電力線を流れる合成電流を検出する電流検出部と、前記電流検出部により検出された合成電流に基づいて、アークの発生を判定するアーク判定部と、を備え、前記少なくとも1つの電力源には前記複数のコンバータのうちの少なくとも1つのコンバータが接続され、前記複数の負荷装置のそれぞれには前記複数のコンバータのうちの少なくとも1つのコンバータが接続される。
【0007】
本発明に係る屋内電力線システムの一態様は、上記のアーク検出装置を備え、前記少なくとも1つの電力源のうちの1つの電力源は、系統電源で構成され、前記複数のコンバータは、AC/DC変換器で構成される。
【0008】
本発明に係る太陽光発電システムの一態様は、上記のアーク検出装置を備え、前記少なくとも1つの電力源のうちの1つ以上の電力源は、太陽電池で構成され、前記少なくとも1つの電力源のうちの他の1つの電力源は、系統電源で構成され、前記複数の負荷装置のうちの1つの負荷装置は、前記系統電源に接続されたDC/AC変換器で構成される。
【0009】
本発明に係る蓄電池システムの一態様は、上記のアーク検出装置と、前記少なくとも1つの電力源のうちの1つ以上の電力源又は前記複数の負荷装置のうちの1つ以上の負荷装置として動作する蓄電池と、前記少なくとも1つの電力源のうちの1つ以上の電力源又は前記複数の負荷装置のうちの1つ以上の負荷装置として動作する系統電源と、を備え、前記蓄電池の充電時には、前記系統電源が電力源として動作し、前記系統電源に接続されたコンバータがAC/DC変換器として動作し、前記蓄電池と当該蓄電池に接続されたコンバータとが負荷装置として動作し、前記蓄電池の放電時には、前記蓄電池が電力源として動作し、前記蓄電池に接続されたコンバータがDC/DC変換器として動作し、前記系統電源と当該系統電源に接続されたコンバータとが負荷装置として動作する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、複数の電力線において発生するアークを容易に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係るシステムの一例を示す構成図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1の変形例に係るシステムの一例を示す構成図である。
【
図3】
図3は、実施の形態2に係る屋内電力線システムの一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態等は、一例であって本発明を限定する主旨ではない。
【0013】
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るシステム1aの一例を示す構成図である。システム1aは、太陽光発電システムでもあり、蓄電池システム(例えば太陽光発電機能と蓄電機能を有するシステム)でもある。
【0015】
システム1aは、少なくとも1つの電力源と、少なくとも1つの電力源の電圧を調整する複数のコンバータと、複数の負荷装置とを有するシステムである。また、システム1aは、アーク検出装置10aを備える。実施の形態1では、少なくとも1つの電力源として、太陽電池62、系統電源48並びに蓄電池51及び52を示している。また、複数のコンバータとして、DC/DC変換器41、42及び43並びにインバータ44を示している。また、系統電源48、インバータ44並びに蓄電池51及び52は、状況に応じて負荷装置にもなり得る。
【0016】
少なくとも1つの電力源には複数のコンバータのうちの少なくとも1つのコンバータが接続され、複数の負荷装置のそれぞれには複数のコンバータのうちの少なくとも1つのコンバータが接続される。実施の形態1では、電力源として動作する太陽電池62にはDC/DC変換器41が接続され、電力源又は負荷装置として動作する系統電源48にはインバータ44が接続され、電力源又は負荷装置として動作する蓄電池51にはDC/DC変換器42が接続され、電力源又は負荷装置として動作する蓄電池52にはDC/DC変換器43が接続される。
【0017】
少なくとも1つの電力源と複数のコンバータとの間、及び、複数のコンバータと複数の負荷装置との間は、複数の電力線で結線される。実施の形態1では、太陽電池62とDC/DC変換器41との間、系統電源48とインバータ44との間、蓄電池51とDC/DC変換器42との間、蓄電池52とDC/DC変換器43との間、及び、DC/DC変換器41とDC/DC変換器42とDC/DC変換器43とインバータ44との間は、複数の電力線で結線されている。具体的には、太陽電池62とDC/DC変換器41との間は電力線140a及び140bで結線され、系統電源48とインバータ44との間は電力線150a及び150bで結線され、蓄電池51とDC/DC変換器42との間は電力線120a及び120bで結線され、蓄電池52とDC/DC変換器43との間は電力線130a及び130bで結線され、DC/DC変換器41とDC/DC変換器42とDC/DC変換器43とインバータ44との間は電力線110a及び110bで結線されている。
【0018】
太陽電池62は、太陽光により発電し直流電力を発生する電力源である。太陽電池62で発生した直流電力はDC/DC変換器41に供給され、複数の負荷装置のうちの1つの負荷装置(系統電源48に接続されたインバータ44(具体的にはDC/AC変換器)で構成される負荷装置)に供給される。太陽電池62は正極と負極を有し、正極には電力線140aが接続され、負極には電力線140bが接続される。
【0019】
系統電源48は、発電所等で生成された交流電力を供給する電源である。なお、上述したように、系統電源48は、状況に応じて電力が供給される負荷装置にもなり得る。
【0020】
蓄電池51及び52は、少なくとも1つの電力源のうちの1つ以上の電力源又は複数の負荷装置のうちの1つ以上の負荷装置として動作する。例えば、蓄電池51及び52の充電時には、系統電源48が電力源として動作し、系統電源48に接続されたコンバータ(すわなちインバータ44)がAC/DC変換器として動作し、蓄電池51及び52と蓄電池51及び52に接続されたコンバータ(すなわちDC/DC変換器42及び43)とが負荷装置として動作する。また、蓄電池51及び52の放電時には、蓄電池51及び52が電力源として動作し、蓄電池51及び52に接続されたコンバータがDC/DC変換器42及び43として動作し、系統電源48と系統電源48に接続されたコンバータ(すなわちインバータ44)とが負荷装置として動作する。
【0021】
DC/DC変換器41は、太陽電池62から供給された直流電力を昇圧又は降圧して、DC/DC変換器42及び43並びにインバータ44に出力する。DC/DC変換器41は正極と負極を有し、正極には電力線110aが接続され、負極には電力線110bが接続される。
【0022】
DC/DC変換器42は、DC/DC変換器41又はインバータ44から供給された直流電力を昇圧又は降圧して、蓄電池51に出力する。また、DC/DC変換器42は、蓄電池51から供給された直流電力を昇圧又は降圧して、DC/DC変換器43又はインバータ44に出力する。DC/DC変換器42は正極と負極を有し、正極には電力線120aが接続され、負極には電力線120bが接続される。
【0023】
DC/DC変換器43は、DC/DC変換器41又はインバータ44から供給された直流電力を昇圧又は降圧して、蓄電池52に出力する。また、DC/DC変換器43は、蓄電池52から供給された直流電力を昇圧又は降圧して、DC/DC変換器42又はインバータ44に出力する。DC/DC変換器43は正極と負極を有し、正極には電力線130aが接続され、負極には電力線130bが接続される。
【0024】
電力線110a、110b、120a、120b、130a、130b、140a及び140bは、それぞれ直流電流が流れる。電力線110a及び120aは、後述する磁気コア21aを貫通する2以上の電力線の一例である。
【0025】
インバータ44は、DC/DC変換器41、42及び43から供給された直流電力を交流電力に変換して出力するDC/AC変換器として動作する。また、インバータ44は系統電源48から供給された交流電力を直流電力に変換してDC/DC変換器42及び43に供給するAC/DC変換器として動作する。例えば、インバータ44は、直流電力を周波数50Hz又は60Hzの交流電力への変換を行う。交流電力は、家庭用電気機器等で使用される。インバータ44と系統電源48とを接続する電力線150a及び150bは、交流電流が流れる。
【0026】
後述する磁気コア21aを貫通する2以上の電力線は、例えば、複数のコンバータのうちの第1のコンバータの一方の入出力端に接続された電力線と他方の入出力端に接続された電力線である。例えば、第1のコンバータはDC/DC変換器42であり、後述する磁気コア21aを貫通する2以上の電力線は、DC/DC変換器42の一方の入出力端に接続された電力線110aと他方の入出力端に接続された電力線120aである。
【0027】
DC/DC変換器42の一方の入出力端に接続された電力線110aは、複数の分岐経路111a、111b、111c及び111dに分岐している分岐電力線である。電力線110aにおける複数の分岐経路111a、111b、111c及び111dの接続点を分岐点Nとする。具体的には、分岐点NとDC/DC変換器41とを結ぶ経路が分岐経路111aであり、分岐点NとDC/DC変換器43とを結ぶ経路が分岐経路111bであり、分岐点Nとインバータ44とを結ぶ経路が分岐経路111cであり、分岐点NとDC/DC変換器42とを結ぶ経路が分岐経路111dである。分岐経路111dは、後述する磁気コア21aを貫通している。
【0028】
例えば、DC/DC変換器42に着目すると、DC/DC変換器42の一方の入出力端に接続された電力線110a及びDC/DC変換器42の他方の入出力端に接続された電力線120aに流れる電流は直流電流であるため、電力線110a及び120aのいずれについてもアークが発生する可能性がある。電力線110aにアーク検出手段を設ければ、電力線110aで発生したアークを検出できるが、電力線120aで発生したアークによる高周波成分は、DC/DC変換器42内に存在するコンデンサ等によって遮断されるため、電力線120aで発生したアークについては検出することは難しい。一方で、電力線120aにアーク検出手段を設ければ、電力線120aで発生したアークを検出できるが、電力線110aで発生したアークについては同様に検出することは難しい。電力線110a及び120aの両方にアーク検出手段を設ければ、電力線110aで発生したアーク及び電力線120aで発生したアークの両方を検出することができるが、システムが大型化し、また、高コスト化する。
【0029】
そこで、システム1aにおける複数の電力線のうちの2以上の電力線(ここでは例えば電力線110a及び120a)において発生するアークを容易に検出するために、アーク検出装置10aが用いられる。
【0030】
アーク検出装置10aは、電流検出部20a及びアーク判定部30aを備える。
【0031】
電流検出部20aは、電力線110a及び120aが貫通する磁気コア21aを有し、磁気コア21aに発生する磁界に応じて電力線110a及び120aを流れる合成電流を検出する。具体的には、電流検出部20aは、電力線110aにおける分岐点NとDC/DC変換器42の一方の入出力端とを結ぶ分岐経路111d、及び、電力線120aが貫通する磁気コア21aを有し、磁気コア21aに発生する磁界に応じて分岐経路111d及び電力線120aを流れる合成電流を検出する。例えば、DC/DC変換器42の一方の入出力端に接続された電力線110aと他方の入出力端に接続された電力線120aとが、
図1に示されるように、磁気コア21aにおいて束ねられ、磁気コア21aを貫通する。例えば、磁気コアにおいて、2以上の電力線には、直流電流の流れる向きが他の電力線と逆向きとなっている電力線が含まれる。ここでは、磁気コア21aにおいて、電力線110aを流れる直流電流の向きと電力線120aを流れる直流電流の向きとが逆向きとなるように、電力線110a及び120aが磁気コア21aを貫通している。
【0032】
磁気コア21aは、電力線が貫通可能な環状形状(ここでは円環形状)となっており、自身の孔を貫通する電力線に流れる電流によって、当該電流に応じた磁界がコアに発生する。なお、磁気コア21aは、円環形状に限らず、矩形状の環状形状等であってもよい。
【0033】
また、電流検出部20aは、例えば、磁気コア21aに発生する磁界を検出して、磁気コア21aに発生する磁界に応じた電圧を発生するホール素子(図示せず)を備える。ホール素子が発生する電圧は、磁気コア21aに発生した磁界、つまり、磁気コア21aを貫通する電力線110a及び120aを流れる電流を示す信号としてアーク判定部30aに入力される。
【0034】
アーク判定部30aは、例えばマイコン(マイクロコントローラ)により実現される。マイコンは、プログラムが格納されたROM(Read Only Memory)、RAM(Randam Access Memory)、プログラムを実行するプロセッサ(CPU:Central Processing Unit)、タイマ、A/D変換器及びD/A変換器等を有する半導体集積回路等である。なお、アーク判定部30aは、A/D変換器、論理回路、ゲートアレイ及びD/A変換器等で構成される専用の電子回路、又は、アンプ及びフィルタ回路等によってハードウェア的に実現されてもよい。
【0035】
アーク判定部30aは、電流検出部20aにより検出された合成電流に基づいて、アークの発生を判定する。例えば、アーク判定部30aは、電流検出部20aにより検出された合成電流を周波数分析することで電力線110a又は120aにおけるアークの発生を判定する。アークの発生により生じる電流には、アークに起因する周波数成分が含まれており、当該周波数成分を検出することでアークの発生を判定することができる。アーク判定部30aがアーク発生したと判定した場合、電力線110a及び120aのいずれかにアークが発生したことがわかる。つまり、1つの電流検出部20a(具体的には磁気コア21a)のみで、2以上の電力線(ここでは電力線110a及び120a)におけるアークを検出できる。
【0036】
なお、磁気コア21aを貫通する2以上の電力線には、電力線110a(具体的には分岐経路111d)及び120a以外の電力線が含まれていてもよい。例えば、当該2以上の電力線には、さらに、電力線130a又は130b、及び、電力線140a又は140bの少なくとも1つが含まれていてもよい。つまり、磁気コア21aに、さらに、電力線130a又は130b、及び、電力線140a又は140bの少なくとも1つが貫通していてもよい。
【0037】
以上説明したように、本実施の形態に係るアーク検出装置10aは、少なくとも1つの電力源(例えば太陽電池62、系統電源48並びに蓄電池51及び52から選択される電力源)と、少なくとも1つの電力源の電圧を調整する複数のコンバータ(例えばDC/DC変換器41、42及び43並びにインバータ44から選択される複数のコンバータ)と、複数の負荷装置(例えば蓄電池51及び52、系統電源48並びにインバータ44から選択される複数の負荷装置)とを有するシステム1aにおけるアーク検出装置である。少なくとも1つの電力源と複数のコンバータとの間、及び、複数のコンバータと複数の負荷装置との間は、複数の電力線(例えば、電力線110a、110b、120a、120b、130a、130b、140a、140b、150a及び150b)で結線される。アーク検出装置10aは、複数の電力線のうちの2以上の電力線(例えば電力線110a及び120a)が貫通する磁気コア21aを有し、磁気コア21aに発生する磁界に応じて2以上の電力線を流れる合成電流を検出する電流検出部20aと、電流検出部20aにより検出された合成電流に基づいて、アークの発生を判定するアーク判定部30aと、を備える。少なくとも1つの電力源には複数のコンバータのうちの少なくとも1つのコンバータが接続され、複数の負荷装置のそれぞれには複数のコンバータのうちの少なくとも1つのコンバータが接続される。
【0038】
これによれば、2以上の電力線(例えば電力線110a及び120a)が束ねられて1つの磁気コア21aを貫通しているため、2以上の電力線のうちのいずれの電力線でアークが発生したとしてもアークを検出できる。つまり、2以上の電力線のそれぞれ毎にアーク検出手段を設けなくても、2以上の電力線において発生するアークを検出できる。すなわち、システムを大型化したり、高コスト化したりしなくてもよく、1つの電流検出部20aを用いて、複数(2以上)の電力線において発生するアークを容易に検出できる。例えば、アークが検出された場合、当該検出結果に基づいて、DC/DC変換器41、42及び43並びにインバータ44を停止したり、各電力線に設けられたブレーカ等(図示せず)を操作したりして、各電力線を流れる電流を遮断することができる。
【0039】
例えば、2以上の電力線は、複数のコンバータのうちの第1のコンバータ(例えばDC/DC変換器42)の一方の入出力端に接続された電力線110aと他方の入出力端に接続された電力線120aであってもよい。
【0040】
これによれば、第1のコンバータの一方の入出力端に接続された電力線110a及び他方の入出力端に接続された電力線120aにおいて発生するアークを検出できる。
【0041】
例えば、磁気コア21aにおいて、2以上の電力線には電流の流れる向きが逆向きとなっている電力線が含まれていてもよい。
【0042】
例えば、2以上の電力線には、大きな直流電流が流れているため、磁気コア21aに磁気飽和が生じ得る。このため、2以上の電力線にアークが発生した場合、直流電流による磁気飽和によって、2以上の電力線に流れる直流電流に重畳したアークによる電流(交流電流)を正確に検出できないおそれがある。これに対して、磁気コア21aにおいて、直流電流の流れる向きが他の電力線と逆向きとなっている電力線が含まれるようにして、2以上の電力線を磁気コア21aに貫通させることで、直流電流の流れる向きが互いに逆向きになっている電力線を流れる直流電流による磁界を相殺でき磁気飽和を防止できる。したがって、2以上の電力線において発生するアークを正確に検出できる。なお、第1のコンバータの一方の入出力端に接続された電力線(具体的には電力線110aにおける分岐経路111d)を流れる直流電流が第1のコンバータの他方の入出力端に接続された電力線120aを流れる直流電流よりも小さい場合(例えば、DC/DC変換器42が降圧型の場合)、第1のコンバータの一方の入出力端に接続された電力線110aを磁気コア21aに1回以上巻いて、電力線110aを磁気コア21aに2回以上貫通させてもよい。これにより、第1のコンバータの一方の入出力端に接続された電力線110aを流れる直流電流による磁界と第1のコンバータの他方の入出力端に接続された電力線120aを流れる直流電流による磁界とを均等に相殺しやすくなる。
【0043】
本実施の形態に係る太陽光発電システム(例えばシステム1a)は、アーク検出装置10aを備え、少なくとも1つの電力源のうちの1つ以上の電力源は、太陽電池62で構成され、少なくとも1つの電力源のうちの他の1つの電力源は、系統電源48で構成され、複数の負荷装置のうちの1つの負荷装置は、系統電源48に接続されたDC/AC変換器(例えばインバータ44)で構成される。
【0044】
これによれば、複数(2以上)の電力線において発生するアークを容易に検出できる太陽光発電システムを提供できる。
【0045】
本実施の形態に係る蓄電池システム(例えばシステム1a)は、アーク検出装置10aと、少なくとも1つの電力源のうちの1つ以上の電力源又は複数の負荷装置のうちの1つ以上の負荷装置として動作する蓄電池51及び52と、少なくとも1つの電力源のうちの1つ以上の電力源又は複数の負荷装置のうちの1つ以上の負荷装置として動作する系統電源48と、を備える。蓄電池51及び52の充電時には、系統電源48が電力源として動作し、系統電源48に接続されたコンバータ(例えばインバータ44)がAC/DC変換器として動作し、蓄電池51及び52と蓄電池51及び52に接続されたコンバータ(例えばDC/DC変換器42及び43)とが負荷装置として動作する。蓄電池51及び52の放電時には、蓄電池51及び52が電力源として動作し、蓄電池51及び52に接続されたコンバータがDC/DC変換器42及び43として動作し、系統電源48と系統電源48に接続されたコンバータ(例えばインバータ44)とが負荷装置として動作する。
【0046】
これによれば、複数(2以上)の電力線において発生するアークを容易に検出できる蓄電池システムを提供できる。
【0047】
例えば、少なくとも1つの電力源のうちの1つ以上の電力源は、太陽電池62で構成されてもよい。
【0048】
これによれば、複数(2以上)の電力線において発生するアークを容易に検出できるシステムであって、太陽光発電機能と蓄電機能とを有するシステムを提供できる。
【0049】
(実施の形態1の変形例)
実施の形態1では、アーク検出装置10aが1つの電流検出部20aを備える例について説明した。実施の形態1の変形例では、アーク検出装置が電流検出部を複数(例えば2つ)備える例について説明する。
【0050】
図2は、実施の形態1の変形例に係るシステム1bの一例を示す構成図である。
【0051】
システム1bは、アーク検出装置10aの代わりにアーク検出装置10bを備える点が、実施の形態1に係るシステム1aと異なる。その他の点については、実施の形態1におけるものと同じであるため、説明は省略する。
【0052】
アーク検出装置10bは、電流検出部20a及び20b並びにアーク判定部30bを備える。
【0053】
電流検出部20aは、実施の形態1において説明したものと同じであるため説明は省略する。なお、実施の形態1の変形例では、電流検出部20aにおける磁気コア21aを貫通する電力線110a及び120aを流れる電流を示す信号がアーク判定部30bに入力される。
【0054】
電流検出部20bは、電力線110a及び130aが貫通する磁気コア21bを有し、磁気コア21bに発生する磁界に応じて電力線110a及び130aを流れる電流を検出する。具体的には、電流検出部20bは、電力線110aにおける分岐点NとDC/DC変換器43とを結ぶ分岐経路111b、及び、DC/DC変換器43の他方の入出力端に接続された電力線130aが貫通する磁気コア21bを有し、磁気コア21bに発生する磁界に応じて分岐経路111b及び電力線130aを流れる電流を検出する。例えば、DC/DC変換器43の一方の入出力端に接続された電力線110aと他方の入出力端に接続された電力線130aとが、
図2に示されるように、磁気コア21bにおいて束ねられ、磁気コア21bを貫通する。例えば、電力線110a及び130aには、磁気コア21bにおいて直流電流の流れる向きが他の電力線と逆向きとなっている電力線が含まれる。ここでは、磁気コア21bにおいて、電力線110aを流れる直流電流の向きと電力線130aを流れる直流電流の向きとが逆向きとなるように、電力線110a及び130aが磁気コア21bを貫通している。
【0055】
磁気コア21bは、電力線が貫通可能な環状形状(ここでは円環形状)となっており、自身の孔を貫通する電力線に流れる電流によって、当該電流に応じた磁界がコアに発生する。なお、磁気コア21bは、円環形状に限らず、矩形状の環状形状等であってもよい。
【0056】
また、電流検出部20bは、例えば、磁気コア21bに発生する磁界を検出して、磁気コア21bに発生する磁界に応じた電圧を発生するホール素子(図示せず)を備える。ホール素子が発生する電圧は、磁気コア21bに発生した磁界、つまり、磁気コア21bを貫通する電力線110a及び130aを流れる電流を示す信号としてアーク判定部30bに入力される。
【0057】
アーク判定部30bは、アーク判定部30aと同じように、マイコンにより実現されるが、専用の電子回路、又は、アンプ及びフィルタ回路等によってハードウェア的に実現されてもよい。
【0058】
アーク判定部30bは、電流検出部20a及び20bにより検出された電流に基づいて、アークが発生した個所を特定する。例えば、アーク判定部30bは、電流検出部20aにより検出された電流を周波数分析することで電力線110a又は120aにおけるアークの発生を判定し、電流検出部20bにより検出された電流を周波数分析することで電力線110a又は130aにおけるアークの発生を判定する。
【0059】
アーク判定部30bは、電流検出部20aにより検出された電流から電力線110a又は120aにおいてアークが発生したと判定し、かつ、電流検出部20bにより検出された電流から電力線110a又は130aにおいてアークが発生したと判定した場合、アークが発生した個所を電力線110aと特定できる。電力線110aにおいてアークが発生した場合、分岐点Nで繋がっている分岐経路111d及び111bの両方にアークの発生により生じる電流が流れ、電流検出部20a及び20bの両方で当該電流を検出するためである。
【0060】
アーク判定部30bは、電流検出部20aにより検出された電流から電力線110a又は120aにおいてアークが発生したと判定し、かつ、電流検出部20bにより検出された電流から電力線110a又は130aにおいてはアークが発生していないと判定した場合、アークが発生した個所を電力線120aと特定できる。電力線120aにおいてアークが発生した場合、電力線120aにアークの発生により生じる電流が流れ、電流検出部20aは当該電流を検出するが、電力線110a及び130aにはアークの発生により生じる電流が流れず、電流検出部20bは当該電流を検出しないためである。
【0061】
アーク判定部30bは、電流検出部20aにより検出された電流から電力線110a又は120aにおいてはアークが発生していないと判定し、かつ、電流検出部20bにより検出された電流から電力線110a又は130aにおいてアークが発生したと判定した場合、アークが発生した個所を電力線130aと特定できる。電力線130aにおいてアークが発生した場合、電力線130aにアークの発生により生じる電流が流れ、電流検出部20bは当該電流を検出するが、電力線110a及び120aにはアークの発生により生じる電流が流れず、電流検出部20aは当該電流を検出しないためである。
【0062】
なお、磁気コア21bを貫通する2以上の電力線には、電力線110a(具体的には分岐経路111b)及び130a以外の電力線が含まれていてもよい。例えば、当該2以上の電力線には、さらに、電力線140a又は140bが含まれていてもよい。つまり、磁気コア21bに、さらに、電力線140a又は140bが貫通していてもよい。
【0063】
このように、アーク検出装置10bは、電流検出部を複数備え、アーク判定部30bは、複数の電流検出部(例えば電流検出部20a及び20b)により検出された電流に基づいてアークが発生した個所を判定する。
【0064】
これによれば、アークの発生により生じる電流が複数の電流検出部から検出された場合、各電流検出部が共通してアークの検出を行う分岐電力線(つまり電力線110a)においてアークが発生したと特定でき、アークの発生により生じる電流が複数の電流検出部のうちのいずれかの電流検出部のみから検出された場合、当該電流検出部が単独でアークの検出を行う電力線(例えば電力線120a又は130a等)においてアークが発生したと特定できる。
【0065】
(実施の形態2)
実施の形態1及びその変形例では、アーク検出装置が太陽光発電システム又は蓄電池システム等のシステムに備えられる例について説明したが、アーク検出装置は、屋内電力線システムに備えられてもよい。これについて、
図3を用いて説明する。
【0066】
図3は、実施の形態2に係る屋内電力線システム2の一例を示す構成図である。
【0067】
屋内電力線システム2は、少なくとも1つの電力源と、少なくとも1つの電力源の電圧を調整する複数のコンバータと、複数の負荷装置とを有するシステムである。また、屋内電力線システム2は、アーク検出装置10を備える。実施の形態2では、少なくとも1つの電力源として、系統電源63を示している。また、複数のコンバータとして、AC/DC変換器45、46及び47を示している。また、複数の負荷装置として、負荷装置53、54及び55を示している。
【0068】
少なくとも1つの電力源には複数のコンバータのうちの少なくとも1つのコンバータが接続され、複数の負荷装置のそれぞれには複数のコンバータのうちの少なくとも1つのコンバータが接続される。実施の形態2では、系統電源63にはAC/DC変換器45、46及び47が接続され、負荷装置53にはAC/DC変換器45が接続され、負荷装置54にはAC/DC変換器46が接続され、負荷装置55にはAC/DC変換器47が接続される。
【0069】
少なくとも1つの電力源と複数のコンバータとの間、及び、複数のコンバータと複数の負荷装置との間は、複数の電力線で結線される。実施の形態2では、系統電源63とAC/DC変換器45、46及び47との間、AC/DC変換器45と負荷装置53との間、AC/DC変換器46と負荷装置54との間、並びに、AC/DC変換器47と負荷装置55との間は、複数の電力線で結線されている。具体的には、系統電源63とAC/DC変換器45、46及び47との間は電力線14a及び14bで結線され、AC/DC変換器45と負荷装置53との間は電力線11a及び11bで結線され、AC/DC変換器46と負荷装置54との間は電力線12a及び12bで結線され、AC/DC変換器47と負荷装置55との間は電力線13a及び13bで結線されている。
【0070】
AC/DC変換器45、46及び47、電力線11a、11b、12a、12b、13a、13b、14a及び14b、負荷装置53、54及び55並びにアーク検出装置10は、戸建て、集合住宅、ビル又は工場等の施設の屋内に設置される。
【0071】
系統電源63は、発電所等で生成された交流電力を供給する電源である。系統電源63とAC/DC変換器45、46及び47とを接続する電力線14a及び14bは、交流電流が流れる。
【0072】
AC/DC変換器45、46及び47は、系統電源63から交流電力が供給され、供給された交流電力を直流電力に変換して出力する。
【0073】
AC/DC変換器45は、系統電源63から供給された交流電力を直流電力に変換して、負荷装置53に出力する。AC/DC変換器45は正極と負極を有し、正極には電力線11aが接続され、負極には電力線11bが接続される。負荷装置53は、AC/DC変換器45からの直流電力が供給される。
【0074】
AC/DC変換器46は、系統電源63から供給された交流電力を直流電力に変換して、負荷装置54に出力する。AC/DC変換器46は正極と負極を有し、正極には電力線12aが接続され、負極には電力線12bが接続される。負荷装置54は、AC/DC変換器46からの直流電力が供給される。
【0075】
AC/DC変換器47は、系統電源63から供給された交流電力を直流電力に変換して、負荷装置55に出力する。AC/DC変換器47は正極と負極を有し、正極には電力線13aが接続され、負極には電力線13bが接続される。負荷装置55は、AC/DC変換器47からの直流電力が供給される。
【0076】
電力線11a、11b、12a、12b、13a及び13bは、それぞれ直流電流が流れる。電力線11a、12a及び13aは、後述する磁気コア21を貫通する2以上の電力線の一例である。
【0077】
負荷装置53、54及び55は、屋内に設置され、DC駆動される機器であれば特に限定されない。例えば、負荷装置53、54及び55は、照明器具、ファン、スピーカ又はマイク等であってもよい。
【0078】
例えば、直流電流が流れる電力線11a、12a及び13aでアークが発生する可能性がある。電力線11a、12a及び13aの全てにアーク検出手段を設ければ、電力線11aで発生したアーク、電力線12aで発生したアーク及び電力線13aで発生したアークを検出することができるが、システム(例えば屋内電力線システム2)が大型化し、また、高コスト化する。
【0079】
そこで、屋内電力線システム2における複数の電力線のうちの2以上の電力線(ここでは例えば電力線11a、12a及び13a)において発生するアークを容易に検出するために、アーク検出装置10が用いられる。
【0080】
アーク検出装置10は、電流検出部20及びアーク判定部30を備える。
【0081】
電流検出部20は、電力線11a、12a及び13aが貫通する磁気コア21を有し、磁気コア21に発生する磁界に応じて電力線11a、12a及び13aを流れる合成電流を検出する。例えば、AC/DC変換器45、46及び47のそれぞれの出力端に接続された電力線11a、12a及び13aが、
図3に示されるように、磁気コア21において束ねられ、磁気コア21を貫通する。例えば、磁気コアにおいて、2以上の電力線には、直流電流の流れる向きが他の電力線と逆向きとなっている電力線が含まれる。ここでは、磁気コア21において、電力線12aを流れる直流電流の向きが他の電力線11a及び13aを流れる直流電流の向きと逆向きとなるように、電力線11a、12a及び13aが磁気コア21を貫通している。例えば、磁気コア21において、流れる直流電流の向きが他の電力線11a及び13aと逆向きとなっている電力線12aは、電力線11a、12a及び13aのうちで最も大きい直流電流が流れると想定される電力線である。電力線11a、12a及び13aのうち、最も大きい直流電流が流れると想定される電力線12aが他の電力線11a及び13aと直流電流の流れる向きが逆向きであることで、電力線12aを流れる直流電流による磁界と、電力線11aを流れる直流電流による磁界及び電力線13aを流れる直流電流による磁界とを相殺しやすくなり磁気飽和を防止しやすくなる。
【0082】
磁気コア21は、電力線が貫通可能な環状形状(ここでは円環形状)となっており、自身の孔を貫通する電力線に流れる電流によって、当該電流に応じた磁界がコアに発生する。なお、磁気コア21は、円環形状に限らず、矩形状の環状形状等であってもよい。
【0083】
また、電流検出部20は、例えば、磁気コア21に発生する磁界を検出して、磁気コア21に発生する磁界に応じた電圧を発生するホール素子(図示せず)を備える。ホール素子が発生する電圧は、磁気コア21に発生した磁界、つまり、磁気コア21を貫通する電力線11a、12a及び13aを流れる電流を示す信号としてアーク判定部30に入力される。
【0084】
アーク判定部30は、アーク判定部30aと同じように、マイコンにより実現されるが、専用の電子回路、又は、アンプ及びフィルタ回路等によってハードウェア的に実現されてもよい。
【0085】
アーク判定部30は、電流検出部20により検出された合成電流に基づいて、アークの発生を判定する。例えば、アーク判定部30は、電流検出部20により検出された合成電流を周波数分析することで電力線11a、12a又は13aにおけるアークの発生を判定する。アークの発生により生じる電流には、アークに起因する周波数成分が含まれており、当該周波数成分を検出することでアークの発生を判定することができる。アーク判定部30がアーク発生したと判定した場合、電力線11a、12a及び13aのいずれかにアークが発生したことがわかる。つまり、1つの電流検出部20(具体的には磁気コア21)のみで、2以上の電力線(ここでは電力線11a、12a及び13a)におけるアークを検出できる。
【0086】
なお、磁気コア21を貫通する電力線の数は、3本に限らず、2本であってもよいし、4本以上であってもよい。
【0087】
以上説明したように、本実施の形態に係る屋内電力線システム2は、アーク検出装置10を備え、少なくとも1つの電力源のうちの1つの電力源は、系統電源63で構成され、複数のコンバータは、AC/DC変換器45、46及び47で構成される。
【0088】
このように、アーク検出装置10を屋内電力線システム2に適用してもよく、複数(2以上)の電力線において発生するアークを容易に検出できる屋内電力線システム2を提供できる。
【0089】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態に係るアーク検出装置等について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0090】
例えば、上記実施の形態1及びその変形例では、システム1a、1bは、1つの太陽電池62を備える例について説明したが、システム1a、1bは、2つ以上の太陽電池を備えていてもよい。
【0091】
例えば、上記実施の形態1及びその変形例では、システム1a、1bは、2つの蓄電池51及び52を備える例について説明したが、システム1a、1bは、3つ以上の蓄電池を備えていてもよい。
【0092】
例えば、上記実施の形態1及びその変形例では、システム1a、1bは、3つのDC/DC変換器41、42及び43を備える例について説明したが、システム1a、1bは、4つ以上のDC/DC変換器を備えていてもよい。
【0093】
例えば、上記実施の形態1及びその変形例では、システム1a、1bは、太陽電池62を備える例について説明したが、備えていなくてもよい。つまり、システム1a、1bは、太陽光発電機能を有していない蓄電池システムであってもよい。
【0094】
例えば、上記実施の形態1及びその変形例では、システム1a、1bは、蓄電池51及び52を備える例について説明したが、備えていなくてもよい。つまり、システム1a、1bは、蓄電機能を有していない太陽光発電システムであってもよい。
【0095】
例えば、上記実施の形態1の変形例では、システム1bは、2つの電流検出部20a及び20bを備える例について説明したが、システム1bは、例えば備えられるDC/DC変換器の数等に応じて3つ以上の電流検出部を備えていてもよい。
【0096】
例えば、上記実施の形態2では、屋内電力線システム2は、3つのAC/DC変換器45、46及び47を備える例について説明したが、屋内電力線システム2は、2つ又は4つ以上のAC/DC変換器を備えていてもよい。
【0097】
例えば、上記実施の形態2では、屋内電力線システム2は、3つの負荷装置53、54及び55を備える例について説明したが、屋内電力線システム2は、2つ又は4つ以上の負荷装置を備えていてもよい。
【0098】
例えば、上記実施の形態では、2以上の電力線には、磁気コアにおいて、直流電流の流れる向きが他の電力線と逆向きとなっている電力線が含まれる例について説明したが、磁気コアにおいて、2以上の電力線を流れる直流電流の向きは全て同じ向きであってもよい。
【0099】
例えば、アーク検出装置が備えるアーク判定部は、パーソナルコンピュータ等の汎用コンピュータにおいてソフトウェア的に実現されてもよい。
【0100】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0101】
1a、1b システム
2 屋内電力線システム
10、10a、10b アーク検出装置
11a、11b、12a、12b、13a、13b、14a、14b、110a、110b、120a、120b、130a、130b、140a、140b、150a、150b 電力線
20、20a、20b 電流検出部
21、21a、21b 磁気コア
30、30a、30b アーク判定部
41、42、43 DC/DC変換器
44 インバータ
45、46、47 AC/DC変換器
48、63 系統電源
51、52 蓄電池
53、54、55 負荷装置
62 太陽電池
111a、111b、111c、111d 分岐経路
N 分岐点