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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】毛髪処理方法及び毛髪処理具
(51)【国際特許分類】
   A45D 19/00 20060101AFI20230630BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20230630BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20230630BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
A45D19/00 B
A61K8/02
A61Q5/06
A61Q5/10
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2017107619
(22)【出願日】2017-05-31
(65)【公開番号】P2018033935
(43)【公開日】2018-03-08
【審査請求日】2020-03-16
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-30
(31)【優先権主張番号】P 2016166357
(32)【優先日】2016-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯久保 理奈
(72)【発明者】
【氏名】小原 周一郎
(72)【発明者】
【氏名】古高 佑季
(72)【発明者】
【氏名】丸山 亜久利
(72)【発明者】
【氏名】川口 皓奨
【合議体】
【審判長】佐々木 芳枝
【審判官】長馬 望
【審判官】五十嵐 康弘
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-503507(JP,A)
【文献】特開平10-117836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 19/00
A61K 8/02
A61Q 5/06
A61Q 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維構造体と該繊維構造体を固定している液不透過性シートとを有し、
前記繊維構造体は、顔料と被膜形成樹脂とを含有する毛髪化粧料を保持しており、
前記毛髪化粧料は一時染毛料であり、
前記液不透過性シートを折り曲げて形成された偏平な包装体に、前記一時染毛料を含浸させた前記繊維構造体が該液不透過性シートの折り曲げ部に跨った状態で密封されている、毛髪処理具を用いて毛髪を処理する方法であって、以下のステップ1及び2を備える、毛髪処理方法。
ステップ1:前記包装体を開封し、前記毛髪処理具の前記繊維構造体の表面を露出させる。
ステップ2:ステップ1で表面が露出された前記繊維構造体を、毛髪に接触させた状態で、前記繊維構造体を前記毛髪の配向方向に移動させる。
【請求項2】
前記ステップ2においては、前記繊維構造体を、その表面が内側を向くように二つ折りし、二つ折りした前記繊維構造体間に毛束を挟んだ状態で、該繊維構造体を毛髪の配向方向に移動させる、請求項1に記載の毛髪処理方法。
【請求項3】
前記毛髪化粧料が、沸点が50℃以上260℃以下である有機溶剤を70質量%以上含み、且つ水の含有割合が10質量%以下である、請求項1又は2に記載の毛髪処理方法。
【請求項4】
前記毛髪化粧料の粘度が、30℃で2500mPa・s以下である、請求項1~3の何れか1項に記載の毛髪処理方法。
【請求項5】
前記繊維構造体が複数の層が積層された構造を有している、請求項1~4の何れか1項に記載の毛髪処理方法。
【請求項6】
前記繊維構造体は、前記毛髪に接触する面を構成する表面層を含む塗布層及び、該塗布層よりも前記液不透過性シート側に配置された下層を有しており、
前記塗布層及び前記下層は、それぞれ、単層又は前記毛髪化粧料の含浸率が同一の複数のシートが積層した積層構造からなり、
前記下層のセルロース系繊維の含有割合が、該下層の全構成繊維の質量に対して、60質量%以上95質量%以下である、請求項1~5の何れか1項に記載の毛髪処理方法。
【請求項7】
前記繊維構造体は、前記毛髪に接触する面を構成する表面層を含む塗布層及び、該塗布層よりも前記液不透過性シート側に配置された下層を有しており、
前記塗布層及び前記下層は、それぞれ、単層又は前記毛髪化粧料の含浸率が同一の複数のシートが積層した積層構造からなり、
前記塗布層のセルロース系繊維の含有割合が、該塗布層の全構成繊維の質量に対して、60質量%以上95質量%以下である、請求項1~5の何れか1項に記載の毛髪処理方法。
【請求項8】
前記繊維構造体は、前記毛髪に接触する面を構成する表面層を含む塗布層及び、該塗布層よりも前記液不透過性シート側に配置された下層を有しており、
前記塗布層及び前記下層は、単層構造又はセルロース系繊維の含有割合が相互に同一の複数のシートが積層された積層構造を有しており、
前記塗布層の全構成繊維中のセルロース系繊維の含有割合と、前記下層の全構成繊維中のセルロース系繊維の含有割合とは相互に異なる、請求項1~7の何れか1項に記載の毛髪処理方法。
【請求項9】
前記塗布層の全構成繊維中のセルロース系繊維の含有割合が、前記下層の全構成繊維中のセルロース系繊維の含有割合より低い、請求項8に記載の毛髪処理方法。
【請求項10】
前記繊維構造体の少なくとも表面側がセルロース系繊維を5質量%以上60質量%以下含む、請求項1~4の何れか1項に記載の毛髪処理方法。
【請求項11】
前記包装体の全体又は一部が、前記液不透過性シートから形成されている、請求項1~10の何れか1項に記載の毛髪処理方法。
【請求項12】
前記繊維構造体は前記包装体に折りたたまれた状態で収容されている、請求項1~11の何れか1項に記載の毛髪処理方法。
【請求項13】
前記被膜形成樹脂が、陽イオン性樹脂、及び陰イオン性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1~12の何れか1項に記載の毛髪処理方法。
【請求項14】
繊維構造体と該繊維構造体を固定している液不透過性シートとを有し、
前記繊維構造体は、顔料と被膜形成樹脂とを含有する毛髪化粧料を保持しており、
前記毛髪化粧料は一時染毛料であり、
前記液不透過性シートを折り曲げて形成された偏平な包装体に、前記一時染毛料を含浸させた前記繊維構造体が該液不透過性シートの折り曲げ部に跨った状態で密封されており、
露出させた前記繊維構造体を毛髪に接触させた状態で、前記繊維構造体を前記毛髪の配向方向に移動させて用いられる、毛髪処理具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪処理方法及び毛髪処理具に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、毛髪の色を変える染毛剤には、染料前駆体を毛髪内に浸透させ、毛髪内で化学反応させることによりカラーリングする永久染毛剤、直接染料を毛髪内に浸透させる半永久染毛剤、顔料等を毛髪表面に付着させる一時染毛料が存在する。
これらの染毛剤、特に永久染毛剤は、頭髪の全部を一様に染毛する、いわゆる全体染めの染毛作業を行うには比較的容易である。しかし、頭髪の一部を選択して染毛する部分染めは作業が煩雑であり、美容師ではない一般消費者が個人で施術する事は困難である。このため、部分染めを個人が簡便に行うための専用の器具が様々に提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、二つ折り可能な被覆材の内面に、毛染め剤または脱色剤等の薬液を含浸させるための吸水性シートを設け、かつ、該被覆材を開閉可能に形成したことを特徴とする頭髪用部分染め具が記載されている。この頭髪用部分染具は毛髪を梳きとり、梳きとった毛束を頭髪用部分染具で挟持し、そのまましばらく放置し、薬液が頭髪に浸透するのを待つことで部分染めを実現する。
【0004】
特許文献2には、染め剤または脱色剤等を含浸させるための吸液性シートと、表面に接着層を有する被覆材となる不透液性シートからなる第一のシートと、第一のシートと同じ構成からなるシート、もしくは不透液性シートのみからなる第二のシートで毛髪を挟み込むことを特徴とする部分毛染め具が記載されている。この部分毛染め具は第一のシートと第二のシートを密着させ固定し、毛染めが終了した後、シートをはがして毛染めを行う。
【0005】
特許文献3には、シート基材に、毛髪用の液体染料を封入したマイクロカプセルを設け、前記マイクロカプセルを破壊して染料をシート基材に含浸させることにより毛髪を染色するようにしたことを特徴とする毛染め具が記載されている。特許文献2によれば、シート基材を折り曲げて毛髪を挟み付けるだけであり、また液体染料をシート基材に含浸するので指先にまで染み出さないため、染色作業中に指や衣服等が汚損することがない。
【0006】
特許文献4には、特定の細孔径を有する吸収性基材と高粘度のヘアトリートメント組成物とを含むヘアトリートメント適用システムが開示されている。このヘアトリートメント適用システムを親指と人さし指の間に保持しながら、内側表面を毛髪ストランドに巻き付けることができるように、吸収性基材を、その寸法のうちの1つに沿って折った上で、吸収性基材を毛髪ストランドに保持し、かつ毛髪ストランドを他方の手で保持しながら、毛髪ストランドの長さ全体に沿ってヘアトリートメント適用システムを通すことによって、ヘアトリートメント組成物を適用する方法が記載されている。
【0007】
特許文献5には、髪用着色剤、髪用脱色剤等の内容物を収容した平らな袋状の容器と、該容器の主面どうしを押圧することで内容物を吐出させる出口と、内容物を塗り広げるフラップとを有する手持ち式塗布具が記載されている。特許文献5の塗布具によれば、使用者の手を内容物で汚すことを防ぐ他、破れ易い表面であっても内容物を該表面に延展し得ることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平10-117836号公報
【文献】特開2005-270549号公報
【文献】特開2000-72634号公報
【文献】特表2010-505502号公報
【文献】特表2002-531244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1及び2では、色を十分に発色させるためには、毛髪内へ染料前駆体や染料を十分に浸透させる必要があり、このために毛染め具を毛髪上に保持し、固定する時間が発生するため、短時間で簡単に処理をおこなう点で十分なものでなかった。
特許文献3は、塗布時の押圧でマイクロカプセルを破壊する必要があり、カプセルが十分に壊れない場合などには転写できる染料の量が不足し、十分な発色が得られない場合や毛髪に色が均一に乗らない場合もあった。
特許文献4は、粘度の高い染毛剤を塗布するため、毛髪に好ましくない感触を与える場合があり、処理後にシャンプー等で染毛剤を洗い流す必要があるなど、簡便さの点で不十分であった。
特許文献5に記載の塗布具は、内容物を収容している容器部分から吐出させた内容物を毛髪に塗布する際、毛髪に内容物を均一に塗布することが困難であり、色むらが生じる虞があった。
以上のように、特許文献1~5では、毛髪の感触を損なうことなく、根元から毛先まで色むらなく、短時間かつ簡単なカラーリングを行う点で十分に満足できるものでは無かった。
さらに、特許文献1~4は、比較的扱いやすい染料を毛髪に適用しているため、毛髪内にその染料が浸透すると、シャンプーを数回しても染毛効果が維持される。従って、特許文献1~4に記載の毛染め具等は、一日だけカラーリングを楽しみ、その後シャンプーで元の髪色に戻す場合には不適当であった。
一方、一日だけのカラーリングを楽しむために、染料ではなく顔料を使用する一時染毛料もある。しかし、現在までに開発されている一時染毛剤は、顔料分散のために、粘度などの液性の調整や、容器の選択などにおいて制限があり、一般消費者が使用するには到底簡単に塗布できるようなものはなかった。
【0010】
本発明の課題は、従来技術が有する解決課題を解決し得る毛髪処理具及びそれを用いた毛髪処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、繊維構造体と該繊維構造体を固定している液不透過性シートとを有し、
前記繊維構造体は、顔料と被膜形成樹脂とを含有する毛髪化粧料を保持しており、
前記繊維構造体が包装体に密封されている、毛髪処理具を用いて毛髪を処理する方法であって、以下のステップ1及び2を備える、毛髪処理方法を提供するものである。
ステップ1:前記毛髪処理具の前記繊維構造体の表面を露出させる。
ステップ2:ステップ1で表面が露出された前記繊維構造体を、毛髪に接触させた状態で、前記繊維構造体を前記毛髪の配向方向に移動させる。
【0012】
また本発明は、繊維構造体と該繊維構造体を固定している液不透過性シートとを有し、
前記繊維構造体は、顔料と被膜形成樹脂とを含有する毛髪化粧料を保持しており、
前記繊維構造体が包装体に密封されている、毛髪処理具を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の毛髪処理方法及び毛髪処理具によれば、化粧料を塗布したい毛髪部分への塗布作業が容易であり、また化粧料を毛髪に均一に塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の毛髪処理方法に用いる毛髪処理具の一実施形態を示す平面図である。
図2図2は、図1の処理具のI-I線断面図である。
図3図3は、本発明の毛髪処理方法に用いる毛髪処理具の別の一実施形態を示す図であり、図3(a)は、開封して展開した状態の平面図であり、図3(b)は開封前の斜視図である。
図4図4は、繊維構造体の断面構造のバリエーションを示す断面図である。
図5図5は、図3に示す毛髪処理具を開封する様子を示す模式図である。
図6図6は、本発明に係る繊維構造体と液不透過性シートとの固定位置の一例を示す平面図である。
図7図7(a)~(e)は、本発明に係る繊維構造体の凹凸のパターンの例を示す図である。
図8図8は、本発明に係る繊維構造体の一実施形態を示す断面図である。
図9図9は、図1又は図3に示す毛髪処理具を用いて、頭髪に毛髪処理を行う様子を示す模式図である。
図10図10は、図3(a)に示す毛髪処理具の寸法を説明するための平面図である。
図11図11は、図3に示す毛髪処理具の製造工程を示す斜視図である。図11(A)は、図3に示す毛髪処理具を構成する液不透過性シートと繊維構造体とを示す斜視図であり、図11(B)は、繊維構造体を液不透過性シートに載置及び固定した状態を示す斜視図であり、図11(C)は、図11(B)の繊維構造体及び液不透過性シートを2つ折りにした状態を示す斜視図である。
図12図12は、図3に示す毛髪処理具のシール部を示す平面図である。図12(A)は、毛髪処理具の切り裂き方向と平行する辺に設けられた固定シール部を示し、図12(B)は、直交方向と平行する辺に設けられた開封シール部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の毛髪処理具をその好ましい実施形態に基づき図面を参照して説明する。
図1及び図2には、本発明の毛髪処理方法に用いる毛髪処理具の一実施形態である毛髪処理具(以下、毛髪処理具1ともいう)が示されている。
毛髪処理具1は、毛髪化粧料を保持した繊維構造体5と該繊維構造体5を固定している液不透過性シート3(以下、シート3ともいう)とを有している。繊維構造体5は包装体2に密封されている。
【0016】
包装体2は、繊維構造体5を密封することができれば任意の包装形態にすることができる。例えば、本発明における毛髪処理具1は、繊維構造体5及び該繊維構造体5を固定している液不透過性シート3が、それらとは別体のシートからなる包装体2内に密封されていても良い。また、図1に示すように2枚の別体のシート21と、シート3との間に繊維構造体5を挟み、その四方を接合して包装体2を形成してもよいし、図3に示すように1枚の2つ折りにしたシート3の間に繊維構造体5を挟み、2つ折りにしたシートの三方を接合して袋状の包装体2を形成してもよい。包装体で密封されていることにより、毛髪化粧料の漏出を防止したり、また毛髪化粧料中に溶剤が含まれる場合には溶剤が滲出したり揮発したりすることを効果的に防止し、毛髪化粧料の塗布性を維持することができる。
また、繊維構造体5を固定している液不透過性シート3を取り出す際に手を汚さず、かつゴミを低減する点から、包装体2の全体又は一部が、繊維構造体5を固定している液不透過性シート3から形成されていてもよい。具体的には、図1及び2に示す包装体2は、上面2aを形成するシート21と下面2bを形成するシート3とを有し、下面2bを形成しているシート3は、繊維構造体5が積層され、該繊維構造体5と部分的に結合された液
不透過性シート3となっている。図3に示す包装体2は、液不透過性シート3を2つ折りにし、所定箇所を接合することによって形成されている。
【0017】
包装体2は、上記のように、1枚又は複数枚のシートを接合して形成することができる。包装体2の形成には、超音波シール、ヒートシール、高周波シール、接着剤等の公知の接合方法が用いられるが、繊維構造体5が含有する毛髪化粧料に有機溶剤が多く含まれる場合は、接着剤以外の接合方法、例えば超音波シール、ヒートシール、高周波シールを用いることが好ましい。
【0018】
包装体2は、毛髪化粧料の性状に応じて、毛髪化粧料を透過させない任意の材料を用いることができる。例えば、アルミ箔、熱可塑性樹脂フィルム、不織布、紙等の材質からなるシート、またこれらの2以上を積層したシートが選択される。
また、毛髪化粧料が液体である場合には、液不透過性であるシートが選択される。液不透過性のシートとしては、ある程度柔軟であり液不透過性のものであればその種類に特に制限はなく、例えば熱可塑性樹脂のフィルム、該フィルムにアルミニウムなどの金属薄膜をラミネートしたもの等を用いることができる。
また、毛髪化粧料が揮発性物質を含む場合、該揮発性物質を透過させないシート材を用いることができる。具体的にはシート材が液不透過性であることが好ましく、更には液不透過性に加えて、毛髪化粧料から揮散した水蒸気やエタノールが非透過性であることが好ましい。このような性質を有するシート材を用いることで、毛髪化粧料が液状やクリーム状である場合、包装体2内の繊維構造体5から毛髪化粧料が滲出したり揮発したりすることを効果的に防止することができる。このような性質を有するシート材としては、例えばアルミニウムを蒸着した熱可塑性樹脂フィルム、熱可塑性樹脂フィルムの間にアルミニウムを挟んだフィルム等が挙げられる。
【0019】
液不透過性シート3は、ある程度柔軟であり液不透過性のものであればその種類に特に制限はなく、例えば熱可塑性樹脂のフィルム、該フィルムにアルミニウムなどの金属薄膜をラミネートしたもの等を用いることができる。包装体2が液不透過性シート3の一部又は全部から形成されている場合、液不透過性シート3にも上記の任意の材料を用いることができる。
また、包装体2が、図1に示すように複数のシートから構成されている場合は、これら複数のシートにそれぞれ異なるシート材を用いても良い。さらに、包装体2が、図3に示すように第1面2a及び第2面2bから構成されている場合、これら各部のシートにそれぞれ異なるシート材を用いても良い。
【0020】
包装体2は、その内部に密封されている繊維構造体5を露出させるため、開封手段を備えていることが好ましい。具体的には、図1に示す毛髪処理具1の包装体2は、四隅の内の少なくとも1つに、上面2aを形成するシート21と下面2bを形成するシート3との間が接合されていない摘み部9を備えており、上面2aを形成するシート21を、摘み部9を始点にして、包装体2の対角線方向に引っ張ることで、該シート21の全体をシート3から剥がすことができる。これにより、包装体2に密封されていた繊維構造体5が露出される。
また、包装体2の全部又は一部が、液不透過性シート3から形成されている場合、該液不透過性シート3は、ノッチ91等の引き裂き開始点となる開封手段を備えていることが好ましい。図3に示す毛髪処理具1の包装体2は、液不透過性シート3から形成されており、図3(b)に示すように、開封手段として、摘み部9及び摘み部9の両端部に引き裂き方向(図3(b)では横方向X)に切れ込んだノッチ91,91を備えている。図3に示す毛髪処理具1の包装体2は、前記ノッチ91を有する摘み部9を、引き裂き方向に引っ張ることにより、液不透過性シートが引き裂かれて、密封した繊維構造体5を露出させることができる。この開封方法については、後述する。
また、液不透過性シート3は、引き裂き性を有することが好ましく、引き裂き直進性を有することが更に好ましい。引き裂き直進性とは、特定の方向に直線状に引き裂かれ易い性質や構造を有することを意味する。引き裂き直進性を有するシートとしては、例えば、上記の引き裂きを開始する部分にノッチ91を設けたものや、ハーフカット等の厚み方向に貫通しない切断線を特定の方向に沿って直線状に設けたもの、延伸により特定方向に避けやすいように高分子を配向させたフィルム材等が挙げられる。
【0021】
手に毛髪化粧料が付着することを防止し、ゴミ(不要品)を低減する観点から、図1に示す実施形態の毛髪処理具1のように、繊維構造体5を密封している包装体2を構成する液不透過性のシート材の一部が、使用状態において、繊維構造体5を固定している液不透過性シート3であることが好ましく、図3に示す実施形態の毛髪処理具1のように、繊維構造体5を密封している包装体2を構成する液不透過性のシート材の全体が、使用状態において、繊維構造体5を固定している液不透過性シート3であることが好ましい。
【0022】
繊維構造体5は、毛髪化粧料を保持し、包装体2内に密封されている。包装体2内において繊維構造体5は、折り畳まれていないか(図1参照)、所定の形状に折り畳まれている状態(図3参照)で密封されている。毛髪処理具1の携帯性を高める観点、及び毛髪を繊維構造体5で挟んで毛髪化粧料を適用する際の使いやすさの観点から、繊維構造体5は包装体2に折りたたまれて密封されていることが好ましい。繊維構造体5は、図3に示すように、2つ折りにされて畳まれていてもよく、3つ折り等の複数回に折られて畳まれていてもよい。
【0023】
繊維構造体5は、毛髪化粧料を保持することができる任意の材料を用いることができる。例えば、不織布、編み物、紙等の、繊維材料からなる繊維シートを好ましく用いることができる。繊維構造体5として用いる不織布としては、スパンレース不織布、メルトブローン不織布、ニードルパンチ不織布、エアスルー不織布、等の各種製法による不織布を用いることができる。紙としては、乾式抄紙法、湿式抄紙法等により得られた紙を用いることができる。不織布や紙等である繊維構造体5は、その構成繊維として、特に毛髪化粧料が液体である場合には毛髪化粧料の保持性の点からセルロース系繊維を含むことが好ましく、また、不織布の強度の向上の観点、及び毛髪に適用した時に毛羽立ち等を防止し、毛髪への繊維付着を抑制する観点から、セルロース系繊維に加えて、熱可塑性樹脂繊維等の合成繊維を含むことも好ましい。熱可塑性樹脂繊維としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド等が挙げられる。合成繊維は、複数種類の樹脂成分からなる芯鞘型やサイドバイサイド型の複合繊維でも良い。熱可塑性樹脂繊維に代えて、又は熱可塑性樹脂繊維に加えて、熱硬化性繊維を用いることもできる。
これらの繊維は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。繊維構造体5は、毛髪化粧料の性状に応じて適切なものを選択することが好ましく、前述した不織布等の繊維シートは、毛髪化粧料が液状、クリーム状、粉状の場合等において好ましく用いられる。
また、繊維構造体5は、毛髪に接触させる観点から、図1図3(a)に示すように、展開時の平面視形状が、矩形であることが好ましいが、矩形以外の形状であっても良く、例えば、円形、楕円形や、三角形、正方形及び五角形等の多角形、ハート形等の任意の形状とすることができる。また、本実施形態の繊維構造体5は、平面視の横方向Xにおいて長辺を持つ長方形であったが、横方向Xに短辺を持つ長方形であっても良い。さらに、本実施形態の包装体2は角を丸めた矩形であったが、角を丸めていなくても良い。
また、繊維構造体5は、一枚の繊維シートからなるものであっても良いが、複数枚のシートを積層したマルチプライのシートであることが好ましい。
【0024】
毛髪化粧料の保持量を確保し毛髪処理の操作性をより向上させる観点や、携帯性の向上
の観点から、繊維材料からなる繊維構造体5の厚さは、好ましくは0.4mm以上、より好ましくは1.0mm以上、更に好ましくは1.5mm以上であり、また好ましくは15mm以下、より好ましくは10mm以下であり、更に好ましくは5mm以下である。ここでいう、繊維構造体の厚さは、0.8cN/cmの荷重下における厚さであり、デジタルインジケータで測定したものをいう。また、複数枚のシートを積層している場合には、積層したシートの厚さを指す。
【0025】
同様の観点から、繊維材料からなる繊維構造体5の坪量は、好ましくは10g/m以上、より好ましくは20g/m以上であり、また好ましくは300g/m以下、より好ましくは200g/m以下である。また、複数枚のシートを積層している場合には、積層したシートの坪量を指す。
【0026】
繊維構造体5は、セルロース系繊維を含有することが好ましい。セルロース系繊維を含有すると、毛髪化粧料の保持量の確保が容易となる。
セルロース系繊維としては、例えば天然繊維や再生繊維等の親水性繊維を用いることができる。天然セルロース系繊維としては、例えばパルプ繊維やコットン繊維等が挙げられる。再生セルロース系繊維としては、例えばレーヨン、キュプラ、リヨセル、テンセル等が挙げられる。これらのセルロース系繊維は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
上記の操作性の効果をより確実に奏させる観点から、繊維構造体5の少なくとも表面側が、セルロース系繊維を5質量%以上含むことが好ましい。ここで、繊維構造体5の表面とは、毛髪処理具1を用いて毛髪を処理する際に、毛髪に接触する面であり、本実施形態における繊維構造体5のように、繊維構造体5が偏平な形状である場合、その厚み方向に存する2面のうち、毛髪処理具の使用時に、毛髪に接触する面である。
少なくとも表面側が5質量%以上含む態様としては、繊維構造体5の構成繊維が厚み方向に一様であり、その全体が、セルロース系繊維を5質量%以上含む場合や、繊維構造体が複数の層が積層された積層構造を有しており、毛髪に接触する面を構成する最上層(以下、表面層ともいう)の構成繊維が、セルロース系繊維を5質量%以上含む場合等が挙げられる。
繊維構造体5は、少なくとも表面側が、使用感及び塗布性を向上させる観点から、セルロース系繊維を5質量%以上含むことが好ましく、より好ましくは10質量%以上含む。また、毛髪化粧料の均一塗布性の観点から、繊維構造体5は、少なくとも表面側が、セルロース系繊維を好ましくは60質量%以下含むことが好ましく、より好ましくは50質量%以下含む。毛髪化粧料の保持性及び均一塗布性の効果を両立させる点から、少なくとも表面側が、セルロース系繊維を、好ましくは5質量%以上60質量%以下、より好ましくは10質量%以上50質量%以下含んでいる。特に毛髪化粧料中に有機溶剤が比較的多量に含まれている時には毛髪化粧料の吸液性及び徐放性のバランスが良く、毛髪化粧料を薄く均一に毛髪上に乗せやすいことから、セルロース系繊維、すなわち親水性繊維を上述の範囲で含有し、熱可塑性樹脂繊維、熱硬化性繊維等の疎水性繊維を好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上含有し、かつ好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下含有することが好ましい。
一方、毛髪化粧料の保持性の観点から、繊維構造体5は、少なくとも表面側が、セルロース系繊維を60質量%超含むことが好ましく、より好ましくは65質量%以上含む。また、毛髪化粧料の経時安定性を向上させる観点から、繊維構造体5は、少なくとも表面側が、セルロース系繊維を好ましくは90質量%以下含むことが好ましく、より好ましくは80質量%以下含む。毛髪化粧料の保持性及び経時安定性の効果を両立させる点から、繊維構造体5は、少なくとも表面側が、セルロース系繊維を好ましくは60質量%超90質量%以下、より好ましくは65質量%以上80質量%以下含んでいる。
【0028】
繊維構造体5は図4(a)に示すように、単層の繊維シートから構成されていても良いが、図4(b)及び(c)に示すように複数の層が積層された構造を有していることが好ましい。積層構造にすることで、毛髪化粧料の含浸保持性がより良好になるからである。
積層構造とは、複数の繊維シートが積層している他、1枚の繊維シートが1回以上折り畳まれて多層となっている状態も含む。積層構造を有する場合、同じ繊維構成の層を複数積層してもよいし、それぞれ異なる繊維構成の層を複数積層してもよい。
また、繊維構造体5が積層構造を有する場合、層を形成するシートの数は制限されないが、好ましくは1枚以上、より好ましくは3枚以上、また好ましくは15枚以下、より好ましくは10枚以下である。
【0029】
繊維構造体5は、図4(b)に示すように、毛髪に接触する面を構成する表面層を含む塗布層51と、該塗布層51よりも液不透過性シート3側に配置された下層52とを含む積層構造を有していることが好ましい。毛髪処理具1で毛髪を処理中、毛髪への毛髪化粧料の塗布量を十分に保ちつつ、毛髪化粧料を毛髪により均一に塗布することができ、顔料が毛髪上で均一かつ十分な発色をする程度に効果的に転写されるからである。特に後述するように毛髪化粧料が有機溶媒を比較的多量に含み、液粘度が比較的低い場合には毛髪化粧料の保持及び排液のバランスの点からより好ましい。ここで、塗布層51と下層52とは、毛髪化粧料の含浸率が異なる点で両者は区別される。ここで含浸率とは、塗布層51又は下層52の含浸前の質量に対する、含浸後の質量の割合(百分率、%)である。例えば、繊維構造体5は、塗布層51よりも下層52の方が前記含浸率が高い場合と、塗布層51よりも下層52の方が前記含浸率が低い場合とがある。
毛髪化粧料の含浸率は、例えば、各層の全構成繊維中のセルロース系繊維の含有割合で調整することができる。この場合、塗布層51の全構成繊維中のセルロース系繊維の含有割合と、下層52の全構成繊維中のセルロース系繊維の含有割合とは相互に異なる。
【0030】
毛髪化粧料をより均一に塗布し、且つ毛髪化粧料による発色を向上させる観点から、塗布層51よりも下層52における毛髪化粧料の含浸率が高い不織布を用いることが好ましい。斯かる構成とするには、例えば、塗布層51の全構成繊維中のセルロース系繊維の含有割合を、下層52の全構成繊維中のセルロース系繊維の含有割合より低くすることが挙げられる。この場合、下層52におけるセルロース系繊維の含有割合は、該下層52の全構成繊維の質量に対して、好ましくは60質量%以上、また好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下であり、また好ましくは60質量%以上95質量%以下、より好ましくは60質量%以上90質量%以下である。
【0031】
一方、毛髪化粧料の繊維構造体における経時安定性を向上させる観点から、下層52よりも塗布層51の方に含浸率が高い不織布を用いることが好ましい。斯かる構成とするには、例えば、下層52よりも塗布層51の全構成繊維中のセルロース系繊維の含有割合を、下層52の全構成繊維中のセルロース系繊維の含有割合より高くすることが挙げられる。この場合、塗布層51におけるセルロース系繊維の含有割合は、該塗布層51の全構成繊維の質量に対して、好ましくは60質量%以上、より好ましくは60質量%超であり、また好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下であり、また好ましくは60質量%以上95質量%以下、より好ましくは60質量%超95質量%以下、さらに好ましくは60質量%以上90質量%以下である。
尚、本発明において、経時安定性とは、以下のことを意味する;毛髪化粧料が保持された繊維構造体を包装体に密封してから、開封して使用するまでに時間的な差があっても、例えば密封後1週間経過した後に開封し使用しても、使用時に毛髪化粧料が適度に繊維構造体から排出され、毛髪を均一に処理できることを意味する。
【0032】
塗布層51の前記含浸率又は下層52の前記含浸率に関らず、塗布層51におけるセルロース系繊維の含有割合は、上記の繊維構造体5の表面(表面層)におけるセルロース系
繊維の含有割合と同じ範囲であることが好ましい。
【0033】
塗布層51及び下層52は、それぞれ、単層であってもよいし、複数のシートが積層した積層構造であってもよい。即ち、塗布層51及び下層52を有する繊維構造体5は、単層の塗布層51及び単層の下層52、単層の塗布層51及び積層構造の下層52、積層構造の塗布層51及び単層の下層52、並びに積層構造の塗布層51及び積層構造の下層52の何れであってもよい。塗布層51が単層である場合、塗布層51は表面層である。塗布層51が積層構造である例として、セルロース系繊維の含有割合が表面層と同じ層が複数配されているものが挙げられる。また、下層52が積層構造である例として、セルロース系繊維の含有割合が塗布層よりも高い複数の層が、塗布層よりも液不透過性シート3側に配されているものが挙げられる。塗布層51又は下層52が積層構造である場合、塗布層51及び下層52を構成するそれぞれの層におけるセルロース系繊維の含有割合は、上記の塗布層51及び下層52におけるそれぞれのセルロース系繊維の含有割合の範囲であることが好ましい。尚、塗布層51が積層構造である場合、塗布層51を構成する各層の毛髪化粧料の含浸率はそれぞれ同じである。積層構造は、例えば、セルロース系繊維の含有割合が相互に同一のシートを積層させて該積層構造を構成することにより、該積層構造の各層の毛髪化粧料の含浸率を同じにすることができる。また、下層52が積層構造である場合、下層52を構成する各層の毛髪化粧料の含浸率はそれぞれ同じである。繊維構造体5が、前記含浸率が同一である層(シート)を複数有している場合、該繊維構造体5は塗布層51のみを有し、下層52は有していない。
毛髪化粧料の含浸率は、各層を構成するセルロース系繊維の含有割合により調整することができる。
【0034】
また、毛髪化粧料の徐放性を制御し、毛髪化粧料中の顔料が発色よく均一に塗布する観点から、例えば、図4(c)に示すように下層52よりも液不透過性シート3側に下層52よりも含浸率の低い層53を有していてもよい。
【0035】
また、塗布層51の厚さd1は、下層52の厚さd2よりも小さいことが好ましい。毛髪処理具1に徐放性を付与し、毛髪化粧料を毛髪の長さ方向に亘ってより均一に塗布できるからである。
上記の効果をより確実に奏させる観点から、塗布層51の厚さd1に対する下層52の厚さd2の比(d2/d1)は、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.9以上、より好ましくは1.0以上、さらに好ましくは1.3以上であり、また好ましくは15以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは7.5以下であり、また好ましくは0.7以上15以下、より好ましくは0.9以上15以下、より好ましくは1.0以上10以下、さらに好ましくは1.3以上7.5以下である。
【0036】
同様の観点から、塗布層51の厚さd1は、好ましくは0.2mm以上、より好ましくは0.6mm以上であり、また好ましくは8mm以下、より好ましくは3mm以下であり、また好ましくは0.2mm以上8mm以下、より好ましくは0.6mm以上3mm以下である。同様の観点から、下層の厚さd2は、好ましくは0.2mm以上、より好ましくは0.4mm以上であり、また好ましくは12mm以下、より好ましくは6mm以下であり、好ましくは0.2mm以上12mm以下、より好ましくは0.4mm以上6mm以下である。
【0037】
繊維構造体5は毛髪化粧料を保持しているが、該毛髪化粧料の繊維構造体5への含浸率は好ましくは200%以上、より好ましくは250%以上であり、また好ましくは1000%以下、より好ましくは800%以下であり、好ましくは200%以上1000%以下、より好ましくは250%以上800%以下である。ここで含浸率とは、含浸前の繊維構造体5の質量に対する、含浸後の繊維構造体5の質量の割合(百分率、%)である。
【0038】
毛髪化粧料の徐放性をコントロールし、毛髪化粧料を良好な発色で均一に塗布する観点から繊維構造体5は、その片面又は両面に、凹部、凸部又はこれら両方を有していることが好ましい。例えば、繊維構造体5の片面又は両面に、凸部、凹部又はこれら両方が散点状に分散配置されたものや、繊維構造体の面内に沿って特定の一方向に延びるように多列に形成されたものが挙げられる。具体的には、複数の凸部522又は凹部523が横方向及び縦方向に並んだものや〔図7(a)、(c)〕、複数の凸部522が千鳥状に並んだもの〔図7(b)〕、一方向に連続した凸部(畝)が複数並んでいるもの〔図7(d)〕、一方向に複数の凹部が並んだ凹部列と同じく一方向に複数の凸部が並んだ凸部列が交互に並んだもの〔図7(e)〕が挙げられる。
このような構成を有する繊維構造体5としては、毛髪化粧料組成物の放出性をコントロールし、毛髪に対して薄く均一に毛髪化粧料組成物を塗布する観点から、平面視したときに、一方の面において凸部522が形成された位置と他方の面に凸部522が形成された位置とが略一致しているものが挙げられる〔図8参照〕。より具体的には、特開2014-210767号公報の図2図4に示されたシートが挙げられる。
上記の凹部及び凸部は、例えばエンボス加工、又は特開2014-108306号公報の段落〔0035〕に記載の目開き(孔部)を有するメッシュの網や、凸部を有する回転ローラに繊維構造体を押し付けることにより形成することができる。
【0039】
繊維構造体5は液不透過性シート3に固定されている。繊維構造体5は、該繊維構造体5の一部又は全てが液不透過性シート3に固定されていればよい。また、繊維構造体5がシート状である場合、繊維構造体5の全域において液不透過性シート3に固定されていても良いが、毛髪と接触する面とは反対の面の1箇所又は複数個所で、液不透過性シート3に部分的に固定されていることが好ましい。より具体的には、図1及び図3(a)に示すように、繊維構造体5が液不透過性シート3に、横方向X及びその縦方向Yに相互に離間した複数の固定部54及び55を介して固定されている。
なお本実施形態の毛髪処理具1は、図1及び図3(a)に示すように、本実施形態の繊維構造体5を平面視した際に、長辺となる辺であって互いに平行な第1辺と、短辺となる辺であって互いに平行な第2辺との関係において、第1辺と平行である横方向Xと、該横方向Xと直交する縦方向Yとを有する。
【0040】
繊維構造体5と液不透過性シート3とは、接着剤、熱融着等の公知の接合手段により固定することができる。本実施形態における毛髪処理具1には、繊維構造体5を液不透過性シート3に、ヒートシール、超音波シール、高周波シール等の、接着剤以外の手段で固定することが、毛髪化粧料中に有機溶剤を比較的多量に含む場合には、毛髪化粧料中への接着剤の混入(いわゆるコンタミ)の防止や毛髪処理具自体の保存安定性の点から、好ましい。ただし、必要に応じて接着剤を単独で使用することでき、接着剤と熱融着とを併用することもできる。
【0041】
液不透過性シート3と、繊維構造体5とは固定されているが、液不透過性シート3の片面に繊維構造体5が固定されていることが好ましい。毛髪処理具の使用者は、繊維構造体5が固定されていない面側を持って、毛髪を処理できるため、使用者の指や掌等に毛髪化粧料が付着することを防ぐことができる。
【0042】
液不透過性シート3への繊維構造体5の固定は、繊維構造体5が毛髪表面に追従しやすくなり、均一塗布性をより向上させる観点から、横方向X、及び縦方向Yに相互に離間した複数の箇所で固定されている事が好ましい。具体的には、図3(a)及び図6に示すように、繊維構造体5は、横方向Xおよび縦方向Yに相互に離間している固定部54、55を介して複数箇所で固定されている。固定部55は繊維構造体5の横方向Xに沿って複数配されており、固定部54は縦方向Yに沿って配されている。
また、毛髪に適用した時に繊維構造体5を液不透過性シート3にしっかりと固定する観点から、毛髪上でスライドさせる方向、即ち毛髪の配向方向に沿った線で固定されている部分が1ヶ所以上あることが好ましく、2ヶ所以上あることがより好ましい。具体的には、図3(a)に示すように、繊維構造体5の横方向Xの両側には、縦方向Yに長い固定部54が配されており、繊維構造体5を液不透過性シート3に線で固定している。図3(a)の繊維構造体5の縦方向Yは、毛髪の処理時に毛髪上でスライドさせる方向になる。
更に、二つ折りにして収容しやすくする観点及び、毛髪に適用しやすくする観点から、繊維構造体5の中央付近を直線状に離間して固定する事が好ましい。具体的には、図6に示すように、開封前の状態において包装体2及び繊維構造体5は横方向Xに二等分にする形で二つ折りにされており、この二つ折りにしている折曲げ部8上に固定部57が縦方向Yに複数配されている。
液不透過性シート3へ繊維構造体5を固定する各固定部54、55、57は、平面視において円形、楕円形、三角形、正方形、五角形、ハート形等の任意の形状とすることができる。また、図3(a)に示すように、固定部54、55、57の形状や大きさはそれぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0043】
液不透過性シート3は、包装体2を形成することが好ましい。具体的には、図3(a)及び(b)に示すように、包装体2は、二つ折りにした液不透過性シート3の三方をシール部6,6、及びシール部7を介して接合することで形成されている。また、繊維構造体5は、二つ折りの折りたたまれた状態で包装体2に収容されている。斯かる構成を具備することで、包装体2の開封(引き裂き)に伴い、図5(a)~(c)に示すように、包装体2に密封されていた繊維構造体5が展開した状態で露出するため、ゴミが出ず使い勝手がより良い。
液不透過性シート3は、上述した包装体2と同じシート材を用いることができる。
【0044】
このように、液不透過性シート3が包装体2を形成する毛髪処理具1について、さらに詳述する。図3に示す毛髪処理具1は、包装体2が、一面を形成しているシート12と該シート12と対向する対向シート13とで形成されている。より具体的には、包装体2は、図3(b)に示すように、その外面に、厚み方向における一方の面である第1面2a及び厚み方向における他方の面である第2面2bを有しており、第1面2aを形成しているシート12が引き裂き可能となっている。図3(b)において、2つ折りにして2枚重ねとなった液不透過性シート3により形成されている包装体2の2つの外面のうちの一方であって、ノッチ91が設けられている方の面が第1面2a、他方の面が第2面2bである。
【0045】
図3に示す毛髪処理具1は、包装体2の一面を形成するシート12を、把持片30と、該把持片30の一端が連結している本体部分40とを生じるように引き裂き可能となっている。本実施形態の毛髪処理具1は、包装体2における第1面2aを形成するシート12が、該シート12の一端部に設けられた摘み部9を始点に引き裂き方向へ引き裂かれると、図10に示すように、把持片30と本体部分40とを生じる。即ち、包装体2の一面2aを形成するシート12を引き裂くことにより、包装体2の第1面2aから把持片30が生じるとともに、包装体2の第1面2a及び第2面2bにおける把持片30以外の部分が本体部分40となる。図10に示す毛髪処理具1は、包装体2において液不透過性シート3を2つ折りにしていた折り畳み線を境に把持片30と本体部分40とを生じているが、この折り畳み線となっていた部分が、把持片30と本体部分40とを連結している連結部85に相当する。このように、包装体2を引き裂くことで毛髪処理具1を使用可能な状態(以下、開封状態ともいう)にする。
【0046】
また、本実施形態の毛髪処理具1は、把持片30と本体部分40とが連続した1枚の液不透過性シート3で形成されているが、本体部分40は把持片30の一端と連結されてい
ればよく、例えば、把持片30と本体部分40とが連続する1枚のシートから形成されておらずに、把持片30の一端に設けられた接合部を介して把持片30と本体部分40とが連結されていてもよい。毛髪処理具1の把持片30と本体部分40とが接合部を介して連結している場合、毛髪処理具1は接合部を境に把持片30と本体部分40とに分けられる。
本実施形態の毛髪処理具1は、開封前の包装体2を平面視した際に、互いに平行な短辺と、互いに平行な長辺とを有する(図3(b)参照)。開封前の包装体2において、前記短辺は横方向Xと平行であり、前記長辺は縦方向Yと平行である。本実施形態において横方向Xは、把持片30と本体部分40とが生じるように、毛髪処理具1を開封状態にするために第1面2a(液不透過性シート3)を引き裂く方向と平行である。
【0047】
本実施形態の毛髪処理具1においては、包装体2の第1面2aを形成しているシート12を、該シート12の一端縁における相互に離間した2か所のそれぞれから、該一端縁と交差する方向(横方向X)に向かって引き裂いていくことで、把持片30と本体部分40とを生じる。図10には、図3(b)に示す包装体2におけるシート12を、ノッチ91,91を有する該シートの一端縁から、連結部85となる液不透過性シート3の折り畳み線の位置まで引き裂くことによって、把持片30と本体部分40とを生じさせた状態が示されている。また、図10に、包装体2の縦方向Yの長さ(本体部分40の縦方向Yの長さに同じ)を2等分する縦方向Yの中心線CLxを示す。
【0048】
把持片30及び本体部分40は、図10に示すように、それぞれ、包装体2の内側に向けられていた内面31を有する。即ち、包装体2を引き裂くことにより、包装体2の内側に向けられていた内面31が露出する。なお、包装体2の内側に向けられていた内面31は、包装体2を引き裂き開封する前の使用前の状態において内側になっていた面を示す。
【0049】
図3(a)に示す包装体2が引き裂かれた開封状態において、繊維構造体5は、把持片30及び本体部分40における包装体2の内側に向けられていたそれぞれの内面31上に位置している。より具体的には、図10に示すように、包装体2の内側に向けられていた内面上において、把持片30側から本体部分40側に亘る1つの繊維構造体5を有している。開封状態において繊維構造体5は、把持片30の内面31上と本体部分40の内面31上とに跨って存在していてもよいし、把持片30の内面31上と本体部分40の内面31上とのそれぞれに別体の繊維構造体5が存在していてもいる即ちそれぞれの内面31に一つずつ繊維構造体5が存在していてもよい。
開封状態において繊維構造体5は、把持片30及び本体部分40のいずれか一方又は両方の内面31上に固定されていなくてもよい。より具体的には、粘性の高い毛髪化粧料を保持した繊維構造体5が、把持片30及び本体部分40それぞれの内面31に粘着することで、繊維構造体5が把持片30及び本体部分40の内面31上に位置してもよい。また、柔軟性の高い素材を用いた繊維構造体5が折り畳まれた状態で包装体2に収容されており、包装体の引き裂きに伴って把持片30及び本体部分40を生じる際、繊維構造体5が展開されて把持片30及び本体部分40の内面31上に位置してもよい。
【0050】
包装体2を引き裂くと、その内部に収容された繊維構造体5が上記のように露出する。繊維構造体5は毛髪化粧料を保持しており、繊維構造体5を毛髪に当接させるか、好ましくは毛髪を把持片30と本体部分40との間に挟んで繊維構造体5に当接させることで、繊維構造体5が保持する毛髪化粧料が毛髪に移行し、毛髪を毛髪化粧料で処理することができる。また、繊維構造体5に毛髪化粧料を保持させることで、包装体2を引き裂いた際に毛髪化粧料が毛髪処理具1の外へ不用意に漏れることや、処理者の指等に毛髪化粧料が付着することを防ぐことができる。また、毛髪処理具1を用いて毛髪に毛髪化粧料を塗布する際、処理者が塗布量を調整することをより容易にし、所望する塗布面積で処理をより効率的に行うことを可能とする。
【0051】
毛髪処理具1は、把持片30及び本体部分40を生じるように引き裂くことで開封状態になるが、図10で示すように、把持片30及び本体部分40は、縦方向Yにおける幅がそれぞれ異なる。即ち把持片30及び本体部分40は、大きさが非対称であるため、持ち易く(手で摘み易く)、後述する毛髪に毛髪化粧料を塗布する作業を容易に行える。また、毛髪処理具1は、把持片30及び本体部分40それぞれの内面に繊維構造体5が位置しているため、毛髪化粧料を塗布する作業を容易にする他、特に毛髪を包装体に挟んだ状態で塗布する作業に良好に用いることができる。さらに、毛髪処理具1は、把持片30及び本体部分40を生じるように引き裂くことで使用可能な状態(開封状態)になるため、使用時に剥離シート等の不要物(ごみ)が発生しない。このように図3に示す毛髪処理具1は使い勝手が良い。
【0052】
繊維構造体5は、把持片30上に位置する部分の全体又は一部が、把持片30の内面31に固定されていることが好ましい。包装体2を引き裂くことで、把持片30及び本体部分40の内面31と共に繊維構造体5も露出するが、繊維構造体5の一部が、把持片30の内面に固定されていることで、後述するように、包装体2を開封状態とした毛髪処理具1で、頭髪等の毛髪に毛髪化粧料を塗布する際に、繊維構造体5が落下せずに塗布作業が容易となる。また、毛髪を把持片30と本体部分40との間に挟む際にも、繊維構造体5を把持片30が支持することがより容易となり、また毛髪化粧料を毛髪に塗布する際の取扱いがより容易になる。
【0053】
同様の観点から、繊維構造体5は、本体部分40上に位置する部分の全体又は一部が、該本体部分40の内面31に固定されていることが好ましい。繊維構造体5の一部が、把持片30の内面に固定されていることで、包装体2を開封状態とした毛髪処理具1で、頭髪等の毛髪に毛髪化粧料を塗布する際に、繊維構造体5が落下せずに塗布作業が容易であり、また、毛髪を把持片30と本体部分40との間に挟む際にも、繊維構造体5を本体部分40が支持することがより容易となる。また毛髪化粧料を毛髪に塗布する際の取扱いがより容易になる。
また、把持片30の内面31及び本体部分40の内面31の両方に固定されていることがより好ましい。両方の内面31に固定されていることで、繊維構造体5同士で毛髪を挟むことができ、毛髪を挟んだ状態で繊維構造体5を移動しながら処理する場合には処理作業をより効率的に行うことができる。また、毛髪の表面に毛髪化粧料をより均一に塗布することができる。さらに、把持片30の内面31上と本体部分40の内面31上とのそれぞれに別体の繊維構造体5が存在している包装体を用いて毛髪を処理する際も、把持片30及び本体部分40において繊維構造体5を支持することがより容易となる。
【0054】
なお、繊維構造体5が、把持片30の内面31上に位置する(又は本体部分40の内面31上に位置する)という表現には、該内面31に固定されている場合のほか、該内面31に接した状態で存在する場合、開封状態の毛髪処理具1を、繊維構造体5が存在する側を鉛直上方に向けて水平面上におき、把持片30と本体部分40とを一平面状に拡げた水平展開状態において、繊維構造体5が、把持片30(又は本体部分40)の内面の鉛直上方に位置する場合が含まれる。ただし、把持片30の内面に固定されているか、水平展開状態においても、把持片30の内面に接触していることが好ましい。また、本体部分40の内面に固定されているか、水平展開状態においても、本体部分40の内面に接触していることが好ましい。
【0055】
本実施形態において、把持片30の内面31に繊維構造体5の一部が第1固定部55及び第2固定部54を介して固定されている(図10参照)。図10に示すように、繊維構造体5と把持片30の内面31との間、及び繊維構造体5と本体部分40の内面31との間が、第1固定部55及び第2固定部54を介して相互に接合されている。第1固定部5
5は、繊維構造体5の縦方向Yの両端側のそれぞれにおいて、横方向Xに相互に離間した4箇所に形成されている。また、第2固定部54は、繊維構造体5の横方向Xの両端側のそれぞれにおいて、縦方向Yに延びて形成されている。
繊維構造体5と把持片30の内面31との間は、箇所又は複数個所で部分的に接合されているのに代えて、把持片30の全域において接合されていても良く、また繊維構造体5と本体部分40の内面31との間は、1箇所又は複数個所で部分的に接合されているのに代えて、本体部分40の全域において接合されていても良い。
【0056】
毛髪処理をおこないやすくする観点から、毛髪処理具1は、図3に示すように、二つ折りした液不透過性シート3の内側面に、繊維構造体5が向かい合うように配置されていることが好ましい。より具体的には、毛髪処理具で毛髪を挟んだ際に、繊維構造体5の毛髪に接触する面どうしが向かい合うように、繊維構造体5が、液不透過性シート3を二つ折りにする折り曲げ部8に跨った状態で配置されていることが好ましい。
斯かる構成について詳述すると、繊維構造体5は、本体部分40上に位置する部分と把持片30上に位置する部分とが連続しており、これら両部分間に位置する折り曲げ部8が、把持片30と本体部分40との連結部側に位置するように折り畳まれた状態で包装体2に収容されていることが好ましい。より具体的には、図10に示すように、繊維構造体5は、開封状態において該繊維構造体5の本体部分40上に位置する部分と把持片30上に位置する部分とが連続した1枚のシートである。また、繊維構造体5は、図10に示すように、本体部分40上に位置する部分と把持片30上に位置する部分との両部分間に折り曲げ部8を有している。この繊維構造体5は、包装体2の開封前の状態において、折り曲げ部8が本体部分40と把持片30との連結部85(折り畳み線)側に位置するように、該繊維構造体5が折り畳まれた状態で包装体2に収容されている(図示しない)。包装体2の開封前の状態における繊維構造体5は、繊維構造体5が本体部分40と把持片30の連結部85を境にした2つ折りにされて畳まれていてもよく、3つ折り等複数回に折られて畳まれていてもよい。折り畳まれて収容された繊維構造体5は、開封状態において把持片30及び前記本体部分40におけるそれぞれの内面上に広がって配置されることが好ましい。
【0057】
毛髪化粧料を毛髪に塗布する作業がより容易となる観点から、繊維構造体5の面積は、好ましくは4cm以上、より好ましくは6cm以上であり、また好ましくは250cm以下、より好ましくは200cm以下であり、また好ましくは4cm以上250cm以下、より好ましくは6cm以上200cm以下である。
【0058】
繊維構造体5は、本体部分40に位置している部分と把持片30に位置している部分とが同等の面積であることが好ましい。繊維構造体5において、把持片30に位置している部分の面積S5と、本体部分40に位置している部分の面積S6が同等であることで、毛髪(毛髪)に毛髪化粧料をより十分な量で、より均一に塗布することが可能となる。繊維構造体5における把持片30に位置している部分の面積S5と、本体部分40に位置している部分の面積S6はそれぞれ、好ましくは2cm以上、より好ましくは3cm以上であり、また好ましくは125cm以下、より好ましくは100cm以下であり、また好ましくは2cm以上125cm以下、より好ましくは3cm以上100cm以下である。本体部分40に位置している部分と把持片30に位置している部分とが同等の面積であるの「同等」とは、把持片30に位置している部分の面積S5が、本体部分40に位置している部分の面積S6の80%以上120%以下であることを意味し、該割合は90%以上110%以下であることがより好ましい。
【0059】
繊維構造体5は毛髪化粧料を保持しているが、その保持方法は、毛髪化粧料の性状に応じて、繊維構造体5に毛髪化粧料を保持させることができる任意の方法を用いることができる。例えば毛髪化粧料が液体である場合、繊維構造体5を毛髪化粧料に含浸させること
で、繊維構造体5に毛髪化粧料を保持することができる。
【0060】
図3に示す毛髪処理具1は、後述するように、把持片30及び本体部分40との間に毛髪(以下、毛髪ともいう)を挟んで、該毛髪に毛髪化粧料を塗布可能である。具体的には、本実施形態における毛髪処理具1による処理は、把持片30及び本体部分40との間に毛髪を挟み、毛髪に、把持片30及び本体部分40に支持された繊維構造体5を当接させ、繊維構造体5が保持した毛髪化粧料を毛髪へ移行させることにより行うことができる。このように、毛髪を把持片30及び本体部分40との間、より具体的には毛髪を繊維構造体5で挟むことにより毛髪を毛髪化粧料で処理することができるため、図3に示す毛髪処理具1による処理操作は非常に容易である。また、毛髪を挟んだ状態で毛髪処理具1を縦方向Yにスライドさせることにより、毛髪の表面に毛髪化粧料を均一に塗布することができる。さらに、毛髪処理具1による処理の際、毛髪化粧料が処理者の指等の肌に触れることを防ぐことができる。
【0061】
処理者が、繊維構造体5への毛髪の当接をより把握しやすい観点から、横方向Xに沿う液不透過性シート3の長さ(L2b+L2a)に対する、横方向Xに沿う繊維構造体5の長さ(L2d+L2c)は、好ましくは25%以上であり、より好ましくは30%以上であり、また好ましくは97%以下であり、より好ましくは80%以下であり、また好ましくは25%以上97%以下であり、より好ましくは30%以上80%以下である。
【0062】
毛髪により均一に毛髪化粧料を塗布することができる観点から、横方向Xに沿う本体部分40の長さ(L2b)に対する、横方向Xに沿う把持片30の長さ(L2a)は、好ましくは50%以上であり、より好ましくは60%以上であり、一層好ましくは75%以上であり、また好ましくは200%以下であり、より好ましくは180%以下であり、一層好ましくは150%以下であり、また好ましくは50%以上200%以下であり、より好ましくは60%以上180%以下であり、一層好ましくは75%以上150%以下である。
【0063】
毛髪に毛髪化粧料を移行させる作業がより容易となる観点から、横方向Xに沿う本体部分40における繊維構造体5の長さ(L2d)に対する、横方向Xに沿う把持片30における繊維構造体5の長さ(L2c)は、好ましくは75%以上であり、より好ましくは80%以上であり、また好ましくは130%以下であり、より好ましくは120%以下であり、また好ましくは75%以上130%以下であり、より好ましくは80%以上120%以下である。より均一に毛髪化粧料を塗布することができる観点から、横方向Xに沿う本体部分40における繊維構造体5の長さ(L2d)と把持片30における繊維構造体5の長さ(L2c)とは、同等であることが一層好ましく、同一であることがさらに一層好ましい。
【0064】
処理者が、繊維構造体5への毛髪の当接をより把握しやすい観点から、横方向Xに沿う本体部分40の長さ(L2b)に対する、横方向Xに沿う本体部分40における繊維構造体5の長さ(L2d)は、好ましくは25%以上であり、より好ましくは30%以上であり、また好ましくは97%以下であり、より好ましくは80%以下であり、また好ましくは25%以上97%以下であり、より好ましくは30%以上80%以下である。
【0065】
処理者が、繊維構造体5への毛髪の当接をより把握しやすい観点から、横方向Xに沿う把持片30の長さ(L2a)に対する、横方向Xに沿う把持片30における繊維構造体5の長さ(L2c)は、好ましくは25%以上であり、より好ましくは30%以上であり、また好ましくは97%以下であり、より好ましくは80%以下であり、また好ましくは25%以上99%以下であり、より好ましくは30%以上80%以下である。
【0066】
つまみ部を用いた開封のし易さおよび把持片30の引き裂きの容易性の観点から、横方向Xに沿う把持片30の長さ(L2a)に対する、横方向Xに沿う摘み部9の長さ(L4c)は、好ましくは1%以上であり、より好ましくは2%以上であり、一層好ましくは5%以上であり、また好ましくは30%以下であり、より好ましくは25%以下であり、一層好ましくは20%以下であり、また好ましくは1%以上30%以下であり、より好ましくは2%以上25%以下であり、一層好ましくは5%以上20%以下である。横方向Xに沿う摘み部9の長さL4cは、把持片30の横方向Xにおける引き裂き開始側の端部から、開封シール部7の引き裂き開始側の端部までの長さである(図10参照)。
【0067】
包装体2の密閉性、および開封時の開封し易さの観点から、横方向Xに沿う本体部分40又は把持片30の長さ(L2b又はL2a)に対する、横方向Xに沿う開封シール部7の長さ(L4b)は、好ましくは1%以上であり、より好ましくは2%以上であり、一層好ましくは5%以上であり、また好ましくは30%以下であり、より好ましくは25%以下であり、一層好ましくは20%以下であり、また好ましくは1%以上30%以下であり、より好ましくは2%以上25%以下であり、一層好ましくは5%以上20%以下である。
処理者が、繊維構造体5への毛髪の当接をより把握し易い観点から、縦方向Yに沿う液不透過性シート3の長さ(L1b)に対する、縦方向Yに沿う繊維構造体5の長さ(L1d)は、好ましくは30%以上であり、より好ましくは35%以上であり、一層好ましくは40%以上であり、また好ましくは95%以下であり、より好ましくは90%以下であり、一層好ましくは80%以下であり、また好ましくは30%以上95%以下であり、より好ましくは35%以上90%以下であり、一層好ましくは40%以上80%以下である。なお、縦方向Yに沿う液不透過性シート3の長さは、縦方向Yに沿う本体部分40の長さと同一である。
【0068】
処理者が、繊維構造体5への毛髪の当接をより把握し易い観点から、縦方向Yに沿う本体部分40の長さ(L1b)に対する、縦方向Yに沿う把持片30の長さ(L3)は、好ましくは35%以上であり、より好ましくは40%以上であり、一層好ましくは50%以上であり、また好ましくは98%以下であり、より好ましくは90%以下であり、一層好ましくは80%以下であり、また好ましくは35%以上98%以下であり、より好ましくは40%以上90%以下であり、一層好ましくは50%以上80%以下である。なお、縦方向Yに沿う本体部分40の長さと、縦方向Yに沿う液不透過性シート3の長さと同一である。
【0069】
毛髪処理具1を扱う処理者の肌等に毛髪化粧料が付着することをより防止することができる観点から、縦方向Yに沿う把持片30の長さ(L3)に対する、縦方向Yに沿う繊維構造体5の長さ(L1d)は、好ましくは50%以上であり、より好ましくは55%以上であり、一層好ましくは60%以上であり、また好ましくは99%以下であり、より好ましくは90%以下であり、一層好ましくは85%以下であり、また好ましくは50%以上99%以下であり、より好ましくは55%以上90%以下であり、一層好ましくは60%以上85%以下である。
【0070】
包装体2の密閉性、および開封時の開封し易さの観点から、縦方向Yに沿う液不透過性シート3の長さ(L1b)に対する、縦方向Yに沿う固定シール部6の長さ(L5a)は、好ましくは1%以上であり、より好ましくは2%以上であり、また好ましくは15%以下であり、より好ましくは10%以下であり、また好ましくは1%以上15%以下であり、より好ましくは2%以上10%以下である。なお、縦方向Yに沿う液不透過性シート3の長さは、縦方向Yに沿う本体部分40の長さと同一である。
【0071】
処理者が、繊維構造体5への毛髪の当接をより把握し易い観点から、液不透過性シート
3の縦方向Yの中心線CLxに対し、繊維構造体5は均等に跨るように配置するのが好ましいが、縦方向Yに沿って偏倚して配置させてもよい。液不透過性シート3の縦方向Yの中心線CLxからの繊維構造体5の縦方向Yに沿う一方の長さ(L5e)は、他方の長さ(L5f)に対して、好ましくは70%以上であり、より好ましくは75%以上であり、一層好ましくは80%以上であり、また好ましくは140%以下であり、より好ましくは130%以下であり、一層好ましくは120%以下であり、また好ましくは70%以上140%以下であり、より好ましくは75%以上130%以下であり、一層好ましくは80%以上120%以下である。ここで、液不透過性シート3の縦方向Yの中心線CLxからの繊維構造体5の縦方向Yに沿う一方の長さ(L5e)とは、図10に示すように、開封状態において、把持片30が右に、本体部分40が左になるように毛髪処理具1を置いた際に、縦方向Yにおける中心線CLxに対して上側の繊維構造体5の長さであり、繊維構造体5の縦方向Yに沿う他方の長さ(L5f)とは、縦方向Yにおける中心線CLxに対して下側の繊維構造体5の長さである。
【0072】
処理者が、繊維構造体5への毛髪の当接をより把握し易い観点から、液不透過性シート3の縦方向Yの中心線CLxからの把持片30の縦方向Yに沿う一方の長さ(L5c)に対する、該把持片30と同中心線CLxに対して同じ側に位置する繊維構造体5の縦方向Yに沿う長さ(L5e)は、好ましくは25%以上であり、より好ましくは30%以上であり、一層好ましくは40%以上であり、また好ましくは99%以下であり、より好ましくは90%以下であり、一層好ましくは85%であり、また好ましくは25%以上99%以下であり、より好ましくは30%以上90%以下であり、一層好ましくは40%以上85%以下である。
同様の観点から、液不透過性シート3の縦方向Yの中心線CLxからの把持片30の縦方向Yに沿う他方の長さ(L5d)に対する、該把持片30と同中心線CLxに対して同じ側に位置する繊維構造体5の縦方向Yに沿う長さ(L5f)は、好ましくは25%以上であり、より好ましくは30%以上であり、一層好ましくは40%以上であり、また好ましくは99%以下であり、より好ましくは90%以下であり、一層好ましくは85%であり、また好ましくは25%以上99%以下であり、より好ましくは30%以上90%以下であり、一層好ましくは40%以上85%以下である。
【0073】
毛髪に毛髪化粧料を移行させる作業がより容易となる観点から、横方向Xに沿う液不透過性シート3の長さ(L2b+L2a)に対し、縦方向Yに沿う液不透過性シート3の長さ(L1b)は、好ましくは10%以上であり、より好ましくは20%以上であり、一層好ましくは25%以上であり、また好ましくは1000%以下であり、より好ましくは500%以下であり、一層好ましくは400%であり、また好ましくは10%以上1000%以下であり、より好ましくは20%以上500%以下であり、一層好ましくは25%以上400%以下である。
【0074】
毛髪に毛髪化粧料を移行させる作業がより容易となる観点から、横方向Xに沿う繊維構造体5の長さ(L2d+L2c)に対し、縦方向Yに沿う繊維構造体5の長さ(L1d)は、好ましくは10%以上であり、より好ましくは20%以上であり、一層好ましくは25%以上であり、また好ましくは1000%以下であり、より好ましくは500%以下であり、一層好ましくは400%であり、また好ましくは10%以上1000%以下であり、より好ましくは20%以上500%以下であり、一層好ましくは25%以上400%以下である。
【0075】
上述した各部の好ましい寸法や、寸法に基づく比等は、図10に示す開封状態、好ましくは前述した水平展開状態において測定した値又は該値に基づき算出する。
【0076】
毛髪処理具1における液不透過性シート3は、前述したように、引き裂き方向(横方向
X)に引き裂き直進性を有することが好ましい。引き裂き方向に引裂き直進性を有することで、毛髪処理具1の引き裂き(開封)がより容易となる他、開封時に液不透過性シート3と共に繊維構造体5を引き裂くことを防止することができる。引き裂き直進性とは、特定の方向に直線状に引き裂かれ易い性質や構造を有することを意味する。引き裂き直進性を有するシートとしては、例えば、ハーフカット等の厚み方向に貫通しない切断線を特定の方向に沿って直線状に設けたものや、延伸により特定方向に避けやすいように高分子を配向させたフィルム材等が挙げられる。
より具体的には、図3(b)に示すように、液不透過性シート3は、液不透過性シート3の引き裂きを開始する開封開始部に、摘み部9の両端に引き裂き方向に切れ込んだノッチ91,91を有している。また、開封開始部の位置を明確に示し、処理者が引き裂きを円滑に行えるよう、包装体2に開封開始部を始点とする引き裂き方向に沿った直線を印刷してもよい。その他、把持片30の位置に応じて、液不透過性シート3に上記の複数の切断線を直線状やジグザグ状、曲線状に設けても良い。このように、開封開始部において引き裂きをより開始し易くする観点から、包装体2は、開封開始部においてノッチ、切れ目、印刷等、又はそれらの組み合わせを有していることが好ましい。なお、開封開始部は、本実施形態の包装体2における第1面2aの摘み部9である(図3(b)参照)。また、包装体2における開封開始部側の端部が、液不透過性シート3の引き裂きの基端であり、これに対して包装体2における引き裂きの基端と反対側の端部が、液不透過性シート3の引き裂きの終端である。
【0077】
本体部分40は、液不透過性シート3の引き裂き方向と交差する方向(縦方向Y)の片側又は両側にポケット部22を有することが好ましい。本実施形態においては、図10に示すように、包装体2の第1面2aを引き裂くことによって、縦方向Yに離間した開封縁23,23が形成される。本実施形態において開封状態の毛髪処理具1における包装体2は、この開封縁23と、縦方向Yの両側に位置する固定シール部6との間に、引き裂き方向に沿ってポケット部22,22が形成されている。ポケット部22は内部に空間を有するため、毛髪に保持されなかった毛髪化粧料をポケット部22で受けることができる。特に毛髪化粧料が液体である場合、把持片30と本体部分40とを強く押圧した際に繊維構造体5から液垂れが生じた際、液垂れをこのようにポケット部22があることにより、毛髪処理具1の外へ毛髪化粧料が垂れることをより抑制することができる。
【0078】
上記の効果をより確実に奏する観点から、ポケット部22の深さ(L5b)は、本体部分40の縦方向Yに沿う最大長さL1bに対して、好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上であり、また好ましくは20%以下、より好ましくは18%以下であり、また好ましくは1%以上20%以下、より好ましくは2%以上18%以下である。なお、ポケット部22の深さ(L5b)とは、縦方向Yにおける開封縁23から固定シール部6までの長さを意味する(図10参照)。
【0079】
ポケット部22が縦方向Yの両側にそれぞれ形成されている場合、両ポケット部22を同じ深さにしても良いし、異なる深さにしても良い。例えば、毛髪(毛髪)を毛髪処理具1で挟んだ際に、上側となるポケット部22の深さよりも、下側となるポケット部22の深さを大きくしても良い。
【0080】
図11及び図12には本実施形態における毛髪処理具1の製造方法が示されている。毛髪処理具1の製造方法として、液不透過性シート3の内面31上に繊維構造体5が重ねられ〔図11(A)〕、次いで把持片30側の内面31、又は把持片30及び本体部分40の内面31に繊維構造体5が固定される〔図3(b)〕。そして、液不透過性シート3内に繊維構造体5が配されるよう液不透過性シート3を2つに折り畳む〔図11(C)〕。次いで、折り畳まれた液不透過性シート3は、引き裂き方向(横方向X)と交差する方向Yの両側に、引き裂き方向に平行な固定シール部6が形成される〔図12(A)〕。固定
シール部6が形成された液不透過性シート3に、引き裂き方向の基端側に開封シール部7が形成され〔図12(B)〕、毛髪処理具1が得られる。なお、毛髪化粧料の保持体への保持は、開封シール部7の形成前に行われる。
液不透過性シート3へ繊維構造体5を固定する方法、並びに液不透過性シート3における固定シール部6及び開封シール部7の形成方法は、接着剤を塗布する方法やヒートシール、超音波シール、高周波シール等で融着固定する方法等、公知の手段を用いることができる。
【0081】
繊維構造体5は、液不透過性シート3の内面31に固定後、毛髪化粧料を保持させることが好ましい。毛髪化粧料として液体、粘調体(クリーム)又は粉体のものを用いることができる。繊維構造体5に毛髪化粧料を保持させる方法として、例えば、不織布等の繊維構造体5を液不透過性シート3の内面31に固定させた後、毛髪化粧料を散布等により繊維構造体5に含浸させる方法が挙げられる。繊維構造体5に毛髪化粧料を保持させるのは、固定シール部6を形成する前〔図3(b)の状態〕でもよく、固定シール部6の形成後であって開封シール部7を形成する前〔図12(A)の状態〕であってもよい。
【0082】
本実施形態の液不透過性シート3には、上記の引き裂き直進性を付与するため、摘み部9のY方向の両端部に設けられたノッチ91,91以外に、液不透過性シート3の引き裂き方向(横方向X)における両端側の中央部に、折り畳み案内部としてノッチ81,81が設けられている。ノッチ81は、液不透過性シート3を折り畳む際の折り目部分である、連結部85の縦方向Yの両端側に位置する。液不透過性シート3を、両ノッチ81間を境に2つ折りにした状態を図11(C)に示す。なお、ノッチ81は、本実施形態のように設けてもよいし、設けなくてもよい。
【0083】
図3に示す毛髪処理具1の平面視形状は、矩形に限られず、円形、楕円形、正方形等の任意の形状とすることができる。また、図3に示す毛髪処理具1は、平面視において縦長に長辺を持つ長方形であったが、横長に長辺を持つ長方形であってもよい。さらに、本実施形態の包装体2は角を丸めた矩形であったが、角を丸めていなくても良い。
【0084】
包装体2は、液不透過性シート3の引き裂き方向(横方向X)と交差する方向Yの片側又は両側に、液不透過性シート3と該液不透過性シート3と対向する対向シートとが接合されたシール部を有することが好ましい。より具体的には、図12に示すように、図11(C)で2つ折りにした液不透過性シート3には、包装体の第1面2aを形成するシートと、該シートと対向し第2面2bを形成するシートとを接合する固定シール部6が形成される。図12(A)に示すように、包装体2の第1面2aを形成するシート及び第2面2bを形成するシートそれぞれの内面において、液不透過性シート3の引き裂き方向と交差する方向Yの両側に、引き裂き方向に平行な固定シール部6が形成される。こうして形成された包装体2の固定シール部6は、縦方向Yの両側において、2つに折りに畳まれて、2枚重ねとなった液不透過性シート3どうしを接合している。
【0085】
包装体2は、液不透過性シート3の引き裂き方向(横方向X)における中央位置より基端側に、液不透過性シート3と該シートと対向する対向シートとが接合された開封シール部7を有することが好ましい。より具体的には、図12(A)において固定シール部が形成された液不透過性シート3に、引き裂き方向の基端側に開封シール部7が形成される〔図12(B)参照〕。このように、固定シール部6,6と開封シール部7とで液不透過性シート3と対向シートとを接合することにより、繊維構造体5を密閉状態で収容することができるため、毛髪化粧料の保存性をより向上させることができる。また、繊維構造体5を密閉状態で収容するため、毛髪化粧料が漏出して汚れることを防止することができる他、携帯性がより高まり、外出先等の様々な場面での利便性が良好になる。
また、包装体2の引き裂き作業をより容易にする観点から、固定シール部6は開封シー
ル部7よりもシール強度が強いことが好ましい。
【0086】
また、開封シール部7は、引き裂き開始端部、即ち引き裂き方向(横方向X)の基端側の端部よりも引き裂き方向の終端側に位置していることが好ましい。図12に示すように、開封シール部7は包装体2の引き裂きを開始する端部側から間隔を空けて位置することが好ましい。後述する図5に示すように、液不透過性シート3を縦方向Yに沿って両開きにしやすいようにして、摘み部9を設けるためである。つまり、図5に示すように、包装体2は、引き裂きを開始する摘み部9において、2枚重ねとなった液不透過性シート3どうしが接合されておらず、これら両シート3を縦方向Yに沿って両開きにすることができる。引き裂き作業をより容易とするためである。
【0087】
液不透過性シート3の引き裂き位置が、引き裂き方向(横方向X)と交差する方向Yにおいて、シート12と該シート12と対向する対向シート13とが接合されたシール部(本実施形態の固定シール部6,6)より中央側に位置していることが好ましい。包装体2の引き裂き作業がより容易となる他、包装体2の第1面2aと共に繊維構造体5を引き裂くことをより防止するためである。本実施形態における液不透過性シート3の引き裂き位置は、図10の縦方向Yにおけるノッチ91間の領域及び開封縁23間の領域である。
【0088】
毛髪処理具1は、把持片30及び本体部分40が生じるように包装体2(液不透過性シート3)を引き裂く際に、引き裂き方向と交差する方向Yに沿って、液不透過性シート3どうしを接合しているシール部(本実施形態の開封シール部7)におけるシート間が剥離することが好ましい。引き裂き作業をより容易とするためである。一方、同様の観点から、固定シール部6,6は共に、液不透過性シート3の第1面2aと第2面2bとを剥離不可能に接合していることが好ましい。即ち、引き裂き方向に沿って、液不透過性シート3どうしを接合している固定シール部6,6は、液不透過性シート3どうしを剥離不可能に接合していることが好ましい。
図12において、固定シール部6,6の次に開封シール部7が形成されているが、開封シール部7が先に形成されてもよい。固定シール部6及び開封シール部7の形成には、超音波シール、ヒートシール、高周波シール、接着剤等の公知の接合手段が用いられる。
【0089】
図5は、毛髪処理具1を引き裂いて開封する過程を示している。図3に示す毛髪処理具1は、図5(A)に示すように、摘み部9において液不透過性シート3を両開きにできる。また、摘み部9の、縦方向Yにおける両端部にはノッチ91,91が形成されていることが好ましい。引き裂き方向に直進性を付与するためである。
次に、包装体2の第1面2aを形成する液不透過性シート3を、摘み部9から引き裂きを開始し、引き裂き方向(横方向X)に引き裂いていく〔図5(B)〕。この引き裂きに伴い、開封シール部7が剥離される。
そして、第1面2aの液不透過性シート3を完全に引き裂くことで、繊維構造体5の毛髪(毛髪)と当接する側の内面31と繊維構造体5とが露出する〔図5(C)〕。
【0090】
本発明の毛髪処理具で処理する毛髪は、好ましくは頭髪等の毛髪である。本発明に係る毛髪処理具の毛髪化粧料は顔料を含有する。
顔料を均一に毛髪に載せ、均一かつ良好な発色を実現するのは従来の毛染め具等では実現するのが難しかったが、本願発明の毛髪処理具であれば、毛髪化粧料中に顔料を含んでいる場合であっても、均一かつ良好な発色により毛髪を染毛することができる。
【0091】
毛髪化粧料中に含まれる顔料としては、その形状(球状、針状、板状等)や粒子径、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず、いずれのものも使用することができ、例えば無機顔料、有機顔料、パール顔料、金属粉末顔料、光輝性粉体等が挙げられる。
【0092】
無機顔料としては、具体的には、カーボンブラック、黒酸化鉄、黒酸化チタン等の無機黒色系顔料;酸化鉄(べんがら)、水酸化鉄、チタン酸鉄等の無機赤色系顔料;γ-酸化鉄等の無機褐色系顔料;黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料;群青、紺青等の無機青色系顔料;マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色系顔料;酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料;酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム等の無機白色系顔料等が挙げられる。これらのうち、カーボンブラック、黒酸化鉄、黒酸化チタン、酸化鉄(べんがら)、黄酸化鉄、群青、紺青が好ましい。
【0093】
有機顔料としては、赤色201号、赤色202号、赤色203号、赤色204号、赤色205号、赤色206号、赤色207号、赤色208号、赤色219号、赤色220号、赤色221号、赤色228号、赤色404号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、橙色401号、黄色205号、黄色401号、青色404号等が挙げられ、このうち、赤色202号、赤色404号、黄色205号、黄色401号、青色404号が好ましい。
【0094】
パール顔料としては、パール粉末、オキシ塩化ビスマス、雲母、金属酸化物被覆雲母(例えば、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、黒酸化鉄被覆雲母、黒酸化鉄被覆雲母チタン、黄酸化鉄被覆雲母、酸化鉄・黒酸化鉄被覆雲母チタン、紺青被覆雲母チタン、酸化鉄・紺青被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン等)、金属酸化物被覆アルミナフレーク、金属酸化物被覆シリカフレーク、多層コートパール顔料(例えば、TiO2-SiO2-TiO2-Mica等)等が挙げられる。
【0095】
金属粉末顔料としては、金粉、銀粉、銅粉、アルミニウム粉、真鍮粉等が挙げられる。
光輝性粉体としては、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層体、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム体等が挙げられる。
【0096】
毛髪化粧料は溶媒を含む。溶媒としては特に制限は無く、水、毛髪化粧料中に含有する事が許容されている有機溶媒が挙げられる。
【0097】
毛髪化粧料は、毛髪の処理を所望しない部分や手や衣類への付着による不都合の発生、例えば、色移りを防止する観点から、水の含有割合が10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。水の含有割合の更に好ましい範囲の下限はゼロ(0)質量%である。水は、イオン交換水、蒸留水、超純水等の他、水道水でも良い。
【0098】
斯かる効果は、塗布後に乾きやすい非水系の毛髪化粧料を用いた場合に、一層顕著に奏される。毛髪化粧料は、沸点が50℃以上260℃以下である有機溶剤を70質量%以上含むことが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。また、水の含有割合が10質量%以下であることが好ましい。
沸点が50℃以上260℃以下である有機溶剤としては、エタノール、プロパノール、プロパノール、イソプロパノール、tert-ブチルアルコール、1,3-ブチレンアルコール、ジプロピレングリコール、イソドデカン、水添ポリイソブテンが好ましく、エタノール、イソプロパノールが好ましく、エタノールが更に好ましい。
有機溶剤の沸点は、常圧条件(101.3kPa)で測定される。
【0099】
黒髪も金髪も元の髪色に関わらず良好な発色で着色し、かつ耐水性に優れ、さらに顔や衣服等に二次付着なく色が維持される観点から、毛髪化粧料は顔料及び被膜形成樹脂を含む。被膜形成樹脂を含むことにより、本発明に係る毛髪化粧料で着色した毛髪は所望の形状に形付をしやすくすることができる。また、本発明に係る顔料および被膜形成樹脂を含む毛髪化粧料で着色した毛髪の色は、シャンプー等の洗浄により簡単に落とすことができ
る。
被膜形成樹脂は、毛髪の表面に付与されることで、毛髪の表面に被膜を形成し得るものである。形成される被膜の引っかき硬度(鉛筆法)好ましくは3Hより軟らかく、より好ましくは2Hより軟らかく、更に好ましくはHより軟らかい。具体的には、引っかき硬度(鉛筆法)が好ましくは6B~3H、より好ましくは6B~H以下、更に好ましくは6B~Hである。引っかき硬度(鉛筆法)がこの範囲となる被膜を形成し得る樹脂を用いることで、毛髪を所望のスタイルに容易に整髪することができる。引っかき硬度(鉛筆法)を測定するための被膜は、被膜形成樹脂の10質量%エタノール溶液をPETフィルム上に3cm×4cmの範囲に2g塗布して、25℃、相対湿度50%の条件で、24時間以上乾燥させることにより調製する。
【0100】
被膜形成樹脂として、下記の陽イオン性樹脂、陰イオン性樹脂、非イオン性樹脂及び両性樹脂が挙げられる。
本発明で用いることのできる陽イオン性樹脂としては、例えばビニルピロリドン・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体ジエチル硫酸塩(H・CポリマーIS(M)、H・Cポリマー2等(大阪有機化学工業社))、ビニルピロリドン・ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド・ラウリルジメチルアミノプロピルメタクリルアミド共重合体(スタイラーゼW-20(ISP社))、ポリ塩化ジメチルメチレンペピリジニウム(マーコート100(ナルコ社))、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体(マーコート550(ナルコ社))、ビニルピロリドン・N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩(ガフカット734(ISP社))、ビニルピロリドン・ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(ガフカット440(ISP社))、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体(ソフケア KG-101W-E、ソフケア KG-301P等(花王社))、アンモニウム変性ヒドロキシエチルセルロース(ソフトキャット SL-30 ポリマー(花王社))、N-プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体(エラストマーOS(花王社))、(ビニルアミン/ビニルアルコール)コポリマー(ダイヤフィックスC-601(三菱化学社))、ポリクオタニウム-28(ガフカット HS-100(Ashland社))、ポリクオタニウム-55(スタイリーゼW-20(Ashland社))、(ビニルピロリドン/アクリル酸DMAPA)コポリマー(スタイリーゼCC-10(Ashland社))等が挙げられる。これらのうち、使用時に手や指のべたつきを更に低減し、使用後の毛髪へしっとり感及び柔らかさ、滑らかさを更に向上させる観点から、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、ビニルピロリドン・N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体、及びアンモニウム変性ヒドロキシエチルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、N-プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体を用いることがより好ましい。
【0101】
陰イオン性樹脂としては、例えば、メタクリル酸・アクリル酸1,1-ジメチルエチル・アクリル酸エチル共重合体(ルビマー100P、ルビマー30E(BASF社))、アクリル酸アルキル・オクチルアクリルアミド共重合体(アンフォマーV-42(アクゾノーベル社))、アクリル酸アルキル・ジアセトンアクリルアミド共重合体(プラスサイズL-9540B、プラスサイズL-53P、プラスサイズL-9909B等(互応化学工業社))、アクリル酸アルキル・オクチルアクリルアミド共重合体(Dermacryl
79(アクゾノーベル社))、酢酸ビニル・クロトン酸・ネオデカン酸ビニル共重合体(RESYN 28-2930(アクゾノーベル社))、アクリル酸・アクリル酸アミド・アクリル酸エチル共重合体(ウルトラホールド8、ウルトラホールドStrong(BASF社))、アクリル酸アルキル共重合体(アニセットNF-1000、アニセットH
S-300等(大阪有機化学工業社))、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール-25・ジメチコン・アクリレーツ共重合体(ルビフレックスSILK(BASF社))、イソホロンジイソシアネート・ジメチロールプロピオン酸・(ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン)4,4’-イソプロピリデンジフェノール共重合体(DynamX(アクゾノーベル社))、ポリアクリレート22(ルビセットシェイプ(BASF社))、ビニルメチルエーテル・マレイン酸アルキル共重合体(ガントレッツA-425、ガントレッツES-225L、ガントレッツES-425L等(ISP社))、(クロトン酸/ビニル(8-12)イソアルキルエステルズ/VA/ビスビニルジメチコン)クロスポリマー(BELSIL P1101(旭化成ワッカー))、(アクリル酸アルキル)ジメチコンコポリマー(KP545(信越化学社))等が挙げられる。着色後の毛髪の感触と塗布時の使用感を向上させる観点から、また高い整髪性を付与する観点から、アクリル酸アルキル・ジアセトンアクリルアミド共重合体、酢酸ビニル・クロトン酸・ネオデカン酸ビニル共重合体、イソホロンジイソシアネート・ジメチロールプロピオン酸・(ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン)4,4’-イソプロピリデンジフェノール共重合体、ビニルメチルエーテル・マレイン酸アルキル共重合体、(クロトン酸/ビニル(8-12)イソアルキルエステルズ/VA/ビスビニルジメチコン)クロスポリマー、及び(アクリル酸アルキル)ジメチコンコポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0102】
非イオン性樹脂としては、例えばポリビニルピロリドン(ルビスコールK17、ルビスコールK30、ルビスコールK90(BASF社))、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体(ルビスコールVA73E、ルビスコール37E(BASF社))、ビニルメチルエーテル・マレイン酸アルキル共重合体(ガントレッツA-425、ガントレッツES-225等(ISP社)、ビニルピロリドン・メタクリルアミド・ビニルイミダゾール共重合体(ルビセットクリア(BASF社)、ポリビニルカプロラクタム(ルビスコールプラス(BASF社))、ポリシリコーン-28、特開2015-13842号公報記載のアクリレーツ/メトキシPEG-23メタクリレートコポリマー、ポリシリコーン13、PEG-12ジメチコン等が挙げられる。これらのうち、使用時に毛髪とシートの間の高い滑り性を付与し、乾燥後の毛髪にハリやコシを付与する観点から、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体、ビニルメチルエーテル・マレイン酸アルキル共重合体、ポリシリコーン-28、特開2015-13842号公報記載のアクリレーツ/メトキシPEG-23メタクリレートコポリマー、ポリシリコーン13、及びPEG-12ジメチコンからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0103】
両性樹脂としては、例えばアクリレーツ・アクリル酸ラウリル・アクリル酸ステアリル・メタクリル酸エチルアミンオキシド共重合体(ダイヤフォーマーZ651、ダイヤフォーマーZ712(三菱化学社))、メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体(ユカフォーマーM75、ユカフォーマーR205等(三菱化学社)、RAMレジン(大阪有機化学社))、オクチルアクリルアミド・アクリル酸ヒドロキシプロピル・メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体(アンフォーマー28-4910、アンフォマーSH-701、アンフォマーLV-78、アンフォマーLV-47(アクゾノーベル社))、アクリル酸オクチルアミド・アクリル酸ヒドロキシプロピル・メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体(アンフォーマーSH30(アクゾノーベル社))、(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー(ダイヤフォーマー Z-732(三菱化学社))等が挙げられる。これらのうち、毛髪の洗浄感を更に高め、乾燥後の毛髪にハリやコシを付与する観点から、アクリレーツ・アクリル酸ラウリル・アクリル酸ステアリル・メタクリル酸エチルアミンオキシド共重合体、メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体、及びオクチルアクリルアミド・アクリル酸ヒドロキシプロピル・メタクリル酸ブチ
ルアミノエチル共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
上記被膜形成樹脂として、陽イオン性樹脂、陰イオン性樹脂、及び非イオン性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、陽イオン性樹脂、及び陰イオン性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましく、各樹脂における好ましいものは、前記記載の通りである。これら被膜形成樹脂として、先に例示した各樹脂を単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0104】
毛髪化粧料は、被膜形成樹脂の含有割合が、毛髪を被覆するのに十分な量の顔料を十分に毛髪上に固定化する観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは7質量%以上、さらに好ましくは9質量%以上であり、また好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは18質量%以下である。毛髪化粧料は、顔料の含有割合が、黒髪でも金髪でも元の髪色に関わらず、元の髪色を隠蔽し、かつ元の髪色とは全く異なる鮮やかな色を発色する観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、さらに好ましくは1.5質量%以上であり、また20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは7質量%以下である。
【0105】
本願発明の毛髪化粧料中における顔料に対する被膜形成樹脂の質量比(〔被膜形成樹脂の質量〕/〔顔料の質量〕)は、染毛後に毛髪を擦ったり櫛を通した際に色がはがれにくく、くし通り後の色移りを抑制する観点から、好ましくは0.5以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上である。また、指へのまとわりつきを抑制する点、及び洗い落ち性に優れる観点から、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは6以下である。
【0106】
<液粘度>
毛髪化粧料の粘度は、溶液を均一に塗り広げやすい観点より、好ましくは2500mPa・s以下、より好ましくは2000mPa・s以下、さらに好ましくは1500mPa・s以下である。また、保持体からの毛髪化粧料の滴りにくさの観点より、好ましくは5mPa・s以上、より好ましくは10mPa・s以上、より好ましくは15mPa・s以上、さらに好ましくは20mPa・s以上である。
【0107】
ここで毛髪化粧料の粘度は、B型粘度計TVB-10M(東機産業社)で30℃で60秒間回転後の条件で、以下のローター、回転数を用いて測定するものとする。回転数は、毛髪化粧料の粘度が10mPa・sまでは30rpm、10mPa・sを超え20mPa・sまでは60rpm、20mPa・sを超える場合は30rpmを使用し、又、ローターは、毛髪化粧料の粘度が10mPa・sまではL/Adp、10mPa・sを超え200mPa・sまではM1、200mPa・sを超え1,000mPa・sまではM2、1,000mPa・sを超える場合はM3を使用する。
【0108】
図3に示す毛髪処理具1を用いた毛髪処理方法について、毛髪化粧料で処理する場合を例にして説明する。図9は、毛髪処理具1によって毛髪を処理する方法を示している。毛髪処理具1を用いる処理者は、図9(a)に示すように、毛髪の一部をきれいに処理(塗布)したい場合は該毛髪の一部を頭髪から取り分けて毛束100を作っておくことが好ましいが、毛束100を作らなくても本使用方法を行うことができる。毛束100を取り分ける前又は後に、包装体2を引き裂いて(開封)して、毛髪処理具1の繊維構造体5を露出させる。他人に手伝ってもらう場合等には、毛髪の一部を取り分けと、包装体2の開封を同時に行うこともできる。
次に、取り分けた毛束100を、開封した毛髪処理具1の繊維構造体5で挟む。具体的には、包装体2を引き裂くことで生じる把持片30と本体部分40との間に、毛髪を挟み、該毛髪に把持片30及び本体部分40に支持された繊維構造体5を当接させる。毛髪処
理具1において、繊維構造体5は、その表面が内側を向くように二つ折りされており、この二つ折りにした繊維構造体5間に毛束100を挟む。そして、繊維構造体5で毛束100を挟んだまま、毛髪処理具1を、毛束100の長さ方向に移動させる〔図9(b)参照〕。毛束100は、毛髪の一部であり、毛束100の長さ方向は、毛束100を構成する毛髪の配向方向と同じである。このような操作方法は、繊維構造体5の位置を処理者が直感的に把握できるため、毛髪化粧料の毛髪への塗布作業がし易い。
毛髪処理具1で挟む毛髪の位置は、毛束の中間、すなわち毛束100の根元と毛先の間を毛髪処理具1で挟む他、毛束100の根元部分を毛髪処理具1で挟むことも、毛束100の毛先部分を毛髪処理具1で挟むこともできる。いずれの場合も、毛束を挟んだ毛髪処理具1を毛先に向かってスライドさせることが好ましい。毛束に対してより均一に毛髪化粧料を塗布することができるからである。
毛髪処理具1で毛髪を挟んだまま毛髪処理具1をスライドさせる操作は、毛髪化粧料の排液性をバランスよく制御する観点から、繊維構造体5を指による加圧により押し付けながら行うことが好ましい。
また、毛髪処理具1を最初に挟んだ箇所から毛先側にスライドさせる操作は、処理したい各箇所について1回のみ行っても良く、多くの場合、1回でも均一な塗布が可能であるが、所望により、複数回行っても良い。
【0109】
そして、塗布した毛髪化粧料を乾かす。その際、毛髪を自然な風合いにしたい場合には、半乾きの状態となった状態において、図9(c)に示すように、公知の櫛101で梳かすことが好ましい。櫛に代えてヘアブラシ、手櫛等を用いても良い。塗布した毛髪化粧料を乾かす方法としては、ドライヤー等の送風機器を用いて温風で乾燥する方法、ドライヤーなどの送風機器を用いて冷風乾燥する方法、自然乾燥等が挙げられるが、自然乾燥が好ましい。
以上の操作を、頭髪の全体のうち、毛髪化粧料による処理を行いたい箇所に繰り返し行うこともできる。図9(d)には、毛髪化粧料として一時染毛料を用い、サイドの髪について処理を行った後、前髪の一部について同様の処理を行った後の着色状態を示してある。
【0110】
さらに、毛髪処理具1で処理を行った後の毛髪は、カール等の所望の形状に形付けても良い。その場合、毛髪処理具1で処理を行った後の毛髪は、半乾きの状態または乾燥した状態であることが好ましい。毛髪を形付ける際に、毛髪を加熱しても良いし、加熱せずに形付を行っても良いが、加熱器具を用いて形付けを行うのが好ましい。ここで加熱器具とは、ドライヤー、ホットカーラー、ヒーター、ヘアアイロン、コテ等が挙げられる。毛髪を所望の形状に形付ける方法は、従来公知の方法を用いることができる。
【0111】
本発明の毛髪処理具及び毛髪処理方法によれば、例えば、上記のようにして、頭髪を処理したいヒト自身が処理者となって、自己の頭髪の一部に所望の毛髪処理を簡便に行うことができる。そして、例えば、以下の(a)~(d)といった効果が奏される。
(a)毛髪化粧料を保持した繊維構造体5は液不透過性シート3に固定されており、液不透過性シート3を介して間接的に繊維構造体5を保持して、毛髪処理を行うことができるため、手指や掌等に毛髪化粧料が付着することを防止でき、毛髪化粧料が肌に付着することによる不都合、例えば、毛髪化粧料が毛髪の一時染毛料である場合、手指が一時染毛料で着色されること等を防止することができる。
【0112】
(b)適量の毛髪化粧料を予め繊維構造体に保持させておくことができるため、一般消費者等が処理を行う場合であっても、液だれや液が望まない部位に付着することを防止でき、また過剰塗布により毛髪がごわごわになったりすることも防止できる。また、頭髪の一部のみに着色処理等の毛髪処理を行うような場合であっても、その所望の部位のみを適切に処理することができる。
(c)また繊維構造体に保持させた毛髪化粧料を毛髪に押し付けつつ処理することにより、毛髪化粧料を徐々に供給できるため、毛髪化粧料をスプレーして毛髪を処理した場合や刷毛、ブラシ、スポンジ等で毛髪化粧料を毛髪に処理した場合等に比して、毛髪化粧料を、毛髪の長さ方向の広い範囲に均一に塗布することができ、また、分けとった毛束の表側のみならず裏側にも万遍なく毛髪化粧料を塗布することも容易である。また、これにより、毛髪化粧料として一時染毛料をマスカラブラシを用いて処理した場合に比して、着色ムラも生じ難くなる。
(d)塗布作業を行っている間、手指の感触により、処理を行っている部位を知覚し易い。そのため、処理したい部位に毛髪化粧料を容易に塗布できる一方、処理したくない部位に毛髪化粧料が付着することを防止することができる。
【0113】
毛髪は、頭髪以外の毛髪でも良く、例えば、眉毛、まつ毛等であっても良い。また毛髪は、ヒト以外の哺乳類の毛髪であっても良く、例えば、犬や猫、ウサギ、ヤギ等のペットの体毛であっても良い。
【0114】
本発明の毛髪処理方法は、図9に示すように、処理者が、該方法を自身の毛髪に対して行ってもよく、美容師等の専門者が、該方法を他人の毛髪に対して行ってもよい。
【0115】
本発明の範囲はかかる実施形態に制限されない。また本発明は更に以下の毛髪処理方法及び毛髪処理具を開示する。
<1>
繊維構造体と該繊維構造体を固定している液不透過性シートとを有し、
前記繊維構造体は、顔料と被膜形成樹脂とを含有する毛髪化粧料を保持しており、
前記繊維構造体が包装体に密封されている、毛髪処理具を用いて毛髪を処理する方法であって、以下のステップ1及び2を備える、毛髪処理方法。
ステップ1:前記毛髪処理具の前記繊維構造体の表面を露出させる。
ステップ2:ステップ1で表面が露出された前記繊維構造体を、毛髪に接触させた状態で、前記繊維構造体を前記毛髪の配向方向に移動させる。
【0116】
<2>
前記繊維構造体は前記液不透過性シートに超音波シール、ヒートシールで固定されている、前記<1>に記載の毛髪処理方法。
<3>
前記繊維構造体は、前記液不透過性シートの前記繊維構造体を固定している面と、前記繊維構造体の毛髪と接触する面とは反対側の面とが向かい合うように、液不透過性シートの面上に配置されている、前記<1>又は<2>に記載の毛髪処理方法。
<4>
前記繊維構造体は、該繊維構造体の毛髪に接触する面どうしが向かい合うように、前記液不透過性シートを二つ折りにする折り曲げ部に跨った状態で配置されている、前記<1>~<3>の何れか1に記載の毛髪処理方法。
<5>
前記繊維構造体は、横方向又は縦方向に離間した複数の箇所で前記液不透過性シートに固定されている、前記<1>~<4>の何れか1に記載の毛髪処理方法。
<6>
前記繊維構造体の表面側には、凹凸が面内に沿って一方向に延びるように多列に形成されている、前記<1>~<5>の何れか1に記載の毛髪処理方法。
<7>
前記毛髪処理具は、前記包装体の一面を形成しているシートを、把持片と、該把持片の一端が連結している本体部分とを生じるように引き裂き可能であり、
前記包装体が引き裂かれた開封状態において、前記繊維構造体が、前記把持片及び前記
本体部分のそれぞれにおける前記包装体の内側に向けられていた内面上に位置する、前記<1>~<6>の何れか1に記載の毛髪処理方法。
<8>
前記繊維構造体は、前記把持片の前記内面に固定されている、前記<7>に記載の毛髪処理方法。
<9>
前記繊維構造体は、前記本体部分の前記内面に固定されている、前記<7>又は<8>に記載の毛髪処理方法。
<10>
前記シートは、引き裂き方向に引き裂き直進性を有している、前記<7>~<9>の何れか1に記載の毛髪処理方法。
【0117】
<11>
前記繊維構造体は、前記本体部分上に位置する部分と前記把持片上に位置する部分とが連続しており、これら両部分間に位置する折り曲げ部が、前記把持片と前記本体部分との連結部側に位置するように折り畳まれた状態で前記包装体に収容されている、前記<7>~<10>の何れか1に記載の毛髪処理方法。
<12>
前記開封状態において、前記繊維構造体は、前記本体部分上に位置する部分と前記把持片上に位置する部分とが同等の面積である、前記<7>~<11>の何れか1に記載の毛髪処理方法。
<13>
前記本体部分は、前記シートの引き裂き方向と交差する方向の片側又は両側にポケット部を有する、前記<7>~<12>の何れか1に記載の毛髪処理方法。
<14>
前記包装体は、前記シートの引き裂き方向と交差する方向の片側又は両側に、前記シートと該シートと対向する対向シートとが接合された固定シール部を有し、前記シートの引き裂き位置が、前記引き裂き方向と交差する方向において、前記固定シール部より中央側に位置している、前記<7>~<13>の何れか1に記載の毛髪処理方法。
<15>
前記包装体は、前記シートの引き裂き方向における中央位置より基端側に、前記シートと該シートと対向する対向シートとが接合された開封シール部を有し、前記シートを引き裂く際に、該開封シール部におけるシート間が剥離する、前記<7>~<14>の何れか1に記載の毛髪処理方法。
<16>
前記ステップ2においては、前記繊維構造体を、その表面が内側を向くように二つ折りし、二つ折りした繊維構造体間に毛束を挟んだ状態で、該繊維構造体を毛髪の配向方向に移動させる、前記<1>~<15>の何れか1に記載の毛髪処理方法。
<17>
前記毛髪処理具の前記把持片と前記本体部分との間に前記毛髪を挟んだまま、前記毛髪処理具をスライドさせて、前記毛髪に前記毛髪化粧料を塗布する、前記<7>~<16>の何れか1に記載の毛髪処理方法。
<18>
前記毛髪化粧料が、沸点が50℃以上260℃以下である有機溶剤を好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上、更に好ましくは80質量%以上含み、且つ水の含有割合が好ましくは10質量%以下である、前記<1>~<17>の何れか1に記載の毛髪処理方法。
<19>
前記毛髪化粧料が一時染毛料である、前記<1>~<18>の何れかに1に記載の毛髪処理方法。
<20>
前記毛髪化粧料の粘度が、30℃で好ましくは2500mPa・s以下、より好ましくは2000mPa・s以下、更に好ましくは1500mPa・s以下であり、また好ましくは5mPa・以上、より好ましくは10mPa・s以上、より好ましくは15mPa・s以上、更に好ましくは20mPa・s以上である、前記<1>~<19>の何れか1に記載の毛髪処理方法。
【0118】
<21>
前記繊維構造体が複数の層が積層された構造を有している、前記<1>~<20>の何れか1に記載の毛髪処理方法。
<22>
前記繊維構造体が、毛髪に接触する面を構成する表面層を含む塗布層と、該塗布層よりも前記液不透過性シート側に配置された下層とを含む、前記<21>に記載の毛髪処理方法。
<23>
前記塗布層の全構成繊維中のセルロース系繊維の含有割合と、前記下層の全構成繊維中のセルロース系繊維の含有割合とは相互に異なる、前記<22>に記載の毛髪処理方法。<24>
前記下層は、前記塗布層に比して、含浸前の質量に対する、含浸後の質量の割合である含浸率が高い不織布から構成されている、前記<22>又は<23>に記載の毛髪処理方法。
<25>
前記塗布層の全構成繊維中のセルロース系繊維の含有割合が、前記下層の全構成繊維中のセルロース系繊維の含有割合より低い、前記<24>に記載の毛髪処理方法。
<26>
前記下層におけるセルロース系繊維の含有割合が、該下層の全構成繊維の質量に対して、好ましくは60質量%以上、また好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下であり、また好ましくは60質量%以上95質量%以下、より好ましくは60質量%以上90質量%以下である、前記<24>又は<25>に記載の毛髪処理方法。
<27>
前記塗布層は、前記下層に比して、含浸前の質量に対する、含浸後の質量の割合である含浸率が高い不織布から構成されている、前記<24>又は<23>に記載の毛髪処理方法。
<28>
前記塗布層の全構成繊維中のセルロース系繊維の含有割合が、前記下層の全構成繊維中のセルロース系繊維の含有割合より高い、前記<27>に記載の毛髪処理方法。
<29>
前記塗布層におけるセルロース系繊維の含有割合は、該塗布層の全構成繊維の質量に対して、好ましくは60質量%以上、より好ましくは60質量%超であり、また好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下であり、また好ましくは60質量%以上95質量%以下、より好ましくは60質量%超95質量%以下、さらに好ましくは60質量%以上90質量%以下である、前記<27>又は<28>に記載の毛髪処理方法。
【0119】
<30>
前記塗布層の厚さd1に対すると前記下層の厚さd2との比d2/d1が、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.9以上、より好ましくは1.0以上、さらに好ましくは1.3以上であり、また好ましくは15以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは7.5以下であり、また好ましくは0.7以上15以下、より好ましくは0.9以上15以下、より好ましくは1.0以上10以下、さらに好ましくは1.3以上7.5以下である、前記<23>~<29>の何れか1に記載の毛髪処理方法。
<31>
前記繊維構造体の少なくとも表面側が、セルロース系繊維を、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、また好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下であり、また好ましくは5質量%以上60質量%以下、より好ましくは10質量%以上50質量%以下含んでいる、前記<1>~<20>の何れか1に記載の毛髪処理方法。
<32>
前記包装体の全体又は一部が、前記液不透過性シートから形成されている、前記<1>~<31>の何れか1に記載の毛髪処理方法。
<33>
前記繊維構造体は前記包装体に折りたたまれた状態で収容されている、前記<1>~<32>の何れか1に記載の毛髪処理方法。
<34>
前記被膜形成樹脂が、陽イオン性樹脂、陰イオン性樹脂及び非イオン性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の被膜形成樹脂を含む、前記<1>~<33>の何れか1に記載の毛髪処理方法。
<35>
前記非イオン性樹脂が、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体、ビニルメチルエーテル・マレイン酸アルキル共重合体、ポリシリコーン-28、アクリレーツ/メトキシPEG-23メタクリレートコポリマー、ポリシリコーン13、及びPEG-12ジメチコンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記<34>の何れか1に記載の毛髪処理方法。
<36>
前記被膜形成樹脂が、陽イオン性樹脂、及び陰イオン性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の被膜形成樹脂を含む、前記<1>~<35>の何れか1に記載の毛髪処理方法。
<37>
前記陽イオン性樹脂が、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、ビニルピロリドン・N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体、及びアンモニウム変性ヒドロキシエチルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記<34>~<36>の何れか1に記載の毛髪処理方法。
<38>
前記陰イオン性樹脂が、アクリル酸アルキル・ジアセトンアクリルアミド共重合体、酢酸ビニル・クロトン酸・ネオデカン酸ビニル共重合体、イソホロンジイソシアネート・ジメチロールプロピオン酸・(ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン)4,4’-イソプロピリデンジフェノール共重合体、ビニルメチルエーテル・マレイン酸アルキル共重合体、(クロトン酸/ビニル(8-12)イソアルキルエステルズ/VA/ビスビニルジメチコン)クロスポリマー及び(アクリル酸アルキル)ジメチコンコポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記<34>~<37>の何れか1に記載の毛髪処理方法。
<39>
前記毛髪化粧料中の顔料の含有量が好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上であり、また好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは7質量%以下である、前記<1>~<38>の何れか1に記載の毛髪処理方法。
<40>
前記毛髪化粧料中の被膜形成樹脂の含有量が、好ましくは5質量%以上、より好ましくは7質量%以上、さらに好ましくは9質量%以上であり、また好ましくは25質量%以下
、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは18質量%以下である、前記<1>~<39>の何れか1に記載の毛髪処理方法。
【0120】
<41>
前記毛髪化粧料中における顔料に対する被膜形成樹脂の質量比(〔被膜形成樹脂の質量〕/〔顔料の質量〕)は、好ましくは0.5以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上であり、また好ましくは20以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは6以下である、前記<1>~<40>の何れか1に記載の毛髪処理方法。
<42>
繊維構造体と該繊維構造体を固定している液不透過性シートとを有し、
前記繊維構造体は、顔料と被膜形成樹脂とを含有する毛髪化粧料を保持しており、
前記繊維構造体が包装体に密封されている、毛髪処理具を用いて毛髪を処理する方法であって、
前記毛髪化粧料が一時染毛料であり、
前記毛髪化粧料が、沸点が50℃以上260℃以下である有機溶剤を好ましくは70質量%以上含み、且つ水の含有割合が好ましくは10質量%以下であり、
前記毛髪化粧料の粘度が、30℃で好ましくは2500mPa・s以下であり、
前記毛髪化粧料中の顔料の含有量は、1.0質量%以上10質量%以下であり、
前記毛髪化粧料中の被膜形成樹脂の含有量が、7質量%以上20質量%以下であり、
前記被膜形成樹脂が、陽イオン性樹脂、及び陰イオン性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の被膜形成樹脂を含み、
前記陽イオン性樹脂が、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、ビニルピロリドン・N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体、及びアンモニウム変性ヒドロキシエチルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
前記陰イオン性樹脂が、アクリル酸アルキル・ジアセトンアクリルアミド共重合体、酢酸ビニル・クロトン酸・ネオデカン酸ビニル共重合体、イソホロンジイソシアネート・ジメチロールプロピオン酸・(ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン)4,4’-イソプロピリデンジフェノール共重合体、ビニルメチルエーテル・マレイン酸アルキル共重合体、(クロトン酸/ビニル(8-12)イソアルキルエステルズ/VA/ビスビニルジメチコン)クロスポリマー及び(アクリル酸アルキル)ジメチコンコポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
前記繊維構造体は、前記毛髪に接触する面を構成する表面層を含む塗布層及び、該塗布層よりも前記液不透過性シート側に配置された下層とを有しており、
前記塗布層及び前記下層は、それぞれ、単層又は前記毛髪化粧料の含浸率が同一の複数のシートが積層した積層構造からなり、
前記塗布層のセルロース系繊維の含有割合が、該塗布層の全構成繊維の質量に対して、60質量%以上95質量%以下であり、
前記毛髪処理方法は、以下のステップ1及び2を備えている、毛髪処理方法。
ステップ1:前記毛髪処理具の前記繊維構造体の表面を露出させる。
ステップ2:ステップ1で表面が露出された前記繊維構造体を、その表面が内側を向くように二つ折りし、二つ折りした前記繊維構造体間に毛束を挟んで、毛髪に接触させた状態で、前記繊維構造体を前記毛髪の配向方向に移動させる。
<43>
繊維構造体と該繊維構造体を固定している液不透過性シートとを有し、
前記繊維構造体は、顔料と被膜形成樹脂とを含有する毛髪化粧料を保持しており、
前記繊維構造体が包装体に密封されている、毛髪処理具を用いて毛髪を処理する方法であって、
前記毛髪化粧料が一時染毛料であり、
前記毛髪化粧料が、沸点が50℃以上260℃以下である有機溶剤を好ましくは70質量%以上含み、且つ水の含有割合が好ましくは10質量%以下であり、
前記毛髪化粧料の粘度が、30℃で好ましくは2500mPa・s以下であり、
前記毛髪化粧料中の顔料の含有量は、1.0質量%以上10質量%以下であり、
前記毛髪化粧料中の被膜形成樹脂の含有量が、7質量%以上20質量%以下であり、
前記被膜形成樹脂が、陽イオン性樹脂、及び陰イオン性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の被膜形成樹脂を含み、
前記陽イオン性樹脂が、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、ビニルピロリドン・N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体、及びアンモニウム変性ヒドロキシエチルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
前記陰イオン性樹脂が、アクリル酸アルキル・ジアセトンアクリルアミド共重合体、酢酸ビニル・クロトン酸・ネオデカン酸ビニル共重合体、イソホロンジイソシアネート・ジメチロールプロピオン酸・(ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン)4,4’-イソプロピリデンジフェノール共重合体、ビニルメチルエーテル・マレイン酸アルキル共重合体、(クロトン酸/ビニル(8-12)イソアルキルエステルズ/VA/ビスビニルジメチコン)クロスポリマー及び(アクリル酸アルキル)ジメチコンコポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
前記繊維構造体は、前記毛髪に接触する面を構成する表面層を含む塗布層及び、該塗布層よりも前記液不透過性シート側に配置された下層とを有しており、
前記塗布層及び前記下層は、それぞれ、単層又は前記毛髪化粧料の含浸率が同一の複数のシートが積層した積層構造からなり、
前記下層のセルロース系繊維の含有割合が、該下層の全構成繊維の質量に対して、60質量%以上95質量%以下であり、
前記毛髪処理方法は、以下のステップ1及び2を備えている、毛髪処理方法。
ステップ1:前記毛髪処理具の前記繊維構造体の表面を露出させる。
ステップ2:ステップ1で表面が露出された前記繊維構造体を、その表面が内側を向くように二つ折りし、二つ折りした前記繊維構造体間に毛束を挟んで、毛髪に接触させた状態で、前記繊維構造体を前記毛髪の配向方向に移動させる。
<44>
繊維構造体と該繊維構造体を固定している液不透過性シートとを有し、
前記繊維構造体は、顔料と被膜形成樹脂とを含有する毛髪化粧料を保持しており、
前記繊維構造体が包装体に密封されている、毛髪処理具。
<45>
前記繊維構造体は前記液不透過性シートに超音波シール、ヒートシールで固定されている、前記<44>に記載の毛髪処理具。
<46>
前記繊維構造体は、前記液不透過性シートの前記繊維構造体を固定している面と、前記繊維構造体の毛髪と接触する面とは反対側の面とが向かい合うように、液不透過性シートの面上に配置されている、前記<44>又は<45>に記載の毛髪処理具。
<47>
前記繊維構造体は、該繊維構造体の毛髪に接触する面どうしが向かい合うように、前記液不透過性シートを二つ折りにする折り曲げ部に跨った状態で配置されている、前記<44>~<46>の何れか1に記載の毛髪処理具。
<48>
前記繊維構造体は、横方向又は縦方向に離間した複数の箇所で前記液不透過性シートに固定されている、前記<44>~<47>の何れか1に記載の毛髪処理具。
<49>
前記繊維構造体の表面側には、凹凸が面内に沿って一方向に延びるように多列に形成さ
れている、前記<44>~<48>の何れか1に記載の毛髪処理具。
<50>
前記毛髪処理具は、前記包装体の一面を形成しているシートを、把持片と、該把持片の一端が連結している本体部分とを生じるように引き裂き可能であり、
前記包装体が引き裂かれた開封状態において、前記繊維構造体が、前記把持片及び前記本体部分のそれぞれにおける前記包装体の内側に向けられていた内面上に位置する、前記<44>~<49>の何れか1に記載の毛髪処理具。
<51>
前記繊維構造体は、前記把持片の前記内面に固定されている、前記<50>に記載の毛髪処理具。
【0121】
<52>
前記繊維構造体は、前記本体部分の前記内面に固定されている、前記<50>又は<51>に記載の毛髪処理具。
<53>
前記シートは、引き裂き方向に引き裂き直進性を有している、前記<50>~<52>何れか1に記載の毛髪処理具。
<54>
前記繊維構造体は、前記本体部分上に位置する部分と前記把持片上に位置する部分とが連続しており、これら両部分間に位置する折り曲げ部が、前記把持片と前記本体部分との連結部側に位置するように折り畳まれた状態で前記包装体に収容されている、前記<48>~<51>の何れか1に記載の毛髪処理具。
<55>
前記開封状態において、前記繊維構造体は、前記本体部分上に位置する部分と前記把持片上に位置する部分とが同等の面積である、前記<50>~<54>の何れか1に記載の毛髪処理具。
<56>
前記包装体は、前記シートの引き裂き方向と交差する方向の片側又は両側に、前記シートと該シートと対向する対向シートとが接合された固定シール部を有し、前記シートの引き裂き位置が、前記引き裂き方向と交差する方向において、前記固定シール部より中央側に位置している、前記<50>~<55>の何れか1に記載の毛髪処理具。
<57>
前記包装体は、前記シートの引き裂き方向における中央位置より基端側に、前記シートと該シートと対向する対向シートとが接合された開封シール部を有し、前記シートを引き裂く際に、該開封シール部におけるシート間が剥離する、前記<50>~<56>の何れか1に記載の毛髪処理具。
<58>
前記ステップ2においては、前記繊維構造体を、その表面が内側を向くように二つ折りし、二つ折りした繊維構造体間に毛束を挟んだ状態で、該繊維構造体を毛髪の配向方向に移動させる、前記<44>~<57>の何れか1に記載の毛髪処理具。
<59>
前記毛髪処理具の前記把持片と前記本体部分との間に前記毛髪を挟んだまま、前記毛髪処理具をスライドさせて、前記毛髪に前記毛髪化粧料を塗布する、前記<50>~<58>の何れか1に記載の毛髪処理具。
<60>
前記毛髪化粧料が、沸点が50℃以上260℃以下である有機溶剤を好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上、更に好ましくは80質量%以上含み、且つ水の含有割合が好ましくは10質量%以下である、前記<44>~<59>の何れか1に記載の毛髪処理具。
<61>
前記毛髪化粧料が一時染毛料である、前記<44>~<60>の何れかに1に記載の毛髪処理具。
【0122】
<62>
前記毛髪化粧料の粘度が、30℃で好ましくは2500mPa・s以下、より好ましくは2000mPa・s以下、更に好ましくは1500mPa・s以下であり、また好ましくは5mPa・以上、より好ましくは10mPa・s以上、より好ましくは15mPa・s以上、更に好ましくは20mPa・s以上である、前記<44>~<61>の何れか1に記載の毛髪処理具。
<63>
前記繊維構造体が複数の層が積層された構造を有している、前記<44>~<62>の何れか1に記載の毛髪処理具。
<64>
前記繊維構造体が、毛髪に接触する面を構成する表面層を含む塗布層と、該塗布層よりも前記液不透過性シート側に配置された下層とを含む、前記<63>に記載の毛髪処理具。
<65>
前記塗布層の全構成繊維中のセルロース系繊維の含有割合と、前記下層の全構成繊維中のセルロース系繊維の含有割合とは相互に異なる、前記<64>に記載の毛髪処理具。
<66>
前記下層は、前記塗布層に比して、含浸前の質量に対する、含浸後の質量の割合である含浸率が高い不織布から構成されている、前記<64>又は<65>に記載の毛髪処理具。
<67>
前記塗布層の全構成繊維中のセルロース系繊維の含有割合が、前記下層の全構成繊維中のセルロース系繊維の含有割合より低い、前記<66>に記載の毛髪処理具。
<68>
前記下層におけるセルロース系繊維の含有割合が、該下層の全構成繊維の質量に対して、好ましくは60質量%以上、また好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下であり、また好ましくは60質量%以上95質量%以下、より好ましくは60質量%以上90質量%以下である、前記<66>又は<67>の何れか1に記載の毛髪処理具。
<69>
前記塗布層は、前記下層に比して、含浸前の質量に対する、含浸後の質量の割合である含浸率が高い不織布から構成されている、前記<64>又は<65>に記載の毛髪処理具。
<70>
前記塗布層の全構成繊維中のセルロース系繊維の含有割合が、前記下層の全構成繊維中のセルロース系繊維の含有割合より高い、前記<69>に記載の毛髪処理具。
【0123】
<71>
前記塗布層におけるセルロース系繊維の含有割合は、該塗布層の全構成繊維の質量に対して、好ましくは60質量%以上、より好ましくは60質量%超であり、また好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下であり、また好ましくは60質量%以上95質量%以下、より好ましくは60質量%超95質量%以下、さらに好ましくは60質量%以上90質量%以下である、前記<69>又は<70>に記載の毛髪処理具。
<72>
前記塗布層の厚さd1に対すると前記下層の厚さd2との比d2/d1が、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.9以上、より好ましくは1.0以上、さらに好ましくは1.3以上であり、また好ましくは15以下、より好ましくは10以下、さらに好ましく
は7.5以下であり、また好ましくは0.7以上15以下、より好ましくは0.9以上15以下、より好ましくは1.0以上10以下、さらに好ましくは1.3以上7.5以下である、前記<65>~<71>の何れか1に記載の毛髪処理具。
<73>
前記繊維構造体の少なくとも表面側が、セルロース系繊維を、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、また好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下であり、また好ましくは5質量%以上60質量%以下、より好ましくは10質量%以上50質量%以下含んでいる、前記<44>~<62>の何れか1に記載の毛髪処理具。
<74>
前記包装体の全体又は一部が、前記液不透過性シートから形成されている、前記<44>~<73>の何れか1に記載の毛髪処理具。
<75>
前記繊維構造体は前記包装体に折りたたまれた状態で収容されている、前記<44>~<74>の何れか1に記載の毛髪処理具。
<76>
前記被膜形成樹脂が、陽イオン性樹脂、陰イオン性樹脂及び非イオン性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の被膜形成樹脂を含む、前記<44>~<75>の何れか1に記載の毛髪処理具。
<77>
前記非イオン性樹脂が、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体、ビニルメチルエーテル・マレイン酸アルキル共重合体、ポリシリコーン-28、アクリレーツ/メトキシPEG-23メタクリレートコポリマー、ポリシリコーン13、及びPEG-12ジメチコンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記<76>に記載の毛髪処理具。
<78>
前記被膜形成樹脂が、陽イオン性樹脂、及び陰イオン性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の被膜形成樹脂を含む、前記<44>~<75>の何れか1に記載の毛髪処理具。
<79>
前記陽イオン性樹脂が、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、ビニルピロリドン・N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体、及びアンモニウム変性ヒドロキシエチルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記<76>~<78>の何れか1に記載の毛髪処理具。
<80>
前記陰イオン性樹脂が、アクリル酸アルキル・ジアセトンアクリルアミド共重合体、酢酸ビニル・クロトン酸・ネオデカン酸ビニル共重合体、イソホロンジイソシアネート・ジメチロールプロピオン酸・(ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン)4,4’-イソプロピリデンジフェノール共重合体、ビニルメチルエーテル・マレイン酸アルキル共重合体、(クロトン酸/ビニル(8-12)イソアルキルエステルズ/VA/ビスビニルジメチコン)クロスポリマー及び(アクリル酸アルキル)ジメチコンコポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記<76>~<79>の何れか1に記載の毛髪処理具。
<81>
前記毛髪化粧料中の顔料の含有量が好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上であり、また好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは7質量%以下である、前記<44>~<80>の何れか1に記載の毛髪処理具。
【0124】
<82>
前記毛髪化粧料中の被膜形成樹脂の含有量が、好ましくは5質量%以上、より好ましくは7質量%以上、さらに好ましくは9質量%以上であり、また好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは18質量%以下である、前記<44>~<81>の何れか1に記載の毛髪処理具。
<83>
前記毛髪化粧料中における顔料に対する被膜形成樹脂の質量比(〔被膜形成樹脂の質量〕/〔顔料の質量〕)は、好ましくは0.5以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上であり、また好ましくは20以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは6以下である、前記<44>~<82>の何れか1に記載の毛髪処理具。
【実施例
【0125】
以下、本発明を実施例を用いて更に説明するが、本発明は、斯かる実施例により何ら制限されるものではない。なお、特に断らない限り「%」は質量%を意味する。
【0126】
<実施例1>
レーヨン繊維(繊度1.7dtex、繊維径12μm、繊維長5mm)22%、PET繊維(繊度1.7dtex、繊維径12.5μm、繊維長10mm)18%、PP/PE繊維(鞘型複合繊維、繊度2.2dtex、繊維径17.5μm、繊維長10mm)50%及びPVA繊維(繊度1.1dtex、繊維径10μm、繊維長3mm)10%を原料繊維として、湿式抄造法により、坪量45g/mの湿式抄造紙A(不織布A)を得た。
レーヨン繊維(繊度1.7dtex、繊維径12μm、繊維長40mm)70%、及びPP/PE繊維(芯鞘型複合繊維、繊度2.2dtex、繊維径17.5μm、繊維長51mm)30%を原料繊維としてカード機に掛けてカードウエブを製造し、これにジェット水流を加えて、坪量60g/mのスパンレース不織布Cを得た。
得られた湿式抄造紙A及びスパンレース不織布Cを用いて、2層の湿式抄造紙Aからなる塗布層と3層のスパンレース不織布Cからなる下層とを備えた平面矩形状の合計5層の積層体(繊維構造体)を得た。この5層の積層体を、別に用意したアルミニウムを蒸着した熱可塑性樹脂フィルムからなる液不透過性シート上に重ね、合計6層のシート間を、図1に示すような縦方向及び横方向の相互に離間した複数の箇所で熱融着により接合して実施例1の毛髪処理具を得た。
実施例1の毛髪処理具の合計5層の積層体からなる繊維構造体は、その平面視形状が、3×4cmの矩形状で、坪量が270g/mであった。また、繊維構造体の表面即ち毛髪と接触する面には、図7(c)に示すパターンで複数の凹部を設けた。この繊維構造体を、6×8cmの矩形状の液不透過性シートの中央部に配置し、熱融着により部分的に液不透過性シートに固定した。
【0127】
<実施例2~12>
表1に示す不織布A~Eを、表4に示す塗布層、下層の順序、及び表4に示す枚数で重ね合わせて得られた積層体からなる、3×4cmの矩形状の繊維構造体を得た。表1に、不織布A~Eの繊維構成、および坪量を示す。また、繊維構造体の表面即ち毛髪と接触する面には、図7(c)に示すパターンで複数の凹部を設けた。次に、アルミニウムを蒸着した熱可塑性樹脂フィルムからなる、6×8cmの矩形状の液不透過性シートを用意した。この液不透過性シートの中央部に、上記の繊維構造体を配置し、図1に示すような相互に離間した複数の箇所で、熱融着により部分的に繊維構造体と液不透過性シートとを接合して、毛髪処理具を得た。
尚、表1に示す不織布Bは、前記不織布Aと同様に、湿式抄造法により製造した。表1に示す不織布D及びEは、それぞれ、前記不織布Cと同様に、スパンレース製法により製造した。
【0128】
【表1】
【0129】
表2に示す組成の毛髪化粧料(一時染毛料)を常法によって調製した。次に、実施例1~12の毛髪処理具における繊維構造体上に、一時染毛料を滴下して、一時染毛料を繊維構造体に含浸させた。そして、各実施例における繊維構造体の含浸率、即ち一時染毛料を含浸させる前の繊維構造体の質量に対する一時染毛料を含浸させた後の繊維構造体の質量を求めた。各実施例の含浸率を表4に示す。
また、各実施例の繊維構造体について、含浸後の繊維構造体の最大質量に対する、表4に示す前記含浸率で含浸させた繊維構造体の質量の割合(%)を、含浸容量率として求めた。含浸後の繊維構造体の最大質量とは、繊維構造体が含浸して保持し得る最大量で一時染毛料を含浸させた繊維構造体の質量を指す。各実施例の含浸容量率を表4に示す。
【0130】
【表2】
【0131】
〔評価用毛束〕
化学的処理履歴の無い日本人黒髪直毛で長さ25cm、重さ1.0gの毛束(トレス)を作製した。この毛束を、表3に処方を示すモデルシャンプーで洗浄した。次いでタオルドライを行い、ドライヤー(ソリス社製、ソリスドライヤー315)で1分間乾かした後の毛束(以下、評価用毛束ともいう)を評価に用いた。
【0132】
【表3】
【0133】
<評価1>
評価用毛束(トレス)における結束された側の一端から0.5cmの位置を、トレスが繊維構造体に当接するよう、二つ折にした実施例1~4の毛髪処理具でトレスを挟んだ。そして、トレスを毛髪処理具で挟んだ状態のまま、トレスの他端に向かって毛髪処理具を移動させ、該トレスに毛髪化粧料(一時染毛料)を塗布した。この塗布時の毛髪処理具の移動速度は1.5cm/秒であった。トレスに毛髪化粧料を塗布後、毛髪処理具の重量を測定し、毛束(トレス)への毛髪化粧料の塗布量を測定した。測定結果を毛束への塗布量として表4に示す。
次いで、室温(25℃)で30秒放置し、トレスを半乾きにした後、くし(貝印社製、HK0103B’s セットコームL)をトレスに1秒間に1回、合計10回通した。そして、塗布時の使用感、およびこのようにして得られた着色後の毛束について、顔料の均一塗布性、顔料の転写効率、着色後の毛髪の感触、及び経時安定性を、それぞれ以下の方法及び評価基準で評価した。その評価結果を表4に示す。
【0134】
〔塗布時の使用感〕
毛髪処理具で毛束を挟み、塗布する際の使用感を、パネラー5名による下記の4段階評価で行った。評価の合計点を表4に示す。
4点:塗布時に液が十分排液されて、塗布できている感覚がある
3点:塗布時に液がやや排液されて、塗布できている感覚がややある
2点:塗布時に液がやや排液されにくく、塗布できている感覚がややない
1点:塗布時に液が十分排液されず、塗布できている感覚がない
【0135】
〔顔料の均一塗布性〕
顔料の均一塗布性を、評価用毛束における結束された側の一端(上部)から毛先(下部)における着色強度を、目視で観察することにより評価した。評価はパネラー5名による下記の4段階視覚評価で行った。評価の合計点を表4に示す。
4点:上部から下部にかけて、均一に着色している
3点:上部から下部にかけて、やや均一に着色している
2点:上部から下部にかけて、着色がやや不均一である
1点:上部から下部にかけて、着色が不均一である
【0136】
〔顔料の毛髪への転写効率〕
着色後のトレスについて、顔料の毛髪への転写効率を、元の黒髪が隠蔽されてかつ十分に着色しているかを目視で観察することにより評価した。評価はパネラー5名による下記の4段階視覚評価で行った。評価の合計点を表4に示す。
4点:黒髪が完全に隠蔽され、元髪の色とは異なり明瞭に着色している
3点:黒髪がほとんど隠蔽され、元髪の色とは異なり着色している
2点:黒髪がやや隠蔽され、元髪の色とは異なりやや着色している
1点:黒髪が隠蔽されず、着色していない
【0137】
〔着色後の毛髪の感触〕
着色後の毛髪(毛束)の感触を、官能評価により評価した。評価はパネラー5名による下記の4段階評価で行った。評価の合計点を表4に示す。
4点:全くごわつかず、感触が良い
3点:ほとんどごわつかず、感触がやや良い
2点:ややごわつき、感触がやや悪い
1点:ごわつき、感触が悪い
【0138】
〔経時安定性〕
実施例1~13の毛髪処理具を二つに折りたたみ、熱融着により液不透過性シートの周囲を密封した。次いで、下記条件に設定した恒温槽(エスペック社製 タバイ恒温高湿機)内に横置きし、6日間保存した。
恒温槽の設定条件:-15℃から60℃に昇温後(6.25℃/h)、60℃から-15℃(-6.25℃/h)に降温する温度サイクルを一日かけて行うサイクル
6日間の保存後、恒温槽から毛髪処理具を取り出し、室温で6時間静置して、調温した後、前記〔顔料の均一塗布性〕と同じ処理手順及び評価基準で評価を行った。評価の合計点を表4に示す。
【0139】
【表4】
【0140】
実施例1~12の毛髪処理具は、優れた均一塗布性及び転写効率を示した。また、実施例1~12の毛髪処理具は、着色後の毛髪の感触についての評価結果が優れたものであり、また塗布時の使用感が良好な評価結果であった。実施例4~12の毛髪処理具は、経時安定性が優れた評価結果であった。さらに、経時安定性の評価において、実施例1~12
の毛髪処理具を用いると、手を汚さずに一時染毛料を毛束に塗布することができた。
【0141】
<評価2>
実施例1の毛髪処理具、及び一般的に一時染毛料や染毛剤を塗布する際に使用される他の化粧用具(比較例1~3)を用いて、表2に示す毛髪化粧料を評価用毛束に塗布した。評価用毛束は、上記の実施例で用いた評価用毛束を使用した。
【0142】
<実施例13>
表2に示す毛髪化粧料0.4gを、実施例1の毛髪処理具を用いて評価用毛束(トレス)に塗布した。トレスが繊維構造体に当接するよう、二つ折りにした実施例1の毛髪処理具でトレスを挟み、そのままトレスの他端に向かって毛髪処理具を移動させ、該トレスに毛髪化粧料を塗布した。毛髪化粧料を0.4g塗布するために要した回数を、塗布操作の回数としてカウントした。塗布操作の回数を表5に示す。
【0143】
<比較例1>
表2に示す毛髪化粧料0.4gをマスカラブラシ(花王社製ブローネ ポイントカバー付属品)で塗布した。毛髪化粧料を0.4g塗布するために要した回数を、塗布操作の回数としてカウントした。塗布操作の回数を表5に示す。
【0144】
<比較例2>
表2に示す毛髪化粧料0.4gを毛束の表面に載せ、刷毛(花王社製ブローネ 香りと艶カラークリーム付属品)で均一になるようにのばした。毛髪化粧料をのばすために要した回数を、塗布操作の回数としてカウントした。塗布操作の回数を表5に示す。
【0145】
<比較例3>
表2に示す毛髪化粧料0.4gを毛束の表面に載せ、スポンジ(花王社製 商品名 Sofina Primavista きれいな素肌質感パウダーファンデーション 付属のパフ )で均一になるようにのばした。毛髪化粧料を均一にのばすために要した回数を、塗布操作の回数としてカウントした。塗布操作の回数を表5に示す。
【0146】
そして、こうして得られた着色後の毛束について、顔料の均一塗布性を上記の実施例と同様の方法にて、また、塗布操作の簡便性を以下の方法及び評価基準で評価した。
【0147】
〔塗布操作の簡便性〕
塗布操作の簡便性をパネラー5名による4段階評価で行った。評価の合計点を表5に示す。
4点:簡便で、個人でも均一に塗布できる
3点:やや簡便で、個人でもやや均一に塗布できる
2点:やや難しく、個人で均一に塗布することは難しい
1点:難しく、個人では均一に塗布できない
【0148】
【表5】
【0149】
実施例13の毛髪処理具は、1回の塗布操作で毛髪化粧料を0.4g塗布することができた。また、実施例13の毛髪処理具は、塗布の簡便性及び顔料の均一塗布性が優れた評価結果であった。
【0150】
<評価3>
本発明の毛髪処理具の繊維構造体に、組成の異なる一時染毛料を含浸させて評価用毛束に塗布し、実施例1~12と同様、塗布時の使用感、顔料の均一塗布性、顔料の転写効率、着色後の毛髪の感触、及び経時安定性について、それぞれ前述した方法及び評価基準で評価した。
【0151】
<実施例14~19>
実施例10の毛髪処理具を用意した。毛髪処理具の繊維構造体には、下記表6に示す各一時染毛料を含浸させた。そして、実施例1~12と同様に、前記毛髪処理具を用いて評価用毛束に一時染毛料を塗布し、塗布時の使用感について前述した方法及び評価基準で評価した。また、得られた着色後の毛束について、顔料の均一塗布性、顔料の転写効率、着色後の毛髪の感触を、それぞれ前述した方法及び評価基準で評価した。これら評価結果を表6に示す。また、表6には、実施例10の評価結果も示す。なお、評価用毛束は、上記の実施例で用いた評価用毛束を使用した。
【0152】
【表6】
【0153】
実施例14~19の毛髪処理具は、良好な均一塗布性及び転写効率を示した。また、実施例14~19の毛髪処理具は、着色後の毛髪の感触についての評価結果が良好なものであった。
【0154】
<評価4(実施例20)>
実施例20として、本発明の毛髪処理具を用いて、毛髪を染毛すると共に、該毛髪にカール形状を付与する試験を行った。試験方法は下記の通りである。
評価用毛束(トレス)における結束された側の一端から0.5cmの位置を、トレスが繊維構造体に当接するよう、二つ折にした実施例1の毛髪処理具でトレスを挟み、その状
態のまま、トレスの他端に向かって毛髪処理具を移動させ、該トレスに毛髪化粧料(一時染毛料)を塗布した。この毛髪処理具の繊維構造体に含浸されている一時染毛料は、表2に示すように、顔料と共に、N-プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体A~Cの被膜形成樹脂を含む。また、塗布時の毛髪処理具の移動速度は1.5cm/秒であった。トレスに毛髪化粧料を塗布後、毛髪処理具の重量を測定し、トレスへの毛髪化粧料の塗布量を測定したところ、実施例1と同じ測定結果であった。
次いで、室温(25℃)で30秒放置し、トレスを半乾きにした後、くし(貝印社製、HK0103B’s セットコームL)をトレスに1秒間に1回、合計10回通した。この操作によりトレスは半乾きの状態から乾燥した状態になっていた。
その後設定温度180℃のヘアアイロン(メーカー名:TESCOM社 型番:PM81)にトレスを巻きつけた後、10秒保持し、その後ヘアアイロンから毛束を外した。その結果、毛束全体に均一に着色され、且つカール形状を付与することができた。
【符号の説明】
【0155】
1 毛髪処理具
2 包装体
22 ポケット部
23 開封縁
3 液不透過性シート
30 把持片
40 本体部分
5 繊維構造体
51 塗布層
52 下層
54,55,57 固定部
522 凸部
523 凹部
9 摘み部
91 ノッチ
100 毛束
X 横方向
Y 縦方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12