(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20230630BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20230630BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
G02B27/01
B60R11/02 C
B60K35/00 A
(21)【出願番号】P 2019138247
(22)【出願日】2019-07-26
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 裕志
(72)【発明者】
【氏名】青木 公宏
(72)【発明者】
【氏名】羽田 崇人
(72)【発明者】
【氏名】宮本 智明
【審査官】河村 麻梨子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-024591(JP,A)
【文献】特開2005-289098(JP,A)
【文献】特開2019-066773(JP,A)
【文献】特開2019-015783(JP,A)
【文献】実開昭63-156834(JP,U)
【文献】特開2003-058065(JP,A)
【文献】特開2001-075053(JP,A)
【文献】特開2016-212292(JP,A)
【文献】米国特許第06359737(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
B60R 11/02
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンバイナと、
情報を表す表示光を出射する表示器と、
前記表示器が出射した前記表示光を前記コンバイナに向けて反射する反射ミラーと、
前記表示器及び前記反射ミラーを収容する筐体と、
前記表示器と前記反射ミラーとの間の光路上に配置され、前記表示器を覆う透光カバーと
、
前記表示器の表示面を塞ぐように覆う開口部を有し、前記透光カバーを前記表示器に係合する枠体と、を備え、
前記透光カバーが前記コンバイナよりも鉛直下方側に配置されて
おり、前記透光カバーは、外部から前記筐体の内部に入射した外光を前記反射ミラーよりも鉛直下方側に向けて反射する姿勢で前記筐体に支持され
、
前記透光カバーは、前記開口部を覆うように前記枠体に配置されている
ヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項2】
前記透光カバーは、前記反射ミラーよりも鉛直下方側に配置され、
前記反射ミラーの鉛直下端と前記透光カバーの鉛直上端とを結ぶ直線と、前記透光カバーの前記反射ミラー側の表面に平行な平面との鉛直上方側の角度が90°未満である
請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項3】
前記表示器は、前記表示光を出射する出射面を有し、
前記透光カバーは、前記出射面と平行である
請求項1又は2に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項4】
前記反射ミラーの中心と前記表示器の
出射面の中心とを結ぶ直線から前記表示器の
前記出射面における中心の前記反射ミラー側における前記表示器の
前記出射面の法線に向ける方向は、前記表示器から出射する直線偏光の偏光軸と同一の方向である
請求項1~
3のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘッドアップディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像を表示するためのヘッドアップディスプレイ装置として、例えば車両用のヘッドアップディスプレイ装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1記載のヘッドアップディスプレイ装置は、表示光を出射する表示器と、表示器よりも上方に配置され、表示器から出射される表示光を反射する反射部材と、反射部材で反射された表示光が入射するコンバイナ部と、表示光の出射面を覆う状態で表示器と反射部材との間に配置され、表示器から反射部材に向けて出射される表示光を透過する透過部材とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1におけるヘッドアップディスプレイ装置では、例えば、ヘッドアップディスプレイ装置に太陽光等の外光が入射した場合、外光が透過部材及び反射部材等で反射されて迷光が発生することがある。この場合、迷光がコンバイナ部に入射して反射されることで、ユーザに照射されることがある。これにより、ユーザは眩しく感じるため、ユーザの視認性が損なわれるという課題がある。
【0006】
そこで、本開示は、外光による迷光がユーザに照射されることを抑制することができるヘッドアップディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るヘッドアップディスプレイ装置は、コンバイナと、情報を表す表示光を出射する表示器と、前記表示器が出射した前記表示光を前記コンバイナに向けて反射する反射ミラーと、前記表示器及び前記反射ミラーを収容する筐体と、前記表示器と前記反射ミラーとの間の光路上に配置され、前記表示器を覆う透光カバーと、前記表示器の表示面を塞ぐように覆う開口部を有し、前記透光カバーを前記表示器に係合する枠体と、を備え、前記透光カバーが前記コンバイナよりも鉛直下方側に配置されており、前記透光カバーは、外部から前記筐体の内部に入射した外光を前記反射ミラーよりも鉛直下方側に向けて反射する姿勢で前記筐体に支持され、前記透光カバーは、前記開口部を覆うように前記枠体に配置されている。
【0008】
なお、この包括的又は具体的な態様は、システム、方法又は集積回路などの任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示のヘッドアップディスプレイ装置は、外光による迷光がユーザに照射されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態に係るヘッドアップディスプレイ装置を横から見た場合の使用例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係るヘッドアップディスプレイ装置を車室から見た場合の使用例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係るヘッドアップディスプレイ装置を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係るヘッドアップディスプレイ装置を示す分解斜視図である。
【
図5】
図5は、
図3のA-A線におけるヘッドアップディスプレイ装置の断面図である。
【
図6】
図6は、反射ミラーと透光カバーとの位置の関係性を示す図である。
【
図7】
図7は、反射ミラーと表示器と透光カバーとの位置の関係性を示す図である。
【
図8】
図8は、透光カバーに入射する表示光における、入射角と反射率との関係を示す図である。
【
図9】
図9は、ヘッドアップディスプレイ装置に外光が入射した場合の様子を例示した模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示の基礎となった知見)
例えば、ヘッドアップディスプレイ装置の透光カバーに太陽光等の外光が入射した場合、透光カバーで反射し、反射ミラーで反射されることで迷光が発生する場合がある。この場合、迷光がコンバイナに入射して反射し、ユーザに照射されてしまうことがある。これにより、ユーザは眩しく感じるため、ユーザの視認性が損なわれてしまう。
【0012】
そこで、本開示の一態様に係るヘッドアップディスプレイ装置は、コンバイナと、情報を表す表示光を出射する表示器と、前記表示器が出射した前記表示光を前記コンバイナに向けて反射する反射ミラーと、前記表示器及び前記反射ミラーを収容する筐体と、前記表示器と前記反射ミラーとの間の光路上に配置され、前記表示器を覆う透光カバーとを備え、前記透光カバーが前記コンバイナよりも鉛直下方側に配置されている場合において、前記透光カバーは、外部から前記筐体の内部に入射した外光を前記反射ミラーよりも鉛直下方側に向けて反射する姿勢で前記筐体に支持される。
【0013】
これによれば、透光カバーに外光が入射しても、透光カバーが反射ミラーよりも鉛直下方側に向けて反射するため、反射ミラーに光が入射し難くなっている。つまり、このヘッドアップディスプレイ装置では、透光カバーで反射した光が反射ミラーに入射し難い構成であるため、反射ミラーで反射した光がコンバイナに入射し難くなる。また、ヘッドアップディスプレイ装置を他の車両へ取付けることを考えると、コンバイナのチルト角度が変わるため、透光カバーが鉛直上方側に向けて外光を反射する構成では、透光カバーで反射した外光が反射ミラーを経由してコンバイナに入射し、ユーザへ向かう光路が生じやすくなる。しかし、上記一態様に係るヘッドアップディスプレイ装置では、透光カバーが鉛直下方側に向けて外光を反射するため、上述の光路の発生を抑えることができる。
【0014】
したがって、このヘッドアップディスプレイ装置では、外光による迷光がユーザに照射されることを抑制することができる。また、互いに異なる複数の車種に対するヘッドアップディスプレイ装置の共用化を図ることができる。
【0015】
また、本開示の他の一態様に係るヘッドアップディスプレイ装置において、前記透光カバーは、前記反射ミラーよりも鉛直下方側に配置され、前記反射ミラーの鉛直下端と前記透光カバーの鉛直上端とを結ぶ直線と、前記透光カバーの前記反射ミラー側の表面に平行な平面との鉛直上方側の角度が90°未満である。
【0016】
例えば、この角度が90°以上であれば、透光カバーと反射ミラーとが対向する位置に配置されることとなる。つまり、鉛直方向において、透光カバーと反射ミラーとが同等の高さに位置することとなる。これでは、透光カバーに入射した外光が反射ミラーに向けて反射され易くなってしまう。その結果、反射ミラーで反射された外光がコンバイナに入射して反射されてしまい、ユーザに照射され易くなってしまう。
【0017】
しかし、本開示によれば、この角度が90°未満となる位置に、透光カバーが配置されるため、例えば透光カバーが反射ミラーよりも鉛直下方側に配置されることとなる。このため、透光カバーに入射した外光が反射ミラーに向けて反射され難くなる。つまり、このヘッドアップディスプレイ装置では、透光カバーで反射した光が反射ミラーに、より入射し難い構成となるため、反射ミラーで反射した光がコンバイナに、より入射し難くなる。このため、このヘッドアップディスプレイ装置では、外光による迷光がユーザに照射されることを、より抑制することができる。
【0018】
また、本開示の他の一態様に係るヘッドアップディスプレイ装置において、前記表示器は、前記表示光を出射する出射面を有し、前記透光カバーは、前記出射面と平行である。
【0019】
これによれば、表示器の出射面から出射した表示光が透光カバーで反射され難くなり、表示器の出射面から出射した光が透光カバーを透過し易くなる。このため、表示器の出射面から出射した表示光は、コンバイナに確実に入射し易くなる。その結果、ユーザは、コンバイナに照射された表示光を確実に視認することができる。
【0020】
また、本開示の他の一態様に係るヘッドアップディスプレイ装置において、前記出射面から前記透光カバーの前記反射ミラー側の表面までの距離は、1mm以下である。
【0021】
例えば、出射面から透光カバーの表面までの距離が1mmよりも大きいと、表示光が、透光カバーと出射面との間で反射し易くなる。このため、反射した表示光が透光カバーから出射されてコンバイナに入射すると、コンバイナに二重像ないし多重像が映って見えてしまうことがある。
【0022】
しかし、本実施の形態によれば、透光カバーと出射面との距離が近いため、コンバイナに二重像ないし多重像が投影され難くなる。
【0023】
また、本開示の他の一態様に係るヘッドアップディスプレイ装置において、前記反射ミラーの中心と前記表示器の中心とを結ぶ直線から前記表示器の中心の前記反射ミラー側における前記表示器の出射面の法線に向ける方向は、前記表示器から出射する直線偏光の偏光軸と同一の方向である。
【0024】
例えば、表示器が偏光軸を有する場合、表示器からは偏光軸と平行な表示光が出射する。例えば、表示器がP偏光の表示光を出射する場合、S偏光に比べP偏光の反射率は低いため、表示光が透光カバーと表示器との間で反射した後に透光カバーから出射しても、表示光の強度は低下している。このため、透光カバーと表示器との間で反射した表示光が透光カバーから透過して反射ミラーを介してコンバイナに入射しても、ユーザは、強度が低下した表示光を認識し難くなる。このため、コンバイナに二重像が投影され難くなる。その結果、コンバイナにおけるユーザの視認性の低下を抑制することができる。
【0025】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0026】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0027】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。また、以下の実施の形態において、略平行などの表現を用いている。例えば、略平行は、完全に平行であることを意味するだけでなく、実質的に平行である、すなわち、例えば数%程度の誤差を含むことも意味する。また、略平行は、本開示による効果を奏し得る範囲において平行という意味である。他の「略」を用いた表現についても同様である。
【0028】
以下、実施の形態に係るヘッドアップディスプレイ装置について説明する。
【0029】
(実施の形態)
[構成:ヘッドアップディスプレイ装置1]
図1は、実施の形態に係るヘッドアップディスプレイ装置1を横から見た場合の使用例を示す模式図である。
図2は、実施の形態に係るヘッドアップディスプレイ装置1を車室から見た場合の使用例を示す模式図である。
【0030】
図1及び
図2に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置1は、例えば、自動車等の車両2のダッシュボード5に配置されている。車両2のダッシュボード5(インストルメントパネルともいう)の上方には、フロントガラス3が配置されている。ヘッドアップディスプレイ装置1のコンバイナ41は、ダッシュボード5とフロントガラス3との間に配置される。
【0031】
ヘッドアップディスプレイ装置1は、運転者又は同乗者等であるユーザ9に対して、コンバイナ41に画像を映し出すことができる装置である。つまり、ヘッドアップディスプレイ装置1は、表示器50が出射する画像を構成する表示光をコンバイナ41に投影させることで、表示光が示す画像をユーザ9に表示する。表示光は、数字、文字及び図形等を含む画像の情報を表す光であり、コンバイナ41に虚像8として表示される。
【0032】
図3は、実施の形態に係るヘッドアップディスプレイ装置1を示す斜視図である。
図4は、実施の形態に係るヘッドアップディスプレイ装置1を示す分解斜視図である。
図5は、
図3のA-A線におけるヘッドアップディスプレイ装置1の断面図である。以下の説明において、ヘッドアップディスプレイ装置1のコンバイナ41が立姿勢のときの幅方向をX軸方向と規定し、X軸方向と直交する方向でありコンバイナ41が直立する方向をZ軸方向と規定し、X軸方向及びZ軸方向と直交する方向をY方向と規定する。
図4以降においても同様である。
【0033】
図3、
図4及び
図5に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置1は、筐体10aと、コンバイナ41と、反射ミラー80と、透光カバー70と、表示器50とを備える。
【0034】
<筐体10a>
筐体10aは、コンバイナ41、反射ミラー80、透光カバー70、及び、表示器50を収容する収容体である。筐体10aは、
図2のダッシュボード5内に取付けられた状態で、車両2に固定される。筐体10aは、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の樹脂等で構成されている。
【0035】
筐体10aは、第1筐体10と、第2筐体20と、遮光カバー30と、枠体60とを有する。
【0036】
第1筐体10は、第2筐体20とで収容体を構成し、遮光カバー30、枠体60、コンバイナ41、反射ミラー80、透光カバー70、及び、表示器50等を収容する。第1筐体10は、ヘッドアップディスプレイ装置1の外殻の一部を構成している。
【0037】
第1筐体10のZ軸プラス方向側の中央部分には、コンバイナ41を配置するための開口部11が形成される。開口部11は、コンバイナ41が寝姿勢となった時に、コンバイナ41を収容することが可能な大きさに形成される。
【0038】
また、第1筐体10は、第2筐体20に対してZ軸プラス方向側に配置されるカバーである。第1筐体10のZ軸マイナス方向側の端部には、係止部が形成されている。係止部は、例えば爪片であり、第2筐体20の被係止部と係合する。つまり、係止部と被係止部とが係合することで、第1筐体10と第2筐体20とが互いに支持し合う。
【0039】
第2筐体20は、第1筐体10に対してZ軸マイナス方向側に配置される下カバーである。第2筐体20は、第1筐体10に固定され、かつ、
図2のダッシュボード5に搭載された際に車両2に固定される。つまり、第2筐体20は、車両2に固定されることで、第1筐体10等を支持する。第2筐体20は、ヘッドアップディスプレイ装置1の外殻の一部を構成している。
【0040】
遮光カバー30は、コンバイナ41と表示器50との間に配置される。遮光カバー30は、第1筐体10及び第2筐体20に収容され、第1筐体10の開口部11からその一部が視認可能に露出している。
【0041】
遮光カバー30は、底板部31と、立壁部32とを有する。
【0042】
底板部31は、平面視形状が略矩形状の平板である。底板部31は、X-Y平面に対して略平行に配置され、コンバイナ41と表示器50との間に配置されることで、コンバイナ41と表示器50との間を仕切っている。
【0043】
底板部31のZ軸プラス方向側には、コンバイナ41が配置される。底板部31の表面側であるZ軸プラス方向側の面は、第1筐体10の開口部11から露出した状態で視認可能である。底板部31は、第1筐体10の開口部11と同等の大きさである。底板部31は、第1筐体10の開口部11を通過する外光を遮光したり、表示器50によって発生した迷光が第1筐体10の開口部11を介して通過しないように遮光したりする。
【0044】
また、底板部31の裏面には、表示器50及び枠体60を支持するための係合部が形成されている。本実施の形態では、枠体60が表示器50に固定された状態で、ネジ等の固定部材が係合部に螺合することによって、表示器50が遮光カバー30に固定されている。
【0045】
立壁部32は、底板部31の外周端縁に形成され、底板部31に対してZ軸プラス方向側に突出した側壁である。立壁部32は、第1筐体10の開口部11の形状に沿って、底板部31の外周端縁の一部分に形成されている。
【0046】
立壁部32は、一対の第1支持部33と、一対の第2支持部34とを有する。
【0047】
一対の第1支持部33は、コンバイナ41を回動可能に支持するための支持部である。一対の第1支持部33は、コンバイナ41のY軸方向側の両端を支持する。具体的には、第1支持部33は、コンバイナ支持部42の突起部42a(後述する)が挿入される挿入穴である。つまり、コンバイナ支持部42及び一対の第1支持部33は、ヒンジを構成する。
【0048】
一対の第2支持部34は、反射ミラー80を支持するための支持部であり、立壁部32におけるX軸プラス方向側の端部の中央部分に形成されている。一対の第2支持部34は、反射ミラー80をZ-Y平面と略平行な姿勢で支持することが可能である。本実施の形態では、一対の第2支持部34は、反射ミラー80がZ軸方向からスライド挿入されることで、反射ミラー80のY軸方向の両端に形成されている一対の支持片と係合することで、反射ミラー80を支持している。
【0049】
また、遮光カバー30は、切欠き部35を有する。
【0050】
切欠き部35は、表示器50から出射した表示光を通過させて、反射ミラー80に入射させるように切欠かれている。切欠き部35は、一対の第2支持部34の間であり、立壁部32から底板部31に跨って形成されている。切欠き部35は、遮光カバー30におけるX軸プラス方向側の端部の中央部分に形成されている。
【0051】
枠体60は、透光カバー70を所定の姿勢で支持するための保持部材である。枠体60は、自身の姿勢と同等の姿勢で透光カバー70を支持することができる。
【0052】
枠体60は、表示器50の係合部と係合するための複数の被係合部を有する。枠体60は、表示器50のX軸プラス方向側の面である出射面51aを覆うように配置され、複数の被係合部が表示器50の係合部と係合することで、表示器50に固定される。本実施の形態では、枠体60は、Z-Y平面に対してX軸プラス方向に下り傾斜する姿勢で、表示器50に固定されている。
【0053】
枠体60には、透光カバー70が嵌め込まれる開口部61が形成されている。開口部61は、表示器50の出射面51aと対向し、透光カバー70によって覆われている。本実施の形態では、枠体60は、矩形状をなし、開口部61も矩形状をなしている。
【0054】
開口部61の寸法は、反射ミラー80の寸法よりも小さい。つまり、開口部61のZ軸プラス方向側の端縁から開口部61のZ軸マイナス方向側の端縁までの距離が、反射ミラー80のZ軸プラス方向側の端縁から反射ミラー80のZ軸マイナス方向側の端縁までの距離よりも小さい。また、Y軸方向においても同様に、開口部61の寸法の方が反射ミラー80の寸法の方よりも小さい。
【0055】
<コンバイナ41>
コンバイナ41は、例えばハーフミラーであり、板ガラスと、この板ガラスの一方の面に蒸着された錫又は銀等の光半透過膜とで構成されている。コンバイナ41は、半透過性を有しており、ユーザ9がコンバイナ41を通して車両2の進行方向を目視できるように形成されている。例えば、コンバイナ41は、凸状の板又は凹状の板である。
【0056】
コンバイナ41は、反射ミラー80が反射した表示光が投影されることで
図1の虚像8を表示する表示パネルである。コンバイナ41は、平面視で略矩形状をなしているが、形状は特に限定されず、多角形状、円形状等であってもよい。
【0057】
コンバイナ41は、寝姿勢となって、第1筐体10の開口部11に収納された収納状態で遮光カバー30に保持される。また、コンバイナ41は、立姿勢となって、開口部11の開口面に対して起立状態で、遮光カバー30に保持される。収納状態とは、コンバイナ41の投影面41aがX-Y平面と略平行な姿勢の状態である。起立状態とは、コンバイナ41の表面がZ-Y平面と略平行な姿勢の状態である。
【0058】
コンバイナ41の投影面41aは、反射ミラー80で反射された表示光が入射する表面であり、ユーザと対向する面であり、X軸プラス方向側の面である。
【0059】
コンバイナ41は、コンバイナ支持部42によって、遮光カバー30に対して回動可能に支持される。コンバイナ支持部42は、Y軸方向に長尺な棒状の支持部材であり、コンバイナ41を所定の姿勢で支持する。コンバイナ支持部42は、遮光カバー30の立壁部32に形成されている一対の第1支持部33に、一対一で挿入される円柱状の一対の突起部42aを有する。一対の突起部42aは、Y軸方向と略平行な軸心周りで第1支持部33に支持される。これにより、コンバイナ支持部42は、コンバイナ41を、Y軸方向と略平行な軸心周りで回動可能に支持する。
【0060】
<反射ミラー80>
反射ミラー80は、Z-Y平面と略平行な姿勢となるように、遮光カバー30の一対の第2支持部34に支持されている。つまり、反射ミラー80は、遮光カバー30の切欠き部35の一部を覆うように、遮光カバー30に支持されている。具体的には、反射ミラー80には、Y軸方向の両端に、一対の係合部が形成されている。一対の係合部が遮光カバー30における一対の第2支持部34にスライド挿入されることで、反射ミラー80は、遮光カバー30の第2支持部34に支持される。
【0061】
反射ミラー80は、Z軸方向において、コンバイナ41よりも、下側(Z軸マイナス方向側)に配置され、表示器50、枠体60、及び、透光カバー70よりも上側(Z軸プラス方向側)に配置される。つまり、反射ミラー80は、Z軸方向において、コンバイナ41と、透光カバー70との間に配置される。
【0062】
反射ミラー80は、表示器50が出射した表示光を、コンバイナ41に向けて反射する。具体的には、反射ミラー80は、表示器50から出射された表示光であり、透光カバー70を透過した表示光をコンバイナ41の投影面41aに向けて反射する、つまり表示光をコンバイナ41の投影面41aに投影させる。例えば、反射ミラー80は、凸面鏡又は凹面鏡である。
【0063】
本実施の形態では、反射ミラー80は、Y軸方向に長尺な矩形状の鏡である。なお、反射ミラー80の形状は、特に限定されず、多角形状、及び、円形状であってもよい。
【0064】
<透光カバー70>
透光カバー70は、枠体60の開口部61の開口面を覆う(塞ぐ)ように、開口部61に固定される。つまり、透光カバー70は、表示器50と反射ミラー80との間の光路上に配置される。透光カバー70は、表示器50の出射面51aと対向する姿勢で枠体60に配置され、表示器50の出射面51aを覆っている。
【0065】
また、透光カバー70は、表示器50の出射面51aに埃、ゴミ等の侵入を抑制する防汚カバーとしての役割も果たす。例えば、透光カバー70の反射ミラー80側の表面にハードコート処理が行われていてもよい。この場合、この表面に埃、ゴミ等が付着しても、汚れを拭き取り易くなる。
【0066】
また、透光カバー70は、出射面51aと平行となる姿勢で、枠体60に配置される。また、透光カバー70は、表示器50の出射面51aから透光カバー70の反射ミラー80側の表面までの距離が1mm以下となる位置に配置される。透光カバー70の反射ミラー80側の表面は、反射ミラー80と対向する透光カバー70の面であり、透光カバー70のX軸プラス方向側の面であり、表示光を出射する出射面である。
【0067】
透光カバー70は、透光カバー70における反射ミラー80側の表面と、出射面部51側の裏面(入射面)とは略平行な、平板状の薄板、又は、湾曲した薄板等である。
【0068】
図6は、反射ミラー80と透光カバー70との位置の関係性を示す図である。
【0069】
図5及び
図6に示すように、透光カバー70は、反射ミラー80の鉛直下端の点P1と透光カバー70の鉛直上端の点P2とを結ぶ直線V1と、透光カバー70の反射ミラー80側の表面と平行な平面V2(点P2よりも鉛直上方側に延びる延長線と)との鉛直上方側の角度θが90°未満となる位置に配置される。つまり、透光カバー70は、Z軸方向において、反射ミラー80よりも鉛直下方側に配置される。鉛直上方向側とは、Z軸プラス方向側であり、鉛直下方向側とは、Z軸マイナス方向側である。
【0070】
図7は、反射ミラー80と表示器50と透光カバー70との位置の関係性を示す図である。
【0071】
図7に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置1では、反射ミラー80の略中心と表示器50の略中心とを結ぶ直線H1から、表示器50の略中心の反射ミラー80側における表示器50の出射面51aの法線H2に向ける方向K1は、出射面部51から出射する直線偏光の偏光軸K2と略同一の方向である。つまり、出射面部51から直線H1に沿って出射した直線偏光が透光カバー70の表面にP偏光として入射するように、透光カバー70は、枠体60に固定される。本実施の形態の出射面部51は、P偏光の表示光を出射するための、偏光軸を有する。P偏光の振動方向は、出射面部51の出射面51aと平行な方向であり、Z軸プラス方向からX軸マイナス方向に傾く方向である。
【0072】
ここで、方向K1は、法線H2から直線H1に傾く方向である。また、反射ミラー80の表面は、コンバイナ41及び透光カバー70と対向する面であり、X軸マイナス方向側の面である。
【0073】
また、反射ミラー80の略中心とは、反射ミラー80自体の中心でもよく、反射ミラー80の表面の中心でもよい。また、表示器50の略中心とは、表示器50自体の中心でもよく、表示器50の出射面部51の中心でもよく、出射面部51の出射面51aの中心でもよい。本実施の形態では、表示器50の略中心とは、出射面部51の中心である。
【0074】
例えば透光カバー70は、ポリカーボネート等から構成されていてもよい。この場合、表示光の透光カバー70への入射角、すなわち直線H1と法線H2とがなす角φが大きくなるにつれて、P偏光の反射率は小さくなる。少なくとも透光カバー70のX軸マイナス方向側の面(透光カバー70の裏面)は、低反射率の面である。例えば、透光カバー70の裏面におけるP偏光の表示光の反射率は、5%未満であってもよい。なお、透光カバー70の表面も、このような低反射率の面であってもよい。
【0075】
また、透光カバー70は、筐体10aの内部に入射した外光を、反射ミラー80よりも鉛直下方側(Z軸マイナス方向側)に向けて反射する姿勢で筐体10aに支持される。具体的には、透光カバー70は、Z-Y平面に対してX軸プラス方向に下り傾斜する姿勢で枠体60に支持される。当然のことながら、透光カバー70の姿勢は、枠体60の姿勢に依存する。
【0076】
<表示器50>
図4及び
図5に示すように、表示器50は、情報を表す表示光を出射することで、所定の画像をコンバイナ41に投影することができる。表示器50は、例えば、液晶ディスプレイ等を有する液晶表示装置である。表示器50は、出射面部51から表示光を出射する。出射面部51から出射した表示光は、透光カバー70に入射して透過し、反射ミラー80に入射して反射し、コンバイナ41の投影面41aに投影される。
【0077】
表示器50は、出射面部51と、第3筐体52と、発光モジュール53と、第1集光レンズ54と、第2集光レンズ55とを有する。
【0078】
出射面部51は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)等の液晶表示素子である。例えば、出射面部51は、光透過型又は光半透過型のTFT液晶(Thin Film Transistor Liquid Crystal Display)等である。出射面部51では、裏面側から光が照射されることで、透過した光によって、表面側である出射面51aが発光する。出射面部51は、
図1の車両2に搭載された制御部からの制御指示に応じて数字、文字及び図形等を含む画像を示す表示光を、出射面51aから出射させる。出射面部51は、車両2側から得られる交流電力により駆動する。
【0079】
また、出射面部51は、規定方向と平行な方向に偏光軸K2を有する。本実施の形態では、偏光軸K2は、Z軸方向に対してX軸プラス方向に向かって僅かに下り傾斜している。
【0080】
また、出射面部51は、発光モジュール53の光軸Jと直交する平面に対して傾斜している。具体的には、出射面部51は、光軸Jと直交する平面よりも起き上がる姿勢(Z-Y平面と略平行となるような姿勢)で第3筐体52に固定されている。
【0081】
第3筐体52は、発光モジュール53、第1集光レンズ54、及び、第2集光レンズ55等を収容する収容体である。第3筐体52は、遮光カバー30の底板部31のZ軸マイナス方向側に配置され、底板部31の裏面に形成されている係合部に係合することで、底板部31に支持されている。第3筐体52は、例えば、ネジ等の固定部材によって底部に固定されている。
【0082】
第3筐体52には、枠体60の複数の被係合部と係合するための、複数の係合部が形成されている。複数の係合部は、枠体60の複数の被係合部と係合する凸状の爪片である。
【0083】
発光モジュール53は、光源53aと、基板53bとを有する。
【0084】
光源53aは、第1集光レンズ54及び第2集光レンズ55を介して、出射面部51の裏側から出射面部51に向けて光を照射する姿勢で、基板53bに実装される。光源53aは、例えば、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)で構成される。例えば、光源53aは、車両2内の電源(不図示)から得られる直流電力により駆動する。光源53aは、制御部からのON信号又はOFF信号に応じて、点灯又は消灯する。
【0085】
基板53bは、第1集光レンズ54、第2集光レンズ55及び透光カバー70側の面に光源53aを実装している。基板53bは、Z-Y平面に対してX軸プラス方向に下り傾斜する姿勢で第3筐体52に支持される。本実施の形態では、基板53bは、透光カバー70よりもX軸マイナス方向側に傾いている。なお、基板53bの裏面側(光源53a側とは反対側)には、ヒートシンクが固定されていてもよい。
【0086】
第1集光レンズ54は、光源53aから出射された光を第2集光レンズ55に向けて集光するレンズである。第1集光レンズ54は、ガラス及び透明樹脂等で構成されている。本実施の形態では、第1集光レンズ54は、凸状のレンズである。
【0087】
第1集光レンズ54は、光源53aから出射される出射方向側に配置され、光源53aと第2集光レンズ55との間の光路上に配置されている。本実施の形態では、第1集光レンズ54は、第1集光レンズ54の中心軸が光源53aの光軸と略一致する姿勢で第3筐体52に支持されている。
【0088】
第2集光レンズ55は、光源53aから出射された光を、第1集光レンズ54を介して出射面部51に向けて集光するレンズである。第2集光レンズ55から出射された光は、出射面部51の裏面全体に照射される。第2集光レンズ55は、ガラス及び透明樹脂等で構成されている。第2集光レンズ55は、凸状のレンズである。
【0089】
第2集光レンズ55は、光源53aから出射される出射方向側に配置され、出射面部51と第1集光レンズ54との間の光路上に配置されている。第2集光レンズ55は、第2集光レンズ55の中心軸が、第1集光レンズ54の中心軸と略一致する姿勢で、第3筐体52に支持されている。
【0090】
[動作]
このように構成されたヘッドアップディスプレイ装置1では、表示器50の光源53aが出射した光が第1集光レンズ54及び第2集光レンズ55を透過して、出射面部51の裏面の全面に照射される。これにより、出射面部51の表面である出射面51aからは、画像を含む表示光が出射される。表示器50の出射面51aから出射された表示光は、透光カバー70の裏面に入射して透過して、透光カバー70の表面から出射する。透光カバー70の表面から出射した表示光は、反射ミラー80に入射して反射し、コンバイナ41の投影面41aに投影される。つまり、このヘッドアップディスプレイ装置1では、虚像8である画像を含む表示光をコンバイナ41に投射することにより、ユーザ9に向けて反射させる。これにより、虚像8である画像がユーザ9から見てコンバイナ41に表示されることで、ユーザ9は、車両2の進行方向におけるフロントガラス3の前方の景色上に、虚像8である画像を重ね合わせて見ることができる。
【0091】
[作用効果]
次に、本実施の形態におけるヘッドアップディスプレイの作用効果について説明する。
【0092】
上述したように、本実施の形態に係るヘッドアップディスプレイ装置1は、コンバイナ41と、情報を表す表示光を出射する表示器50と、表示器50が出射した表示光をコンバイナ41に向けて反射する反射ミラー80と、表示器50及び反射ミラー80を収容する筐体10aと、表示器50と反射ミラー80との間の光路上に配置され、表示器50を覆う透光カバー70とを備える。そして、透光カバー70がコンバイナ41よりも鉛直下方側に配置されている場合において、透光カバー70は、外部から筐体10aの内部に入射した外光を反射ミラー80よりも鉛直下方側に向けて反射する姿勢で筐体10aに支持される。
【0093】
例えば、ヘッドアップディスプレイ装置の透光カバーに太陽光等の外光が入射した場合、透光カバーで反射し、反射ミラーで反射されることで迷光が発生する場合がある。この場合、迷光がコンバイナに入射して反射し、ユーザに照射されてしまうことがある。これにより、ユーザは眩しく感じるため、ユーザの視認性が損なわれてしまう。
【0094】
しかしながら、本実施の形態の
図9(
図9は、ヘッドアップディスプレイ装置に外光が入射した場合の様子を例示した模式断面図である。)に示すように、透光カバー70に外光が入射しても、透光カバー70が反射ミラー80よりも鉛直下方側に向けて反射するため、反射ミラー80に光が入射し難くなっている。つまり、このヘッドアップディスプレイ装置1では、透光カバー70で反射した光が反射ミラー80に入射し難い構成であるため、反射ミラー80で反射した光がコンバイナ41に入射し難くなる。また、ヘッドアップディスプレイ装置1を他の車両へ取付けることを考えると、コンバイナ41のチルト角度が変わるため、従来のように透光カバーが鉛直上方側に向けて外光を反射する構成では、透光カバーで反射した外光が反射ミラーを経由してコンバイナに入射し、ユーザへ向かう光路が生じやすくなる。しかし、本実施の形態におけるヘッドアップディスプレイ装置1では、透光カバー70が鉛直下方側に向けて外光を反射するため、上述の光路の発生を抑えることができる。
【0095】
したがって、このヘッドアップディスプレイ装置1では、外光による迷光がユーザ9に照射されることを抑制することができる。
【0096】
また、本実施の形態に係るヘッドアップディスプレイ装置1において、透光カバー70は、反射ミラー80よりも鉛直下方側に配置される。そして、反射ミラー80の鉛直下端と透光カバー70の鉛直上端とを結ぶ直線と、透光カバー70の反射ミラー80側の表面と平行な平面との鉛直上方側の角度θが90°未満である。
【0097】
例えば、この角度が90°以上であれば、透光カバーと反射ミラーとが対向する位置に配置されることとなる。つまり、鉛直方向において、透光カバーと反射ミラーとが同等の高さに位置することとなる。これでは、透光カバーに入射した外光が反射ミラーに向けて反射され易くなってしまう。その結果、反射ミラーで反射された外光がコンバイナに入射して反射されてしまい、ユーザに照射され易くなってしまう。
【0098】
しかし、本開示によれば、この角度θが90°未満となる位置に、透光カバー70が配置されるため、例えば透光カバー70が反射ミラー80よりも鉛直下方側に配置されることとなるため、透光カバー70に入射した外光が反射ミラー80に向けて反射され難くなる。つまり、このヘッドアップディスプレイ装置1では、透光カバー70で反射した光が反射ミラー80に、より入射し難い構成となるため、反射ミラー80で反射した光がコンバイナ41に、より入射し難くなる。このため、このヘッドアップディスプレイ装置1では、外光による迷光がユーザ9に照射されることを、より抑制することができる。
【0099】
また、本実施の形態に係るヘッドアップディスプレイ装置1は、表示器50は、表示光を出射する出射面51aを有する。そして、透光カバー70は、出射面51aと平行である。
【0100】
これによれば、表示器50の出射面51aから出射した表示光が透光カバー70で反射され難くなり、表示器50の出射面51aから出射した光が透光カバー70を透過し易くなる。このため、表示器50の出射面51aから出射した表示光がコンバイナ41に確実に入射させることができる。その結果、ユーザ9は、コンバイナ41に照射された表示光を確実に視認することができる。
【0101】
また、本実施の形態に係るヘッドアップディスプレイ装置1において、出射面51aから透光カバー70の反射ミラー80側の表面までの距離は、1mm以下である。
【0102】
例えば、出射面から透光カバーの表面までの距離が1mmよりも大きいと、表示光が、透光カバーと出射面との間で反射し易くなるため、コンバイナに二重像ないし多重像が形成され易くなる。
【0103】
しかし、本実施の形態によれば、透光カバー70と出射面51aとの間で表示光が反射することが抑制されるため、コンバイナ41に二重像ないし多重像が投影され難くなる。その結果、コンバイナ41におけるユーザ9の視認性が向上する。
【0104】
また、本実施の形態に係るヘッドアップディスプレイ装置1において、反射ミラー80の中心と表示器50の中心とを結ぶ直線H1から、表示器50の中心の反射ミラー80側における表示器50の出射面部51の出射面51aの法線H2に向ける方向K1は、表示器50から出射する直線偏光の偏光軸K2と同一の方向である。
【0105】
これによれば、表示器50の出射面部51は、Z軸プラス方向からX軸マイナス方向に向かって傾いた偏光軸K2を有する場合、出射面51aから直線H1に沿って出射した直線偏光は、透光カバー70にP偏光の表示光となって入射する。ここで、
図8は、透光カバー70に入射する表示光における、入射角と反射率との関係を示す図である。
図8に示すように、P偏光の表示光は、入射角φが大きくなると、透光カバー70で反射率が低下する傾向にある。このため、P偏光の表示光は、S偏光に比べ透光カバー70と出射面部51との間で反射すると、強度が低下してしまう。これにより、反射した表示光が透光カバー70から透過して反射ミラー80を介してコンバイナ41に入射しても、ユーザ9は、強度が低下した表示光を認識し難くなる。このため、コンバイナ41に二重像が投影され難くなる。その結果、コンバイナ41におけるユーザ9の視認性の低下を抑制することができる。
【0106】
(その他変形例等)
以上、本開示について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0107】
例えば、上記実施の形態に係るヘッドアップディスプレイ装置は、表示器から透光カバーを介して反射ミラーに表示光を投影するが、反射ミラーは、2個以上用いられてもよい。また、反射ミラーに加えて、又は、反射ミラーの代わりにレンズ等の他の光学部品が用いられてもよい。
【0108】
また、上記実施の形態に係るヘッドアップディスプレイ装置において、透光カバーは、透過する表示光の位相差を変更させてもよい。例えば、表示器から直線偏光の表示光が出射される場合、コンバイナがユーザに対して直線偏光の表示光を反射する。このときに、ユーザが偏光サングラス等の眼鏡をかけている場合、表示光の偏光軸によっては、ユーザがコンバイナで反射された表示光を視認することができなくなる場合がある。このため、透光カバーは、透過する表示光の位相差を2分の1波長ずらしたり、透過する表示光の偏光軸を回転させたりする機能を有していてもよい。
【0109】
その他、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【符号の説明】
【0110】
1 ヘッドアップディスプレイ装置
10a 筐体
41 コンバイナ
50 表示器
51a 出射面
70 透光カバー
80 反射ミラー