(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】部品実装装置および方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20230630BHJP
【FI】
H05K13/04 B
(21)【出願番号】P 2019034835
(22)【出願日】2019-02-27
【審査請求日】2021-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】長江 和男
(72)【発明者】
【氏名】横山 大
(72)【発明者】
【氏名】長澤 陽介
(72)【発明者】
【氏名】松岡 聡
(72)【発明者】
【氏名】今福 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓之
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 英明
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/135909(WO,A1)
【文献】特開2004-306176(JP,A)
【文献】特開昭57-145394(JP,A)
【文献】特開2012-056050(JP,A)
【文献】特開2005-028564(JP,A)
【文献】特開平10-163252(JP,A)
【文献】国際公開第2017/017710(WO,A1)
【文献】特開2006-245480(JP,A)
【文献】特開2002-076695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容された部品を異なる姿勢で供給する部品供給装置と、
前記部品を保持する保持ユニットと、軌道に沿って前記保持ユニットを移動させる移動装置とを備える部品搬送装置と、
前記部品供給装置から供給される前記部品を保持して、前記保持ユニットの軌道上における第1受け渡し位置に前記部品を移載する移載ヘッドと、
前記保持ユニットの軌道上における第2受け渡し位置に位置された前記保持ユニットから前記部品を保持して受け取り、前記部品を基板に実装する実装ヘッドと、を備え、
前記移動装置は、複数の前記保持ユニットの1の組を前記第1受け渡し位置に位置させるとともに、複数の前記保持ユニットの前記1の組とは異なる他の1の組を前記第2受け渡し位置に位置させるように、前記保持ユニットを移動させ
、
前記保持ユニットは、移載される前記部品の姿勢または形状に応じて可変する部品保持面を有し、可変された前記部品保持面により前記保持ユニット内における前記部品の移動を規制した状態で前記部品を保持する、部品実装装置。
【請求項2】
前記移動装置は、前記保持ユニットに対して周回軌道上を回動させるように移動させるロータリー移動装置である、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記移動装置は、前記保持ユニットが複数連結されたベルトを周回軌道に沿って走行させるベルト移動装置である、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記保持ユニットは、上下方向に延びる姿勢で配置された複数のピンを備え、前記部品保持面は前記ピンの端部により画定され、前記ピンが上下方向に移動することにより、前記部品保持面が可変する、請求項
1から3のいずれか1つに記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記保持ユニットは、上下方向における前記ピンの移動をロックするロック機構を備え、前記ピンに対して前記ロック機構によるロックを行うことにより、部品保持面の可変形態が保持される、請求項
4に記載の部品実装装置。
【請求項6】
少なくとも1の前記ピンと他の1の前記ピンとの移動量が異なるように、上下方向に移動させるピン移動装置を備える、請求項
4または5に記載の部品実装装置。
【請求項7】
前記部品供給装置は、前記部品が配置され、かつ前記移載ヘッドへの部品供給位置に向かって下降傾斜するスロープを有し、
前記スロープは、前記移載ヘッドにより保持される部分を有し、
前記移載ヘッドにより保持された状態にて、前記移載ヘッドが往復移動することにより前記スロープに振動が与えられる、請求項1から
6のいずれか1つに記載の部品実装装置。
【請求項8】
前記移載ヘッド、前記実装ヘッドおよび前記部品搬送装置の動作を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記1の組の保持ユニットを前記第1受け渡し位置に位置させるとともに、前記他の1の組の保持ユニットを前記第2受け渡し位置に位置させた状態にて、前記移載ヘッドによる前記1の組の保持ユニットへの前記部品の移載動作と、前記実装ヘッドによる前記他の1の組の保持ユニットからの前記部品の受け取り動作とを実行させ、前記部品の移載動作および前記部品の受け取り動作が完了した後、前記1の組および前記他の1の組の保持ユニットの移動を開始する、請求項1から
7のいずれか1つに記載の部品実装装置。
【請求項9】
前記部品供給装置は、前記部品が配置される平面部と、前記平面部から連続する湾曲面を構成する反転部とを有する部品トレイを、水平方向に移動可能に備え、
前記部品トレイは、前記移載ヘッドにより保持される部分を有し、
前記移載ヘッドにより保持された状態にて、前記移載ヘッドが水平方向に移動することにより前記部品を前記湾曲面に沿って移動させて、前記反転部にて前記部品を反転させる、
請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項10】
前記移載ヘッド、前記実装ヘッドおよび前記部品搬送装置の動作を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記部品搬送装置における第1の前記保持ユニットを前記第1受け渡し位置に位置させるとともに、第2の前記保持ユニットを前記第2受け渡し位置に位置させた状態にて、前記移載ヘッドによる前記第1の保持ユニットへの前記部品の移載動作と、前記実装ヘッドによる前記第2の保持ユニットからの前記部品の受け取り動作とを実行させ、前記部品の移載動作および前記部品の受け取り動作が完了した後、前記第1および第2の保持ユニットの移動を開始する、請求項
9に記載の部品実装装置。
【請求項11】
収容された部品を異なる姿勢で供給する部品供給装置から移載ヘッドに部品を供給する工程と、
保持ユニットの軌道上における第1受け渡し位置に位置された前記保持ユニットに対して、前記移載ヘッドに保持された前記部品を移載する工程と、
前記保持ユニットにより前記部品を保持しながら軌道に沿って前記保持ユニットを移動させる工程と、
前記保持ユニットの軌道上における第2受け渡し位置に位置された前記保持ユニットから実装ヘッドが前記部品を保持して受け取る工程と、
前記実装ヘッドにより保持された前記部品を基板に実装する工程と、を含み、
前記保持ユニットを移動させる工程において、複数の前記保持ユニットの1の組を前記第1受け渡し位置に位置させるとともに、複数の前記保持ユニットの前記1の組とは異なる他の1の組を前記第2受け渡し位置に位置させるように、前記保持ユニットを移動させ
、前記保持ユニットは、移載される前記部品の姿勢または形状に応じて可変する部品保持面を有し、可変された前記部品保持面により前記保持ユニット内における前記部品の移動を規制した状態で前記部品を保持する、部品実装方法。
【請求項12】
前記部品供給装置は、前記部品が配置される平面部と、前記平面部から連続する湾曲面を構成する反転部とを有する部品トレイを、水平方向に移動可能に備え、前記部品トレイは、前記移載ヘッドにより保持される部分を有し、
前記部品供給装置から部品を供給する工程において、前記移載ヘッドにより保持された状態にて、前記移載ヘッドが水平方向に移動することにより前記部品を前記湾曲面に沿って移動させて、前記反転部にて前記部品を反転させる、
請求項11に記載の部品実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、異なる姿勢で供給される部品を基板に実装する部品実装装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、収容された部品をばら状態で供給する部品供給装置を備える部品実装装置として様々な構成のものが知られている。例えば、特許文献1の部品実装装置では、同じ種類の部品をばら状態にて収容する部品供給装置から様々な姿勢で部品が供給されて、これらの部品が実装ヘッドに受け渡されて基板に実装される。
【0003】
部品供給装置からばら状態にて供給される部品は、その姿勢が認識されて、認識結果に基づいて、移載ヘッドによりピックアップされるとともに当該姿勢を所定の姿勢に補正した後、部品キャリアに受け渡される。部品キャリアは、移載ヘッドよりの部品受け取り位置と実装ヘッドへの部品受け渡し位置との間で往復移動される。部品キャリアは、受け渡される部品の形状に応じた固有の凹凸部を有する部品受部材を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の部品実装装置では、部品キャリアが、移載ヘッドよりの部品受け取り位置と実装ヘッドへの部品受け渡し位置との間で直線的に往復移動される構成が採用されているため、単位時間あたりの部品供給個数が制限される。また、部品キャリアの部品受部材は、特定の部品の凹凸形状に応じたものであるため、多様な種類の部品の供給に対して汎用性が低い。
【0006】
従って、本開示の目的は、上記従来の課題を解決することにあって、異なる姿勢または形状の部品を基板に実装する部品実装装置および方法において、部品供給の効率を向上させるとともに、多様な種類の部品供給に対応できる汎用性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の一の態様の部品実装装置は、収容された部品を異なる姿勢で供給する部品供給装置と、部品を保持する保持ユニットと、軌道に沿って保持ユニットを移動させる移動装置とを備える部品搬送装置と、部品供給装置から供給される部品を保持して、保持ユニットの軌道上における第1受け渡し位置に部品を移載する移載ヘッドと、保持ユニットの軌道上における第2受け渡し位置に位置された保持ユニットから部品を保持して受け取り、部品を基板に実装する実装ヘッドと、を備え、保持ユニットは、移載される部品の姿勢または形状に応じて可変する部品保持面を有し、可変された部品保持面により保持ユニット内における部品の移動を規制した状態で部品を保持する、ものである。
【0008】
また、本開示の一の態様の部品実装方法は、収容された部品を異なる姿勢で供給する部品供給装置から移載ヘッドに部品を供給する工程と、保持ユニットの軌道上における第1受け渡し位置に位置された保持ユニットに対して、移載ヘッドに保持された部品を移載する工程と、保持ユニットにより部品を保持しながら軌道に沿って保持ユニットを移動させる工程と、保持ユニットの軌道上における第2受け渡し位置に位置された保持ユニットから実装ヘッドが部品を保持して受け取る工程と、実装ヘッドにより保持された部品を基板に実装する工程と、を含み、保持ユニットを移動させる工程において、保持ユニットは、移載される部品の姿勢または形状に応じて可変する部品保持面を有し、可変された部品保持面により保持ユニット内における部品の移動を規制した状態で部品を保持する、ものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、異なる姿勢または形状で供給される部品を基板に実装する部品実装装置および方法において、部品供給の効率を向上させるとともに、多様な種類の部品供給に対応できる汎用性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施の形態1にかかる部品実装装置の模式平面図
【
図3】実施の形態1の部品実装装置の制御ブロック図
【
図4】実施の形態1の部品実装装置が備える保持ユニットの外観斜視図
【
図5】実施の形態1の保持ユニットにおけるピン移動装置の説明図
【
図6A】実施の形態1の保持ユニットのロック機構の説明図(ロック状態)
【
図6B】実施の形態1の保持ユニットのロック機構の説明図(ロック解除状態)
【
図7】実施の形態1の保持ユニットの外観斜視図(部品保持面の可変状態)
【
図8A】実施の形態1の保持ユニットの模式図(部品保持面:フラット)
【
図8B】実施の形態1の保持ユニットの模式図(部品保持面:可変状態)
【
図8C】実施の形態1の保持ユニットの模式図(部品保持面:可変状態)
【
図9】実施の形態1の変形例にかかる部品搬送装置の模式図
【
図10】実施の形態1の別の変形例にかかる部品搬送装置の模式図
【
図11A】本開示の実施の形態2にかかる部品実装装置が備える部品供給装置の模式側面図
【
図11B】実施の形態2の部品実装装置が備える部品供給装置の模式側面図
【
図11C】実施の形態2の部品実装装置が備える部品供給装置の模式側面図
【
図12】本開示の実施の形態3にかかる部品実装装置が備える部品供給装置の模式側面図
【
図13】実施の形態3の部品供給装置における反転動作の模式図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の第1態様の部品実装装置は、収容された部品を異なる姿勢で供給する部品供給装置と、部品を保持する保持ユニットと、軌道に沿って保持ユニットを移動させる移動装置とを備える部品搬送装置と、部品供給装置から供給される部品を保持して、保持ユニットの軌道上における第1受け渡し位置に部品を移載する移載ヘッドと、保持ユニットの軌道上における第2受け渡し位置に位置された保持ユニットから部品を保持して受け取り、部品を基板に実装する実装ヘッドと、を備え、保持ユニットは、移載される部品の姿勢または形状に応じて可変する部品保持面を有し、可変された部品保持面により保持ユニット内における部品の水平方向の移動を規制した状態で部品を保持する、ものである。
【0012】
本開示の第2態様の部品実装装置は、第1態様の部品実装装置において、移動装置は、保持ユニットに対して周回軌道上を回動させるように移動させるロータリー移動装置である、としてもよい。
【0013】
本開示の第3態様の部品実装装置は、第1態様の部品実装装置において、移動装置は、保持ユニットが複数連結されたベルトを周回軌道に沿って走行させるベルト移動装置である、としてもよい。
【0014】
本開示の第4態様の部品実装装置は、第1から第3態様のいずれか1つの部品実装装置において、移動装置は、隣接する複数の保持ユニットの1の組を第1受け渡し位置に位置させるとともに、隣接する複数の保持ユニットの1の組とは異なる他の1の組を第2受け渡し位置に位置させるように、保持ユニットを周回軌道に沿って移動させる、ようにしてもよい。
【0015】
本開示の第5態様の部品実装装置は、第1から第4態様のいずれか1つの部品実装装置において、保持ユニットは、上下方向に延びる姿勢で配置された複数のピンを備え、部品保持面はピンの端部により画定され、ピンが上下方向に移動することにより、部品保持面が可変する、ようにしてもよい。
【0016】
本開示の第6態様の部品実装装置は、第5態様の部品実装装置において、保持ユニットは、上下方向におけるピンの移動をロックするロック機構を備え、ピンに対してロック機構によるロックを行うことにより、部品保持面の可変形態が保持される、ようにしてもよい。
【0017】
本開示の第7態様の部品実装装置は、第5態様または第6態様の部品実装装置において、少なくとも1のピンと他の1のピンとの移動量が異なるように、上下方向に移動させるピン移動装置を備えてもよい。
【0018】
本開示の第8態様の部品実装装置は、第1から第7態様のいずれか1つの部品実装装置において、部品供給装置は、部品が配置され、かつ移載ヘッドへの部品供給位置に向かって下降傾斜するスロープを有し、スロープは、移載ヘッドにより保持される部分を有し、移載ヘッドにより保持された状態にて、移載ヘッドが往復移動することによりスロープに振動が与えられる、ようにしてもよい。
【0019】
本開示の第9態様の部品実装装置は、第1から第7態様のいずれか1つの部品実装装置において、部品供給装置は、部品が配置される平面部と、平面部から連続する湾曲面を構成する反転部とを有する部品トレイを、水平方向に移動可能に備え、部品トレイは、移載ヘッドにより保持される部分を有し、移載ヘッドにより保持された状態にて、移載ヘッドが水平方向に移動することにより部品を湾曲面に沿って移動させて、反転部にて部品を反転させる、ようにしてもよい。
【0020】
本開示の第10態様の部品実装装置は、第1から第9態様のいずれか1つの部品実装装置において、移載ヘッド、実装ヘッドおよび部品搬送装置の動作を制御する制御装置を備え、制御装置は、部品搬送装置における第1の保持ユニットを第1受け渡し位置に位置させるとともに、第2の保持ユニットを第2受け渡し位置に位置させた状態にて、移載ヘッドによる第1の保持ユニットへの部品の移載動作と、実装ヘッドによる第2の保持ユニットからの部品の受け取り動作とを実行させ、部品の移載動作および部品の受け取り動作が完了した後、第1および第2の保持ユニットの移動を開始する、ようにしてもよい。
【0021】
本開示の第11態様の部品実装方法は、収容された部品を異なる姿勢で供給する部品供給装置から移載ヘッドに部品を供給する工程と、保持ユニットの軌道上における第1受け渡し位置に位置された保持ユニットに対して、移載ヘッドに保持された部品を移載する工程と、保持ユニットにより部品を保持しながら軌道に沿って保持ユニットを移動させる工程と、保持ユニットの軌道上における第2受け渡し位置に位置された保持ユニットから実装ヘッドが部品を保持して受け取る工程と、実装ヘッドにより保持された部品を基板に実装する工程と、を含み、保持ユニットを移動させる工程において、保持ユニットは、移載される部品の姿勢または形状に応じて可変する部品保持面を有し、可変された部品保持面により保持ユニット内における部品の移動を規制した状態で部品を保持する、ものである。
【0022】
以下に、本開示にかかる実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。本開示は、以下の実施の形態の具体的な構成に限定されるものではなく、同様の技術的思想に基づく構成が本開示に含まれる。
【0023】
(実施の形態1)
本開示の実施の形態1にかかる部品実装装置1の主要な構成を示す模式平面図を
図1に、模式側面図を
図2に示す。
【0024】
図1に示すように、部品実装装置1は、部品供給装置10と、部品搬送装置20と、移載ヘッド2と、実装ヘッド3とを備える。また、部品実装装置1は、部品8が実装される基板4を載置して保持するステージ5を備える。
【0025】
部品供給装置10は、複数の部品を収容し、収容された部品8を部品供給位置11にて異なる姿勢で供給する装置である。部品供給装置10は、例えば、同じ種類の部品を個別に任意の姿勢、すなわち「ばら状態」にて収容する。ばら状態にて収容されている部品に対して、例えばスロープ状の経路を通過させる過程にて、あるいは部品に対して振動を与えることにより、部品の姿勢を整えながら、いくつかの所定の姿勢にした状態にて部品供給位置11へと配置させる。部品供給装置10において、部品実装装置1の中央側に部品供給位置11が配置されている。
【0026】
部品供給装置10に収容される部品8としては、例えば、様々な機能を有する電子部品、コネクタ等の接続部品、または、電子部品等を保護する保護パーツ(例えば、シールドケース)などであってもよい。電子部品は、表面実装部品であってもよく、またリード型電子部品であってもよい。本実施の形態の部品実装装置1には、複数の部品供給装置10が備えられており、それぞれの部品供給装置10には互いに異なる種類の部品8(すなわち、互いに形状等が異なる部品8)が収容されている。
【0027】
ステージ5は、図示しない基板搬送装置により搬入された基板4を載置して保持するものである。ステージ5に保持された基板4に対して、実装ヘッド3により部品の実装が行われる。部品実装が行われた基板4は、保持が解除されて、図示しない基板搬送装置によりステージ5から排出される。
【0028】
部品搬送装置20は、部品供給装置10から供給される部品を受け取ってステージ5の近傍にまで移動させて、部品を実装ヘッド3に供給可能な状態とさせるように、部品の搬送を行う装置である。部品搬送装置20は、部品8を保持する複数の保持ユニット21と、周回軌道に沿って複数の保持ユニット21を移動させる移動装置22とを備える。
【0029】
図1に示すように、部品搬送装置20は、例えば8台の保持ユニット21を備え、それぞれの保持ユニット21は円形の周回軌道上において均等の間隔にて配置されている。
図1に示す周回軌道における図示下端位置が第1受け渡し位置P1となっており、図示上端位置が第2受け渡し位置P2となっている。第1受け渡し位置P1は、部品供給装置10における部品供給位置11に配置された部品8が、移載ヘッド2により保持されて保持ユニット21に対して受け渡される位置である。第2受け渡し位置P2は、保持ユニット21に保持されている部品8が、実装ヘッド3により保持されて受け渡される位置である。
【0030】
移動装置22は、それぞれの保持ユニット21を支持する円形状の支持部材23と、支持部材23を回転駆動する駆動装置24とを備える。駆動装置24により支持部材23が、例えば、時計方向に回転駆動されることにより、それぞれの保持ユニット21が、第1受け渡し位置P1、第2受け渡し位置P2に順次位置されることになる。本実施の形態では、移動装置22としてロータリー方式の移動装置が採用されている。駆動装置24は、例えばモータと回転速度を調整するギア機構とにより構成されてもよい。本実施の形態では、駆動装置24より支持部材23が間欠駆動されて、第1受け渡し位置P1および第2受け渡し位置P2に移動された保持ユニット21が所定または任意の時間停止した後、移動が再開される。なお、保持ユニット21の詳細な構成については後述する。
【0031】
移載ヘッド2は、部品供給装置10の部品供給位置11に配置された部品8を保持して、第1受け渡し位置P1に位置されている保持ユニット21に対して部品8を移載する装置である。移載ヘッド2は、部品8を把持することにより保持してもよく、また吸着することにより部品8を保持してもよい。
図1に示すように、部品実装装置1が備える複数の部品供給装置10における部品供給位置11と、第1受け渡し位置P1とは、X方向に並んでいる。なお、
図2の模式側面図では、各構成部の関係を理解し易いように、実際には互いにX方向に並んでいる部品供給位置11と第1受け渡し位置P1とを、Y方向の位置を異ならせて図示している。
【0032】
部品実装装置1は、移載ヘッド2を支持するとともに、移載ヘッド2をX方向に移動させる移載ヘッド移動装置6を備える。移載ヘッド移動装置6により移載ヘッド2が、それぞれの部品供給位置11および第1受け渡し位置P1の上方に移動して位置決めを行うことが可能となっている。移載ヘッド2には、部品供給位置11に配置されている部品の画像を撮像する第1カメラ(図示せず)が備えられている。部品供給位置11に配置された部品8の画像を第1カメラにより撮像して、撮像された画像に基づいて移載ヘッド2の保持姿勢が調整され、当該部品8が保持される。
【0033】
実装ヘッド3は、第2受け渡し位置P2に位置されている保持ユニット21が保持する部品8を保持して受け取り、ステージ5上に載置されている基板4における所定位置に部品8を実装する装置である。実装ヘッド3は、部品8を把持することにより保持してもよく、また吸着することにより部品8を保持してもよい。
【0034】
部品実装装置1は、実装ヘッド3を支持するとともに、実装ヘッド3をX方向およびY方向に移動させる実装ヘッド移動装置7を備える。実装ヘッド移動装置7は、第2受け渡し位置P2および基板4上の任意の位置に実装ヘッド3を位置決めすることが可能となっている。実装ヘッド3には、第2受け渡し位置P2に位置されている保持ユニット21が保持する部品8の画像を撮像する第2カメラ(図示せず)が備えられている。第2受け渡し位置P2に位置された部品8の画像を第2カメラにより撮像して、撮像された画像に基づいて実装ヘッド3の保持姿勢が調整され、当該部品8が保持される。なお、X方向およびY方向は互いに直交する水平方向であり、Z方向はX方向およびY方向に直交する方向である。
【0035】
ここで、部品実装装置1における制御ブロック図を
図3に示す。
図3に示すように、部品実装装置1には、部品実装装置1が備えるそれぞれの装置の動作制御を行って部品実装動作を制御する制御装置9が備えられている。制御装置9は、記憶部等に記憶された部品実装プログラム、動作シーケンス、実装される部品情報、基板情報などに基づいてそれぞれの装置の動作を制御する機能を有する
【0036】
次に、保持ユニット21の外観の模式斜視図を
図4に示す。
【0037】
保持ユニット21は、その上面に部品8が載置されて部品8を保持する部品保持面25を有する。部品保持面25は移載される部品8の姿勢または形状に応じて可変するものであり、可変された部品保持面25により、保持ユニット21内における部品8の水平方向の移動が規制された状態で部品8を保持する。
【0038】
図4に示すように、保持ユニット21は、Z方向に延びる姿勢にてX方向およびY方向にマトリックス状に配列された複数のピン31と、それぞれのピン31の下方側を支持する本体部32とを備える。
【0039】
大略箱形状を有する本体部32の上面から上方にそれぞれのピン31が突出しており、それぞれのピン31の上端31aにより部品保持面25が画定されている。それぞれのピン31は、X方向およびY方向に所定の間隔にて配列されており、上下方向に移動可能に本体部32に支持されている。
【0040】
それぞれのピン31を上下方向に移動させる機構について、
図5の模式図を用いて説明する。
図5に示すように、それぞれのピン31の下端には、ピン移動装置としてアクチュエータ33が個別に配置されている。また、それぞれのピン31は図示しない付勢手段(ばね等)により常時下方側に付勢されている。アクチュエータ33が下方に駆動されることにより、付勢手段による付勢力とともにピン31が下方へと移動される。アクチュエータ33が上方に駆動されることにより、付勢力に抗してピン31が上方へと移動される。このようにして個々のピン31が上下方向に移動されて、ピン31の上端31aにより画定される部品保持面25を所望の形状に可変することができる。なお、アクチュエータによるピンの移動は個別に行われる場合に限られず、例えば、複数のピンを1つのアクチュエータにより共通して移動させるような場合であってもよい。
【0041】
本体部32の上面には、それぞれのピン31の上下方向の移動をロックするロック機構34が配置されている。ここで、ロック機構34の構成について、
図6A、
図6Bの模式図を用いて説明する。
図6Aに示すように、ロック機構34は、それぞれのピン31が個別に貫通する複数の貫通孔35が形成されたプレート36を備える。プレート36において、それぞれの貫通孔35はピン31の外形よりも大きく形成されている。また、プレート36は水平方向に移動可能に本体部32に取り付けられている。
図6Aに示すように、プレート36がロック位置に位置された状態では、それぞれの貫通孔35の端縁にピン31が接触された状態にあり、この接触により生じる摩擦力によりピン31の上下方向の移動が規制される。一方、
図6Bに示すように、プレート36がロック位置から水平方向に移動されたロック解除位置に位置された状態では、それぞれの貫通孔35の中央付近にピン31が位置され、ピン31と貫通孔35の端縁との摩擦力が生じない(あるいは大幅に低減された)状態にある。このような状態では、ピン31が上下方向に移動可能な状態となる。
【0042】
なお、ロック機構34のプレート36をロック位置とロック解除位置との間で移動させる駆動装置が、本体部32に設けられていてもよい。また、このような駆動装置が、それぞれの保持ユニット21に対して共通して、保持ユニット21の外部に設けられるような場合であってもよい。例えば、保持ユニット21の周回軌道における所定の位置に駆動装置を設けて、当該位置に位置された保持ユニット21に対してプレート36の移動を行うようにしてもよい。
【0043】
このように保持ユニット21では、載置される部品8の形状に応じてそれぞれのピン31を上下方向に移動させることにより、ピン31の上端31aにて画定される部品保持面25を可変することができる。例えば、
図7に示すように、平面視(Z方向視)にて大略長方形状を有し、かつ長辺から一部突出部分を有するような形状を有する部品8が保持ユニット21に保持される場合を想定する。この場合、部品8の下面と接触するピン31が下方に移動され、部品8の下面と接触しないピン31は上下方向に移動しないように、部品保持面25の凹凸形状が形成される。すなわち、保持ユニット21が有する複数のピン31に対して、少なくとも1本のピン31と他の1本のピン31との上下方向の移動量が異なるように、アクチュエータ33によりピン31の移動を行う。これにより、部品保持面25に載置された部品8は、下方に移動されたピン31の上端31aにより支持された状態となり、安定的に支持される。さらに部品8の水平方向周囲のピン31は高い位置に位置された状態にあるため、部品8の側方を取り囲んだ状態となり、部品8の水平方向の移動が規制される。なお、部品8の側方4方向に対して、少なくとも1本ずつのピン31が存在していれば、部品8の水平方向の移動を規制することができる。
【0044】
また、
図8Aに示すフラットな形状の部品保持面25に対して、部品8の姿勢または形状に応じて、部品8の下面に接触するピン31を選択して上下方向に移動させることにより、
図8Bおよび
図8Cに示すような部品保持面25を形成することができる。これにより様々な姿勢または形状の部品を安定して保持ユニット21により保持することができる。
【0045】
このような構成を有する本実施の形態1の部品実装装置1における部品実装動作について説明する。
【0046】
部品供給装置10において、収容されている部品8をいくつかの所定の姿勢に近づくように姿勢を整えながら部品供給位置11に部品8を配置する。制御装置9において、次に取り出す部品8が選択されて、当該部品8が配置されている部品供給位置11の上方に移載ヘッド2が移載ヘッド移動装置6により移動される。その後、移載ヘッド2により部品供給位置11から部品8が保持して取り出され、部品8を保持した状態の移載ヘッド2が第1受け渡し位置P1の上方へと位置決めされる。なお、移載ヘッド2による部品8の保持の際には、図示しない第1カメラの撮像画像に基づいた保持姿勢の調整が行われる。
【0047】
部品搬送装置20では、第2受け渡し位置P2から第1受け渡し位置P1への保持ユニット21の移動過程において、次に載置される部品8の情報に基づいて、部品保持面25の可変が行われる。部品8の情報には、部品8の種類と部品8の載置姿勢(あるいは移載ヘッド2による保持姿勢)の情報が含まれる。制御装置9により、これらの情報に基づいて保持ユニット21が備えるアクチュエータ33の制御が行われ、選択的にそれぞれのピン31の上下方向の移動が行われる。なお、この移動はロック機構34によるロック解除が行われた状態にて行われる。その後、ロック機構34によるロックが行われて、それぞれのピン31の上下方向の位置が固定される。これにより、保持ユニット21における部品保持面25が、載置される部品8の姿勢等に応じた形状に保たれる。
【0048】
その後、部品保持面25が可変された保持ユニット21が第1受け渡し位置P1に位置されると、移載ヘッド2により保持されている部品8が保持ユニット21の部品保持面25に載置される。この際に、部品保持面25に形成された部品8の姿勢に応じた凹状部分に合致するように部品8が載置される。
【0049】
次に、第1受け渡し位置P1から第2受け渡し位置P2に向けて、保持ユニット21の移動が開始される。保持ユニット21は円形状の周回軌道に沿って間欠的な移動として行われる。保持ユニット21において、部品8の側方がピン31に囲まれた状態にあるため、部品8の水平方向の移動が規制された状態にて移動が行われる。よって、移動に伴う振動等によって部品8が落下することが防止される。
【0050】
実装ヘッド移動装置7により実装ヘッド3が移動されて、第2受け渡し位置P2の上方に位置決めされる。その後、保持ユニット21が第2受け渡し位置P2に位置されると、実装ヘッド3により部品8が保持されて保持ユニット21から取り出される。なお、実装ヘッド3による部品8の保持の際には、図示しない第2カメラの撮像画像に基づいた保持姿勢の調整が行われる。
【0051】
その後、実装ヘッド移動装置7により実装ヘッド3が基板4における実装位置に位置決めされて、保持されている部品8が基板4上に実装される。また、第2受け渡し位置P2にて部品8が取り出された状態の保持ユニット21に対して、第1受け渡し位置P1へ向けての周回軌道に沿った移動が行われる。この移動の過程において、保持ユニット21のロック機構34がロック解除状態とされて、それぞれのピン31の上端31aがフラットな状態へと戻される。その後、第1受け渡し位置P1へ位置されるまでに、次に載置される部品8の姿勢等に応じて部品保持面25の可変が行われる。
【0052】
また、部品搬送装置20において、1つの保持ユニット(第1保持ユニット)21が第1受け渡し位置P1に位置された状態にて、他の1つの保持ユニット(第2保持ユニット)21が第2受け渡し位置P2に位置される。この状態にて、第1受け渡し位置P1の保持ユニット21に対して、移載ヘッド2による部品8の移載動作が行われる。それとともに、第2受け渡し位置P2の保持ユニット21に対して、実装ヘッド3による部品8の受け取り動作(取り出し動作)が行われる。制御装置9は、部品8の移載動作および部品8の受け取り動作が共に完了した後、第1保持ユニット21および第2保持ユニット21の周回軌道に沿った移動を開始させる。これにより、部品8の移載動作および部品8の受け取り動作をオーバーラップさせて実行することができ、効率的な部品実装を行うことができる。
【0053】
本実施の形態1の部品実装装置1によれば、周回軌道に沿って複数の保持ユニット21が移動して、1つの保持ユニット21を第1受け渡し位置P1に位置させながら、他の1つの保持ユニット21を第2受け渡し位置P2に位置させることができる。よって、第1受け渡し位置P1における部品8の移載動作と、第2受け渡し位置P2における部品8の受け取り動作とをオーバーラップさせて実行することができ、効率的な部品の供給および実装を行うことができる。
【0054】
保持ユニット21における部品保持面25が、部品8の姿勢等に応じて可変する構成が採用されている。これにより、保持ユニット21において、多様な種類の部品8を安定して保持することができ、部品供給における汎用性を向上させることができる。
【0055】
また、このような部品保持面25の可変は、複数のピン31を上下方向に移動させることにより実現できる。特に、載置される部品8の側方4方向に少なくとも1本ずつのピン31が位置するようにすることにより、部品8の水平方向の移動を規制することができる。よって、部品8の移動過程において落下等を防止して、部品8を安定的に保持することができる。
【0056】
次に、本実施の形態1の変形例について説明する。
【0057】
上述の実施の形態1では、部品実装装置1が、移載ヘッド2により保持される部品8の画像を撮像する第1カメラと、実装ヘッド3により保持される部品8の画像を撮像する第2カメラとを備える場合を例としたが、第2カメラを備えないような場合であってもよい。例えば、移載ヘッド2による部品8の保持の際に、第1カメラの撮像画像に基づいた保持姿勢の調整が行われて、移載ヘッド2により保持ユニット21に部品8を所定の姿勢にて移載を行うようにしてもよい。これにより、それぞれの保持ユニット21が、所定の姿勢にて部品8が保持された状態で第2受け渡し位置P2に移動することになる。したがって、実装ヘッド3による部品8の受け取り動作の際に、第2カメラによる部品8の画像の撮像を不要とすることができる。
【0058】
部品搬送装置20がロータリー方式の移動装置22を採用するような場合に代えて、例えば、
図9に示すように、ベルト方式の移動装置を採用してもよい。
図9に示す部品搬送装置40では、周回軌道に沿って走行するベルト41上に、複数の保持ユニット21が支持されている。このような構成では、ベルト41が走行することにより、1つの保持ユニット21を第1受け渡し位置P1に位置させながら、他の1つの保持ユニット21を第2受け渡し位置P2に位置させることができる。また、ベルト41を用いることにより、周回軌道の設計の自由度を高めることができる。
【0059】
また、別の変形例に係る部品搬送装置50では、
図10に示すように正方形状の支持部材であるプレート51の各辺に隣接する3つの保持ユニット21を1つの組として並べて支持させている。プレート51を90度ずつ間欠回転駆動させることにより、保持ユニット21を周回軌道に沿って移動させることができる。このような構成では、例えば、第1受け渡し位置P1に3つの保持ユニット21の組を同時に位置させながら、第2受け渡し位置P2に別の3つの保持ユニット21の組を同時に位置させることができる。例えば、移載ヘッド2および実装ヘッド3をそれぞれ3台ずつ備えさせることにより、3つの保持ユニット21の組に対して、部品3個一括での移載動作および部品の受け取り動作を行うことが可能となる。よって、部品供給をさらに効率的に行うことが可能となる。
【0060】
なお、複数の保持ユニット21の組を第1受け渡し位置P1と第2受け渡し位置P2とに同時に位置させるような形態は、正方形状のプレート51を用いるような場合に限られず、例えば、ベルトを用いた構成等においても採用することができる。
【0061】
上述の説明では、保持ユニット21において、それぞれのピン31をアクチュエータ33により上下方向に移動させる場合を例としたが、このような場合に限られない。例えば、ピン31に対して、外部部材を接触させて上下方向に移動させるようにしてもよい。このような外部部材としては、保持ユニット21以外の部分に設けられたアクチュエータであってもよく、また、移載ヘッド2に保持されている部品8自体をピン31に押し当てることによりピン31の移動を行う場合であってもよい。
【0062】
ピン31の上下方向の移動に対するロック機構としては、摩擦力を用いた様々な形態を適用してもよい。また、摩擦力を用いるような場合に代えて、ピンと他の部材との係合を用いるような構成を採用してもよく、また、電磁気的なロックを行う機構を採用してもよい。
【0063】
保持ユニット21において、複数のピン31がマトリックス状に配列される場合を例としたが、複数のピン31により部品8の下面が支持される程度の本数および配列であればよく、様々な形態を採用することができる。例えば、部品8の大きさを考慮した上で、部品保持面25の中央部分にピン31が存在せず、その周囲のみにピン31が存在するような形態を採用してもよい。
【0064】
(実施の形態2)
次に、本開示の実施の形態2にかかる部品実装装置が備える部品供給装置110の模式側面図を
図11A、
図11Bおよび
図11Cに示す。なお、実施の形態1の部品実装装置1が備える構成部と実質的に同じ構成の構成部については同じ参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0065】
図11Aに示すように、部品供給装置110は、例えば、同じ種類の部品を個別に任意の姿勢、すなわち「ばら状態」にて収容する。部品供給装置110は、ばら状態にて収容されている部品8を、部品供給位置11に供給するためのスロープ111を備え、スロープ111の下方側端部は部品供給位置11に位置している。また、スロープ111の下方側端部には上方へ突出した部分であるフック112が設けられている。なお、部品供給位置11の上方には移載ヘッド2が移動することが可能となっている。
【0066】
このような構成の部品供給装置110において、部品8を移載ヘッド2に供給する動作について説明する。
【0067】
まず、
図11Aに示すように、スロープ111上に配置されている部品8は、スロープ111の傾斜に沿って下方側へと移動し、部品供給位置11に部品8が順次位置される。部品供給位置11に配置された部品8の画像が第1カメラ(図示せず)により撮像され、撮像された画像に基づいて、移載ヘッド2により部品8が保持可能な状態かどうかが判断される。例えば、部品供給位置11にて複数の部品8が重なっているなどの状態であるような場合には、部品8を保持不可能と判断される。部品8が保持可能と判断される場合には、移載ヘッド2により部品8が保持される。
【0068】
撮像された画像により、部品供給位置11にて複数の部品8が重なっており、部品8をそのまま保持することが不可能であると判断された場合には、スロープ111の振動動作を実行する。具体的には、スロープ111のフック112の上方に移載ヘッド2を位置させて、移載ヘッド2を下降させることによりフック112を移載ヘッド2により保持する。その後、上下方向または水平方向に移載ヘッド2を微小に往復移動させる。この微小な往復移動は、移載ヘッド移動装置6にて行われてもよく、あるいは移載ヘッド2自体が有している上下動の移動機構を用いてもよい。この移載ヘッド2の往復移動によりスロープ111が振動して、スロープ111上の部品8が移動する(
図11B参照)。
【0069】
その結果、部品供給位置11にて部品8の重なりが解消される。その後、部品供給位置11に配置された部品8が移載ヘッド2により保持され、部品供給位置11から部品8が供給される(
図11C参照)。
【0070】
このような構成の部品供給装置110によれば、部品供給位置11にて、部品8の重なり状態をスロープ111に振動を与えることにより解消させることができる。また、このような振動は、移載ヘッド2により与えることができるため、振動を発生させるための駆動機構を部品供給装置110が備えることを必要としない。なお、スロープ111にフック112が備えられている場合を例としたが、スロープ111の一部を移載ヘッド2が保持できる構成であればよい。
【0071】
(実施の形態3)
次に、本開示の実施の形態3にかかる部品実装装置が備える部品供給装置210の模式側面図を
図12に示す。なお、実施の形態1の部品実装装置1が備える構成部と実質的に同じ構成の構成部については同じ参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0072】
図12に示すように、部品供給装置210は、例えば、同じ種類の部品を個別に任意の姿勢、すなわち「ばら状態」にて収容する。部品供給装置210は、ばら状態にて収容されている部品8を、移載ヘッド2に供給するための部品トレイ211を備える。部品トレイ211は、複数の部品8が配置されている平面状の部分である平面部212と、平面部212の一方の端部に平面部212に連続する湾曲面を構成する反転部213とを備える。平面部212の他方の端部に、上方へ突出した部分であるフック214が設けられている。なお、本実施の形態3では、部品トレイ211の上方の任意の位置に移載ヘッド2が移動することが可能となっており、部品トレイ211の上方全体が部品供給位置11となっている。
【0073】
部品トレイ211において、反転部213は、平面部212から連続する面を、例えば180度反転させるように湾曲する湾曲面を有している。本実施の形態3の部品供給装置210では、部品8に対して水平方向に移動する外力を与えて、部品8の慣性により反転部213にて部品8をスライド移動させながら反転(上下面を反転)させるものである。
【0074】
具体的な部品8の反転方法について、
図13の模式図を用いて説明する。
【0075】
まず、部品トレイ211に配置されている部品8の画像が第1カメラ(図示せず)により撮像され、撮像された画像に基づいて、移載ヘッド2により部品8が保持可能な状態かどうかが判断される。例えば、平面部212にて配置されている複数の部品8が重なっている、あるいは部品8が保持可能な姿勢に対して反転している姿勢であるなどの状態であるような場合には、部品8を保持不可能と判断される。部品8が保持可能と判断された部品8が順次移載ヘッド2により保持される。
【0076】
部品トレイ211には、保持不可能と判断された部品8のみが残る。移載ヘッド2が、部品トレイ211のフック214の上方に位置決めされて下降し、フック214を移載ヘッド2により保持する。その後、移載ヘッド2を図示右向きに移動させる(
図13(A)参照)。これにより、部品トレイ211全体が部品8とともに図示右向きに移動する。部品トレイ211が一定速度に達した後、減速して移載ヘッド2を図示左向きへと移動方向を切り換える(
図13(B)参照)。この移載ヘッド2の動作により、部品トレイ211は図示左向きに移動しながら、部品8は慣性により図示右向きへの移動を継続しようとする。
図13(C)、(D)、(E)に示すように、部品8は慣性により反転部213の湾曲面に沿って移動し、上下面が反転される。反転された部品8は部品トレイ211の平面部212へと配置される(
図13(F)参照)。その後、上下面が反転されて、保持可能な状態となった部品8は、移載ヘッド2により保持される。
【0077】
このような構成の部品供給装置210によれば、部品8が反転しており移載ヘッド2により保持することができない状態であっても、部品トレイ211が備える反転部213を用いて部品8を反転させることができる。また、このような部品8の反転動作は、移載ヘッド2の動作により実現することができるため、専用の駆動機構を部品供給装置210が備えることを必要としない。
【0078】
なお、上記様々な実施の形態のうちの任意の実施の形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【符号の説明】
【0079】
1 部品実装装置
2 移載ヘッド
3 実装ヘッド
4 基板
5 ステージ
6 移載ヘッド移動装置
7 実装ヘッド移動装置
8 部品
9 制御装置
10 部品供給装置
11 部品供給位置
20 部品搬送装置
21 保持ユニット
22 移動装置
23 支持部材
24 駆動装置
25 部品保持面
31 ピン
32 本体部
33 アクチュエータ
34 ロック機構