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特許7304655組織分化促進用組成物、肝機能改善用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】組織分化促進用組成物、肝機能改善用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7048 20060101AFI20230630BHJP
   A61K 31/353 20060101ALI20230630BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20230630BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
A61K31/7048
A61K31/353
A61P3/04
A61P43/00 121
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022095536
(22)【出願日】2022-06-14
(62)【分割の表示】P 2021068282の分割
【原出願日】2017-03-16
(65)【公開番号】P2022113789
(43)【公開日】2022-08-04
【審査請求日】2022-06-17
(31)【優先権主張番号】P 2016053095
(32)【優先日】2016-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】中島 千絵
(72)【発明者】
【氏名】城戸 弥生
(72)【発明者】
【氏名】神谷 智康
(72)【発明者】
【氏名】鍔田 仁人
(72)【発明者】
【氏名】山口 和也
(72)【発明者】
【氏名】高垣 欣也
【審査官】伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-290875(JP,A)
【文献】国際公開第2010/010786(WO,A1)
【文献】特開平1-68318(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1879616(CN,A)
【文献】特開2006-111541(JP,A)
【文献】Global Journal of Health Science,2012年,4(5),pp.147-155
【文献】Biol. Pharm. Bull.,2001年,24(10),pp.1117-1121
【文献】Alternative & Complementary Therapies,2007年,13(2),pp.78-85
【文献】J Pharmacol Sci,2005年,97(4),pp.541-545
【文献】Arch Pharm Res,2012年,35(8),pp.1479-1493
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
A61Q
C07D
C07H
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テクトリゲニン及びテクトリゲニン配糖体を、前者:後者の質量比が1:10以上である量で含む抗肥満用組成物。
【請求項2】
テクトリゲニン及びテクトリゲニン配糖体を、前者:後者の質量比が1:10以上である量で含む脂肪分解促進用、脂質代謝促進用又は体脂肪低減用組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
テクトリゲニンやテクトリゲニンの配糖体及び誘導体(テクトリゲニン類)はアヤメ科やマメ科の植物に存在するフラボノイドの一つであり、サーチュインを活性化すること(特許文献1参照)、Bmal1遺伝子の発現を活性化することなどが知られている(特許文献2参照)。
テクトリゲニン類は植物に含まれていることから、安全性が比較的に高く日常的に摂取しやすいと考えられるが、その活性や機能については未だ不明な点も多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【文献】特開2006-298876号公報
【文献】特開2013-56866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明においては、テクトリゲニン類の新たな用途及び機能を見い出すことを目的に、種々の検討を行った。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、テクトリゲニン類の作用効果について鋭意研究したところ、テクトリゲニン類において、アグリコンとしてのテクトリゲニンとテクトリゲニンの配糖体とを特定の比率で有する組成物が、驚くべきことに、組織分化促進や肝機能改善作用等、テクトリゲニンとテクトリゲニンの配糖体が元来有する機能が飛躍的に向上することを見い出した。また、特定比率でテクトリゲニンとテクトリゲニンの配糖体を有する組成物は、肌質改善や脂肪分解促進にとっても有利な効果を有することを見い出した。
【0005】
すなわち、本発明は、アグリコンとしてのテクトリゲニンとテクトリゲニン配糖体とを、質量比で1:10以上の量で含む、組織分化促進用組成物に関する。
【0006】
また、本発明は、テクトリゲニン及びテクトリゲニン配糖体を、質量比で1:10以上の量で含む、脂肪分解促進用組成物に関する。
【0007】
また本発明は、テクトリゲニンとテクトリゲニン配糖体とを、質量比で1:10以上の量で含む、肝機能改善用組成物に関する。
【0008】
また、テクトリゲニン及びテクトリゲニン配糖体を、質量比で1:10以上の量で含み、角層水分量向上、皮膚弾力向上又は皮膚水分蒸散抑制に用いられる組成物に関する。
【0009】
また、本発明は、テクトリゲニン及びテクトリゲニン配糖体を、質量比で1:10以上の量で含む組成物に係るものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、骨や筋肉等の組織について優れた分化促進作用を有する組織分化促進用組成物を提供することができる。
本発明によれば、優れた脂肪分解促進作用を有する脂肪分解促進用組成物を提供することができる。
本発明によれば、優れた肝機能改善作用を有する肝機能改善剤及び肝機能改善用組成物を提供することができる。
本発明によれば、角層水分量向上、皮膚弾力向上又は皮膚水分蒸散抑制について優れた作用を有し、これら角層水分量向上、皮膚弾力向上又は皮膚水分蒸散抑制に用いられる組成物を提供することができる。
本発明によれば、上記の各作用に優れた組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施例及び比較例における筋肉分化マーカーの発現量を示すグラフである。
図2図2は、実施例及び比較例におけるALP(アルカリホスファターゼ)活性を示すグラフである。
図3図3は、実施例及び比較例における脂肪分解促進作用を示すグラフである。
図4図4は、実施例及び比較例における肝機能改善作用を示すグラフである。
図5図5は、実施例における角層水分量を示すグラフである。
図6図6は、実施例における皮膚水分蒸散量を示すグラフである。
図7図7は、実施例における皮膚弾力を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、本発明の組織分化促進用組成物、脂肪分解促進用組成物、肝機能改善用組成物、角層水分量向上、皮膚弾力向上又は皮膚水分蒸散抑制に用いられる組成物及び組成物をまとめて「本発明の組成物」と記載する。
【0013】
(テクトリゲニン)
本発明で使用するテクトリゲニンは分子式C16H12O6で表され、5,7-Dihydroxy-3-(4-hydroxyphenyl)-6-methoxy-4H-1-benzopyran-4-one又は6-Methoxy-5,7-dihydroxy-3-(4-hydroxyphenyl)-4H-1-benzopyran-4-oneと呼ばれる場合もある。本明細書中で単にテクトリゲニンという場合、このようにアグリコンの形態のものをいう。以下テクトリゲニンをTGEとも記載する。テクトリゲニンの化学式は下記の通りである。
【0014】
【化1】
【0015】
(テクトリゲニン配糖体)
テクトリゲニン配糖体(以下TGE配糖体ともいう)としては、上記のTGEに、グルコース、キシロース、ソルボース、ガラクトース、アピオース、ラムノースから選ばれる1種又は2種以上の糖を結合させたものが挙げられる。組織分化促進、脂肪分解促進、肝機能改善、肌質改善といった本発明の効果を高める観点から、TGEに、グルコース、キシロースから選ばれる1種又は2種以上の糖を結合させたものが好ましい。配糖体においてこれらの糖は、通常TGEの4位及び/又は7位のヒドロキシル基と結合しているが、前記の効果がより確実に得られる点や配糖体の入手しやすさの点から、7位のヒドロキシル基と結合しているものが好ましい。TGE配糖体中の糖の数(糖の結合数ともいう)は、例えば1個以上が挙げられる。前記の効果を高める観点から、糖の結合数は好ましくは1個又は2個であるが、3個以上であってもよい。ここでいう糖の数とは、単糖単位の数をいう。TGE配糖体としては、1種のみを用いてもよいが、2種以上を組み合わせることが好ましい。TGE及びTGE配糖体は、本発明の組成物において、有機合成品であってもよく、植物等から抽出したものであってもよい。TGE及びTGE配糖体は、粉末状等の固形状であってもよく、水や有機溶媒に溶解した状態であってもよい。TGE及びTGE配糖体は、それらの混合物のみで存在していてもよく、その他の物質に溶解、分散ないし混合した状態であってよい。
【0016】
TGEに糖が1個結合した配糖体としては、例えば、テクトリジン、テクトリジン4′‐グルコシドが挙げられる。また、TGEに糖が2個結合した配糖体としては、テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシドが挙げられる。ここで、TGEにn個糖が結合しているとは、n個の糖の連結体が結合しているのであってもよく、テクトリジンの別の箇所に結合している糖の合計数がn個なのであってもよい。テクトリジンとは、TGEの7位にグルコースが1個結合した配糖体であり、例えば、テクトリゲニン7-O-β-D-グルコピラノシド又は7-(β-D-Glucopyranosyloxy)-4',5-dihydroxy-6-methoxyisoflavone等とも表される。テクトリジン4′‐グルコシドとは、TGEの4位にグルコースが1個結合した配糖体であり、例えば、テクトリゲニン4'-O-β-D-グルコピラノシド 又は3-[4-(β-D-Glucopyranosyloxy)phenyl]-5,7-dihydroxy-6-methoxy-4H-1-benzopyran-4-one等とも称される。テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシドはTGEの7位に、グルコースが1つ結合し、このグルコースにキシロースが更に結合した配糖体であり、例えば6"-O-Xylosyltectoridinとも称される。例えば、テクトリジン(以下TDともいう)は以下の化学式の構造を有する。
【0017】
【化2】
【0018】
また例えば、テクトリゲニン-7-O-キシロシルグルコシド(以下TGXGともいう)は以下の化学式の構造を有する。式中、Gluはグルコース基であり、Xylはキシロース基である。
【0019】
【化3】
【0020】
本発明においては、TGE配糖体が、TGEに糖が1個結合した配糖体とTGEに糖が2個結合した配合体とを含むことが、前記の効果が優れていることから好ましい。
TGE配糖体が、TGEに糖が1個結合した配糖体とTGEに糖が2個結合した配合体とを含む場合、TGEに糖が1個結合した配糖体とTGEに糖が2個結合した配糖体との質量比は、前者:後者が1:0.01以上7.5以下であることが好ましい。この質量比が1:0.01以上であることには本発明の高い作用を得ながらTD等のTGEに糖が1個結合した配糖体の量を一定量に制限できる利点がある。またこの質量比が、1:7.5以下であることで、前記の効果を更に一層高めることができる。これらの観点からTGEに糖が1個結合した配糖体とTGEに糖が2個結合した配糖体との量比は、前者:後者が1:0.01以上5以下であることが好ましく、0.1以上2.5以下であることが特に好ましい。
【0021】
また、TGE配糖体としては、前記の効果をより確実に高める観点、及び、配糖体の入手しやすさ等の観点から、TGEに糖が1個結合した配糖体としてTDを含むともに、TGEに糖が2個結合した配合体としてTGXGを含み、TDとTGXGとの配合比が上記の好ましい比率1:0.01以上7.5以下であることも好ましい。特にTDとTGXGとの配合比が、1:0.01以上5以下であることが好ましく、0.1以上2.5以下であることが特に好ましい。
【0022】
本発明の特徴の一つは、TGEとTGE配糖体との量比にある。
本発明者らは、TGE又は/及びTGE配糖体等のTGE類における作用について鋭意検討した。その結果、TGEとTGE配糖体とを特定の比率で組み合わせた場合に、質量比が1:1の組み合わせと比べて、飛躍的に脂肪分解促進作用が高まり、肝機能改善作用も高まることを見出した。具体的には、本発明の組成物において、TGEとTGE配糖体とは、前者:後者の質量比が1:10以上である必要がある。更に、本発明者らは、脂肪分解促進作用や肝機能改善効果をとりわけ優れたものとする観点から、TGEとTGE配糖体の質量比は、1:13以上であることがより好ましく、とりわけ、1:18以上であることが好ましいことを見出した。TGEとTGE配糖体との質量比の下限値が前記の値である本発明の組成物は、組織分化促進、角層水分量向上、皮膚弾力向上又は皮膚水分蒸散抑制といった効果においても優れていることが判った。TGEとTGE配糖体との質量比の下限値が前記の値である本発明の組成物は、アヤメ科のヒオウギ(Belamcanda chinensis)やマメ科のクズ(Pueraria thomsonii、Pueraria lobata、Pueraria thunbergiana等)の花部などの植物の抽出物であってもよく、植物の抽出物に有機合成品を添加して調製してもよく、植物からの抽出物を組み合わせて調製してもよく、有機合成品を組み合わせて調製してもよい。
【0023】
TGEとTGE配糖体の質量比は、TGE配糖体の量を一定以下とすることがTGE配糖体による皮膚炎、嘔吐、下痢、胃腸炎などの副作用を防ぐ観点から好ましい。この観点からTGEとTGE配糖体の質量比は、好ましくは1:500以下、より好ましくは1:250以下、さらに好ましくは1:100以下、特に好ましくは1:50以下とすることが好ましい。
【0024】
本発明の組成物におけるTGE及びTGE配糖体の量の測定は、HPLC法にて、定量的または定性的に確認することができる。
HPLCに供するための試料は、適宜不純物の除去や濃度調整等、公知の方法により調製される。
【0025】
本発明の組成物は、上記TGE及びTGE配糖体以外に、通常使用される他の成分を、本発明の効果を損なわない範囲で含有してもよい。このような成分としては、種々の賦形剤、結合剤、光沢剤、滑沢剤、安定剤、希釈剤、増量剤、増粘剤、乳化剤、酸化防止剤、pH調整剤、着色料、香料、添加剤などを挙げることができる。その他の成分の含有量は、本発明の組成物の形態等に応じて適宜選択することができる。
【0026】
本発明の組成物は、外用又は経口用として使用することができる。外用剤としては、皮膚、頭皮等に塗布して用いるものであれば、特に制限はなく、その形態としては、軟膏剤、クリーム剤、ジェル剤、ローション剤、乳液剤、パック剤、湿布剤等の皮膚外用剤や、注射剤等の形態を挙げることができる。
【0027】
また、本発明の組成物を経口剤として用いる場合、その形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、液剤、粒状剤、棒状剤、板状剤、ブロック状剤、固形状剤、丸状剤、ペースト状剤、クリーム状剤、カプレット状剤、ゲル状剤、チュアブル状剤、スティック状剤等を挙げることができる。これらの中でも、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、液剤の形態が特に好ましい。具体的には、サプリメント、食品添加剤、ペットボトル、缶、瓶等に充填された容器詰飲料、水(湯)、牛乳、果汁等に溶解して飲むためのインスタント粉末(顆粒)飲料等を例示することができる。これらは食事の際などに手軽に飲食しやすく、また嗜好性を高めることができるという点で好ましい。
【0028】
一般的には、本発明の組成物が、錠剤,カプセル剤である場合には、本発明による肝機能改善効果をより高める観点から、有効成分がその固形分中、TGEを固形分全体の2.0~0.001質量%含むことが好ましく、1.0~0.01質量%含むことがより好ましく、0.5~0.025質量%含むことが更に好ましい。またTGE及びTGE配糖体の合計量は、本発明の組成物の固形分中、例えば0.5質量%以上、特に1質量%以上であると、肝機能の改善に十分な効果を発揮できるため好ましい。錠剤又はカプセル剤である本発明の組成物としては、例えば医薬品やサプリメント等が挙げられる。
【0029】
本発明の組成物が液剤である場合には、本発明による前述した各効果をより高める観点から、有効成分がその液剤中、TGEを全体の0.00001~0.5質量%含むことが好ましく、0.00005~0.1質量%含むことがより好ましく、0.0001~0.05質量%含むことが更に好ましい。またTGE及びTGE配糖体の合計量は、本発明の組成物の固形分中、例えば0.0001質量%以上、特に0.1質量%以上であると、前述した各効果が一層優れるため好ましい。液剤である本発明の組成物としては容器詰飲料等が挙げられる。
【0030】
また、本発明の組成物が粉末剤又は顆粒剤である場合には、本発明による前述した各効果をより高める観点から、有効成分がその固形分中、TGEを固形分全体の0.0001~2.5質量%含むことが好ましく、0.001~2.0質量%含むことがより好ましく、0.005~1.5質量%含むことが更に好ましい。またTGE及びTGE配糖体の合計量は、本発明の組成物の固形分中、例えば0.001質量%以上、特に0.01質量%以上であると、前述した各効果が一層優れるため好ましい。粉末剤又は顆粒剤である本発明の組成物としてはインスタント粉末飲料、インスタント顆粒飲料等が挙げられる。
【0031】
本発明の組成物を経口的に摂取する場合、その経口投与量は、上記TGE及びTGE配糖体の乾燥物合計量で、成人1日当りおよそ5mg以上200mg以下であることが好ましく、10mg以上100mg以下であることがより好ましい。また本発明の組成物の1回の摂取量は、好ましくは、上記TGE及びTGE配糖体の乾燥物合計量で、成人1日当りおよそ15mg以上50mg以下であることが好ましい。本発明の組成物は、1日の摂取量が前記摂取量となるように、1つの容器に、又は例えば2~3の複数の容器に分けて、1日分として収容することができる。
【0032】
本発明の組成物の利用形態としては、具体的には、医薬品(医薬部外品を含む)、化粧品、一般食品、栄養機能食品、所定機関により効能の表示が認められた特定保健用食品、機能性表示食品等のいわゆる健康食品等を挙げることができる。
【0033】
本発明の組成物の利用形態のうち、食品としては、例えば、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料、スムージー、青汁等の飲料;アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、中華麺、即席麺等の麺類;飴、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、パン等の菓子類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳、ヨーグルト等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及びその加工食品;ソース、醤油等の調味料;カレー、シチュー、親子丼、お粥、雑炊、中華丼、かつ丼、天丼、牛丼、ハヤシライス、オムライス、おでん、マーボドーフ、餃子、シューマイ、ハンバーグ、ミートボール、各種ソース、各種スープ等のレトルトパウチ食品などを挙げることができる。
【0034】
本発明の組成物は、安価で安全に経口摂取できるのみならず、後述する実施例の記載から明らかな通り、TGE及びTGE配糖体を特定比率で含有することによりこれを摂取することで、横紋筋等の筋芽細胞から筋肉分化を促進することができるほか、前骨芽細胞から骨芽細胞への分化を促進でき、骨分化を促進することができる。
また本発明の組成物はTGE及びTGE配糖体を特定比率で含有することによりこれを摂取することで、優れた脂肪分解作用を得ることができる。
例えば、後述する実施例の記載から明らかな通り、特定比率のTGE及びTGE配糖体は、これを摂取することにより、体脂肪を分解する酵素の遺伝子の発現を促進して、体脂肪分解を促進することができる。
【0035】
更に本発明において、特定比率のTGE及びTGE配糖体は、肝機能改善作用を効果的に高める。具体的には、後述する実施例の記載から明らかな通り、特定比率のTGE及びTGE配糖体は、さまざまなストレスが誘因となって細胞死滅が生じやすい等の問題点がある無血清培地で培養した肝細胞の活性(酵素活性)を高めることができる。すなわち特定比率のTGE及びTGE配糖体が肝細胞の活性低下を抑制する、つまり保護している。このように、特定比率のTGE及びTGE配糖体は肝細胞を保護できるため、肝細胞の傷害を防ぎ、肝細胞の活性を維持又は増進し、肝機能を改善する。特に、さまざまなストレスから肝細胞を保護し、肝細胞の障害を防ぐことで、肝細胞中のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノ基転移酵素(Alanine transaminase、ALT)、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-glutamyltransferase、γ-GTP)の血中への逸脱が抑制されることが期待される。
【0036】
また、特定比率のTGE及びTGE配糖体は、これを摂取することにより、皮膚における角層水分量向上作用、皮膚弾力向上作用、皮膚水分蒸散抑制作用を得ることができる。これらの肌質改善作用は継続的に本発明の組成物を摂取することにより顕著に示され、例えば、経口摂取開始から4週間以内に現れ、更に8週間の継続的摂取、特に12週間の継続的摂取により顕著に顕れる。ここでいう継続的な摂取とは、例えば1~3日間に少なくとも1回の摂取する状態を継続することをいう。
【0037】
このような本発明の組成物は、筋肉分化促進用組成物、筋肉形成促進用組成物、骨分化促進用組成物、骨形成促進用組成物、脂肪分解促進用組成物、脂質代謝促進用組成物、脂肪低減用組成物、抗肥満用組成物、ダイエット用組成物、美容組成物、皮膚水分量増加用組成物、水分蒸散抑制用組成物、肌弾力向上用組成物、肌質改善組成物などとして使用できるほか、肝細胞の逸脱酵素流出予防又は抑制作用、肝細胞障害予防又は抑制作用、肝細胞保護作用、肝機能保護又は改善作用による、肝機能改善剤又は肝機能改善組成物として使用でき、ウイルス性肝炎、薬物性肝障害、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、Budd-Chiari症候群等の肝機能障害の治療又は予防に使用できる。このように、本発明の組成物は、二日酔い防止等の飲酒と関連した疾病以外の障害に適用することが可能である。
【0038】
また、本発明の組成物は、筋肉分化促進、筋肉形成促進、骨分化促進、骨形成促進、脂肪分解促進、抗肥満、ダイエット、美容、肌質改善、肝機能改善の用途に用いられる点において、製品として他の製品と区別できるものであればよく、例えば、本発明の肝機能改善剤に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物のいずれかに肝機能改善の機能がある旨を表示したものを挙げることができる。例えば、肝機能改善機能がある旨の表示とは、肝機能が気になる方に、肝臓の健康が気になる方に、などのように肝臓の働きを気にする対象者に訴えかける表示や、肝臓の健康を維持する、肝臓の働きをサポートする、健康な肝臓を維持する、健康な肝臓の機能を維持する、肝機能酵素に対して健常域で高めの数値を低下するなどのように肝臓の健康の維持増進に役立つことを表示するものをいう。また、脂肪分解促進の機能がある旨の表示とは、肥満が気になる方に、お腹まわりが気になる方に、体重が気になる方に、お腹の脂肪(内臓脂肪と皮下脂肪など)が気になる方に、などのように体脂肪を気にする対象者に訴えかける表示や、体重を減らすのを助ける、お腹の脂肪(内臓脂肪と皮下脂肪など)を減らすのを助ける、ウエスト周囲径を減らすのを助ける、肥満解消をサポートする、ダイエットをサポートするなどのように体の脂肪を低減するのに役立つことを表示するものをいう。
【0039】
本発明の組成物は安全であり、長期間(例えば3か月間以上)投与(例えば1日に上記の投与量で投与した場合)を継続しても差し支えない。本発明の組成物は、このように継続的に使用することが好ましいものである。また本発明の組成物の投与対象としては、その肝細胞保護作用を生かして、AST、ALT、γ-GTPなどの逸脱酵素の血中濃度が高い傾向のある対象者が好適に挙げられる。このような対象者が本発明の組成物を摂取することで、肝機能の低下防止効果をより一層高めることができる。
【実施例
【0040】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。しかし本発明の範囲はかかる実施例に限定されない。以下、特に断らない場合「%」は質量%、「部」は質量部を表す。
【0041】
〔実施例1〕
実施例1の被験物質として、質量比が、テクトリゲニン(TGE):テクトリゲニン配糖体=1:21(配糖体の内訳は質量比でTD:TGXG=1:1.9)の粉末状組成物を用いた。
これを下記の(1)~(3)の手順の筋肉分化試験、及び、下記(ア)~(オ)の手順の骨分化試験にそれぞれ供した。
【0042】
(筋肉分化試験)
(1)マウス横紋筋由来筋芽細胞C2C12(理化学研究所より入手)を、10%FBS含有DMEMで所定の数になるまで、5容量%CO2インキュベーターにて、37℃、湿潤条件で培養した。
次いで、培地を取り除き、DPBSで3度洗浄したのち、Trypsin-EDTAで細胞を剥離した。
新鮮な10%FBS含有DMEMを加えてトリプシン反応を停止したのち、細胞をチューブへ集め、遠心機で800rpm、3分間遠心して細胞を沈殿させた。
2×104 cells/mLになるように新鮮な10%FBS含有DMEMに細胞を懸濁し、96well plateに100μL/wellで播種して、2日間、5容量%CO2インキュベーターにて、37℃、湿潤条件で前培養した。
【0043】
(2) 実施例1の被験物質をTGE及び配糖体の総量の濃度が40mMになるようにDMSOに溶解し、これを2%ウマ血清(HS)含有DMEMで200倍に希釈し、これを更に所定の2倍の濃度になるように0.5%DMSOを含む2%HS含有DMEMで希釈した。ここでいう所定濃度とは、TGE及び配糖体の総量の濃度として25μMである。
【0044】
(3)(1)で前培養をした細胞の培地を除き、分化誘導培地である2%HS含有DMEMを50μL、及び、前記(2)で調製した2%HS含有DMEMを50μL添加して、更に5%容量CO2インキュベーターにて、37℃、湿潤条件で24時間培養を続けた。一方、コントロールとして分化誘導培地である2%HS含有DMEMを100μL添加したものを同様に培養した。
24時間後、培地を除き、細胞からRneasy mini(Qiagen社製)を用いてRNAを精製した。
精製したRNAよりReverTra Ace(登録商標) qPCR RT Master Mix with gDNA Remover(東洋紡社製)でcDNAを合成した。
内部標準としてGAPDH(Mm_Gapdh_3_SG QuantiTect Primer Assay、Qiagen社製)、測定遺伝子としてMyogenin(Mm_Myog_1_SG QuantiTect primer assay、Qiagen社製)のプライマー、QuantiNOVA SYBR GREEN(Qiagen社製)を用いて、Rotor-Gene Q(Qiagen社製)でPCRを
おこなった。
PCRの結果はRotor Gene Q Pure Detection(Qiagen社製)を用いて解析した。
解析により得られた遺伝子発現量について、コントロール(比較例1)を100%とした相対値を算出した。結果を図1に示す。
【0045】
一般に筋芽細胞において、Myogenin遺伝子の発現は、筋肉組織への分化誘導マーカーとして広く用いられている。図1に示すように、特定のTGE:TGE配糖体量比を有する実施例1の組成物を分化誘導培地中の筋芽細胞に添加することで、Myogenin遺伝子発現量が向上している。このことは、実施例1の組成物が添加された筋芽細胞において、筋肉組織への分化が促進されたことを示している。
【0046】
(骨分化試験)
(ア):マウス頭蓋冠由来前骨芽細胞MC3T3-E1細胞(DSファーマバイオメディカル社より入手)を10%FBS含有MEMα培地(アスコルビン酸不含)で所定の数になるまで5容量%CO2インキュベーターにて、37℃、湿潤条件で培養した。培地を取り除き、DPBSで2度洗浄したのち、Trypsin-EDTAで細胞を剥離した。新鮮な10%FBS含有MEMα培地を加えてトリプシン反応を停止したのち、細胞をチューブへ集め、遠心機で800rpm、3分遠心して細胞を沈殿させた。4×105 cells/mLになるように新鮮な10%FBS含有MEMα培地に細胞を懸濁し、96well plateに100μL/wellで播種して1日間、5容量%CO2、37℃、湿潤条件で前培養した。
【0047】
(イ):アスコルビン酸ナトリウムとβグリセロリン酸二ナトリウムを10%FBS含有MEMα培地にそれぞれ50μg/mL、10mMになるように溶解し、骨組織への分化を誘導する分化誘導培地とした。実施例1の被験物質を、TGE及び配糖体の総量の濃度として20mMになるようにDMSOに溶解し、これを分化誘導培地で200倍に希釈し、これをさらに所定の2倍の濃度になるように0.5%DMSOを含む10%FBS含有MEMα培地で希釈し、被験物質含有分化誘導培地とした。ここでいう所定濃度とは、TGE及び配糖体の総量の濃度として100μMである。
【0048】
(ウ):(ア)で前培養をした細胞の培地を除き、(イ)で調製した被験物質含有分化誘導培地を100μL/well添加し、2日又は3日に一度、培地を交換しながら、14日間5容量%CO2、37℃、湿潤条件で培養を続けた。一方、コントロールとして、被験物質非含有分化誘導培地を別のwellに同量添加以外は、同様に培養した。
【0049】
(エ)上記(ウ)の培養後、培地を除き、無血清DMEMで1度洗浄したのち、無血清DMEM培地で30倍に希釈したCell Counting-Kit 8(同仁化学社製)を150μL添加して37℃で適当な発色まで保温した。450nmの吸光度(A1)をプレートリーダー(ThermoScientific社製)で測定した。
(オ)(エ)の測定後の培地からCell Counting-Kit 8を除き、TRAP/ALP染色キット(和光純薬社製)の説明書に従い、アルカリホスファターゼ(ALP)活性測定用の染色を行った。
次いで、グリシン、無水塩化マグネシウム、塩化亜鉛をそれぞれ0.1M、1mM、1mMになるように超純水に溶解し、水酸化ナトリウムでpH10.4に調整し、グリシン緩衝液とした。得られたグリシン緩衝液5mlに4-ニトロフェニルリン酸二ナトリウム塩六水和物 5mgタブレット(Sigma Aldrich社製)を一粒溶解した。得られた液を、ALP染色後の各ウェルに150μL加えた。
37℃で30分加温した後、上清100μLをアッセイプレート(AGCテクノグラス社製)に移し405nmの吸光度(A2)をプレートリーダーで測定した。
上記で測定した吸光度A1及びA2を用いて、ALP活性を下記式により求めた。
ALP活性=A2/A1
得られたALP活性の値について、コントロール(比較例1)を100%として相対値を算出した。結果を図2に示す。
【0050】
一般に、ALP活性は、MC3T3-E1細胞に係る骨芽細胞への分化誘導マーカーとして広く用いられている。図2に示すように、特定のTGE:TGE配糖体量比を有する実施例1の組成物を分化誘導培地中のMC3T3-E1細胞に添加することで、ALP活性が向上している。このことは、実施例1の組成物が添加されたMC3T3-E1細胞において、骨芽分化が促進されたことを示している。
【0051】
〔実施例2-1~2-6、比較例2-1~2-4〕
被験物質として、TD、TGXG及びTGEを以下の表1に記載で配合したものを用いた。表1中の配糖体とはTD及びTGXGの合計量を指す。これら実施例及び比較例の被験物質を、下記の(i)~(viii)の手順の(脂肪分解酵素発現試験)に供した。
【0052】
【表1】
(表中、数字は質量比を表す)
【0053】
(脂肪分解酵素発現試験)
ホルモン感受性リパーゼ(HSL)の遺伝子発現を下記方法にて測定した。
(i)37℃、5容量%CO2インキュベーター内で、75cm2フラスコを用いて脂肪細胞に分化するマウス線維芽細胞(3T3-L1)を前培養培地で培養した。前培養培地としては、10%FBS-DMEMを用いた。
(ii)トリプシン処理により浮遊させた細胞を10%FBS-DMEMに懸濁し、96well plateの各wellに2×103cells/wellの細胞密度で播種した。播種後の細胞を、37℃、5容量%CO2インキュベーター内で2日間前培養した。
(iii)培地を除き、あらかじめ、デキサメタゾン、3-Isobutyl-1-methylxanthine、インスリンをそれぞれ1μM、1mM、20μg/mL含むように調製しておいた10%FBS-DMEM(脂肪細胞への分化誘導培地)を100μL/well添加し、2日間37℃、5容量%CO2インキュベーター内で培養した。
(iv)各wellから培地を半分除き、あらかじめインスリンを20μg/mL含むように調製しておいた10%FBS-DMEM(脂肪細胞分化維持培地)に交換し、さらに5日間37℃、5容量%CO2インキュベーター内で培養した。この間、2日おきに培地の半分をインスリンを含む10%FBS-DMEMに交換した。
(v) 各wellから培地を完全に除き、あらかじめ被験物質が100μg/mLになるように調製しておいた10%FBS-DMEMを100μL/well(TGE及び配糖体の総量の濃度が100μM)添加して、さらに48時間37℃、5容量%CO2インキュベーター内で培養を続けた。
(vi)培地を完全に除き、氷冷したDPBSで2回洗浄後、アイソジェン(ニッポンジーン社製)を100μL/well加え、取扱説明書の通り、総RNAを精製した。
(vii) (vi)で得られた総RNAから、ReverTra AceR qPCR RT Master Mix with gDNA Removerで取扱説明書に従い、cDNAを合成した。
(viii)QuantiNova SYBR Green PCR Kitを用いて、(vii)で得られたcDNAを鋳型としてRT-PCRをおこなった。プライマーとしてはHSL遺伝子発現用としてMm_Lipe_1_SG QuantiTect Primer Assayを用いた。内部標準にはActbをMm_Actb_1_SG QuantiTect Primer Assayを用いて行った。比較例1(コントロール)の遺伝子発現量を1とした時の相対値を図3に示す。
【0054】
図3に示すように、各実施例の被験物質を用いることにより、ホルモン感受性リパーゼ(HSL)の遺伝子発現量が、各比較例を大幅に上回った。ホルモン感受性リパーゼ(HSL)は中性脂肪分解酵素であり、脂肪細胞内に存在し、トリグリセリドを遊離脂肪酸とグリセロールとに分解し、遊離脂肪酸を血液中に放出させることが知られている。従って、本発明の組成物が、ホルモン感受性リパーゼ(HSL)遺伝子発現の促進を通じて、脂肪細胞における脂肪分解を効果的に促進することが判る。
【0055】
(肝機能改善試験)
〔実施例3-1~3-11並びに比較例3-1~3-4〕
(1)細胞培養
37℃、5容量%CO2インキュベーター内で、75cm2フラスコを用いて、ヒト肝癌由来細胞(HepG2、ATCC社製)を10%ウシ胎児血清(FBS)含有培地により培養した。次いでトリプシン処理により浮遊させた細胞を、75cm2フラスコから96well plateの各wellに4.0×104cells/wellの細胞密度で播種した。その後、37℃、5容量%CO2インキュベーター内で24時間前培養した。
各wellより培地を除去後、所定濃度に調製した被験物質含有培地を100μL/well添加し、CO2インキュベーター内で24時間培養した。被験物質含有培地における培地としては無血清DMEMを使用した。被験物質としては、TD、TGXG及びTGEを以下の表2に記載で配合したものを用いた。表2中の配糖体とはTD及びTGXGの合計量を指す。上記所定濃度としては、TD、TGXG及びTGEの総量の濃度として400μg/mlとした。比較例3-1はcontrolであり、被験物質含有培地の代わりに0.5%DMSO含有無血清DMEMを用いた。
【0056】
【表2】
【0057】
<細胞活性測定>
上記の24時間培養後、培地を除去し、無血清DMEMで30容量倍に希釈したCell Counting Kit-8溶液(同仁化学製)を各wellに150μlずつ添加した。37℃、5容量%CO2インキュベーター内に静置し適度に発色させた後、450nmにおける吸光度を測定した。
得られたデータを元に% of controlを算出した。
% of control = (Data sample-Data blank) /(Data control-Data blank)×100
得られた結果を図4として示す。図4には、3連の平均値及び標準偏差を記載した。
【0058】
図4に示す結果から明らかな通り、TGE及びその配糖体の量比が特定であるテクトリゲニン類は、無血清DMEMで培養された肝細胞の活性を保護する優れた作用を有することが判る。従って、この質量比が特定であるテクトリゲニン類を用いることにより、肝細胞を保護し、肝機能を改善することが出来る。
【0059】
〔実施例4〕
実施例4の被験物質として、質量比が、TGE:配糖体=1:22.19(TD:TGXG=1:1.81)の粉末状組成物43.14mg(TGE及び配糖体の総量)を用いた。これを、下記美容試験に供した。
【0060】
(美容試験)
健常な女性2人(平均年齢19.7歳)を被験者とした。
被験者に水に溶解した実施例4の被験物質を毎朝摂取させた。これを12週間継続させた。摂取開始前、摂取開始後(4,8,12週間後)に左頬部(目尻と小鼻を直線で結んだときの中央付近)における角層水分量、水分蒸散量、弾力をそれぞれ下記の測定装置で測定した。角層水分量の平均値を図5に、水分蒸散量の平均値を図6に、弾力の平均値を図7に、それぞれ示す。
【0061】
・角層水分量:皮表角層水分量測定装置SKICON-200EX(アイ・ビイ・エス社製)で測定した。この皮表角層水分量測定装置は、皮膚のコンダクタンス(電気伝導度、単位:μS)を角層の水分量として評価したものである。
・水分蒸散量:Tewameter TM300(Courage+Khazaka社製)で測定した。
・弾力:皮膚粘弾力測定装置Cutometer MPA580(Courage+Khazaka社製)で測定した。弾力としては、測定器であるキュートメーターで得ることのできる皮膚粘弾性値の測定パラメータとして、測定部の皮膚を一定時間陰圧で吸引し、引き込まれた高さと吸引部頂点から戻った分の皮膚の変位を解析して求められる戻り弾性比率を用いた。戻り弾性比率は、1.00に近いほど、皮膚の弾力性は高いと言える。
これらの測定は、機器に付属の説明書に記載される標準的な方法で実施した。
【0062】
図5図7の結果から、特定のTGE:配糖体量比を有する本発明の組成物摂取時期が長くなるにつれて、肌の角層水分量が向上し、水分蒸散量が抑制され、弾力が向上したことが判る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7