(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0631 20230101AFI20230630BHJP
G06Q 10/0639 20230101ALI20230630BHJP
【FI】
G06Q10/0631
G06Q10/0639
(21)【出願番号】P 2023045984
(22)【出願日】2023-03-22
(62)【分割の表示】P 2021206466の分割
【原出願日】2021-12-20
【審査請求日】2023-03-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517135833
【氏名又は名称】Telexistence株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134094
【氏名又は名称】倉持 誠
(72)【発明者】
【氏名】富岡 仁
(72)【発明者】
【氏名】佐野 元紀
(72)【発明者】
【氏名】小林 伴之
(72)【発明者】
【氏名】立花 匠
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-141563(JP,A)
【文献】国際公開第2020/003616(WO,A1)
【文献】特開平9-102003(JP,A)
【文献】特開2021-144575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエリアを含む作業場で作業を行う作業者の、前記複数のエリアそれぞれにおける滞在時間を示す情報を取得する取得部と、
前記滞在時間に基づいて、前記複数のエリアそれぞれで行われる前記作業の作業時間を示す作業実態データを算出する算出部と、
前記作業実態データに基づいて、複数の前記作業のうち、行われる時間帯を他の時間帯に変更可能な変更可能作業と、前記他の時間帯とを特定する特定部と、
前記変更可能作業と、前記他の時間帯とを関連付けて出力する出力部と、
複数の作業それぞれが行われる時間帯を示す作業スケジュールを記憶した記憶部と、
を有する、情報処理装置であって、
前記特定部は、複数の前記作業のうち、前記記憶部に記憶された前記作業スケジュールにおいて特定の時間帯に行われることが決められていない前記作業を、前記変更可能作業として特定する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記他の時間帯は、前記作業実態データが、前記作業者が前記作業を行っていないことを示す時間帯である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記作業の対象物が前記作業場に搬入される搬入スケジュールを示す情報を取得し、
前記特定部はさらに、前記搬入スケジュールに基づいて、前記変更可能作業を特定する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記出力部はさらに、前記変更可能作業を前記他の時間帯に変更することにより削減される、前記作業者の数と、前記作業者の人件費と、のうち少なくとも1つを示す情報を出力する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
記憶部とプロセッサとを有する情報処理装置の前記プロセッサが実行する情報処理方法であって、
複数のエリアを含む作業場で作業を行う作業者の、前記複数のエリアそれぞれにおける滞在時間を示す情報を取得するステップと、
前記滞在時間に基づいて、前記複数のエリアそれぞれで行われる前記作業の作業時間を示す作業実態データを算出するステップと、
前記作業実態データに基づいて、複数の前記作業のうち、行われる時間帯を他の時間帯に変更可能な変更可能作業と、前記他の時間帯とを特定するステップと、
前記変更可能作業と、前記他の時間帯とを関連付けて出力するステップと、
を含み、
前記記憶部には、複数の作業それぞれが行われる時間帯を示す作業スケジュールが記憶されており、
前記特定するステップは、複数の前記作業のうち、前記記憶部に記憶された前記作業スケジュールにおいて特定の時間帯に行われることが決められていない前記作業を、前記変更可能作業として特定することを含む、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業場において作業者が行う作業に関する情報を処理する情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、店舗内を撮影した映像に基づいて、作業者が行った作業を検知し、検知結果と作業スケジュールとを比較することによって作業の実施状況を端末に表示させるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたシステムでは、ユーザは作業スケジュールに基づいた作業の実施状況を把握することはできるが、作業をどのように効率化するかについてはユーザが考える必要がある。しかしながら、ユーザにとって、作業の実施状況のみから作業を効率化することは容易ではないという問題があった。
【0005】
本開示は上述の点に鑑みてなされたものであり、ユーザが作業場において行われる作業を効率化しやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、複数のエリアを含む作業場で作業を行う作業者の、複数のエリアそれぞれにおける滞在時間を示す情報を取得する取得部と、滞在時間に基づいて、複数のエリアそれぞれで行われる作業の作業時間を示す作業実態データを算出する算出部と、作業実態データに基づいて、複数の作業のうち、行われる時間帯を他の時間帯に変更可能な変更可能作業と、他の時間帯とを特定する特定部と、変更可能作業と、他の時間帯とを関連付けて出力する出力部と、複数の作業それぞれが行われる時間帯を示す作業スケジュールを記憶した記憶部と、を有する、情報処理装置であって、特定部は、複数の作業のうち、記憶部に記憶された作業スケジュールにおいて特定の時間帯に行われることが決められていない作業を、変更可能作業として特定する、情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ユーザが作業場において行われる作業を効率化しやすくすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る作業管理システムの模式図である。
【
図2】実施形態に係る作業管理システムのブロック図である。
【
図3】取得部が滞在情報を取得する方法を説明するための模式図である。
【
図4】算出部が算出した例示的な作業実態データの模式図である。
【
図5】特定部が代替可能作業を特定する方法を説明するための模式図である。
【
図6】特定部が削減可能な決済作業を特定する方法を説明するための模式図である。
【
図7】特定部が変更可能作業を特定する方法を説明するための模式図である。
【
図8】特定部が特定した作業を効率化した場合の例示的な作業実態データの模式図である。
【
図9】例示的な変化情報を表示している情報端末の模式図である。
【
図10】特定部が特定した作業を効率化した場合のデータを示す表の模式図である。
【
図11】実施形態に係る作業管理装置が実行する情報処理方法のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[作業管理システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る作業管理システムSの模式図である。作業管理システムSは、作業管理装置1と、撮像装置2と、情報端末3と、を含む。撮像装置2及び情報端末3は、それぞれ複数設けられてもよい。作業管理システムSは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0010】
作業管理装置1(情報処理装置)は、所定の作業場で行われる作業に関する情報を管理するためのコンピュータである。作業場は、例えば、商品を販売するための店舗、物品を保管及び配送するための倉庫等である。作業は、作業場において作業者によって行われる仕事である。また、作業は、作業者に代えて、ロボット等の装置によって行われてもよい。作業管理装置1は、有線通信又は無線通信によって、撮像装置2及び情報端末3に接続される。
【0011】
撮像装置2は、作業場を撮像することによって撮像画像を生成する装置である。撮像装置2は、例えば、デジタルカメラである。撮像画像は、作業場に含まれる複数のエリアそれぞれにおける作業者の滞在時間を特定するために用いられる情報である。作業場には、複数のエリアを撮像できるように、一又は複数の撮像装置2が設置される。
【0012】
情報端末3は、ユーザが利用するコンピュータである。情報端末3は、例えば、スマートフォン、タブレット端末又はパーソナルコンピュータである。ユーザは、例えば、作業場において行われる作業を管理する管理者である。情報端末3は、作業管理装置1から受信した情報を表示可能な液晶ディスプレイ等の表示部を有する。
【0013】
本実施形態に係る作業管理システムSが実行する処理の概要を以下に説明する。作業管理装置1は、作業場に含まれる複数のエリアそれぞれにおける作業者の滞在時間を示す情報を取得する。作業管理装置1は、例えば、撮像装置2が撮像した撮像画像に基づいて複数のエリアそれぞれにおける作業者の滞在時間を特定し、特定した結果を滞在時間を示す情報として取得する。
【0014】
作業管理装置1は、作業者の滞在時間に基づいて、複数のエリアそれぞれで行われる作業の作業時間を示す作業実態データを算出する。作業管理装置1は、作業実態データに基づいて、作業場において行われる複数の作業のうち、効率化可能な作業を特定する。
【0015】
作業管理装置1は、例えば、作業場において行われる複数の作業のうち、所定の装置の導入により代替又は補助される代替可能作業を特定する。導入される装置は、例えば、所定の作業を行うロボット、無人決済装置、自動発注システム等である。
【0016】
また、作業管理装置1は、例えば、決済作業の作業時間と、作業場の客の数と、に基づいて、削減可能な決済作業を特定する。また、作業管理装置1は、例えば、作業場において行われる複数の作業のうち、行われる時間帯を他の時間帯に変更可能な変更可能作業を特定するとともに、当該変更可能作業が行われる他の時間帯を特定する。
【0017】
作業管理装置1は、作業実態データに基づいて、特定した作業を効率化した場合の作業者が行う作業の変化に対応する変化情報を生成する。変化情報は、所定の装置の導入により代替可能作業の作業時間を削減することと、客の数に応じて決済作業の作業時間を削減することと、変更可能作業を他の時間帯に変更することと、のうち少なくとも1つに対応する情報を含む。
【0018】
このように、作業管理システムSは、作業場の複数のエリアそれぞれにおける作業者の滞在時間に基づいて、複数のエリアそれぞれで行われる作業の作業時間を示す作業実態データを算出し、作業実態データに基づいて効率化可能な作業を特定する。そして作業管理システムSは、特定した作業を効率化することによって起こる作業の変化を可視化する。これにより、作業管理システムSは、ユーザが作業場において行われる作業を効率化しやすくすることができる。
【0019】
[作業管理システムSの構成]
図2は、本実施形態に係る作業管理システムSのブロック図である。
図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図2に示したもの以外のデータの流れがあってもよい。
図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0020】
作業管理装置1は、記憶部11と、制御部12とを有する。記憶部11は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部11は、制御部12が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部11は、作業管理装置1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部12との間でデータの授受を行ってもよい。
【0021】
制御部12は、取得部121と、算出部122と、特定部123と、出力部124と、を有する。制御部12は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部11に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部121、算出部122、特定部123及び出力部124として機能する。
【0022】
作業管理装置1が本実施形態に係る処理を実行するための構成を以下に説明する。取得部121は、複数のエリアを含む作業場で作業を行う作業者の、複数のエリアそれぞれにおける滞在時間を示す滞在情報を取得する。
【0023】
図3は、取得部121が滞在情報を取得する方法を説明するための模式図である。
図3は、作業場として、客が購入する商品が陳列された店舗を表している。作業場は、複数のエリアAを含む。1つのエリアAは、当該エリアAで行われる1つの作業に対応している。また、1つのエリアAは、当該エリアAで行われる複数の作業に対応してもよい。複数のエリアAは、例えば、決済作業を行うためのレジエリアと、菓子商品を陳列するための菓子エリアと、陳列棚の背面において商品を補充するためのウォークインエリアと、事務作業を行うためのバックルームエリアと、を含む。複数のエリアAは、ここに示した具体的なエリアに限らず、作業場の構成に応じてその他のエリアを含んでもよい。
【0024】
作業場には、複数のエリアAを撮像可能な複数の撮像装置2が設置されている。撮像装置2は、例えば、所定の時間間隔でエリアAを撮像することによって生成した撮像画像を、撮像画像が撮像された撮像時刻と関連付けて作業管理装置1に送信する。
【0025】
作業管理装置1において、取得部121は、撮像装置2が送信した撮像画像を取得する。取得部121は、例えば、撮像装置2が送信した撮像画像に対して、人間の体の形状や動きを検出する処理を行うことによって、当該撮像画像の撮像時刻に作業者が滞在していたエリアAを特定する。取得部121は、例えば、撮像画像において検出した人間の座標が予め定義されたエリアAの座標範囲内にある場合に、当該エリアAに滞在していると特定する。
【0026】
取得部121は、撮像装置2が送信した撮像画像に代えて又は加えて、作業者が保有する通信機器(例えば、RFID(Radio Frequency Identifier)タグ)による無線通信の状況を示す情報を取得してもよい。この場合に、作業場の複数のエリアAには、無線通信をするための複数の無線通信アンテナが設けられる。無線通信アンテナは、例えば、所定の時間間隔で一又は複数の作業者それぞれが保有する通信機器との無線通信の状況(例えば、通信強度)を測定し、当該状況を示す情報を、通信が行われた通信時刻と関連付けて作業管理装置1に送信する。
【0027】
作業管理装置1において、取得部121は、無線通信アンテナが送信した無線通信の状況を示す情報を取得する。取得部121は、例えば、無線通信の状況を示す情報が示す、作業者が保有する通信機器と複数の無線通信アンテナそれぞれとの間の通信強度に基づいて、通信時刻に作業者が滞在していたエリアAを特定する。
【0028】
取得部121は、作業者がエリアAに滞在を開始した時刻から滞在を終了した時刻までの期間を、当該エリアAにおける作業者の滞在時間として特定し、特定した結果を滞在情報として取得する。取得部121は、一又は複数の作業者それぞれに対して、複数のエリアAそれぞれにおける滞在時間を示す滞在情報を取得する。
【0029】
また、取得部121は、作業場における作業者の勤務スケジュールを取得する。勤務スケジュールは、一又は複数の作業者それぞれが作業を行うために作業場にいる期間を示す情報である。取得部121は、例えば、作業場の勤怠管理システムから、勤務スケジュールを取得する。
【0030】
また、取得部121は、作業の対象物が作業場に搬入される搬入スケジュールを取得する。搬入スケジュールは、一又は複数の対象物それぞれが作業場に搬入される予定の時刻を示す情報である。作業場への搬入は、例えば、店舗への商品の配送や、倉庫への物品の移動を含む。取得部121は、例えば、作業場のスケジュール管理システムから、搬入スケジュールを取得する。
【0031】
また、取得部121は、作業場である店舗の客の数を示す情報を取得する。取得部121は、例えば、店舗のPOS(Point Of Sale)システムから、客の数を特定可能な決済データを取得する。取得部121は、その他の方法で客の数を示す情報を取得してもよい。
【0032】
算出部122は、取得部121が特定した複数のエリアAそれぞれにおける作業者の滞在時間に基づいて、複数のエリアAそれぞれで行われる作業の作業時間を示す作業実態データを算出する。
【0033】
算出部122は、例えば、複数のエリアAそれぞれに対して、所定期間(例えば、1時間)ごとに一又は複数の作業者の滞在時間を合計した総滞在時間を、当該エリアAで行われる作業の作業時間として算出する。また、算出部122は、所定期間ごとに、特定のエリアA(休憩エリア等)の作業者の滞在時間を、作業者が作業を行っていない非作業時間として算出してもよい。
【0034】
また、算出部122は、エリアAにおける作業者の滞在時間の中で、作業者が実際に当該エリアAに対応する作業を行った時間を用いて、当該エリアAにおける作業時間を算出してもよい。この場合に、算出部122は、例えば、撮像装置2が送信した撮像画像に対して、予め登録された作業の動きを表す画像を用いて既知の画像認識処理を行うことによって、エリアAにいる作業者が実際に当該作業を行った時間を特定する。算出部122は、例えば、複数のエリアAそれぞれに対して、所定期間ごとに一又は複数の作業者が実際に作業を行った時間を合計した総時間を、当該エリアAで行われる作業の作業時間として算出する。
【0035】
図4は、算出部122が算出した例示的な作業実態データの模式図である。
図4は、横軸が期間を示し、縦軸が作業時間を示すグラフを表している。
図4の横軸の期間は、1時間ごとの時間帯によって表されている。
図4の縦軸の作業時間は、1人の作業者が1時間行う作業に対応する人時によって表されている。
図4の例では、複数の作業それぞれのラベルとしてエリアAの名称が表されているが、エリアAに対応する作業の名称が表されてもよい。さらに
図4には、取得部121が取得した勤務スケジュールが示す、時間帯ごとの作業者の数が作業者シフトとして表されている。
【0036】
なお、撮像装置2の死角や人間を検出する処理の誤差等により、作業者の滞在しているエリアが特定できないタイミングがあるため、
図4の例では作業時間と作業者シフトとの差が発生している。作業者が滞在しているエリアを常に特定できる理想的な状況では、作業時間と作業者シフトとが一致する。
【0037】
図4の例では、例えば、6時の時間帯に、レジエリア、菓子エリア、ウォークインエリア及びバックルームエリアにおける作業が行われている。また、例えば、12時の時間帯に、レジエリア、菓子エリア及びバックルームエリアにおける作業が行われている。このように、算出部122は、複数のエリアAそれぞれにおける作業者の滞在時間に基づいて、複数のエリアAそれぞれで行われる作業の作業時間を算出することができる。
【0038】
特定部123は、
図5、
図6及び
図7それぞれを用いて説明する方法により、作業場において行われる複数の作業のうち、効率化可能な作業を特定する。
図5は、特定部123が代替可能作業を特定する方法を説明するための模式図である。
【0039】
特定部123は、複数の期間それぞれにおいて、作業実態データに基づいて、作業実態データが示す複数の作業のうち、所定の装置の導入により代替又は補助される代替可能作業を特定する。導入される装置は、作業を行うロボットと、作業者又は作業場の来訪者が利用する装置又はシステムと、の少なくとも一方を含む。導入される装置は、作業の全部を行うことによって作業を代替し、又は作業者と協働して作業を行うことによって作業を補助する。また、装置の導入は、作業場に既に設置された端末やサーバ等に、作業を代替又は補助するアプリケーションソフトウェアをインストールすることを含む。
【0040】
ロボットは、例えば、商品補充ロボット、調理ロボット、清掃ロボット、搬送ロボット等である。作業者が利用する装置又はシステムは、例えば、在庫計測装置、自動発注システム、自動検品装置、搬送装置等である。来訪者が利用する装置又はシステムは、例えば、無人決済装置、電子決済システム等、である。
【0041】
記憶部11は、例えば、代替可能作業と、当該代替可能作業を代替又は補助する装置と、を関連付けた情報を予め記憶している。情報端末3は、
図4に示した作業実態データを作業管理装置1から受信して表示部上に表示し、ユーザによる操作に応じて、作業実態データが示す複数の作業の中で代替可能作業の指定を受け付けるとともに、当該代替可能作業を代替又は補助する装置の指定を受け付けてもよい。この場合に、作業管理装置1において、取得部121は、情報端末3において指定された代替可能作業及び装置を関連付けた情報を取得し、記憶部11に記憶させる。
【0042】
特定部123は、複数の期間それぞれにおいて、作業実態データが示す複数の作業それぞれが、記憶部11に記憶されている代替可能作業に該当するか否かを判定することによって、代替可能作業を特定する。そして特定部123は、作業実態データの中で、代替可能作業の作業時間を、削減可能な量であると特定する。
【0043】
図5の例では、特定部123は、6時の時間帯で1つの作業を代替可能作業であると特定し、当該作業の作業時間が削減可能であると特定している。これにより、特定部123は、作業実態データに基づいて、装置を導入することによって削減可能な作業を特定できる。
【0044】
図6は、特定部123が削減可能な決済作業を特定する方法を説明するための模式図である。決済作業は、例えば、店舗のレジエリア内で客による決済を受け付ける決済装置における作業である。
【0045】
特定部123は、複数の期間それぞれにおいて、作業実態データが示す決済作業の作業時間と、取得部121が取得した客の数と、に基づいて、削減可能な決済作業を特定する。特定部123は、例えば、予め記憶部11に記憶されている客の数と決済作業の理想的な作業時間との関係を取得し、当該関係において取得部121が取得した客の数に関連付けられた理想的な作業時間を取得する。特定部123は、作業実態データが示す作業時間が理想的な作業時間よりも所定の値以上長い決済作業を、削減可能な決済作業として特定する。また、特定部123は、削減可能な決済作業に対して、作業実態データが示す作業時間から、理想的な作業時間を減算した値を、削減可能な量として特定する。
【0046】
図6の例では、特定部123は、8時の時間帯で決済作業が削減可能であると特定している。これにより、特定部123は、作業実態データに基づいて、客の数に応じて削減可能な決済作業を特定できる。
【0047】
図7は、特定部123が変更可能作業を特定する方法を説明するための模式図である。特定部123は、作業実態データに基づいて、作業実態データが示す複数の作業のうち、行われる時間帯を他の時間帯に変更可能な変更可能作業を特定するとともに、当該変更可能作業が行われる他の時間帯を特定する。記憶部11は、複数の作業それぞれが行われる時間帯(期間)を示す作業スケジュールを予め記憶している。作業スケジュールにおいて、例えば、弁当の陳列や物品の搬出入等の作業は、特定の時間帯に行われることが決められている。一方、例えば、掃除や整理等、作業スケジュールにおいて特定の時間帯に行われることが決められていない作業は、他の時間帯に変更可能な作業であると推定できる。そこで特定部123は、例えば、複数の作業のうち、記憶部11に記憶された作業スケジュールにおいて特定の時間帯に行われることが決められていない作業を、変更可能作業として特定する。
【0048】
特定部123は、例えば、作業実態データが、作業者が作業を行っていないことを示す時間帯を、他の時間帯として特定する。特定部123は、例えば、作業実態データが、作業者が特定のエリア(休憩エリア等)にいることを示す時間を、他の時間帯として特定してもよい。そして特定部123は、特定した変更可能作業及び他の時間帯を関連付けることにより、当該変更可能作業を当該他の時間帯に変更可能であると特定する。
【0049】
また、特定部123は、取得部121が取得した搬入スケジュールに基づいて、変更可能作業を特定してもよい。特定部123は、例えば、複数の期間それぞれにおいて、当該期間に搬入される商品又は物品に関する作業を当該期間の変更可能作業として特定せず、それ以外の作業を当該期間の変更可能作業として特定する。これにより、特定部123は、作業場に搬入された商品又は物品の陳列等の作業を他の時間帯に変更してしまうことを抑制できる。
【0050】
また、特定部123は、例えば、商品又は物品の搬入時刻を含まないように、他の時間帯を特定してもよい。これにより、特定部123は、商品又は物品の搬入がある時間帯に変更可能作業を追加することにより搬入作業に支障が発生することを抑制できる。
【0051】
図7の例では、特定部123は、12時の時間帯の変更可能作業を、0時の時間帯に変更可能であると特定している。これにより、特定部123は、作業実態データに基づいて、他の時間帯に変更可能な作業を特定できる。
【0052】
図8は、特定部123が特定した作業を効率化した場合の例示的な作業実態データの模式図である。
図8のグラフの縦軸及び横軸は、
図4のグラフと同様である。
図8の例では、複数の作業それぞれのラベルとしてエリアAの名称が表されているが、エリアAに対応する作業の名称が表されてもよい。
【0053】
図8の作業実態データは、
図4の作業実態データにおいて、所定の装置の導入により代替可能作業の作業時間を削減し、客の数に応じて決済作業の作業時間を削減し、変更可能作業を他の時間帯に変更した場合のシミュレーション結果を表している。すなわち、
図8の作業実態データは、特定部123が特定した作業を効率化した場合に複数の期間それぞれで行われるべき作業を示す作業スケジュールを示す。
【0054】
さらに
図8には、特定部123が特定した作業を効率化した場合の作業実態データに基づいて生成された作業者シフトが表されている。特定部123は、例えば、複数の期間それぞれにおける一又は複数の作業の作業時間の合計値に対して必要な作業者の数を算出し、算出した作業者の数を作業者シフトとして生成する。
【0055】
出力部124は、作業実態データに基づいて、特定部123が特定した作業を効率化した場合の作業者が行う作業の変化に対応する変化情報を生成する。変化情報は、(1)所定の装置の導入により代替可能作業の作業時間を削減することと、(2)客の数に応じて決済作業の作業時間を削減することと、(3)変更可能作業を他の時間帯に変更することと、のうち少なくとも1つに対応する情報を含む。変化情報は、例えば、作業と、作業時間と、作業者の人数と、作業者の人件費と、のうち少なくとも1つの変化を示す情報である。
【0056】
第1に、所定の装置の導入により代替可能作業の作業時間を削減することに関する変化情報を説明する。出力部124は、作業実態データが示す作業時間と、特定部123が特定した所定の装置の導入により代替又は補助される代替可能作業と、の関係に基づいて、当該装置を導入することによって生じる作業者が行う作業の変化に対応する変化情報を生成する。
【0057】
出力部124は、例えば、特定部123が特定した代替可能作業の作業時間の削減可能な量に対応する、作業者の数又は作業者の人件費の少なくとも一方の削減可能な量を算出する。そして出力部124は、装置を導入することにより削減される、代替可能作業(すなわち、作業の名称)と、作業時間と、作業者の数と、作業者の人件費と、のうち少なくとも1つを示す情報を含む変化情報を生成する。これにより、出力部124は、作業場の複数のエリアそれぞれにおける作業者の滞在時間に基づいて、所定の装置を導入することによって生じる作業者が行う作業の変化を可視化することができる。
【0058】
出力部124は、例えば、装置を導入する前の作業時間と、装置を導入した後の作業時間と、を対比する情報を含む変化情報を生成してもよい。この場合に、変化情報は、例えば、装置を導入する前の作業時間と、装置を導入した後の作業時間と、の間の差分を含む。また、変化情報は、例えば、装置を導入する前の作業時間と、装置を導入した後の作業時間と、の両方を含んでもよい。
【0059】
また、出力部124は、作業実態データが示す複数の作業それぞれの作業時間と、代替可能作業と、の関係に基づいて、導入する装置の数を含む変化情報を生成してもよい。記憶部11は、例えば、作業時間と、当該作業時間の作業を代替又は補助するために必要な装置の数と、を関連付けた情報を予め記憶している。出力部124は、記憶部11において、代替可能作業の作業時間に関連付けられた装置の数を取得する。これにより、出力部124は、代替可能作業の作業時間に応じて適切な装置の数を提案することができる。
【0060】
また、出力部124は、作業実態データが示す複数の作業と、装置を導入することにより作業者が行うことが必要な付帯作業と、を示す作業スケジュールを含む変化情報を生成してもよい。例えば、作業場にロボットを導入した場合に、ロボットをメンテナンスする付帯作業が新たに発生する。記憶部11は、例えば、導入される装置と、当該装置を導入することにより作業者が行うことが必要な付帯作業と、を関連付けた情報を予め記憶している。出力部124は、作業実態データが示す複数の作業に、導入される装置に記憶部11において関連付けられた付帯作業を追加して、作業スケジュールを生成する。これにより、出力部124は、所定の装置を導入することによって発生する付帯作業の考慮漏れを抑制することができる。
【0061】
第2に、客の数に応じて決済作業の作業時間を削減することに関する変化情報を説明する。出力部124は、例えば、特定部123が特定した決済作業の作業時間の削減可能な量に対応する、作業者の数又は作業者の人件費の少なくとも一方の削減可能な量を算出する。そして出力部124は、決済作業において、作業時間と、作業者の数と、作業者の人件費と、のうち少なくとも1つの削減可能な量を示す情報を含む変化情報を生成する。これにより、出力部124は、作業場の複数のエリアそれぞれにおける作業者の滞在時間に基づいて、削減可能な決済作業を可視化することができる。
【0062】
第3に、変更可能作業を他の時間帯に変更することに関する変化情報を説明する。出力部124は、例えば、特定部123が特定した変更可能作業及び他の時間帯を関連付けた情報を含む変化情報を生成する。また、出力部124は、例えば、特定部123が特定した変更可能作業を他の時間帯に変更することによる、作業者の数又は作業者の人件費の少なくとも一方の削減可能な量を算出する。そして出力部124は、変更可能作業を他の時間帯に変更することにより削減される、作業者の数と、作業者の人件費と、のうち少なくとも1つを示す情報を含む変化情報を生成する。これにより、出力部124は、作業場の複数のエリアそれぞれにおける作業者の滞在時間に基づいて、作業を他の時間帯に変更することによって生じる作業者が行う作業の変化を可視化することができる。
【0063】
出力部124は、生成した変化情報を、情報端末3に送信する。情報端末3は、作業管理装置1が送信した変化情報を表示部上に表示する。
図9は、例示的な変化情報を表示している情報端末3の模式図である。
【0064】
図9は、算出部122が算出した作業実態データと、特定部123が特定した作業を効率化した場合の作業実態データと、の差分を示すグラフ31を、変化情報として表している。グラフ31の縦軸及び横軸は、
図4のグラフと同様である。グラフ31は、複数の期間それぞれにおいて、減少した作業時間を負の値で表しており、増加した作業時間を正の値で表している。
【0065】
また、
図9は、取得部121が取得した勤務スケジュールが示す作業者シフト(すなわち、作業者の数)と、特定部123が生成した作業者シフトと、の差分を示す作業者シフト変化量32を、変化情報として表している。作業者シフト変化量32は、複数の期間それぞれにおいて、減少した作業者シフトを負の値で表しており、増加した作業者シフトを正の値で表している。また、
図9は、1日における作業時間の削減可能な量の合計値である作業時間変化量33を、変化情報として表している。これにより、ユーザは、情報端末3において、特定部123が特定した作業を効率化した場合の作業の変化を容易に把握することができる。
【0066】
出力部124は、ここに示した具体的な情報に限らず、作業者が行う作業の変化に対応するその他の情報を変化情報として出力してもよい。出力部124は、例えば、
図4に例示した算出部122が算出した作業実態データと、
図8に例示した特定部123が特定した作業を効率化した場合の作業実態データと、の両方を出力してもよい。また、出力部124は、作業実態データ上に作業者シフトを重畳して表示させることにより、作業実態データと作業者シフト(勤務スケジュール)とを対比可能にしてもよい。
【0067】
また、出力部124は、特定部123が特定した作業を効率化した場合の作業実態データに基づいて、時間帯ごとに割り当てが必要な作業の内容、作業時間及び作業者の数を示す表を出力してもよい。
図10は、特定部123が特定した作業を効率化した場合のデータを示す表の模式図である。
【0068】
図10は、作業を示す行(縦軸)及び時間帯を示す列(横軸)からなる表を表している。1つの作業は、複数の行に分割されてもよい。例えば、決済作業は、接客作業の行と、レジ締め作業の行と、に分割され得る。
図10の表における各セルは、作業を効率化した場合の作業時間(人時)及び作業者の数を表している。すなわち、
図10は、作業を効率化した場合に時間帯ごとに割り当てが必要な作業の内容、作業時間及び作業者の数を表している。また、
図10の表の最下行部には、時間帯ごとの全ての作業の作業時間及び作業者の数の合計値が表されている。
【0069】
これにより、ユーザは、情報端末3において、特定部123が特定した作業を効率化した場合に必要な作業の内容、作業時間及び作業者の数を時間帯ごとに容易に把握することができ、時間帯ごとの作業者の割り当てを行いやすくなる。
【0070】
図10の表は一例であり、その他の表示態様で時間帯ごとに割り当てが必要な作業の内容、作業時間及び作業者の数が表されてもよい。出力部124は、例えば、作業の内容、作業時間、作業者の数を時間帯ごとに横軸方向に並べた表を出力してもよい。
【0071】
[情報処理方法のフロー]
図11は、本実施形態に係る作業管理装置1が実行する情報処理方法のフローチャートを示す図である。取得部121は、複数のエリアを含む作業場で作業を行う作業者の、複数のエリアそれぞれにおける滞在時間を示す滞在情報を取得する(S11)。取得部121は、例えば、撮像装置2が送信した撮像画像、又は作業者が保有する通信機器による無線通信の状況を示す情報を取得する。取得部121は、例えば、撮像画像又は無線通信の状況に基づいて複数のエリアそれぞれにおける作業者の滞在時間を特定し、特定した結果を滞在情報として取得する。
【0072】
算出部122は、取得部121が特定した複数のエリアそれぞれにおける作業者の滞在時間に基づいて、複数のエリアそれぞれで行われる作業の作業時間を示す作業実態データを算出する(S12)。算出部122は、例えば、複数のエリアそれぞれに対して、所定期間ごとに作業者の滞在時間を合計した総滞在時間、又は所定期間ごとに作業者が実際に作業を行った時間を合計した総時間を、当該エリアで行われる作業の作業時間として算出する。
【0073】
特定部123は、複数の期間それぞれにおいて、作業実態データに基づいて、作業実態データが示す複数の作業のうち、所定の装置の導入により代替又は補助される代替可能作業を特定する(S13)。特定部123は、複数の期間それぞれにおいて、作業実態データが示す決済作業の作業時間と、取得部121が取得した客の数と、に基づいて、削減可能な決済作業を特定する(S14)。特定部123は、作業実態データに基づいて、作業実態データが示す複数の作業のうち行われる時間帯を他の時間帯に変更可能な変更可能作業を特定するとともに、当該変更可能作業が行われる他の時間帯を特定する(S15)。特定部123は、ステップS13における代替可能作業の特定と、ステップS14における削減可能な決済作業の特定と、ステップS15における変更可能作業の特定と、のうち一部のみを行ってもよい。
【0074】
出力部124は、作業実態データに基づいて、特定部123が特定した作業を効率化した場合の作業者が行う作業の変化に対応する変化情報を生成し、生成した変化情報を出力する(S16)。変化情報は、ステップS13において特定された所定の装置の導入により代替可能作業の作業時間を削減することと、ステップS14において特定された決済作業の作業時間を削減することと、ステップS15において特定された変更可能作業を他の時間帯に変更することと、のうち少なくとも1つに対応する情報である。
【0075】
出力部124は、生成した変化情報を、情報端末3に送信する。情報端末3は、作業管理装置1が送信した変化情報を表示部上に表示する。
【0076】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る作業管理システムSは、作業場の複数のエリアそれぞれにおける作業者の滞在時間に基づいて、複数のエリアそれぞれで行われる作業の作業時間を示す作業実態データを算出し、作業実態データに基づいて効率化可能な作業を特定する。そして作業管理システムSは、特定した作業を効率化することによって起こる作業の変化を可視化する。これにより、作業管理システムSは、ユーザが作業場において行われる作業を効率化しやすくすることができる。
【0077】
以上、本開示を実施の形態を用いて説明したが、本開示の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本開示の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【0078】
作業管理装置1のプロセッサは、
図11に示す情報処理方法に含まれる各ステップ(工程)の主体となる。すなわち、作業管理装置1のプロセッサは、
図11に示す情報処理方法を実行するためのプログラムを実行して作業管理システムSの各部を制御することによって、
図11に示す情報処理方法を実行する。
図11に示す情報処理方法に含まれるステップは一部省略されてもよく、ステップ間の順番が変更されてもよく、複数のステップが並行して行われてもよい。
【符号の説明】
【0079】
S 作業管理システム
1 作業管理装置
11 記憶部
12 制御部
121 取得部
122 算出部
123 特定部
124 出力部
2 撮像装置
3 情報端末