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  • 特許-敷料再生装置および敷料再生方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】敷料再生装置および敷料再生方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/015 20060101AFI20230630BHJP
   F26B 3/06 20060101ALI20230630BHJP
   F26B 9/06 20060101ALI20230630BHJP
   F26B 23/02 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
A01K1/015 B
F26B3/06
F26B9/06 A
F26B23/02 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019162012
(22)【出願日】2019-09-05
(65)【公開番号】P2021036839
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000001096
【氏名又は名称】倉敷紡績株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167988
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】下田平 芳明
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 祥弘
(72)【発明者】
【氏名】磯部 将典
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-243259(JP,A)
【文献】特開2014-006038(JP,A)
【文献】特開2014-181333(JP,A)
【文献】特開2006-238820(JP,A)
【文献】特開平09-172895(JP,A)
【文献】特開2019-035541(JP,A)
【文献】特開2019-037914(JP,A)
【文献】特開2002-084910(JP,A)
【文献】実開昭52-069064(JP,U)
【文献】特開2018-019644(JP,A)
【文献】特開2015-114046(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1572203(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/015
F26B 1/00 - 25/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次熱風を発生させる1次熱風発生部と、前記1次熱風と非接触で熱交換することにより前記1次熱風より低温で500℃以上の2次熱風を発生させる2次熱風発生部とを有する熱風発生部と、
筒状で、使用済み敷料を投入する側の端部より、再生敷料を取り出す取出口が設けられた側の端部が低くなるように斜めに設置され、内部に軸着された複数の攪拌羽根を有する処理槽を有し、前記使用済み敷料を攪拌しながら前記2次熱風で直接乾燥処理して前記再生敷料を生成する乾燥部とを備えた、
敷料再生装置。
【請求項2】
前記使用済み敷料が、糞尿含有敷料を乾燥させた乾燥糞尿含有敷料又は糞尿含有敷料を発酵乾燥させた堆肥化敷料である、
請求項1に記載の敷料再生装置。
【請求項3】
前記使用済み敷料の水分率は20%~85%である、
請求項1または2に記載の敷料再生装置。
【請求項4】
前記乾燥部の排気が90℃以上である、
請求項1から3のいずれかに記載の敷料再生装置。
【請求項5】
前記乾燥部の排気から粉体を取り出す集塵機を有し、
前記集塵機で集められた前記粉体を前記再生敷料として取り出す、
請求項1から4のいずれかに記載の敷料再生装置。
【請求項6】
前記1次熱風発生部は、RPF燃料を燃焼させることで前記1次熱風を発生させる、
請求項1から5のいずれかに記載の敷料再生装置。
【請求項7】
1次熱風を発生させ、前記1次熱風と非接触で熱交換することにより前記1次熱風より低温で500℃以上の2次熱風を発生させる熱風発生工程と、
筒状で、使用済み敷料を投入する側の端部より、再生敷料を取り出す取出し口が設けられた側の端部が低くなるように斜めに設置された処理槽内部で、軸着された複数の攪拌羽根によって前記使用済み敷料を攪拌しながら前記2次熱風で直接乾燥処理して前記再生敷料を生成する乾燥工程とを有する、
敷料再生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家畜の床材に用いられる敷料再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
敷料は、家畜が横たわったり座ったりするために畜舎の床に敷く床材である。この敷料には、家畜の居住性を向上させるべく、緩衝性および保温性が高いこと、滑りにくいこと、家畜の皮膚表面を乾燥させて細菌の繁殖を抑えるべく乾いていて衛生的であること、家畜を傷つけないことなどが求められている。また家畜の居住性以外に、排泄物を吸収して排泄物の取り扱い性を向上させるべく吸水性が高いこと、排泄物の悪臭を低減するべく排泄物の悪臭を吸着することも求められている。
敷料としては、例えば、乾牧草、わら類(麦わら)、おが粉(おが屑)、籾殻等が用いられている。
【0003】
このような敷料は、排泄物の水分を吸収して飽水状態となった時点で役目を終える。例えば、乳牛飼育施設では、数日で飽水状態となる。つまり、飽水状態となる度に、新しい敷料と交換しなければならい。しかし、乾牧草やわら類は、家畜の餌にならないものを用いるため、飼育頭数に対して安定した供給には限界があった。一方、おが粉、籾殻等は、バイオマス発電向けの需要が高まる中、その価格が高騰している。
【0004】
このように敷料費が牧場経営を圧迫する大きな要因となっており、特許文献1のような再生敷料の技術が開発されている。
特許文献1には、使用済家畜敷料を数時間天日乾燥する第1工程と、その家畜敷料を高温発酵する第2工程と、その家畜敷料を数日間強制攪拌しながら強制風乾する第3工程とによって、使用済み家畜敷料を再使用可能にする家畜敷料の再生方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平9-172895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の技術は、発酵させた家畜敷料に風を強制的に当てて、水分を乾燥するものであり、乾燥工程には2~3日間と時間がかかる。またこの乾燥工程では、敷料に残存するアンモニアや硫化水素等の臭気ガスの原因となる物質(アンモニア等)を除去することはできない。
本発明は、低コストで、家畜にとって安全性の高い、簡易な敷料再生装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の敷料再生装置は、熱風を発生させる熱風発生部と、使用済み敷料を攪拌しながら前記熱風で乾燥処理して再生敷料を生成する乾燥部とを備えたことを特徴としている。
本発明の敷料再生装置は、使用済み敷料を攪拌しながら熱風で乾燥処理しているため、使用済み敷料を殺菌することができ、かつ、使用済み敷料内に含まれるアンモニア等を除去することができる。
【0008】
本発明の敷料再生装置であって、前記使用済み敷料が、糞尿含有敷料を乾燥させた乾燥糞尿含有敷料又は糞尿含有敷料を発酵乾燥させた堆肥化敷料であるものが好ましい。特に、前記使用済み敷料の水分率は20%~85%であるものが好ましい。
糞尿含有敷料を乾燥させた使用済み敷料は、取り扱いやすく、熱風で乾燥させるのに適している。
【0009】
本発明の敷料再生装置であって、前記熱風が450℃以上であるものが好ましい。これによりアンモニア等を一層除去させることができる。
本発明の敷料再生装置であって、前記乾燥部の排気が90℃以上であるものが好ましい。この場合、使用済み敷料に含まれる細菌を殺菌できる。
【0010】
本発明の敷料再生装置であって、前記乾燥部は、筒状の処理槽を有し、前記処理槽が、前記使用済み敷料を投入する側の端部より、前記再生敷料を取り出す取側の端部が低くなるように斜めに設置されているものが好ましい。処理槽を斜めに設置することにより、使用済み敷料は、処理槽の投入口から取出口に向かって所定の時間をかけて乾燥されながら移動する。
前記処理槽が、前記再生敷料を取り出す取り出し口を有するものが好ましい。処理槽から直接取り出すことで再利用に適した状態の良い再生敷料だけを選択的に取り出すことができる。
前記処理槽が、その処理槽内に軸着された複数の攪拌羽根を有するものが好ましい。この場合、処理槽内に投入される使用済み敷料は、攪拌・粉砕されながら取出口に向かって移動する。
【0011】
本発明の敷料再生装置であって、前記乾燥部の排気から粉体を取り出す集塵機を有し、前記集塵機で集められた前記粉体を再生敷料として取り出すものが好ましい。この場合、より効率よく再生敷料を生成することができる。
【0012】
本発明の敷料再生装置であって、前記熱風発生部は、1次熱風を発生させる1次熱風発生部と、前記1次熱風と非接触で熱交換することにより前記1次熱風より低温の2次熱風を発生させる2次熱風発生部とを有し、前記乾燥部は、前記2次熱風で前記使用済み敷料を乾燥処理するものが好ましい。
1次熱風発生部で発生させた1次熱風と非接触で熱交換させた2次熱風を用いて使用済み敷料を乾燥させるため、1次熱風に含まれるごみ等が再生敷料内に含まれることがない。また1次熱風に含まれる塩素等の排ガスが乾燥部内において、使用済み敷料に影響しない。そのため、安い燃料を使用することができ、再生コストを低減することができる。特に、一次熱風発生部は、RPF燃料を燃焼させることにより前記一次熱風を発生させるのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の敷料再生装置は、使用済み敷料を攪拌しながら熱風で乾燥処理しているため、家畜にとって安全な再生敷料を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の敷料再生装置の一実施形態を示す概略図である。
図2図2a、図2bは、それぞれ図1の乾燥部の乾燥ドラムを示す平面図、側面図である。
図3図3aは、図2aの乾燥ドラムのドラム本体を示す側面断面図であり、図3b、図3cは、それぞれ攪拌羽根の姿勢を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
初めに対象とする敷料について説明する。
敷料は、牛、豚、鶏等の家畜が横たわったり座ったりするために敷く床材である。特に、牛舎用の敷料が挙げられる。
敷料の材料としては、農産物系、木質系、有機廃棄物系、無機系が挙げられる。
農産物系には、稲わら、麦わら(麦稈)、籾殻、乾牧草などが挙げられる。
木質系には、鋸屑、おが粉、バーク(樹皮)、チッパーダスト、ピンチップ(破砕チップ)、カッター屑(ブレーナー、モルダー、ドリル)、カールマットなどが挙げられる。おが粉、ピンチップ、カールマットには、工場残材と、敷料用に生産しているものがある。
有機廃棄物系には、古紙、きのこの培地等の廃菌床、建築解体材、お茶がら、バイオガス残渣などが挙げられる。建築解体材は、ピンチップと同じであるが、樹種を含め正体不明なものが含まれている。
無機系には、砂、粉砕貝殻などが挙げられる。
敷料は、これらの材料を単独または複数を混ぜ合わせて生成される。特に、大量に安定して供給でき、機械作業に適しており、かつ、水分の吸水性・保水性が高いため、木質系材料を主成分とした敷料が好ましい。また、材料を粉砕して粉状としたものを主成分とした敷料が好ましい。
【0016】
使用済み敷料とは、家畜の糞尿を含有する敷料に由来するものをいう。例えば、牛舎等から取り出した糞尿含有敷料、通気や天日などで糞尿含有敷料の水分を蒸散させた乾燥糞尿含有敷料、糞尿含有敷料を発酵乾燥させた、つまり、糞尿含有敷料の有機物を分解し、かつ、その発酵熱によって乾燥させた堆肥化敷料などが挙げられる。乾燥糞尿含有敷料および堆肥化敷料は、水分率が小さいため、糞尿含有敷料に比べて取り扱いやすい。特に堆肥化敷料は、糞尿に含まれる有機物を分解しているため、臭気ガス等が出にくく、環境的にも優れている。なお、糞尿含有敷料に戻し堆肥やおが屑等の水分調整剤を混合して水分調整を行ったものも乾燥糞尿含有敷料に含むものとする。
糞尿含有敷料の水分率は、一般的に、85%~99%である。
乾燥糞尿含有敷料および堆肥化敷料の水分率は、20%~85%であり、好ましくは30%~80%であり、特に好ましくは30%~60%である。
このような使用済み敷料から得られる再生敷料の水分率は、10%~30%、好ましくは20%~30%である。
【0017】
次に、敷料再生装置について説明する。
図1の敷料再生装置10は、使用済み敷料から再生敷料を生成するものであって、熱風を発生させる熱風発生部20と、使用済み敷料を攪拌しながら該熱風で乾燥処理する乾燥部50とを備えている。
【0018】
熱風発生部20は、1次熱風を発生させる1次熱風発生部30と、その1次熱風と非接触で熱交換することで2次熱風を発生させる2次熱風発生部40とを備えている。
【0019】
1次熱風発生部30は、1次熱風HA1を発生させる1次熱風発生器31と、1次熱風の排気EA1からゴミ等を取り出す集塵機32と、1次熱風の排気EA1を排出する排気筒33と、1次熱風HA1を排気筒33へと誘引する誘引ファン34とを有する。
【0020】
一次熱風発生器31には、発生器本体31aと、その発生器本体31aに燃料を投入する燃料投入部31bと、燃焼ファン31cとが設けられている。また発生器本体31a内には、温度センサーが設けられている。燃料投入部31bは、燃料を収容して一次熱風発生器に導くものであれば、特に限定されるものではない。この実施形態では、燃料を収容する投入ホッパー31b1と、コンベア31b2とを有している。
一次熱風発生器の燃料としては、化石燃料、木粉やおが屑等のバイオマスやRPF(Refuse Paper&Plastic Fuel)等の廃棄物固形燃料が好ましく挙げられ、特に、品質が安定しており、高カロリーかつ低価格なRPF燃料が好ましい。おが屑等のバイオマス燃料は環境にやさしいが、近年の需要の高まりで入手困難なことがあり、より安定的に供給されるRPF等の廃棄物燃料を用いるのがよい。
【0021】
集塵機32は、特に限定されるものではないが、例えば、サイクロン型の集塵機が挙げられる。集塵機32で集められたゴミ、塵等は、ロータリーバルブ32aを介してダストボックス32bに排出される。集塵機32によって、1次熱風からゴミ等を回収することにより、公害粉塵が大気に排出されない。
誘引ファン34は、1次熱風を誘導するものである。また、誘引ファン34によって、一次熱風発生器31の発生器本体31a内の温度を制御する。
【0022】
2次熱風発生部40は、空気を供給する給気筒41と、発生させた2次熱風HA2を乾燥装置へと排出する排出筒42と、熱交換器43と、誘引ファン54(乾燥部50と兼用)とを有している。
熱交換器43は、給気筒41から取り込んだ外気OAへ1次熱風HA1の熱を非接触で移動させることにより、2次熱風HA2を発生させるものであれば、その構造は特に限定されるものではない。
誘引ファン54は、2次熱風HA2を誘導するものである。そして、2次熱風HA2の温度を制御する。誘引ファン54は、後述するように乾燥部50を挟んで設けられており、乾燥部50の誘引ファンと兼ねている。
【0023】
熱風発生部20は、乾燥部50に送る2次熱風HA2を一次熱風発生器31で発生させた1次熱風HA1と非接触で熱交換することにより発生させているため、1次熱風HA1に含まれるごみや塩素等の家畜にとって好ましくない成分が乾燥部50には送られない。つまり、生成される再生敷料内に1次熱風HA1に含まれるごみ等が含まれることがない。また1次熱風HA1に含まれる塩素が乾燥部50内において、使用済み敷料に影響しない。そのため、一次熱風発生器の燃料の選択性が高い。
【0024】
乾燥部50は、図1に示すように、乾燥ドラム51と、乾燥ドラム51から排出される排気から粉体等を取り出す集塵機52と、乾燥ドラム51の排気を排出する排気筒53と、2次熱風を煙突へと誘引する誘引ファン54とを有する。
【0025】
乾燥ドラム51は、図1、2に示すように、円筒状のドラム本体(処理槽)61と、そのドラム本体61に使用済み敷料を誘導する投入ホッパー62(図1のみ)と、そのドラム本体61を支持する架台63(図2のみ)と、ドラム本体61内において回転自在に固定される軸芯64と、ドラム本体61内において軸芯64回りに回転する複数の攪拌羽根65(図1のみ)と、その軸芯64を駆動する駆動装置66とを備えている。
【0026】
ドラム本体61には、一方(上流側)の端部近傍(図2a、図2bの左側)の上側に使用済み敷料の投入口61aと、2次熱風HA2を供給する熱風入口61b1、61b2とが設けられている。また他方(下流側)の端部近傍(図2a、図2bの右側)の下側に再生敷料(乾燥物)取出口61c1、61c2が設けられ、上側と横側にそれぞれガス排気口61d1、61d2が設けられている。そして、ドラム本体61は、上流側の端部が下流側の端部より高くなるように斜めに設置されている。この実施形態では、熱風入口、ガス排気口、取出口がそれぞれ2個ずつあるが、いずれも少なくとも1つあればよい。しかし、2つずつ設けることにより、使用済み敷料の状態(例えば、水分量の変化等)に応じて処理時間を調整することができる。
このようなドラム本体61の傾斜角としては、好ましくは5~25度、さらに好ましくは10~20度であり、特に好ましくは12~18度である。5度より小さい場合、投入される使用済み敷料が滞留しやすくなる。25度より大きい場合、投入される使用済み敷料をドラム本体61内に保持して十分に乾燥させることができないおそれがある。
【0027】
ドラム本体61の長さXは、1000mm~4000mm、好ましくは1500mm~3000mmである。ドラム本体61の径Yは、300mm~1500mm、好ましくは500mm~1000mmである。ドラム本体61の長さXに対するドラム本体61の径Y(Y/X)は、0.1~0.5であり、好ましくは0.2~0.3である。
なお、符号67は、内部の様子を確認するためののぞき窓である。
【0028】
投入ホッパー62は、使用済み敷料を収容してドラム本体61に導くものであれば、特に限定されるものではない。
架台63は、ドラム本体61を支持することができれば、特に、ドラム本体61を上流側の端部が下流側の端部より高くなるように斜めに支持できれば、その形状および構造は特に限定されるものではない。
【0029】
攪拌羽根65は、図3a、b、cに示すように、軸芯64と連結される回転ベース68aと、その回転ベース68aから半径方向外側に伸びる2枚の翼68bが180度間隔で設けられている。翼68bは、ドラムの軸方向の前後から延びる支持部68b1、68b2と、その支持部の先端同士を繋ぐ板状の羽根部68b3とを備えている。なお、板状の羽根部68b3は、幅方向がドラム本体61の半径方向と平行で、かつ、長さ方向がドラム本体61の軸芯64と平行となっている。このように攪拌羽根65は、回転することによって軸方向に空気を押し出すものではなく、ドラム内に投入された使用済み敷料を細かく破砕・粉砕するものである。しかし、その形状は特に限定されるものではない。
複数の攪拌羽根65は、ドラム内において等間隔に配置されており、隣接している攪拌羽根65は、翼68bの角度が90度ずれて設置されている。図3bは、奇数段の攪拌羽根65aを示し、図3cは偶数段の攪拌羽根65bを示す。つまり、一つ飛びで翼68bの角度は一致している。この実施形態では、13枚の攪拌羽根65が設けられているが、その数は特に限定されるものではない。
【0030】
図2に戻って、駆動装置66は、ドラム外に設置されており、モータ66aと、モータ66aと軸芯64とを繋ぐ減速ギア66bと、その減速ギア66bを覆うカバー66cとを有する。なお、駆動装置66は、特に限定されるものではない。
【0031】
図1に戻って、集塵機52は、特に限定されるものではなく、熱風発生部20の集塵機32と実質的に同じものである。
誘引ファン54は、乾燥部50内の熱風を煙突53に誘導するものである。また乾燥部50内の温度および乾燥部50の排気の温度を制御する。また前述したように誘引ファン54は、2次熱風発生部と乾燥部50の誘引ファンとを兼ねている。
【0032】
この敷料再生装置10において、乾燥部50の回収部すなわち乾燥ドラム51の取出口61c1、61c2及び集塵機52から回収した乾燥物(再生敷料)および粉末等は保管庫55で保管する。
集塵機52で集められた粉末等は、乾燥部50から取出した乾燥物(再生敷料)と混ぜ合わせて再生敷料としたり、粉末等から再生敷料として使用可能な粉体を取出して乾燥物と混ぜ合わせて再生敷料としたりしてもよい。またそのまま廃棄してもよい。しかし、乾燥物と粉体とを混ぜ合わせて再生敷料とする場合、無駄なく再生敷料を生成することができて好ましい。
【0033】
次に、この敷料再生装置10の流れを、図1を用いて説明する。
初めに、熱風発生部20の1次熱風発生部30において、1次熱風HA1を発生させる。この1次熱風HA1の温度は、600℃~1200℃、好ましくは700℃~1000℃、特に好ましくは800℃~900℃である。そして、1次熱風HA1は、2次熱風発生部40を通り、1次熱風の排気EA1として排気筒33から排出される。
一方、2次熱風発生部40の熱交換器43において、取り込んだ外気OAを、1次熱風HA1の熱量でもって非接触で加熱し、2次熱風HA2を発生させる。この2次熱風HA2の温度の下限は、450℃以上、好ましくは500℃以上、特に好ましくは550℃以上である。450℃以上とすることにより、後述するように乾燥部50において、使用済み敷料に含まれる臭気(例えばアンモニアは500℃以上)を除去することができる。なお、2次熱風HA2の温度の上限は、900℃以下である。900℃以上の場合、装置の材質に悪影響を与えることがある。好ましくは700℃以下である。
【0034】
熱風発生部20によって発生させられた2次熱風HA2は、乾燥部50に供給される。
乾燥部50では、使用済み敷料を2次熱風HA2で直接乾燥しながら、攪拌羽根65で攪拌、破砕する。乾燥部50のドラム本体61は傾斜しているため、使用済み敷料は、攪拌羽根65で攪拌されながら、重力でもって取出口61c1、61c2まで運ばれる。このように使用済み敷料は、所定の時間、乾燥ドラム51内において乾燥されて、再生敷料として乾燥ドラム51の取出口から取り出される。
ここで乾燥部50の2次熱風HA2の排気EA2の温度の下限は、90℃以上、好ましくは95℃以上、特に好ましくは110℃以上である。90℃より小さいと、投入される使用済み敷料を十分に殺菌できない。一方、排気EA2の温度の上限は300℃以下、好ましくは150℃以下、特に好ましくは130℃以下である。300℃より大きいと、再生敷料が粉塵化して、再生敷料として使用したとき家畜の呼吸等を傷めるなど健康を害するおそれがある。
【0035】
このように敷料再生装置10は、熱風(2次熱風HA2)で攪拌しながら使用済み敷料の乾燥を行うため、使用済み敷料のアンモニア等を除去することができ、良質な再生敷料を生成することができる。またその乾燥時間も短い。
【0036】
この敷料再生装置10では、熱風発生部20を用いて熱風(2次熱風)を発生させているが、その方法は特に限定されるものではない。
またこの敷料再生装置10では、使用済み敷料を熱風(2次熱風)で直接乾燥処理しているが、その乾燥処理の方法は特に限定されるものではない。例えば、使用済み敷料を熱風で間接的に、つまり非接触で乾燥させてもよい。その場合、一次熱風発生器で発生させた熱風を乾燥部に送り込んでもよい。
【符号の説明】
【0037】
10 敷料再生装置
20 熱風発生部
30 1次熱風発生部
31 一次熱風発生器
31a 発生器本体
31b 燃料投入部
31b1 投入ホッパー
31b2 コンベア
31c 燃焼ファン
32 集塵機
32a ロータリーバルブ
32b ダストボックス
33 排気筒
34 誘引ファン
40 2次熱風発生部
41 給気筒
42 排出筒
43 熱交換器
50 乾燥部
51 乾燥ドラム
52 集塵機
53 排気筒
54 誘引ファン
55 保管庫
61 ドラム本体
61a 投入口
61b1、61b2 熱風入口
61c1、61c2 取出口
61d1、61d2 ガス排気口
62 投入ホッパー
63 架台
64 軸芯
65、65a、65b 攪拌羽根
66 駆動装置
66a モータ
66b 減速ギア
66c カバー
68a 回転ベース
68b 翼
68b1、68b2 支持部
68b3 羽根部
HA1 1次熱風
EA1 1次熱風の排気
HA2 2次熱風
EA2 2次熱風の排気
OA 外気
図1
図2
図3