(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】印刷方法
(51)【国際特許分類】
B41M 5/00 20060101AFI20230630BHJP
C09D 11/54 20140101ALI20230630BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
B41M5/00 132
B41M5/00 120
C09D11/54
B41J2/01 123
B41J2/01 125
B41J2/01 501
(21)【出願番号】P 2019176361
(22)【出願日】2019-09-27
【審査請求日】2022-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003322
【氏名又は名称】大日本塗料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】曽原 佑介
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-15008(JP,A)
【文献】特開2018-1435(JP,A)
【文献】特開2019-162741(JP,A)
【文献】特開2018-83299(JP,A)
【文献】特開2010-184413(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0257203(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/00
C09D 11/54
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水系カラーインクと、水系カラーインクを凝集させる作用を有する水系コーティング液とを含むインクセットを用いる印刷方法であって、
吸収性基材を準備する第1工程と、
前記吸収性基材の表面を前記水系コーティング液で処理する第2工程と、
前記第2工程で処理された吸収性基材の表面を乾燥させる第3工程と、
前記第3工程で乾燥させた吸収性基材の表面を前記水系コーティング液で処理する第4工程と、
前記第4工程で処理された吸収性基材の表面に前記水系カラーインクで印刷を行う第5工程と
を含み、
ここで、前記水系コーティング液が、少なくとも水、樹脂、及び有機溶剤を含み、該樹脂がカチオンを有する水溶性ポリマーを含むことを特徴とする印刷方法。
【請求項2】
前記水系コーティング液中における前記カチオンを有する水溶性ポリマーの含有量が0.5~8.0質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の印刷方法。
【請求項3】
前記有機溶剤が少なくとも1種類のアルカンジオール系溶剤を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の印刷方法。
【請求項4】
前記カチオンを有する水溶性ポリマーは、重量平均分子量が1,000以上であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の印刷方法。
【請求項5】
前記カチオンを有する水溶性ポリマーは、重量平均分子量が100,000以下であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の印刷方法。
【請求項6】
前記水系コーティング液が、更に、少なくとも1種類のシリコーン系表面調整剤を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の印刷方法。
【請求項7】
前記水系コーティング液は、25℃での表面張力値が28.0mN/m以下であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の印刷方法。
【請求項8】
前記水系コーティング液は、25℃での表面張力値が21.0mN/m以上であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の印刷方法。
【請求項9】
前記水系コーティング液が、更に、少なくとも1種類のマクロマー変性アクリル系表面調整剤を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の印刷方法。
【請求項10】
前記第3工程において乾燥が70~130℃で行われることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の印刷方法。
【請求項11】
前記第3工程において乾燥が2秒以上120秒未満の間行われることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の印刷方法。
【請求項12】
前記第3工程で乾燥させた吸収性基材の表面は、表面寿命100ms及び温度25℃での水の動的接触角が70°以下であることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の印刷方法。
【請求項13】
前記第3工程で乾燥させた吸収性基材の表面は、前記第1工程で準備された吸収性基材の表面と比較して、表面寿命100ms及び温度25℃での水の動的接触角の差が10°以上であることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷方法に関し、特には、コート紙、上質紙、アート紙等の吸収性基材に対して良好な印刷を行うことを可能にする印刷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタによる印刷に用いるインクとしては、様々なインクが開発されているが、環境負荷を低減する観点から、水系インクが広く使用されている。しかしながら、水系インクは溶媒として水を含むため、印刷の際に滲みを発生させる傾向がある。印刷により形成される印刷層の滲みを改善する方法としては、例えば、着色インクを凝集させる作用を有する処理液を併用する手法が知られている(例えば、特開平6-57192号公報及び特開2009-190379号公報)。
【0003】
着色インクと処理液とを含む水系インクセットに関して、特開2017-222793号公報は、水系着色インクと水系コーティング液とを含むインクセットであって、前記水系着色インクが、水、自己分散性顔料、水溶性溶剤及び樹脂を含み、前記水系コーティング液が、水、水溶性溶剤及び樹脂を含み、該水系コーティング液中に含まれる樹脂が第四級アンモニウムカチオンを有する水溶性ポリマーを含み、該水系コーティング液のpHが7.1~10.0の範囲内にあることを特徴とするインクセットを記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平6-57192号公報
【文献】特開2009-190379号公報
【文献】特開2017-222793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献3に記載されるインクセットによれば、印刷層の滲みの発生及び印刷機器の腐食の発生を抑えると共に、光沢を低下させずに定着性が良好な印刷層を形成させることが可能なインクセットを提供することができる。
【0006】
しかしながら、本発明者が検討を進めたところ、特許文献3に記載されるような水系インクセットは、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の非吸収性基材への印刷には十分に対応可能であったが、コート紙、上質紙、アート紙等の吸収性基材に対しては、スジや滲みの発生により良好な印刷を行うことができないといった問題があり、改善の余地があった。具体的には、PETフィルムへの印刷では、コーティング液はフィルム上で十分に濡れ広がるため、その後に印刷されるカラーインクを所定の位置に固定することが可能である。一方、コート紙への印刷では、コーティング液は基材に浸透してしまい、十分に濡れ広がることができない。この場合、コーティング液の凝集作用を十分に発揮できず、結果としてカラーインクを所定の位置に固定することができないといった問題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、コート紙、上質紙、アート紙等の吸収性基材に対して良好な印刷を行うことを可能にする印刷方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、吸収性基材の表面をコーティング液で処理する際に、吸収性基材上のコーティング液を一度乾燥させてから、該吸収性基材の表面を再度コーティング液で処理すると、コーティング液は十分に濡れ広がり、吸収性基材の表面を均一に処理することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
本発明の印刷方法は、水系カラーインクと、水系カラーインクを凝集させる作用を有する水系コーティング液とを含むインクセットを用いる印刷方法であって、
吸収性基材を準備する第1工程と、
前記吸収性基材の表面を前記水系コーティング液で処理する第2工程と、
前記第2工程で処理された吸収性基材の表面を乾燥させる第3工程と、
前記第3工程で乾燥させた吸収性基材の表面を前記水系コーティング液で処理する第4工程と、
前記第4工程で処理された吸収性基材の表面に前記水系カラーインクで印刷を行う第5工程と
を含み、
ここで、前記水系コーティング液が、少なくとも水、樹脂、及び有機溶剤を含み、該樹脂がカチオンを有する水溶性ポリマーを含むことを特徴とする。
【0010】
本発明の印刷方法の好適例においては、前記水系コーティング液中における前記カチオンを有する水溶性ポリマーの含有量が0.5~8.0質量%である。
【0011】
本発明の印刷方法の他の好適例においては、前記有機溶剤が少なくとも1種類のアルカンジオール系溶剤を含む。
【0012】
本発明の印刷方法の他の好適例において、前記カチオンを有する水溶性ポリマーは、重量平均分子量が1,000以上である。
【0013】
本発明の印刷方法の他の好適例において、前記カチオンを有する水溶性ポリマーは、重量平均分子量が100,000以下である。
【0014】
本発明の印刷方法の他の好適例においては、前記水系コーティング液が、更に、少なくとも1種類のシリコーン系表面調整剤を含む。
【0015】
本発明の印刷方法の他の好適例において、前記水系コーティング液は、25℃での表面張力値が28.0mN/m以下である。
【0016】
本発明の印刷方法の他の好適例において、前記水系コーティング液は、25℃での表面張力値が21.0mN/m以上である。
【0017】
本発明の印刷方法の他の好適例においては、前記水系コーティング液が、更に、少なくとも1種類のマクロマー変性アクリル系表面調整剤を含む。
【0018】
本発明の印刷方法の他の好適例においては、前記第3工程において乾燥が70~130℃で行われる。
【0019】
本発明の印刷方法の他の好適例においては、前記第3工程において乾燥が2秒以上120秒未満の間行われる。
【0020】
本発明の印刷方法の他の好適例において、前記第3工程で乾燥させた吸収性基材の表面は、表面寿命100ms及び温度25℃での水の動的接触角が70°以下である。
【0021】
本発明の印刷方法の他の好適例において、前記第3工程で乾燥させた吸収性基材の表面は、前記第1工程で準備された吸収性基材の表面と比較して、表面寿命100ms及び温度25℃での水の動的接触角の差が10°以上である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、コート紙、上質紙、アート紙等の吸収性基材に対して良好な印刷を行うことを可能にする印刷方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の印刷方法を詳細に説明する。本発明の印刷方法は、水系カラーインクと、水系カラーインクを凝集させる作用を有する水系コーティング液とを含むインクセットを用いる印刷方法である。本明細書においては「本発明の印刷方法に用いるインクセット」を「本発明のインクセット」ともいう。
【0024】
本発明のインクセットにおいて、水系カラーインクは、水系コーティング液で処理された基材表面に印刷され、基材に色付けを行い、文字や画像等を描くためのインクであり、通常、水、樹脂、有機溶剤及び着色剤を含む。また、水系コーティング液は、基材表面の処理に使用され、その後に印刷される水系カラーインクを凝集させるための液であり、通常、水、有機溶剤及び樹脂を含むものである。本発明において、水系コーティング液は、カチオンを有する水溶性ポリマーを含む。
【0025】
本明細書においては、着色剤を0.1質量%を超える量で含む組成物を「インク」とし、着色剤を含まない又は着色剤を0.1質量%以下含む組成物を単に「液」として表現している。また、本明細書において「水系カラーインク」及び「水系コーティング液」とは、主溶媒として水を含有するカラーインク及びコーティング液である。
【0026】
本発明のインクセットにおいて、水系カラーインクは、異なる色を発する複数の水系カラーインクからなっていてもよく、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク及びブラックインクの4種類のインクを少なくとも含む水系カラーインクを例示することができる。水系コーティング液は、水系カラーインクと異なり、単独で使用されることも多いが、本発明の印刷方法においては、水系コーティング液による2段階処理が行われるため、組成の異なる複数の水系コーティング液を使用してもよい。
【0027】
本発明のインクセットにおいて、水系カラーインク及び水系コーティング液は、水を含み、イオン交換水や蒸留水等の純水、超純水等が好適に挙げられる。また、インクやコーティング液を長期保存する場合には、カビやバクテリアの発生を防止するため、紫外線照射等により滅菌処理した水を用いてもよい。ここで、水系カラーインク及び水系コーティング液のそれぞれにおいて、水の含有量は、20~90質量%の範囲であることを例示することができ、好ましくは50~90質量%、更に好ましくは60~80質量%の範囲内である。これによって、より環境への負荷の少ないカラーインク及びコーティング液を提供することができる。
【0028】
本発明のインクセットにおいて、水系コーティング液は樹脂を含み、該樹脂はカチオンを有する水溶性ポリマーを含む。上記水溶性ポリマーは、カチオンを有するため、カラーインクを凝集する能力を発揮することができる。これにより、印刷層の滲みの発生を抑えつつ、基材への印刷層の付着性を向上でき、高速印刷が可能になる。また、カチオンであれば、pHが塩基性領域にある水系コーティング液中に存在していても、カラーインクを凝集する能力を発揮することができる。但し、上記水溶性ポリマーは、カラーインクを凝集させる能力が高く、カラーインクの凝集の発生を著しく早く起こし、印刷層の光沢が低下する場合もあるため、後述する自己分散性顔料との組み合わせが好ましい。また、カチオンを有する水溶性ポリマーを用いて調製した水系コーティング液は、長期保存をした際にも粘度やpHが保たれ、優れた保存安定性が得られる。
なお、本明細書において、水溶性ポリマーとは、水、又は水溶性の有機溶剤を50質量%未満含む水溶液に対して溶解するポリマーを意味する。
【0029】
上記カチオンを有する水溶性ポリマーは、第四級アンモニウムカチオン(カチオン化された窒素原子)を有する水溶性ポリマーであることが好ましい。第四級アンモニウムカチオンを有する水溶性ポリマーを用いることで、印刷層の滲みの発生がより一層抑えられるとともに、印刷層の耐擦過性、水系コーティング液の保存安定性が向上する。
【0030】
上記カチオンを有する水溶性ポリマーは、重量平均分子量が1,000以上であることが好ましく、2,500以上であることがより好ましく、5,000以上であることが更に好ましい。上記水溶性ポリマーの重量平均分子量を1,000以上とすることで、基材上にポリマーが存在する状態を確保することができ、結果として水系コーティング液及び水系カラーインクのはじきを防止することができる。一方、上記カチオンを有する水溶性ポリマーは、重量平均分子量が100,000以下であることが好ましく、50,000以下であることがより好ましく、45,000以下であることが更に好ましく、40,000以下であることが特に好ましい。上記水溶性ポリマーの重量平均分子量を100,000以下とすることで、表面処理された基材上に印刷される水系カラーインクのドットが広がりやすくなり、結果として発色性を向上させることができる。また、上記カチオンを有する水溶性ポリマーの重量平均分子量が高すぎると、ドット径が小さくなる傾向にあり、結果として印刷物にスジがある状態となる。また、重量平均分子量が高い場合、カチオンを有するポリマーの層が形成されることでカラーインクの印刷層の付着性が低下し得る。
なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した値であり、標準物質にはポリスチレンが使用され、移動相にはテトラヒドロフランが使用される。
【0031】
上記カチオンを有する水溶性ポリマーは、主鎖にカチオンを有することが好ましい。このような構造を有する水溶性ポリマーを用いると、水系カラーインクが水系コーティング液層上に印刷された際に、水系カラーインクの界面のみが瞬時に凝集し、水系カラーインク同士が混合することなく印刷された位置で定着するため、高速印刷を行う場合において、より好ましい。
【0032】
上記カチオンを有する水溶性ポリマーは、カチオン度の異なる2種類以上の水溶性ポリマーであることが好ましい。カチオン度が異なる複数の水溶性ポリマーを用いることで、ドット径の大きさ、滲みの調整が容易となる。
具体的に、上記カチオンを有する水溶性ポリマーは、pH7.1でのカチオン度が5.5~7.5meq/gである水溶性ポリマーと、pH7.1でのカチオン度が2.0~5.0meq/gである水溶性ポリマーとを含むことが好ましく、pH7.1でのカチオン度が6.0~7.0meq/gである水溶性ポリマーと、pH7.1でのカチオン度が2.5~4.5meq/gである水溶性ポリマーとを含むことが更に好ましい。上記した2種類のカチオン度の範囲を有する水溶性ポリマーの割合は、カチオン度の範囲が高い水溶性ポリマー:カチオン度の範囲が低い水溶性ポリマーの質量比が1:1~20:1の範囲内であることが好ましく、7:3~10:1の範囲内であることがより好ましい。
なお、本明細書において、カチオン度は、ポリビニル硫酸カリウム試薬を用いたコロイド滴定により求めることができる。詳しい手順は以下のとおりである。
コニカルビーカーに脱イオン水90mLを取り、試料(乾燥品換算)の500ppm水溶液を10mL加えてアミン水溶液でpH7.1とし、約1分間攪拌する。次にトルイジンブルー指示薬を2~3滴加え、N/400ポリビニル硫酸カリウム試薬(N/400PVSK)で滴定する。滴定速度は2mL/分とし、検水が青から赤紫色に変色して10秒間以上保持する時点を終点とする。カチオン度(meq/g)の計算式は次のとおりである。
カチオン度=(N/400PVSK滴定量)×(N/400PVSKの力価)/2
【0033】
上記カチオンを有する水溶性ポリマーは市販品を使用することができる。なかでも、第四級アンモニウムカチオンを有する水溶性ポリマーが好ましいが、塩基性でも安定に存在できる観点から、例えば、DK6810、DK6851、DK6864、WS4030、WS4027、WS4052、CA6018(以上星光PMC社製)、ハーサイズCP-300、CP-800(以上ハリマ化成社製)、PAS-H-1L、PAS-H-5L、PAS-2401、PAS-A-1(以上ニットボーメディカル社製)、カチオマスターPDT-2、PD-7、PD-30(以上四日市合成社製)という名で市販されているエピクロロヒドリンとアルキルアミンの反応物、ポリアミン樹脂、ポリアミド・エピクロロヒドリン樹脂等が挙げられる。なお、上記カチオンを有する水溶性ポリマーは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
上記水系コーティング液中において、上記カチオンを有する水溶性ポリマーの含有量は、0.5~8.0質量%であることが好ましく、1.0~4.0質量%であることが更に好ましい。上記水溶性ポリマーの含有量を0.5~8.0質量%とすることで、水系コーティング液は濡れ広がりやすくなると共に、カラーインクの持つ色味を阻害することを防止することができる。
【0035】
上記水系コーティング液に使用できる他の樹脂としては、上記カチオンを有する水溶性ポリマー以外の、インク業界において通常使用されている樹脂を用いることができる。例えば、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ロジン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂、ブチラール樹脂、マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂、ビニル樹脂等が挙げられる。これら樹脂は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
上記水系コーティング液中に含まれる樹脂に占める上記カチオンを有する水溶性ポリマーの割合は、50質量%以上であることが好ましいが、特に、凝集作用を適切に制御する点から、上記水系コーティング液中に含まれる樹脂に占める上記第四級アンモニウムカチオンを有する水溶性ポリマーの割合が50質量%以上であることが好ましい。
【0037】
上記水系コーティング液中において、樹脂の含有量は、0.005~15質量%であることを例示することができるが、0.5~10質量%であることが好ましく、0.5~5質量%であることがより好ましく、0.5~4.5質量%であることが更に好ましく、0.5~4.0質量%であることが特に好ましい。
【0038】
また、本発明のインクセットにおいて、水系カラーインクには、インク業界において通常使用されている樹脂を用いることができ、例えば、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、ブチラール樹脂、マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂、ビニル樹脂等が挙げられる。これら樹脂は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
上記水系カラーインクに使用できる樹脂は、自己分散性樹脂を含むことができる。自己分散性樹脂とは、界面活性剤や乳化剤を使用しなくても、インク中で分散状態を保つことができる樹脂であり、通常、スルホン酸又はその塩やカルボン酸又はその塩等の親水性基を末端又は側鎖に有するポリマーや、ポリカーボネート基、ポリエステル基、ポリエーテル基等の親水性基を主鎖に有するポリマー等が好適に使用される。これら自己分散性樹脂は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、自己分散性樹脂は、市販品を使用してもよい。
【0040】
上記自己分散性樹脂は、耐擦過性、耐水性等の印刷層の性能を向上させる観点から、自己分散性ウレタン樹脂を含むことが好ましく、更に各種基材への高い付着性を付与する観点から、ポリエステル基又はポリエーテル基含有自己分散性ウレタン樹脂を含むことが更に好ましい。自己分散性樹脂中における自己分散性ウレタン樹脂の割合は、30~100質量%であることが好ましい。
【0041】
上記自己分散性ウレタン樹脂は、重量平均分子量が100,000~1,000,000であることが好ましく、150,000~750,000であることがより好ましく、200,000~500,000であることが更に好ましい。上記自己分散性ウレタン樹脂の重量平均分子量が上記特定した範囲内にあれば、耐擦過性をより向上でき、強固な印刷層を形成することができる。
なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した値であり、標準物質にはポリスチレンが使用され、移動相にはテトラヒドロフランが使用される。
【0042】
上記自己分散性ウレタン樹脂は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等のポリオール成分と、ポリイソシアネート成分と、任意に鎖伸長剤とを反応させて得ることができる。
【0043】
ポリエステルポリオールとしては、特に制限はなく、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンプロピレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリジエチレンアジペート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリヘキサメチレンイソフタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンセバケート、ポリブチレンセバケート、ポリ-ε-カプロラクタムジオール及びポリ(3-メチル-1,5-ペンチレンアジペート)等を挙げることができる。ポリオール成分としてポリエステルポリオールを用いることで、ポリエステル基含有自己分散性ウレタン樹脂を得ることができる。このような樹脂は、インク中にて粒子の形態で分散していることから、本明細書においては、ポリエステルウレタン樹脂粒子とも称する。
ポリエーテルポリオールとしては、特に制限はなく、例えば、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール及びポリオキシエチレン・プロピレングリコール等を挙げることができる。ポリオール成分としてポリエーテルポリオールを用いることで、ポリエーテル基含有自己分散性ウレタン樹脂を得ることができる。このような樹脂は、インク中にて粒子の形態で分散していることから、本明細書においては、ポリエーテルウレタン樹脂粒子とも称する。
ポリカーボネートポリオールは、特に制限はなく、例えば、1,6-ヘキサンジオールポリカーボネートポリオール、1,4-ブタンジオールポリカーボネートポリオール及びポリ-1,4-シクロヘキサンジメチレンカーボネートジオール等を挙げることができる。ポリオール成分としてポリカーボネートポリオールを用いることで、ポリカーボネート基含有自己分散性ウレタン樹脂を得ることができる。このような樹脂は、インク中にて粒子の形態で分散していることから、本明細書においては、ポリカーボネートウレタン樹脂粒子とも称する。
なお、ポリオール成分としては、アクリルポリオール等を用いてもよい。
これらのポリオール成分は、1種を単独で使用することもでき、また2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0044】
ポリイソシアネート成分としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びノルボルナンジイソシアネート等のポリイソシアネート化合物が挙げられる。これらのポリイソシアネート成分の中でも、好ましくは、キシレンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)又はノルボルナンジイソシアネートである。これらのポリイソシアネート成分は、1種を単独で使用することもでき、あるいは2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0045】
鎖伸長剤としては、例えば、低分子量の多価アルコール及び低分子量のポリアミンを挙げることができる。低分子量の多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジメチロールブタン酸及びジメチロールプロピオン酸等のジメチロールアルカン酸類等が挙げられる。低分子量のポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヒドラジン、ピペラジン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノシクロヘキシルメタン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン及びイミノビスプロピルアミン等が挙げられる。これらの鎖伸長剤は、1種を単独で使用することもでき、また2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0046】
上記水系カラーインクは、ポリエーテルウレタン樹脂粒子、ポリエステルウレタン樹脂粒子等のウレタン系樹脂粒子を含むことが好ましい。ウレタン系樹脂粒子を含むインクは、印刷層の耐擦過性を向上させることもできる。
【0047】
上記自己分散性樹脂は、インク中で分散しており、粒子の形態にある。ここで、上記自己分散性樹脂は、平均粒子径(D50)が10nm~90nmであることが好ましく、20nm~70nmであることがより好ましく、30nm~60nmであることが更に好ましい。上記特定した範囲内の平均粒子径であれば、自己分散性樹脂の分散状態が良く保存安定性に優れるインクを調製できる。
本明細書において、平均粒子径(D50)は、体積基準粒度分布の50%粒子径(D50)を指し、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(例えばSALD-7000:株式会社島津製作所社製)を用いて測定される粒度分布から求めることができる。そして、本明細書における粒子径は、レーザ回折・散乱法による球相当径で表される。
【0048】
上記自己分散性樹脂は、その酸価が5.0~60.0であることが好ましい。上記特定した範囲内の酸価であれば、分散性を向上させることができる。本明細書において、樹脂の酸価とは、樹脂1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数を意味する。
【0049】
また、本発明のインクセットにおいては、水系カラーインクに含まれる自己分散性樹脂の酸価と、水系コーティング液に含まれるカチオンを有する水溶性ポリマーのカチオン度を調整することで、水系カラーインクのドット径を大きくし、かつ、滲みが発生しない、光沢に優れた印刷層を形成させることができる。ここで、上記自己分散性樹脂の酸価(C)とカチオン性ポリマーのpH7.1でのカチオン度(meq/g)(D)の比(C:D)は、10:1~1:2の範囲内であることが好ましく、6:1~1.2:3の範囲内であることがより好ましく、3:1~1:1の範囲内であることが更に好ましい。
【0050】
上記水系カラーインク中において、樹脂の含有量は、1~10質量%であることが好ましい。また、上記樹脂に占める自己分散性樹脂の割合は、50質量%以上であることが好ましい。
【0051】
本発明のインクセットにおいて、水系カラーインクは、特に限定されず、インク業界において着色剤として通常使用されている有機顔料、無機顔料等の顔料を用いることができるが、自己分散性顔料を含むことが好ましい。自己分散性顔料とは、顔料分散剤を使用しなくても、インク中で分散状態を保つことができる顔料であり、通常、親水性に優れた官能基を表面に付与することで得られる。本発明者は、上述のカチオンを有する水溶性ポリマー、特には第四級アンモニウムカチオンを有する水溶性ポリマーと自己分散性顔料の組み合わせであれば、凝集の発生が早すぎることで印刷層の表面に凹凸が形成されることを防ぐことができ、それにより印刷層の光沢の低下を防ぐことができることを見出した。
【0052】
本発明において、上記自己分散性顔料としては、カルボキシルイオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、水酸化物イオン等のアニオンが表面に直接結合している顔料が好ましい。このようなアニオン型の自己分散性顔料を用いることにより分散剤を添加せずに顔料をインク中で安定に分散させることができ、より鮮明な画像を印刷することができる。これらアニオン型の自己分散性顔料は市販品を好適に使用できる。
【0053】
上記顔料としては、例えば、ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、31、42、53、55、74、83、86、93、109、110、117、120、122、125、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、166、168、180、181、184、185、213;ピグメントオレンジ16、36、38、43、51、55、59、61、64、65、71;ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、101、122、123、149、168、177、180、192、202、206、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、244、254;ピグメントバイオレット19、23、29、30、32、37、40、50;ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、27、28、29、30、60、64、80;ピグメントグリーン7、36;ピグメントブラウン23、25、26;及びピグメントブラック1、7、26、27、28、ピグメントホワイト6等が挙げられる。なお、これら顔料は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
シアンインクに使用できる顔料としては、例えば、ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、27、28、29、30、60、64、80等が挙げられ、
マゼンタインクに使用できる顔料としては、例えば、ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、101、122、123、149、168、177、180、192、202、206、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、244、254等が挙げられ、
イエローインクに使用できる顔料としては、例えば、ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、31、42、53、55、74、83、86、93、109、110、117、120、122、125、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、166、168、180、181、184、185、213等が挙げられ、
ブラックインクに使用できる顔料としては、例えば、ピグメントブラック1、7、26、27、28等が挙げられる。
その他、ピグメントオレンジ16、36、38、43、51、55、59、61、64、65、71;ピグメントバイオレット19、23、29、30、32、37、40、50;ピグメントグリーン7、36;ピグメントブラウン23、25、26;ピグメントホワイト6等の顔料も、上記基本色インクに用いることができるとともに、オレンジインク、バイオレットインク、グリーンインク、レッドインク等の特殊色インクとして用いることもできる。
【0054】
上記水系カラーインク中において、顔料の含有量は、使用する顔料の種類等により任意に決定できるが、0.5~10質量%であることが好ましい。
【0055】
本発明のインクセットにおいて、水系コーティング液及び水系カラーインクには、有機溶剤を使用することができる。水系コーティング液及び水系カラーインクに使用できる有機溶剤は、特に限定されるものではなく、インク業界において通常使用されている有機溶剤を用いることができる。水系コーティング液及び水系カラーインクのそれぞれにおいて、有機溶剤の含有量は、5~49質量%であることを例示することができるが、好ましくは5~35質量%、更に好ましくは10~35質量%、特に好ましくは15~35質量%の低い範囲内で調整することもできる。これによって、より環境への負荷の少ない水系コーティング液及び水系カラーインクを提供することができるとともに、形成される膜内に有機溶剤が残りにくくなることから、耐擦過性等の膜物性が向上しやすくなる。なお、有機溶剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0056】
水系コーティング液及び水系カラーインクに使用できる有機溶剤は、水溶性有機溶剤であることが好ましく、少なくとも1種類のアルカンジオール系溶剤、特には少なくとも2種類のアルカンジオール系溶剤を含むことが更に好ましい。アルカンジオール系溶剤を用いることで、インクジェットプリンタ等の印刷機器の吐出部分(特にプリントヘッド)でのインクの乾燥を防ぎ、結果としてインクの保存安定性、濡れ性及び吐出安定性を向上させることができる。水系コーティング液及び水系カラーインクのそれぞれにおいて、アルカンジオール系溶剤の含有量は、5.0~40.0質量%であることが好ましい。
【0057】
また、水系コーティング液及び水系カラーインクに使用できる有機溶剤は、インクの吐出安定性、濡れ性及び保存安定性をより良好にする観点から、アルカンジオール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、三~五員環のラクトン系溶剤、及びアミド系溶剤よりなる群から選択される少なくとも1種類を含むことが好ましい。
ここで、本発明のインクセットにおいては、カラーインク及びコーティング液の動的表面張力値を調整する観点から、水系コーティング液及び水系カラーインクは、それぞれ独立して、アルカンジオール系溶剤及びグリコールエーテル系溶剤よりなる群から選択される少なくとも1種類(好ましくは少なくとも2種類)を含むことが好ましく、特にコーティング液の表面張力値を調整する観点から、アルカンジオール系溶剤及びグリコールエーテル系溶剤の両方を含むことが好ましい。ここで、アルカンジオール系溶剤とグリコールエーテル系溶剤の両方を含む場合、アルカンジオール系溶剤(E)とグリコールエーテル系溶剤(F)の質量比(E:F)は8:1~1:8の範囲内であることが好ましく、5:1~1:5の範囲内であることが好ましい。
【0058】
アルカンジオール系溶剤は、2つの水酸基を有する非環系飽和炭化水素であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘプタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール等が挙げられる。これらの中でも、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ヘプタンジオール、1,2-オクタンジオールが好ましい。
【0059】
グリコールエーテル系溶剤の具体例としては、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールペンチルエーテル、エチレングリコールヘキシルエーテル、エチレングリコールシクロヘキシルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソブチルエーテル、エチレングリコールターシャリブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールペンチルエーテル、ジエチレングリコールヘキシルエーテル、ジエチレングリコールシクロヘキシルエーテル、ジエチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールイソブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールプロピルエーテル、トリエチレングリコールブチルエーテル、トリエチレングリコールペンチルエーテル、トリエチレングリコールヘキシルエーテル、トリエチレングリコールシクロヘキシルエーテル、トリエチレングリコールフェニルエーテル、トリエチレングリコールベンジルエーテル及びトリエチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールエーテル類、並びにプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールペンチルエーテル、プロピレングリコールヘキシルエーテル、プロピレングリコールシクロヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールペンチルエーテル、ジプロピレングリコールヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールシクロヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコールプロピルエーテル、トリプロピレングリコールブチルエーテル、トリプロピレングリコールペンチルエーテル、トリプロピレングリコールヘキシルエーテル及びトリプロピレングリコールシクロヘキシルエーテル等のプロピレングリコールエーテル類等が挙げられる。これらの中でも、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソブチルエーテル、エチレングリコールターシャリブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールイソブチルエーテル及びトリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル及びトリエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましい。
【0060】
三~五員環のラクトン系溶剤は、-C(=O)-O-を一部に含むラクトン環を有する化合物のうち、環を構成する原子数が3である三員環、原子数が4である四員環又は原子数が5である五員環の化合物である。具体例としては、α-アセトラクトン、β-プロピオンラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン等が挙げられる。これらの中でも、γ-ブチロラクトンが好ましい。
【0061】
アミド系溶剤は、非環状のアミド化合物が好ましく、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、スルファニルアミド、トルエンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N-ジメチル-β-メトキシプロピオンアミド、N,N-ジメチル-β-ブトキシプロピオンアミド、N,N-ジメチル-β-ペントキシプロピオンアミド、N,N-ジメチル-β-ヘキソキシプロピオンアミド、N,N-ジメチル-β-ヘプトキシプロピオンアミド、N,N-ジメチル-β-2-エチルヘキソキシプロピオンアミド、N,N-ジメチル-β-オクトキシプロピオンアミド、N,N-ジエチル-β-メトキシプロピオンアミド、N,N-ジエチル-β-ブトキシプロピオンアミド、N,N-ジエチル-β-ペントキシプロピオンアミド、N,N-ジエチル-β-ヘキソキシプロピオンアミド、N,N-ジエチル-β-ヘプトキシプロピオンアミド、N,N-ジエチル-β-オクトキシプロピオンアミド等が挙げられる。これらの中でも、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチル-β-メトキシプロピオンアミド、N,N-ジメチル-β-ブトキシプロピオンアミド、N,N-ジエチル-β-メトキシプロピオンアミド、N,N-ジエチル-β-ブトキシプロピオンアミドが好ましい。
【0062】
本発明のインクセットにおいて、水系コーティング液及び水系カラーインクは、表面張力値を調整する観点から、表面調整剤を含むことが好ましい。表面調整剤としては、シリコーン系表面調整剤、アクリル系表面調整剤、ビニル系表面調整剤、フッ素系表面調整剤及びアセチレングリコール系表面調整剤等が挙げられるが、少なくとも1種類のシリコーン系表面調整剤を含むことが好ましく、シリコーン系表面調整剤及びアセチレングリコール系表面調整剤の両方を含むことが更に好ましい。ここで、シリコーン系表面調整剤とアセチレングリコール系表面調整剤の両方を含む場合、シリコーン系表面調整剤(A)とアセチレングリコール系表面調整剤(B)の質量比(A:B)は、5:1~1:5であることが好ましく、3:1~1:3であることが更に好ましい。
【0063】
シリコーン系表面調整剤の具体例としては、ポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリエスエル変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性水酸基含有ポリシロキサン、ポリエステル変性水酸基含有ポリシロキサン等が挙げられ、BYK-Chemie社、信越化学工業社等から市販される商品が容易に入手可能である。
【0064】
アセチレングリコール系表面調整剤は、アセチレン基と2つの水酸基を有する界面活性剤であり、例えば、下記式(1)
【化1】
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立した炭化水素基を示す)で表されるような、アセチレン基を中心とした左右対称構造を有する非イオン性界面活性剤が好適である。また、本明細書においては、界面活性剤の水酸基にアルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド等)を付加してなるアルキレンオキシド付加物もアセチレングリコール系表面調整剤に含まれる。アセチレングリコール系表面調整剤は、日信化学工業株式会社等から市販される商品が容易に入手可能である。
【0065】
本発明のインクセットにおいて、水系コーティング液は、アクリル系表面調整剤として、少なくとも1種類のマクロマー変性アクリル系表面調整剤を含むことが好ましい。水系コーティング液にマクロマー変性アクリル系表面調整剤を用いることで、乾燥膜の表面自由エネルギーを向上させ、結果として水系カラーインクが印刷された際のはじきを防ぐことができる。マクロマー変性アクリル系表面調整剤とは、アクリル系添加剤に対して単末端の反応性シリコーン(マクロマー)を反応させて生成される材料である。マクロマー変性アクリル系表面調整剤は、ビッグケミー・ジャパン株式会社から市販される商品が容易に入手可能である。
【0066】
水系コーティング液及び水系カラーインクは、所望の表面張力値となるように表面調整剤を用いることが好ましいものの、水系コーティング液及び水系カラーインクのそれぞれにおいて、表面調整剤の含有量は0.1~5.0質量%であることを例示することができる。
【0067】
本発明のインクセットにおいて、水系コーティング液及び水系カラーインクには、更に必要に応じて、pH調整剤、消泡剤、保湿剤、湿潤分散剤、防腐剤・防かび剤、溶解助剤、酸化防止剤、金属トラップ剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合してもよい。
【0068】
本発明のインクセットにおいて、水系コーティング液及び水系カラーインクは、必要に応じて適宜選択される各種成分を混合することにより調製できる。
なお、上記水系コーティング液は、水を50質量%~90質量%、有機溶剤を5質量%~35質量%、樹脂を0.005質量%~5質量%の範囲内で含むことが好ましい。このように樹脂量が少ない水系コーティング液は、乾燥が早いため、凝集後の印刷スジの発生を抑える観点から好ましい。
【0069】
上記水系カラーインク及び水系コーティング液は、インクジェットプリンタ等の印刷機器の金属部分(特にプリントヘッド)における腐食の発生を抑える観点から、塩基性であることが好ましく、pHが7.01~10.0の範囲内にあることが好ましい。
なお、pHの調整には、pH調整剤を使用できるが、アミン化合物の使用が好ましく、沸点が70~270℃であるアミン化合物の使用が更に好ましい。沸点70~270℃のアミン化合物の具体例としては、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン等が挙げられる。これらアミン化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、水系コーティング液及び水系カラーインクのそれぞれにおいて、アミン化合物の含有量は、0.1~2.0質量%が好ましい。
【0070】
本発明のインクセットにおいて、水系カラーインク及び水系コーティング液は、それぞれ独立して、25℃における粘度が3.0~10.0mPa・sの範囲内であることが好ましい。本明細書において、インク及びコーティング液の粘度は、レオメーター(例えばTAインスツルメンツ社製レオメーターARES)を用い、液温を25℃に調整した後に測定される。
【0071】
本発明のインクセットにおいて、水系コーティング液は、25℃での表面張力値が28.0mN/m以下であることが好ましく、27.0mN/m以下であることが更に好ましい。水系コーティング液の表面張力を28mN/m以下とすることで、吸収性基材に対して発生するはじきを抑制することができる。
また、本発明のインクセットにおいて、水系コーティング液は、25℃での表面張力値が21.0mN/m以上であることが好ましく、24.0mN/m以上であることが更に好ましい。水系コーティング液の表面張力を21mN/m以上とすることで、コーティング液の基材への浸透を抑制することができる。
【0072】
本発明のインクセットにおいて、水系カラーインクは、通常、水系コーティング液層上で印刷が行われるため、25℃における表面張力値が20.0mN/m以上50.0mN/m以下であることが好ましい。
【0073】
本明細書において、インク及びコーティング液の「表面張力値」とは、平衡状態に達している表面張力値(いわゆる静的表面張力値)を指し、プレート法に基づき測定される。
本発明のインクセットに用いるカラーインク及びコーティング液は、いずれも水系であり、表面張力値は一般に高い傾向にあるため、有機溶剤の種類や含有量、及び/又は表面調整剤(好ましくはシリコーン系表面調整剤、より好ましくはポリエーテル変性ポリシロキサン)を含む添加剤の種類や含有量を適宜調整することで、表面張力値を調整することが重要である。
【0074】
本発明の印刷方法は、上述した本発明のインクセットを用いて印刷を行う印刷方法であり、以下の第1工程から第5工程を含む。
第1工程:吸収性基材を準備する
第2工程:吸収性基材の表面を水系コーティング液で処理する
第3工程:第2工程で処理された吸収性基材の表面を乾燥させる
第4工程:第3工程で乾燥させた吸収性基材の表面を水系コーティング液で処理する
第5工程:第4工程で処理された吸収性基材の表面に水系カラーインクで印刷を行う
【0075】
本発明の印刷方法の第1工程は、印刷を行う対象である基材として吸収性基材を準備する工程である。吸収性基材とは、水系コーティング液や水系インクに対して吸収性を有する基材であり、本明細書においては、以下の簡易的な測定方法によって吸収性の有無を判断することができる。具体的には、基材に対して水10mgを落とし10秒経過した後にふき取りを行う。その際に、水が浸透した痕があるかどうかを確認し、水が浸透した痕が目視にて認識できれば、その基材を吸収性基材とする。後述する第3工程及び第4工程を行わないと、コーティング液が吸収性基材に浸透してしまうため、コーティング液の凝集作用を十分に発揮できず、結果としてカラーインクを所定の位置に固定することができない。
【0076】
本発明の印刷方法において、吸収性基材は、白色基材であってもよい。本明細書において「白色基材」とは、少なくとも印刷面が白色である基材であり、ここで「白色」は、無彩色の白を指すが、それに限らずベージュやグレーなど多少色味が入ったオフホワイトも含まれる。
【0077】
本発明の印刷方法において、吸収性白色基材の具体例としては、主として、コート紙(具体的には樹脂コート紙)、アート紙、キャスト紙、微塗工紙、上質紙、合成紙、インクジェット用紙等の紙基材等が挙げられるが、これら紙基材は、特にコーティング液の浸透により縮みや撓みを起こし易いため、本発明の印刷方法によって印刷を行うことが好ましい。
【0078】
本発明の印刷方法の第2工程は、吸収性基材の表面を水系コーティング液で処理する工程である。水系コーティング液による吸収性基材の表面処理は、各種印刷手段によって行うことができる。具体的には、インクジェット印刷方式、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、フレキソ印刷方式、スクリーン印刷方式、コーター方式等が挙げられる。
【0079】
上記第2工程において基材の温度は30~50℃であることが好ましい。基材表面の温度が30℃以上であると、水系コーティング液の基材に対する濡れ性を向上させることができる。また、50℃以下であると、水系コーティング液のヘッド界面における乾燥を防ぐことができる。なお、基材の温度とは、水系コーティング液が適用される基材表面の温度である。なお、基材の温度は、第2工程から第5工程の全工程を通して、30~50℃であるのが良い。
【0080】
特に、上記第2工程で用いる水系コーティング液は、第4工程で用いる水系コーティング液よりも使用量(処理量)が多いことが好ましい。
【0081】
本発明の印刷方法の第3工程は、第2工程において水系コーティング液で処理された吸収性基材の表面を乾燥させる工程である。かかる吸収性基材の表面を乾燥させることで、吸収性基材上にカチオンを有する水溶性ポリマーを付着させることができる。これにより、第4工程の処理に用いる水系コーティング液が吸収性基材の表面に浸透することを防ぐことができる。また、乾燥させたカチオンを有する水溶性ポリマーは、第4工程の処理に用いる水系コーティング液を凝集させる作用を有しておらず、また、第4工程の処理に用いる水系コーティング液中に存在するカチオンを有する水溶性ポリマーと反応を起こすこともないため、吸収性基材上に付着させる樹脂として好ましい。
【0082】
上記第3工程において、乾燥は、熱風によって行われることが好ましい。この場合、水系コーティング液で処理された吸収性基材の表面に熱風(通常、空気を利用)を当てて乾燥が行われる。上記第3工程において、乾燥は、70~130℃で行われることが好ましく、80~110℃で行われることが更に好ましい。また、上記第3工程において、乾燥は、2秒以上120秒未満の間行われることが好ましく、5秒以上60秒以内の間行われることが更に好ましい。乾燥手段は、特に限定されるものではないが、送風機能を備えた乾燥機が好ましい。風量は、1.0m3/min以上であることが好ましく、1.5~5.0m3/minであることが更に好ましい。
【0083】
本発明の印刷方法において、上記第3工程で乾燥させた吸収性基材の表面は、表面寿命100ms及び温度25.0℃での水の動的接触角が70°以下であることが好ましく、25°~65°であることが更に好ましい。水系コーティング液で処理された吸収性基材の表面を乾燥させた後の吸収性基材に対する水の動的接触角を上記特定の範囲内とすることで、第4工程で印刷される水系コーティング液をはじきにくく濡れ広がりやすい基材環境を作り出すことができ、結果として第5工程のカラーインクの印刷時に完成度の高い印刷物を作製することができる。なお、水の動的接触角を低下させる手法としては、例えば、第2工程で使用される水系コーティング液中に含まれるカチオンを有する水溶性ポリマーの量を増加させることが有効である。
【0084】
本発明の印刷方法において、上記第3工程で乾燥させた吸収性基材の表面は、上記第1工程で準備された吸収性基材の表面と比較して、表面寿命100ms及び温度25℃での水の動的接触角が低く、その差が10°以上であることが好ましく、15°~60°であることが更に好ましい。水系コーティング液で処理された吸収性基材の表面を乾燥させた後の吸収性基材が、水系コーティング液で処理されていない第1工程で準備された吸収性基材と比較して、水の動的接触角差を上記特定の範囲内とすることで、第4工程で印刷された水系コーティング液をはじきにくく濡れ広がりやすい基材環境を作り出すことができ、結果として第5工程のカラーインクの印刷時に完成度の高い印刷物を作製することができる。
【0085】
本明細書において、水の動的接触角は、一般的な接触角計(例えば協和界面化学社製DM700)を用いて動的接触角測定をすることにより測定できる。本明細書では、25℃の基材に対して表面寿命100msにおける接触角測定を行う。
動的接触角測定は、注射器中に挿入した液体を基材に接触させ、液体が基材に着弾した時の接触角を時間単位で計測することで求められる。この測定により、瞬時の濡れ広がる液滴の接触角、吸液量の経時変化を測定することができる。
【0086】
表面寿命を100msに設定した理由は、インクの着弾から濡れ広がりの挙動を制御するための最も適したタイミングと考えられるからである。インクジェットプリンターによる高速印刷では一つのドットが着弾してから濡れ広がりが完結するまでに、おおよそ10~100msかかり、着弾直後の広がりの挙動自体がとても短いスケールで展開される。100msは、基材に着弾したインクがちょうど濡れ広がり終わるタイミングであることから、この時の動的接触角値を適切な値に制御することで、基材に対する水系コーティング液の接触による濡れの制御を最も適した状態で行うことができると考えられる。
【0087】
本発明の印刷方法の第4工程は、第3工程で乾燥させた吸収性基材の表面を水系コーティング液で処理する工程である。第3工程で乾燥させた吸収性基材の表面には、乾燥させたカチオンを有する水溶性ポリマーが存在しており、第4工程で用いる水系コーティング液は、吸収性基材上で十分に濡れ広がることが可能である。このため、コーティング液の凝集作用を発揮し、カラーインクを所定の位置に固定することができる。
【0088】
上記第4工程において、水系コーティング液による吸収性基材の表面処理は、第2工程と同様に、各種印刷手段によって行うことができる。具体的には、インクジェット印刷方式、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、フレキソ印刷方式、スクリーン印刷方式、コーター方式等が挙げられる。
【0089】
上記第4工程で用いる水系コーティング液は、第2工程で用いる水系コーティング液と同一であってもよいし、異なっていてもよい。特に、上記第4工程で用いる水系コーティング液は、第2工程で用いる水系コーティング液よりも、水系コーティング液中に含まれるカチオンを有する水溶性ポリマーの量が少ないことが好ましい。
【0090】
本発明の印刷方法の第5工程は、第4工程において水系コーティング液で処理された吸収性基材の表面に水系カラーインクで印刷を行う工程である。本発明の印刷方法においては、コーティング液の凝集作用を十分に発揮させる観点から、第4工程で用いた水系コーティング液の乾燥を待たずに(即ち、水系コーティング液の乾燥を行わずに)水系カラーインクの印刷を行うことが好ましい。なお、上記印刷方法において、印刷完了直後(即ち、水や有機溶剤が蒸発する前)の水系コーティング液及び水系カラーインクの総吐出液の厚みは、合計して、1~20μmの範囲内にあることが好ましい。
【0091】
本発明の印刷方法において、水系カラーインクが複数の水系カラーインクからなる場合、コーティング液層上に最初に印刷を行う水系カラーインクは、複数の水系カラーインクの中で25℃での表面張力値が最も低いことが好ましい。コーティング液層上に最初に印刷を行う水系カラーインクは、コーティング液によるカラーインクの凝集作用の影響を最も強く受ける。このため、表面張力値の最も低い水系カラーインクをコーティング液層上に最初に印刷することで、コーティング液によるカラーインクの凝集作用を効果的に発揮することができる。
【0092】
上記第5工程において、水系カラーインクの印刷は、インクジェット印刷方式にて行われることが好適であるものの、これに限定されず、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、フレキソ印刷方式、スクリーン印刷方式、コーター方式等の各種印刷方法によって行うことも可能である。
【0093】
また、本発明の印刷方法は、水系カラーインクを用いて印刷を行った後に印刷層を乾燥させる工程(以下、第6工程ともいう)を更に含むことが好ましい。印刷完了後に基材上に形成される印刷層を乾燥させることで、印刷層中に含まれる樹脂を基材上に融着させ、強固な膜を形成することができ、結果として、堅牢性に優れる印刷物を提供することが可能である。
【0094】
上記第6工程において、乾燥は、熱風によって行われることが好ましい。熱風(通常、空気を利用)を印刷層に当てて乾燥を行うことで、層中に含まれる樹脂を基材に融着させ、強固な膜を形成することができ、結果として、堅牢性に優れる印刷物を提供することが可能である。印刷層中に含まれる樹脂を基材上に融着させる観点から、上記第6工程における乾燥は、70~130℃で行われることが好ましく、80~110℃で行われることが更に好ましい。また、上記第6工程において、乾燥は、2秒以上20秒以内の間行われることが好ましく、5秒以上15秒以内の間行われることが更に好ましい。乾燥手段は、特に限定されるものではないが、送風機能を備えた乾燥機が好ましい。風量は、1.0m3/min以上であることが好ましく、1.5~5.0m3/minであることが更に好ましい。
【実施例】
【0095】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0096】
<水系コーティング液>
表1~3に示す配合処方に従い、樹脂、アミン化合物、水溶性溶剤、表面調整剤及びイオン交換水を公知の方法により混合し、水系コーティング液1~30を調製した。なお、各水系コーティング液のpH、表面張力(25℃)、粘度(25℃)を測定し、得られた結果を表1~3に示す。
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
上記表1~3に記載される配合剤は以下のとおりである。
*1 第四級アンモニウムカチオンを有する水溶性ポリマーの水溶液Aとしては以下を用いた。
カチオマスター PE-30(四日市合成製、ジメチルアミン・エチレンジアミン・エピクロロヒドリン系ポリマー樹脂、樹脂含有量50質量%、重量平均分子量(Mw):9000、pH7.1でのカチオン度6.5meq/g)
*2 第四級アンモニウムカチオンを有する水溶性ポリマーの水溶液Bとしては以下を用いた。
DK6851(星光PMC社製、ポリアミン樹脂、樹脂含有量70.0質量%、pH7.1でのカチオン度6.8meq/g)
*3 第四級アンモニウムカチオンを有する水溶性ポリマーの水溶液Cとしては以下を用いた。
DK6864(星光PMC社製、ポリアミン樹脂、樹脂含有量50.0質量%、pH7.1でのカチオン度6.5meq/g)
*4 第一級カチオンを有する水溶性ポリマーの水溶液Dとしては以下を用いた。
PAA-SA(ニットボーメディカル製、アリルアミンアミド硫酸塩重合体樹脂、樹脂含有量20質量%、Mw:12,000、pH7.1でのカチオン度5.8meq/g)
*5 樹脂分散液Eとしては以下を用いた。
NEOREZ R-9621(DSM Coating Resins製、ポリエステル基含有自己分散性ウレタン樹脂、粒子径50nm、酸価18、樹脂含有量38質量%)
*6 カチオン性を有する樹脂の分散液Fとしては以下を用いた。
スーパーフレックス650(第一工業製薬製、カチオン性ポリカーボネートウレタン樹脂分散体、樹脂含有量28質量%、pH7.1でのカチオン度0.8meq/g)
*7 樹脂水溶液Gとしては以下を用いた。
ハイロスX AW-36H(星光PMC社製、水溶性アクリル樹脂、粒子径なし、酸価60、樹脂含有量25質量%)
*8 Twin 4100(EVONIK社製、ポリエーテル変性シリコーンオイル、シリコーンオイル含有量100質量%、表面調整剤)
*9 BYK 349(BYK社製、ポリエーテル変性シリコーンオイル、シリコーンオイル含有量100質量%、表面調整剤)
*10 オルフィンD-10PG(日信化学工業社製、アセチレングリコール系界面活性剤、界面活性剤含有量50質量%、表面調整剤)
*11 サーフィノール107L(日信化学工業社製、アセチレングリコール系界面活性剤、界面活性剤含有量50質量%、表面調整剤)
*12 BYK3550(BYK社製、シリコンマクロマー変性アクリル界面活性剤、界面活性剤含有量100質量%、表面調整剤)
*13 BYK3566(BYK社製、シリコンマクロマー変性アクリル界面活性剤、界面活性剤含有量100質量%、表面調整剤)
*14 S-242(AGCセイミケミカル社製、フッ素系界面活性剤、界面活性剤含有量100質量%、表面調整剤)
【0101】
<自己分散性顔料を含む水系カラーインクの調製例>
表4に示す配合処方に従い、自己分散性顔料、樹脂、水溶性溶剤、表面調整剤及びイオン交換水を公知の方法により混合し、自己分散性顔料を含む水系カラーインクを調製した。なお、各水系カラーインクの表面張力値(25℃)、粘度(25℃)を測定し、得られた結果を表4に示す。
【0102】
【0103】
上記表4に記載される配合剤は、下記の通りである。既に説明した配合剤については省略する。
*15 自己分散性顔料分散液としては、以下を用いた。
・CAB-O―JET 250C
(キャボット社製、シアンの自己分散性顔料水分散液、顔料含有量10質量%)
・CAB-O―JET―465M
(キャボット社製、マゼンタの自己分散性顔料水分散液、顔料含有量15質量%)
・CAB-O―JET 270Y
(キャボット社製、イエローの自己分散性顔料水分散液、顔料含有量10質量%)
・CAB-O―JET 300K
(キャボット社製、ブラックの自己分散性顔料水分散液、顔料含有量15質量%)
*16 WET280(EVONIC社製、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤、界面活性剤含有量100質量%、表面調整剤)
【0104】
<非自己分散型顔料を含む水系カラーインク>
表5に示す配合処方に従い、非自己分散型顔料、消泡剤、水溶性溶剤、湿潤分散剤、イオン交換水を公知の方法により分散した水系着色分散液に、樹脂ならびに表面調整剤を加え、非自己分散型顔料を含む水系カラーインクを調製した。なお、各水系カラーインクの表面張力値(25℃)、粘度(25℃)を測定し、得られた結果を表5に示す。
【0105】
【0106】
上記表5に記載される配合剤は、下記の通りである。既に説明した配合剤については省略する。
*17 非自己分散型顔料としては、以下を用いた。
・FASTOGEN Blue FA5380(フタロシアニンブルー、DIC社製シアン色顔料)
・シンカシャマゼンタRT(ジクロロキナクリドン、BASF社製マゼンタ色顔料)
・Hostaperm Yellow H5G(キノキサリンジオン、クラリアント社製イエロー色顔料)
・Nerox-1000(カーボンブラック、オリオンエンジニアリドカーボン社製、ブラック色顔料)
*18 SNデフォーマー1312(サンノプコ社製、消泡剤、成分含有量100質量%)
*19 ノイゲン E-157(第一工業製薬社製、湿潤分散剤、成分含有量100質量%)
【0107】
<印刷性>
表6~16に示されるインクセットを用意して印刷性の評価を行った。
トライテック社製Stage JETを用いて、まず、表6~16に示される第2工程で用いる水系コーティング液を12pL、25m/minの高速印刷条件下での搬送速度でシングルパス吐出し、100%のベタ画像をOKトップコートプラス(王子製紙社製、坪量127.9g/m2)、多色フォームグロス(王子製紙社製、坪量157.0g/m2)、及びSword ijet 4.3 gross(三菱製紙社製、坪量127.9g/m2)の基材表面に印刷した。水系コーティング液の印刷後、温度が変更可能な乾燥炉を用いて、表6~16に示される温度及び時間で乾燥させた。その後、表6~16に示される第4工程で用いる水系コーティング液を12pL、25m/minの高速印刷条件下での搬送速度でシングルパス吐出し、50%のベタ画像を乾燥した基材表面上に印刷し(ただし、比較例1では乾燥を行わずに基材表面上に印刷し)、その後、印刷した水系コーティング液を乾燥させずに、着弾した水系コーティング液上にブラックインクを除いたシアンインク、マゼンタインク、イエローインクのインク滴を12pLの25m/minの高速印刷条件下での搬送速度で表6~16のカラーインクセットの順番に従いシングルパス吐出し着弾させ、シアンインク・マゼンタインク・イエローインクの各インクの印刷濃度80%、合計印刷濃度240%のベタ印刷を行うと共に、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクのそれぞれについて100%のベタ印刷も行った。その後、100℃の温度で5分間乾燥を行った。印刷部分を目視により下記の評価基準で評価した。なお、各水系コーティング液及び水系カラーインクの解像度は縦×横=600×600dpiと設定した。使用したインクセットの構成と評価結果を表6~16に示す。
○:各色ベタ印刷及び3色のベタ印刷に滲みやスジ感が見られない。
△:各色ベタ印刷及び3色のベタ印刷に滲み又はスジ感が見られる。
×:各色ベタ印刷及び3色のベタ印刷に滲み及びスジ感が見られる。
【0108】
<耐擦過性>
表6~16に示されるインクセットを用意して擦過性の評価を行った。
トライテック社製Stage JETを用いて、まず、表6~16に示される第2工程で用いる水系コーティング液を12pL、25m/minの高速印刷条件下での搬送速度でシングルパス吐出し、100%のベタ画像をOKトップコートプラス(王子製紙社製、坪量127.9g/m2)、多色フォームグロス(王子製紙社製、坪量157.0g/m2)、及びSword ijet 4.3 gross(三菱製紙社製、坪量127.9g/m2)の基材表面に印刷した。水系コーティング液の印刷後、温度が変更可能な乾燥炉を用いて、表6~16に示される温度及び時間で乾燥させた。その後、表6~16に示される第4工程で用いる水系コーティング液を12pL、25m/minの高速印刷条件下での搬送速度でシングルパス吐出し、50%のベタ画像を乾燥した基材表面上に印刷し(ただし、比較例1では乾燥を行わずに基材表面上に印刷し)、その後、印刷した水系コーティング液を乾燥させずに、着弾した水系コーティング液上にブラックインクを除いたシアンインク、マゼンタインク、イエローインクのインク滴を12pLの25m/minの高速印刷条件下での搬送速度で表6~16のカラーインクセットの順番に従いシングルパス吐出し着弾させ、シアンインク・マゼンタインク・イエローインクの各インクの印刷濃度80%、合計印刷濃度240%のベタ印刷を行った。その後、100℃の温度で5分間乾燥を行った。印刷部分に綿棒(商標登録、白十字社製)で5往復擦過を行い、目視により下記の評価基準で評価した。なお、各水系コーティング液及び水系カラーインクの解像度は縦×横=600×600dpiと設定した。使用したインクセットの構成と評価結果を表6~16に示す。
○:綿棒にインクが付かない。
△:綿棒にインクが付くが、基材からインクが剥れない。
×:綿棒にインクが付き、かつ基材からインクが剥れる。
【0109】
<発色性>
表6~16に示されるインクセットを用意して発色性の評価を行った。
トライテック社製Stage JETを用いて、まず、表6~16に示される第2工程で用いる水系コーティング液を12pL、25m/minの高速印刷条件下での搬送速度でシングルパス吐出し、100%のベタ画像をOKトップコートプラス(王子製紙社製、坪量127.9g/m2)、多色フォームグロス(王子製紙社製、坪量157.0g/m2)、及びSword ijet 4.3 gross(三菱製紙社製、坪量127.9g/m2)の基材表面に印刷した。水系コーティング液の印刷後、温度が変更可能な乾燥炉を用いて、表6~16に示される温度及び時間で乾燥させた。その後、表6~16に示される第4工程で用いる水系コーティング液を12pL、25m/minの高速印刷条件下での搬送速度でシングルパス吐出し、50%のベタ画像を乾燥した基材表面上に印刷し(ただし、比較例1では乾燥を行わずに基材表面上に印刷し)、その後、印刷した水系コーティング液を乾燥させずに、着弾した水系コーティング液上にブラックインクを除いたシアンインク、マゼンタインク、イエローインクのインク滴を12pLの25m/minの高速印刷条件下での搬送速度で表6~16のカラーインクセットの順番に従いシングルパス吐出し着弾させ、シアンインク・マゼンタインク・イエローインクの各インクの印刷濃度80%、合計印刷濃度240%のベタ印刷を行った。その後、100℃の温度で5分間乾燥を行い、印刷画像を作製した。
また、表6~16に示される第2工程の水系コーティング液の印刷を行わないこと以外は上記した手順と同様に印刷を行い、その後、100℃の温度で5分間乾燥を行うことで比較用画像の作製を行った。
上記印刷画像及び比較用画像の印刷部分を目視により下記の評価基準で評価した。なお、各水系コーティング液及び水系カラーインクの解像度は縦×横=600×600dpiと設定した。使用したインクセットの構成と評価結果を表6~16に示す。
○:印刷画像が比較用画像に対して発色が鮮明な状態。
△:印刷画像が比較用画像に対して同等程度の発色状態。
×:印刷画像が比較用画像に対して発色が劣る、または異なる色が形成している状態。
【0110】
<動的接触角1>
表6~16に示されるインクセットを用意して動的接触角の評価を行った。
トライテック社製Stage JETを用いて、表6~16に示される第2工程で用いる水系コーティング液を12pL、25m/minの高速印刷条件下での搬送速度でシングルパス吐出し、100%のベタ画像をOKトップコートプラス(王子製紙社製、坪量127.9g/m2)、多色フォームグロス(王子製紙社製、坪量157.0g/m2)、及びSword ijet 4.3 gross(三菱製紙社製、坪量127.9g/m2)の基材表面に印刷した。水系コーティング液の印刷後、温度が変更可能な乾燥炉を用いて、表6~16に示される温度及び時間で乾燥させた。次いで、協和界面化学社製DM700を用いて、乾燥した基材に対して、表面寿命100ms及び温度25℃でのイオン交換水の動的接触角を測定した。評価基準は以下の通りである。評価結果を表6~16に示す。
◎:動的接触角が60°以下
○:動的接触角が60°より大きく、70°以下
△:動的接触角が70°より大きく、80°以下
×:動的接触角が80°より大きい
【0111】
<動的接触角2>
表6~16に示されるインクセットを用意して動的接触角の評価を行った。
トライテック社製Stage JETを用いて、表6~16に示される第2工程で用いる水系コーティング液を12pL、25m/minの高速印刷条件下での搬送速度でシングルパス吐出し、100%のベタ画像をOKトップコートプラス(王子製紙社製、坪量127.9g/m2)、多色フォームグロス(王子製紙社製、坪量157.0g/m2)、及びSword ijet 4.3 gross(三菱製紙社製、坪量127.9g/m2)の基材表面に印刷した。水系コーティング液の印刷後、温度が変更可能な乾燥炉を用いて、表6~16に示される温度及び時間で乾燥させた。次いで協和界面化学社製DM700を用いて、乾燥した基材に対して、表面寿命100ms及び温度25℃でのイオン交換水の動的接触角を測定した。また、水系コーティング液を印刷していない基材(基材それ自体)についても比較として同様の測定を行った。評価基準は以下の通りである。評価結果を表6~16に示す。
◎:水系コーティング液で表面処理した基材の動的接触角が、処理を行っていない基材よりも20°以上小さい
○:水系コーティング液で表面処理した基材の動的接触角が、処理を行っていない基材よりも10°以上20°より小さい
△:水系コーティング液で表面処理した基材の動的接触角が、処理を行っていない基材よりも5°以上10°より小さい
×:水系コーティング液で表面処理した基材の動的接触角が、処理を行っていない基材よりも動的接触角が5°より小さい
【0112】
<吐出性>
トライテック社製Stage JETを用いて、まず、表6~16に示される第2工程で用いる水系コーティング液をプリンターに充填した後、透明OHPシート上に着弾させ、装置に読み込まれているチェックパターンを印刷した(工程A)。次いで、工程Aと同じ水系コーティング液を吐出し、25m2相当の12pL100%ベタ印刷を行った。その後、工程Aと同じ水系コーティング液滴を透明OHPシート上に着弾させ、装置に読み込まれている工程Aと同一のチェックパターンを印刷した(工程B)。工程A及び工程Bにおいてチェックパターンが印刷されたそれぞれのOHPシートを目視で確認し、チェックパターンから抜けているピンの割合を評価した。評価基準は以下の通りである。なお、評価結果を表6~16に示す。
○:工程Aで印刷したチェックパターン中に不吐出が無く、工程Bで印刷したチェックパターンから抜けているピンの割合が5%未満である。
△:工程Aで印刷したチェックパターン中に不吐出が無く、工程Bで印刷したチェックパターンから抜けているピンの割合が5%以上~30%未満である。
×:工程Aで印刷したチェックパターン中に不吐出が無く、工程Bで印刷したチェックパターンから抜けているピンの割合が30%以上である。
【0113】
<保存安定性>
表6~16に示される第2工程で用いる水系コーティング液を110ccのガラス瓶に100gとり、60℃で4週間保存を行い、保存前と保存後の粘度や表面張力、比重、pHの測定を行った。その結果について比較を行った。評価基準は以下の通りである。なお、評価結果を表6~16に示す。
○:すべての項目に対し変化率10%以内
△:いずれか1つの項目で変化率が10%を超え20%未満
×:いずれか1つの項目で変化率20%以上
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】