(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-29
(45)【発行日】2023-07-07
(54)【発明の名称】骨材乾燥装置及び骨材乾燥方法
(51)【国際特許分類】
E01C 19/10 20060101AFI20230630BHJP
F27B 7/33 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
E01C19/10 Z
F27B7/33
(21)【出願番号】P 2019229947
(22)【出願日】2019-12-20
【審査請求日】2022-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】590002482
【氏名又は名称】株式会社NIPPO
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(72)【発明者】
【氏名】對馬 直人
(72)【発明者】
【氏名】秋田 道明
(72)【発明者】
【氏名】村澤 清
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】実公昭52-10767(JP,Y2)
【文献】特開2005-9164(JP,A)
【文献】国際公開第2013/018871(WO,A1)
【文献】実開昭61-34094(JP,U)
【文献】特開昭61-257505(JP,A)
【文献】特開昭57-24686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/10
F27B 7/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状のドライヤドラムと、
前記ドライヤドラムの内周面に立設された複数の第1の掻き上げフライトと、
前記ドライヤドラムを任意方向に回転させるアクチュエータと、
前記ドライヤドラムの軸方向の一端側に配置されたホッパと、
前記ドライヤドラムの軸方向の他端側に配置され、前記ドライヤドラムの軸方向の他端側の外周面に立設された複数の第2の掻き上げフライトを囲繞すると共に、前記ドライヤドラムの周方向の離間した位置に第1の排出口及び第2の排出口が夫々形成されたブーツシュートと、
前記ドライヤドラムの軸方向の他端側に配置され、前記ドライヤドラムの内部に熱風を供給するバーナと、
前記第1の排出口を開閉する第1の開閉機構と、
前記第2の排出口を開閉する第2の開閉機構と、
を備えた、骨材乾燥装置。
【請求項2】
前記ドライヤドラムは、前記一端側が前記他端側より高位に配置された、
請求項1に記載の骨材乾燥装置。
【請求項3】
前記第1の排出口及び前記第2の排出口は、前記ドライヤドラムの下半分における右側、左側及び下側のいずれか2ヶ所に形成された、
請求項1又は請求項2に記載の骨材乾燥装置。
【請求項4】
前記第1の掻き上げフライトは、前記ドライヤドラムの回転軸に向かって延びる、
請求項1~請求項3のいずれか1つに記載の骨材乾燥装置。
【請求項5】
前記アクチュエータ、前記バーナ、前記第1の開閉機構及び前記第2の開閉機構を制御するコントローラが更に備えられた、
請求項1~請求項4のいずれか1つに記載の骨材乾燥装置。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか1つに記載の骨材乾燥装置を使用して、
前記第1の排出口を開け、前記第2の排出口を閉じ、かつ前記バーナを作動させた状態で、前記ドライヤドラムを一方向に回転させて、前記ドライヤドラムの内部において骨材を前記バーナの熱風で完全乾燥させつつ前記第1の排出口から排出した後、
前記第1の排出口を閉じ、前記第2の排出口を開け、かつ前記バーナの作動を停止させた状態で、前記ドライヤドラムを他方向に回転させて、前記ドライヤドラムの内部において骨材を前記ドライヤドラムの余熱で予備乾燥させつつ前記第2の排出口から排出する、
骨材乾燥方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート舗装やアスファルト舗装などに使用される骨材の乾燥装置、及びこのような骨材を乾燥させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水分を含有する骨材を乾燥させるため、実公昭52-10767号公報(特許文献1)に記載されるように、アクチュエータによって回転するドライヤドラムと、その内周面に立設された複数の掻き上げフライトと、ドライヤドラムの一端側に配置された骨材投入口と、ドライヤドラムの他端側に配置されたバーナ及び骨材排出口と、を備えた向流式の骨材乾燥装置が使用されている。向流式の骨材乾燥装置では、骨材投入口から投入された骨材は、掻き上げフライトにより掻き上げられながら骨材排出口へと向かって移動し、バーナの熱風によって乾燥される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、バッチ方式で骨材を乾燥させる場合、骨材乾燥装置の作動及び停止を1日に数回行うこととなる。この場合、骨材乾燥装置を停止させた直後には、ドライヤドラムの温度が高温(約300℃)になっているため、この状態でドライヤドラムの回転を停止させると、その一部の熱応力が大きくなって歪が発生してしまう。このため、骨材乾燥装置を停止させるとき、骨材を投入せずに、例えば、バーナのみを停止させた状態で15~20分程度の空運転を行い、ドライヤドラムを徐々に冷却して歪みが発生しないようにする必要がある。しかしながら、骨材乾燥装置を空運転させると、ドライヤドラムの余熱やアクチュエータを駆動する電力などのエネルギーが骨材乾燥に寄与せず、エネルギーの利用効率が低下するおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、エネルギーの利用効率を向上させた、骨材乾燥装置及び骨材乾燥方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
骨材乾燥装置は、円筒形状のドライヤドラムと、ドライヤドラムの内周面に立設された複数の第1の掻き上げフライトと、ドライヤドラムを任意方向に回転させるアクチュエータと、ドライヤドラムの軸方向の一端側に配置されたホッパと、ドライヤドラムの軸方向の他端側に配置されたブーツシュートと、ドライヤドラムの軸方向の他端側に配置されたバーナと、を備えている。ブーツシュートは、ドライヤドラムの軸方向の他端側の外周面に立設された複数の第2の掻き上げフライトを囲繞すると共に、ドライヤドラムの回転方向に沿って離間した位置に第1の排出口及び第2の排出口が夫々形成されている。また、バーナは、ドライヤドラムの内部に熱風を供給する。そして、骨材乾燥装置は、上記の構成に加え、第1の排出口を開閉する第1の開閉機構と、第2の排出口を開閉する第2の開閉機構と、を更に備えている。
【0007】
また、上記の骨材乾燥装置において、第1の排出口を開け、第2の排出口を閉じ、かつバーナを作動させた状態で、ドライヤドラムを一方向に回転させて、ドライヤドラムの内部において骨材をバーナの熱風で絶対乾燥させつつ第1の排出口から排出させる。その後、第1の排出口を閉じ、第2の排出口を開け、かつバーナの作動を停止させた状態で、ドライヤドラムを他方向に回転させて、ドライヤドラムの内部において骨材をドライヤドラムの余熱で予備乾燥させつつ第2の排出口から排出させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ドライヤドラムの余熱を利用して骨材を予備乾燥させることが可能になるため、エネルギーの利用効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】骨材乾燥装置の一例を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付された図面を参照し、本発明を実施するための実施形態について詳述する。
図1及び
図2は、骨材乾燥装置100の一例を示している。
【0011】
最初に、実施形態において使用する用語について定義しておく。
「絶対乾燥」とは、骨材の内部に水分がほとんど含まれず、完全若しくは略完全に乾燥している状態のことをいう。「予備乾燥」とは、骨材の内部に多少の水分が含まれた状態のことをいい、例えば、骨材の表面と内部の一部が乾燥している状態(気乾状態)、骨材の内部の間隙が水分で満たされているが、表面に水分が付着していない状態(表乾状態)などを含んでいる。「骨材」とは、コンクリート舗装やアスファルト舗装などに使用される材料であって、例えば、砕石、砂利、砂などがその一例として挙げられる。
【0012】
骨材乾燥装置100は、円筒形状のドライヤドラム120と、ドライヤドラム120の内周面に立設された複数の第1の掻き上げフライト(掻上げ羽根)140と、ドライヤドラム120を任意方向に回転させるアクチュエータ160と、骨材をドライヤドラム120に投入するホッパ180と、骨材をドライヤドラム120から排出するブーツシュート200と、ドライヤドラム120の内部に熱風を供給するバーナ220と、バーナ220に空気を供給する送風機240と、を備えている。なお、送風機240は、バーナ220に一体的に組み込まれていてもよい。
【0013】
ドライヤドラム120の外周面において軸方向に離間した2位置には、金属製のパイプ、アングル、チャンネルなどを適宜接合して構築された架台260の支持ローラ(図示せず)に対して、ドライヤドラム120を回転可能に設置する、矩形断面を有する円環形状のリング122が一体化されている。ドライヤドラム120は、
図1において右方に位置する軸方向の一端側が左方に位置する他端側より高位となるように、例えば、2~5°傾斜した状態で架台260の支持ローラに対して回転可能に載置されている。
【0014】
ドライヤドラム120の軸方向の一端側の内周面には、その開口端から軸方向の所定距離に亘って、ドライヤドラム120の回転を利用して骨材をドライヤドラム120の奥部に向かって送り込む、羽根形状の複数の送り羽根124が立設されている。送り羽根124は、例えば、ドライヤドラム120の軸線に対して斜めに延びる板材、又はインボリュート形状の板材からなり、ドライヤドラム120の軸線周りに所定角度ごとに立設されている。
【0015】
また、ドライヤドラム120の軸方向の他端側の外周面には、その開口端から所定距離に亘って、ドライヤドラム120の回転を利用して骨材を排出口(詳細は後述する)に向かって搬送する、複数の第2の掻き上げフライト126が立設されている。第2の掻き上げフライト126は、例えば、ドライヤドラム120の外周面に固定される第1の部材126Aと、第1の部材126Aの表面からドライヤドラム120の半径外方に対して斜めに延びる第2の部材126Bと、を有し、ドライヤドラム120の軸線周りに所定角度ごとに立設されている。なお、送り羽根124及び第2の掻き上げフライト126は、上記の形状に限らず、所要の機能を発揮できれば如何なる形状をなしていてもよい。
【0016】
複数の第1の掻き上げフライト140は、例えば、チャンネル鋼材(溝形鋼材)からなり、その一部がドライヤドラム120の回転軸に向かって延びるように、ドライヤドラム120の内周面に対して所定角度ごとに固定されている。また、複数の第1の掻き上げフライト140は、送り羽根124が立設されている部分を除き、ドライヤドラム120の略全長に亘って千鳥格子状に配置されている。即ち、所定長さを有する第1の掻き上げフライト140が、ドライヤドラム120の内周面に対して周方向に離間した状態で複数配置されつつ、ドライヤドラム120の軸方向において隣接する複数の第1の掻き上げフライト140が、周方向にずれた状態で端部が重なるように配置されている。なお、第1の掻き上げフライト140は、上記の形状に限らず、所要の機能を発揮できれば如何なる形状をなしていてもよい。
【0017】
アクチュエータ160は、例えば、制御が容易な電動モータとすることができる。アクチュエータ160の出力軸は、例えば、所定の減速比を有する減速機を介して、架台260の支持ローラに連結されている。そして、アクチュエータ160の作動によって支持ローラが回転すると、支持ローラに載置されているドライヤドラム120のリング122との相対位置が変化し、ドライヤドラム120が回転軸周りに回転する。即ち、ドライヤドラム120は、低騒音でありながら維持管理が容易なフリクションローラ方式で、架台260に対して相対回転する。ここで、アクチュエータ160の出力軸の回転方向を逆転することで、架台260に対してドライヤドラム120を反対方向に回転させることができる。なお、アクチュエータ160は、フリクションローラ方式に限らず、ギヤ駆動方式によってドライヤドラム120を回転させてもよい。また、アクチュエータ160は、電動モータに限らず、エアモータ、油圧モータなどの公知のモータであってもよい。
【0018】
ホッパ180は、ドライヤドラム120の軸方向の一端側に配置され、図示しないベルトコンベアによって搬送された乾燥対象の骨材を受けて一時的に貯蔵する、下方に向けて断面積が徐々に小さくなる内面形状を有している。ホッパ180の下部であって、ドライヤドラム120の軸方向の一端側に対面する部分には、乾燥対象の骨材をドライヤドラム120の送り羽根124に投入する投入口(図示せず)が形成されている。なお、ホッパ180の投入口には、骨材の投入を任意に中止可能とすべく、投入口を開閉する開閉機構が備えられていてもよい。
【0019】
ブーツシュート200は、ドライヤドラム120の軸方向の他端側に配置されている。ブーツシュート200は、ドライヤドラム120の軸方向の他端側の外周面に立設された第2の掻き上げフライト126を囲繞しつつ、ドライヤドラム120の軸方向の他端側を閉塞する形状を有している。具体的には、ブーツシュート200は、ドライヤドラム120の第2の掻き上げフライト126と所定間隔を隔てつつその半径外方を覆う円筒部材202と、円筒部材202の軸方向の一端側に接合された円環部材204と、円筒部材202の軸方向の他端側に接合された円板部材206と、を有している。円環部材204の外周端は、例えば、溶接などによって円筒部材202の軸方向の一端側に接合され、円環部材204の内周端は、例えば、ボルト、ワッシャ及びナットを含む締結具によって架台260の所定箇所に着脱可能に締結されている。円板部材206の外周端は、例えば、溶接などによって円筒部材202の軸方向の他端側に接合され、その他端側の開口を閉塞している。また、円板部材206の板面の中央には、バーナ220の熱風をドライヤドラム120の内部に導入する、図示しない熱風導入口が形成されている。
【0020】
ブーツシュート200の円筒部材202の下半分であって、その軸方向から見て、中心軸を通る鉛直線を挟んだ左右の2ヶ所、即ち、ドライヤドラム120の周方向の離間した2位置には、乾燥させた骨材を外部に排出する第1の排出口202A及び第2の排出口202Bが夫々形成されている。第1の排出口202Aは、絶対乾燥させた骨材を排出し、第2の排出口202Bは、ドライヤドラム120の余熱を利用して水分の一部を蒸発させた予備乾燥状態の骨材を排出する。ここで、第1の排出口202A及び第2の排出口202Bは、例えば、骨材乾燥装置100の周辺機器のレイアウトなどを考慮して、その形成位置を決定することができる。
【0021】
また、円筒部材202の外周面には、第1の排出口202Aを介してドライヤドラム120の内部と連通する第1の排出シュート280、及び第2の排出口202Bを介してドライヤドラム120の内部と連通する第2の排出シュート300が夫々取り付けられている。第1の排出シュート280の先端開口は、絶対乾燥させた骨材をミキサ(混合装置)に搬送するホットエレベータ320の骨材受入口に接続されている。第2の排出シュート300の先端開口は、予備乾燥させた骨材を貯蔵施設に搬送するベルトコンベア(図示せず)の上方に位置している。骨材が砂である場合、予備乾燥させた砂は他の骨材と比べて摩擦係数が小さいため、このベルトコンベアは、砂が滑り落ちることを抑制するために略水平に延びていることが好ましい。なお、第1の排出口202A及び第2の排出口202Bは、図示の位置に限らず、ドライヤドラム120の下半分における右側、左側及び下側のいずれか2ヶ所に形成してもよい。特に、ドライヤドラム120の下側に第1の排出口202A又は第2の排出口202Bを形成した場合、重力を積極的に利用して、ドライヤドラム120の内部から外部へと骨材を効率的に排出することができる。
【0022】
ここで、予備乾燥させた骨材を搬送するベルトコンベアは、骨材の温度が約90~100℃であるため、耐熱性に優れた素材を用いることが好ましい。また、予備乾燥させた骨材が風などによって飛散することを抑制するため、ベルトコンベアの周囲をカバーで覆うことが好ましい。
【0023】
円筒部材202の第1の排出口202A及び第2の排出口202Bは、遠隔操作可能な第1の開閉機構340及び第2の開閉機構360によって、任意に開閉できるようになっている。図示の例では、第1の開閉機構340は、エアシリンダなどのアクチュエータによって第1の排出口202Aを開閉するスライド式のゲート、第2の開閉機構360は、エアシリンダなどのアクチュエータによって第2の排出口202Bを開閉する搖動式のゲートが採用されている。しかしながら、第1の開閉機構340及び第2の開閉機構360としては、上記のようなスライド式及び搖動式のゲートに限らず、所要の機能を発揮できる任意方式のゲートであってもよい。
【0024】
バーナ220は、重油やガスなどの燃料を燃焼させて熱風を供給する装置であって、例えば、有底円筒形状のケーシングの内部にバーナノズル、着火装置などの主要部品が組み込まれている。そして、バーナ220は、例えば、ボルト、ワッシャ及びナットを含む締結具を使用して、ブーツシュート200の円板部材206に形成された熱風導入口を閉塞するように、架台260の所定箇所に着脱可能に締結されている。従って、バーナ220の熱風は、ブーツシュート200の熱風導入口を通過して、ドライヤドラム120の内部へと供給される。
【0025】
送風機240は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)信号を使用したインバータによって作動するブラシレスモータと、ブラシレスモータによって回転駆動されるファンと、を備えている。そして、送風機240は、バーナ220に空気を供給するように、バーナ220の所定箇所に取り付けられている。
【0026】
骨材乾燥装置100は、アクチュエータ160、バーナ220、送風機240、第1の開閉機構340及び第2の開閉機構360を電子制御する、マイクロコンピュータを内蔵したコントローラ380を更に備えている。コントローラ380には、バーナ220から供給された熱風の温度(排気温度)Teを測定する第1のセンサ400、及び乾燥させた骨材の温度(骨材温度)Taを測定する第2のセンサ420の各出力信号が入力されている。そして、コントローラ380は、骨材を絶対乾燥させる場合、排気温度Te及び骨材温度Taに応じてバーナ220の燃料流量及び送風機240の風量を変化させ、骨材の含水量が一定となるようにする。
【0027】
次に、上記の骨材乾燥装置100を使用して、骨材を絶対乾燥させる方法、及び骨材を予備乾燥させる方法について説明する。
骨材を絶対乾燥させる場合、
図3に示すように、コントローラ380は、第1の開閉機構340を制御して第1の排出口202Aを開け、第2の開閉機構360を制御して第2の排出口202Bを閉じる。また、コントローラ380は、ドライヤドラム120の回転によって骨材AGGが第1の排出口202Aへと運ばれるように、アクチュエータ160を制御してドライヤドラム120を回転させる(この回転方向を「正転」と称する)。さらに、コントローラ380は、上述したように、第1のセンサ400によって測定された排気温度Te、及び第2のセンサ420によって測定された骨材温度Taに応じて、バーナ220の燃料流量及び送風機240の風量を制御する。
【0028】
ベルトコンベアからホッパ180に供給された骨材AGGは、重力を利用して、投入口からドライヤドラム120へと供給される。このとき、ドライヤドラム120に供給された骨材AGGは、ドライヤドラム120の回転を利用した送り羽根124によって、ドライヤドラム120の奥部へと送られる。そして、ドライヤドラム120の回転を利用して、その内周面に立設された複数の第1の掻き上げフライト140が骨材AGGを掻き上げ、ドライヤドラム120の内部において骨材AGGを拡散させる。ドライヤドラム120の内部に拡散された骨材AGGは、バーナ220の熱風によって水分が蒸発して絶対乾燥されつつ、ドライヤドラム120が傾斜状態で設置されていることから、重力によってドライヤドラム120の軸方向の他端側に向かって徐々に送られる。
【0029】
ドライヤドラム120の軸方向の他端側へと送られた骨材AGGは、ドライヤドラム120の端部開口からブーツシュート200の内部へと供給される。ブーツシュート200の内部へと供給された骨材AGGは、ドライヤドラム120の回転を利用して、その外周面に立設された複数の第2の掻き上げフライト126によって第1の排出口202Aへと搬送され、第1の排出口202Aを通過して第1の排出シュート280へと排出される。第1の排出シュート280へと排出された骨材AGGは、その先端開口からホットエレベータ320へと供給され、ミキサなどに搬送される。このとき、第2の排出口202Bは、第2の開閉機構360によって閉じられているため、絶対乾燥された骨材AGGが第2の排出口202Bから排出することがない。
【0030】
バッチ処理による骨材AGGの絶対乾燥が終了すると、コントローラ380は、バーナ220を停止させると共に、排気温度Te及び骨材温度Taに応じた送風機240の流量制御を中止する。また、コントローラ380は、
図4に示すように、第1の開閉機構340を制御して第1の排出口202Aを閉じ、第2の開閉機構360を制御して第2の排出口202Bを開ける。さらに、コントローラ380は、ドライヤドラム120の回転によって骨材AGGが第2の排出口202Bへと運ばれるように、アクチュエータ160を制御してドライヤドラム120を回転させる(この回転方向を「逆転」と称する)。そして、コントローラ380は、送風機240を最小能力で弱運転させることで、ドライヤドラム120の内圧と外圧との差圧が小さくなるようにし、ドライヤドラム120の内部の余熱が外部に逃げないようにする。ここで、バーナ220を停止させた直後においては、ドライヤドラム120の温度が約300℃と高温になっている。
【0031】
ベルトコンベアからホッパ180に供給された骨材AGGは、ドライヤドラム120を正転させたときと同様に、重力を利用して、投入口からドライヤドラム120へと供給される。このとき、ドライヤドラム120に供給された骨材AGGは、ドライヤドラム120の回転を利用した送り羽根124によって、ドライヤドラム120の奥部へと送られる。そして、ドライヤドラム120の回転を利用して、その内周面に立設された複数の第1の掻き上げフライト140が骨材AGGを掻き上げ、ドライヤドラム120の内部において骨材AGGを拡散させる。ドライヤドラム120の内部に拡散された骨材AGGは、ドライヤドラム120の余熱を利用して、絶対乾燥できないもののその一部の水分が蒸発して予備乾燥されつつ、重力によってドライヤドラム120の軸方向の他端側に向かって徐々に送られる。
【0032】
ドライヤドラム120の軸方向の他端側へと送られた骨材AGGは、ドライヤドラム120の端部開口からブーツシュート200の内部へと供給される。ブーツシュート200の内部へと供給された骨材AGGは、ドライヤドラム120の回転を利用して、その外周面に立設された複数の第2の掻き上げフライト126によって第2の排出口202Bへと搬送され、第2の排出口202Bを通過して第2の排出シュート300へと排出される。第2の排出シュート300へと排出された骨材AGGは、その先端開口からベルトコンベアへと供給され、絶対乾燥されていない骨材を一時的に貯蔵する貯蔵施設に搬送される。このとき、第1の排出口202Aは、第1の開閉機構340によって閉じられているため、予備乾燥された骨材AGGが第1の排出口202Aから排出することがない。このため、絶対乾燥された骨材AGGと予備乾燥された骨材AGGとが混ざることがなく、乾燥が不十分な骨材AGGがミキサに送られることを抑制できる。
【0033】
要するに、通常の骨材乾燥処理においては、ドライヤドラム120を正転させつつバーナ220及び送風機240を作動させ、骨材AGGを完全乾燥させて第1の排出口202Aから排出する。そして、通常の骨材乾燥処理が終了したならば、ドライヤドラム120を逆転させつつバーナ220を停止させると共に送風機240を弱運転させ、骨材AGGを予備乾燥させて第2の排出口202Bから排出する。
【0034】
従って、ドライヤドラム120の余熱を積極的に利用して、絶対乾燥までは乾燥できないものの骨材を予備乾燥させることが可能となり、これを絶対乾燥させるまでに必要なエネルギーを低減させることができる。よって、余熱を利用した予備乾燥によって、エネルギーの利用効率を向上させることができる。特に、骨材が砂である場合、砂を約80℃まで加熱すると水分が蒸発して乾燥するため、水分を多く含む砂を乾燥させる際のエネルギーの利用効率の向上が著しい。
【0035】
なお、当業者であれば、様々な上記実施形態の技術的思想について、その一部を省略したり、その一部を適宜組み合わせたり、その一部を周知技術に置換したりすることで、新たな実施形態を生み出せることを容易に理解できるであろう。
【0036】
例えば、ドライヤドラム120の余熱利用効率を向上させるため、ドライヤドラム120の外周面に空気層などの断熱材を設けたり、その外周面に断熱塗料を塗布したりすることで、ドライヤドラム120の表面からの放熱を抑制するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
100 骨材乾燥装置
120 ドライヤドラム
126 第2の掻き上げフライト
140 第1の掻き上げフライト
160 アクチュエータ
180 ホッパ
200 ブーツシュート
202A 第1の排出口
202B 第2の排出口
220 バーナ
340 第1の開閉機構
360 第2の開閉機構
380 コントローラ
AGG 骨材