(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】組立分解可能なキャンピングシェル
(51)【国際特許分類】
B60P 3/345 20060101AFI20230630BHJP
B60P 3/377 20060101ALI20230630BHJP
E04B 1/343 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
B60P3/345
B60P3/377
E04B1/343 J
(21)【出願番号】P 2019093493
(22)【出願日】2019-05-17
【審査請求日】2022-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】519177585
【氏名又は名称】大矢 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100152250
【氏名又は名称】峰松 勝也
(72)【発明者】
【氏名】大矢 正人
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-115619(JP,A)
【文献】特開2006-312864(JP,A)
【文献】特開2008-169637(JP,A)
【文献】特開2011-094309(JP,A)
【文献】特開2016-199189(JP,A)
【文献】実開昭50-031622(JP,U)
【文献】特開2001-317065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 3/345
B60P 3/377
E04B 1/343
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の荷台上に水平に載置される床面パネルと、該床面パネルの左右両側に対向して立設される左側面及び右側面パネルと、前記床面パネルの前後両側に対向して立設される前面及び後面パネルと、該後面パネル又は前記左側面若しくは前記右側面パネルに開設された出入口に開閉自在に装着されるドアと、前記左側面及び前記右側面パネル並びに前記前面及び前記後面パネルの上側に架設される天面パネルとを備え、前記各パネルの縁部が相互に連結固定され内部に居住空間が形成されるキャンピングシェルであって、
前記各パネルの縁部に連結固定及び解除分離可能な連結分離部を有しており、
前記左側面及び前記右側面パネルと前記前面及び前記後面パネルとの間の前記連結分離部に、前記左側面及び前記右側面パネルと前記前面及び前記後面パネルとを引き寄せて固定するための引き寄せ金具が装着され、又は、前記左側面及び前記右側面パネル並びに前記前面及び前記後面パネルの外面に、前記左側面及び前記右側面パネルと前記前面及び前記後面パネルとを緊締部材を用いて固定するための緊締固定部が固設されており、
前記天面パネル並びに前記左側面及び前記右側面パネル若しくは前記前面及び前記後面パネルの外面に、前記天面パネルと前記左側面及び前記右側面パネル若しくは前記前面及び前記後面パネルとを緊締部材を用いて固定するための緊締固定部が固設され、又は、前記天面パネルと前記左側面及び前記右側面パネル若しくは前記前面及び前記後面パネルとの間の前記連結分離部に、前記天面パネルと前記左側面及び前記右側面パネル若しくは前記前面及び前記後面パネルとを引き寄せて固定するための引き寄せ金具が装着されており、
前記左側面及び前記右側面パネル又は前記前面及び前記後面パネルの外面に、前記左側面及び前記右側面パネル又は前記前面及び前記後面パネルと前記自動車とを緊締部材を用いて固定するための緊締固定部が固設されており、
必要時に前記各パネルを連結して組み立て
前記自動車の荷台に取り付けることができ、且つ、
不要時に前記各パネルを分離して分解
し前記自動車の荷台から取り外すことができる、前記キャンピングシェル。
【請求項2】
前記左側面及び前記右側面パネルの上部が前記自動車の運転室天面上方まで前方に延出しており、前記前面パネルの上部が前記運転室天面上方まで前方に屈折して延出し、さらに前記運転室前面近傍で上方に屈折して延出しており、前記天面パネルの前部が前記運転室天面上方まで前方に延出しており、前記居住空間が前記運転室天面上方まで拡張されている、請求項1に記載のキャンピングシェル。
【請求項3】
少なくとも1つの前記各パネルを、さらに2つ以上のパネルに分割することができ、
各分割パネルの分割縁部に連結固定及び解除分離可能な連結分離部を有して
おり、該分割縁部の連結分離部に前記各分割パネル同士を引き寄せて固定するための引き寄せ金具が装着され、又は、前記各分割パネルの外面に前記各分割パネル同士を緊締部材を用いて固定するための緊締固定部が固設されている、請求項1又は2に記載のキャンピングシェル。
【請求項4】
前記各パネルの個々の重量が40kg以下で
ある、請求項1乃至3の何れかに記載のキャンピングシェル。
【請求項5】
前記各パネルの外形が、積載可能な略平板形状である、請求項1乃至4の何れかに記載のキャンピングシェル。
【請求項6】
前記左側面及び前記右側面パネルと前記前面及び前記後面パネルとの間、並びに/又は、前記天面パネルと前記左側面及び前記右側面パネル若しくは前記前面及び前記後面パネルとの間の前記連結分離部が、
引き寄せ金具、並びに、対応する縁部間に形成され相互に係合する連結凹部と連結凸部、継手部
と仕口部、
及び対応する縁部間を相互に連結する連結金具
(前記引き寄せ金具を除く)から選ばれる少なくとも1つの手段から構成されている、請求項1乃至5の何れかに記載のキャンピングシェル。
【請求項7】
前記床面パネルが、フレーム、該フレームの内側に装着される内装材、及び該内装材の外側に装填される断熱防音材を含み、他の前記各パネルが、さらにフレームの外側に接合される外装材を含み、前記内装材又は前記内装材及び前記断熱防音材が、前記フレーム又は前記フレーム及び前記外装材に対して着脱可能である、請求項1乃至
6の何れかに記載のキャンピングシェル。
【請求項8】
前記左側面及び前記右側面パネル並びに前記前面及び前記後面パネル
を、さらに2つ以上のパネルに分割することができ、各分割パネルの外装材が、表面材、裏面材、及び前記表面材と前記裏面材との間隙に装填された芯材を含み、前記
各分割パネルの分割縁部において、上方に位置するパネルの前記表面材の下端部が前記裏面材側に屈曲して連結凹部が形成されており、下方に位置するパネルの前記表面材の上端部が前記裏面材側に屈曲して連結凸部が形成されており、前記連結凹部と前記連結部凸とが係合することにより、前記外装材を相互に密接させて連結固定することができる、請求項
7に記載のキャンピングシェル。
【請求項9】
前記各パネル及び前記ドアを含む、請求項1乃至
8の何れかに記載のキャンピングシェルの組立キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の荷台上に載置される組立分解可能なキャンピングシェルに関する。より詳しくは、必要時に組み立て取り付けることができ、不要時に分解して取り外すことができ、分解して取り外した後は省スペースに収納することができる、組立分解可能なキャンピングシェルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自然志向の高まりによりアウトドアレジャーが人気を集めており、特に移動が楽で自由に計画できるオートキャンプの人気が高まっている。欧米では、ベッド、キッチン、トイレ、電化製品等を装備した本格的なキャンピングカーや、大型自動車に牽引されるトレーラーハウスが広く普及している。日本では、保管場所を確保するのが難しく、大型自動車の維持費が高く、道路事情も良くないことから、これらの大型の車両はあまり普及していない。
【0003】
その代わりに、日本ではワゴンやワンボック型の軽自動車や普通自動車を改造した、小型のキャンピングカーが比較的多く見られる。また、地震や台風等の自然災害が多い日本においては、キャンピングカーなどの移動式の居住空間は、災害時に寝起きし食事をする避難シェルターとしての役割も期待されている。
【0004】
しかし、小型のキャンピングカーであっても、車体後部を居住空間に改造するため一定の費用と構造変更の申請が必要となり、後部の座席や荷室が使用できなくなるため実質的にレジャー専用の自動車となってしまう。そのため、セカンドカーを所有する余裕のない者にとっては、小型のキャンピングカーを所有することも容易ではない。
【0005】
そこで、トラック型の軽自動車や普通自動車の荷台に、小型家屋を荷物として載置する方式が注目されている。この方式では、レジャー時に小型家屋を荷台に取り付け、普段は取り外してガレージや庭に保管することにより、一台の自動車をキャンピングカーとしても自家用車としても活用できるため効率がよい。また、改造ではないため費用を抑えることができ構造変更の申請も不要である。この車載用小型家屋は、キャンピングシェル、トラックキャンパー、トラベルハウスなどの名称で呼ばれている。
【0006】
キャンピングシェルは、荷物扱いとなるため載置スペースがトラックの荷台上に限定され、走行時の外寸が道路交通法等で制限されている。そのため、従来のキャンピングシェルは、居住空間を広くすることに重点が置かれて開発されており、外形を最大限に拡張したものや、使用時に外形が変形できるものなど、様々な形状や構造のキャンピングシェルが提案されている。
【0007】
例えば、外部シェルと内部シェルからなり、使用時に居住空間を上方や後方に拡張できるキャンピングシェル(特許第5992571号公報)や、ポップアップルーフを備え、使用時に居住空間を上方に拡張できるキャンピングシェル(特開平11-115619号公報)などが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のキャンピングシェルでは、居住空間を広くするために様々な工夫がなされているものの、自動車への取り付けや取り外しの際の作業性や作業スペース、取り外した後の保管方法や保管スペースに関しては、ほとんど考慮されてこなかった。また、恒久的な小型家屋の完成品又は半完成品として製造販売されており、組立と分解ができるキャンピングシェルは存在しなかった。
【0009】
ここで、一般的なキャンピングシェルを自動車の荷台から取り外す作業を、後述する
図1及び2の各図に示す。最初に、
図1(a)のようにトラック型の軽自動車Tの荷台T1にキャンピングシェルCを乗せたまま保管場所に移動する。そこで、
図1(b)のようにキャンピングシェルCの固定金具と自動車Tのフックとを緊締しているバンドBを緩めて外し、あおりT2を下げる。次に、
図1(c)のようにキャンピングシェルCの四隅に4本の自立架台Mを取り付け、そのジャッキベースM1を下げて地面に固定する。続いて、
図1(d)のように自動車Tの前部をフロアジャッキJで少し持ち上げる。
【0010】
そして、
図2(a)のように持ち上げた分だけ前2本の自立架台MのジャッキベースM1を下げて地面に固定し、フロアジャッキJを下げて外しキャンピングシェルCの前部を浮かせる。同様に、
図2(b)のように自動車Tの後部をフロアジャッキJで少し持ち上げ、
図2(c)のように後2本の自立架台MのジャッキベースM1を下げて地面に固定し、キャンピングシェルCの後部も浮かせる。最後に、
図2(d)のようにキャンピングシェルC全体が4本の自立架台Mに支持され荷台T1から少し浮いたら、自動車Tを前進させて分離する。その後、キャンピングシェルCは4本の自立架台Mに支持された状態で保管される。なお、取り付ける作業は逆の順序となる。
【0011】
キャンピングシェルは一定の居住空間を有する小型家屋であり外形が大きいため、上記の取り付けや取り外しの作業では広い作業スペースと保管スペースを必要とする。また、軽いものでも200kg以上の重量があり、4本足の自立架台に乗せ宙に浮かせて保管するため、水平で地面が硬い場所を必要とし、保管時の安定性に欠け、地震や台風等の天災に対して脆弱である。
【0012】
さらに、キャンピングシェルの使用期間は保管期間と比べて一般的に短いため、広い保管スペースが長期間活用されないことになり、広いガレージが無い場合には屋外に長期間放置され部材の経時劣化も懸念される。これらの理由により、敷地が狭い戸建て住宅、マンション、団地、アパートなどに居住している者が、キャンピングシェルを所有することは実質的に難しいのが現状であった。
【0013】
加えて、キャンピングシェルを自動車の荷台へ取り付ける作業では、4本足の自立架台の間に荷台をぶつけないように後進させて、キャンピングシェルの固定金具と自動車のフックとが合致するように配置する必要があり、一人で作業を進めることは難しく、ぶつけて傷つける恐れもあった。
【0014】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、従来考慮されてこなかった荷台への取り付けや取り外しの際の作業性や作業スペース、取り外した後の保管方法や保管スペースに着目して、使用状況に応じて組立取付と分解取外をすることができ、一人でもこれらの作業を進めることができ、取り外した後は省スペースに収納することができる、組立分解可能なキャンピングシェルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明のキャンピングシェルは、自動車の荷台上に水平に載置される床面パネルと、該床面パネルの左右両側に対向して立設される左側面及び右側面パネルと、前記床面パネルの前後両側に対向して立設される前面及び後面パネルと、該後面パネル又は前記左側面若しくは前記右側面パネルに開設された出入口に開閉自在に装着されるドアと、前記左側面及び前記右側面パネル並びに前記前面及び前記後面パネルの上側に架設される天面パネルとを備え、前記各パネルの縁部が相互に連結固定され内部に居住空間が形成されるキャンピングシェルであって、前記各パネルの縁部に連結固定及び解除分離可能な連結分離部を有しており、前記各パネルを連結して組み立てることができ、且つ、前記各パネルを分離して分解することができる、前記キャンピングシェルである。
【0016】
本発明のキャンピングシェルは、キャンピングシェルを構成する各パネルの縁部に連結固定及び解除分離可能な連結分離部が設けられており、各パネルを順番に連結して組み立てることができ、且つ、各パネルを順番に分離して分解することができる。この構成により、自動車の荷台上で一人でも容易に組立と分解の作業を進めることができる。また、架台上に移動させる必要がないため、広い作業スペースを必要としない。さらに、分解した各パネルを積み重ねたり立て掛けたりして保管することができ、保管スペースを大幅に削減することができる。
【0017】
また、本発明のキャンピングシェルは、前記左側面及び前記右側面パネルの上部が前記自動車の運転室天面上方まで前方に延出しており、前記前面パネルの上部が前記運転室天面上方まで前方に屈折して延出し、さらに前記運転室前面近傍で上方に屈折して延出しており、前記天面パネルの前部が前記運転室天面上方まで前方に延出しており、前記居住空間が前記運転室天面上方まで拡張されている、前記キャンピングシェルである。この構成により、居住空間を自動車の運転室上方まで拡げることができる。
【0018】
さらに、本発明のキャンピングシェルは、少なくとも1つの前記各パネルを、さらに2つ以上のパネルに分割することができ、その分割縁部に連結固定及び解除分離可能な連結分離部を有している、前記キャンピングシェルである。この構成により、キャンピングシェルを構成する各パネルの外形をより小さく重量をより軽くできるため、組立と分解の作業負荷が軽減し、分解して取り外した後の保管スペースの自由度が向上する。
【0019】
また、本発明のキャンピングシェルは、前記各パネルの個々の重量が40kg以下であり、前記分割された各パネルの個々の重量が20kg以下である、前記キャンピングシェルである。この構成により、例えば、女性や高齢者が一人であっても、組立や分解の作業を進めることができる。
【0020】
さらに、本発明のキャンピングシェルは、前記各パネルの外形が、積載可能な略平板形状である、前記キャンピングシェルである。この構成により、分解して取り外した後に各パネルを積載して保管することなどが容易となり、保管スペースの利用効率が向上する。
【0021】
また、本発明のキャンピングシェルは、前記各パネルの縁部及び分割縁部に設けられた前記連結分離部が、対応する縁部間に形成され相互に係合する連結凹部と連結凸部、継手部及び仕口部、並びに対応する縁部間を相互に連結する連結金具から選ばれる少なくとも1つの手段から構成されている、前記キャンピングシェルである。この構成により、組立と分解の作業が容易となり、堅牢な構造体を簡便に形成することができ、製造コストも抑えることができる。
【0022】
さらに、本発明のキャンピングシェルは、少なくとも1つの前記各パネルと前記自動車を、及び/又は、少なくとも2つの前記各パネル同士を、緊締部材を用いて固定するための少なくとも1つの緊締固定部が、1つ又は2つ以上の前記各パネルの外面に固設されている、前記キャンピングシェルである。この構成により、作業性を維持しながら、より堅牢な構造体を簡便に形成することができ、製造コストも抑えることができる。
【0023】
また、本発明のキャンピングシェルは、前記床面パネルが、フレーム、該フレームの内側に装着される内装材、及び該内装材の外側に装填される断熱防音材を含み、他の前記各パネルが、さらにフレームの外側に接合される外装材を含み、前記内装材又は前記内装材及び前記断熱防音材が、前記フレーム又は前記フレーム及び前記外装材に対して着脱可能である、前記キャンピングシェルである。この構成により、各パネルを部材レベルまで分解してさらに小さく軽くすることができ、組立分解時の作業性や保管スペースの自由度がより向上する。また、内装材や断熱防音材など経時劣化しやすい部材を外して、屋内等で別途保管することができる。
【0024】
さらに、本発明のキャンピングシェルは、前記左側面及び前記右側面パネル並びに前記前面及び前記後面パネルの外装材が、表面材、裏面材、及び前記表面材と前記裏面材との間隙に装填された芯材を含み、前記分割縁部において、上方に位置するパネルの前記表面材の下端部が前記裏面材側に屈曲して連結凹部が形成されており、下方に位置するパネルの前記表面材の上端部が前記裏面材側に屈曲して連結凸部が形成されており、前記連結凹部と前記連結部凸とが係合することにより、前記外装材を相互に密接させて連結固定することができる、前記キャンピングシェルである。この構成により、組立や分解の作業性を維持しながら外装材を密接させて連結することができ、気密性を高めて雨水の浸入を防止し、さらに美観が向上する。
【0025】
また、本発明のキャンピングシェルは、前記各パネル及び前記ドアを含む、前記キャンピングシェルの組み立てキットである。この構成により、省スペースのキット形態で運搬保管することができ、製造販売における作業労力や保管スペースを削減でき、製造や流通のコストを抑えることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明のキャンピングシェルは、必要時に組み立て取り付けることができ、不要時に分解して取り外すことができる。これにより、一人でも作業を進めることができ、取り付けや取り外しの際に架台が不要となり、作業スペースを抑えることができる。また、分解して取り外した後は省スペースに収納でき、保管スペースを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】従来のキャンピングシェルを荷台から取り外す作業を示す説明
図1である。
【
図2】従来のキャンピングシェルを荷台から取り外す作業を示す説明
図2である。
【
図3】第1実施形態のキャンピングシェルの構成要素を示す斜視図である。
【
図4】第1実施形態のキャンピングシェルを荷台上に組み立てる作業を示す説明
図1である。
【
図5】第1実施形態のキャンピングシェルを荷台上に組み立てる作業を示す説明
図2である。
【0028】
【
図6】第1実施形態のキャンピングシェルの連結分離部を示す部分斜視
図1である。
【
図7】第1実施形態のキャンピングシェルの連結分離部を示す部分斜視
図2である。
【
図8】第1実施形態のキャンピングシェルの連結分離部を示す部分斜視
図3である。
【
図9】第1実施形態のキャンピングシェルの連結分離部を示す部分斜視
図4である。
【
図10】第1実施形態のキャンピングシェルの外装材の分割部分を示す拡大断面図である。
【
図11】第1及び第2実施形態のキャンピングシェルの外観を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明のキャンピングシェルの実施形態について、以下図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0030】
また、説明が省略されている材料、構造、製法等については、建築や輸送機器等の技術分野において当業者に知られているものと同一又は実質的に同一のものとすることができる。さらに、各図において同一符号は同一又は同等の構成要素を表しており、重複する説明は省略する。
【0031】
本発明の「キャンピングシェル」とは、その称呼、荷台への固定方法、法律上の扱いなどにより限定されることなく、自動車の荷台に取り付けることができ且つ取り外すことができる、内部に居住空間を有する車載用小型家屋を広く意味するものとする。
【0032】
本明細書では、本発明のキャンピングシェルを載置した自動車の前進方向を基準とし、前進方向を前、その反対方向を後、左方向を左、右方向を右、重力方向を下、その反対方向を上として、その位置や方向を説明する。
【0033】
また、本明細書で「略」とは、厳密に同一である場合に限られず、同一性を失わない程度の誤差や変形を含む概念である。例えば、略平板形状とは厳密に平板形状の場合に限られず、作用効果の観点から平板形状と同一視できる形状を含むものとする。
【0034】
[第1実施形態]
図3は、本発明の第1実施形態であるキャンピングシェル1の主要な構成部材を示す分解斜視図である。
図3に示すようにキャンピングシェル1は、床面パネル11と、その左右両側に対向して立設される左側面パネル12及び右側面パネル13と、前後両側に対向して立設される前面パネル14及び後面パネル15と、左側面パネル12及び右側面パネル13、並びに前面パネル14及び後面パネル15の上側に架設される天面パネル16とを備えている。
【0035】
後面パネル15の中央部には長方形の出入口151が開設され、そこに片開きのドア17が開閉自在に丁番を介して連結されている。また、左側面パネル12及び右側面パネル13の上部中央には、採光及び換気用の長方形の引き違い窓121及び131が嵌設されている。なお、雨水を逃がすため、天面パネル16の左側がやや低くなるように約3°の勾配をつけた片流れ屋根としている。
【0036】
本実施形態では、床面パネル11は前部パネル11F及び後部パネル11Rに、天面パネル16は前部パネル16F及び後部パネル16Rに、各々前後方向に2分割することができる。また、左側面パネル12は下部パネル12L及び上部パネル12Uに、右側面パネル13は下部パネル13L及び上部パネル13Uに、前面パネル14は下部パネル14L及び上部パネル14Uに、各々上下方向に2分割することができる。なお、ドア17は後面パネル15の出入口151から分離することができる。
【0037】
上記各パネル及びその分割パネルの縁部及び分割縁部には、連結固定及び解除分離可能な連結分離部が設けられている。連結分離部については後述する。下から順番に対応する各パネルの縁部を連結固定していくことにより、略直方体形状のキャンピングシェル1を組み立てることができる。また、上から順番に対応する各パネルの縁部を解除分離していくことにより、キャンピングシェル1を分解することができる。
【0038】
各パネルの外寸が小さく重量が軽いと、組立分解時の作業負荷が軽減し、分解後の保管スペースの自由度や利用効率が向上するが、居住スペースが小さくなり、構造体としての強度が低下する。居住スペース、組立分解の作業性、全体の強度、製造コストとの兼ね合いで設定される。各パネルの外寸は、自動車の荷台の寸法と道路交通法等で制限される最大積載寸法に基づいて設定される。各パネルの重量は、一人で作業することを考慮すると40kg以下が好ましく、30kg以下がより好ましい。
【0039】
また、各パネルの分割数が多いほど、外形をより小さく重量をより軽くできるため、作業負荷が軽減し保管スペースを有効活用できるが、分割縁部に連結分解部を設ける必要が生じるため、総重量が増え製造コストが上がる。キャンピングシェルの外寸、組立分解の作業性、総重量及び製造コストとの兼ね合いで設定される。略直方体形状のキャンピングシェルでは、各パネルの分割数は、軽自動車用では2つ、普通自動車用では2~3つが好ましい。分割後の各パネルの重量は、作業者の性別や年齢まで考慮すると20kg以下が好ましく、15kg以下がより好ましい。
【0040】
各パネル及びその分割パネルの外形は、略平板形状が好ましい。略平板形状であれば、分解後の各パネルを積み重ねたり立て掛けたりして保管することができ、保管スペースを有効活用できる。なお、略平板形状とは、平板形状の他に、内面及び外面に多少の凹凸があっても無理なく積載等ができ、平板形状と同一視できる形状を含むものとする。
【0041】
床面パネル及びその分割パネルは、フレームと、その内側に装着される内装材と、内装材と載置する荷台上面との間に装填される断熱防音材とを含む構成としてもよい。また、左側面、右側面、前面、後面、天面パネル及びそれらの分割パネル、並びにドアは、フレームと、その内側に装着される内装材と、その外側に接合される外装材と、内装材と外装材との間隙に装填される断熱防音材とを含む構成としてもよい。
【0042】
フレームの材料は、強度と剛性を有し軽量で加工がしやすくコストが低い材料であれば特に限定されない。軽金属、金属、集成材、木材等が例示される。軽量性と強度の観点からはアルミが好ましく、加工性とコストの観点からは木材が好ましい。フレームは、矩形の枠材、複数の垂直材、複数の横架材等から構成される。各構成部材の形状は、角材、板材、アングル材、パイプ材等いずれの形状でもよい。各構成部材の接合方法としては、釘打ち、かすがい打ち、ボルト締め、継手及び仕口、連結金具、溶接等の建築分野の一般的な手法を用いることができる。
【0043】
本実施形態では、2×4材、角材、板材の各種木材を使用しており、床面及び天面パネルのフレームは長方形の枠材と複数の横架材から構成されている。また、左側面、右側面、前面及び後面パネルは複数の垂直材と横架材から構成されている。なお、ドアは長方形の枠材、垂直材、横架材から構成されている。これらの各構成部材は、ボルト締め、仕口、連結金具で接合されている。
【0044】
外装材の材料は、一定の強度と耐久性を有し軽量で加工がしやすくコストが低い材料であれば特に限定されない。左側面、右側面、前面及び後面パネル、ドアの外装材としては、杉板等の板材、トタンなどの鋼板、金属系、木質系及び合成樹脂系の各種サイディングなどが例示される。軽量性の観点からはアルミのサイディングが好ましく、コストの観点からはガルバリウム鋼板(登録商標)のサイディングが好ましい。天面パネルの外装材としては、トタン、ガルバリウム、ステンレスなどの鋼板、スレート、アスファルトシングルなどの屋根材が例示される。軽量性、耐久性及びコストの観点からはガルバリウム鋼板の屋根材が好ましい。
【0045】
また、外装材とフレームとの間に防水シートや支持材を狭装してもよい。左側面、右側面、前面及び後面パネル、ドアの防水シートとしては合成樹脂の不織布等からなる透湿防水シートが例示される。また、天面パネルの防水シートとしては合成ゴムや塩化ビニルのシート、アスファルトフェルトなどが例示される。支持材としては合板や鋼板等が例示される。外装材、防水シート及び支持材のフレームへの接合方法としては、釘打ち、ビス留め、取付金具、接着等の建築分野の一般的な手法を用いることができる。なお、床面パネルと載置する荷台上面との間に、凹凸の吸収や防水のために板材や合成樹脂のマットなどを敷設してもよい。
【0046】
本実施形態では、左側面、右側面、前面及び後面パネル、ドアの外装材としてガルバリウム鋼板のサイディングを、防水シートとして透湿防水シートを使用している。また、天面パネルの外装材としてはガルバリウム鋼板の屋根材を、防水シートとして合成ゴムのシートを使用している。そして、支持材として合板を使用し、これらをビスでフレームに接合している。なお、床面パネルと載置する荷台上面との間に合成ゴムのマットを敷設している。
【0047】
内装材の材料は、一定の耐久性と不燃性を有し軽量で加工がしやすくコストが低い材料であれば特に限定されない。床面パネルの内装材としては、集成材、フロアカーペットと合板の組合せが、左側面、右側面、前面、後面及び天面パネル、ドアの内装材としては、化粧合板、各種クロスと合板の組合せなどが例示される。内装材は簡単に着脱ができることが好ましく、両面ファスナー、マグネット、けんどん式等により、フレーム、外装材又は支持材の内側に装着される。
【0048】
防音断熱材の材料は、所定の防音断熱性能と不燃性を有し軽量で加工がしやすくコストが低い材料であれば特に限定されない。グラスウールなどの繊維材、発泡ウレタンなどの発泡材が例示される。軽量性や加工性などの観点から合成樹脂の発泡材が好ましく、板状の発泡材がより好ましい。防音断熱材は簡単に着脱ができることが好ましく、両面ファスナー、マグネット、弱両面テープなどにより、フレーム、外装材、支持材又は内装材の内側に装着される。
【0049】
本実施形態では、床面パネルの内装材として合板にフロアカーペットを接着したものを、左側面、右側面、前面、後面及び天面パネル、ドアの内装材として化粧合板を使用し、両面ファスナーでフレームの内側に着脱可能に装着している。また、防音断熱材として、板状の発泡ウレタン(FP板)を使用し、所定の形状に加工して両面ファスナーで支持材の内側に着脱可能に装着している。
【0050】
ここで、
図4及び5の各図は、キャンピングシェル1を組み立てる作業を示す斜視図である。なお、一部の構造は省略して図示している。本実施形態では、各パネルの内装材及び断熱防音材を外した状態で組立及び分解を行う。最初に、
図4(a)のようにトラック型の軽自動車Tの荷台T1のあおりT2を下げ、床面パネル11F,11Rを荷台T1上に水平に載置して連結する。次に、
図4(b)~(c)のように床面パネル11F,11Rの左右両側に左側面下部パネル12L及び右側面下部パネル13Lを、前側に前面下部パネル14Lを立設する。
【0051】
続いて、
図4(d)~(e)のように各下部パネルの上側に、対応する左側面上部パネル12U、右側面上部パネル13U及び前面上部パネル14Uを延設する。前面パネル14L,14Uの左右両縁部には出隅コーナー材のベース材が接合されており、これに出隅コーナー材のカバー材を嵌合させて、コーナー部を出隅コーナー材18でシールする。
【0052】
そして、
図4(f)のように左側面上部パネル12U、右側面上部パネル13U及び前面上部パネル14Uの上側に、天面前部パネル16Fを架設する。本実施形態では各パネルの重量は20kg以下であり一人でも組立分解作業を進めることができるが、天面パネルの架設作業には労力を要する。この時、天面前部パネル16Fの上に後部パネル16Rを仮置きしておくと、後の架設作業を進めやすくなる。
【0053】
さらに、
図5(a)のように床面パネル11R、左側面パネル12L,12U及び右側面パネル13L,13Uの後側に後面パネル15を立設する。また、前述と同様にコーナー部を出隅コーナー材18でシールする。そして、
図5(b)のように左側面上部パネル12U、右側面上部パネル13U及び後面パネル15の上側に、天面後部パネル16Rを架設して、略直方体形状のキャンピングシェル1を組み上げる。また、各パネルの連結部を増す締めして堅く固定する。
【0054】
続いて、
図5(c)のように天面前部パネル16F及び天面後部パネル16Rの左右両側面に設けられた固定金具19と、左側面上部パネル12U及び右側面上部パネル13Uの外面に設けられた固定金具19とを、緊締金具20で連結して締め上げ、天面パネル16F,16Rを左側面上部パネル12U及び右側面上部パネル13Uに堅く固定する。また、各パネルの内装材及び断熱防音材を内部に搬入して所定の位置に装着する。
【0055】
そして、
図5(d)のように出入口151にドア17を開閉自在に丁番を介して装着する。さらに、
図5(e)のように荷台T1のあおりT2を上げて固定する。最後に、
図5(f)のように左側面上部パネル12U及び右側面上部パネル13Uの外面に設けられた固定金具19と、荷台下の車体に突設されたフックとを、緊締バンド21で連結して締め上げ、キャンピングシェル1を自動車Tの荷台T1に堅く固定する。なお、
図11(a)にもキャンピングシェル1の外観を示す左側面図を示す。
【0056】
前述の各パネル及びその分割パネルの縁部及び分割縁部に設けられている連結固定及び解除分離可能な連結分離部としては、対応する縁部間に形成され相互に係合する連結凹部と連結凸部との組合せが挙げられる。具体的には、各パネルのフレームの対応する縁部間に相互に形成された、凹孔、凹溝、貫通孔等からなる連結凹部と、それに係合し連結と分離ができる連結凸部との組合せが例示される。連結固定時の所定の強度と、解除分離時の一定の作業性が得られる形状であれば特に限定されない。
【0057】
また、対応する縁部間に形成され相互に係合する継手部及び仕口部が挙げられる。建築分野の一般的な構造を用いることができ、具体的には、各パネルのフレームの対応する縁部間に相互に形成された、ほぞ継ぎ、欠き継ぎ、組み継ぎ、貫等の連結と分離ができる継手及び仕口構造が例示される。フレームが集成材や角材等の木質系の場合には、連結凹部及び連結凸部、継手部及び仕口部に補強金具を装着して耐久性を向上させてもよい。
【0058】
さらに、対応する縁部間を相互に連結する連結金具が挙げられる。建築分野の一般的な物を用いることができ、具体的には、アングル金具、プレート金具、コーナー金具、引き寄せ金具(羽子板ボルト、ホールダウン金具)等が例示される。強度と作業性の両立の観点から、上記の連結凹部と連結凸部の組合せ、継手部及び仕口部、並びに連結金具から選ばれる複数の手段を組み合わせるのが好ましい。
【0059】
また、少なくとも1つの各パネルと自動車を、及び/又は、少なくとも2つの各パネル同士を、緊締部材を用いて固定するための少なくとも1つの緊締固定部を、1つ又は2つ以上の各パネルの外面に固設してもよい。緊締固定部の数や位置、緊締固定部を設ける各パネルやその分割パネルの種類は、所定の固定力が得られる形態であれば特に限定されない。
【0060】
緊締部材としては、建築や輸送機器分野の一般的な物を用いることができる。ラッシングベルト、タイダウンベルト、ターンバックル、各種ワイヤー・ロープなどが例示される。ラッシングベルト及びタイダウンベルトは、ラチェットバックルやカムバックルなどの緊締金具と、フックやリング形状の端末金具又はループ状のしぼり部とを有する。取り回し性、傷つき防止の観点からは、ラッシングベルト及びタイダウンベルトが好ましい。緊締力の観点からはターンバックルが好ましい。
【0061】
緊締固定部としては、フックボルト、プレートフック、Uボルト、アイボルト、アイプレートなどのフックやリング形状の金具が例示される。数は各パネル当たり4~8つ、分割したパネルでは2~4つが好ましい。位置は天面パネルの縁部側面、左側面、右側面、前面及び後面パネルの外面で、フレームに直結できる位置が好ましい。また、左右対称、前後対称になる数と位置で設けるのが好ましい。車体側の固定部としては、荷台下の車体に突設されたフック、あおり外面に突設されたフック、運転室後面のガードフレームに設けられたフックなどが例示される。
【0062】
ここで、
図6は床面後部パネル11Rと右側面下部パネル13Lとの連結分解部の構造を示す部分斜視図である。床面パネル11Rの枠フレーム111Rの外周側面には、複数の連結凹部112Rが形成されており、そこに断面略コ字形の連結金具113Rがビスで接合され補強されている。一方、右側面下部パネル13Lの上下方向に設けられた垂直フレーム131Lの下端部は、そのまま連結凸部132Lを形成している。連結凸部132Lが連結凹部112R及び連結金具113Rに係合されて、床面後部パネル11Rに右側面下部パネル13Lが連結される。
【0063】
本実施形態では、連結金具113Rと連結凸部132Lとがビスやボルトで固定されていないが、後述する引き寄せ金具による連結固定と、緊締ベルトによる緊締固定により、各フレーム同士が締め付けられ堅牢に固定されるため分離脱落は生じない。なお、床面パネルに立設される他のパネルの連結分離部も同様の構造である。本発明において各パネルのフレームをビスやボルトで固定する場合には、ネジ山の摩滅を考慮して、貫通孔を設けてボルトとナットで締結するか、爪付きナットを嵌入してビスやボルトで締結する構造が望ましい。
【0064】
図7は、右側面下部パネル13Lと上部パネル13Uとの連結分解部の構造を示す部分斜視図である。右側面下部パネル13Lの上下方向に設けられた垂直フレーム131Lの上縁部には、断面略コ字形の連結金具133がビスで接合されている。一方、右側面上部パネル13Uの上下方向に設けられた垂直フレーム131Uの下端部は、そのまま連結凸部132Uを形成している。連結凸部132Uが連結金具133に係合され右側面下部パネル13Lに上部パネル13Uが連結される。
【0065】
垂直フレーム131L,131Uの前後両側面には、交差する水平フレーム134L,134Uを挟んで上下に対向する位置に、各2個のホールダウン金具135L,135Uがボルトで装着されている。また、水平フレーム134L,134Uには、交差する垂直フレーム131L,131Uを挟んで前後各2箇所に、上下方向の貫通孔が設けられている。引き寄せ金具135L,135Uと貫通孔に連結ボルトが挿通され、その一端がナットで締結され、右側面下部パネル13Lと上部パネル13Uとが引き寄せられ堅く固定される。なお、下部パネルに上部パネルが延設される他の連結分離部も同様の構造である。
【0066】
図8は、右側面下部パネル13Lと前面下部パネル14Lとの連結分解部の構造を示す部分斜視図である。右側面下部パネル13Lの前後方向に設けられた水平フレーム134Lの前端近傍には、上下方向の貫通孔が設けられ、そこにホールダウン金具135Lがボルトで装着されている。一方、前面下部パネル14Lの左右方向に設けられた水平フレーム141Lの右端部には、上下方向の貫通孔が設けられ、そこに引き寄せ金具142Lがボルトで装着されている。
【0067】
右側面下部パネル13Lの前端部と前面下部パネル14Lの右端部とを突合させ、引き寄せ金具135Lと142Lに連結ボルトが挿通され、その一端がナットで締結され、右側面下部パネル13Lと前面下部パネル14Lとが引き寄せられ堅く固定される。また、前面パネル14L,14Uの左右両端部には出隅コーナー材のベース材181が接合されており、右側面パネル13L,13Uと前面パネル14L,14Uとを連結固定した後で、出隅コーナー材のカバー材を嵌合させて、コーナー部を出隅コーナー材18でシールする。なお、コーナー部分の他の連結分離部も同様の構造である。
【0068】
図9は、左側面上部パネル12Uと天面後部パネル16Rとの連結分解部の構造を示す部分斜視図である。左側面上部パネル12Uの上端部の外面には外フレーム122がビスで接合されており、そこに断面略コ字形の受け金具123が上向きに複数突設されている。一方、天面後部パネル16Rは、平板材が略ロ字型に組まれた枠フレーム161Rの上に、支持材、防水シート及び屋根材が積み重ねられビスで接合された構造となっている。枠フレーム161Rの下側がそのまま連結凸部となり受け金具123に係合され、左側面上部パネル12Uに天面後部パネル16Rが連結される。
【0069】
本実施形態では、枠フレーム161Rと受け金具123とはビスやボルトで固定されておらず、枠フレーム161Rの外面に突設されたアイプレート19にターンバックル20の上端フックを係合させ、左側面上部パネル12Uの外面に突設されたアイプレートにターンバックル20の下端フックを係合させ、本体を回転させて締め上げ天面後部パネル16Rを左側面上部パネル12Uに堅く固定している。なお、天面パネルが架設される他の連結分離部も同様の構造である。
【0070】
図10は、左側面下部パネル12Lと上部パネル12Uとの連結部分(分割部分)の拡大断面図である。本実施形態では、左側面、右側面、前面及び後面の外装材としてガルバリウム鋼板のサイディングを使用しており、サイディングは、表面材と、裏面材と、表面材と裏面材との間隙に装填された芯材とを含んでいる。
図10に示すように、下部パネル12Lの分割端部では、外装材124Lが後退して、その内側の支持材125Lが延出しており、外装材124Lの上端部では表面材1241Lが芯材1242Lを挟んで裏面材1243L側に屈曲して連結凸部1244が形成されている。
【0071】
一方、上部パネル12Uの分割端部では、外装材124Uが延出して、その内側の構造材125Uが後退しており、外装材124Uの下端部では表面材1241Uが芯材1242Uを挟んで裏面材1243U側に屈曲して連結凹部1245が形成されている。両パネルを連結する際、上方に延出した支持材125Lの外面に、下方に延出した外装材124Uの内面を当接させることにより、スムーズに連結凸部1244と連結凹部1245とを係合させることができる。また、両パネルを密接させて連結することにより、気密性を高めて雨水の浸入を防ぐことができ、継ぎ目を目立たなくして外観の美観を向上させることができる。
【0072】
なお、右側面及び前面パネルの分割部分の外装材も同様の構造である。天面パネルの屋根材の連結部分(分割部分)は、屋根材に予め設けられているジョイント構造をそのまま利用しており、一方の屋根材の先端部に設けられた断面略U字型の折り部と、他方の屋根材の後端部に設けられた突起状の折り部とを係合させて連結している。
【0073】
[第2実施形態]
図11(b)は、本発明の第2実施形態であるキャンピングシェル3の外観を示す左側面図である。
図11(b)に示すようにキャンピングシェル3は、左側面パネル31及び右側面パネルの上部がトラック型の軽自動車Tの運転室天面上方まで前方に延出している。また、前面パネル32の上部が運転室天面上方まで前方に屈折して延出し、さらに運転室前面近傍で上方に屈折して延出している。さらに、天面パネル33の前部が運転室天面上方まで前方に延出している。
【0074】
左側面パネル31は下部パネル31L、中間パネル31M及び上部パネル31Uに、右側面パネルは下部パネル、中間パネル及び上部パネルに、前面パネル32は下部パネル32L、中間パネル32M及び上部パネル32Uに、各々上下方向に3分割することができる。また、天面パネル33は前部パネル33F、中間パネル33M及び後部パネル33Rに、前後方向に3分割することができる。なお、左側面上部パネル31Uには、中央に引き違い窓121が、前方に小さめの突き出し窓311が嵌設されている。
【0075】
本実施形態では、居住空間を運転室上方まで広げて、棚スペースなどを確保することができる。この形態では、各パネルの外形が大きく重量が重くなるため、各パネルの分割数は、軽自動車用では2~3つ、普通動車用では2~4つが好ましい。なお、その他の構成要素の構造等は、キャンピングシェル1と同等である。
【0076】
なお、本発明のキャンピングシェルの形態は、本実施形態によって限定されるものではなく種々の変更が可能である。例えば、天面パネルを左右方向に2分割し、中央を高く両側を低くして切妻屋根としてもよい。また、出入口を左右何れかの側面パネルに設けて、スライドして開閉する引き戸としてもよい。さらに、荷台後側のあおりを下げて載置し、床面、左側面、右側面及び天面パネルの後部が最大積載寸法まで後方に延出しており、居住空間が後方に拡張された形態としてもよい。また、左側面及び右側面パネルが、あおりの上方で車体横幅まで左右方向に張り出し、居住空間が左右方向に拡張された形態としてもよい。
【符号の説明】
【0077】
T…トラック型の軽自動車、T1…荷台、T2…あおり、C…従来のキャンピングシェル、B…緊締バンド、M…自立架台、M1…ジャッキベース、J…フロアジャッキ。
【0078】
1…キャンピングシェル1、11F,11R…床面パネル、12L,12U…左側面パネル、121…左側面引き違い窓、13L,13U…右側面パネル、131…右側面引き違い窓、14L,14U…前面パネル、15…後面パネル、151…出入口、16F,16R…天面パネル、17…片開きドア。
18…出隅コーナー材、19…固定金具(アイプレート)、20…緊締金具(ターンバックル)、21…緊締ベルト(ラッシングベルト)。
【0079】
111R…床面後部パネル枠フレーム、112R…床面後部パネル連結凹部、113R…床面後部パネル連結金具、131L…右側面下部パネル垂直フレーム、132L…右側面下部パネル連結凸部。
131U…右側面上部パネル垂直フレーム、132U…右側面上部パネル連結凸部、133…右側面パネル連結金具、134L,134U…右側面パネル水平フレーム、135L,135U…右側面パネル引き寄せ金具(ホールダウン金具)。
【0080】
141L…前面下部パネル水平フレーム、142L…前面下部パネル引き寄せ金具(ホールダウン金具)、181…出隅コーナー材のベース材。
122…左側面パネル外フレーム、123…左側面パネル受け金具、161R…天面後部パネル枠フレーム。
【0081】
124L,124U…左側面パネル外装材、125L,125U…左側面パネル支持材、1241L,1241U…左側面パネル表面材、1242L,1242U…左側面パネル芯材、1243L,1243U…左側面パネル裏面材、1244…左側面パネル外装材連結凸部、1245…左側面パネル外装材連結凹部。
【0082】
3…キャンピングシェル3、31L,31M,31U…左側面パネル、311…左前方突き出し窓、32L,32M,32U…前面パネル、33F,33M,34R…天面パネル。