(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】通信装置、通信方法および通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 76/30 20180101AFI20230630BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20230630BHJP
H04W 76/10 20180101ALI20230630BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20230630BHJP
【FI】
H04W76/30
H04W84/12
H04W76/10
H04W16/28
(21)【出願番号】P 2021567174
(86)(22)【出願日】2020-12-07
(86)【国際出願番号】 JP2020045553
(87)【国際公開番号】W WO2021131656
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-05-30
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2020/041255
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019239223
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 聡
(72)【発明者】
【氏名】荒新 伸彦
(72)【発明者】
【氏名】新海 宗太郎
(72)【発明者】
【氏名】山田 英之
(72)【発明者】
【氏名】橋本 和樹
(72)【発明者】
【氏名】大植 裕司
(72)【発明者】
【氏名】石田 善彦
(72)【発明者】
【氏名】堺 千里
【審査官】長谷川 未貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-269612(JP,A)
【文献】米国特許第08548519(US,B2)
【文献】特開2015-188222(JP,A)
【文献】国際公開第2016/084210(WO,A1)
【文献】特表2018-521603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
DB名 3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信対象との間で通信可能な通信装置と設定端末とが通信可能に接続された通信システムであって、
前記通信装置は、
通信対象との距離を示す距離情報を取得する距離情報取得部と、
前記設定端末により設定された、通信可能距離を含む設定情報を前記設定端末から取得する設定情報取得部と、
前記通信対象との間で通信する通信部と、を備え、
前記通信部にて前記通信対象との間の接続を確立した後、前記距離情報取得部は、前記距離情報を取得し、
前記通信部は、前記距離情報が前記設定情報に含まれる前記通信可能距離を満たさない場合に、前記通信対象との間の接続を切断
し、
前記設定端末は、
前記設定情報をユーザ操作により指定するための設定画面をディスプレイに表示するプロセッサ、をさらに備え、
前記プロセッサは、
前記ディスプレイに表示された前記設定画面への前記ユーザ操作に基づいて、前記設定情報を取得して前記通信装置に送信し、
前記通信装置の位置を起点として複数の四角形状ブロックのそれぞれが格子状に配列された前記通信装置から放射される電波により形成される扇形状の通信エリアマップ画像を含む前記設定画面を前記ディスプレイに表示し、
前記通信エリアマップ画像を構成する1以上の前記四角形状ブロックの前記ユーザ操作による指定に基づいて、前記設定情報を取得する、
通信システム。
【請求項2】
前記通信対象への向きを示す方向情報を取得する方向情報取得部、をさらに備え、
前記設定情報は、通信可能方向をさらに含み、
前記通信部にて前記通信対象との間の接続を確立した後、前記方向情報取得部は、前記方向情報を取得し、
前記通信部は、前記方向情報が前記設定情報に含まれる前記通信可能方向と一致しない場合に、前記通信対象との間の接続を切断する、
請求項1に記載の通信
システム。
【請求項3】
前記通信部は、ミリ波帯の周波数を用いたビームフォーミングに基づく無線信号の送受を介して前記通信対象との間で通信する、
請求項1または2に記載の通信
システム。
【請求項4】
前記通信部は、
前記通信装置を基準にして前記通信可能方向に位置しかつ前記通信可能距離を満たさない第1距離離れた位置に位置する第1の通信対象との間で接続を確立した場合、前記第1の通信対象との間の接続を切断し、
前記通信装置を基準にして同一の前記通信可能方向に位置しかつ前記通信可能距離を満たすとともに前記第1距離より大きい第2距離離れた位置に位置する第2の通信対象との間で接続を確立した場合、前記第2の通信対象との間で通信する、
請求項2に記載の通信
システム。
【請求項5】
前記距離情報取得部は、前記通信対象との間での接続の確立に際して前記通信部が送受する無線信号のラウンドトリップ時間に基づいて、前記距離情報を算出して取得する、
請求項1に記載の通信
システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記ユーザ操作により選択されたマップデータを前記設定画面に重畳して前記ディスプレイに表示する、
請求項
1に記載の通信システム。
【請求項7】
前記通信装置が複数設けられる場合に、
前記プロセッサは、
複数の前記通信装置のそれぞれに対応する前記設定画面を配置した複合設定画面を前記ディスプレイに表示する、
請求項
1に記載の通信システム。
【請求項8】
通信対象との間で通信可能な通信装置と設定端末とが通信可能に接続された通信システムにより実行される通信方法であって、
前記通信装置は、
通信対象との間の接続を確立した後に、前記通信対象との距離を示す距離情報を取得し、
通信可能距離を含む設定情報を取得し、
前記距離情報が前記設定情報に含まれる前記通信可能距離を満たさない場合に、前記通信対象との間の接続を切断し、
前記距離情報が前記設定情報に含まれる前記通信可能距離を満たす場合に、前記通信対象との間で通信
し、
前記設定端末は、
前記設定情報をユーザ操作により指定するための設定画面であって、かつ前記通信装置の位置を起点として複数の四角形状ブロックのそれぞれが格子状に配列された前記通信装置から放射される電波により形成される扇形状の通信エリアマップ画像を含む前記設定画面をディスプレイに表示し、
前記ディスプレイに表示された前記設定画面の前記通信エリアマップ画像を構成する1以上の前記四角形状ブロックの前記ユーザ操作による指定に基づいて、前記設定情報を取得して前記通信装置に送信する、
通信方法。
【請求項9】
通信対象との間で通信可能な通信装置と設定端末とが通信可能に接続された通信システムであって、
前記通信装置は、
通信対象との距離を示す距離情報を取得する距離情報取得部と、
前記設定端末により設定された、通信可能距離を含む設定情報を前記設定端末から取得する設定情報取得部と、
前記通信対象との間で通信する通信部と、を備え、
前記通信部にて前記通信対象との間の接続を確立した後、前記距離情報取得部は、前記距離情報を取得し、
前記通信部は、前記距離情報が前記設定情報に含まれる前記通信可能距離を満たさない場合に、前記通信対象との間の接続を切断し、
前記設定端末は、
前記設定情報をユーザ操作により指定するための設定画面をディスプレイに表示するプロセッサ、をさらに備え、
前記プロセッサは、
前記ディスプレイに表示された前記設定画面への前記ユーザ操作に基づいて、前記設定情報を取得して前記通信装置に送信し、
前記通信装置の位置を起点として複数の四角形状ブロックのそれぞれが放射状に配列された扇形状の通信エリアマップ画像を含む前記設定画面を前記ディスプレイに表示し、
前記通信エリアマップ画像を構成する1以上の前記四角形状ブロックの前記ユーザ操作による指定に基づいて、前記設定情報を取得する
、
通信システム。
【請求項10】
通信対象との間で通信可能な通信装置と設定端末とが通信可能に接続された通信システムにより実行される通信方法であって、
前記通信装置は、
通信対象との間の接続を確立した後に、前記通信対象との距離を示す距離情報を取得し、
通信可能距離を含む設定情報を取得し、
前記距離情報が前記設定情報に含まれる前記通信可能距離を満たさない場合に、前記通信対象との間の接続を切断し、
前記距離情報が前記設定情報に含まれる前記通信可能距離を満たす場合に、前記通信対象との間で通信し、
前記設定端末は、
前記設定情報をユーザ操作により指定するための設定画面であって、かつ前記通信装置の位置を起点として複数の四角形状ブロックのそれぞれが放射状に配列された扇形状の通信エリアマップ画像を含む前記設定画面をディスプレイに表示し、
前記ディスプレイに表示された前記設定画面の前記通信エリアマップ画像を構成する1以上の前記四角形状ブロックの前記ユーザ操作による指定に基づいて、前記設定情報を取得して前記通信装置に送信する、
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信装置、通信方法および通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、無線LAN(Local Area Network)等の第1の無線通信方式によって通信を行う第1の無線通信エリア内に、Bluetooth(登録商標)等の第2の無線通信方式によって第1の無線通信エリアよりも狭い第2の無線通信エリアの無線ネットワークを形成する無線通信システムが開示されている。この無線通信システムでは、第1の無線通信エリア内かつ第2の無線通信エリア内に所定のエリアが形成されている。デバイスは、無線LANおよびBluetooth(登録商標)を利用して通信でき、所定のエリアに進入した際に無線LANに設定されている認証情報、設定情報等のセットアップ情報を取得し、セットアップ情報を用いて無線LANに接続する。デバイスは、Bluetooth(登録商標)から退出した際、無線LANとの間の通信を切断する。つまり、デバイスは、無線LANの第1の無線通信エリアのうち、Bluetooth(登録商標)の第2の無線通信エリアと重複する限定した無線通信エリアで、セットアップ情報を用いて無線LANを介した通信を行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、上述した従来の状況に鑑みて案出され、ユーザ操作により設定される接続可能エリアに位置する受信機との間で無線通信し、ユーザ操作により設定される接続禁止エリアに位置する受信機との無線接続を抑制する通信装置、通信方法および通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
また、本開示は、通信対象との間で通信可能な通信装置と設定端末とが通信可能に接続された通信システムにより実行される通信方法であって、前記通信装置は、通信対象との間の接続を確立した後に、前記通信対象との距離を示す距離情報を取得し、通信可能距離を含む設定情報を取得し、前記距離情報が前記設定情報に含まれる前記通信可能距離を満たさない場合に、前記通信対象との間の接続を切断し、前記距離情報が前記設定情報に含まれる前記通信可能距離を満たす場合に、前記通信対象との間で通信し、前記設定端末は、前記設定情報をユーザ操作により指定するための設定画面であって、かつ前記通信装置の位置を起点として複数の四角形状ブロックのそれぞれが格子状に配列された扇形状の通信エリアマップ画像を含む前記設定画面をディスプレイに表示し、前記ディスプレイに表示された前記設定画面の前記通信エリアマップ画像を構成する1以上の前記四角形状ブロックの前記ユーザ操作による指定に基づいて、前記設定情報を取得して前記通信装置に送信する、通信方法を提供する。
【0007】
また、本開示は、通信対象との間で通信可能な通信装置と設定端末とが通信可能に接続された通信システムであって、前記通信装置は、通信対象との距離を示す距離情報を取得する距離情報取得部と、前記設定端末により設定された、通信可能距離を含む設定情報を前記設定端末から取得する設定情報取得部と、前記通信対象との間で通信する通信部と、を備え、前記通信部にて前記通信対象との間の接続を確立した後、前記距離情報取得部は、前記距離情報を取得し、前記通信部は、前記距離情報が前記設定情報に含まれる前記通信可能距離を満たさない場合に、前記通信対象との間の接続を切断し、前記設定端末は、前記設定情報をユーザ操作により指定するための設定画面をディスプレイに表示するプロセッサ、をさらに備え、前記プロセッサは、前記ディスプレイに表示された前記設定画面への前記ユーザ操作に基づいて、前記設定情報を取得して前記通信装置に送信し、前記通信装置の位置を起点として複数の四角形状ブロックのそれぞれが格子状に配列された扇形状の通信エリアマップ画像を含む前記設定画面を前記ディスプレイに表示し、前記通信エリアマップ画像を構成する1以上の前記四角形状ブロックの前記ユーザ操作による指定に基づいて、前記設定情報を取得する、通信システムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ユーザ操作により設定される接続可能エリアに位置する受信機との間で無線通信でき、ユーザ操作により設定される接続禁止エリアに位置する受信機との無線接続を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る無線通信システムのシステム構成例を示す図
【
図2】ミリ波送信機および設定コンピュータのそれぞれのハードウェア構成例を示すブロック図
【
図3】設定コンピュータで表示される通信エリア設定画面の一例を示す図
【
図4】実施の形態1に係るミリ波送信機の動作手順例を示すフローチャート
【
図5】設定コンピュータで表示される通信エリア設定画面の他の一例を示す図
【
図6】接続可能エリアの一部が重複し得る2台のミリ波送信機のそれぞれを対象とした通信エリア設定画面の一例を示す図
【
図7】設定コンピュータで表示される通信エリア設定画面の他の一例を示す図
【
図8】設定コンピュータで表示される通信エリア設定画面の他の一例を示す図
【
図9】設定コンピュータで表示される通信エリア設定画面の切替例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示に至る経緯)
特許文献1では、Wi-Fi(登録商標)等の無線LANを用いた無線通信が扱われているので、本来的には、送信機は自局からほぼ全方位に一様な距離以内に配置されている受信機との間で通信可能である。ところが、無線LANの使用を念頭にしてアクセスポイント等の送信機の設置事業者が通信可能エリアを設計してアクセスポイントを設置しても、周囲の無線環境の変動に基づく無線伝搬路の変化等によって意図しない受信機が接続されたり、あるいは本来的には接続して欲しい受信機が接続できなかったりする等の弊害があった。このため、設置事業者が想定していた通信性能をユーザ(言い換えると受信機)に提供することができないという課題があった。
【0011】
また、大容量のデータサイズを有するデータの高速な無線通信方式として、ミリ波帯(例えば60GHz帯)の周波数を用いた無線通信技術が知られている。ミリ波帯の電波は直進性が高い性質があり、ビームフォーミングの技術を用いることで無線通信エリアを柔軟に拡充できる。このように、ミリ波帯等の高周波数帯の無線通信を用いることでユーザに快適な通信性能を提供することが期待されているが、特許文献1ではこのような考慮はなされていない。
【0012】
そこで、以下の実施の形態1では、ユーザ操作により設定される接続可能エリアに位置する受信機との間で快適に無線通信し、ユーザ操作により設定される接続禁止エリアに位置する受信機との無線接続を抑制する通信システムの例を説明する。
【0013】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る通信装置、通信方法および通信システムを具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る無線通信システム1のシステム構成例を示すブロック図である。通信システムの一例としての無線通信システム1は、ミリ波送信機10と、1台以上のミリ波受信機30,40,50と、設定コンピュータ60とを含む構成である。なお、ミリ波受信機30~50は、無線通信システム1の構成に含まれなくてもよい。無線通信システム1は、例えばオフィス、店舗、複数の店舗が併設されたショッピングモール、あるいは図書館等の公的施設を対象としてシステム設置事業者等により配設される。
【0015】
通信装置の一例としてのミリ波送信機10は、例えば60GHz帯の高周波数帯の無線資源を用いて、ミリ波受信機30~50との間でデータ通信を実行可能である。また、ミリ波送信機10は、有線(例えば有線LANあるいはシリアル通信)あるいは無線(例えば無線LANあるいはBluetooth(登録商標))を介して設定コンピュータ60との間でデータ通信が可能に接続されている。なお、有線通信には、USB(Universal Serial Bus)ケーブルを介した通信が含まれてよい。以下、ミリ波送信機10と設定コンピュータ60とはLANケーブル等の有線で接続されているとして説明する。ミリ波送信機10および設定コンピュータ60の詳細なハードウェア構成例については、
図2を参照して後述する。
【0016】
ミリ波送信機10は、無線通信システム1の管理者(例えば、システム運営者あるいはシステム管理者。以下同様。)による設定コンピュータ60を用いた設定操作(
図3参照)により作成されたエリアパラメータ情報に従い、接続可能エリアAVL1,AVL2内に位置するステーション(例えばミリ波受信機30,50)との間でミリ波通信を行う。
【0017】
ここで、エリアパラメータ情報とは、例えばミリ波送信機10の位置を原点として距離および方位(方向のことで、後述するセクタID参照)により定められる、接続可能エリアならびに接続禁止エリアの範囲を示す情報と、ミリ波送信機10からの最大の通信可能距離を示す情報と、ミリ波送信機10からの最大の通信可能方向(角度)を示す情報とを含む。エリアパラメータ情報は、(距離,方位)を示す情報のうち少なくとも一方(例えば距離)により接続可能エリアならびに接続禁止エリアを規定する。エリアパラメータ情報は、設定コンピュータ60により生成されてミリ波送信機10に送られる。ミリ波送信機10は、このエリアパラメータ情報に従って、ミリ波通信を行う対象とするミリ波受信機を選別することで、ユーザの意図に沿った無線通信を行うことができる。
【0018】
一方、ミリ波送信機10は、上述したエリアパラメータ情報に従い、接続禁止エリアNAVL1内に位置するステーション(例えばミリ波受信機40)との間でミリ波通信を行わない。エリアパラメータ情報の作成に関する設定操作の詳細については、
図3を参照して後述する。
【0019】
ここで、接続可能エリアAVL1,AVL2は、ミリ波送信機10がミリ波通信を行うことの許可が設定されたエリア(範囲)を示す。接続禁止エリアNAVL1は、ミリ波送信機10がミリ波通信を行うことの使用禁止が設定されたエリア(範囲)を示す。接続可能エリアAVL1,AVL2および接続禁止エリアNAVL1は、上述したユーザのシステム運営方針あるいは周囲の電波を放射し得る電子機器(図示略)等の障害物の配置位置との関係に従って定義され、その領域を示すエリアパラメータ情報(上述参照)がユーザ操作に従って設定コンピュータ60により作成される。
【0020】
図1に示すように、ミリ波受信機30は接続可能エリアAVL1内に位置している。ミリ波送信機10は、ミリ波受信機30との間でデータ通信を行うために少なくとも1度は無線接続を確立し、この時にミリ波受信機30の位置を、ミリ波受信機30の距離および方位の算出結果(後述参照)により特定する。従って、ミリ波送信機10は、ミリ波受信機30の距離および方位の算出結果がエリアパラメータ情報の接続可能エリアを満たすと判定して、ミリ波受信機30との間でミリ波通信を行う。
【0021】
図1に示すように、ミリ波受信機40は接続禁止エリアNAVL1内に位置している。ミリ波送信機10は、ミリ波受信機40との間でデータ通信を行うために少なくとも1度は無線接続を確立し、この時にミリ波受信機40の位置を、ミリ波受信機40の距離および方位の算出結果(後述参照)により特定する。従って、ミリ波送信機10は、ミリ波受信機40の距離および方位の算出結果がエリアパラメータ情報の接続禁止エリアを満たす(接続可能エリアを満たさない)と判定して、ミリ波受信機40との間でミリ波通信を行えない。
【0022】
図1に示すように、ミリ波受信機50は接続可能エリアAVL2内に位置している。ミリ波送信機10は、ミリ波受信機50との間でデータ通信を行うために少なくとも1度は無線接続を確立し、この時にミリ波受信機50の位置を、ミリ波受信機50の距離および方位の算出結果(後述参照)により特定する。従って、ミリ波送信機10は、ミリ波受信機50の距離および方位の算出結果がエリアパラメータ情報の接続可能エリアを満たすと判定して、ミリ波受信機50との間でミリ波通信を行う。
【0023】
ここで、接続可能エリアAVL2は接続禁止エリアNAVL1に比べてミリ波送信機10の位置から離れて位置している。しかし、例えば60GHz帯のミリ波通信(送受信)では、ビームフォーミングを用いて任意の距離および方位(つまり、方向を示すセクタID)の通信相手(つまりミリ波受信機)との間でデータ通信を行える。これにより、ミリ波送信機10は、自装置(つまりミリ波送信機10)より手前側(近い側)に位置するミリ波受信機40との間ではミリ波通信を行えないが、例えばミリ波送信機10から見てミリ波受信機40と同一の方向DIR0に存在しながらも自装置(つまりミリ波送信機10)より遠い側に位置するミリ波受信機50との間ではミリ波通信を行うことができる。
【0024】
図2は、ミリ波送信機10および設定コンピュータ60のそれぞれのハードウェア構成例を示すブロック図である。ミリ波送信機10は、ミリ波送信制御デバイスD1およびミリ波アンテナデバイスD2の別体により構成されているが、ミリ波送信制御デバイスD1およびミリ波アンテナデバイスD2が一体化された構成でもよい。後者の構成の場合には、通信IF回路12と通信IF回路16とは一体化されてよい。以下、ミリ波送信制御デバイスD1とミリ波アンテナデバイスD2とはUSBケーブル等の有線で接続されているとして説明する。
【0025】
ミリ波送信制御デバイスD1は、プロセッサ11と、通信IF回路12と、メモリ13と、ストレージ14とを含む構成である。
【0026】
プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)あるいはFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構成される。プロセッサ11は、ミリ波送信制御デバイスD1(言い換えると、ミリ波送信機10)の各部の動作を制御する。プロセッサ11は、ミリ波送信制御デバイスD1の制御部として機能し、ミリ波送信制御デバイスD1の各部の動作を全体的に統括するための制御処理、ミリ波送信制御デバイスD1の各部との間のデータの入出力処理、データの演算(計算)処理およびデータの記憶処理を行う。プロセッサ11は、メモリ13内のROMに記憶されたプログラムの実行に従って動作する。
【0027】
設定情報取得部の一例としてのプロセッサ11は、ストレージ14に記憶されているエリアパラメータ情報を取得してストレージ14に保存する。また、プロセッサ11は、このエリアパラメータ情報を参照し、通信IF回路12,16を介して無線接続の処理を行った外部の無線接続端末(例えばミリ波受信機30~50)の位置(具体的には、ミリ波送信機10からの距離および方位)を算出して特定する。
【0028】
距離情報取得部の一例としてのプロセッサ11は、外部の無線接続端末までの距離を、ラウンドトリップ時間(RTT:Round Trip Time)により算出する。なお、プロセッサ11は、外部の無線接続端末までの距離を、RSSI(Received Signal Strength Indicator)等の受信電波強度を用いた所定の換算式により算出してもよい。
【0029】
方向情報取得部の一例としてのプロセッサ11は、ビームフォーミングにより方位ごとに指向性を走査しながら形成し、外部の無線接続端末から送られた無線信号(電波)の受信電波強度が最も強い方位を、外部の無線接続端末の方位として算出する。なお、外部の無線接続端末の位置(言い換えると、ミリ波送信機10からの距離および方位)の算出例は上述した方法に限定されない。
【0030】
また例えば、プロセッサ11は、その算出された結果を示す情報(具体的には、距離および方位を示すデータ)とエリアパラメータ情報との比較に基づいて、その外部の無線接続端末との間のミリ波を用いたデータ通信の可否を判定する。
【0031】
通信部の一例としての通信IF回路12は、ミリ波アンテナデバイスD2を介して外部の無線接続端末(例えばミリ波受信機30~50)との間で無線接続あるいはミリ波を用いたデータ通信(送受信)を行う。また、通信IF回路12は、有線LAN通信あるいはシリアル通信を介して設定コンピュータ60との間でデータ通信(送受信)を行う。なお、
図2では図示を簡略化するために、「インターフェース」を「IF」と略記している。
【0032】
メモリ13は、例えばRAM(Random Access Memory)とROM(Read Only Memory)とを含み、ミリ波送信制御デバイスD1(言い換えると、ミリ波送信機10)の動作の実行に必要なプログラム、動作中にプロセッサ11により生成されたデータあるいは情報を一時的に格納する。RAMは、例えばプロセッサ11の動作時に使用されるワークメモリである。ROMは、例えばプロセッサ11を制御するためのプログラムおよびデータを予め記憶する。
【0033】
ストレージ14は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリあるいはSSD(Solid State Drive)を用いて構成され、プロセッサ11により取得あるいは生成されたデータを記憶する。例えば、ストレージ14は、設定コンピュータ60により生成されたエリアパラメータ情報のデータを保存している。
【0034】
ミリ波アンテナデバイスD2は、無線制御プロセッサ15と、通信IF回路16と、無線アンテナ17とを含む構成である。
【0035】
無線制御プロセッサ15は、例えばCPU、DSPあるいはFPGAを用いて構成される。無線制御プロセッサ15は、ミリ波アンテナデバイスD2(言い換えると、ミリ波送信機10)の各部の動作を制御する。無線制御プロセッサ15は、ミリ波アンテナデバイスD2の制御部として機能し、ミリ波アンテナデバイスD2の各部の動作を全体的に統括するための制御処理、ミリ波アンテナデバイスD2の各部との間のデータの入出力処理、データの演算(計算)処理およびデータの記憶処理を行う。無線制御プロセッサ15は、ミリ波アンテナデバイスD2に内蔵されたROM(図示略)に記憶されたプログラムの実行に従って動作する。
【0036】
無線制御プロセッサ15は、プロセッサ11により算出された外部の無線接続端末(例えば接続可能エリアAVL1内に位置するミリ波受信機30)の位置を示す距離および方位を参照して、無線アンテナ17を用いて外部の無線接続端末(例えばミリ波受信機30)の位置に向けてビームフォーミングに基づく指向性を形成してその同一の外部の無線接続端末との間の無線接続を継続する。これにより、ミリ波送信機10は、例えば接続可能エリアAVL1内に位置するミリ波受信機30との間でビームフォーミングに基づくミリ波通信を行うことができる。
【0037】
無線制御プロセッサ15は、プロセッサ11により算出された外部の無線接続端末(例えば接続禁止エリアNAVL1内に位置するミリ波受信機40)の位置を示す距離および方位を参照して、外部の無線接続端末(例えばミリ波受信機40)との間の無線接続を切断する。これにより、ミリ波送信機10は、例えば接続禁止エリアNAVL1内に位置するミリ波受信機40との間のミリ波通信を行うことを中止できる。なお、ミリ波受信機40が移動可能であって接続禁止エリアNAVL1内から接続可能エリアAVL2内に移動した場合には、ミリ波送信機10は、接続可能エリアAVL2内に移動したミリ波受信機40との間の無線接続を行った後にそのミリ波受信機40との間でミリ波通信を行うことができる。
【0038】
通信部の一例としての通信IF回路16は、外部の無線接続端末(例えばミリ波受信機30~50)との間で無線接続あるいはミリ波を用いたデータ通信(送受信)を行う。また、通信IF回路16は、通信IF回路12との間でデータ通信(送受信)を行う。
【0039】
通信部の一例としての無線アンテナ17は、無線制御プロセッサ15の制御の下で所定の距離および方位に指向性を形成し、無線制御プロセッサ15により生成されたミリ波帯の無線信号を送信したり、無線接続中の外部の無線接続端末(例えばミリ波受信機30)から送信された無線信号を受信したりする。
【0040】
設定端末の一例としての設定コンピュータ60は、プロセッサ61と、通信IF回路62と、メモリ63と、ストレージ64と、ディスプレイ65とを含む構成である。設定コンピュータ60は、例えばユーザ(上述参照)のマウス等(図示略)の外部入力操作を受け付け可能なパーソナルコンピュータを用いて構成される。
【0041】
プロセッサ61は、例えばCPU、DSPあるいはFPGAを用いて構成される。プロセッサ61は、設定コンピュータ60の各部の動作を制御する。プロセッサ61は、設定コンピュータ60の制御部として機能し、設定コンピュータ60の各部の動作を全体的に統括するための制御処理、設定コンピュータ60の各部との間のデータの入出力処理、データの演算(計算)処理およびデータの記憶処理を行う。プロセッサ61は、メモリ63内のROMに記憶されたプログラムの実行に従って動作する。
【0042】
例えば、プロセッサ61は、通信IF回路62が受け付けたユーザ操作により、通信エリア設定画面(
図3、
図7、
図8あるいは
図9参照)で指定された接続可能エリアおよび接続禁止エリアのそれぞれの位置(範囲)を示すエリアパラメータ情報(設定情報の一例)を生成し、通信IF回路62を介してエリアパラメータ情報をミリ波送信機10に送る。
【0043】
通信IF回路62は、ユーザ操作によりマウス等の入力デバイス(図示略)から送られる操作信号を入力してプロセッサ61に送る。また、通信IF回路62は、ミリ波送信機10との間で有線あるいは無線を用いたデータ通信(送受信)を行う。例えば、通信IF回路62は、有線LAN通信あるいはシリアル通信を介してミリ波送信機10との間でデータ通信(送受信)を行う。
【0044】
メモリ63は、例えばRAMとROMとを含み、設定コンピュータ60の動作の実行に必要なプログラム、動作中にプロセッサ61により生成されたデータあるいは情報を一時的に格納する。RAMは、例えばプロセッサ61の動作時に使用されるワークメモリである。ROMは、例えばプロセッサ61を制御するためのプログラムおよびデータを予め記憶する。
【0045】
ストレージ64は、例えばHDD、フラッシュメモリあるいはSSDを用いて構成され、プロセッサ61により取得あるいは生成されたデータを記憶する。例えば、ストレージ64は、プロセッサ61により生成されたエリアパラメータ情報のデータを保存している。
【0046】
ディスプレイ65は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)あるいは有機EL(Electroluminescence)を用いて構成された表示デバイスである。ディスプレイ65は、ユーザ操作により、プロセッサ61から送られた通信エリア設定画面(
図3参照)を表示する。
【0047】
図3は、設定コンピュータ60で表示される通信エリア設定画面の一例を示す図である。通信エリア設定画面WD1は、ユーザ操作により、設定コンピュータ60のディスプレイ65に表示される。通信エリア設定画面WD1は、ミリ波送信機10がミリ波通信を行う対象となるミリ波受信機の位置として許される位置を、距離および方位の2つのパラメータにより指定する。具体的には、通信エリア設定画面WD1は、ミリ波送信機10の通信エリアとなる位置の指定が行われるエリア指定欄GRP1の表示領域と、ユーザ操作による指定をサポートする指定ツール欄GRR1の表示領域とを有する。なお、
図3には、2種類のエリア指定欄GRP1が表示されており、タブTB1,TB2の指定により指定されたタブに対応するエリア指定欄GRP1が表示される。
図3にはタブTB2に対応するエリア指定欄GRP1が表示されている。
【0048】
エリア指定欄GRP1は、アイコンIC1により示されるミリ波送信機10の位置を中心(言い換えると、二次元座標系の原点)とした扇形状の通信エリアにおいて、上述した接続可能エリアおよび接続禁止エリアのユーザ操作による指定を受け付ける。接続可能エリアおよび接続禁止エリアは、それぞれ(距離,方位)の2次元座標の形式で指定される。例えば、現在マウス等で選択(指定)されているエリアSEL1内の位置は、現在値データ表示欄DAT1により特定されている(229.9m,-44.1度)として示される。なお、“距離”はミリ波送信機10がミリ波通信可能な距離を示し、
図3のエリア指定欄GRP1で設定可能な距離は、例えば最大で264m程度としている。同様に、“方位”はミリ波送信機10が自身の位置から見てビームフォーミングによる指向性を形成可能な範囲(方向)を示し、
図3の例では最大で165度程度としている。
【0049】
扇形状の通信エリアにおいて、アイコンIC1の位置(つまり原点となる中心)から見て、“距離”は、半径方向の長さにより指定可能となる。例えば、半径方向の長さは12マスに区切られており、1マスは22m(=264÷12)を示す。なお、マス目の区切りが示す長さは22mに限定されず、ミリ波送信機10が可能となる送信距離あるいはマス目の数により適宜設定可能である。
【0050】
扇形状の通信エリアにおいて、“方位”は、計34本の方位線Sc0,Sc1,Sc2,…,Sc31,Sc32,Sc33のうち隣接する2本の方位線により特定される方位(5度間隔)を示すセクタIDにより指定可能となる。なお、“方位”は、アイコンIC1に対応するミリ波送信機10から見て正面方向DIR1が0度となる。例えば、アイコンIC1から見て、隣接する方位線Sc0,Sc1間の方向がセクタID=0として規定され、隣接する方位線Sc1,Sc2間の方向がセクタID=1として規定され、同様にして、隣接する方位線Sc31,Sc32間の方向がセクタID=31として規定され、隣接する方位線Sc32,Sc33間の方向がセクタID=32として規定される。いずれのセクタIDも5度刻みで設けられている。つまり、セクタIDは、ミリ波送信機10の位置からの方位を示すパラメータとなる。
【0051】
例えば
図3では、ユーザ指定エリアAPR1,APR2,APR3,APR4,APR5を示す(距離,方位)が接続可能エリアとしてユーザ操作により指定されることで、設定コンピュータ60は、ユーザ指定エリアAPR1を接続可能エリアとして設定するためのエリアパラメータ情報を生成する。言い換えると、設定コンピュータ60は、ユーザ指定エリアAPR1,APR2,APR3,APR4,APR5以外のエリア(つまり、ユーザ操作により指定されなかったエリア)を接続禁止エリアとして設定するためのエリアパラメータ情報を生成する。
【0052】
指定ツール欄GRR1は、エリア指定欄GRP1でのユーザの指定操作を補助するための各種のツールのアイコンを表示する。各種のツールのアイコンには、全選択アイコンSA1と、全クリアアイコンCA1と、リセットアイコンRS1と、描画アイコンPC1と、消しゴムアイコンER1と、反映アイコンRFL1とが配置されている。
【0053】
全選択アイコンSA1は、エリア指定欄GRP1での通信エリアの全エリアを接続可能エリアとして一括選択する場合にユーザ操作により指定される。
【0054】
全クリアアイコンCA1は、エリア指定欄GRP1での通信エリアの現在選択されているエリアを全てクリアにする場合にユーザ操作により指定される。
【0055】
リセットアイコンRS1は、エリア指定欄GRP1での通信エリアの直前に1回分の接続可能エリアとしての選択をリセットする場合にユーザ操作により指定される。
【0056】
描画アイコンPC1は、エリア指定欄GRP1での通信エリアに対して任意のエリアが接続可能エリアとして描画されて選択される際にユーザ操作により指定される。接続可能エリアの候補として選択されたが接続可能エリアとして確定されていないエリア(例えばエリアSEL1)は、例えば確定された接続可能エリア(例えばユーザ指定エリアAPR1)を示す色とは異なる色で識別可能に表示されてよい。
【0057】
消しゴムアイコンER1は、エリア指定欄GRP1での通信エリアのうちユーザ操作により描画されて選択された接続可能エリアの候補がユーザ操作により削除される際に指定される。接続可能エリアから削除されるエリアの候補(例えばエリアDEL1)は、例えば確定された接続可能エリア(例えばユーザ指定エリアAPR1)および接続可能エリアの候補として選択中のエリア(例えばエリアSEL1)を示す色とは異なる色で識別可能に表示されてよい。
【0058】
反映アイコンRFL1は、現在接続可能エリアの候補として選択されたエリア(例えばエリアSEL1)、接続可能エリアから削除されるエリアの候補(例えばエリアDEL1)への設定反映を指示する際にユーザ操作により指定される。つまり、現在接続可能エリアの候補として選択されたエリア(例えばエリアSEL1)は、ユーザ操作により反映アイコンRFL1が押下(指定)されて初めてプロセッサ61により確定された接続可能エリアとして設定され、このエリアの範囲を示す(距離,方位)がエリアパラメータ情報に登録される。同様に、接続可能エリアから削除されるエリアの候補(例えばエリアDEL1)は、ユーザ操作により反映アイコンRFL1が押下(指定)されて初めてプロセッサ61により接続可能エリアから除外され、このエリアの範囲を示す(距離,方位)がエリアパラメータ情報から削除される。
【0059】
次に、実施の形態1に係る無線通信システム1のミリ波送信機10の動作手順例について、
図4を参照して説明する。
図4は、実施の形態1に係るミリ波送信機10の動作手順例を示すフローチャートである。
図4の説明の前提として、設定コンピュータ60によりミリ波送信機10がミリ波通信を許可するミリ波受信機の位置(言い換えると、接続可能エリアのエリアパラメータ情報)は既に生成されてミリ波送信機10において受け取られて設定されている。
【0060】
図4において、ミリ波送信機10は、無線接続端末(つまりミリ波受信機)との間の無線接続を完了し、その無線接続端末から送られた無線信号を受信する(St1)。ミリ波送信機10は、外部の無線接続端末(例えばミリ波受信機30~50)の位置(具体的には、ミリ波送信機10からの距離および方位)を算出して特定する(St2)。例えば、ミリ波送信機10は、外部の無線接続端末までの距離をラウンドトリップ時間(RTT)により算出し、ビームフォーミングにより方位ごとに指向性を走査して受信電波強度が最も強い方位をその無線接続端末の方位として算出する。
【0061】
なお、設定コンピュータ60がミリ波送信機10と有線等で接続されて通信エリア設定画面WD2が設定コンピュータ60で表示されている場合(
図5参照)、ミリ波送信機10は、ステップSt2で算出された無線接続端末の位置を示すアイコンSTA1あるいはアイコンSTA2の表示指示を設定コンピュータ60に送ってよい(St2a)。設定コンピュータ60は、ミリ波送信機10からの表示指示に基づいて、通信エリア設定画面WD2のエリア指定欄GRP1の扇形状の通信エリア上の対応位置に重畳して表示する。これにより、ユーザは、通信エリア設定画面WD2を目視するだけで無線接続したばかりの無線接続端末(つまりミリ波受信機)の位置を簡易かつ迅速に把握できる。なお、ステップSt2aの処理は省略されてもよい。
【0062】
ミリ波送信機10は、ステップSt2で算出された(距離,方位)が設定コンピュータ60により生成されたエリアパラメータ情報に含まれるか(言い換えると、ステップSt1で無線接続した無線接続端末が接続可能エリアにいるか否か)を判定する(St3)。ミリ波送信機10は、無線接続端末が接続可能エリアにいないと判定した場合には(St3、YES)、ステップSt1で無線接続した無線接続端末(つまりミリ波受信機)との間の無線接続を切断する(St4)。これにより、ミリ波送信機10は、設定コンピュータ60により生成された接続禁止エリア(例えば接続禁止エリアNAVL1)内に位置いるミリ波受信機(例えばミリ波受信機40)との間でミリ波通信を行うことを回避できる。
【0063】
一方、無線接続端末が接続可能エリアにいると判定された場合には(St3、NO)、ミリ波送信機10は、接続可能エリア(例えば接続可能エリアAVL1)内に位置するミリ波受信機(例えばミリ波受信機30)との間でミリ波通信用の無線接続を許可すると判定する(St5)。ミリ波送信機10は、接続可能エリア(例えば接続可能エリアAVL1)内に位置するミリ波受信機(例えばミリ波受信機30)との間でミリ波通信を行うまたは継続する(St6)。なお、ステップSt6の後のミリ波送信機10の処理はステップSt1に戻り、無線接続中の無線接続端末が接続可能エリアにいないと判定されるまでステップSt2~ステップSt6までの処理が繰り返される。
【0064】
図5は、設定コンピュータ60で表示される通信エリア設定画面の他の一例を示す図である。
図5の説明において、
図3の要素と同一の要素については同一の符号を付与して説明を簡略化あるいは省略し、異なる内容について説明する。
【0065】
図5の通信エリア設定画面WD2は、
図3の通信エリア設定画面WD1と同様に、ユーザ操作により、設定コンピュータ60のディスプレイ65に表示される。
図5の通信エリア設定画面WD2では、設定コンピュータ60は、ミリ波送信機10からの表示指示(ステップSt2a参照)に従い、ミリ波送信機10と無線接続中(ステップSt1参照)の無線接続端末の位置を示すアイコンSTA1あるいはアイコンSTA2を通信エリア設定画面WD2のエリア指定欄GRP1の扇形状の通信エリア上の対応位置に重畳して表示する。さらに、設定コンピュータ60は、現在無線接続中の無線接続端末(つまりミリ波受信機)に関する通信環境情報を示す通信環境情報テーブルRXTBL1を指定ツール欄GRR1内に表示する。
【0066】
通信環境情報テーブルRXTBL1は、ミリ波送信機10と無線接続中の無線接続端末(つまりミリ波受信機)ごとに、MAC(Media Access Control)アドレス、RSSIおよびMCS(Modulation and Coding Scheme)のペアを示すレコードが保存されている。
【0067】
設定コンピュータ60は、例えばミリ波送信機10に無線接続したばかりの無線接続端末がアイコンSTA1である場合、アイコンSTA1の位置はユーザ指定エリアAPR2(言い換えると、接続可能エリア)内であるためアイコンSTA1の表示を、対応する無線接続端末が無線接続中である限り継続する。一方、設定コンピュータ60は、例えばミリ波送信機10に無線接続したばかりの無線接続端末がアイコンSTA2である場合、アイコンSTA1の位置はユーザ指定エリアではないエリア(言い換えると、接続禁止エリア)内であるためアイコンSTA2の表示を、一定の表示期間(例えば5秒)あるいは通信エリア設定画面WD2の表示更新期間(例えば1秒)が経過した後に非表示する。
【0068】
なお、設定コンピュータ60は、例えばミリ波送信機10に無線接続したばかりの無線接続端末がアイコンSTA2である場合、アイコンSTA2の位置は接続禁止エリア内であるがアイコンSTA2の表示を継続してもよい。これにより、ユーザは、現在接続禁止エリア内に無線接続中である無線接続端末(つまりミリ波受信機)の数を把握できるので、例えば一定数いる場合にその接続禁止エリアを接続可能エリアに切り替えるための設定変更を動的に行うことができて快適なミリ波通信の実現が可能となる。
【0069】
図6は、接続可能エリアの一部が重複し得る2台のミリ波送信機のそれぞれを対象とした通信エリア設定画面の一例を示す図である。
図6では、
図3の通信エリア設定画面WD1あるいは
図5の通信エリア設定画面WD2のうち、矩形状の通信エリアが規定されたエリア指定欄GRP2が抜粋して示されている。矩形状の通信エリアの対向する一対の頂点部分には、ミリ波送信機10と同一の構成を有する2台のミリ波送信機(例えばアクセスポイントAP1,AP2)を示すアイコンが配置されている。それぞれのアクセスポイントAP1,AP2には、同様に扇形状の通信エリアAR1,AR2の設定が2通り可能である。
【0070】
設定コンピュータ60、あるいは設定コンピュータ60と同一のハードウェア構成を有する管理サーバ60Aは、ユーザによる
図6のエリア指定欄GRP2への操作に応じて、1つの画面(つまりエリア指定欄GRP2)で複数のアクセスポイントAP1,AP2のそれぞれの通信エリアを設定することができる。なお上述したように、管理サーバ60Aのハードウェア構成は設定コンピュータ60のハードウェア構成(
図2参照)と同一であるため、管理サーバ60Aのハードウェア構成の図示ならびに対応する構成の説明は省略する。管理サーバ60Aは、例えばアクセスポイントAP1,AP2と通信可能に接続されている。また、以下の説明を簡単にするためにアクセスポイントの数は2つを例示するが、3つ以上のアクセスポイントのそれぞれの通信エリアの設定も同様に可能である。
【0071】
図6に示すように、設定コンピュータ60あるいは管理サーバ60Aは、複数のアクセスポイントAP1,AP2のそれぞれから各自の通信エリアが規定されたエリアパラメータ情報を取得してメモリ63あるいはストレージ64に保持する。また、設定コンピュータ60あるいは管理サーバ60Aは、複数のアクセスポイントAP1,AP2のそれぞれの位置情報をメモリ63あるいはストレージ64に保持しており、複数のアクセスポイントAP1,AP2のそれぞれのエリアパラメータ情報および位置情報を用いて、
図6のエリア指定欄GRP2を作成してディスプレイ65に表示する。
【0072】
第1の設定例では、設定コンピュータ60あるいは管理サーバ60Aは、
図6のエリア指定欄GRP2へのユーザ操作により、複数のアクセスポイントAP1,AP2のそれぞれの通信エリアを一画面(つまりエリア指定欄GRP2)で一括設定することができる。例えば、ユーザ操作により重複エリアAR0が接続可能エリアに指定された場合、設定コンピュータ60あるいは管理サーバ60Aは、複数のアクセスポイントAP1,AP2のそれぞれのエリアパラメータ情報において、重複エリアAR0を接続可能エリアに一括して設定変更する。同様に、ユーザ操作により重複エリアAR0が接続禁止エリアに指定された場合、設定コンピュータ60あるいは管理サーバ60Aは、複数のアクセスポイントAP1,AP2のそれぞれのエリアパラメータ情報において、重複エリアAR0を接続禁止エリアに一括して設定変更する。なお、通信エリアAR1,AR2のそれぞれで重複エリアAR0を除くエリア内には、
図3あるいは
図5を参照して説明したように、ユーザ操作により接続可能エリアあるいは接続禁止エリアが個別に設定されてよい。これにより、ユーザは、複数のアクセスポイントAP1、AP2のそれぞれを使用しているエリア内で直感的かつ視覚的に接続可能エリアあるいは接続禁止エリアを決定することができる。
【0073】
第2の設定例では、設定コンピュータ60あるいは管理サーバ60Aは、
図6のエリア指定欄GRP2へのユーザ操作により、複数のアクセスポイントAP1,AP2のそれぞれの通信エリアを一画面(つまりエリア指定欄GRP2)で個別設定することができる。例えば、設定コンピュータ60あるいは管理サーバ60Aは、通信エリアAR1内の重複エリアAR0、通信エリアAR2内の重複エリアAR0のそれぞれが接続可能エリアあるいは接続禁止エリアのいずれかを指定させるための選択肢(例えばプルダウン形式の選択肢)をエリア指定欄GRP2に表示する。設定コンピュータ60あるいは管理サーバ60Aは、ユーザ操作の指定結果を受け、アクセスポイントAP1,AP2のそれぞれのエリアパラメータ情報において、通信エリアAR1内の重複エリアAR0を接続可能エリアあるいは接続禁止エリアに個別設定変更するとともに、通信エリアAR2内の重複エリアAR0を接続可能エリアあるいは接続禁止エリアに個別設定変更する。なお、通信エリアAR1,AR2のそれぞれで重複エリアAR0を除くエリア内には、
図3あるいは
図5を参照して説明したように、ユーザ操作により接続可能エリアあるいは接続禁止エリアが個別に設定されてよい。これにより、ユーザは、例えば人が多い場所と少ない場所とにそれぞれ配置されるアクセスポイントにおいて、重複エリアAR0で人が多いアクセスポイント(つまり接続中のミリ波受信機等の無線接続端末数が多いアクセスポイント)を接続禁止エリアと設定でき、同様に、重複エリアAR0で人が少ないアクセスポイント(つまり接続中のミリ波受信機等の無線接続端末数が少ないアクセスポイント)を接続可能エリアと設定できる。従って、アクセスポイントと接続する無線接続端末数の偏りが発生することを抑圧できて、それぞれのアクセスポイントAP1,AP2の接続数が平準化されて無線通信の効率化が図られる。
【0074】
以上により、実施の形態1に係るミリ波送信機10は、通信対象(例えばミリ波受信機30~50)との距離を示す距離情報をプロセッサ11において取得し、通信可能距離を含む設定情報(例えばエリアパラメータ情報)をプロセッサ11において取得し、通信対象との間で通信IF回路16および無線アンテナ17において通信する。通信対象との間の接続を確立した後、ミリ波送信機10は、ミリ波送信機10から少なくとも通信対象までの距離情報を取得し、距離情報が設定情報に含まれる通信可能距離を満たさない場合に、通信対象との間の接続を切断する。
【0075】
これにより、ミリ波送信機10は、ユーザ操作により設定される設定情報を満たす受信機(例えば接続可能エリアに位置するミリ波受信機)との間で快適に無線通信でき、一方で、ユーザ操作により設定される設定情報を満たす受信機(例えば接続禁止エリアに位置するミリ波受信機)との無線接続を抑制できる。従って、無線通信システム1の設置事業者が想定していた通信性能を利用者に快適に提供できる。
【0076】
また、ミリ波送信機10は、通信対象への向きを示す方向情報をプロセッサ11において取得する。設定情報は、通信可能方向をさらに含む。通信対象との間の接続を確立した後、ミリ波送信機10は、方向情報を取得し、方向情報が設定情報に含まれる通信可能方向と一致しない場合に、通信対象との間の接続を切断する。これにより、ミリ波送信機10は、ミリ波送信機10からの(距離,方位)の2つの情報に基づいて特定される接続可能エリア内のミリ波受信機との間でミリ波通信を行え、さらに、同2つの情報に基づいて特定される接続禁止エリア内のミリ波受信機との間でミリ波通信の実行を回避できる。
【0077】
また、ミリ波送信機10は、ミリ波帯の周波数を用いたビームフォーミングに基づく無線信号の送受を介して通信対象との間で通信する。これにより、ミリ波送信機10は、Wi-fi(登録商標)の様に送信機から一様な範囲(例えば円形状の範囲)にわたって均等に無線接続が可能となる無線通信の形態ではなく、距離および方位を用いたビームフォーミングによりピンポイントにユーザの意図に沿う接続可能エリア内のミリ波受信機との間でミリ波通信できる。
【0078】
また、ミリ波送信機10は、ミリ波送信機10を基準にして通信可能方向に位置しかつ通信可能距離を満たさない第1距離(例えば
図1のミリ波送信機10からミリ波受信機40までの距離)離れた位置に位置する第1の通信対象(例えばミリ波受信機40)との間で接続を確立した場合、第1の通信対象との間の接続を切断する。一方で、ミリ波送信機10は、ミリ波送信機10を基準にして同一の通信可能方向に位置しかつ通信可能距離を満たすとともに上述した第1距離より大きい第2距離(例えば
図1のミリ波送信機10からミリ波受信機50までの距離)離れた位置に位置する第2の通信対象(例えばミリ波受信機50)との間で接続を確立した場合、第2の通信対象との間で通信する。これにより、ミリ波送信機10は、(距離,方位)の2つのパラメータを用いたビームフォーミングにより、自身から近くに位置するミリ波受信機40との間でのミリ波通信を実行せずに、自身から遠くに位置するミリ波受信機50との間でミリ波通信を実行できる。従って、Wi-fi(登録商標)のように一律に一様な距離範囲内に位置する受信機とは無線接続してしまうことが発生せず、意図しない受信機との無線接続を回避でき、システム設計事業者の意図に適する無線通信の実現が可能となる。
【0079】
また、ミリ波送信機10は、通信対象との間での接続の確立に際して通信IF回路16が送受する無線信号のラウンドトリップ時間に基づいて、距離情報を算出して取得する。これにより、ミリ波送信機10は、通信対象までの距離を正確に算出できる。
【0080】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0081】
なお、上述した実施の形態1では、設定コンピュータ60のプロセッサ61は、通信エリア設定画面の一例として、
図3の通信エリア設定画面WD1を表示すると例示したが、
図7、
図8あるいは
図9に示す通信エリア設定画面を表示してもよい。以下、
図7、
図8および
図9のそれぞれを参照して通信エリア設定画面のバリエーション例を説明する。
【0082】
図7および
図8は、設定コンピュータ60で表示される通信エリア設定画面の他の一例を示す図である。
図9は、設定コンピュータ60で表示される通信エリア設定画面の切替例を示す図である。
図8および
図9の説明において、
図7の要素と重複する要素には同一の符号を付与して説明を簡略化あるいは省略し、異なる内容について説明する。また、
図7~
図9の説明において、
図3の要素と重複する要素には
図3の説明が同様に適用される。
【0083】
通信エリア設定画面WD2は、例えばカーソルCR1を用いたユーザ操作により、設定コンピュータ60のディスプレイ65に表示される。通信エリア設定画面WD2は、通信エリア設定画面WD1と同様に、ミリ波送信機10がミリ波通信を行う対象となるミリ波受信機の位置として許される位置を、距離および方位の2つのパラメータにより指定する。具体的には、通信エリア設定画面WD2は、ミリ波送信機10の通信エリアとなる位置の指定が行われる扇形状の通信エリアマップ画像FN1と、ユーザ操作による指定をサポートする指定ツール表示欄GRR2と、通信エリアマップ詳細欄DTL1とを有する。
【0084】
先ず、
図3の通信エリア設定画面WD1で示される、通信エリアマップ画像FN1と対応する同じ扇形状の通信エリアマップ画像は、ミリ波送信機10の位置を示すアイコンIC1を起点とした扇形状の枠線により囲まれる面積のエリアと一致するように、複数の四角形状ブロックのそれぞれが放射状に配列された放射状グリッドとして構成されている。これにより、ユーザは、ミリ波送信機10の位置を示すアイコンIC1から放射状に延在している任意の四角形状ブロックを指定することで、簡易に接続可能エリアあるいは接続禁止エリアのエリアパラメータ情報を指定できる。
【0085】
一方、
図7の通信エリアマップ画像FN1は、ミリ波送信機10の位置を示すアイコンIC2を起点とした扇形状の枠線により囲まれる面積のエリアを囲むように、複数の四角形状ブロックMSM1のそれぞれが格子状に配列された格子状グリッドとして構成されている。これにより、ユーザは、ミリ波送信機10の位置を示すアイコンIC2から格子状に延在している任意の四角形状ブロックを指定することで、接続可能エリアあるいは接続禁止エリアのエリアパラメータ情報をより直感的に指定できる。特に、
図3の放射状グリッドの場合には、四角形状ブロックの大きさがアイコンIC1からの距離が遠くなる程大きくなる等均一とならず、ユーザが直感的に指定する際の支障となる可能性があった。しかし、
図7の格子状グリッドによれば、アイコンIC2からの距離に拘わらず、四角形状ブロックMSM1の大きさが均一となるので、ユーザが直感的に指定することが可能となる。
【0086】
なお、
図7には、エリアパラメータ情報の設定対象となるミリ波送信機10(例えばアクセスポイント)ごとに通信エリアマップ画像を表示可能に表示され、タブTB3,TB4,TB5の指定により指定されたタブに対応する通信エリアマップ画像が表示される。
図7にはタブTB3に対応する通信エリアマップ画像FN1が表示されている。
【0087】
通信エリアマップ画像FN1は、アイコンIC2により示されるミリ波送信機10の位置を中心(言い換えると、二次元座標系の原点)とした扇形状の通信エリアにおいて、上述した接続可能エリアおよび接続禁止エリアのユーザ操作による指定を受け付ける。接続可能エリアおよび接続禁止エリアは、それぞれ(距離,方位)の2次元座標の形式で指定される。例えば、現在カーソルCR1で指定されているユーザ指定エリアAPR11内に位置しているミリ波受信機(「STA1」と表記)を示すアイコンIC3の位置は、現在値データ表示欄DAT2により特定されている(273.9m,37.5度)として示される。また、ユーザ操作により、他のミリ波受信機(「STA2」と表記)を示すアイコンIC4と、他のミリ波受信機(「STA3」と表記)を示すアイコンIC5とが配置されているが、これらのミリ波受信機はユーザ指定エリアAPR11内には配置されていない。
【0088】
なお、“距離”はミリ波送信機10がミリ波通信可能な距離を示す。同様に、“方位”はミリ波送信機10が自身の位置から見てビームフォーミングによる指向性を形成可能な範囲(方向)を示す。また、
図7の通信エリアマップ画像FN1は100%の表示倍率で表示されているが、カーソルCR1を用いたスケーラSCL1へのユーザ操作によって適宜、表示倍率が変更されても構わない。
【0089】
指定ツール表示欄GRR2内の描画アイコンPC2は、
図3の描画アイコンPC1と同様に、通信エリアマップ画像FN1に対して任意の1以上の四角形状ブロックからなるエリア(例えばユーザ指定エリアAPR11)が接続可能エリアとして描画されて選択される際にユーザ操作により指定される。また、指定ツール表示欄GRR2内の消しゴムアイコンER2は、
図3の消しゴムアイコンER1と同様に、通信エリアマップ画像FN1のうちユーザ操作により描画されて選択された接続可能エリアの候補がユーザ操作により削除される際に指定される。また、指定ツール表示欄GRR2内の反映アイコンRFL2は、
図3の反映アイコンRFL1と同様に、現在接続可能エリアの候補として選択されているエリア(例えばユーザ指定エリアAPR11)を接続可能エリアに設定反映を指示する際にユーザ操作により指定される。
【0090】
また、設定コンピュータ60のプロセッサ61は、ユーザ操作により、通信エリアマップ画像FN1の背景に、アイコンIC2により特定されるミリ波送信機10の配置地点を含む地図等のマップデータMAP1を表示した通信エリア設定画面WD2を表示してもよい(
図8参照)。具体的には、プロセッサ61は、ユーザ操作に基づいて、マップデータMAP1に通信エリアマップ画像FN1を重畳した通信エリア設定画面WD2をディスプレイ65に表示する。マップデータMAP1が視認性の良くない画像(例えば暗い画像)である場合もある。このため、プロセッサ61は、通信エリアマップ画像FN1をマップデータMAP1に重畳する際、通信エリアマップ画像FN1に相当するエリアを明るく(言い換えると、マップデータMAP1に比べてコントラストを有するように色反転する等して)通信エリアマップ画像FN1を通信エリア設定画面WD2に表示する。これにより、ユーザは、ミリ波送信機10の配置地点あるいはその周囲の地図が判明可能なマップデータMAP1を見ながら、接続可能エリアあるいは接続禁止エリアを通信エリアマップ画像FN1の視認性の良い状態で簡易に指定でき、ユーザの操作性が向上する。特に、通信エリアマップ画像FN1の背景に視認性の良好なマップデータMAP1が表示されることで、ユーザは、自ら指定した四角形状ブロックMSM1の位置が実際のどの地点であるかを視覚的に把握しながら効率的にエリアパラメータ情報を指定できる。
【0091】
なお、プロセッサ61は、ユーザ操作により、
図8に示すマップデータMAP1の表示のオンオフを切り替えて通信エリア設定画面WD2を表示してもよい。これにより、ユーザは、ミリ波送信機10のアイコンIC2の配置地点あるいはその周囲を既に知っている場合等には、マップデータMAP1を非表示とした状態でエリアパラメータ情報を指定できる。
【0092】
また、設定コンピュータ60のプロセッサ61は、ユーザ操作により、タブTB3,TB4,TB5のいずれかが指定されると、その指定に対応した通信エリア設定画面を切り替えて表示してもよい(
図9参照)。例えば
図9のタブTB3に対応する通信エリア設定画面WD2Aでは、通信エリアマップ画像FN1において、アイコンIC11により特定される第1のミリ波送信機に対応するユーザ指定エリアAPR12が指定されている。アイコンIC3により特定されるミリ波受信機(「STA1」と表記)はユーザ指定エリアAR12内に配置されているが、アイコンIC4,IC5のそれぞれにより特定されるミリ波受信機(「STA2」,「STA3」と表記)はユーザ指定エリアAR12内に配置されていない。
【0093】
また、
図9のタブTB4に対応する通信エリア設定画面WD2Bでは、通信エリアマップ画像FN2において、アイコンIC12により特定される第2のミリ波送信機に対応するユーザ指定エリアAPR13が指定されている。アイコンIC3,IC4のそれぞれにより特定されるミリ波受信機(「STA1」,「STA2」と表記)はユーザ指定エリアAR13内に配置されていない。
【0094】
プロセッサ61は、タブTB5に対応する通信エリア設定画面WD2Cにおいて、タブTB3に対応する通信エリアマップ画像FN1およびユーザ指定エリアAPR12とタブTB4に対応する通信エリアマップ画像FN2およびユーザ指定エリアAPR13とを足し合わせた通信エリアマップ画像を表示する。この時、プロセッサ61は、ユーザ操作により指定されたいずれか1つの通信エリアマップ画像(例えば通信エリアマップ画像FN1)を有効(アクティブ)に表示し、他の1つ以上の通信エリアマップ画像(例えば通信エリアマップ画像FN2)を非有効(ノンアクティブ)に表示する。なお、ユーザ指定エリアAPR12,APR13に重複するエリアRPT1が存在する場合には、プロセッサ61は、そのエリアRPT1をそれぞれのユーザ指定エリアAPR12,APR13よりも識別可能に(例えば色濃く)表示してよい。これにより、ユーザは、複数のミリ波送信機10のそれぞれに関する接続可能エリアあるいは接続禁止エリアを一度に把握できて、効率的なエリアパラメータ情報の指定を可能にできる。
【0095】
このように、設定コンピュータ60は、設定情報(例えば上述したエリアパラメータ情報)をユーザ操作により指定するための設定画面(例えば通信エリア設定画面WD2)をディスプレイ65に表示するプロセッサ61をさらに備える。プロセッサ61は、ディスプレイ65に表示された設定画面へのユーザ操作に基づいて、設定情報を取得して通信装置(例えばミリ波送信機10)に送信する。これにより、ユーザはディスプレイ65に表示された通信エリア設定画面WD2を見ながら簡単かつ直感的に設定情報を指定できる。
【0096】
また、プロセッサ61は、通信装置(例えばミリ波送信機10)の位置を起点として複数の四角形状ブロックのそれぞれが放射状に配列された扇形状の通信エリアマップ画像を含む設定画面(例えば
図3の通信エリア設定画面WD1)をディスプレイ65に表示する。プロセッサ61は、通信エリアマップ画像を構成する1以上の四角形状ブロックのユーザ操作による指定に基づいて、設定情報を取得する。これにより、ユーザは、ミリ波送信機10の位置を示すアイコンIC1から放射状に延在している任意の四角形状ブロックを指定することで、簡易に接続可能エリアあるいは接続禁止エリアのエリアパラメータ情報を指定できる。
【0097】
また、プロセッサ61は、通信装置(例えばミリ波送信機10)の位置を起点として複数の四角形状ブロックのそれぞれが格子状に配列された扇形状の通信エリアマップ画像FN1を含む設定画面(例えば
図7の通信エリア設定画面WD2)をディスプレイ65に表示する。プロセッサ61は、通信エリアマップ画像FN1を構成する1以上の四角形状ブロックMSM1のユーザ操作による指定に基づいて、設定情報を取得する。これにより、ユーザは、ミリ波送信機10の位置を示すアイコンIC2から格子状に延在している任意の四角形状ブロックを指定することで、接続可能エリアあるいは接続禁止エリアのエリアパラメータ情報をより直感的に指定できる。
【0098】
また、プロセッサ61は、ユーザ操作により選択されたマップデータMAP1を設定画面(例えば通信エリア設定画面WD2)に重畳してディスプレイ65に表示する。これにより、ユーザは、ミリ波送信機10の配置地点あるいはその周囲の地図が判明可能なマップデータMAP1を見ながら、接続可能エリアあるいは接続禁止エリアを通信エリアマップ画像FN1の視認性の良い状態で簡易に指定でき、ユーザの操作性が向上する。
【0099】
また、通信装置(例えばミリ波送信機10)が複数設けられてもよい。プロセッサ61は、複数の通信装置(例えばミリ波送信機10)のそれぞれに対応する設定画面(例えば通信エリア設定画面WD2A,WD2B)を配置した複合設定画面(例えば通信エリア設定画面WD2C)をディスプレイ65に表示する。これにより、ユーザは、複数のミリ波送信機10のそれぞれに関する接続可能エリアあるいは接続禁止エリアを一度に把握できて、効率的なエリアパラメータ情報の指定を可能にできる。
【0100】
なお、本出願は、2019年12月27日出願の日本特許出願(特願2019-239223)および2020年11月4日出願の国際特許出願(PCT/JP2020/41255)に基づくものであり、それらの内容は本出願の中に参照として援用される。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本開示は、ユーザ操作により設定される接続可能エリアに位置する受信機との間で快適に無線通信し、ユーザ操作により設定される接続禁止エリアに位置する受信機との無線接続を抑制する通信装置、通信方法および通信システムとして有用である。
【符号の説明】
【0102】
1 無線通信システム
10 ミリ波送信機
11、61 プロセッサ
12、16、62 通信IF回路
13、63 メモリ
14、64 ストレージ
15 無線制御プロセッサ
17 無線アンテナ
30、40、50 ミリ波受信機
60 設定コンピュータ
65 ディスプレイ
AVL、AVL2 接続可能エリア
D1 ミリ波送信制御デバイス
D2 ミリ波アンテナデバイス
NAVL1 接続禁止エリア