(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】投影方法、投影装置、及び、投影システム
(51)【国際特許分類】
G09G 5/00 20060101AFI20230630BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20230630BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20230630BHJP
B25H 7/04 20060101ALI20230630BHJP
G09G 5/373 20060101ALI20230630BHJP
G09G 5/38 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
G09G5/00 550C
G09G5/00 510B
G09G5/00 510H
G03B21/00 D
G03B21/14 Z
B25H7/04 E
G09G5/373 300
G09G5/38
(21)【出願番号】P 2021542684
(86)(22)【出願日】2020-08-04
(86)【国際出願番号】 JP2020029850
(87)【国際公開番号】W WO2021039313
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2021-10-25
(31)【優先権主張番号】P 2019156176
(32)【優先日】2019-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】西 哲也
(72)【発明者】
【氏名】林 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】原 啓介
【審査官】武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-224516(JP,A)
【文献】特開2017-181342(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0055554(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/00 - 5/42
G03B 21/00 , 21/14
B25H 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影装置が実行する、建物のCADデータに含まれる図面データを建設中の前記建物の投影面に投影する投影方法であって、
前記投影装置が備える測距部を用いて、ユーザによって選択された、前記投影面上の3つ以上の点であって一直線に並ばない3つ以上の点のそれぞれから前記投影装置までの距離を計測する測距ステップと、
前記距離が計測されたときの前記測距部の角度を計測する測角ステップと、
計測された距離、及び、当該距離が計測されたときの前記測距部の角度に基づいて定まる前記投影面上の投影位置に、前記図面データを、前記CADデータにおいてあらかじめ定められた設計上の寸法で投影する投影ステップとを含み、
前記3つ以上の点のそれぞれは、(1)前記投影面上にあらかじめ描かれた交差する2本の直線上に位置するように前記ユーザにより直接的に選択された点であるか、または、(2)前記ユーザにより構造物の一端における点及び前記構造物の他端における点が指定されることで前記構造物の中心位置を示す中心線上に位置するように間接的に選択された点であり、
前記図面データにおいては、前記2本の直線、及び、前記中心線の位置が規定されている
投影方法。
【請求項2】
前記投影位置は、前記2本の直線の交点に前記図面データの所定点が重なるように定められる
請求項1に記載の投影方法。
【請求項3】
さらに、計測された距離、及び、当該距離が計測されたときの前記測距部の角度に基づいて、前記投影装置から前記投影面までの距離、及び、前記投影面の傾きを算出する算出ステップを含み、
前記投影ステップでは、算出された前記投影面の傾きに基づいて歪み補正された前記図面データを、算出された前記投影装置から前記投影面までの距離に基づいて定まる投影倍率で、前記投影位置に投影する
請求項1または2に記載の投影方法。
【請求項4】
投影装置が実行する、建物のCADデータに含まれる図面データを建設中の前記建物の投影面に投影する投影方法であって、
前記投影装置が備える測距部を用いて、ユーザによって選択された、前記投影面上の3つ以上の点であって一直線に並ばない3つ以上の点のそれぞれから前記投影装置までの距離を計測する測距ステップと、
前記距離が計測されたときの前記測距部の角度を計測する測角ステップと、
計測された距離、及び、当該距離が計測されたときの前記測距部の角度に基づいて定まる前記投影面上の投影位置に、前記図面データを実寸で投影する投影ステップとを含み、
前記3つ以上の点には、前記ユーザにより構造物の一端における点及び前記構造物の他端における点が指定されることで前記構造物の中心位置を示す中心線上に位置するように間接的に選択された点が含まれ、
前記測距ステップにおいては、前記構造物の一端における点、及び、前記構造物の他端における点のそれぞれから前記投影装置までの距離を計測し、計測した距離に基づいて前記間接的に選択された点までの距離を計算によって求める
投影方法。
【請求項5】
投影装置が実行する、建物のCADデータに含まれる図面データを建設中の前記建物の投影面に投影する投影方法であって、
前記投影装置が備える測距部を用いて、ユーザによって選択された、前記投影面上の3つ以上の点であって一直線に並ばない3つ以上の点のそれぞれから前記投影装置までの距離を計測する測距ステップと、
前記距離が計測されたときの前記測距部の角度を計測する測角ステップと、
計測された距離、及び、当該距離が計測されたときの前記測距部の角度に基づいて定まる前記投影面上の投影位置に、前記図面データを実寸で投影する投影ステップと、
前記3つ以上の点のいずれかを測距対象点として選択するために、前記投影装置が備える駆動部を駆動させて前記測距部の角度を変更する駆動ステップとを含み、
前記駆動部によって前記測距部の角度が変わる速度は、選択されている前記測距対象点から前記投影装置までの距離に応じて異なる
投影方法。
【請求項6】
さらに、
前記図面データを表示部に表示する表示ステップと、
前記2本の直線が、表示された前記図面データのどの部分に相当するかを指定するユーザの操作を受け付ける受付ステップとを含む
請求項1~
3のいずれか1項に記載の投影方法。
【請求項7】
さらに、ユーザによって選択された前記3つ以上の点の位置を示す確認用画像を投影する確認用画像投影ステップを含む
請求項1~
3のいずれか1項に記載の投影方法。
【請求項8】
前記確認用画像は、交差する2つの線分の画像である
請求項7に記載の投影方法。
【請求項9】
前記投影方法は、さらに、前記確認用画像によって示される前記3つ以上の点の位置が前記2本の直線上にくるように前記確認用画像の投影位置を調整する調整ステップを含む
請求項7または8に記載の投影方法。
【請求項10】
投影装置であって、
建物のCADデータに含まれる図面データを建設中の前記建物の投影面に投影する投影部と、
ユーザによって選択された、前記投影面上の3つ以上の点であって一直線に並ばない3つ以上の点のそれぞれから前記投影装置までの距離を計測する測距部と、
前記距離が計測されたときの前記測距部の角度を計測する測角部と、
前記投影部に、計測された距離、及び、当該距離が計測されたときの前記測距部の角度に基づいて定まる前記投影面上の投影位置へ前記図面データを、前記CADデータにおいてあらかじめ定められた設計上の寸法で投影させる制御部とを備え、
前記3つ以上の点のそれぞれは、(1)前記投影面上にあらかじめ描かれた交差する2本の直線上に位置するように前記ユーザにより直接的に選択された点であるか、または、(2)前記ユーザにより構造物の一端における点及び前記構造物の他端における点が指定されることで前記構造物の中心位置を示す中心線上に位置するように間接的に選択された点であり、
前記図面データにおいては、前記2本の直線、及び、前記中心線の位置が規定されている
投影装置。
【請求項11】
投影装置と、
ユーザが前記投影装置を遠隔操作するための操作装置とを備え、
前記投影装置は、
建物のCADデータに含まれる図面データを建設中の前記建物の投影面に投影する投影部と、
ユーザによって選択された、前記投影面上の3つ以上の点であって一直線に並ばない3つ以上の点のそれぞれから前記投影装置までの距離を計測する測距部と、
前記距離が計測されたときの前記測距部の角度を計測する測角部と、
前記投影部に、計測された距離、及び、当該距離が計測されたときの前記測距部の角度に基づいて定まる前記投影面上の投影位置へ前記図面データを、前記CADデータにおいてあらかじめ定められた設計上の寸法で投影させる制御部とを備え、
前記3つ以上の点のそれぞれは、(1)前記投影面上にあらかじめ描かれた交差する2本の直線上に位置するように前記ユーザにより直接的に選択された点であるか、または、(2)前記ユーザにより構造物の一端における点及び前記構造物の他端における点が指定されることで前記構造物の中心位置を示す中心線上に位置するように間接的に選択された点であり、
前記図面データにおいては、前記2本の直線、及び、前記中心線の位置が規定されている
投影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影方法、投影装置、及び、投影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スクリーンなどに画像を投影することができる投影装置が知られている。投影装置に関連する技術として、特許文献1には、設計案のオブジェクト及びオブジェクトデータを部屋の境界壁面に表示する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の方法においては、基準装置及び設計案との対応付けは、既知の参照オブジェクトを用いて行われる。したがって、複数の参照オブジェクトをあらかじめ内部空間の目立つ位置に配置する必要がある。
【0005】
本発明は、図面データ内の位置と、図面データが投影される投影面内の位置との紐づけを容易に行うことができる投影方法、投影装置、及び、投影システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る投影方法は、投影装置が実行する、建物の図面データを建設中の前記建物の投影面に投影する投影方法であって、前記投影装置が備える測距部を用いて、各々が、前記投影面上の平行でない2本の直線のいずれかの上に位置する3つ以上の点であって一直線に並ばない3つ以上の点のそれぞれから前記投影装置までの距離を計測する測距ステップと、前記距離が計測されたときの前記測距部の角度を計測する測角ステップと、計測された距離、及び、当該距離が計測されたときの前記測距部の角度に基づいて定まる前記投影面上の投影位置に、前記図面データを投影する投影ステップとを含む。
【0007】
本発明の一態様に係る投影装置は、投影装置であって、建物の図面データを建設中の前記建物の投影面に投影する投影部と、前記投影面上の平行でない2本の直線のいずれかの上に位置する3つ以上の点であって一直線に並ばない3つ以上の点のそれぞれから前記投影装置までの距離を計測する測距部と、前記距離が計測されたときの前記測距部の角度を計測する測角部と、前記投影部に、計測された距離、及び、当該距離が計測されたときの前記測距部の角度に基づいて定まる前記投影面上の投影位置へ前記図面データを投影させる制御部とを備える。
【0008】
本発明の一態様に係る投影システムは、前記投影装置と、ユーザが前記投影装置を遠隔操作するための操作装置とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の投影方法、投影装置、及び、投影システムは、図面データ内の位置と、図面データが投影される投影面内の位置との紐づけを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る投影システムの動作の概要を示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る投影システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る投影システムを構成する装置の外観図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る投影システムの動作例1のフローチャートである。
【
図5】
図5は、空間における直交座標の座標軸を示す図である。
【
図6】
図6は、正射影ベクトルの計算式を示す図である。
【
図7】
図7は、基準線が投影面に描かれていない空間を示す図である。
【
図8】
図8は、駆動部の駆動速度の変更を説明するための第一の図である。
【
図9】
図9は、駆動部の駆動速度の変更を説明するための第二の図である。
【
図10】
図10は、基準線の指定操作を受け付ける動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0013】
(実施の形態)
[概要]
まず、実施の形態に係る投影システムの概要について説明する。
図1は、実施の形態に係る投影システムの動作の概要を示す図である。
【0014】
実施の形態に係る投影システム10は、投影装置20を備える。投影装置20は、建築中の建物内の空間100内に設置される。投影装置20は、空間100を構成する構造物(具体的には、床、壁、または、天井など)に建築設計データの少なくとも一部である図面データを実寸大で投影する。図面データは、例えば、空間における墨出し位置を示すデータであり、建築作業を行う作業者などのユーザが墨出し線を引くべき位置に設計通りの長さの光のラインが投影される。
【0015】
これにより、ユーザは投影された光のラインをなぞるだけで容易に墨出し線を引くことができる。なお、光のラインが墨出し線を引くためのガイドとして使用されることは必須ではなく、光のラインそのものが墨出し線として用いられてもよい。
【0016】
なお、投影システム10は、建築設計データの一部または全部を投影できればよく、図面データは、墨出し位置を示すデータ以外のデータであってもよい。例えば、図面データにシステムキッチンまたはバスタブなどの設備の設置位置を示すデータが含まれる場合には、投影システム10は、設備の設置位置を実寸で投影してもよい。
【0017】
[構成]
次に、実施の形態に係る投影装置の構成について説明する。
図2は、投影システム10の機能構成を示すブロック図である。
図3は、投影システム10を構成する装置の外観図である。
図2及び
図3に示されるように、投影システム10は、投影装置20と、操作装置40とを備える。まず、投影装置20について説明する。
【0018】
投影装置20は、建築設計データの少なくとも一部である図面データを構造物に実寸で表示する装置である。構造物は、具体的には、床、壁、天井、または、柱などである。投影装置20は、例えば、三脚に取り付けられて床に設置される。投影装置20は、天井の吊りボルトに設置されてもよいし、壁に設置されてもよい。投影装置20は、通信部21と、測距部22と、投影部23と、制御部24と、記憶部25と、駆動部26と、測角部27と、取付部28(
図3に図示)と、筐体29(
図3に図示)とを備える。
【0019】
通信部21は、投影装置20が操作装置40と通信を行うための通信回路(言い換えれば、通信モジュール)である。通信部21は、操作装置40と無線通信を行うが、有線通信を行ってもよい。通信部21が行う通信の通信規格については特に限定されない。
【0020】
測距部22は、投影装置20から空間100を構成する構造物までの距離を検知する。測距部22は、例えば、TOF(Time Of Flight)センサなどの測距センサである。測距部22は、位相差検出方式を用いた測距センサ、または、三角測距方式を用いた測距センサなど、その他の測距センサであってもよい。測距部22は、測距用光源22a、及び、検知部22bを有する。
【0021】
測距用光源22aは、構造物に向けて光を発する光源である。測距用光源22aは、例えば、赤外光を発する発光素子によって実現されるが、可視光を発する発光素子によって実現されてもよい。なお、後述のように、測距部22は、現在の測距対象点をユーザに提示するためのレーザポインタ機能を有している。この機能は、例えば、測距用光源22aとは別の光源によって実現されるが、測距用光源22aが可視光を発する場合には、測距用光源22aによって実現されてもよい。
【0022】
また、測距用光源22aは、必ずしも投影部23が有する光源23aと別体である必要はなく、投影部23が有する光源23aが測距用光源22aとして用いられてもよい。つまり、測距部22は、測距用光源22aを有しておらず、検知部22bのみを有するセンサであってもよい。
【0023】
検知部22bは、測距用光源22aが発した光の構造物における反射光を検知する受光素子である。検知部22bは、フォトダイオードなどによって実現される。
【0024】
投影部23は、図面データを投影面50に投影するための投影モジュールである。投影部23は、光源23a、及び、走査部23bを有する。なお、図示されないが投影部23は、その他に、レンズ、ミラー等の光学部品などを含む。
【0025】
光源23aは、例えば、半導体発光素子によって実現されるレーザ光源である。なお、光源23aは、発光色が異なる複数の発光素子(例えば、赤色発光素子、緑色発光素子、及び、青色発光素子)を含み、発光色を切り替えられる構成であってもよい。
【0026】
走査部23bは、光源23aが発する光を構造物上で走査する。走査部23bは、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーによって実現される。
【0027】
制御部24は、投影面50に図面データを投影するために、測距部22、投影部23、及び、駆動部26を制御する制御装置である。制御部24は、例えば、マイクロコンピュータ、または、プロセッサによって実現される。また、制御部24には、投影部23を駆動するための駆動回路、及び、駆動部26を駆動するための駆動回路が含まれてもよい。
【0028】
記憶部25は、制御部24によって実行される、図面データ、及び、図面データを実寸で投影するための制御プログラムが記憶された記憶装置である。記憶部25は、半導体メモリなどによって実現される。
【0029】
駆動部26は、投影装置20の向き(言い換えれば、測距部22の向き、角度)を変更するための駆動機構である。駆動部26は、より詳細には、取付部28を基準に筐体29の向きを変更する。駆動部26は、投影装置20の向きをチルト方向に変更するための第一駆動部26aと、投影装置20の向きをパン方向に変更するための第二駆動部26bとを有する。第一駆動部26a、及び、第二駆動部26bのそれぞれは、モータなどの回転駆動装置によって実現される。なお、駆動部26は、投影装置20の向きをロール方向に変更するための第三駆動部を有していてもよい。また、駆動部26は、ボール状の関節を有するような機構であってもよい。
【0030】
測角部27は、投影装置20の向き(言い換えれば、測距部22の向き、角度)を計測する。測角部27は、具体的には、駆動部26の駆動量(つまり、チルト角及びパン角)を計測する角度センサである。なお、駆動部26が、投影装置20の向きをロール方向に変更するための第三駆動部を有している場合、測角部27は、駆動部26の駆動量として、ロール角を計測してもよい。
【0031】
取付部28は、投影装置20を三脚に取り付けるための取り付け構造である。なお、投影装置20は、天井の吊りボルトに取り付けられてもよく、この場合、取付部28は、投影装置20を天井に取り付けるための取り付け構造である。
【0032】
筐体29は、通信部21、測距部22、投影部23、制御部24、及び、記憶部25を収容する筐体である。筐体29は、例えば、樹脂によって形成されるが、金属によって形成されてもよい。
【0033】
次に、操作装置40について説明する。操作装置40は、ユーザが投影装置20を遠隔操作するためのリモートコントローラである。操作装置40は、例えば、投影装置20の専用リモートコントローラである。専用のアプリケーションプログラムがインストールされたスマートフォンまたはタブレット端末などの携帯端末が操作装置40として用いられてもよい。操作装置40は、具体的には、操作受付部41と、通信部42と、制御部43と、記憶部44と、表示部45とを備える。
【0034】
操作受付部41は、ユーザの操作を受け付けるユーザインターフェース装置である。操作受付部41は、例えば、ハードウェアボタンによって実現されるが、タッチパネルなどによって実現されてもよい。
【0035】
通信部42は、操作装置40が投影装置20と通信を行うための通信回路(言い換えれば、通信モジュール)である。通信部42は、投影装置20と無線通信を行うが、有線通信を行ってもよい。通信部42が行う通信の通信規格については特に限定されない。
【0036】
制御部43は、操作受付部41によって受け付けられた操作に応じて投影装置20を動作させるための指示信号を通信部42に投影装置20へ送信させる。制御部43は、例えば、マイクロコンピュータ、または、プロセッサによって実現される。
【0037】
記憶部44は、制御部43によって実行される制御プログラムが記憶された記憶装置である。記憶部44は、半導体メモリなどによって実現される。記憶部44には、建築設計データも記憶される。
【0038】
建築設計データは、空間100の大きさ、及び、形状を示す3次元データ(より具体的には、3次元CADデータ)である。建築設計データには、空間100の間取りを示す図面データ(2次元データ)、及び、墨出し位置を示す図面データなども含まれる。なお、建築設計データのうち少なくとも図面データは、投影装置20の記憶部25にも記憶される。
【0039】
表示部45は、投影装置20の動作状況などを示す画面を表示する。表示部45は、液晶パネルまたは有機ELパネルなどによって実現される。
【0040】
[動作例1]
図面データを正確に投影するためには、図面データ内の位置と投影面50内の位置との紐づけが重要となる。このような位置の紐付けるための処理を含む、投影システム10の動作例1について説明する。
図4は、投影システム10の動作例1のフローチャートである。
【0041】
なお、以下の動作例1の説明では、空間100において、
図5に示されるように直交座標の座標軸が設定される。
図5は、空間100における直交座標の座標軸を示す図である。
図5に示される座標軸は、投影装置20の位置(より詳細には、投影装置20内の測距部22及び投影部23の周辺の所定位置)を原点Oとして定められている。
【0042】
また、以下の動作例1の説明において、投影面50は、床面であり、床面には2つの基準線L1、L2が描かれている。2つの基準線L1、L2は、例えば、ユーザによって描かれる。2つの基準線L1、L2は、例えば、直交し、2つの基準線L1、L2の交点の位置は、基準点Dである。基準点Dは、図面データ中の所定点が投影されるべき点である。なお、基準線L1、L2は、図面データ内で位置が規定されており、図面データ内の位置と投影面50内の位置との紐づけに利用できる。2つの基準線L1、L2が直交していることは必須ではなく、2つの基準線L1、L2は交差していればよい(平行でなければよい)。
【0043】
まず、ユーザは、投影装置20を空間100に設置し、投影面50上の3つの測距対象点(以下、計測点とも記載される)のそれぞれから投影装置20までの距離の計測を行う(S11)。なお、ユーザは、少なくとも3つの測距対象点のそれぞれから投影装置20までの距離の計測を行えばよい。ユーザは、3つ以上の測距対象点のそれぞれから投影装置20までの距離の計測を行ってもよい。
【0044】
例えば、投影装置20の測距部22は、投影面50上の計測点をレーザポインタによってユーザに提示している。ユーザは、駆動部26を駆動させてレーザポインタを基準線L1(または基準線L2)上に合わせ、この状態で距離の計測(保存)を指示する計測指示操作を行う。そうすると、計測点から投影装置20までの距離が、計測指示操作が指示されたときのパン角φ及びチルト角θと合わせて記憶部25に記憶される。なお、パン角φ及びチルト角θは、測角部27によって計測される。ユーザによってこのような作業が3度繰り返されれば、投影面50上の互いに異なる3つの計測点それぞれから投影装置20までの距離r、並びに、そのときのパン角φ及びチルト角θが記憶部25に記憶される。
【0045】
次に、制御部24は、記憶された情報(つまり、距離の計測結果)に基づいて、3つの計測点の直交座標(xyz座標)を算出する(S12)。記憶部25に記憶された3つの計測点それぞれから投影装置20までの距離r、並びに、そのときのパン角φ及びチルト角θは3つの計測点の極座標を示しており、制御部24は、この極座標を以下の式1に基づいて、直交座標(xyz座標)に変換することができる。
【0046】
【0047】
次に、制御部24は、3つの計測点の直交座標に基づいて、基準点Dの直交座標を算出する(S13)。
図5に示されるように、3つの計測点を計測点A、計測点B、及び、計測点Cとすると、制御部24は、
図6に示される正射影ベクトルの計算式に基づいて、基準点Dの座標を算出することができる。
図6は、正射影ベクトルの計算式を示す図である。なお、計測点A、計測点B、及び、計測点Cのうちの一つが基準点Dと同じ点であるような場合には、ステップS13の処理は省略される。
【0048】
次に、制御部24は、投影装置20から投影面50(つまり、計測点A、計測点B、及び、計測点Cを通る平面)までの距離、及び、投影装置20に対する投影面50の傾きを算出する(S14)。投影面50の方程式をax+by+cz=dとし、計測点Aの座標を(xa、ya、za)、計測点Bの座標を(xb、yb、zb)、計測点Cの座標を(xc、yc、zc)とすると、下記の式2(行列式)が成立する。制御部24は、この式2を式3のように変形することで、投影面50の法線ベクトルn=(a,b,c)を算出する。法線ベクトルnは、直交座標における投影面50の傾きを示し、法線ベクトルnの長さは、投影装置20から投影面50までの距離を示す。つまり、法線ベクトルを算出することは、投影装置20から投影面50までの距離、及び、投影装置20に対する投影面50の傾きを算出することと等価である。
【0049】
【0050】
次に、制御部24は、算出された投影装置20から投影面50までの距離、及び、算出された投影面50の傾きに基づいて図面データを投影部23に投影面50へ投影させる(S15)。制御部24は、具体的には、算出された投影面50の傾きに応じて図面データの歪みを補正し、算出された投影面50までの距離に基づいて図面データの投影倍率を補正する。
【0051】
また、図面データには、基準線の位置情報が含まれる。そして、制御部24は、補正後の図面データ中の基準線L1、L2が投影面の基準線L1、L2と重なり、かつ、算出された基準点Dの座標に補正後の図面データの所定点が重なるように(つまり、投影位置を決定して)、補正後の図面データを投影部23に投影面50へ投影させる。これにより、図面データは実寸で投影面50に投影される。
【0052】
以上説明したように、投影システム10は、図面データにおいて位置が規定されている、投影面の基準線L1、L2上の点を計測点(座標が特定される点)として使用する。このため、投影システム10は、図面データ内の位置と投影面50内の位置との紐づけを容易に行うことができる。
【0053】
[変形例1]
上記動作例1では、2本の直線は、投影面50上にあらかじめ目印として描かれた直交する2本の基準線L1、L2であった。しかしながら、基準線L1、L2が投影面50に描かれていない場合も想定される。
図7は、基準線L1、L2が投影面50に描かれていない空間100を示す図である。
【0054】
図7の例では、例えば、投影面50に2つの梁が交差するように配置される。基準点Dは、梁の中心位置を示す中心線の交点となる。この中心線は、投影面50に描かれていない仮想的な線であるが、図面データにおいて位置が規定されている線である。
【0055】
このように、基準線L1、L2が投影面50に描かれていない場合には、投影装置20は、中心線上の計測点Eまでの距離を間接的に計測してもよい。
【0056】
例えば、投影装置20の測距部22は、投影面50上の計測対象点をレーザポインタによってユーザに提示する。ユーザは、駆動部26を駆動させてレーザポインタを梁の一端(例えば、点E1)に合わせ、この状態で距離の計測(保存)を指示する計測指示操作を行う。そうすると、点E1から投影装置20までの距離が、計測指示操作が指示されたときのパン角φ及びチルト角θと合わせて記憶部25に記憶される。
【0057】
同様に、ユーザは、駆動部26を駆動させてレーザポインタを梁の他端(例えば、点E2)に合わせ、この状態で距離の計測(保存)を指示する計測指示操作を行う。そうすると、点E2から投影装置20までの距離が、計測指示操作が指示されたときのパン角φ及びチルト角θと合わせて記憶部25に記憶される。
【0058】
その後、制御部24(または測距部22)は、点E1の極座標と、点E2の極座標の中点の極座標を計測点Eの極座標として算出する。
【0059】
このように、測距部22は、梁の一端における点E1、及び、梁の他端における点E2のそれぞれから投影装置20までの距離を計測し、制御部24は、計測した距離に基づいて中心線上の点までの距離を計算によって求めることにより、中心線上の点Eから投影装置20までの距離を間接的に計測してもよい。なお、梁は、構造物の一例である。梁以外の他の構造物の中心線上の点から投影装置20までの距離が間接的に計測されてもよい。
【0060】
このような投影システム10は、図面データにおいて位置が規定されている、中心線上の点を計測点(座標が特定される点)として使用するため、図面データ内の位置と投影面50内の位置との紐づけを容易に行うことができる。
【0061】
[変形例2]
ところで、測距部22のレーザポインタを基準線L1、L2上の点に合わせるとき(言い換えれば、ユーザが測距対象点を選択するとき)には、駆動部26によって測距部22の向きが変更される。このとき、測距部22は、測距対象点までの距離を常時計測し、制御部24は、駆動部26の回転駆動速度を、測距部22が計測した距離に応じて変更してもよい。つまり、駆動部26によって投影装置20の向きが変わる速度は、選択されている測距対象点から投影装置20までの距離に応じて異なってもよい。
図8及び
図9は、駆動部26の駆動速度の変更を説明するための図である。
【0062】
図8に示されるように、測距部22の計測する距離が距離r1であるときには、駆動部26の駆動速度は、v1である。これに対し、
図9に示されるように、測距部22が計測する距離が距離r1よりも長い距離r2であるときには、駆動部26の駆動速度は、v1よりも遅いv2となる。このように制御部24は、測距部22によって計測されている距離が長いほど、駆動部26を遅い駆動速度で駆動させる。言い換えれば、制御部24は、測距部22によって計測されている距離が長いほど、測距部22の向きが変わる速度を遅くする。なお、
図8では、一例として第二駆動部26bによるパン方向の駆動速度が矢印で図示されているが、第一駆動部26aのチルト方向の駆動速度についても同様に変更される。
【0063】
これにより、測距部22によって計測されている距離が長いときに、測定位置が変化しにくくなるため、ユーザがレーザポインタを合わせる作業が容易になる。
【0064】
[変形例3]
巨大な建物内の空間100は大きいため、ユーザは、空間100内で投影装置20の位置を変えて図面データを投影する、という作業を繰り返す必要がある。空間100内に同じような構造の場所がたくさんあるような場合、動作例1のような動作だけでは、図面データ内の位置と投影面50内の位置との紐付けが難しい場合がある。例えば、正しい紐付けを行うために膨大な計算を行わなければならない場合がある。
【0065】
このような場合、ユーザは操作装置40へ作業中の場所を入力することで、作業中の場所(例えば、測距対象の基準線L1、L2の位置など)を投影装置20に指定してもよい。
図10は、基準線の指定操作を受け付ける動作のフローチャートである。
【0066】
図10に示されるように、操作装置40の表示部45は、図面データを表示し(S21)、操作受付部41は表示中の図面データ内の基準線の指定操作を受け付ける(S22)。制御部43は通信部42に指定結果を投影装置20へ送信させる(S23)。ユーザによって、測距対象の基準線L1、L2が表示された図面データのどの部分に相当するかが指定されれば、投影装置20は図面データ内の基準線を認識することで、図面データ内の位置と投影面50内の位置との紐付けを容易に行うことができる。
【0067】
[変形例4]
上述のように3つの計測点は、測距部22のレーザポインタ機能などを利用してユーザが選択する。このため、投影面50に描かれた基準線とずれてしまう場合がある。そこで、ユーザが3つの計測点を選択した後に、選択した3つの計測点の位置を示す確認用画像が投影されてもよい。
図11は、このような確認用画像の一例を示す図である。
図11は、投影面50に垂直な方向から投影面50に描かれた基準線L1、L2と、確認用画像とを見た図である。
【0068】
図11に示されるように、確認用画像Iは、3つの計測点によって定まるL字線(3つの計測点を通るL字線)であり、投影部23によって投影される。つまり、確認用画像は、交差する2つの線分の画像である。なお、確認用画像Iは、3つの計測点の位置を示す画像であればよく、例えば、3つの計測点の位置を直接的に示す3つの丸印などであってもよい。確認用画像Iは、3つの計測点の位置を示すのであればどのような画像であってもよい。
【0069】
図11の(a)に示されるように、確認用画像Iによれば、ユーザは、3つの計測点と基準線L1、L2のずれとを容易に認識することができる。
【0070】
ここで、
図11の(a)のように、3つの計測点と基準線L1、L2とがずれている場合には、もう一度3つの計測点までの距離の計測(言い換えれば、3つの計測点の選択)がやり直されてもよいが、制御部24は、確認用画像Iによって示される2本の線分の位置が2本の基準線上にくるように確認用画像Iの投影位置を調整し、調整結果に応じて図面データの投影位置を補正してもよい。
【0071】
例えば、制御部24は、操作装置40の操作受付部41がユーザから調整操作を受け付けるごとに確認用画像Iの投影位置を微調整する。微調整が繰り返された結果、
図11の(b)のように確認用画像が基準線L1、L2に重なると、操作受付部41は、ユーザから調整完了操作を受け付ける。制御部24は、調整開始から調整完了までの調整量を記憶部25に記憶しておき、この調整量を考慮して図面データを投影部23に投影させる。これにより、ユーザは、3つの計測点までの距離の計測をやり直すことなく、図面データを投影面50に投影することができる。
【0072】
[効果等]
以上説明したように、投影装置20が実行する、建物の図面データを建設中の建物の投影面に投影する投影方法は、投影装置20が備える測距部22を用いて、各々が、投影面50上の平行でない2本の直線のいずれかの上に位置する3つ以上の点であって一直線に並ばない3つ以上の点のそれぞれから投影装置20までの距離を計測する測距ステップ(S11)と、距離が計測されたときの測距部22の角度(例えば、パン角及びチルト角)を計測する測角ステップと、計測された距離、及び、当該距離が計測されたときの測距部22の角度に基づいて定まる投影面50上の投影位置に、図面データを投影する投影ステップ(S15)とを含む。
【0073】
このような投影方法は、図面データ内で2本の線の位置が規定されているときには、投影面の基準線L1、L2上の点を計測点(座標が特定される点)として使用することで、図面データ内の位置と投影面50内の位置との紐づけを容易に行うことができる。
【0074】
また、投影位置は、2本の直線の交点に図面データの所定点が重なるように定められる。
【0075】
このような投影方法は、2本の直線の交点の位置を利用することで、図面データ内の位置と投影面50内の位置との紐づけを容易に行うことができる。
【0076】
また、投影方法は、さらに、計測された距離、及び、当該距離が計測されたときの測距部22の角度に基づいて、投影装置20から投影面50までの距離、及び、投影面50の傾きを算出する算出ステップ(S14)を含む。投影ステップ(S15)では、算出された投影面50の傾きに基づいて歪み補正された図面データを、算出された投影装置20から投影面50までの距離に基づいて定まる投影倍率で、投影位置に投影する。
【0077】
このような投影方法は、図面データを実寸で投影することができる。
【0078】
また、2本の直線は、投影面50上にあらかじめ描かれた直交する2本の直線である。
【0079】
このような投影方法では、ユーザは、2本の直線を目視で確認できるため、容易に2本の直線上に計測点を設定することができる。
【0080】
また、変形例1では、2本の直線の少なくとも1つは、構造物の中心位置を示す中心線であって、投影面50に描かれていない仮想的な中心線であり、3つ以上の点の少なくとも1つは、中心線上に位置する。測距ステップ(S11)においては、構造物の一端における点、及び、構造物の他端における点のそれぞれから投影装置20までの距離を計測し、計測した距離に基づいて中心線上の点までの距離を計算によって求めることにより、3つ以上の点の少なくとも1つから投影装置20までの距離を間接的に計測する。
【0081】
このような投影方法では、ユーザは、2本の直線を目視で確認できない場合も、2本の直線上に計測点を設定することができる。
【0082】
また、変形例2では、投影方法は、さらに、3つ以上の点のいずれかを測距対象点として選択するために、投影装置20が備える駆動部26を駆動させて測距部22の角度を変更する駆動ステップ(
図8及び
図9)を含む。駆動部26によって測距部22の角度が変わる速度は、選択されている測距対象点から投影装置20までの距離に応じて異なる。
【0083】
このような投影方法によれば、測距部22によって計測されている距離が長いほど、測距部22の角度が変わる速度を遅くすることで、測定位置が変化しにくくなるため、ユーザが測距対象点を設定する作業が容易になる。
【0084】
また、変形例3では、投影方法は、さらに、図面データを表示部45に表示する表示ステップ(S21)と、2本の直線が、表示された図面データのどの部分に相当するかを指定するユーザの操作を受け付ける受付ステップ(S22)とを含む。
【0085】
このような投影方法は、ユーザの指定によって投影装置20は図面データ内の2本の線の位置を認識することで、図面データ内の位置と投影面50内の位置との紐付けを容易に行うことができる。
【0086】
また、変形例4では、投影方法は、さらに、2本の直線の位置を示す確認用画像Iを投影する確認用画像投影ステップ(
図11の(a))を含む。
【0087】
このような投影方法によれば、ユーザは、容易に2本の直線の位置を確認することができる。
【0088】
また、変形例4では、確認用画像Iは、交差する2つの線分の画像である。
【0089】
このような投影方法によれば、ユーザは、容易に2本の直線の位置を確認することができる。
【0090】
また、変形例4では、投影面50には、2本の基準線があらかじめ描かれ、投影方法は、さらに、確認用画像Iによって示される2本の直線の位置が2本の基準線上にくるように確認用画像Iの投影位置を調整する調整ステップ(
図11の(b))を含む。
【0091】
このような投影方法は、調整結果に応じて図面データの投影位置を補正することができる。
【0092】
また、投影装置20は、建物の図面データを建設中の建物の投影面に投影する投影部23と、投影面50上の平行でない2本の直線のいずれかの上に位置する3つ以上の点であって一直線に並ばない3つ以上の点のそれぞれから投影装置20までの距離を計測する測距部22と、距離が計測されたときの測距部22の角度を計測する測角部27と、投影部23に、計測された距離、及び、当該距離が計測されたときの測距部22の角度に基づいて定まる投影面50上の投影位置へ図面データを投影させる制御部24とを備える。
【0093】
このような投影装置20は、図面データ内で2本の線の位置が規定されているときには、投影面の基準線L1、L2上の点を計測点(座標が特定される点)として使用することで、図面データ内の位置と投影面50内の位置との紐づけを容易に行うことができる。
【0094】
また、投影システム10は、投影装置20と、ユーザが投影装置20を遠隔操作するための操作装置40とを備える。
【0095】
このような投影システム10は、図面データ内で2本の線の位置が規定されているときには、投影面の基準線L1、L2上の点を計測点(座標が特定される点)として使用することで、図面データ内の位置と投影面50内の位置との紐づけを容易に行うことができる。
【0096】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0097】
例えば、上記実施の形態では、レーザ走査方式の投影装置について説明されたが、本発明は、他の方式の投影装置として実現されてもよい。投影装置は、建築設計データの少なくとも一部を実寸で投影面に投影できればよい。
【0098】
また、上記実施の形態において、投影システムは、投影装置と、操作装置とを備えた。しかしながら、投影システムは、単一の装置として実現されてもよい。また、投影システムは、クライアントサーバシステムとして実現されてもよく、この場合、上記実施の形態で投影装置が行うと説明された処理の一部がサーバ装置によって行われる。
【0099】
また、上記実施の形態のフローチャートで説明された処理の順序は、一例である。複数の処理の順序は変更されてもよいし、複数の処理は並行して実行されてもよい。
【0100】
また、上記実施の形態における装置間の通信方法については特に限定されるものではない。装置間では、無線通信が行われてもよいし、有線通信が行われてもよい。また、装置間では、無線通信及び有線通信が組み合わされてもよい。また、上記実施の形態において2つの装置が通信を行う場合、2つの装置間には図示されない中継装置が介在してもよい。
【0101】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0102】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0103】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0104】
例えば、本発明は、投影方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。また、本発明は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0105】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0106】
10 投影システム
20 投影装置
22 測距部
23 投影部
26 駆動部
27 測角部
40 操作装置
45 表示部
50 投影面