(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】制御システム、及び、制御方法
(51)【国際特許分類】
F04D 27/00 20060101AFI20230630BHJP
F24F 11/74 20180101ALI20230630BHJP
F24F 11/79 20180101ALI20230630BHJP
F24F 11/80 20180101ALI20230630BHJP
【FI】
F04D27/00 P
F04D27/00 101Y
F04D27/00 101H
F24F11/74
F24F11/79
F24F11/80
(21)【出願番号】P 2022509918
(86)(22)【出願日】2021-03-11
(86)【国際出願番号】 JP2021009913
(87)【国際公開番号】W WO2021193123
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-08-08
(31)【優先権主張番号】P 2020058975
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】中川 朋美
(72)【発明者】
【氏名】岩川 幹生
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-148172(JP,A)
【文献】特開2019-148171(JP,A)
【文献】特開2010-276324(JP,A)
【文献】特開平5-280784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 27/00
F24F 11/74
F24F 11/79
F24F 11/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に並ぶ複数の箇所における対応するそれぞれの箇所に向けて空気を送風する複数の送風部と、
前記空気が送風される方向に存在するユーザを検知する検知部と、
前記検知部からの検知結果に基づいて、前記複数の送風部に対する前記ユーザの水平方向における横幅を導出する導出部と、
導出された前記ユーザの前記横幅に基づいて、前記横幅の水平方向における両端及び中央のそれぞれにおける送風態様を決定する決定部と、
決定された前記送風態様に基づいて、前記複数の送風部のそれぞれの動作を制御する制御部と、
を備える、
制御システム。
【請求項2】
前記複数の送風部のそれぞれには、一の側面に高圧空気を吹き出す吹出口を有する
少なくとも2つのノズルが
、前記一の側面が同一平面となるように隙間を設けて配置され、
前記複数の送風部のそれぞれは、前記吹出口から吹き出される前記高圧空気により前記隙間に誘引される前記空気を前記複数の箇所における対応するそれぞれの箇所に向けて送風し、
前記制御部は、前記複数の送風部のそれぞれの動作の制御において前記吹出口から吹き出される前記高圧空気の量を調整することにより、前記空気の送風量を制御する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記制御部は、さらに、前記吹出口から吹き出される前記高圧空気の向きを調整することにより、前記空気の向きを制御する、
請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記導出部は、さらに、前記検知結果から、前記ユーザの縦幅を導出し、
前記決定部は、さらに、導出された前記ユーザの前記縦幅に基づいて、前記送風態様を決定する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項5】
前記導出部は、さらに、前記検知結果から、前記ユーザの表面温度を導出し、
前記決定部は、さらに、導出された前記ユーザの前記表面温度に基づいて、前記送風態様を決定する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項6】
前記制御システムは、さらに、前記ユーザの周囲の温度をセンシングする温度センサを備え、
前記決定部は、さらに、センシングされた前記ユーザの周囲の温度に基づいて、前記送風態様を決定する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項7】
前記複数の送風部のそれぞれは、さらに、前記空気の温度を調整する温度調整部を有し、
前記制御部は、前記複数の送風部のそれぞれの動作の制御において前記温度調整部に前記空気の温度を調整させる、
請求項1~6のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項8】
前記制御システムは、さらに、前記ユーザが望む温冷感に関する情報及び前記ユーザが望む気分に関する情報の
うちの少なくとも一方の情報の入力を受け付ける受付部を備え、
前記決定部は、さらに、前記受付部
により入力が受け付けられた前記
少なくとも一方の情報に基づいて、前記送風態様を決定する、
請求項1~7のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項9】
前記決定部は、
前記ユーザが望む気分に関する情報がリラックスを求める情報である場合、前記ユーザの前記横幅の中央における前記空気の風量に対する前記横幅の両端における前記空気の風量の比率が大きくなるように、前記送風態様を決定し、
前記ユーザが望む気分に関する情報が覚醒を求める情報である場合、前記比率が小さくなるように、前記送風態様を決定する、
請求項8に記載の制御システム。
【請求項10】
前記決定部は、前記受付部により新た
な情報の入力が受け付けられた場合、前記新たな情報に基づいて、前記送風態様を変更し、
前記制御部は、変更された前記送風態様に基づいて、前記複数の送風部のそれぞれの動作を制御する、
請求項8に記載の制御システム。
【請求項11】
前記制御システムは、さらに、照明部を備え、
前記決定部は、さらに、前記受付部
により入力が受け付けられた前記
少なくとも一方の情報に基づいて、前記照明部の照明態様を決定し、
前記制御部は、決定された前記照明態様に基づいて、前記照明部から放出される光の色度及び強度の少なくとも1つを制御する、
請求項8に記載の制御システム。
【請求項12】
前記制御システムは、さらに、音響部を備え、
前記決定部は、さらに、前記受付部
により入力が受け付けられた前記
少なくとも一方の情報に基づいて、前記音響部の音響態様を決定し、
前記制御部は、さらに、決定された前記音響態様に基づいて、前記音響部から再生される音の種類、音量、及び、再生速度の少なくとも1つを制御する、
請求項8に記載の制御システム。
【請求項13】
前記制御システムは、さらに、加湿部を備える、
請求項1~12のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項14】
水平方向に並ぶ複数の箇所における対応するそれぞれの箇所に向けて空気を送風する複数の送風部を備える送風装置の制御方法であって、
前記送風装置から前記空気が送風される方向に存在するユーザを検知し、
検知した結果に基づいて、前記複数の送風部に対する前記ユーザの水平方向における横幅を導出し、
導出された前記ユーザの前記横幅に基づいて、前記横幅の水平方向における両端及び中央のそれぞれにおける送風態様を決定し、
決定された前記送風態様に基づいて、前記複数の送風部のそれぞれの動作を制御する、
制御方法。
【請求項15】
請求項14に記載の制御方法をコンピュータに実行させるための、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御システム、及び、制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内の温度分布及び室内における人物の位置情報を計測することで、快適空調を行う技術が提案されている。例えば、特許文献1には、室内における人物の位置を検出し、当該人物の位置に応じて室内の温度及び気流の制御を行うことにより、快適な空調制御を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の従来技術では、人物に応じた快適な空調制御を行っているとは言い難い。
【0005】
本発明は、人物に応じた快適な空調制御を行うことができる制御システム、及び、制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る制御システムは、水平方向に並ぶ複数の箇所における対応するそれぞれの箇所に向けて空気を送風する複数の送風部と、前記空気が送風される方向に存在するユーザを検知する検知部と、前記検知部からの検知結果に基づいて、前記複数の送風部に対する前記ユーザの水平方向における横幅を導出する導出部と、導出された前記ユーザの前記横幅に基づいて、前記横幅の水平方向における両端及び中央のそれぞれにおける送風態様を決定する決定部と、決定された前記送風態様に基づいて、前記複数の送風部のそれぞれの動作を制御する制御部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係る制御方法は、水平方向に並ぶ複数の箇所における対応するそれぞれの箇所に向けて空気を送風する複数の送風部を備える送風装置の制御方法であって、前記送風装置から前記空気が送風される方向に存在するユーザを検知し、検知した結果に基づいて、前記複数の送風部に対する前記ユーザの水平方向における横幅を導出し、導出された前記ユーザの前記横幅に基づいて、前記横幅の水平方向における両端及び中央のそれぞれにおける送風態様を決定し、決定された前記送風態様に基づいて、前記複数の送風部のそれぞれの動作を制御する。
【0008】
本発明の一態様に係るプログラムは、前記制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、人物に応じた快適な空調制御を行うことができる制御システム及び制御方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る制御システムの概要を示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る制御システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態における送風装置の構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る制御システムの動作例1のフローチャートである。
【
図5】
図5は、ユーザの横幅に基づく送風制御の例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る制御システムの動作例2のフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施の形態に係る制御システムの動作例3のフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施の形態に係る制御システムの動作例4のフローチャートである。
【
図9】
図9は、実験例1の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0013】
(実施の形態)
[1.概要]
まず、実施の形態に係る制御システムの概要について説明する。
図1は、実施の形態に係る制御システムの概要を示す図である。
【0014】
実施の形態に係る制御システム500は、ユーザの横幅に基づいて、送風装置200を制御するためのシステムである。
図1に示されるように、制御システム500は、ユーザ1が存在する空間に配置された送風装置200に加え、ユーザ1がユーザ端末装置400を用いて入力した情報(例えば、ユーザ1が望む温冷感及び気分など)に基づいて、照明装置310及び音響装置320などの宅内装置も制御してもよい。
【0015】
ユーザ1の横幅は、カメラなどの検知部30からの検知結果から導出される。制御システム500は、ユーザ1の横幅の両端及び中央のそれぞれの箇所における送風態様を決定し、決定した送風態様に基づいて、送風装置200からの送風を制御する。また、例えば、制御システム500は、ユーザ1がスマートフォンなどのユーザ端末装置400を用いて入力した、ユーザが望む温冷感に関する情報に基づいて、送風態様を変更してもよい。また、例えば、制御システム500は、ユーザ1が望む気分に関する情報に基づいて、送風装置200からの送風を制御するだけでなく、照明装置310及び音響装置320などの室内に配置された他の装置(以下、宅内装置ともいう)の動作を制御してもよい。具体的な制御の例については、後述する。
【0016】
なお、ユーザ1の横幅とは、送風装置200が備える複数の送風部(例えば、第一送風部240a、第二送風部240b、第三送風部240c(
図3参照))に対するユーザ1の水平方向の横幅であり、より具体的には、送風装置200が備える複数の送風部(第一送風部240a、第二送風部240b、第三送風部240c)の並び方向におけるユーザ1の幅である。例えば、ユーザ1が送風装置200と向かい合っている場合は、ユーザ1の横幅は、ユーザ1の肩幅であり、ユーザ1が送風装置200に対して横を向いている場合、ユーザ1の横幅は、ユーザ1の胴体の厚みである。
図1では、送風装置200は、床面上に配置されている例を示しているが、これに限られない。例えば、送風装置200は、天井に配置されてもよい。この場合、送風装置200に対するユーザ1の水平方向における横幅は、天井から見たユーザ1の水平方向の横幅であり、より具体的には、天井に配置された送風装置200の複数の送風部(第一送風部240a、第二送風部240b、第三送風部240c)の並び方向におけるユーザ1の幅である。
【0017】
[2.機能構成]
次に、制御システム500の機能構成について、
図1に加えて
図2を参照しながら説明する。
図2は、実施の形態に係る制御システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【0018】
図1及び
図2に示されるように、実施の形態に係る制御システム500は、検知部30と、制御装置100と、送風装置200と、宅内装置300と、ユーザ端末装置400と、を備える。
【0019】
[検知部及び温度センサ]
検知部30は、ユーザ1を検知するセンサである。検知部30は、送風装置200から空気が送風される方向に存在するユーザ1を検知する。検知部30は、例えば、カメラであり、ユーザ1の画像(具体的には、動画像)を撮影する。カメラは、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconducutor)イメージセンサ又はCCD(Charge Coupled Divece)イメージセンサによって実現される。また、検知部30は、距離画像を撮影する測距カメラであってもよく、検知範囲におけるユーザ1の存在の有無を検知する赤外線センサであってもよい。検知部30は、室内空間に設置されてもよく、送風装置に組み込まれてもよい。
【0020】
温度センサ50は、送風装置200が配置された室内空間の温度を計測する。具体的には、温度センサ50は、ユーザ1の周囲の温度をセンシングする。温度センサ50は、センシングデータを制御装置100に出力する。温度センサ50は、送風装置200に組み込まれてもよく、室内空間に設置されてもよい。また、温度センサ50は、1つ以上設置されてもよく、この場合、1つの温度センサ50が送風装置200に組み込まれ、残りの温度センサ50が室内空間の天井、壁、又は、柱などに設置されてもよい。例えば、複数の温度センサ50の温度の計測値は、室内空間における温度分布の算出に用いられる。温度センサ50は、例えば、サーミスタ又は熱電対などの温度計測素子によって実現されてもよい。
【0021】
なお、制御システム500は、さらに、ユーザの周囲の環境の湿度をセンシングする湿度センサ(不図示)を備えてもよい。湿度センサは、センシングデータを制御装置100に出力する。湿度センサは、送風装置200に組み込まれてもよく、室内に配置された加湿器(不図示)に組み込まれてもよく、室内空間に設置されてもよい。また、湿度センサは、温度センサと湿度センサとが1つのチップに集積された温湿度センサであってもよい。
【0022】
[制御装置]
制御装置100は、検知部30の検知結果から導出したユーザ1の横幅に基づいて、送風装置200を制御する。制御装置100は、さらに、温度センサ50の計測値に基づいて送風装置200を制御してもよい。制御装置100は、さらに、ユーザ1により入力された温冷感に関する情報に基づいて、送風装置200を制御してもよい。制御装置100は、室内空間又はその近傍に設置されるローカルコントローラであってもよく、送風装置200に組み込まれた回路であってもよい。制御装置100は、例えば、通信部110と、情報処理部120と、記憶部130と、を備える。
【0023】
通信部110は、制御装置100が、検知部30、温度センサ50、送風装置200、宅内装置300、及び、ユーザ端末装置400と局所通信ネットワークを介して通信を行うための通信モジュール(通信回路)である。通信部110は、例えば、検知部30及び温度センサ50のそれぞれからセンシングデータを取得する。また、通信部110は、ユーザ端末装置400からユーザ1の入力情報を取得する。通信部110によって行われる通信は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。通信に用いられる通信規格についても、特に限定されない。
【0024】
情報処理部120は、送風装置200に送風制御を行わせるための情報処理を行う。情報処理部120は、導出部122と、決定部124と、制御部126とを有する。情報処理部120は、例えば、プロセッサ、マイクロコンピュータ、又は専用回路によって実現される。情報処理部120は、プロセッサ、マイクロコンピュータ、又は専用回路のうちの2つ以上の組み合わせによって実現されてもよい。
【0025】
導出部122は、検知部30からの検知結果に基づいて、複数の送風部(例えば、第一送風部240a、第二送風部240b、第三送風部240c)に対するユーザ1の水平方向における横幅を導出する。
【0026】
決定部124は、導出部122により導出されたユーザ1の横幅に基づいて、ユーザ1の横幅の水平方向における両端及び中央のそれぞれにおける送風態様を決定する。送風態様は、送風速度、送風量、送風範囲、又は、これらのパラメータの周期的な変動(いわゆる、ゆらぎ)などが挙げられる。
【0027】
制御部126は、決定部124により決定された送風態様に基づいて、送風装置200の複数の送風部のそれぞれの動作を制御する。当該送風態様に基づいて実現される具体的な送風パターンは、例えば、ユーザ1の横幅の中央における空気の風量に対するユーザ1の横幅の両端における空気の風量の比率が大きい送風パターンであってもよく、ユーザ1の横幅の中央における空気の風量に対するユーザ1の横幅の両端における空気の風量の比率が小さい送風パターンであってもよい。また、送風パターンは、ユーザ1の横幅の中央に送風される空気がゆらぎを持ち、ユーザ1の横幅の両端に送風される空気が一定の量を保つ送風パターンであってもよい。なお、送風パターンは、上記の例に限られない。
【0028】
なお、情報処理部120の各部の機能の詳細については、動作例を通じて説明する。
【0029】
記憶部130は、制御装置100が検知部30及び温度センサ50などの各種センサから取得したセンシングデータ、並びに、情報処理部120が実行するコンピュータプログラム(例えば、送風装置200を制御するためのアプリケーションプログラム)などが記憶される記憶装置である。また、記憶部130には、例えば、送風態様データベース(不図示)及び制御パターンデータベース(不図示)が格納されてもよい。送風態様データベースには、ユーザの横幅と、ユーザの横幅の両端及び中央のそれぞれにおける送風態様(以下、単に送風態様という)とが紐づけられて格納されてもよい。また、制御パターンデータベースには、送風態様と、送風部からユーザまでの距離と、送風部の制御パターンとが紐づけられて格納されてもよい。また、記憶部130には、送風態様データベースに加え、ユーザが望む温冷感に関する情報と、送風態様とが紐づけられて格納された温冷感-送風態様データベース(不図示)が格納されてもよい。また、記憶部には、ユーザが望む気分に関する情報と、送風態様とが紐づけられて格納された気分-送風態様データベース(不図示)が格納されてもよい。これらの温冷感-送風態様データベース及び気分-送風態様データベースは、1つのデータベースにまとめられてもよい。さらに、温冷感-送風態様データベース及び気分-送風態様データベースには、それぞれ、照明態様及び音響態様が格納されてもよい。記憶部130は、例えば、半導体メモリなどによって実現される。記憶部130は、クラウドサーバ上の記憶部であってもよい。なお、制御システム500が加湿部(不図示)を備える場合、温冷感-送風態様データベース及び気分-送風態様データベースには、それぞれ、照明態様及び音響態様に加えて、加湿態様が格納されてもよい。照明態様、音響態様及び加湿態様の詳細については、後述する。
【0030】
[送風装置]
送風装置200は、複数の送風部を備え、各送風部から送出される空気の量(つまり、風量)、送出される空気の速度(つまり、風速)、及びこれらの周期的な変動などを独立して制御可能な装置である。送風装置200は、例えば、通信部210と、制御部220と、記憶部230と、第一送風部240aと、第二送風部240bと、第三送風部240cとを備える。また、
図2に示されるように、送風装置200は、熱交換器などの温度調整部(例えば、第一温度調整部250a、第二温度調整部250b、第三温度調整部250c)などを有することにより、送風装置200から送出される空気の温度の調整が可能であってもよい。つまり、送風装置200は、温度調整機能(送風機能及び冷暖房機能)を有してもよい。以下、送風装置200の具体的な構成について
図2に加え
図3を参照しながら説明する。
図3は、実施の形態における送風装置の構成の一例を示す図である。
【0031】
図3に示されるように、送風装置200は、筐体270と、筐体270上に配置された複数の送風部と、仕切板280と、を備える。
図3の例では、複数の送風部は、第一送風部240a、第二送風部240b、及び、第三送風部240cである。筐体270には、各送風部に対応する高圧空気調整部260a、260b、260c(以下、260a~260c)が格納されている。高圧空気調整部260a~260cは、筐体270の外部から空気を取り入れる吸込口(不図示)と、高圧空気を発生するための羽根車(不図示)と、羽根車を駆動するモータ(不図示)とを含む高圧空気発生部261a、261b、261cと、上記の温度調整部(
図3で不図示)と、各吹出口に高圧空気を送出するノズル(不図示)とを備える。仕切板280は、後述する隙間を区画する。送風装置200は、隙間の一部に仕切板280を備えてもよく、仕切板280を備えなくてもよい。
【0032】
続いて、
図2及び
図3を参照しながら、第一送風部240a、第二送風部240b、及び、第三送風部240cについて説明する。第一送風部240a、第二送風部240b、及び、第三送風部240cは、水平方向に並ぶ3つの箇所における対応するそれぞれの箇所に向けて空気を送風する。ここでは、送風装置200は、3つの送風部を備える例を示しているが、これに限られない。送風装置200は、送風部を2つ備えてもよく、4つ以上備えてもよい。送風装置200が3つの送風部を備える場合、例えば、第一送風部240aは、送風装置200と向かい合うユーザ1(
図1参照)の横幅の右端に対して風を送出し、第二送風部240bはユーザ1の横幅の中央に対して風を送出し、第三送風部240cはユーザ1の横幅の左端に対して風を送出する。送風装置200が2つの送風部を備える場合、各送風部は、例えば、ユーザ1の横幅の一方の端部から中央までの範囲に風が当たるように風を送出する。
【0033】
続いて、
図3を参照しながら、各送
風部の具体的な構成について説明する。第一送風部240aには、一の側面(ここでは、紙面の手前側の面)に高圧空気を吹き出す吹出口242aを有するノズル241a、及び、一の側面に吹出口242bを有するノズル241bが、当該一の側面がとなるように隙間を開けて配置されている。第二送風部240b及び第三送風部240cについても、第一送風部240aと同様である。第二送風部240bには、一の側面に吹出口242cを有するノズル241cと、一の側面に吹出口242dを有するノズル241dとが、当該一の側面がとなるように隙間を開けて配置されている。また、第三送風部240cには、一の側面に吹出口242eを有するノズル241eと、一の側面に吹出口242fを有するノズル241fとが、当該一の側面がとなるように隙間を開けて配置されている。
図3の例では、吹出口242a~242fは、一の側面に一様に形成されているが、例えば、上側吹出口及び下側吹出口のように吹出口242a~242fのそれぞれが複数の吹出口から構成されてもよく、各ノズルの吹出口のサイズ(ここでは、縦幅)が異なっていてもよい。なお、各吹出口には、風向きを調整する風向板(不図示)が設置されてもよい。例えば、送風装置200は、制御装置100からの制御信号に従って、吹出口から吹き出される高圧空気の向きを調整することにより、送風部から送風される空気の向きを制御してもよい。例えば、制御装置100が検知部30からの検知結果からユーザ1の動きに基づく送風態様を決定した場合、送風装置200は、ユーザ1の動きに合わせて送風制御を行ってもよい。また、送風装置200は、例えば、制御装置100が検知部30からの検知結果からユーザ1の縦幅に基づく送風態様を決定した場合、送風装置200は、ユーザ1の横幅方向における送風制御に加えて、縦幅方向における送風制御を行ってもよい。
【0034】
第一送風部240a、第二送風部240b及び第三送風部240cのそれぞれは、吹出口242a~242fから吹き出される高圧空気により2つのノズル241a及び241b、241c及び241d、241e及び241fの隙間に誘引される空気を、水平方向に並ぶ3つの箇所における対応するそれぞれの箇所に向けて送風する。第一送風部240a、第二送風部240b及び第三送風部240cのそれぞれの動作は、制御装置100からの制御信号に基づいて、制御部220により制御される。例えば、送風装置200は、制御装置100からの制御信号に従って、第一送風部240aの吹出口242a及び242bから吹き出される高圧空気の量を調整することにより、第一送風部240aから送風される空気の量を制御してもよい。第一送風部240aから送風される空気の量が制御されることにより、第一送風部240aに対応するユーザ1の横幅の一部(例えば、右端)における送風態様(例えば、風量及び風速)が調整される。
【0035】
なお、図示していないが、第一送風部240a、第二送風部240b及び第三送風部240cのそれぞれは、さらに、加湿部(不図示)を有してもよい。これにより、送風装置200から送出される空気の湿度の調整が可能となる。加湿部は、例えば、水を貯水する貯水容器と、貯水容器内に水を保水するフィルタと、を備える。加湿部の動作の詳細については、動作例を通じて説明する。
【0036】
再び、
図2を参照して、送風装置200の通信部210、制御部220、及び、記憶部230について説明する。
【0037】
通信部210は、送風装置200が、制御装置100と通信を行うための通信回路である。通信部210は、例えば、無線通信を行う無線通信回路であってもよく、有線通信を行う有線通信回路であってもよい。通信部210が行う通信の通信規格については特に限定されない。
【0038】
制御部220は、送風装置200の制御に関する情報処理を行う。制御部220は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサ又は専用回路によって実現されてもよい。
【0039】
記憶部230は、制御部220が実行するプログラム(例えば、送風装置200を制御するためのアプリケーションプログラム)などが記憶される記憶装置である。記憶部230は、例えば、半導体メモリなどによって実現される。
【0040】
[宅内装置]
宅内装置300は、室内空間に設置された送風装置200以外の装置であって、制御装置100の制御対象の装置である。上述したように、照明装置310及び音響装置320などの宅内装置300の動作は、ユーザ1がユーザ端末装置400を用いて入力した情報(例えば、ユーザ1が望む温冷感及び気分など)に基づいて、制御装置100により制御される。より具体的には、制御装置100は、上記の情報に基づいて決定した態様(例えば、照明態様又は音響態様)に基づいて宅内装置300の動作を制御する。宅内装置300は、例えば、制御装置100と通信を行うための通信モジュール(通信回路)を備え、制御装置100から受信した制御信号に従って動作する。宅内装置300には、例えば、照明装置310及び音響装置320などが含まれる。
【0041】
照明装置310は、室内を照明する。より具体的には、照明装置310は、照明部311から放出される光の色度及び強度の少なくとも1つを制御する制御信号を制御装置100から受信し、当該制御信号に従って、室内を照明する。当該制御信号は、ユーザ1がユーザ端末装置400を用いて入力した情報に基づいて決定された照明態様に基づいて生成される。照明態様は、照明部311から放出される光の色温度又は出力の数値などが挙げられる。当該照明態様に基づいて実現される具体的な照明パターンは、例えば、ユーザ1の位置を照明領域の中央としたときに、中央が明るく、中央から外側に広がるに従って徐々に暗くなる照明パターンであってもよく、中央が暗く、中央から外側に広がるに従って徐々に明るくなる照明パターンであってもよい。また、照明パターンは、例えば、照明領域の全体に亘って均一な明るさである照明パターン、消灯状態から照明領域の全体が徐々に明るくなる照明パターン、又は、照明領域の全体の明るさが徐々に暗くなり消灯する照明パターンであってもよい。なお、照明パターンは、上記の例に限られない。
【0042】
照明装置310は、例えば、シーリングライトであるが、照明装置310の具体的な態様は、特に限定されない。照明装置310は、ダウンライト、ペンダントライト、スポットライト、又は、ブラケットライトなどであってもよい。
【0043】
音響装置320は、例えばスピーカ又はイヤフォンなどの音響部321を備える装置である。音響装置320は、スピーカを介して室内などの所定の空間に音を再生してもよく、ユーザに装着されたイヤフォンを介して音を再生してもよい。音響装置320は、音響部321から再生される音の種類、音量、及び、再生速度の少なくとも1つを制御する制御信号を制御装置100から受信し、当該制御信号に従って、音を再生する。当該制御信号は、ユーザ1がユーザ端末装置400を用いて入力した情報に基づいて決定された音響態様に基づいて生成される。音響態様は、音響部321から再生される音の強弱、再生速度、又は、変調などが挙げられる。当該音響態様に基づいて実現される具体的な音響パターンは、例えば、所定のリズム又はテンポに従って音を再生する音響パターン、所定の音楽に従って音を再生する音響パターン、又は、小鳥のさえずり若しくは小川のせせらぎなどの自然の音を再生する音響パターンであってもよい。なお、音響パターンは、上記の例に限られない。
【0044】
なお、宅内装置300は、上記の例に限られない。例えば、宅内装置300には、加湿器、アロマディフューザなどが含まれてもよい。
【0045】
加湿器は、室内空間の空気の湿度を調整する加湿部を備える装置である。加湿器は、加湿部から放出される加湿空気の量、放出時間、及び、放出回数の少なくとも1つを制御する制御信号を制御装置100から受信し、当該制御信号に従って、室内空間の空気の湿度を調整する。当該制御信号は、ユーザ1がユーザ端末装置400を用いて入力した情報に基づいて決定された加湿態様に基づいて生成されてもよい。また、当該制御信号は、制御システム500が湿度センサ(不図示)を備える場合は、湿度センサによりセンシングされたユーザ1の周囲の湿度に基づいて決定された加湿態様に基づいて生成されてもよい。加湿態様は、加湿部で加湿される空気の加湿度、加湿空気の送出量、又は、加湿時間などが挙げられる。当該加湿態様に基づいて実現される具体的な加湿パターンは、例えば、室内空間の空気の温度に応じて予め設定された湿度を維持する加湿パターン、周期的な湿度の切り替えを行う加湿パターン、又は、ユーザの表面温度とユーザの周囲の温度との差に基づいて湿度を調整する加湿パターンであってもよい。なお、加湿パターンは、上記の例に限られない。
【0046】
アロマディフューザは、室内空間に香りを発生させて、ユーザ1にユーザ1が欲する感性効果を提供する。アロマディフューザは、決定部により決定された芳香態様に基づいて制御部から出力された制御信号を受信し、当該制御信号に従って香りを発生させる。芳香態様は、香りの種類、強度、芳香時間、又は、芳香回数などが挙げられる。芳香態様により実現される具体的な芳香パターンは、ユーザ1が欲する感性効果に紐づけられて、記憶部130に格納されてもよい。
【0047】
[ユーザ端末装置]
ユーザ端末装置400は、例えば、スマートフォン又はタブレット端末などの携帯型の情報端末であるが、パーソナルコンピュータなどの据え置き型の情報端末であってもよい。
【0048】
通信部410は、ユーザ端末装置400が、制御装置100と通信を行うための通信回路である。通信部410は、例えば、無線通信を行う無線通信回路である。通信部410が行う通信の通信規格については特に限定されない。
【0049】
受付部440は、ユーザ1が感じる又は望む温冷感に関する情報、及び、ユーザ1が感じる又は望む気分に関する情報を制御装置100に送信するために行う入力操作を受け付ける。受付部440は、例えば、タッチパネル、表示パネル、ハードウェアボタン、又は、マイクロフォンなどによって実現されてもよい。タッチパネルは、例えば、静電容量方式のタッチパネルであってもよく、抵抗膜方式のタッチパネルであってもよい。表示パネルは、画像の表示機能、及び、ユーザの手動入力を受け付ける機能を有し、液晶パネル又は有機EL(Electro Luminescence)パネルなどの表示パネルに表示されるテンキー画像などへの入力操作を受け付ける。マイクロフォンは、ユーザの音声入力を受け付ける。
【0050】
制御部420は、受付部440への画像の表示制御、及び、ユーザ1により入力された音声の音声認識処理などを行う。制御部420は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されてもよく、プロセッサによって実現されてもよい。
【0051】
記憶部430は、制御部420が実行するための専用のアプリケーションプログラムなどが記憶される記憶装置である。記憶部430は、例えば、半導体メモリなどによって実現される。
【0052】
なお、ここでは、受付部440は、ユーザ端末装置400の構成要素である例を示しているが、受付部440は、制御システム500の他の構成要素の少なくとも1つと一体化されていてもよい。例えば、受付部440は、送風装置200に組み込まれてもよし、リモートコントローラ(不図示)に組み込まれてもよい。
【0053】
[3.動作]
次に、制御システム500の動作について図面を参照しながら具体的に説明する。
【0054】
[動作例1]
まず、制御システム500の動作例1について説明する。動作例1では、制御システム500は、ユーザの横幅に基づいて、複数の送風部(例えば、第一送風部240a、第二送風部240b、第三送風部240c)のそれぞれの動作を制御する。
図4は、実施の形態に係る制御システムの動作例1のフローチャートである。
図5は、ユーザの横幅に基づく送風制御の例を示す図である。
【0055】
図4に示されるように、まず、情報処理部120は、通信部110を介して、検知部30からの検知結果を取得する(S11)。検知部30は、送風装置200から空気が送風される方向に存在するユーザを検知する。検知部30は、例えば、測距カメラであり、距離画像を制御装置100に出力する。例えば、検知部30は、熱画像カメラ、超音波センサ、又は赤外線センサなどであってもよい。検知部30は、1つに限られず、2つ以上のセンサから構成されてもよい。
【0056】
次いで、導出部122は、検知部30からの検知結果(例えば、距離画像などのデータ)に基づいて、第一送風部240a、第二送風部240b、及び、第三送風部240cに対するユーザの水平方向における横幅を導出する(S12)。このとき、導出部122は、送風装置200からユーザまでの距離も導出する。
【0057】
ここで、ユーザの横幅について、
図5を参照しながら具体的に説明する。
図5には、ユーザが送風装置200と向かい合う場合のユーザの横幅が示されている。
図5の(a)には、細身のユーザ1aが示され、
図5の(b)には、太めのユーザ1bが示されている。ユーザ1a、1bの横幅W
1、W
2は、それぞれ、送風装置200に対するユーザ1a、1bの水平方向における横幅である。言い換えると、ユーザ1a、1bの横幅W
1、W
2は、それぞれ、送風装置200から見た水平方向におけるユーザ1a、1bの横幅であり、送風装置200の第一送風部240a、第二送風部240b、及び、第三送風部240cの並び方向におけるユーザ1a、1bの幅である。例えば、ユーザ1a、1bの横幅W
1、W
2は、肩幅である。図示していないが、例えば、ユーザ1a、1bが送風装置200に対して横を向いている場合、ユーザ1a、1bの横幅は、ユーザの厚み(胸から背中までの幅)である。
【0058】
次いで、決定部124は、導出部122により導出されたユーザの横幅に基づいて、当該ユーザの横幅の両端及び中央のそれぞれにおける送風態様を決定する(S13)。例えば、決定部124は、ユーザの横幅に基づいて、送風態様データベース(不図示)を参照して上記の送風態様を決定してもよい。例えば、送風態様データベースには、ユーザの横幅と、ユーザの横幅の両端及び中央のそれぞれにおける送風態様とが紐づけられて格納されている。上述したように、送風態様は、送風速度、送風量、送風範囲、又は、これらのパラメータの周期的な変動(いわゆる、ゆらぎ)などが挙げられる。
【0059】
次いで、制御部126は、決定部124により決定された送風態様に基づいて、複数の送風部のそれぞれの動作を制御する(S14)。例えば、制御部126は、各送風部からユーザの横幅における対応する箇所までの距離を加味して、決定部124により決定された送風態様に基づいて、各送風部の制御パターンを決定し、決定した制御パターンに従って各送風部の動作を制御する。このとき、制御部126は、制御パターンデータベース(不図示)を参照して、制御パターンを決定してもよい。例えば、制御パターンデータベースには、送風態様と、送風部からユーザまでの距離と、送風部の制御パターンとが紐づけられている。送風態様データベース及び制御パターンデータベースは、記憶部130に格納されてもよく、サーバ上の記憶部に格納されてもよい。
【0060】
ここで、制御部126による複数の送風部の制御について
図3及び
図5を参照しながら説明する。制御部126は、複数の送風部(例えば、第一送風部240a、第二送風部240b、第三送風部240c)のそれぞれの動作の制御において、吹出口から吹き出される高圧空気の量を調整することにより、空気の送風量を制御する。
図3を参照して第一送風部240aについて説明すると、制御部126は、第一送風部240aの2つの吹出口242a、242bから吹き出される高圧空気の量を調整することにより、第一送風部240aの2つのノズル241a、241bの隙間に誘引される空気の量を制御する。これにより、制御部126は、第一送風部240aから送風される空気の量を制御する。例えば、
図5の(a)及び
図5の(b)に示されるように、制御部126は、ユーザ1a、1bの横幅W
1、W
2に応じて、各送風部の吹出口から吹き出される高圧空気の量を調整することにより、各送風部から送風される空気の量を制御する。制御部126は、各送風部から送風される空気の量を制御することにより、各送風部から送風される空気の送風範囲、送風強度及び風速などを制御することができる。なお、ユーザの横幅に基づく送風制御は、
図5に示される例に限られない。
【0061】
[動作例1の変形例1]
なお、動作例1では、導出部122は、検知部30の検知結果から、ユーザの垂直方向の縦幅(ここでは、ユーザの背丈方向の縦幅)を導出し、決定部124は、ユーザの横幅に加え、ユーザの縦幅に基づいて、送風態様を決定してもよい。例えば、決定部124は、ユーザが椅子などに座っている場合と、ユーザが立っている場合とで、ユーザの横幅の両端及び中央のそれぞれにおける縦幅方向の送風範囲及び送風強度を調整する送風態様を決定してもよい。この場合、制御部126は、当該送風態様に基づいて、複数の送風部のそれぞれの吹出口から吹き出される高圧空気の向きを調整することにより、各送風部から送風される空気の向きを制御する。例えば、制御部126は、隣接するノズル間の隙間に誘引される空気の量又は速度の勾配ができるように、個々の吹出口から吹き出される高圧空気の量を調整することにより、送風される空気の向きを制御してもよい。なお、図示されていないが、各吹出口が高圧空気の向きを調整する風向調整板を有してもよく、制御部126は、各吹出口の風向調整板の向きを制御することにより、高圧空気の向きを調整してもよい。
【0062】
[動作例1の変形例2]
なお、動作例1及びその変形例1では、導出部122は、検知部30の検知結果から、ユーザの表面温度(例えば、肌が露出した部分の皮膚温度)を導出し、決定部124は、ユーザの横幅に加え、ユーザの表面温度に基づいて、送風態様を決定してもよい。例えば、決定部124は、ユーザの表面温度が高い場合、送風する空気の量を多くし、送風速度を速くする送風態様を決定してもよい。一方、決定部124は、ユーザの表面温度が低い場合、送風する空気の量を減らし、送風速度を弱める送風態様を決定してもよい。
【0063】
[動作例2]
続いて、制御システム500の動作例2について説明する。動作例2では、ユーザの横幅に加え、ユーザの周囲の温度に基づいて、複数の送風部のそれぞれの動作を制御する。
図6は、実施の形態に係る制御システムの動作例2のフローチャートである。ここでは、動作例1と異なる点を中心に説明する。
【0064】
図6に示されるように、まず、情報処理部120は、通信部110を介して、検知部30からの検知結果と、温度センサ50からのセンシングデータとを取得する(S21)。
【0065】
次いで、導出部122は、検知部30からの検知結果(例えば、距離画像などのデータ)に基づいて、第一送風部240a、第二送風部240b、及び、第三送風部240cに対するユーザの水平方向における横幅を導出し、かつ、温度センサ50からのセンシングデータに基づいてユーザの周囲の温度を導出する(S22)。このとき、導出部122は、送風装置200からユーザまでの距離も導出する。
【0066】
次いで、決定部124は、導出部122により導出されたユーザの横幅、及び、ユーザの周囲の温度に基づいて、当該ユーザの横幅の両端及び中央のそれぞれにおける送風態様を決定する(S23)。
【0067】
次いで、制御部126は、決定部124により決定された送風態様に基づいて、複数の送風部のそれぞれの動作を制御する(S24)。
【0068】
[動作例2の変形例1]
なお、動作例2では、複数の送風部のそれぞれが、さらに温度調整部を有する場合、決定部124は、ユーザの周囲の温度に応じて、温度調節された空気を送風する送風態様を決定してもよい。この場合、制御部126は、当該送風態様に基づいて、各送風部から送風される空気の温度を調整する制御を行う。
【0069】
[動作例2の変形例2]
なお、動作例2では、導出部122は、検知部30の検知結果から、ユーザの表面温度(例えば、肌が露出した部分の皮膚温度)を導出し、決定部124は、ユーザの表面温度とユーザの周囲の温度との差の絶対値が所定の値よりも大きくなる場合、当該差の絶対値が所定の値以下になるように送風態様を変更してもよい。このとき、送風装置200は、温度調整部により温度が調整された空気を送風する。
【0070】
[動作例2の変形例3]
なお、動作例2では、制御システム500は、さらに、ユーザの周囲の湿度をセンシングする湿度センサを備え、かつ、複数の送風部のそれぞれが、さらに加湿部(不図示)を有する場合、決定部124は、さらに、湿度センサによりセンシングされたユーザの周囲の湿度に基づいて、湿度が調整された空気を送風する送風態様を決定してもよい。より具体的には、決定部124は、加湿部の加湿態様を決定し、さらに、加湿された空気を送風する送風部の送風態様を決定する。制御部126は、決定された加湿態様に基づいて、各送風部から送風される空気の湿度を調整する制御を行う。例えば、制御部126は、加湿部から放出される加湿空気の量、放出時間及び放出回数の少なくとも1つを制御してもよい。
【0071】
なお、動作例2では、動作例2の変形例1~3を適宜組み合わせた制御を行ってもよい。
【0072】
[動作例3]
続いて、制御システム500の動作例3について説明する。動作例3では、ユーザの横幅に加え、ユーザが望む温冷感に関する情報及びユーザが望む気分に関する情報の入力が受け付けられたか否かに基づいて、複数の送風部のそれぞれの動作を制御する。
図7は、実施の形態に係る制御システムの動作例3のフローチャートである。ここでは、動作例1及び2と異なる点を中心に説明する。
【0073】
図7では、検知部30からの検知結果の取得(
図4のS11)後のフローが示されている。導出部122は、検知部30からの検知結果に基づいて、第一送風部240a、第二送風部240b、及び、第三送風部240cに対するユーザの水平方向における横幅を導出する(S31)。
【0074】
次いで、情報処理部120は、受付部440によりユーザが望む気分に関する情報(以下、気分に関する情報という)の入力が受け付けられたか否かを判定する(S32)。言い換えると、情報処理部120は、通信部110を介して、ユーザ端末装置400から気分に関する情報を取得したか否かを判定する。
【0075】
情報処理部120は、気分に関する情報を取得していないと判定した場合(S32でNo)、受付部440によりユーザが望む温冷感に関する情報(以下、温冷感に関する情報という)の入力が受け付けられたか否かを判定する(S33)。言い換えると、情報処理部120は、通信部110を介して、ユーザ端末装置400から温冷感に関する情報を取得したか否かを判定する。情報処理部120は、温冷感に関する情報を取得していないと判定した場合(S33でNo)、決定部124は、ユーザの横幅に基づいて、当該ユーザの横幅の両端及び中央のそれぞれにおける送風態様を決定する(S34)。一方、情報処理部120は、温冷感に関する情報を取得していると判定した場合(S33でYes)、決定部124は、ユーザの横幅及び温冷感に関する情報に基づいて、当該ユーザの横幅の両端及び中央のそれぞれにおける送風態様を決定する(S35)。例えば、決定部124は、記憶部130に格納された送風態様データベース、及び、温冷感-送風態様データベースから、ユーザの横幅及び温冷感に関する情報に対応する送風態様を決定してもよい。
【0076】
一方、情報処理部120は、気分に関する情報を取得していると判定した場合(S32でYes)、受付部440により温冷感に関する情報の入力が受け付けられたか否かを判定する(S36)。情報処理部120は、温冷感に関する情報を取得していないと判定した場合(S36でNo)、決定部124は、ユーザの横幅及び気分に関する情報に基づいて、当該ユーザの横幅の両端及び中央のそれぞれにおける送風態様を決定する(S37)。例えば、決定部124は、記憶部130に格納された送風態様データベース、及び、気分-送風態様データベースから、ユーザの横幅及び気分に関する情報に対応する送風態様を決定してもよい。一方、情報処理部120は、温冷感に関する情報を取得していると判定した場合(S36でYes)、決定部124は、ユーザの横幅、気分に関する情報、及び、温冷感に関する情報に基づいて、当該ユーザの横幅の両端及び中央のそれぞれにおける送風態様を決定する(S38)。例えば、決定部124は、記憶部130に格納された送風態様データベース、気分-送風態様データベース、及び、温冷感-送風態様データベースから、ユーザの横幅、気分に関する情報、及び温冷感に関する情報に対応する送風態様を決定してもよい。
【0077】
次いで、制御部126は、上記の処理により決定された送風態様に基づいて、複数の送風部のそれぞれの動作を制御する(S39)。例えば、制御部126は、記憶部130に格納された制御パターンデータベースから、送風態様、送風部からユーザまでの距離に紐づけられた送風部の制御パターンを読み出し、複数の送風部のそれぞれの動作を制御してもよい。
【0078】
なお、動作例3では、例えば、検知部30からの検知結果に加え、温度センサ50からのセンシングデータを取得してもよい(
図6のS21)。この場合、決定部124は、さらに、ユーザの周囲の温度に基づいて、ユーザの横幅の両端及び中央のそれぞれにおける送風態様を決定する。
【0079】
[動作例3の変形例1]
なお、動作例3では、制御システム500がさらに照明部311を備える場合に、決定部124は、ユーザが望む温冷感に関する情報及びユーザが望む気分に関する情報に基づいて、照明部311の照明態様を決定し、制御部126は、決定された照明態様に基づいて、照明部311を制御してもよい。具体的には、制御部126は、照明部311から放出される光の色度及び強度の少なくとも1つを制御する。
【0080】
[動作例3の変形例2]
なお、動作例3では、制御システム500がさらに音響部321を備える場合に、決定部124は、ユーザが望む温冷感及びユーザが望む気分に関する情報に基づいて、音響部321の音響態様を決定し、制御部126は、決定された音響態様に基づいて、音響部321を制御してもよい。具体的には、制御部126は、音響部321から再生される音の種類、音量、及び、再生速度の少なくとも1つを制御する。
【0081】
[動作例3の変形例3]
なお、動作例3では、制御システム500がさらに加湿部(不図示)を備える場合に、決定部124は、ユーザが望む温冷感及びユーザが望む気分に関する情報に基づいて、加湿部の加湿態様を決定し、制御部126は、決定された加湿態様に基づいて、加湿部を制御してもよい。制御される加湿部は、送風装置200が備える加湿部であってもよく、室内に配置される加湿器が備える加湿部であってもよい。具体的には、制御部126は、加湿部から放出される加湿空気の量、放出時間及び放出回数の少なくとも1つを制御してもよい。
【0082】
なお、動作例3では、動作例3の変形例1~3を適宜組み合わせた制御を行ってもよい。
【0083】
[動作例4]
続いて、制御システム500の動作例4について説明する。動作例4では、動作例3の後に、ユーザが望む温冷感又は気分に関する情報が新たに入力された場合に、送風態様を変更する。
図8は、実施の形態に係る制御システムの動作例4のフローチャートである。
【0084】
図7に示される動作例3において送風態様が決定された後に、情報処理部120は、受付部440により新たな情報の入力が受け付けられたか否かを判定する(S41)。言い換えると、情報処理部120は、通信部110を介して、ユーザ端末装置400から新たな情報を取得したか否かを判定する。
【0085】
情報処理部120は、新たな情報の入力が受け付けられていないと判定した場合(S41でNo)、
図7のS39の処理を実行する。
【0086】
一方、情報処理部120は、新たな情報の入力が受け付けられていると判定した場合(S41でYes)、当該情報が温冷感に関する情報であるか(Yes)、気分に関する情報であるか(No)を判定する(S42)。
【0087】
情報処理部120は、新たな情報が温冷感に関する情報であると判定した場合(S42でYes)、決定部124は、温冷感に関する情報に基づいて、ユーザの横幅の両端及び中央のそれぞれにおける送風態様を変更する(S43)。
【0088】
一方、情報処理部120は、新たな情報が気分に関する情報であると判定した場合(S42でNo)、決定部124は、気分に関する情報に基づいて、ユーザの横幅の両端及び中央のそれぞれにおける送風態様を変更する(S44)。なお、情報処理部120は、新たな情報が温冷感及び気分の両方に関する情報であると判定した場合、決定部124は、温冷感及び気分に関する情報に基づいて、送風態様を変更する(不図示)。
【0089】
次いで、制御部126は、変更された送風態様に基づいて、複数の送風部のそれぞれの動作を制御する(S45)。
【0090】
[動作例4の変形例1]
なお、動作例4では、動作例3の変形例1の後に、ユーザが望む温冷感に関する情報及びユーザが望む気分に関する情報が新たに入力された場合、決定部124は、新たに入力された情報に基づいて、照明部311の照明態様を決定し、制御部126は、決定された照明態様に基づいて、照明部311を制御してもよい。
【0091】
[動作例4の変形例2]
また、動作例4では、動作例3の変形例2の後に、ユーザが望む温冷感に関する情報及びユーザが望む気分に関する情報が新たに入力された場合、決定部124は、音響部321の音響態様を決定し、制御部126は、決定された音響態様に基づいて、音響部321を制御してもよい。
【0092】
[動作例4の変形例3]
なお、動作例4では、動作例3の変形例3の後に、決定部124は、ユーザが望む温冷感に関する情報及びユーザが望む気分に関する情報に基づいて、加湿部の加湿態様を決定し、制御部126は、決定された加湿態様に基づいて、加湿部を制御してもよい。
【0093】
なお、動作例4では、動作例4の変形例1~3を適宜組み合わせた制御を行ってもよい。
【0094】
[4.効果等]
以上説明したように、制御システム500は、水平方向に並ぶ複数の箇所における対応するそれぞれの箇所に向けて空気を送風する複数の送風部(例えば、第一送風部240a、第二送風部240b、第三送風部240c)と、空気が送風される方向に存在するユーザ1を検知する検知部30と、検知部30からの検知結果に基づいて、複数の送風部(第一送風部240a、第二送風部240b、第三送風部240c)に対するユーザ1の水平方向における横幅を導出する導出部122と、導出されたユーザ1の横幅に基づいて、横幅の水平方向における両端及び中央のそれぞれにおける送風態様を決定する決定部124と、決定された送風態様に基づいて、複数の送風部(第一送風部240a、第二送風部240b、第三送風部240c)のそれぞれの動作を制御する制御部126と、を備える。
【0095】
このような制御システム500は、複数の送風部に対するユーザの水平方向の横幅に応じて、複数の送風部の動作を個別に制御することができるため、ユーザに応じた快適な空調制御を行うことができる。
【0096】
また、例えば、制御システム500は、複数の送風部(第一送風部240a、第二送風部240b、第三送風部240c)のそれぞれには、一の側面に高圧空気を吹き出す吹出口242a~242fを有する少なくとも2つのノズル241a~241fが、一の側面がとなるように隙間を設けて配置され、複数の送風部(第一送風部240a、第二送風部240b、第三送風部240c)のそれぞれは、吹出口242a~242fから吹き出される高圧空気により隙間に誘引される空気を複数の箇所における対応するそれぞれの箇所に向けて送風し、制御部126は、複数の送風部(第一送風部240a、第二送風部240b、第三送風部240c)のそれぞれの動作の制御において吹出口242a~242fから吹き出される高圧空気の量を調整することにより、空気の送風量を制御する。
【0097】
このような制御システム500は、各ノズルの吹出口からの高圧空気の流量を調整することにより、複数の送風部から送風される空気の送風範囲及び風速を制御することができる。
【0098】
また、例えば、制御システム500では、制御部126は、さらに、吹出口242a~242fから吹き出される高圧空気の向きを調整することにより、空気の向きを制御する。
【0099】
このような制御システム500は、所望の方向に空気を送風することができる。また、制御システム500は、空気の送風範囲を適宜変更することが可能となる。
【0100】
また、例えば、制御システム500では、導出部122は、さらに、検知結果から、ユーザ1の縦幅を導出し、決定部124は、さらに、導出されたユーザ1の縦幅に基づいて、送風態様を決定する。
【0101】
このような制御システム500は、さらに、縦幅に応じて送風制御を行うことができるため、ユーザに応じてより快適な空調制御を行うことができる。
【0102】
また、例えば、制御システム500では、導出部122は、さらに、検知結果から、ユーザ1の表面温度を導出し、決定部124は、さらに、導出されたユーザ1の表面温度に基づいて、送風態様を決定する。
【0103】
このような制御システム500は、さらに、ユーザの表面温度に応じて送風制御を行うことができるため、ユーザに応じてより快適な空調制御を行うことができる。
【0104】
また、例えば、制御システム500では、さらに、ユーザ1の周囲の温度をセンシングする温度センサ50を備え、決定部124は、さらに、センシングされたユーザ1の周囲の温度に基づいて、送風態様を決定する。
【0105】
このような制御システム500は、さらに、ユーザの周囲の温度に応じて、送風制御を行うことができるため、より適切な空調制御を行うことができる。
【0106】
また、例えば、制御システム500では、複数の送風部(第一送風部240a、第二送風部240b、第三送風部240c)のそれぞれは、さらに、空気の温度を調整する温度調整部(例えば、第一温度調整部250a、第二温度調整部250b、第三温度調整部250c)を有し、制御部126は、複数の送風部(第一送風部240a、第二送風部240b、第三送風部240c)のそれぞれの動作の制御において温度調整部(第一温度調整部250a、第二温度調整部250b、第三温度調整部250c)に空気の温度を調整させる。
【0107】
このような制御システム500は、複数の送風部のそれぞれが送出する空気の温度を調整することができるため、より快適な空調制御を行うことができる。
【0108】
また、例えば、制御システム500では、さらに、ユーザ1が望む温冷感に関する情報及びユーザ1が望む気分に関する情報のうちの少なくとも一方の情報の入力を受け付ける受付部440を備え、決定部124は、さらに、受付部440により入力を受け付けられた少なくとも一方の情報に基づいて、送風態様を決定する。
【0109】
このような制御システム500は、ユーザが望む温冷感及び気分に関する情報に応じて送風制御を行うことができるため、ユーザの好みに応じた快適な空調制御を行うことができる。記憶された情報に基づいて第一情報及び第二情報の少なくとも一方を出力することができる。
【0110】
また、例えば、制御システム500では、決定部124は、ユーザ1が望む気分に関する情報がリラックスを求める情報である場合、ユーザ1の横幅の中央における空気の風量に対する横幅の両端における空気の風量の比率が大きくなるように、送風態様を決定し、ユーザ1が望む気分に関する情報が覚醒を求める情報である場合、上記比率が小さくなるように、送風態様を決定する。
【0111】
このような制御システム500は、ユーザが望む気分に応じた送風制御を行うことができる。
【0112】
また、例えば、制御システム500では、決定部124は、受付部440により新たな情報の入力が受け付けられた場合、新たな情報に基づいて、送風態様を変更し、制御部126は、変更された送風態様に基づいて、複数の送風部(第一送風部240a、第二送風部240b、第三送風部240c)のそれぞれの動作を制御する。
【0113】
このような制御システム500は、ユーザが望む温冷感及び気分の変化に応じて、送風制御を変更することができるため、ユーザの希望に応じた快適な空調制御を行うことができる。
【0114】
また、例えば、制御システム500は、さらに、照明部311を備え、決定部124は、さらに、受付部440により入力が受け付けられた少なくとも一方の情報に基づいて、照明部311の照明態様を決定し、制御部126は、決定された照明態様に基づいて、照明部311から放出される光の色度及び強度の少なくとも1つを制御する。
【0115】
このような制御システム500は、ユーザが望む温冷感及び気分に応じて、送風制御に加え、照明制御も行うことができるため、視覚的にもユーザに快適な環境を提供することができる。
【0116】
また、例えば、制御システム500は、さらに、音響部321を備え、決定部124は、さらに、受付部440により入力が受け付けられた少なくとも一方の情報に基づいて、音響部321の音響態様を決定し、制御部126は、さらに、決定された音響態様に基づいて、音響部321から再生される音の種類、音量、及び、再生速度の少なくとも1つを制御する。
【0117】
このような制御システム500は、ユーザが望む温冷感及び気分に応じて、送風制御に加え、音響制御も行うことができるため、聴覚的にもユーザに快適な環境を提供することができる。
【0118】
また、例えば、制御システム500は、さらに、加湿部(不図示)を備る。
【0119】
このような制御システム500は、送風制御に加え、湿度制御も行うことができるため、ユーザにより快適な環境を提供することができる。
【0120】
また、制御システム500などのコンピュータによって実行される制御方法は、水平方向に並ぶ複数の箇所における対応するそれぞれの箇所に向けて空気を送風する複数の送風部(第一送風部240a、第二送風部240b、第三送風部240c)を備える送風装置200の制御方法であって、送風装置200から空気が送風される方向に存在するユーザ1を検知し、検知した結果に基づいて、複数の送風部(第一送風部240a、第二送風部240b、第三送風部240c)に対するユーザ1の水平方向における横幅を導出し、導出されたユーザ1の横幅に基づいて、横幅の水平方向における両端及び中央のそれぞれにおける送風態様を決定し、決定された送風態様に基づいて、複数の送風部(第一送風部240a、第二送風部240b、第三送風部240c)のそれぞれの動作を制御する。
【0121】
このような制御方法は、複数の送風部に対するユーザの水平方向の横幅に応じて、複数の送風部の動作を個別に制御することができるため、ユーザに応じた快適な空調制御を行うことができる。
【0122】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0123】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0124】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0125】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。各構成要素は、回路(又は集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0126】
また、本発明の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0127】
例えば、本発明は、制御方法として実現されてもよいし、制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよいし、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0128】
また、上記実施の形態では、制御システムは、情報端末などの単一の装置として実現されてもよいし、複数の装置によって実現されてもよい。例えば、制御システムは、クライアントサーバシステムとして実現されてもよい。制御システムが複数の装置によって実現される場合、上記実施の形態で説明された制御システムが備える構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。
【0129】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【0130】
[5.モニター試験]
以下、
図3に示される3つの送風部を備える送風装置を用いて、各送風部から送出される空気の風速を変えて、モニター試験を行った。被験者は、成人女性20名であった。
図5に示されるように、被験者は、送風装置と向かい合った状態であった。送風装置は、被験者の横幅に合わせた送風制御を行った。以下、
図5の(a)及び
図5の(b)を参照しながら説明する。以下の実験例では、第一送風部240a及び第三送風部240cから送出される空気の風速は同じであり、第一送風部240aは被験者の横幅の右端に送風し、第三送風部240cは、被験者の横幅の左端に送風する。第二送風部240bは、被験者の横幅の中央に送風する。以下では、被験者の横幅の中央における風速と、両端における風速とを測定した。被験者は、送風装置から1メートル離れていた。
【0131】
[実験例1]
実験例1では、被験者の横幅の中央に風を当て、その風がやわらかい風であると感じる風速を検証した。結果を
図9に示す。
【0132】
図9は、実験例1の結果を示すグラフである。
図9に示されるように、被験者の横幅の中央における風速は、通常の風速よりも若干弱い方がいいことが分かった。
【0133】
[実験例2]
実験例2では、被験者の中央における風速に対する
、被検者の横幅の両端における風速の比を変えて、被験者が心地よい気分であると実感する送風比を検証した。横軸の左端は、風速比が1、つまり、両端の風速:中央の風速=1:1を示す。横軸の右に行くほど、両端の風速が中央の風速よりも大きくなる。結果を
図10に示す。
【0134】
図10は、実験例2の結果を示すグラフである。
図10に示されるように、被験者が心地よい気分であると実感するのは、被験者の横幅の両端における風速が被験者の横幅の中央における風速よりも若干大きい場合であり、両端における風速が大きくなりすぎると風速比が1の場合よりも心地よく感じないことが分かった。
【0135】
[実験例3]
実験例3では、被験者の中央における風速に対する両端における風速の比を変えて、被験者が落ち着くと実感する送風比を検証した。実験例2と同様に、横軸の左端は、送風比が1であり、右に行くほど風速比が大きくなる。つまり、両端の風速が中央の風速よりも大きくなる。結果を
図11に示す。
【0136】
図11は、実験例3の結果を示すグラフである。
図11に示されるように、被験者が落ち着くと実感するのは、被験者の
横幅の両
端における風速が被験者の横幅の中央における風速より大きい場合であり、両端における風速がさらに大きくなると風速比が1と同程度の実感度合いになることが分かった。
【0137】
[まとめ]
以上の実験例により、被験者に心地よい、落ち着くなど安らぎを感じさせる送風態様は、被験者の横幅の中央における風速よりも両端における風速を若干上げる態様であることが分かった。包まれる感じがして安心するようである。
【0138】
ここにはデータを載せていないが、ユーザが覚醒したい気分であるとき、及び、リフレッシュしたい気分であるときに、実験例2及び実験例3における送風比と逆、つまり、被験者の横幅の両端における風速よりも中央における風速を上げる送風態様が効果的であることが分かった。
【符号の説明】
【0139】
1、1a、1b ユーザ
30 検知部
50 温度センサ
122 導出部
124 決定部
126制御部
200 送風装置
240a 第一送風部
240b 第二送風部
240c 第三送風部
311 照明部
321 音響部
400 ユーザ端末装置
440 受付部
500 制御システム