(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】愛玩動物用遊具
(51)【国際特許分類】
A01K 15/02 20060101AFI20230630BHJP
【FI】
A01K15/02 D
(21)【出願番号】P 2020036850
(22)【出願日】2020-03-04
【審査請求日】2022-10-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和元年12月11日~12月13日、第9回ドギーマンハヤシ株式会社2020年度商談会(開催場所ドギーマンハヤシ株式会社本社)にて発表。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年1月15日~1月17日、第9回ドギーマンハヤシ株式会社2020年度商談会(開催場所ドギーマンハヤシ株式会社東京営業本部)にて発表。
(73)【特許権者】
【識別番号】000111638
【氏名又は名称】ドギーマンハヤシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001885
【氏名又は名称】弁理士法人IPRコンサルタント
(72)【発明者】
【氏名】沖 政志
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-315465(JP,A)
【文献】特開2016-202003(JP,A)
【文献】登録実用新案第3201838(JP,U)
【文献】特開2012-115149(JP,A)
【文献】特開2011-097877(JP,A)
【文献】特開2011-229821(JP,A)
【文献】特開2013-130207(JP,A)
【文献】特開2008-029406(JP,A)
【文献】登録実用新案第3103436(JP,U)
【文献】米国特許第05577466(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 15/00 - 15/04
A01K 29/00
F16B 12/00 - 12/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱と、
前記支柱及び他の支柱の間に渡される板体と、
前記板体の先端に取り付けられるステップと、
前記ステップと着脱自在に係合する第1係合部を有するとともに前記支柱を挟持するホルダと、を具備すること、
を特徴とする愛玩動物用遊具。
【請求項2】
前記ステップは、前記支柱の軸方向に沿ってスライドすることにより、前記第1係合部に係合するとともに、前記ホルダを前記支柱における所望の位置に固定すること、
を特徴とする請求項1に記載の愛玩動物用遊具。
【請求項3】
前記ホルダは、互いに回動自在に連結されるとともに互いに対向する内面を有する、第1部品及び第2部品を有し、
前記第1部品及び前記第2部品は、前記内面おいて前記支柱を挟持すること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の愛玩動物用遊具。
【請求項4】
前記ホルダは、他の板体を前記支柱に連結するための他のステップと着脱自在に係合する第2係合部を有すること、
を特徴とする請求項3に記載の愛玩動物用遊具。
【請求項5】
前記ステップは、前記ホルダと係合した状態において前記ホルダの一方の側壁に沿って延びる延長部を有すること、
を特徴とする請求項4に記載の愛玩動物用遊具。
【請求項6】
愛玩動物が前記支柱を登り降りするために前記支柱に着脱自在に装着される踏板
を更に具備することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の愛玩動物用遊具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、愛玩動物が遊戯するための愛玩動物用遊具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、屋内において猫等の愛玩動物を遊ばせるための遊具として、いわゆるキャットタワーなるものが普及している。例えば特許文献1は、猫にとって登り降りがしやすく、形状を適宜変えることができるように、支柱と棚板からなる猫用の遊戯装置を開示している。
【0003】
より具体的には、上記特許文献1では、「垂直方向に延びる支柱部を複数備え、当該支柱部は水平方向に延びる棚部で連結してあり、上記棚部は支柱部に回動可能に接続されていることを特徴とする、猫用の遊戯装置。」が提案されている(特許文献1、請求項1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来の猫用の遊戯装置では、ポール部材と棚板とをネジで固定するため、簡便に組み立てて設置することができず、簡便に棚板の配置を変更することが難しい。また、この遊技装置は、猫がポール部材の間を平行移動することに適していない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、配置変更が容易で、かつ、愛玩動物の平行移動に適した愛玩動物用遊具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決すべく、本発明は、
支柱と、
前記支柱及び他の支柱の間に渡される板体と、
前記板体の先端に取り付けられるステップと、
前記ステップと着脱自在に係合する第1係合部を有するとともに前記支柱を挟持するホルダと、を具備すること、
を特徴とする愛玩動物用遊具を提供する。
【0008】
このような構成を有する本発明の愛玩動物用遊具では、簡単な構造及び少ない部品点数で、配置変更が容易で、かつ、愛玩動物の平行移動に適した愛玩動物用遊具を提供することができる。ここで、前記ステップは、前記支柱の軸方向に沿ってスライドすることにより、前記第1係合部に係合するとともに、前記ホルダを前記支柱における所望の位置に固定できる構成を有すること、が好ましい。これにより、ホルダを支柱に挟み、ステップを支柱に沿ってスライドさせることで、支柱間を渡すための板体を所望の位置に容易に取り付けることができる。
【0009】
また、上記の本発明の愛玩動物用遊具においては、
前記ホルダは、互いに回動自在に連結されるとともに互いに対向する内面を有する、第1部品及び第2部品を有し、
前記第1部品及び前記第2部品は、前記内面おいて前記支柱を挟持すること、が望ましい。
【0010】
このような構成を有する本発明の愛玩動物用遊具では、ホルダを支柱に対して簡便に着脱可能であり、支柱に対する板体の着脱及び位置調整を容易に行うことができる。
【0011】
また、上記の本発明の愛玩動物用遊具においては、
前記ホルダは、他の板体を前記支柱に連結するための他のステップと着脱自在に係合する第2係合部を有すること、が望ましい。
【0012】
このような構成を有する本発明の愛玩動物用遊具では、板体を他の板体と支柱を介して連結することができ、遊具としての拡張性及び多様性が増す。
【0013】
また、上記の本発明の愛玩動物用遊具においては、
前記ステップは、前記ホルダと係合した状態において前記ホルダの一方の側壁に沿って延びる延長部を有すること、が望ましい。
【0014】
このような構成を有する本発明の愛玩動物用遊具では、2本の板体が隙間なく連結されるとともに、愛玩動物の足の踏み場を提供することができる。
【0015】
また、上記の本発明の愛玩動物用遊具においては、
愛玩動物が前記支柱を登り降りするために前記支柱に着脱自在に装着される踏板
を更に具備することが望ましい。
【0016】
このような構成を有する本発明の愛玩動物用遊具では、平行移動に加えて登り降りの移動も可能となり、遊具としての拡張性が増す。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、配置変更が容易で、かつ、愛玩動物の平行移動に適した愛玩動物用遊具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態に係る愛玩動物用遊具1の概略図である。
【
図2】愛玩動物用遊具1を構成する支柱2、板体3、ステップ4及びホルダ5の概略図である。
【
図3】ステップ4を示す斜視図及びA-A線断面図である。
【
図5】ステップ4を板体3に取り付ける手順を示す図である。
【
図6】支柱2にホルダ5を装着し、ホルダ5にステップ4を取り付ける手順を示す図である。
【
図7】ホルダ5に追加のステップ4Bを取り付ける手順を示す図である。
【
図8】支柱2に板体3を取り付けた状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の代表的な実施形態に係る愛玩動物用遊具を詳細に説明する。但し、本発明は図示されるものに限られるものではない。図面は本発明を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて比や数を誇張又は簡略化して表している場合もある。以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略することもある。
【0020】
1.愛玩動物用遊具1の構造
本実施形態に係る愛玩動物用遊具1の構造について説明する。
愛玩動物用遊具1は、猫などの愛玩動物のための遊具であって、
図2に示すように、支柱2、板体3、ステップ4及びホルダ5を含んで構成される。愛玩動物用遊具1は、
図1に示すとおり、ステップ4及びホルダ5を介して複数の支柱2の間に板体3を渡した状態で使用される。
【0021】
したがって、愛玩動物用遊具1は、所望の個数の支柱2、板体3、ステップ4及びホルダ5を含んでいてもよい。また、愛玩動物用遊具1は、愛玩動物が支柱2を登り降りするための踏板6を含んでもよい。
以下、愛玩動物用遊具1の構成要素を説明する。
【0022】
支柱2は、例えば天井面と床面の間に設置される。支柱2は、支柱2を軸方向に伸縮させる長さ調節機構(図示せず)を有しており、設置面を押圧した状態、つまり突っ張った状態で設置される。
【0023】
板体3は、支柱2間に渡されて、愛玩動物が支柱2間を平行移動するための通路である。板体3は、支柱2と略直交するように配置されるが、板体3の取付け位置(高さ)に制限はない。
【0024】
板体3の先端には、ステップ4が取り付けられる。ステップ4は、板状の部材であり、
図3(B)に示すように、板体3の先端を受け入れるための開口41を有している。ステップ4の上面44は、愛玩動物の通路の一部分となる。
【0025】
図3(A)に示すように、ステップ4には溝部42が形成されている。この溝部42は、ホルダ5に対向する部位に形成され、ホルダ5の係合部54,55に対応している。つまり、溝部42は、支柱2の軸方向からはホルダ5の係合部54,55を受け入れ(
図6参照)、係合部54,55を受け入れた状態では、支柱2から離れる方向への係合部54,55の移動を規制する。換言すれば、係合状態にある係合部54,55は溝部42と噛み合うため、双方の係合は意図せず解除されない。
【0026】
ステップ4は、ホルダ5の一方の側壁に沿って延びる延長部43を有する(
図5(B)参照)。
図8に示すように、延長部43は、ホルダ5の両側にステップ4A,4B及び板体3が取り付けられたときに、支柱2及びホルダ5の周囲に隙間をなくし、愛玩動物の足場を確保する。このとき、ステップ4A,4Bは、上面43A,43Bが略平坦に、つまり略面一になるように連結される。
【0027】
次いでホルダ5について説明する。ホルダ5は、支柱2を挟持するとともに、ステップ4を支持する。
図4(A)及び(B)に示すように、ホルダ5は、互いに回動自在に連結される部品51,52からなる。つまり、部品51,52は、ヒンジを介して結合している。また、部品51,52は、対向する内面53において支柱2を挟持するように設計されており、内面53には、図示しない滑止めが取付けられてもよい。滑止めは、ゴムや樹脂等の弾性部材で構成することができる。
【0028】
ホルダ5は、ステップ4の溝部42と着脱自在に嵌合する係合部54,55を有する。係合部54,55は、実質的に同じ形状を有し、互いに反対側(対向する位置)に対称的に配置されている。ここでは、係合部54は部品51,52の先端側に設けられ、係合部55は連結端側に設けられている。したがって、先端側の係合部54は係合小片54A,54Bからなり、これらの係合小片54A,54Bが組み合わさった状態で溝部42に嵌合することで部品51,52が一体化され、ホルダ5が支柱2に固定される。
【0029】
なお、係合部54,55は、階段状に形成された突状片(上下方向に延びる高さに異なる板状体複数枚を水平方向に積層したような構造体)として構成することができ、これによって溝部42に上方から係合部54,55をスライドさせて差込むことが容易となり、愛玩動物用遊具1の組立てが簡便となる。
【0030】
したがって、例えば
図6に示すように、あるステップ4を支柱2の軸方向に沿ってスライドすることにより、ステップ4をホルダ5に着脱自在に係合するとともに、ホルダ5を支柱2における所望の位置(高さ)に固定することができる。更に、
図7に示すように、装着済みのステップ4Aとは別のステップ4Bを支柱2の軸方向に沿ってスライドすることにより、ステップ4Bを、ホルダ5においてステップ4Aとは反対側に係脱自在に係合することができる。
【0031】
2.愛玩動物用遊具1の使用方法
上記構成を有する愛玩動物用遊具1の使用方法について、組立手順を中心に説明する。
まず、支柱2を所望の場所に設置する。一例として支柱2を室内の天井面と床面との間に設置する場合を挙げると、支柱2の一端を床面に接触させた状態で支柱2の他端を天井面に向け、長さ調節機構(図示せず)を操作して当該他端を天井面に押し当てる。このようにして支柱2を設置面に突っ張ることで、必要な本数の支柱2を設置する。
【0032】
併せて、板体3の先端にステップ4を取り付ける。より具体的には、
図5(A),(B)に示すように、板体3の先端をステップ4の開口41に嵌め込み、ネジ等で固定する。この作業を、板体3の必要部数だけ繰り返す。
【0033】
そして、支柱2にホルダ5を取り付ける。より具体的には、
図6(A),(B)に示すように、開いた状態の部品54,55のうちの一方を支柱2の外周面に配置し、他方の部品を閉じて、ホルダ5の内面53で支柱2を挟持させる。
【0034】
この状態で、ホルダ5にステップ4を装着する。つまり、
図6(C),(D)に示すとおり、ステップ4を支柱2の軸方向にスライドさせて、ステップ4の溝部42をホルダ5の係合部54に嵌入させる。これにより、簡単な操作で、ステップ4をホルダ5上に固定するとともに、ホルダ5を支柱2上の所望の位置に保持することができる。また、板体2の取付位置の変更は、ステップ4をスライドさせてホルダ5との係合を解除することで、容易に実行可能である。
【0035】
更には、別のステップ4をホルダ5に装着することができる。
図7(A)に示すとおり、ステップ4Aがホルダ5に取り付けられた状態において、別のステップ4Bを支柱2の軸方向にスライドさせて、ステップ4Bの溝部42Bをホルダ5の係合部55に嵌入させる。これにより、
図7(B)に示すように、ホルダ5にステップ4A,4Bを同時に固定することができる。
【0036】
このとき、ステップ4A,4Bはほぼ段差なく同じ高さで略水平に連結され、ステップ4A,4Bの上面44A,44Bはほぼ面一となる。また、ステップ4A,4Bの延長部43A,43Bは、支柱2を挟んで向かい合うことになる(
図8参照)。かかる配置は、愛玩動物が支柱3を超えて平行移動するための通路として好適である。
【0037】
追加で、支柱2に踏板6を取り付けることが可能である(
図1参照)。これにより、愛玩動物は愛玩動物用遊具1を登り降りすることも平行移動することも可能となり、遊具としての利便性が増す。
【0038】
以上、本発明の代表的な実施形態について図面を参照しつつ説明してきたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載の精神及び教示を逸脱しない範囲でその他の改良例や変形例が存在する。そして、かかる改良例や変形例は全て本発明の技術的範囲に含まれる。
【0039】
例えば、愛玩動物用おもちゃに溝部42と同じ構造を具備させれば、係合部54,55に着脱可能にこれら愛玩動物用おもちゃを取り付けることができ、本発明の愛玩動物用遊具のバリエーションを拡張乃至は多様化できる。
【符号の説明】
【0040】
1 愛玩動物用遊具
2 支柱
3 板体
4,4A,4B ステップ
5 ホルダ
54,55 係合部