(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】拡張式アンカーの抜去装置
(51)【国際特許分類】
B25B 29/00 20060101AFI20230630BHJP
【FI】
B25B29/00
(21)【出願番号】P 2019041147
(22)【出願日】2019-03-07
【審査請求日】2022-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000110789
【氏名又は名称】日本パワーファスニング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099966
【氏名又は名称】西 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】藤井 宏二
(72)【発明者】
【氏名】藤井 健太
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 優
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-179519(JP,A)
【文献】特開2018-080839(JP,A)
【文献】特開2010-000552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雌ねじ穴へのインナーボルトのねじ込みによってボールの群が押されて拡張部が広がっているアンカーを施工部から引き抜く装置であって、
前記インナーボルトを除去又は緩めた後のアンカーにねじ込まれる頭付きの中継ボルトと、前記中継ボルトを軸方向に引っ張る引っ張り具とを有しており、
前記引っ張り具は、前記中継ボルトにその軸線と直交した方向から嵌め込まれて係合する
箱形のスライダーと、施工面に配置され
て前記スライダーを水平回転不能で昇降自在に保持する本体と
、前記スライダーを引き上げるための引っ張り用ボルトと、を備えており、
前記引っ張り用ボルトは、前記スライダーに固定されていて前記本体に設けた天板から突出しているか、又は、前記本体の天板に螺合していて前記スライダーを吊支しており、
かつ、前記スライダーにおいて前記中継ボルトの頭に係合する部分を前記引っ張り用ボルトと同心に設定することにより、前記中継ボルトが前記引っ張り用ボルトと同心の状態で移動するようになっている、
拡張式アンカーの抜去装置。
【請求項2】
雌ねじ穴へのインナーボルトのねじ込みによってボールの群を介して拡張部が膨れているアンカーを
、人がハンドルを回動操作して昇降するヘッド部を有する油圧式又はねじ式ジャッキを使用して施工部から引き抜く装置であって、
前記ジャッキのヘッド部は、前記ジャッキのプランジャの上端にねじで固定されたブラケット状になっており、前記プランジャの軸心を挟んで前記ハンドルと反対側の方向に突出していて、前記ジャッキのヘッド部に、前記インナーボルトを除去又は緩めた後のアンカーの前記雌ねじ穴にねじ込まれる中継ボルトが、前記ヘッド部に貫通して吊支されているか、又は、前記ヘッド部に設けたロックナットにねじ込まれている、
拡張式アンカーの抜去
装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ボールの群をインナーボルトで押すことによって拡張部が広げられる拡張式アンカーの抜去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンクリートやレンガのような石質系の施工部に部材を固定するために、拡張式のアンカーが使用されている。このアンカーには、ピンを叩き込んでテーパ状のコーンによって拡張部を広げるタイプと、特許文献1に開示されているように、内部に配置されている多数個のボールをインナーボルトで押圧して膨らませるタイプとがあり、後者のタイプは、ハンマーを振り回す必要がないため、作業者の負担を大幅に軽減できる等の利点を有している。
【0003】
いずれのタイプにおいても、部材を取り外した後に、アンカーを施工部から抜去せねばならない場合がある。この点、特許文献2には、ピンを使用したアンカーの抜去装置として、アンカーの雌ねじ穴にねじ込まれる雄ねじ部を有する中空のホルダーと、ホルダーにねじ込まれてコーンを押さえるロッドとを有していて、ホルダーにハンドルを設けた装置が開示されている。特許文献2では、ホルダーをアンカーにねじ込んでからロッドを回転させると、ロッドがコーンに突っ張ることにより、アンカーに対して引き抜き力が作用する。従って、アンカーを抜き取ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】再公表WO2016/121993号公報
【文献】特開2005-66725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、特許文献2が対象にしているアンカーでは、コーンのくさび作用によってアンカーが広がるため、アンカーは、コーンによる抵抗に抗して強引に引き抜かねばならない。このため、抜去作業に大きな労力を要するのみならず、引き抜き時の抵抗によって施工部が破壊されるおそれもある。
【0006】
本願発明はこのような現状に鑑み成されたものであり、特許文献1のようにボールの群で拡張部を膨らませるアンカーに関して、その特性を利用して軽い力で容易に抜去できる技術を提示せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は様々な構成を含んでおり、その典型を各請求項で特定している。このうち請求項1の発明は、雌ねじ穴へのインナーボルトのねじ込みによってボールの群を介して拡張部が膨れているアンカーを施工部から引き抜く装置に係るもので、この装置は、
「前記インナーボルトを除去又は緩めた後のアンカーにねじ込まれる頭付きの中継ボルトと、前記中継ボルトを軸方向に引っ張る引っ張り具とを有しており、
前記引っ張り具は、前記中継ボルトにその軸線と直交した方向から嵌め込まれて係合する箱形のスライダーと、施工面に配置されて前記スライダーを水平回転不能で昇降自在に保持する本体と、前記スライダーを引き上げるための引っ張り用ボルトと、を備えており、
前記引っ張り用ボルトは、前記スライダーに固定されていて前記本体に設けた天板から突出しているか、又は、前記本体の天板に螺合していて前記スライダーを吊支しており、
かつ、前記スライダーにおいて前記中継ボルトの頭に係合する部分を前記引っ張り用ボルトと同心に設定することにより、前記中継ボルトが前記引っ張り用ボルトと同心の状態で移動するようになっている」
という構成になっている。
【0009】
請求項2の発明は、雌ねじ穴へのインナーボルトのねじ込みによってボールの群を介して拡張部が膨れているアンカーを、人がハンドルを回動操作して昇降するヘッド部を有する油圧式又はねじ式ジャッキを使用して施工部から引き抜く装置であって、この装置は、
「前記ジャッキのヘッド部は、前記ジャッキのプランジャの上端にねじで固定されたブラケット状になっており、前記プランジャの軸心を挟んで前記ハンドルと反対側の方向に突出していて、前記ジャッキのヘッド部に、前記インナーボルトを除去又は緩めた後のアンカーの前記雌ねじ穴にねじ込まれる中継ボルトが、前記ヘッド部に貫通して吊支されているか、又は、前記ヘッド部に設けたロックナットにねじ込まれている」
という構成になっている。
【発明の効果】
【0010】
本願各発明では、アンカーの抜き外しに際しては、インナーボルトを取り外すか又は緩めるものであり、これにより、ボールの群に対する押圧力が解除されて、拡張部は窄まる方向に軽い力で変形しうる。従って、アンカーを、その特性を利用して軽い力で抜き取ることができる。また、抜き取りに際して施工部に大きな抵抗が作用することはないため、施工部の破壊を確実に防止できる利点もある。
【0011】
請求項1の装置のように、スライダーを引っ張る操作具として引っ張り用ボルトを採用すると、動力ドライバを使用してスライダーを移動操作できるため、作業者の負担軽減に更に好適である。また、装置は金属板などで製造可能であって軽量化・コンパクト化できるため、壁や天井部に打ち込まれているアンカーの抜去も容易に行うことができる。
【0012】
他方、請求項2のように油圧式又はねじ式ジャッキを使用すると、大径で長いアンカーであっても容易に抜き外すことができる。従って、アンカーの大きさ等に応じて、請求項1の装置と請求項2の装置とを使い分けたらよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】(A)は
図2(E)のIIIA-IIIA 視断面図、(B)(C)は作業手順を示す図である。
【
図4】(A)は第2実施形態の正面図、(B)は(A)のB-B視断面図、(C)は第3実施形態の正面図である。
【
図5】第4実施形態を示す図で、(A)は正面図、(B)は(A)の部分平面図である。
【
図6】第4実施形態の使用状態を示す正面図である。
【
図7】第5実施形態の使用状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(1).第1実施形態の構造
次に、本願発明の実施形態を説明する。まず、
図1~3に示す第1実施形態を説明する。本実施形態は、動力ドライバを使用してアンカーを抜き取るねじ式の抜去装置1であり、この装置1は、
図1に示すように、施工部Gに配置される前後開口箱状の本体2と、本体2の内部に配置されるスライダー3と、アンカー4の雌ねじ穴5に外側からねじ込まれる中継ボルト6と、動力ドライバ(図示せず)で回転操作されるロッド7とを備えている。
【0015】
本体2は、スライダー3がアンカー4を抜き取るのに必要なストロークを有するように、上下に長い形態になっている。本体2は前後に開口した箱状になっているが、背板を備えた構成も採用可能である。また、本体2は、左右の側板と底板2aと天板2bとを有しており、底板2aには、前向きに開口した逃がし用切り開き溝8を形成している。逃がし用切り開き溝8は、アンカー4が通過し得るように、アンカー4の外径よりも大きい寸法の溝幅になっている。なお、本体2は、底板2aを備えていない構成も採用可能である。
【0016】
中継ボルト6は頭6aを有している。なお、中継ボルト6の頭6aは円形になっているが、通常の六角ボルトを使用することも可能である。スライダー3は、左右の側板と底板3aと天板3bとを有する前後開口の箱形(或いは角筒状)に形成されており、底板3aには、中継ボルト6の軸部が入り込み得る係合用切り開き溝9を形成している。係合用切り開き溝9の奥縁部が、中継ボルト6の頭6aに重なる係合部になる。
【0017】
スライダー3の天板3bには引っ張り用ボルト10を立設しており、本体2の天板2bには、引っ張り用ボルト10が挿通し得る逃がし穴11を空けている。引っ張り用ボルト10は、ボス体12を介して固着されている。
図2(E)に示すように、引っ張り用ボルト10は、本体2の内部に収まる長さに設定しているが、
図2(E)に一点鎖線で示すように、スライダー3を本体2の底板2aに載せた状態で、本体2の天板2bから突出する長さであってもよい。
【0018】
図3(A)に示すように、スライダー3の左右横幅を、本体2の左右内幅寸法よりも少し小さい程度に設定することにより、スライダー3が本体2の内部で水平旋回できないように設定している。正確に述べると、平面視におけるスライダー3の対角線の寸法を、本体2の左右内幅よりも大きい寸法に設定することにより、スライダー3が本体2の内部で水平旋回できないように設定している。
【0019】
図1に示すように、ロッド7の一端には、引っ張り用ボルト10に螺合する雌ねじ穴13が開口しており、他端には、動力ドライバに装着した六角レンチ14が係合する係合穴(六角穴)15が開口している。雌ねじ穴13は、引っ張り用ボルト10に対して深くねじ込みできるように長い長さになっている。この実施形態では、ロッド7とレンチ14とが、請求項に記載した操作具になっている。
【0020】
(2).第1実施形態の作業手順
次に、
図2,3を参照して、ねじ式抜去装置1を使用したアンカー4の抜き取り手順を説明する。まず、
図1(A)(B)に示すように、アンカー4の内部に配置されているインナーボルト17をレンチ14によって抜き外すか又は大きく緩める。
【0021】
アンカー4にはボール16の群が内蔵されており、ボール16の群がインナーボルト17で押圧されることにより、アンカー4の拡張部4aがボール16で押されて膨れ変形(広がり変形)している。そして、拡張部4aが広がっていることにより、アンカー4に対して引き抜き抵抗が発生しているが、インナーボルト17を抜き外すか大きく緩めると、ボール16に対する押圧作用が解除されるため、ボール16はアンカー4の内部で動き易くなって、拡張部4aは窄まる方向に変形しやすくなる。
【0022】
次いで、
図2(C)に示すように、アンカー4の雌ねじ穴5に中継ボルト6をねじ込む。この場合、頭6aと施工部Gとの間に、本体2及びスライダー3の底板2a,3aが入り込む程度の間隔が空くようにしておく。
【0023】
次いで、
図2(D)に示すように、本体2を施工部Gに重ねて配置してずり動かすことにより、本体2の底板2aの切り開き溝8を中継ボルト6の軸部に嵌め込み、それから、
図2(E)に示すように、スライダー3を紙面の裏側から本体2の内部に嵌め入れつつ、その底板3aの切り開き溝9を中継ボルト6の軸部に嵌め込む。
【0024】
この場合、先にスライダー3を中継ボルト6に嵌め込むことも可能であるし、予めスライダー3を本体2内部に嵌め入れておいて、本体2の底板2aとスライダー3の底板3aとを、同時に中継ボルト6の軸部に嵌め込むことも可能である。後者の場合、
図2(E)に一点鎖線で示すように、引っ張り用ボルト10の上端を本体2の天板2bから少し突出させておくと、スライダー3を本体2の内部にセットした状態が保持されるため、好適である。
【0025】
それから、
図3(B)に示すように、スライダー3を持ち上げて、引っ張り用ボルト10の上端部を本体2の天板2bの逃がし穴11に下方から挿通することにより、引っ張り用ボルト10の上端部を本体2の上方に露出させ、この露出した端部にロッド7を手でねじ込み、その後、ロッド7をレンチ14でねじ込む。すると、ロッド7の下端は本体2の上面に当接しているため、ロッド7の回転によって引っ張り用ボルト10が上昇し、これにより、アンカー4が施工部Gから引き抜かれる。
【0026】
図2(E)に一点鎖線で示すように、引っ張り用ボルト10の上端部が本体2の上方に予め突出している場合は、スライダー3を持ち上げる操作は不要である。また、アンカー4が施工部Gから完全に抜けるまでスライダー3を上昇させることも可能であるし、動力ドライバに対する抵抗が弱くなった段階で本体2を中継ボルト6から取り外して、後は、中継ボルト6の頭6aに手を掛けて上に引っ張ってアンカー4を抜き外すことも可能である。
【0027】
そして、アンカー4の抜き取りは、インナーボルト17を取り外すか緩めた状態で行われるため、アンカー4の抜き取りを軽い力で行える。インナーボルト17を取り外している場合は、アンカー4を抜き外してから、インナーボルト17をアンカー4にねじ込み直してもよい。
【0028】
本体2やスライダー3は鋼板を使用して簡易に製造できるため、低コストで製造できると共に軽量化できる。また、作業に際しては、作業者は、一方の手で本体2を押さえて、他方の手で動力ドライバを操作することができるため、アンカー4が天井や壁に打ち込まれている場合であっても、作業を1人で容易に行える。また、本体2及びスライダー3は、横移動させるだけで切り開き溝8,9を中継ボルト6の軸部に嵌め込みできるため、更に、作業性に優れている。
【0029】
(3).他の実施形態
図4に示す第2,3実施形態も、ねじ式の抜去装置1に適用している。このうち(A)(B)に示す第2実施形態では、本体2は、底板は備えずに下向きに開口している一方、背板19を備えていて平断面コ字形になっており、かつ、左右側板の前端に、スライダー3が前向きに外れることを防止する上下長手の規制片20を設けている。更に、左右側板の下端には、スライダー3の下向き抜けを阻止するストッパー21を設けている。
【0030】
従って、本実施形態では、スライダー3は、本体2の内部に離脱不能で上下動可能に配置されており、スライダー3がストッパー21に載った状態で、引っ張り用ボルト10の上端部は本体2の上方に突出している。
【0031】
従って、このねじ式抜去装置1は、中継ボルト6をアンカー4にねじ込んでから、スライダー3を中継ボルト6に嵌め入れて、引っ張り用ボルト10にロッド7をねじ込むという手順により、アンカー4の抜き取りが行われる。なお、抜去装置1の組み立てに際しては、スライダー3は、ストッパー21が形成されていない状態で本体2に挿入されており、スライダー3を本体2に挿入してからストッパー21が曲げ形成されている。
【0032】
図4のうち(C)に示す第3実施形態では、本体2は、第2実施形態と同様に背板19とストッパー21とを有していると共に、前板22を有している。従って、本体2は、天板2bを備えた角筒状の形態を成している。中継ボルト6へのスライダー3の嵌め込みを許容するために、前板22の下端部は切り欠かれている。
【0033】
また、この第3実施形態では、引っ張り用ボルト10は、本体2の天板2bに固定したナット部材23に螺合している一方、スライダー3に対しては回転自在に保持されて、下端に、スライダー3の天板3bに下方から当たるフランジ24を設けている。また、引っ張り用ボルト10の上端面には、レンチ14が係合する係合穴(図示せず)を設けている。
【0034】
この実施形態では、引っ張り用ボルト10をレンチ14で回転操作すると、引っ張り用ボルト10のフランジ24によるスライダー3の引き上げ作用により、引っ張り用ボルト10及びスライダー3が上昇する。従って、第1,2実施形態のロッド7は不要であり、部材の紛失の問題はない。
【0035】
図5,6に示す第4実施形態は、油圧ジャッキ27を使用した抜去装置28に係るものある。油圧ジャッキ27は、プランジャ29が摺動自在に配置された本体(シリンダ)30と、上下回動式のハンドル31によって圧油を本体30(シリンダ)に送るポンプ32とを有しており、ハンドル31は、支持体33にピン34によって回動自在に連結されている。
【0036】
他方、抜去装置28は、油圧ジャッキ27におけるプランジャ29の上端部にナット35で固定されるL形のヘッド部(ブラケット)36と、アンカー4にねじ込まれる両切りの中継ボルト37と、中継ボルト37に上方からねじ込んだロングナット38と、ヘッド部36を貫通してロングナット38にねじ込まれる連結ボルト39とを有しており、連結ボルト39にはロックナット40を螺合している。ヘッド部36は、プランジャ29の軸心を挟んでハンドル31と反対側に突出している。
【0037】
この第4実施形態では、インナーボルト17が除去又は緩められたアンカー4に中継ボルト37をねじ込んでから、
図6に示すように、ロングナット38を上昇させてヘッド部36に当接させ、次いで、連結ボルト39をロングナット38にある程度ねじ込んでから、ロックナット40をねじ込んでヘッド部36に当て、それから、ハンドル31を操作して油圧ジャッキ27のプランジャ29を上昇させることにより、アンカー4を抜き取ることができる。
【0038】
この第4実施形態では、油圧ジャッキ27が非常に大きな持ち上げ力を有するため、アンカー4が大型で長いものであっても、軽い力で抜き取ることができる。なお、抜き取り作業に際して、ロングナット38はヘッド部36に下方から当接させていなくてもよい。
【0039】
図7に示す第5実施形態は第4実施形態の変形例であり、プランジャ29と、ヘッド部36とこれに挿通した1本の中継ボルト41、及び、中継ボルト41に上方から螺合したナット42とで構成されている。従って、構成はごくシンプルである。中継ボルト41にロックナット43を螺合しておくことも可能である。
【0040】
この実施形態では、アンカー4の抜き取りの作業手順としては、例えば、ヘッド部36に挿通した中継ボルト41をアンカー4にねじ込んでから、ナット42をヘッド部36に当たるまでねじ込み、次いで、ハンドル31を操作してプランジャ29を上昇させたらよい。
【0041】
以上、本願発明の実施形態を説明したが、本願発明は他にも様々に具体化できる。例えは、ねじ式の抜去装置において、本体は必ずしも板金製品である必要はないのであり、樹脂製品やダイキャスト品なども採用できる。ジャッキは、油圧式には限らず、ねじ式のものも使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本願発明は、アンカーの抜去技術に具体化できる。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0043】
1 ねじ式の抜去装置
2 本体
3 スライダー
4 アンカー
4a 拡張部
6 中継ボルト
7 ロッド
8,9 切り開き溝
10 引っ張り用ボルト
14 操作具を構成するレンチ
16 ボール
27 油圧ジャッキ
28 抜去装置
29 プランジャ
30 本体(シリンダ)
31 ハンドル
36 ヘッド部
37,41 中継ボルト
38 ロングナット
39 連結ボルト