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▶ 株式会社橋本ブラシ製作所の特許一覧

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  • 特許-洗浄用ブラシ 図1
  • 特許-洗浄用ブラシ 図2
  • 特許-洗浄用ブラシ 図3
  • 特許-洗浄用ブラシ 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】洗浄用ブラシ
(51)【国際特許分類】
   A46B 3/10 20060101AFI20230630BHJP
【FI】
A46B3/10
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019113366
(22)【出願日】2019-06-19
(65)【公開番号】P2020203009
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】507298599
【氏名又は名称】株式会社橋本ブラシ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100078950
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 忠
(72)【発明者】
【氏名】菅原 翔
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-032837(JP,A)
【文献】実開昭51-133354(JP,U)
【文献】実開昭59-189536(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 1/00-17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端とその反対の先端とを有する合成樹脂製で円柱状の芯材と、
基端を前記芯材の基端に整列させ当該芯材の外周に断面円環状の所定厚さの毛材集合層を形成するように配置され先端側が前記芯材の先端よりも長く延出する多数の毛材と、
前記毛材集合層を前記芯材の外周に結束するバンド部材と、
前記芯材と前記毛材集合層の基端側を所定長さにわたって被覆するキャップとを具備し、
前記毛材は、それの軸線方向の押圧力により洗浄対象の表面の付着物を掻き落とすことが可能な降伏強度を有するウェーブ加工された弾性合成樹脂製モノフィラメントからなり、
前記毛材集合層は、基端部において前記芯材の基端部と一体化するように熱溶着され、
前記芯材が内在する基端側には、使用者が前記キャップ部材の基端を掌に当てて握ることができるハンドル部が形成され、
前記毛材の先端側には、洗浄対象に圧接される洗浄部が形成され
前記バンド部材は、前記芯材の先端から基端側へ所定距離を置いた位置であって、前記キャップの基端を掌に当てて握った状態において指先がかかる位置において前記毛材を前記芯材の周りに結束し、当該結束部から前記芯材の先端との間において前記毛材は、前記芯材の外周において個々にわずかに移動可能に構成されることを特徴とする洗浄用ブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば中華料理店の厨房等において調理器具に付着する汚れを迅速に掻き落として除去するための洗浄用ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、竹を所定長さに切断し、この竹の先端側を軸方向に細かく割ってブラシ部を形成した「ささら」と称されるブラシの強度を向上するために、合成樹脂製のブラシ繊維を多数束ねた基端部に把手部を固定したブラシが特許文献1に記載されている。
また、多数の合成樹脂のブラシ繊維の基端部の周囲を金属パイプでかしめることにより束ねたブラシが非特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-32837号公報
【文献】有限会社塚本鑛吉商店ホームページ内Webカタログ掲載の商品名「スーパーササラ」http://www.k-tsukamoto.co.jp/htmls/s_yougu/images/burasi.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のブラシは、何れも合成樹脂のブラシ繊維を多数束ねただけの構成であるため、被洗浄面に押し付けられたときに、毛先が広がりにくく、被洗浄面に対する実質的接触面積が十分に確保できず、効率的な洗浄ができないという問題点がある。また、毛先の広がりを確保するために、より細い毛材を採用するなどして柔軟性を持たせると、剛性に欠け、被洗浄面の付着物に対し、これを掻き落とす力が有効に伝わらないという難点がある。
したがって、本発明は、使用時に毛先が概略円環状に広がり易く、洗浄対象に対する比較的大きな実質的接触面積を確保できると共に、被洗浄面への付着物を掻き落とす使用者の力を毛先に有効に伝えることができる堅牢な洗浄用ブラシを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の洗浄用ブラシ1は、合成樹脂製で円柱状の芯材2と、芯材2の外周に断面円環状の所定厚さの毛材集合層4を形成するように配置される多数の毛材3と、毛材3を芯材2の外周に結束するバンド部材5と、芯材2と毛材3の基端側を所定長さにわたって被覆するキャップ6とを具備する。毛材3は、ウェーブ加工された弾性合成樹脂製モノフィラメントからなり、基端を芯材2の基端2aに整列させ、芯材2の基端部と一体化するように熱溶着され、先端側が芯材2の先端よりも長く延出する。芯材2が内在する基端側には、使用者がキャップ部材6の頂端6cを掌に当てて握ることができるハンドル部1aが形成される。毛材3の先端側には、それの軸線方向の押圧力により被洗浄面の付着物を掻き落とすことが可能な降伏強度を有する洗浄部1bが形成される。
【発明の効果】
【0006】
本発明の洗浄用ブラシ1によれば、多数の毛材3が芯材2の周りに環状の毛材集合層4を形成するように配置されるため、軸線方向の押圧力により被洗浄面の付着物を掻き落とすことが可能な比較的大きな降伏強度を有する毛材であっても、使用時に毛先が均等に概略円環状に拡散しやすく、被洗浄面に対する比較的大きな実質的接触面積を確保して効率的な洗浄ができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係るブラシの概略的正面図である。
図2図1のブラシの概略的縦断面図である。
図3図1のIII-III断面図である。
図4図1のブラシの使用状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して本発明の実施の一形態を説明する。
図1ないし図3において、ブラシ1は、合成樹脂製で円柱状の芯材2と、芯材2の外周に断面円環状の所定厚さの毛材集合層4を形成するように配置される多数の毛材3と、毛材3を芯材2の外周に結束するバンド部材5と、芯材2と毛材3の基端側を所定長さにわたって被覆する合成樹脂製のキャップ部材6とを具備する。
【0009】
毛材3は、ウェーブ加工された弾性合成樹脂製モノフィラメントからなり、基端を芯材2の基端2aに整列させ、芯材2の基端部と一体化するように熱溶着7される。毛材3は、先端側が芯材2の先端よりも長く延出する。
【0010】
キャップ部材6は、芯材2と毛材3の基端側を所定長さにわたって被覆し、基端が閉じた筒部6aと、基端側に突出する係止突片6bとを具備し、2液型エポキシ樹脂接着剤で芯材2と毛材3に接着される。
【0011】
芯材2が内在する基端側には、図4に示すように、使用者がキャップ部材6の頂端6cを掌に当てて握ることができるハンドル部1aが形成される。
【0012】
毛材3の先端側には、それの軸線方向の押圧力により被洗浄面の付着物を掻き落とすことが可能な降伏強度を有する洗浄部1bが形成される。
【0013】
図示の実施形態において、芯材2は、ナイロンまたはポリアセタール樹脂製で、直径25mm、長さ80mmの円柱状である。毛材3は直径が1.2mmのナイロン又はPBT樹脂製の波付モノフィラメントからなる。毛材3の長さは約250mm~230mmで、先端側において全体が斜めカットされている。
【0014】
図2に示すように、2つのバンド部材5のうち、先端側のものは、芯材2の先端2bから基端側へ約25mmの位置で毛材3を芯材2の周りに結束している。したがって、毛材3は、バンド部材5による拘束を受けて、芯材2の外周に沿う円環状の集合位置を保ちながらも、芯材2の先端側約25mmの可動範囲Aで、個々にわずかに移動することで、先端が被洗浄面に押し付けられたとき、全体として被洗浄面に対して概略円環状に適当な広がりを持つことができる。
【0015】
毛材3は、適当な剛性と弾性を得るため、直径が1mm以上、2mm以下が好適で、1.2mmが最適である。
【0016】
芯材2が内在するハンドル部1aの長さは、キャップの頂端6cから80mm以上、直径は、30mm以上、50mm以下、芯材2の外周に形成される毛材集合層4の厚さは5mm以上12mm以下が好適である。
【符号の説明】
【0017】
1 ブラシ
1a ハンドル部
1b 洗浄部
2 芯材
2a 基端
2b 先端
3 毛材
4 毛材集合層
5 バンド部材
6 キャップ
6a 筒部
6b 係止突片
6c 頂端
A 可動部
図1
図2
図3
図4