(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】ゾピクロン、その光学異性体又はこれらの塩の何れかを有効成分として含有する錠剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4985 20060101AFI20230630BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20230630BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20230630BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230630BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20230630BHJP
A61K 9/26 20060101ALI20230630BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20230630BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20230630BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230630BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230630BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20230630BHJP
A61K 9/28 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
A61K31/4985
A61K47/02
A61K47/44
A61K47/26
A61K47/20
A61K9/26
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/12
A61P43/00 111
A61P25/20
A61K9/28
(21)【出願番号】P 2018229293
(22)【出願日】2018-12-06
【審査請求日】2021-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000228590
【氏名又は名称】日本ケミファ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124822
【氏名又は名称】千草 新一
(74)【代理人】
【識別番号】100146259
【氏名又は名称】橋本 諭志
(72)【発明者】
【氏名】増田 年紀
(72)【発明者】
【氏名】龍野 貴光
(72)【発明者】
【氏名】鳥山 麻衣
【審査官】高橋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/116385(WO,A1)
【文献】特開2011-241148(JP,A)
【文献】特表平09-508410(JP,A)
【文献】特開平05-221863(JP,A)
【文献】特開2015-205852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顆粒を含有する普通錠であって、
(a)ゾピクロン、その光学異性体又はこれらの塩の何れか1つ、
(b)無水リン酸水素カルシウム、
(c)硬化油、ショ糖脂肪酸エステル又はL-メチオニンの少なくとも1つ
、
を含有し、そして
(b)を普通錠中、10~30%含有し、
(b)のBET表面積が、20m
2/g以下で、
(a)及び(c)が顆粒内に存在し、(b)が、顆粒外に存在する普通錠。
【請求項2】
エスゾピクロン、無水リン酸水素カルシウム及び硬化油を含有する請求項1記載の普通錠。
【請求項3】
エスゾピクロンを1錠中、0.5~10mg含有する請求項1又は2記載の普通錠。
【請求項4】
硬化油を普通錠中、0.5~5%含有する請求項1~3の何れかの項に記載の普通錠。
【請求項5】
さらに賦形剤を含有している請求項1~4の何れかの項に記載の普通錠。
【請求項6】
賦形剤がコムギデンプン、トウモロコシデンプン、乳糖水和物又は結晶セルロースから選択される請求項2~5の何れかの項に記載の普通錠。
【請求項7】
さらに崩壊剤を含有している請求項1~6の何れかの項に記載の普通錠。
【請求項8】
崩壊剤がデンプングリコール酸ナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム又はL-HPCから選択される請求項7記載の普通錠。
【請求項9】
さらに結合剤を含有している請求項1~8の何れかの項に記載の普通錠。
【請求項10】
結合剤がHPC又はα化デンプンから選択される請求項9記載の普通錠。
【請求項11】
さらに滑沢剤を含有していても良い請求項1~10の何れかの項に記載の普通錠。
【請求項12】
滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム又はフマル酸ステアリルナトリウムから選択される請求項11記載の普通錠。
【請求項13】
さらにフィルムコーティングされている請求項1~12の何れかの項に記載の錠剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゾピクロン、その光学異性体又はこれらの塩の何れかを有効成分として含有する錠剤に関する。
【背景技術】
【0002】
【0003】
で表されるゾピクロン(Zopiclone;(±)6-(5-クロロピリジン-2-イル)-7-オキソ-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-b]ピラジン-5-イル 4-メチルピペラジン-1-カルボキシレート;(±)-6-(5-Chloropyridin-2-yl)-7-oxo-6,7-dihydro-5H-pyrrolo[3,4-b]pyrazin-5-yl 4-methylpiperazine-1-carboxylate)、及びその5S体、エスゾピクロン(Eszopiclone)は、ベンゾジアゼピン受容体に結合し、GABA受容体に影響を及ぼすことでGABA系の抑制機構を増強することにより、睡眠改善治療剤として現在、本邦をはじめとして幅広く世界中で使用されている。(特許文献1、非特許文献1及び2)
非特許文献1及び2によれば、これらの有効成分である、原薬のゾピクロン及びエスゾピクロンは、光苛酷試験において、前者は色が微褐色となり、24時間後には4パーセント含量が低下すること、後者も類縁物質が生成することが報告されている。
また、非特許文献1によれば、アモバン(登録商標)錠7.5は、PTP包装下、直射日光下、320時間の苛酷試験において、含量が4%低下し、主光分解物として、類縁物質VIが生成し、不純物Vも増加した旨の記載がある。
一方、非特許文献2によれば、ルネスタ(登録商標)錠1mg,同2mg,同3mgは、無包装下、25℃75%RHの保存安定性試験において、何れも1か月後に水分が増加した旨の記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】「アモバン(登録商標)錠7.5、10」のインタビューフォーム
【文献】「ルネスタ(登録商標)錠1、2及び3mg」のインタビューフォーム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ゾピクロンやエスゾピクロンを含有する錠剤については、保存安定性試験で、類縁物質等の増大が報告されており、安定な製剤の提供が求められている。
本発明者らは、エスゾピクロンを含有する保存安定性に優れた錠剤に関する鋭意研究を進めた結果、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明は、
(1)ゾピクロン、その光学異性体又はこれらの塩の何れか1つ、
(2)無水リン酸水素カルシウム、D-マンニトール又は乳糖水和物の少なくとも1つ、
(3)L-メチオニン、硬化油又はショ糖脂肪酸エステルの少なくとも1つを
含有する錠剤に関する。
また、本発明は、エスゾピクロン、無水リン酸水素カルシウム及び硬化油を含有する錠剤に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の錠剤においては、保存期間中において、類縁物質の増加が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、40℃75%RH解放条件における、硬化油の有無による保存安定性の違いを確認した試験結果を表す図である。図中、実線は硬化油非添加製剤(参考製剤A)を、点線は硬化油添加製剤(製剤1)を表し、そして、縦軸は総類縁(%)を、横軸は試験期間(週)を表す。
【
図2】
図2は、40℃密栓条件における、安定性試験結果を表す図である。図中、実線は無水リン酸水素カルシウム30%含有製剤(製剤3)を、点線は無水リン酸水素カルシウム45%含有製剤(製剤4)を、1点鎖線は無水リン酸水素カルシウム15%含有製剤(製剤2)を表し、そして縦軸は総類縁(%)を、横軸は試験期間(週)を表す。
【
図3】
図3は、60℃密栓条件における、安定性試験結果を表す図である。図中、実線は無水リン酸水素カルシウム30%含有製剤(製剤3)を、点線は無水リン酸水素カルシウム45%含有製剤(製剤4)を、1点鎖線は無水リン酸水素カルシウム15%含有製剤(製剤2)を表し、そして縦軸は総類縁(%)を、横軸は試験期間(週)を表す。
【
図4】
図4は、40℃密栓条件における、安定性試験結果を表す図である。図中、実線は無水リン酸水素カルシウムの内添加(製剤5)を表し、点線は無水リン酸水素カルシウムの外添加(製剤6)を表し、そして縦軸は総類縁(%)を、横軸は試験期間(週)を表す。
【
図5】
図5は、60℃密栓条件における、安定性試験結果を表す図である。図中、実線は無水リン酸水素カルシウムの内添加(製剤5)を表し、点線は無水リン酸水素カルシウムの外添加(製剤6)を表し、そして縦軸は総類縁(%)を、横軸は試験期間(週)を表す。
【
図6】
図6は、40℃密栓条件における、安定性試験結果を表す図である。図中、実線は製剤7を、点線は製剤8を表し、そして縦軸は総類縁(%)を、横軸は試験期間(週)を表す。
【
図7】
図7は、60℃密栓条件における、安定性試験結果を表す図である。図中、実線は製剤7を、点線は製剤8を表し、そして縦軸は総類縁(%)を、横軸は試験期間(週)を表す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明について更に詳細に説明する。
(1)本発明は、
(a)ゾピクロン、その光学異性体又はこれらの塩の何れか1つ、
(b)無水リン酸水素カルシウム、D-マンニトール又は乳糖水和物の少なくとも1つ、
(c)L-メチオニン、硬化油又はショ糖脂肪酸エステルの少なくとも1つを
含有する錠剤に関する。
(2)また、本発明は、エスゾピクロン、無水リン酸水素カルシウム及び硬化油を含有する錠剤に関する。
(3)また、本発明は、エスゾピクロンを1錠中、0.5~10mg含有する上記(1)又は(2)記載の錠剤に関する。
(4)また、本発明は、無水リン酸水素カルシウムを錠剤中、5~45%含有する上記(1)~(3)の何れかの項に記載の錠剤に関する。
(5)また、本発明は、無水リン酸水素カルシウムを錠剤中、10~30%含有する上記(1)~(3)の何れかの項に記載の錠剤に関する。
(6)また、本発明は、無水リン酸水素カルシウムのBET表面積が、20m2/g以下である上記(1)~(5)の何れかの項に記載の錠剤に関する。
(7)また、本発明は、硬化油を錠剤中、0.5~5%含有する上記(1)~(6)の何れかの項に記載の錠剤に関する。
(8)また、本発明は、さらに賦形剤を含有していても良い上記(1)~(7)の何れかの項に記載の錠剤に関する。
(9)また、本発明は、賦形剤がコムギデンプン、トウモロコシデンプン、乳糖水和物及び結晶セルロースから選択される上記(2)~(8)の何れかの項に記載の錠剤に関する。
(10)また、本発明は、さらに崩壊剤を含有していても良い上記(1)~(9)の何れかの項に記載の錠剤に関する。
(11)また、本発明は、崩壊剤がデンプングリコール酸ナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム及びL-HPCから選択される上記(10)記載の錠剤に関する。
(12)また、本発明は、さらに結合剤を含有していても良い上記(1)~(11)の何れかの項に記載の錠剤に関する。
(13)また、本発明は、結合剤がHPC及びα化デンプンから選択される上記(12)記載の錠剤に関する。
(14)また、本発明は、さらに滑沢剤を含有していても良い上記(1)~(13)の何れかの項に記載の錠剤に関する。
(15)また、本発明は、滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム及びフマル酸ステアリルナトリウムから選択される上記(14)記載の錠剤に関する。
(16)また、本発明は、湿式造粒法で製造される上記(1)~(15)の何れかの項に記載の錠剤に関する。
(17)また、本発明は、無水リン酸水素カルシウムが、顆粒外に存在する上記(1)~(16)の何れかの項に記載の錠剤に関する。
(18)さらにまた、本発明は、さらにフィルムコーティングされていても良い上記(1)~(17)の何れかの項に記載の錠剤に関する。
【0011】
本発明で用いることができる無水リン酸水素カルシウム以外の賦形剤としては、D-マンニトール、乳糖水和物、コムギデンプン、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、部分α化デンプン、結晶セルロース、ブドウ糖、白糖、果糖、リン酸カルシウム等が挙げられ、好ましくは、D-マンニトール、乳糖水和物、トウモロコシデンプン、結晶セルロースが挙げられ、更に好ましくは結晶セルロースが挙げられる。
本発明で用いることができる崩壊剤としては、カルメロースカルシウム、L-HPC、部分α化デンプン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルスターチ、デンプングリコール酸ナトリウム等が挙げられ、好ましくは、カルメロースカルシウム、L-HPC、部分α化デンプンが挙げられる。
本発明で用いることができる結合剤としては、HPC、結晶セルロース、ヒプロメロース、α化デンプン、PVP、ゼラチン、デンプン類等が挙げられ、好ましくは、HPC、結晶セルロース、ヒプロメロース、α化デンプン、PVPが挙げられる。
本発明で用いることができる滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられ、好ましくは、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウムが挙げられ、更に好ましくはステアリン酸マグネシウムが挙げられる。
本発明の素錠には、さらに流動化剤、界面活性剤、着色剤を含有していても良い。
更に、本発明の錠剤は、フィルムコーティングされていても良い。フィルムコーティング層には、酸化チタン等の遮光剤、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄等の着色剤、PEG,クエン酸トリエチル、トリアセチン等の可塑剤、HPC,ヒプロメロース等のフィルム基剤、カルナウバロウ等の艶出し剤等が使用できる。
エスゾピクロンは苦味を有することが知られおり、フィルムコーティング層、素錠に苦味マスキング剤を添加することもできる。
本発明の錠剤は、顆粒打錠法、直接打錠法(直打法)何れでも使用でき、また普通錠(素錠)の他、フィルムコーティング錠、OD錠であっても良い。
例えば顆粒打錠法では、
(1)エスゾピクロン,賦形剤,崩壊剤,硬化油を混合する。
(2)結合剤溶液により造粒し造粒顆粒を得る。
(3)造粒顆粒を乾燥し、整粒顆粒を得る。
(4)整粒顆粒,無水リン酸水素カルシウム,滑沢剤を混合する。
(5)打錠機で錠剤し錠剤を得る。
【0012】
本発明のエスゾピクロン製剤において安定化剤としては、硬化油の代わりに、ショ糖脂肪酸エステル、L-メチオニンを使用できる。(実施例1)
本発明のエスゾピクロン製剤において、硬化油が存在すると類縁物質の生成が抑制されることは
図1から明らかである。
本発明のエスゾピクロン製剤において、リン酸水素カルシウムの量は、素錠中、10~40%含有することが好ましいが、素錠中、30,40%含有する製剤よりも15%含有する製剤の方が類縁物質の生成が抑制されることは
図2,3から判明した。
本発明のエスゾピクロン製剤においてリン酸水素カルシウムの添加は顆粒内よりも顆粒外である方が好ましい。(
図4,5)
本発明のエスゾピクロン製剤においてリン酸水素カルシウムの比表面咳はBET表面積が、20m
2/g以下が好ましい。(
図6,7)
【実施例】
【0013】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0014】
配合変化試験
エスゾピクロンと添加剤を混合し、60℃密栓下4週間、40℃75%RH4週間における配合変化試験を行った。
類縁物質量はHPLCで測定した。
その結果を表1に記載する。
【0015】
【0016】
表1から明らかなように硬化油、ショ糖脂肪酸エステルは配合変化を起こさないことが明らかになった。
一方、メグルミン、無水クエン酸、酸化マグネシウムは40℃75%RH開放4週間で、配合変化が確認された。
【実施例2】
【0017】
製造方法
エスゾピクロン,結晶セルロース,カルメロースカルシウム,硬化油を混合し、水で溶解したヒドロキシプロピルセルロース溶液により造粒し造粒顆粒を得た。
次いで、造粒顆粒を整粒し,乾燥工程,乾式整粒工程を経て,整粒顆粒を得た。
得られた整粒顆粒,無水リン酸水素カルシウム,軽質無水ケイ酸,ステアリン酸マグネシウムを混合し,ロータリー打錠機で錠剤質量が100mgの表2の錠剤(製剤1)を得た。
【0018】
【実施例3】
【0019】
安定性試験
実施例1で得られた製剤1及び下記表3の参考製剤Aについて、40℃75%RH開放条件における4週間の保存安定性試験を行った。
参考製剤A
【0020】
【0021】
(参考製剤Aの製造方法)
エスゾピクロン,結晶セルロース,カルメロースカルシウムを混合し、水で溶解したヒドロキシプロピルセルロース溶液により造粒し造粒顆粒を得た。
次いで、造粒顆粒を整粒し,乾燥工程,乾式整粒工程を経て,整粒顆粒を得た。
得られた整粒顆粒,無水リン酸水素カルシウム,軽質無水ケイ酸,ステアリン酸マグネシウムを混合し,ロータリー打錠機で錠剤質量が100mgの錠剤を得た。
【0022】
試験結果
下記の方法で試験を行い、その試験結果を
図1に示す。
図1から明らかなように硬化油を配合することで、類縁物質の生成が抑制されることが明らかになった。
(測定方法)
本品を粉末とし、エスゾピクロン10mgに対応する量をとり、pH4.0のリン酸塩溶液/アセトニトリル(62:38)20mLを加えて5分間超音波処理をした後、孔径0.45μm以下のメンブランフィルターでろ過する。初めのろ液2mLを除き、次のろ液を試料溶液とする。この液1mLを正確に量り、pH4.0のリン酸塩溶液/アセトニトリル(62:38)を加えて正確に100mLとし、標準溶液とする。試料溶液及び標準溶液10μLずつを正確にとり、次の条件で液体クロマトグラフィー(HPLC)により試験を行う。
【0023】
(HPLC条件)
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:303nm)
カラム:内径4.6mm、長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する。
カラム温度:30℃付近の一定温度
移動相A:pH4.0のリン酸塩溶液
移動相B:アセトニトリル
移動相の送液:移動相A及び移動相Bの混合比を次のように変えて濃度勾配制御する。
【0024】
【実施例4】
【0025】
無水リン酸水素カルシウムの含有量の違いによる保存安定性の違い
製造方法
エスゾピクロン,結晶セルロース,無水リン酸水素カルシウム,クロスカルメロースナトリウム,硬化油を混合し、水で溶解したヒドロキシプロピルセルロース溶液により造粒し造粒顆粒を得た。
次いで、造粒顆粒を整粒し,乾燥工程,乾式整粒工程を経て,整粒顆粒を得た.
得られた整粒顆粒,無水リン酸水素カルシウム,軽質無水ケイ酸,ステアリン酸マグネシウムを混合し,錠剤質量が100mgとなるようにロータリー打錠機で打錠し、表5の製剤2,3,4を得た。
【0026】
【0027】
試験方法
実施例3の試験方法と同様な方法で試験を行った。
試験結果
試験結果を
図2,3に記載する。
図2,3から明らかなように、無水リン酸水素カルシウムを15%含有する製剤が類縁物質の生成が抑制された。
【実施例5】
【0028】
無水リン酸水素カルシウムの添加方法の違いによる保存安定性の違い
製剤5の製造方法(造粒まで)
エスゾピクロン,結晶セルロース,無水リン酸水素カルシウム,クロスカルメロースナトリウム,硬化油を混合し、水で溶解したヒドロキシプロピルセルロース溶液により造粒し造粒顆粒を得た。
製剤6の製造方法(造粒まで)
エスゾピクロン,結晶セルロース,クロスカルメロースナトリウム,硬化油を混合し、水で溶解したヒドロキシプロピルセルロース溶液により造粒し造粒顆粒を得た。
造粒後(共通)
造粒顆粒を整粒し,乾燥工程,乾式整粒工程を経て,整粒顆粒を得た.
得られた整粒顆粒と後末部を混合し、ロータリー打錠機にて、質量が100mgの表6の錠剤5,6を得た。
【0029】
【0030】
試験方法
実施例3の試験方法と同様な方法で試験を行った。
試験結果
試験結果を
図4,5に記載する。
図4,5から明らかなように、無水リン酸水素カルシウムを後末添加した製剤の方が、顆粒内に存在する製剤に比べ、保存安定性が優れていた。
【実施例6】
【0031】
無水リン酸水素カルシウムの比表面積の違いによる保存安定性の相違
製造方法
エスゾピクロン,結晶セルロース,無水リン酸水素カルシウム,クロスカルメロースナトリウム,硬化油を混合し、水で溶解したヒドロキシプロピルセルロース溶液により造粒し造粒顆粒を得た。
次いで、造粒顆粒を整粒し,乾燥工程,乾式整粒工程を経て,整粒顆粒を得た。
得られた整粒顆粒と後末(ステアリン酸マグネシウム)を混合し,ロータリー打錠機で質量が100mgの表7の製剤7,8を得た。
【0032】
【0033】
製剤7,8は表8の物性値を有する無水リン酸水素カルシウムを使用した。
無水リン酸水素カルシウムの物性値
【0034】
【0035】
試験方法
実施例3の試験方法と同様な方法で試験を行った。
試験結果
試験結果を
図6,7に記載する。
図6,7から明らかなように比表面積の小さい無水リン酸水素カルシウムが大きなものに比べ、保存安定性が優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の錠剤は、保存期間中において、類縁物質の増加が抑制され、エスゾピクロンの錠剤として使用できる。