(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】まな板およびまな板の製造方法
(51)【国際特許分類】
A47J 47/00 20060101AFI20230630BHJP
B29C 45/14 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
A47J47/00 C
B29C45/14
(21)【出願番号】P 2019157413
(22)【出願日】2019-08-29
【審査請求日】2022-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】313014789
【氏名又は名称】新輝合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081949
【氏名又は名称】神保 欣正
(72)【発明者】
【氏名】山下 陽子
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-080439(JP,U)
【文献】特開2019-097997(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107518786(CN,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2013-0000214(KR,U)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0109452(KR,A)
【文献】登録実用新案第3138144(JP,U)
【文献】特開2019-088607(JP,A)
【文献】特開平10-243884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 39/00-47/20
B29C 45/00-45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
まな板の厚さより薄い厚さの凹凸の組み手を端部から突設したプラスチック製の2枚のまな板片の組み手同士を相互に嵌入して2枚のまな板片同士を組みつぎするとともに、まな板表面より凹陥した組みつぎ箇所を充填用プラスチックで埋めることを特徴とするまな板。
【請求項2】
各まな板片と組みつぎ箇所に成形される部分をそれぞれ異なる色彩とした請求項1記載のまな板。
【請求項3】
各まな板片と組みつぎ箇所に成形される部分をそれぞれ異なる材質とした請求項1または2記載のまな板。
【請求項4】
凹凸の組み手の凸部分の先端の幅とそれに対応する凹部分の根本の幅を広くすることにより、相互に嵌入した状態での抜け止めとした請求項1から3のいずれかに記載のまな板。
【請求項5】
プラスチック製の2枚のまな板片のそれぞれの端部からまな板の厚さより薄い厚さの凹凸の組み手を突設し、これらの組み手同士を相互に嵌入することにより、2枚のまな板片同士を組みつぎして1枚のまな板とし、インサート成形により、金型とまな板表面より凹陥した組みつぎ箇所に充填用プラスチックを流し込んで成形することを特徴とするまな板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明はキッチンで使用するためのプラスチック製のまな板に関し、より詳細には2枚のまな板片同士を接合して得られるまな板に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック製のまな板は通常、一体に成形して製造されるが、複数のまな板片の接合により製造すると次の利点を得られる。
(1) 各まな板片の色彩を変えることにより、例えば肉と野菜を一つのまな板で切る場合に、肉を切る箇所と野菜を切る箇所を色彩により識別できるので雑菌が移ることを防止でき衛生的である。
(2) 各まな板片のプラスチックの材質を例えば一方を軟質プラスチック、他方を硬質プラスチックといったように変えることにより、切る材料の性質により使用場所を選択することができ便利である。
【0003】
従来、複数のまな板片の接合により製造されるまな板は表裏のまな板片を貼り合わせたもの(特許文献1)や、二基の押出成形機により押出される異色のポリエチレン素材をT台において重合し、更に、数列の展圧ローラー群により表裏異色のポリエチレン板を成形し、該板をまな板に成形してなるもの(特許文献2)が公知であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭48-13349
【文献】特開昭62-277923
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術においては、表裏のまな板片の接合により1枚のまな板としたものがほとんどであり、左右のまな板片の接合により1枚のまな板としたものは一般的ではなかかった。
【0006】
その理由は、左右のまな板片の接合により1枚のまな板とする場合は、接合面はまな板片の端部となり、極めて狭く十分な接合強度を得られなかったからである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は以上の従来技術の問題点に鑑み、左右のまな板片の接合により1枚のまな板としても十分な強度を得られるまな板を提供することを目的として創作されたものである。
【0008】
すなわち、本願発明のまな板はまな板の厚さより薄い厚さの凹凸の組み手を端部から突設したプラスチック製の2枚のまな板片の組み手同士を相互に嵌入して2枚のまな板片同士を組みつぎするとともに、まな板表面より凹陥した組みつぎ箇所を充填用プラスチックで埋めることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、前記のまな板において、各まな板片と組みつぎ箇所に成形される部分をそれぞれ異なる色彩としたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項3記載の発明は、前記のまな板において、各まな板片と組みつぎ箇所に成形される部分をそれぞれ異なる材質としたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項4記載の発明は、前記のまな板において、凹凸の組み手の凸部分の先端の幅とそれに対応する凹部分の根本の幅を広くすることにより、相互に嵌入した状態での抜け止めとしたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項5記載の発明は、まな板の製造方法に関するもので、プラスチック製の2枚のまな板片のそれぞれの端部からまな板の厚さより薄い厚さの凹凸の組み手を突設し、これらの組み手同士を相互に嵌入することにより、2枚のまな板片同士を組みつぎして1枚のまな板とし、インサート成形により、金型とまな板表面より凹陥した組みつぎ箇所に充填用プラスチックを流し込んで成形することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本願発明のまな板によれば、左右のまな板片の接合はまな板の厚さより薄い厚さの凹凸の組み手同士を相互に嵌入して行い、さらにまな板表面より凹陥した組みつぎ箇所を充填用プラスチックで埋めるので極めて強固なものとなる。
【0014】
また、この場合、請求項4記載のように凹凸の組み手の凸部分の先端の幅とそれに対応する凹部分の根本の幅を広くすることにより、相互に嵌入した状態での抜け止めとすれば接合はより強固なものとなる。
【0015】
以上のように本願発明によれば、従来接合強度の問題で困難であった、左右のまな板片の接合によるまな板が実現されるので、各まな板片と組みつぎ箇所に成形される部分をそれぞれ異なる色彩とすることにより例えば肉と野菜を一つのまな板で切る場合に、肉を切る箇所と野菜を切る箇所を色彩により識別できるので雑菌が移ることを防止でき衛生なまな板が実現される。
【0016】
また、各まな板片のプラスチックの材質を例えば一方を軟質プラスチック、他方を硬質プラスチックといったように変えることにより、切る材料の性質により使用場所を選択することができるまな板が実現される。
【0017】
一方、まな板表面より凹陥した組みつぎ箇所を充填用プラスチックで埋めるので、この箇所が左右のまな板片の緩衝地帯として機能し、左右に使い分けた場合に材料が混ざり合うことが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本願発明のまな板の具体的実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1は本願発明のまな板の接合前の平面図である。本願発明のまな板は左右のまな板片1、2の接合により構成される。
【0020】
前記各まな板片1、2の端部には凹凸の組み手1A、2Aが突設される。これらの組み手1A、2Aはまな板の厚さより薄い厚さとすることにより、組み手同士を相互に嵌入して2枚のまな板片同士を組みつぎした際に、組みつぎ箇所に凹陥部が生じるようにしている。なお、この実施例においては凹凸の組み手1A、2Aの凸部分の先端の幅とそれに対応する凹部分の根本の幅を広くすることにより、相互に嵌入した状態での抜け止めとしている。
【0021】
前記各まな板片1、2は凹凸の組み手1A、2A同士を相互に嵌入して2枚のまな板片同士を組みつぎして一枚のまな板とする(
図2、
図5)。
【0022】
そして、前記のまな板はインサート成形により、金型とまな板表面より凹陥した組みつぎ箇所に充填用プラスチック3を流し込んでまな板が完成する(
図3、
図6)。
【0023】
前記のまな板において、この実施例では各まな板片1、2、充填用プラスチック3のそれぞれの色彩を別のものとすることにより3色まな板としている。
【0024】
また、各まな板片のプラスチックの材質を例えば一方を軟質プラスチック、他方を硬質プラスチックといったように変えてもよい。
【符号の説明】
【0025】
1 まな板片
1A 組み手
2 ノズル
2A まな板片
3 充填用プラスチック