(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
A01B 59/042 20060101AFI20230630BHJP
【FI】
A01B59/042 Z
(21)【出願番号】P 2019121279
(22)【出願日】2019-06-28
【審査請求日】2022-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】390010836
【氏名又は名称】小橋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 忠治
(72)【発明者】
【氏名】河本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】平本 浩志
【審査官】吉原 健太
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0092285(US,A1)
【文献】特開平10-123249(JP,A)
【文献】特開2006-280217(JP,A)
【文献】特開2014-133438(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0053673(US,A1)
【文献】米国特許第05050321(US,A)
【文献】米国特許第05647153(US,A)
【文献】実開昭53-036249(JP,U)
【文献】特開2020-174604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 27/00 - 79/02
A01C 11/00 - 14/00
A01D 13/00 - 47/00
B60Q 1/00 - 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結部材を介して走行機体に連結される作業機であって、
保安部品と、
前記保安部品を装着した第1の支持部材、及び、前記第1の支持部材に対して略垂直に接続されるとともに互いに略平行である一対の第2の支持部材を含む支持部材と、
を有し、
前記支持部材は、前記作業機に装着された前記連結部材に装着され
、
前記連結部材は、オートヒッチアームである、作業機。
【請求項2】
背面視において、前記第1の支持部材の一部は、前記保安部品を、少なくとも作業機の最外側端部まで移動可能である、
請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記一対の第2の支持部材の一端は、前記第1の支持部材を二点で支持し、
前記一対の第2の支持部材の他端は、前記連結部材に二点で着脱可能に装着され、
前記第1の支持部材は、伸縮可能である、
請求項1または2に記載の作業機。
【請求項4】
ターンバックルを有し、
前記ターンバックルの一端は、前記走行機体のロアーリンクに接続されるリフトロッドに接続され、
前記ターンバックルの他端は、前記一対の第2の支持部材の一方に接続され、
前記ロアーリンクと、前記リフトロッドと、前記ターンバックルと、前記第2の支持部材でと構成されるリンク機構によって、前記保安部品が公道に対して略垂直に移動する、
請求項3に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業に供する作業機に関する。また、異なる農作業機の間で共通して設けることが可能な、保安部品ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラクタ等の走行機体に農作業用の作業機を装着した状態で公道を走ることについての取り扱いが不明確であった。しかしながら、近年の規制緩和に伴い、一定の要件を満たした保安部品を設置すれば、トラクタに作業機を装着したまま公道を走ることが可能となった。例えば、トラクタに作業機を装着した場合、トラクタの後退灯や制動灯(ブレーキランプ)等が後方から視認できなくなる虞がある。この場合、トラクタの後退灯等(以下、「灯火器類」という)の代わりとなる保安部品を作業機に装着する必要が生じる。また、トラクタよりも横幅の大きい作業機を装着する場合は、作業機の大きさ(端部の位置)が分かるように、表示板等を装着する必要が生じる。つまり、大きな作業機ほど一定の要件を満たした保安部品の設置が必要となる場合が多い。
【0003】
農作業用の作業機として、代掻き作業機などに代表される折り畳み式の作業機が知られている。折り畳み式作業機は、作業時は、左右作業部を展開することにより広い範囲の圃場の耕耘処理が可能であり、非作業機時は、左右の作業部を折り畳むことにより移動及び格納に適した大きさとすることが可能である。折り畳み式作業機は、左右作業部を折り畳むことにより上下方向に高くなり、トラクタの灯火器類を隠してしまう可能性が高い。また、折り畳んだ作業機は、上下方向に高くなることにより重心位置も高くなる。そのため、公道を走行するためにはバランスにも考慮する必要が生じる。さらに、折り畳み式作業機は、元々のサイズが大きいため、左右作業部を折り畳んだとしても、トラクタよりも横幅が大きくなりやすいという問題がある。
【0004】
また、農作業用の作業機として、ロータリ耕耘機などに代表される非折り畳み式の作業機が知られている。非折り畳み式作業機は、作業機のリフトアップにより上下方向に高くなり、トラクタの灯火器類を隠してしまう可能性が高い。また、非折り畳み式作業機は、大規模な圃場の耕耘作業に適した横幅がトラクタより大きいものもある。
【0005】
折り畳み式作業機の横幅の大きさ等を他の農作業者や通行者に認識させるための技術としては、例えば、特許文献1及び特許文献2が知られている。また、非折り畳み式作業機を他の農作業者や通行者に認識させるための技術としては、例えば、特許文献3及び特許文献4が知られている。特許文献1~4は、作業機の所定の位置に発光手段または反射手段を設け、発光手段の点灯または反射手段の反射により作業機を他の農作業者等に認識させる技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-280217号公報
【文献】特開2014-195422号公報
【文献】実開昭49-120713号公報
【文献】特開2002-291302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1~4に記載された技術は、折り畳み式作業機、非折り畳み式作業機のそれぞれの作業機に応じて、保安部品を作業機ごとに個別の位置に設けることを開示しており、作業機によらずに、異なる作業機の間で共通して設けることが可能な、保安部品を有する支持部材(保安部品ユニット)を開示していない。
【0008】
本発明の課題の一つは、異なる農作業機の間で共通して設けることが可能な、保安部品ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態による作業機は、保安部品と、保安部品を支持する支持部材と、を有し、支持部材は、走行機体と連結される連結部材に設けられる。
【0010】
本発明の一実施形態による作業機は、保安部品と、走行機体と連結される連結部材に設けられ、保安部品を支持する支持部材と、を有し、背面視において、支持部材の一部は、保安部品を、少なくとも作業機の最外側端部まで移動可能である。
【0011】
支持部材は、第1の支持部材と、第1の支持部材に対して略垂直に設けられ、互いに平行である一対の第2の支持部材とを有し、一対の第2の支持部材の一端は、第1の支持部材を二点で支持し、一対の第2の支持部材の他端は、連結部材に二点で着脱可能に装着され、第1の支持部材は、伸縮可能であってもよい。
【0012】
第1の支持部材は、連結部材に着脱可能な部材で装着され、第1の支持部材は、着脱可能な部材を支点にして、連結部材に対して回動可能であってもよい。
【0013】
ターンバックルを有し、ターンバックルの一端は、走行機体のロアーリンクに接続されるリフトロッドに接続され、ターンバックルの他端は、一対の第2の支持部材の一方に接続され、ロアーリンクと、リフトロッドと、ターンバックルと、第2の支持部材とで構成されるリンク機構によって、保安部品が公道に対して略垂直に移動してもよい。
【0014】
連結部材は、オートヒッチアームであってもよい。
【0015】
連結部材は、作業機に含まれるトップマストであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、異なる農作業機の間で共通して設けることが可能な、保安部品ユニットを有する作業機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態における保安部品ユニットの構成、及び作業機を走行機体に連結した状態の構成を示す図である。
【
図2】第1実施形態における作業機を走行機体に連結した状態の構成を示す図である。
【
図3】第1実施形態における作業機を走行機体に連結した状態の変形例を示す側面図である。
【
図4】第1実施形態における作業機を走行機体に連結した状態の変形例を示す図である。
【
図5】第1実施形態における保安部品ユニットの変形例を示す図である。
【
図6】第1実施形態における保安部品ユニットの変形例を示す図である。
【
図7】第1実施形態における保安部品ユニットの変形例を示す図である。
【
図8】第2実施形態における作業機を走行機体に連結した状態の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の作業機の実施形態について、折り畳み式作業機を例に説明する。但し、本発明の作業機は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す例の記載内容に限定して解釈されるものではない。例えば、本発明の作業機は、ロータリ作業機、畦塗り機等の非折り畳み式作業機であってもよい。
【0019】
なお、本実施の形態で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号又は類似の記号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。例えば、本発明の作業機が中央作業体、左側作業体及び右側作業体の3つの作業体で構成される場合、それぞれの作業体が有する部分であることを示すために、数字の後に「C」、「L」及び「R」を付すことがある。
【0020】
本願の明細書及び特許請求の範囲において、「上」は圃場から垂直に遠ざかる方向を示し、「下」は圃場に向かって垂直に近づく方向を示す。また、「前」は作業機を基準として走行機体が位置する方向を示し、「後」は前とは180°反対の方向を示す。また、「左」は作業機を基準として走行機体が位置する方向に向かったときの左を示し、「右」は左とは180°反対の方向を示す。
【0021】
また、本願の明細書及び特許請求の範囲において、平面視における作業機の中心線を基準としたとき、相対的に、中心線に近い側を「内側」と呼び、中心から遠い側を「外側」と呼ぶ。したがって、例えば左右の作業体は、格納状態における外側端部が展開状態では内側端部(中央作業体に向かい合う端部)に位置することとなる。
【0022】
<第1実施形態>
第1実施形態では、保安部品ユニットがオートヒッチアームに接続される例を示す。
【0023】
[保安部品ユニット200の構成]
以下、第1実施形態における保安部品ユニット200の構成の概略について、
図1及び
図2を用いて説明する。
図1(A)は、第1実施形態における保安部品ユニット200の構成を示す図である。
図1(B)は、第1実施形態における作業機10を走行機体100に連結した状態の構成を示す背面図である。
図2(A)は、第1実施形態における作業機10が左側作業体10L及び右側作業体10Rを折り畳んだ状態で走行機体100に連結した構成を示す側面図である。
図2(B)は、第1実施形態における作業機10が左側作業体10L及び右側作業体10Rを折り畳んだ状態で走行機体に連結した構成を示す背面図である。なお、
図2に示した「200mm」の数値は、走行機体に作業機を装着した状態で公道を走行する際に、保安基準上、路上表面から作業機10の下端までの間に確保すべき最小距離である。
【0024】
本明細書中において「保安部品」とは、トラクタ等の走行機体に作業機を連結した状態で公道を走行する際に、保安基準を満たすために設けられる部品を指す。保安部品としては、灯火器、反射器、作業機の外端を明示する外側表示板、保安基準緩和の条件となる制限を受けていることを示す標識等が含まれる。
【0025】
本実施形態では、保安部品として、灯火器52及び54を装着した例を示す。本実施形態の保安部品ユニット200が備える灯火器52及び54は、走行機体100の灯火器類(灯火器及び反射器を含む。)102の代わりをなす保安部品である。走行機体100の後部に作業機10を連結して公道を走行する際、作業機10によって走行機体100の灯火器類102が後方の車両に対して隠れてしまう場合がある。そのような場合、灯火器52及び54は、走行機体100の灯火器類102の代わりに、後方の車両に車幅、ブレーキ作動の有無等を伝達する役割を果たす。
【0026】
図1(A)に示されるように、本実施形態において、保安部品ユニット200は、第1の支持部材112、第1の支持部材112に対して略垂直に設けられ、互いに平行である一対の第2の支持部材114L及び114R、第1の支持部材に設けられた灯火器52及び54を有する。本明細書において、第1の支持部材112、第2の支持部材114L及び114Rをまとめて、支持部材と呼ぶことがある。
【0027】
第1の支持部材112は、第2の支持部材114L及び114Rによって、二点で支持される。第2の支持部材114Lは、第2の支持部材114Lの他端124Lを接続部材122Lを用いてオートヒッチアーム110に着脱可能に接続され、第2の支持部材114Rは、第2の支持部材114Rの他端124Rを2個の接続部材122Rを用いてオートヒッチアーム110に着脱可能に接続される。すなわち、保安部品ユニット200は、オートヒッチアーム110に着脱可能に接続される。本明細書等において、オートヒッチアーム110は、連結部材と呼ばれる。第2の支持部材114Rを2個の接続部材122Rによってオートヒッチアーム110に接続することで、保安部品ユニット200が前後方向に回転することを防止できる。なお、第2の支持部材114Rと同様に、第2の支持部材114Lも2個の接続部材122Lを用いてオートヒッチアーム110に着脱可能に接続されてもよい。
【0028】
第1の支持部材112は、例えば、その内部が空間になっており、第1の支持部材112の略中央と両端に孔部を有する。複数の配線136の一方は、第1の支持部材112の略中央の孔部から第1の支持部材112の内部及び両端の孔部を通り灯火器52及び54に接続される。複数の配線136の他方は略中央の孔部から取り出され、コネクタ130に接続される。コネクタ130は、例えば、走行機体100のトラクタトレーラカプラに接続され、走行機体から電源を供給される。また、複数の配線136は、例えば、電源系と制御系のコネクタに接続され、電源及び制御信号を、灯火器52及び54に供給するように構成されてもよい。
【0029】
本実施形態において、第1の支持部材112と第2の支持部材114Lの一端123L及び第2の支持部材114Rの一端123Rとの接続は、溶接により直接的に接続された例を示すが、接続部材(例えば、ボルト及びナット)を用いて間接的に接続されてもよい。また、本実施形態において、接続部材122L及び接続部材122Rは、耐荷重を有するピン状部材である例を示すが、この例に限定されず、例えば、ボルト及びナットであってもよい。接続部材122L及び接続部材122Rは、保安部品ユニット200とオートヒッチアーム110を着脱可能に接続する部材であればよい。本明細書等において、接続部材は、ボルト及びナット、ピン状部材である例を示す。また、接続部材は、着脱可能な部材と呼ぶこともある。
【0030】
図1(B)、
図2(A)又は
図2(B)に示されるように、本実施形態における保安部品ユニット200は、作業機10と走行機体100とを連結するオートヒッチアーム110に装着される。作業機10は、中央作業体10C、左側作業体10L及び右側作業体10Rを備え、3つに分割された構造となっている。中央作業体10Cは、作業機10の中央部に配置され、作業機本体として機能する。左側作業体10L及び右側作業体10Rは、中央作業体10Cの左右両端部に上下方向に回動可能に取り付けられている。作業機10は、これら左側作業体10L及び右側作業体10Rを斜め上方に回動させることにより
図2に示すように中央作業体10Cに重ねて折り畳むことができ、斜め下方に回動させることにより
図1(B)に示すように展開することができる。
【0031】
ここで、左側作業体10L及び右側作業体10Rを中央作業体10Cに重ねて折り畳んだ状態を収納状態と呼ぶ。収納状態とは、作業機10の幅が走行機体100の進行方向に対して直交する方向に縮小された状態である。また、左側作業体10L、右側作業体10R及び中央作業体10Cが横に並んだ状態を展開状態と呼ぶ。展開状態とは、作業機10が走行機体100の進行方向に対して直交する方向に延長された状態である。本実施形態において、作業機10を走行機体100に連結した状態で公道を走行する場合、作業機10は収納状態にしておく。作業機10が農作業を行う場合、展開状態とする。したがって、展開状態は、作業状態と呼ぶこともできる。
【0032】
次に、中央作業体10Cについて簡単に説明する。中央作業体10Cは、少なくともトラクタ等の走行機体100との連結部材として機能するトップマスト12及びロアーリンク連結部14、走行機体100から動力が伝達される入力軸(図示は省略)を備えている。入力軸は、走行機体100から伝達された動力を作業機10に入力する。入力軸は走行機体100のPTO軸(図示せず)に連結され、PTO軸からユニバーサルジョイント等(図示せず)を介して動力が伝達される。
【0033】
トップマスト12は、中央作業体10Cの前方中央部に設けられ、ロアーリンク連結部14は、中央作業体10Cの前方左右二箇所に設けられている。トップマスト12及び左右二箇所に設けられたロアーリンク連結部14は、走行機体100のトップリンク116及び左右二箇所に設けられたロアーリンク115にそれぞれ連結され、作業機10は走行機体100の後部に昇降可能に装着される。なお、
図2(A)には、走行機体100のトップリンク116及びロアーリンク115に装着されたオートヒッチアーム110を介して作業機10と走行機体100とが連結される例を示している。本明細書等において、トップマスト12は、連結部材と呼ばれる。
【0034】
図2(B)に示されるように、本実施形態において、灯火器52は、収納状態における作業機10の左側作業体10Lの外側端部に位置するように、第1の支持部材112に装着されており、灯火器54は、収納状態における作業機10の右側作業体10Rの外側端部に位置するように、第1の支持部材112に装着されている。灯火器52の外側の辺は、左側作業体10Lの最も外側の位置から多少離れていてもよい。この点については、灯火器54についても同様である。また、後方の車両に対する視認性を向上させるため、背面視において、側方作業体(左側作業体10L及び右側作業体10R)よりも高い位置に灯火器52及び54を配置することが好ましい。また、
図2(B)では、灯火器52及び54が、それぞれ側方作業体から外側に対して突出しないように配置された保安部品ユニット200を示しているが、この例に限らず、背面視において、保安部品ユニット200は、側方作業体よりも外側の位置に灯火器52及び54を配置した構成を有してもよい。本実施形態における保安部品ユニット200において、作業機の幅、右側作業体10Rの外側端部及び左側作業体10Lの外側端部に合わせて、第1の支持部材112の長さが予め設計されてもよく、詳細は後述するが、第1の支持部材112が伸縮可能な構成とされてもよい。また、本実施形態における保安部品ユニット200において、作業機の高さ、作業機を折り畳んだときの高さに合わせて、第2の支持部材114L及び114Rの長さが予め設計されてもよく、第2の支持部材114L及び114Rが伸縮可能な構成とされてもよい。本実施形態における保安部品ユニット200は、灯火器52及び54が他の農作業者や通行者に認識可能な位置になるように、構成される。
【0035】
本実施形態において、灯火器52及び54として、方向指示器、制動灯及び後退灯の3種類のランプを含む例を示すが、この例に限られるものではない。例えば、灯火器52及び54としては、方向指示器、制動灯、尾灯、車幅灯、及び後退灯の少なくともいずれか1つを設けてあってもよい。
【0036】
なお、本実施形態の保安部品ユニット200では、灯火器52及び54は、走行機体100の灯火器類102に連動して動作する。例えば、灯火器52及び54に含まれる制動灯(ブレーキランプ)は、走行機体100でブレーキが作動した際に点灯するように制御される。この場合、走行機体100の灯火器類102の点灯動作を制御する制御信号を灯火器52及び54の点灯動作を制御する制御信号として用いれば良い。このような制御信号を走行機体100から作業機10に伝送するためには、有線通信を用いてもよいし、無線通信を用いてもよい。例えば、走行機体100には、灯火器類102の制御信号を取り出すための端子が存在するため、そのような端子を利用することも可能である。
【0037】
また、本実施形態における保安部品ユニット200は、作業機10に対して灯火器52及び54の2つの灯火器を設けた例を示すが、この例に限らず、例えば、後退灯は1つのみであってもよい。灯火器を1つのみ配置する場合は、特に位置に制限はない。しかしながら、灯火器を2つ配置する場合は、作業機10の端部が認識できるように、灯火器を左側作業体10L及び右側作業体10Rそれぞれの外側端部近傍に位置するように、第1の支持部材112に配置することが望ましい。
【0038】
上述した灯火器52及び54は、走行機体100の灯火器類102の代わりをなす保安部品であることから、作業機10を装着しても走行機体100の灯火器類102が後方から視認できる場合は装着する必要がない。そのような場合に備え、本実施形態の保安部品ユニット200は、オートヒッチアーム110に対して着脱可能に装着されている。なお、灯火器52及び54の一部を保安部品ユニット200から着脱可能にしてもよい。
【0039】
本明細書等において、灯火器52及び54を支持部材等に備える方法に特に制限はなく、例えば、磁石、吸盤、又は固定具(例えば、ボルト及びナット)のいずれかを用いて保安部品ユニット200の構成要素の一部に固定する方法を採用してもよい。保安部品ユニット200の構成要素の一部は、例えば、第1の支持部材である。また、灯火器52及び54は、保安部品ユニット200の構成要素の一部に溶接で直接装着されてもよく、構成要素の一部にブラケット又は取付座を溶接し、ブラケット又は取付座に前記固定具を用いて装着されてもよい。
【0040】
また、前述のとおり、作業機10を装着しても走行機体100の灯火器類102が後方から視認できる場合は、作業機10に灯火器類(例えば灯火器52及び54)を装着する必要はない。この場合、走行機体100の灯火器類102と作業機10の灯火器類とが一緒に視認できてしまうと問題がある。このような場合に備え、本実施形態における保安部品ユニット200の灯火器類に、後方から視認できないようにするためのカバー部材が設けられてもよい。そのほか、走行機体100の灯火器類102が後方から視認できる場合は、本実施形態における保安部品ユニット200の灯火器52等を点灯させないようにするなどの制御を行ってもよい。
【0041】
以上のとおり、本実施形態における保安部品ユニット200は、オートヒッチアーム110に着脱可能に装着されているため、作業機10を装着しても走行機体100の灯火器類102が後方から視認できる場合は、作業者は保安部品ユニット200を容易に取り外すことができる。本実施形態によれば、保安部品ユニット200を有し、公道走行時における保安基準を考慮した作業機10を提供することができる。また、本実施形態における保安部品ユニット200は、公道走行時における保安基準を考慮し、オートヒッチアーム110に着脱可能に装着されているため、異なる作業機の間で共通して設けることが可能な、保安部品ユニットを提供することができる。
【0042】
[変形例1]
変形例1では、第1実施形態における作業機を走行機体に連結した状態の変形例について、
図3~5を用いて説明する。
図3及び4は、第1実施形態における作業機10が左側作業体10L及び右側作業体10Rを折り畳んだ状態で走行機体100に連結した構成の変形例1を示す側面図である。
図5(A)は、
図3及び4に示す変形例1において、保安部品ユニット200、オートヒッチアーム110、ロアーリンク115などを抽出して示した上面図である。
図5(B)は、
図3及び4に示す変形例1において、保安部品ユニット200、オートヒッチアーム110などを抽出して示した背面図である。なお、図面の理解の促進のため、本来は走行機体100のタイヤに隠れている部材が、実線で示されている。また、
図1及び2と同一、又は類似する構成の説明は、省略されることがある。
【0043】
図3~5では、
図2を用いて説明されたトップマスト12、左右二箇所に設けられたロアーリンク連結部14、トップリンク116及び左右二箇所に設けられたロアーリンク115に加え、ターンバックル117、リフトロッド118、リフトアーム119などが示されている。
【0044】
図3~5に示されるように、リフトアーム119は走行機体100に接続されている。リフトロッドの一端118aは、ロアーリンク115に接続され、リフトロッドの他端118bは、リフトアーム119に接続される。ターンバックルの一端117aは、リフトロッド118に接続され、ターンバックルの一端117bは、一対の第2の支持部材の一方(ここでは、第2の支持部材114L)に接続される。前述の通り、トップマスト12及びロアーリンク連結部14は、トップリンク116及びロアーリンク115に装着されたオートヒッチアーム110を介して接続され、一対の第2の支持部材114L及び114Rはオートヒッチアーム110に接続されている。ここで、ロアーリンク115と、リフトロッド118と、ターンバックル117と、オートヒッチアーム110(第2の支持部材114L)とが、リンク機構120を構成する。
【0045】
作業機10は、走行機体100の後部のタイヤに略沿うように円弧状に上下動作(
図4に示す白抜きの矢印方向に動作)するが、リンク機構120によって、灯火器52及び54を有する保安部品ユニット200は、公道に対して略垂直又は垂直に移動する。
【0046】
したがって、変形例1においては、走行機体100と作業機10とがリンク機構120を有する状態で連結されることで、保安部品ユニット200は作業機10の上下動作によって、公道に対して略垂直又は垂直に移動するため、保安部品ユニット200が農作業者や歩行者に対して見えにくくならない。その結果、本実施形態における走行機体100と作業機10とがリンク機構120を有する状態で連結されることは、保安部品ユニット200が公道に対して略垂直又は垂直に移動しない場合と比較して、農作業者や通行者は、トラクタまたは作業機を認識し易くし、安全性の高い状態を提供できる。さらに、保安部品ユニット200が略垂直又は垂直に移動することにより、作業機10が上下方向(
図4に示す白抜きの矢印方向に動作)することに伴い、保安部品ユニット200が走行機体100の後方部に接触する等の虞が無くなる。また、変形例1によれば、保安部品ユニット200を有し、公道走行時における保安基準を考慮した作業機10を提供することができる。
【0047】
[変形例2]
変形例2では、第1実施形態における保安部品ユニットの変形例について、
図6を用いて説明する。
図6(A)に示された保安部品ユニット200aは、
図1(A)に示された保安部品ユニット200に対して、第1の支持部材112aが伸縮可能である例を示す。
図6(B)及び
図6(C)に示された保安部品ユニット200bは、第1の支持部材112bが、
図6(A)に示された第1の支持部材112aと異なる方法で伸縮する例を示す。
図6(D)に示された200cは、
図1(A)に示された保安部品ユニット200に対して、オートヒッチアーム110に対する装着の仕方が異なる例を示す。
図6(E)に示された200dは、
図1(A)に示された保安部品ユニット200に対して、支持部材の構成、及び、オートヒッチアーム110に対する装着の仕方が異なる例を示す。なお、図面の理解の促進のため、
図6に示された図は、
図1~
図5に示された図に対して一部を省略されている。また、
図1~5と同一、又は類似する構成の説明は、省略されることがある。
【0048】
図6(A)に示されるように、保安部品ユニット200aは第1の支持部材112aを有する。第1の支持部材112aは、左右方向と平行に伸縮する構成を有する。第1の支持部材112aは、一つの部材に対して、長さが略L1の二つの部材が伸縮するように構成される。また、各部材は複数の孔部134を有する。
図6(A)では、長さがL1の一つ目の部材がL3伸縮し、長さがL1の二つ目の部材がL2伸縮した例が示される。伸縮する構成は、
図6(A)で示された構成に限定されない。伸縮する構成は、例えば、一つの部材に対して、3つ以上の部材によって、長さの調整可能であってもよく、孔部の数は伸縮する長さに応じて適宜、決められればよい。本実施形態の構成を逸脱しない範囲において、適宜決定されればよい。
【0049】
作業者等は、ピン状部材132を孔部134に挿通することで、保安部品ユニット200aの幅を第1の支持部材112aを伸縮したときの長さに固定する。
図6(A)に示された構成によって、本実施形態における保安部品ユニット200aは、作業機の幅方向に対して長さを調整することができる。その結果、作業機の全幅(左右方向の幅)が異なる作業機であっても、異なる作業機の間で共通して設けることが可能な、保安部品ユニットを提供することができる。
【0050】
なお、第2の支持部材114L及び114Rは、
図6(A)に示される構成と同様に、伸縮可能な構成を有してもよい。第2の支持部材114L及び114Rが伸縮可能な構成を有することによって、高さが異なる作業機であっても、異なる作業機の間で共通して設けることが可能な、保安部品ユニットを提供することができる。
【0051】
図6(B)及び
図6(C)に示されるように、保安部品ユニット200bは第1の支持部材112bを有する。第1の支持部材112bは、第1の支持部材112aと同様に左右方向と平行に伸縮する構成を有する。
図6(B)は第1の支持部材112bが伸びた状態を示し、
図6(C)は第1の支持部材112bが縮んだ状態を示す。第1の支持部材112bは、少なくとも、複数の板状部材140及び複数の接続部材142a、142b、142cから構成される。
図6(B)に示されるように、複数の板状部材140を接続部材142a、142b、142cによって、互いが回動可能になるように接続することで、アコーディオンカーテン状の支持部材を形成する。第1の支持部材112bは、アコーディオンカーテン状の形状を有することで、伸縮可能となる。なお、第2の支持部材114L及び114Rは、
図6(B)に示される構成と同様に、伸縮可能な構成を有してもよい。その結果、保安部品ユニット200bは、全幅又は高さが異なる作業機であっても、異なる作業機の間で共通して設けることが可能な、保安部品ユニットを提供することができる。
【0052】
図6(D)に示されるように、保安部品ユニット200cは、オートヒッチアーム110の上部に接続される。保安部品ユニット200cにおいて、第2の支持部材114L及び114Rは、接続部材142L及び接続部材142Rによって、固定される。その結果、保安部品ユニット200cは、保安部品ユニット200aおよび200bとは異なる構成を有し、異なる作業機の間で共通して設けることが可能な、保安部品ユニットを提供することができる。
【0053】
図6(E)に示されるように、保安部品ユニット200dは、灯火器52と灯火器54とが異なる支持部材に設けられる構成を有する。灯火器52は、第3の支持部材150Lによって支持される。第3の支持部材150Lは、第4の支持部材152L、第5の支持部材156L、接続部材154L及び158Lを有する。第4の支持部材152Lは、接続部材154Lによって、第5の支持部材156Lに接続される。第5の支持部材156Lは、接続部材158Lによって、オートヒッチアーム110に接続される。第4の支持部材152Lは、接続部材154Lの中心と支点として、第5の支持部材156Lに対して回動可能である。第5の支持部材156Lは、接続部材158Lの中心と支点として、オートヒッチアーム110に対して回動可能である。灯火器54は、第3の支持部材150Rによって支持される。第3の支持部材150Rは、第4の支持部材152R、第5の支持部材156R、接続部材154R及び158Rを有する。灯火器54を支持する第3の支持部材150Rの構成は、灯火器52を支持する第3の支持部材150Lの構成と、背面視における作業機の全幅の中心に対して、略左右対称で同様の構成を有するため、ここでの説明は省略される。
【0054】
保安部品ユニット200dは、回動可能な構成を有することによって、上下方向又は左右方向に灯火器52及び54を移動することができる。したがって、保安部品ユニット200dは、
図6(A)及び
図6(B)に示された保安部品ユニット200aおよび200bとは異なる構成によって、灯火器52及び54の上下方及び左右方向(幅及び高さ方向)の位置を変えることができ、異なる作業機の間で共通して設けることが可能な、保安部品ユニットを提供することができる。
【0055】
また、変形例2によれば、変形例2に基づく保安部品ユニットを有し、公道走行時における保安基準を考慮した作業機10を提供することができる。
【0056】
[変形例3]
変形例3では、作業機の全幅(左右方向の幅)が所定の幅を超えて大きい場合に必要となる保安部品について説明する。
図7は、
図2(B)と同様に作業機10において、収納状態の構成を示す背面図である。
図1~6と同一、又は類似する構成の説明は、省略されることがある。
【0057】
現行の保安基準では、作業機の全幅が2.5mを超える場合に、一定の条件を満たすよう保安部品で作業機の全幅と運行速度とを明示することが定められている。変形例3では、作業機10の収納状態における全幅が2.5mを超えている場合を想定している。
【0058】
変形例3の保安部品ユニット200eは、
図2に示した灯火器52及び54に加えて、作業機の外端を明示する外側表示板80及び81、作業機の外端を明示する灯火器82及び83、並びに、作業機の外端を明示する反射器84及び85を有する。さらに、保安部品ユニット200eは、保安基準緩和の条件となる制限を受けていることを示す標識86として、作業機の全幅、運行速度等を明示した表示板を設けている。
【0059】
外側表示板80及び81は、赤色と白色のストライプ模様の表示板であり、左側作業体10Lの外側端部及び右側作業体10Rの外側端部に位置するように第
1の支持部材112に設けられている。灯火器82及び83は、作業機10の端部を明示するように、左側作業体10Lの外側端部及び右側作業体10Rの外側端部よりも外側に突出するように第1の支持部材112に設けられている。さらに、反射器84及び85は、それぞれ外側表示板80及び81の外側端部近傍に位置するように第1の支持部材112に設けられている。ただし、反射器84及び85は、外側表示板80及び81ではなく、左側作業体10L及び右側作業体10Rの他の部位に設けても良い。なお、灯火器82及び83と反射器84及び85は、いずれも背面側(後方)から見た場合は赤色に視認され、前方から見た場合は白色に視認されるようになっている。
【0060】
標識86は、作業機の全幅や運行速度など、作業機の機種や走行機体と作業機の組み合わせによって内容が変わる場合がある。そのため、作業機の機種等に応じて任意の内容に、容易に変更可能な構成とすることが望ましい。例えば、数字の部分を、はめ込みタイプのパネルやマグネットを備えたパネルにすることにより、パネルを付け替えるだけで容易に内容を変更することが可能となる。また、標識86を液晶パネル等の表示装置に表示することにより、表示内容を変更できるようにしてもよい。
【0061】
変形例3で説明したように、作業機の全幅が所定の幅を超えていた場合であっても、一定の条件を満たす保安部品ユニット200eをオートヒッチアームに装着することにより、走行機体に連結した状態で公道を走行することができる。よって、変形例3によれば、保安部品ユニット200eを有し、公道走行時における保安基準を考慮した作業機10を提供することができる。また、保安部品ユニット200eは、作業機の全幅が所定の幅を超えていた場合であっても、異なる作業機の間で共通して設けることが可能な、保安部品ユニットを提供することができる。
【0062】
<第2実施形態>
第2実施形態では、保安部品ユニットがトップマストに接続される例を示す。以下、第2実施形態における保安部品ユニット200fの構成の概略について、
図8を用いて説明する。
図8(A)は、第2実施形態における保安部品ユニット200fをトップマスト12に備えた作業機10を走行機体100に連結した状態の構成を示す背面図である。
図8(B)は、保安部品ユニット200fをトップマスト12に備えた作業機10が左側作業体10L及び右側作業体10Rを折り畳んだ状態で走行機体に連結した構成を示す背面図である。
図8(C)は、保安部品ユニット200fをトップマスト12に備えた作業機10が左側作業体10L及び右側作業体10Rを折り畳んだ状態で走行機体100に連結した構成を示す側面図である。
図1~7と同一、又は類似する構成の説明は、省略されることがある。本実施形態では、灯火器52を例に挙げて説明するが、灯火器54についても同様である。
【0063】
図8(A)及び
図8(B)に示されるように、保安部品ユニット200fは、灯火器52と灯火器54とが異なる支持部材に設けられ、トップマスト12に接続される。保安部品ユニット200fは、第6の支持部材160L及び160R、接続部材162L及び162R、並びに灯火器52及び灯火器54を有する。本明細書において、第6の支持部材160L及び160Rをまとめて、支持部材と呼ぶことがある。保安部品ユニット200fにおいて、灯火器52は第6の支持部材160Lによって支持され、第6の支持部材160Lは接続部材162Lによってトップマスト12に接続される。灯火器54は第6の支持部材160Rによって支持され、第6の支持部材160Rは接続部材162Rによってトップマスト12に接続される。灯火器54を支持する第6の支持部材160Rの構成は、灯火器52を支持する第6の支持部材160Lの構成と、背面視における作業機の全幅の中心に対して、略左右対称で同様の構成を有する。
【0064】
図8(A)及び
図8(B)に示されるように、背面視において、灯火器52は、収納状態における作業機10の左側作業体10Lの外側端部の上方に位置するように、第6の支持部材160Lに装着されており、灯火器54は、収納状態における作業機10の右側作業体10Rの外側端部の上方に位置するように、第6の支持部材160Rに装着される。また、
図8(C)に示されるように、側面視において、第6の支持部材160Lは公道に対して略垂直又は垂直な方向よりも後方に傾いた形状を有する。灯火器52は、収納状態における作業機10の左側作業体10Lに近く、収納状態における作業機10の左側作業体10Lより上方に位置するように第6の支持部材160Lに装着される。第6の支持部材160R及び灯火器54についても同様である。
【0065】
保安部品ユニット200fの構成は、
図6(A)及び
図6(B)で示した伸縮可能な構成としてもよい。その場合、第6の支持部材160L及び160Rを、第1の支持部材112a又は112bのように伸縮可能な構成としてもよい。また、保安部品ユニット200fの構成は、
図6(E)で示した回動可能な構成としてもよい。その場合、第6の支持部材160L及び160Rを、それぞれ、二つの部材と接続部材を用いることで回動可能な構成としてもよい。さらに、保安部品ユニット200fの構成は、
図8で示したように、作業機の収納状態における全幅が2.5mを超えている場合を想定した構成としてもよい。
【0066】
本実施形態で説明した構成を有する保安部品ユニット200fをトップマスト12に装着した作業機10は、農作業者、歩行者、後方の車両等に対する視認性を向上させることができる。本実施形態によれば、保安部品ユニット200fを有し、公道走行時における保安基準を考慮した作業機10を提供することができる。また、本実施形態で説明した構成を有する保安部品ユニット200fは、トップマストに接続することができるため、異なる作業機の間で共通して設けることが可能である。
【0067】
上記の各実施形態における保安部品ユニット(200~200f)において、例えば、灯火器52及び54を支持部材に対して回動可能とし、灯火器52及び54を前方(作業機10の進行方向)に倒すことが可能な構成としてもよい。灯火器52及び54を支持部材に対して回動可能とすることで、作業機10の作業状態において、作業者等は、保安部品ユニット(200~200f)を連結部材から取り外すことなく、灯火器52及び54を使用しない状態とすることができる。
【0068】
上記の各実施形態における保安部品ユニット(200~200f)において、例えば、灯火器52及び54に対して可動式の保護部材を設け、灯火器52及び54の灯火面を保護部材で覆うことが可能な構成としてもよい。灯火器52及び54を使用しない間は、保護部材を回動させて、灯火器52及び54の灯火面を覆う位置に配置する。保護部材は、例えば、灯火器52及び54の灯火面に対して回動支点を中心として回動可能に取り付けられ、回動支点に対して電動モータが連結され、電動モータの動力により保護部材の回動が制御される構成としてもよく、手動で保護部材を回動させる構成としてもよい。また、保護部材は、例えば、折り畳み式作業機の左側作業体10Lや右側作業体10Rの開閉動作、又は、ロータリ作業機の耕耘作業時の動作に連動して、灯火器52及び54の灯火面を遮蔽するように動作してもよい。この場合、保護部材の開閉動作の駆動力は、他の構成要素の動作に連動して動作するモータであってもよいし、リンク機構であってもよい。上記の実施形態において、灯火器52及び54の灯火面を保護部材で覆うことが可能な構成とすることで、灯火器52及び54の灯火面が、砂埃、粉塵などで汚れることを防ぐことができる。
【0069】
上記の各実施形態における保安部品ユニット(200~200f)において、例えば、灯火器52及び54に対して汚れ除去部材を設け、灯火器52及び54の汚れを落とすことが可能な構成としてもよい。汚れ除去部材は、例えば、電動モータが接続された回動支点に固定されたワイパーを有し、電動モータの動力により制御される構成としてもよく、ノズルから水やウォッシャー液を灯火器52及び54の灯火面に噴射することが可能な構成としてもよい。上記の実施形態において、灯火器52及び54に対して汚れ除去部材を設けた構成とすることで、灯火器52及び54の灯火面に付着した土や泥を落とすことができる。
【0070】
上記の各実施形態において、さらに、保安部品として反射器を作業機10に装着した構成としてもよい。例えば、
図2(B)及び
図8(B)に示したU字形状の部材72の内側に、反射器が装着されてもよい。反射器は、反射性物質を有しており、外光を反射する機能を備えた部材であれば、如何なる部材を用いても良い。なお、上記の実施形態において、反射器は、背面側(後方側)から見た場合には赤色に反射し、前方側から見た場合には白色に反射する構成となっている。
【0071】
上記の各実施形態における保安部品ユニット(200~200f)において、灯火器52及び54に代えて、他の構成の保安部品を装着した一例を説明する。例えば、上記の実施形態における保安部品ユニット(200~200f)は、保安部品として、拡散板、凸レンズ、凹レンズ及び光ファイバを含む投光器を備える。保安部品ユニット(200~200f)は、走行機体100の灯火器類102が発した光を、投光器を介して後方に伝達する。具体的には、灯火器類102が発した光を凸レンズで集光し光ファイバの一端に伝達する。光ファイバの一端に伝達された光は、光ファイバの他端の先に配置された凹レンズで平行光となり、拡散板で後方に向けて拡散される。これにより、走行機体100の灯火器類102が作業機10によって後方から視認できなくても、灯火器類102から発した光を、投光器を介して後方に視認させることができる。また、例えば、上記の実施形態における保安部品ユニット(200~200f)は、保安部品として、少なくとも2枚の反射鏡を含む投光器を備える。保安部品ユニット(200~200f)は、走行機体100の灯火器類102が発した光を、投光器を介して後方に伝達する。具体的には、灯火器類102が発した光を2枚の反射鏡を介して後方に向けて伝達する。これにより、走行機体100の灯火器類102が作業機10によって後方から視認できなくても、灯火器類102から発した光を、投光器を介して後方に視認させることができる。
【0072】
上記の各実施形態では、外側表示板80及び81が平板状である構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、外側表示板80及び81は、折り畳み可能であってもよい。外側表示板は、斜め方向に折り畳み可能であってもよく、上下方向に折り畳み可能であってもよい。外側表示板80及び81を折り畳み可能とすることにより、耕耘作業中などを明示する必要がない場合にコンパクトな収納が可能となる。
【0073】
上記の各実施形態において、
図7に示した標識86を表示装置とし、表示装置を走行機体100に設けてもよい。表示装置は、例えば、電光掲示板、スクリーン、投射機(プロジェクタ)、反転フラップ式表示機などである。例えば、走行機体100の後方に電光掲示板が設けられており、当該電光掲示板に保安基準緩和の条件となる制限を受けていることを示す情報が表示されてもよい。又は、走行機体100の後方にスクリーンが設けられており、作業機10にはプロジェクタが設けられており、プロジェクタからスクリーンに向けて、保安基準緩和の条件となる制限を受けていることを示す情報を投射してもよい。又は、走行機体100の後方に反転フラップ式表示機が設けられており、当該表示機に保安基準緩和の条件となる制限を受けていることを示す情報が表示されてもよい。上記の実施形態において、走行機体100の後方窓に保安基準緩和の条件となる制限を受けていることを示す標識等を表示することにより、全幅が2.5mを超えていても、走行機体100に連結された状態で公道を走行することができる。
【0074】
上記の各実施形態において、走行機体100の運転手から視認可能な位置に、作業機10を上方に持ち上げたときの作業機10の傾きを表示可能な表示計が設けられてもよい。上記の実施形態において説明したように、作業機10を走行機体100に接続した状態で公道を走行する場合、保安基準上、路上表面から作業機10の下端までの間に200mm以上の距離を確保する必要がある。一方、走行機体100の運転手から、作業機10が路上表面から200mm以上の高さまで持ち上げられたことを認識することは難しい。そこで、予め作業機10が路上表面から200mm以上の高さまで持ち上げられたときの作業機10の傾きを上記表示計に表示しておくことで、当該運転手は作業機10の傾きに基づいて作業機10が路上表面から200mm以上の高さに持ち上げられたことを確認することができる。
【0075】
上記の各実施形態において、保安部品の制御信号として、一般社団法人日本農業機械工業会が定める通信制御の共通化規格である「AG-PORT」を用いてもよい。例えば、上記の各実施形態において、「AG-PORT」を用いることにより、走行機体100と作業機10との間で双方向通信により制御信号をやり取りすることが可能となる。これにより、作業機10又は走行機体100で検知した信号に基づいて、保安部品の制御を行うことが可能となる。
【0076】
例えば、「AG-PORT」を用いて、走行機体100又は作業機10が公道を走行する準備段階にあることを検知し、そのような検知信号に基づいて、保安部品の移動制御、点灯制御等を行うことが可能である。走行機体100が公道を走行する準備段階にあることを検知する信号としては、変速レバーが「High」に入ったことを検知する信号、全地球衛星航法システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)により走行機体100が公道に入ったこと(又は、入ること)を検知する信号等が挙げられる。また、作業機10が公道を走行する準備段階にあることを検知する信号としては、PTO軸の稼働状況を検知する信号や左右のブレーキペダルが連結されたことを検知する信号等が挙げられる。
【0077】
以上のように、「AG-PORT」を用いて走行機体100又は作業機10の現在の状況を検知し、保安部品の動作の制御に利用することにより、例えば走行機体100及び作業機10が、自動走行により公道を走るような場合においても保安基準を満たすように保安部品を明示することが可能となる。
【0078】
以上、本発明について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、本実施形態の作業機を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。さらに、上述した各実施形態は、相互に矛盾がない限り適宜組み合わせが可能であり、各実施形態に共通する技術事項については、明示の記載がなくても各実施形態に含まれる。
【0079】
また、上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0080】
10:作業機、10C:中央作業体、10L:左側作業体、10R:右側作業体、12:トップマスト、14:ロアーリンク連結部、52、54、82、83:灯火器、72:部材、80:外側表示板、81:外側表示板、84、85:反射器、86:標識、100:走行機体、102:灯火器類、110:オートヒッチアーム、112、112a、112b:第1の支持部材、114L、114R:第2の支持部材、115:ロアーリンク、116:トップリンク、117:ターンバックル、117a:ターンバックルの一端、117b:ターンバックルの一端、118:リフトロッド、118a:リフトロッドの一端、118b:リフトロッドの他端、119:リフトアーム、120:リンク機構、122L、122R、142a、142b、142c、142L、142R、154L、154R、158L、158R、162L、162R:接続部材、123L:第2の支持部材の一端、123R:第2の支持部材の一端、124L:第2の支持部材の他端、124R:第2の支持部材の他端、130:コネクタ、132:ピン状部材、134:孔部、136:配線、140:板状部材、150L、150R:第3の支持部材、152L、152R:第4の支持部材、156L:第5の支持部材、156R:第5の支持部材、160L、160R:第6の支持部材、200、200a、200b、200c、200d、200e、200f:保安部品ユニット